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繰り返される悪夢【長編】

1よこせう:2004/04/26(月) 22:29 ID:kHYrbqF2
石川県横島市立南部中学校3年6組生徒名簿
男子                   
1番 相川 慎太郎(あいかわ しんたろう) 
2番 相沢 彰久(あいざわ あきひさ)
3番 秋宮 慧(あきみや けい)
4番 旭 叉羅(あさひ さら)
5番 池谷 翼(いけや つばさ)
6番 上杉 千裕(うえすぎ ちひろ)
7番 遠藤 祐介(えんどう ゆうすけ)
8番 大原 克巳(おおはら かつみ)
9番 神楽 圭吾(かぐら けいご)
10番 風祭 達樹(かざまつり たつき)
11番 桂 弘典(かつら ひろのり)
12番 金城 真人(かねしろ まさと)
13番 神谷 塁(かみや るい)
14番 川澄 潤(かわすみ じゅん)
15番 木内 政文(きうち まさふみ)
16番 木下 聖夜(きのした せいや)
17番 鬼島 弥勒(きじま みろく)
18番 霧雨 時耶(きりさめ ときや)
19番 久保 宗鑑(くぼ そうかん)
20番 田神 慶吾(たがみ けいご)
21番 立花 雄吾(たちばな ゆうご)
22番 長谷 辰文(ながたに たつふみ)
23番 春田 清史(はるた きよし)
24番 藤沢 雅(ふじさわ みやび)
25番 細川 竜司(ほそかわ りゅうじ)
26番 三杉 龍一(みすぎ りゅういち)
27番 吉田 兼好(よしだ かねよし)
28番 憐道 奉雅(れんどう ほうが)

女子
1番 蒼火 音遠(あおび ねおん)
2番 石井 遥(いしい はるか)
3番 井上 明日香(いのうえ あすか)
4番 卯月 由香(うづき ゆか)
5番 緒方 幸(おがた ゆき)
6番 鍵谷 志穂(かぎたに しほ)
7番 烏丸 遙(からすま はるか)
8番 北里 冷夏(きたさと れいか)
9番 木津 優子(くるつ ゆうこ)
10番 黒井 絢女(くろい あやめ)
11番 相模 魚月(さがみ なつき)
12番 塩野 香織(しおの かおり)
13番 杉浦 千夏(すぎうら ちなつ)
14番 杉原 朱美(すぎはら あけみ)
15番 高橋 優希(たかはし ゆき)
16番 長坂 陽奈(ながさか ひな)
17番 中標津 雪乃(なかしべつ ゆきの)
18番 吹岡 祥子(ふきおか しょうこ)
19番 三谷 捺(みたに なつ)
20番 矢田 伊織(やだ いおり)
21番 由岐 春美(ゆき はるみ)

担当教官:立花 賢吾(たちばな けんご)

225サイン </b><font color=#FF0000>(jSawKi22)</font><b>:2005/02/21(月) 22:22:49 ID:Y4ojUxsk
No:89


陽が沈みかけて来た。先程は暑さすら感じた気温が徐々に下がっていく感じが分かる。それでもやっぱり蒸し暑い事に変わりなく、各人汗が滴っている。皆汗だくで引っ切り無しに袖や手の甲で止め処なく流れ落ちる汗を拭っている。それでも、杉浦千夏は由岐晴美が不憫に思えた。彼女の汗は紅い。肩の銃創から漏出する大量の血液と混濁し、薄紅色の汗が腕から流れている。そして、彼女はそれを拭う気力も無い。

「これ使って…」
堪えかねた三谷捺がハンカチを手渡した、いや、正確に言うと『瀕死状態で上手く脳が回らない少女の掌にハンカチを置いた』と云う事だ。もう本人には自分が汗だくなのかも分かっていないだろう。感覚器官が上手く機能してなくて、只、沸血する様な熱い感覚だけが全身を巡っているのかも知れない。それは当の本人しか分からないだろうが。

「不味いな・・・」
こちらも汗まみれの三杉龍一が呟いた。流石の彼も先刻までの日射に精神的にも肉体的にもやられている様だった。
「そろそろもたないかも・・・もっとちゃんとした治療をしないと・・・」
この一言が響いた。医学については無知な捺と千夏は、ある程度物を理解している龍一のこの一言を聞いて汗が更に流れ込んで来た。今度は冷や汗の方だが。

「かと言って動く訳にも行かないし・・・いや、でも動かなかったらどうも出来ないし・・・」
龍一は周囲をうろうろ動き回った。額に指を置き、ぶつくさ言いながらうろうろしている。傍から見れば何と優柔不断で頼りがいの無い男かと思われるが、事実、彼の思考回路は存分に働き、必死でこの憐れな同級生への救済の法を案じていた。そして、暫く悩みぬいた末、1つの方法を考えた。

