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繰り返される悪夢【長編】

86よこせう:2004/05/20(木) 22:17 ID:sXQfqArE
No:31

朱美は先刻からずっとディパックに釘付けだ。大きなディパックの中にある歩兵銃の説明書を探す。
頭に?マークを浮かばせながら、後ろから迫る外敵にも気付く事も無く、説明書を探している。
遂にディパックを逆さまにした。ペットボトルやキーホルダー(大日本帝国万歳と書かれている)等が、
ばさばさ落ちて来る。その中から見つけた。薄っ平い紙切れが。ホントに薄い。
水に浸したらすぐさま溶け落ちて行きそうな位、薄い。色で表すと透明。
そこに黒く、小さな文字で事細かに使用方法が画かれている。
歩兵銃を右手に持ち、説明書を地面に置いて、それを見ながら歩兵銃を手慣れなく動かしていく。
鉄製のコックを引いた。ガシャン、という音がして、弾が装填させられた。
「これでいいのか・・・な?」
引き金を引いた。これも鉄製。結構硬い。腕の筋力を指先に集中させた。
瞬間、ぱん、と爆竹が破裂した様な音がし、朱美は後ろに仰け反った。
「ひっ」
と驚きの声を上げる。目の前にあった木の葉っぱがひらひら舞い落ちてきた。どうやら葉っぱに当たったらしい。
コントロールをつける事は難しそうだ。常にコックを引いて置かなくては―――
そのときであった。後ろから声がした。

「引かないで」
と声がした。びくりとして後ろを振り向いた。そこにはM92Fミリタリーを握った相模魚月(女子)の姿。
朱美は魚月の姿を確認すると、安堵の溜息を漏らした。
「何だ、魚月か」
さほど気に止めない様子で、魚月の持っているミリタリーを見た。
「何だ、貴方も銃持ってんだ。あたしも持ってんの。けど、貴方の方が小さくていいわね」
ふふっ、と自然な笑いが込上げてきた。思わず笑う。けど、魚月は笑わない。
むしろ、真剣さを増して行く。その変わり様を見て、朱美は真剣さを取り戻した。
「わかったわかった、真剣にすりゃいいんでしょ。わかったわよ。真面目に・・・ね」
その一言を聞いて魚月は安心した。一度朱美の方を向き、その後、地面を見つめた。
「そう、それでいいのよ。真面目にして」
はいはい、と面倒臭い様な返事をして、朱美は魚月の方を向き直した。
魚月は一呼吸置き、目を細め、朱美を見つめた。
「見つけたのよ――――――脱出の方法が」

【残り43人】


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