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繰り返される悪夢【長編】

55よこせう:2004/05/06(木) 17:47 ID:cTxgDJac
No:16 鬼ごっこ

静まり返る繁華街の路地裏に、一発の銃声が響いた。
大原克己(男子)。
彼は、手に持つコルトパイソンを、何やらお互い向かい合って討論(?)している二人組に一発お見舞いした。
しかし、それは虚しく、男のこめかみをかすっていっただけであった。
その危うく一命を取り留めた細川竜司(男子)は、横にいる少女、卯月由香(女子)と逃げ出した。
克己は、当然の如く、その逃げ惑う2人組みを追いかけた。―――発砲しながら。


細川竜司(男子)と卯月由香(女子)は、互いに逃げ惑った。全速力で走る。
しかし、50m走7秒前半の竜司と、9秒前半の由香が全速力で走ると、間が出来てしまう。
それを考えて、竜司はスピードを抑えて、由香のスピードに付き合った。
けど、後ろからは猛然と大原克己(男子)が追いかけて来る。
竜司は想い出した。大原克己の50m走の記録会を。確か、6,7。
自分より速い。それで、後ろを向いて仰天した。
先程まで7、80mの差があったのに、既にもう50m。それを見て、竜司は由香の手を引っ張った。
由香は竜司の背の高い顔を見た。
「ちょっ、何!?」
答える間も与えずに、そのまま竜司は全速力で走った。由香は脚をどたばたさせながら、何とかくっ付いて来る。
「うわ、ちょっと、うわわ!」
そのお陰か、はたまた克己がコルトパイソンの弾薬を詰め直しているかのせいで、差が開いた。

(よし、このまま一気にバックれてやるぜ!)
その考えが甘かった。克己は、パイソンの弾薬を詰め替えると、物凄いスピードで追いかけてきた。
竜司は、もう完全に撒いたと思った。それで、スピードを緩めた。
それも、命取り。
手を膝に付け、ぜぇぜぇと苦しそうに息をする。けど、もっと辛いのは、必死で付いてきた由香。
お互い今にも倒れそうな位、疲弊していた。こんなに速く走った事はない。
余裕の表情で、後ろを向いた。後ろの光景を見て、竜司は眼を見開いた。
追いかけてきている。しかも、さっきより全然速い。
竜司は、座っている由香の手を取り、またもや全速力で走った。
電柱の上では、烏がその鬼ごっこをみてカーカーと笑っていた。

【残り46人】


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