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繰り返される悪夢【長編】

20よこせう:2004/04/29(木) 16:31 ID:sYqlOrxI
No3:偽愛

「なっ・・・・・・!」
誰もが言葉を失った。
―――何?プログラム?あの殺人ゲームの?嘘・・・・・・!
男はにかっと少し黄色く染まった薄汚い歯を見せながら笑った。
「あぁ、私の自己紹介が済んでなかったな。私の名前は、立花賢吾といいます。
 皆、覚えてくれたかぁ?」
クラスの大半が、この男の正体が、誰だか知った。
そのとき、1人の男子生徒が立ち上がった。
「父さん!」
立ち上がったのは、立花雄吾(男子)だった。そう、雄吾の父である。
「止めてくれよ!どうして、俺達がこんなプログラムに参加しなくちゃ、
 ならねぇんだよ!」
立花は、息子の訴えに、耳を貸さず、そのまま続けた。
「えぇっと、ルールだけどな・・・・・・」
教室に、雄吾の悲痛の叫び声が響いた。
「父さん!」
それで、やっとスクリーンの中の立花は息子を睨み付けた。
「何だ、男子21番、立花雄吾」
それで、雄吾は頭を殴られた様な衝撃を喰らった。
「そんな・・・・・・」
立花が再び息子を睨み付けた。
「私語は慎め立花。さもないと、貴様の身体に穴が空くぞ?」

ガララッ、と教室のドアが開いた。外から、武装した兵士が3人ばかし入ってきた。
そして、手に持っているマシンガンを、雄吾に向けた。
「きゃぁっ!」
雄吾の横に座っていた、由岐春美(女子)が、椅子から立ち上がった。
「座れ!」
兵士の1人が一喝した。そして、手に持っているマシンガンを天井に向けて発砲した。
ぱぱぱ、という連続音がして、天井から瓦礫がばらばらと降ってくる。
「痛!」
と、いう声が聞こえて来る。そのとき、またもやあの声が聞こえてきた。

「やめろぉぉっ!」
雄吾だった。雄吾は立ち上がると、また叫んだ。
「止めろ、止めろ、止めろ、止めろぉ!」
それで、一気に教室中が静まり返った。兵士も、その叫び声を聞いて驚いていた。
「こんなプログラム、無効だ。止めてしまえ!」
スクリーン上の立花はやれやれといった表情で兵士に、目線で合図した。
「殺れ」
ぱぱぱ、というまたもやあの耳をつんざく銃声が響き渡った。
しかも、今度は絶叫も。
マシンガンの銃口は、見事に雄吾に向けられていた。
雄吾の身体が一瞬、ふわりと上に浮いた感じがした。それでもう殆ど動かなかった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
絶叫。女子の叫び声。立花が、声を発した女子を睨み付けた。
「静かにしろ」
女子生徒は涙目で、口を、自分の手で覆った。
皆の視線が、床に横たわる雄吾に向けられた。微かに動いている。
「俺は・・絶対・・に・・・・あきらめない・・・。
 こんな・・・クソゲーム・・・認めない・・・・・・」
そう言い残すと、立花雄吾は、壮絶な最期を遂げた。

立花雄吾(男子21番)死亡
【残り48人】


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