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繰り返される悪夢【長編】
43
:
よこせう
:2004/05/04(火) 17:49 ID:LYFObcfU
No:12 不可
「そんな・・・・・・!」
ぱん、ぱん、と連続して音が鳴った。遠音の立っている足元のコンクリートが弾け飛ぶ。
もう、逃げるしかなかった。後ろを向いて一目散に逃げ出した。
当然、後ろからあの男、鬼島弥勒が追いかけてくる。トカレフを撃ちながら。
全速力で走った。人生最高のスピードかもしれない。
これなら、50m走、夢の9秒に到達するかも知れない。いや、8秒も・・・・・・。
更にスピードを上げた。勇気を持って後ろを向いた。弥勒の姿がどんどん遠ざかって行く。
「やった!」
声を上げて喜んだ。そして、気付いたら、真っ白な砂一面の砂浜だった。
そして、目の前に広がる大海。
遠音は、ディパックに入っているパンを、口にほおばり。ペットボトルに入った水を、
スカートのポケットに押し込んだ。
そして、このどこまでも続く大海原に身を投げた。といっても、死ぬ訳では無いが。
ぷかりぷかりと流れていく。異様に塩分が濃いのか、身体が浮いたままだ。
極楽だ。気持ちいい。ずっと、こうしていたい・・・できるのなら。
そのとき、どこからか機械的な音が聞こえてくるのを、いくらなんでも、今は気付かない訳が無かった。
「脱走者発見・・・直チニ、排除スル・・・繰リ返ス、タダチニ・・・」
音がするのは、頭上の電信柱だった。けど、おかしい。電信柱から枝分かれする様に、
細い棒が伸びている。そして、その棒の先端にはライトの様なものが・・・。
咄嗟に、遠音の脳裏に、最悪のケースが浮かび上がった。実際、その通りなのだが。
ライトからは、細い光が一直線に、浮かび上がっている遠音の腹に届いた。
じりじり、皮膚が焼ける感じがする。痛みに顔をゆがめる。逃げたい、けど、身体が動かない。
そのまま、光線は、遠音の腹で化学変化を起こし、魔の物質【BRX】を繁殖させた。
それは、どんどん身体の細胞と交わり、そして、爆発した。
遠音の腹部は、千切れ落ちた。それで、腹の中の臓物が散乱した。
当然、死んでいた。
大海原は、静かに、その腹部が弾け飛んだ遠音の死体をやさしく、いつまでも抱いていた。
蒼火遠音(女子)死亡
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