「今から目黒の病院へ行く、それで、あんたらにも手伝って欲しい」
背筋に物凄い勢いで何かが駆け巡った。なるべく移動はしたくなかった。危険で、体力も消耗する、これはもう最終手段と云う事か。
「俺がこの人を背負う、それで、あんたらには背負ってる俺とこの人の護衛をして貰いたい」
決起の判断か、龍一はポケットから汗で濡れた黒色を帯びているグロック17を抜き出した。それを杉浦千夏へ手渡した。
「反動強いから気をつけて。あんたの射撃能力の有無で俺らの生存率が変わってくるからさ」
千夏は頷いた。もうやるしかない。このままここで考えてたら出血多量で由岐さんの命が消える。それだけは防ぎたい。このふざけたゲームで巡りあえた奇跡を大切にしたい。だから、助けたい―――。

「私は・・・? 」
奥の方でこぢんまりしていた三谷捺が立ち上がった。後ろ手を組んでおどおどとしている。彼女もまたこの移動を最終手段として捉えた人物であり、只でさえ済まない事は重々承知である。それでも、由岐晴美の命を助け出したいと思う気持ちは皆一緒であった。だからこそ彼女は今「私は・・・? 」と問うたのである。それでも答えは想像以外のものだった。

「あんたは残ってて、危ないし」
「え・・・!? 」
呆然とした面持ちで一言だけ呟いた。何で、私は残るの? そう聞きたかった。それでも、口が動かなかった。自分も彼女を助けたいと云う気持ちは同じなのに龍一の口から放たれた無情の一言。

「んじゃ、時間無いから、暗くなったら病院の連中電気消してるかもしんないから、早めに・・・さ」
あまりにも淡々と今後の事をべらべら喋ってくるので、反論している暇は無かった。それは、捺にとっても千夏にとっても。

龍一が瀕死の彼女を背負った。そして、手で千夏に着いて来い、と合図を送った。

「何で! 」
捺が叫んだ。先へ先へと急ぐ2人がその場に止まった。
「何で私を置いておくの? 私だって由岐さんを助けたい気持ちは同じなのに、何で私だけ置いていくの? 」
巨体な男は捺の方を向いた。
「何でって、あんたの武器はナイフだし、どうみても彼女の方が運動神経が良さそうだしさ。それに多いと―――」

「だから何で!? 」
また叫んだ。今にも泣きそうな声で搾り取った様な声だった。
「そう? そりゃそうよ、私は所詮手芸部の端くれ、バレー部キャプテンの千夏には運動神経も数段劣るかもね! けど・・・けど・・・」
泣きながら捺は下を向いた。それを眺めていた龍一はこう言い放った。
「悪いな、けどまずはこの人を助けるのが先決なんだわ。あんたはここで待っててくれ。終わったら3人でまた戻ってくるから・・・、こっちの計画も解ってくれ」

後ろを向いて歩き出した。困惑した様子で千夏がその後を着いて行った。

「どうして・・・・・・・・・」
3人の影が段々と遠くなっていき、捺は声を押し殺して蹲って泣いた。


【残り25人】

226サイン </b><font color=#FF0000>(jSawKi22)</font><b>:2005/03/05(土) 22:15:13 ID:lHcx1uK.
No:90


目黒区、と云う小汚い看板が近づいて来る。背負った由岐晴美の呼吸は脆弱となっていく。龍一は極力彼女を揺らさない様に走り続けた。今日一日で何㎞疾走しただろうかと本人はずっと考えていた。いくら部活で鍛えた脚力と持久力とはいえ、走りすぎだ。脚が重い。がくがくと揺れる脚に渇を入れ走り続けた。

その周りをちょこまかとすばしっこく走り回る杉浦千夏もその足取りは重かった。龍一に護衛を任せられたものの、正直不安だった。人生最大の大役を買って出た事を後悔した。それと共に、由岐晴美への疎ましさも生まれた。この人がさっきの銃弾で死ねばこんなにも危険な事をしなくていいのに―――。考えている、頭ではそう考えているものも、矢張り身体はさっきから自分に出来る最高の事を行っていた。やっぱり、見殺しなんかに出来ない。人が今死にそうになっているのに私にはその人に『死ね』とは言えない。それと、買った大役だ。絶対諦めない。やるからには絶対助けてやる。

そう思っても矢張り脚はがたついていた。一旦立ち止まって休息の1つ、いや屈伸の1つでもしたかった。けれど、そう思って三杉龍一の顔をちらと見る度にその考えは吹き飛んでいった。彼の真剣な表情からは一分一秒を争う危機を悟る事が出来る。こんな所でちんたらしてたらこの人は絶対に死ぬ。だからこそ、急いでいる。自分の身を捨ててまで。

―――いや、それならば何故彼はここまでこの人の事を助けたいと思っているのだろうか。千夏のイメージでは三杉龍一と云うのはバスケ部でナンバーワンの実力を誇るひょろっとしたいつもボーっとしている感じである。特に何事にも積極的と云う事では無く、何を考えているのか解らない、と云う感じでいつも千夏然り周りの人間は不思議がっていた。それでも、自然と人が集まっていた。考えれば考える程神秘的な三杉龍一の背景が浮かんで来て考えるのを止めた。この問題は後からでも解決出切る。今はまず人命救助だ。

看板が眼の前に迫ってきた。目黒区へ到着した一同は、地図を広げる間も無く、先程見た地図での病院の位置を回想した。考えて、すぐに千夏が指をさした。「あっち! 」
叫ぶと、返事もせずに龍一が走っていった。千夏も何も言わずに追いかけた。もう解っていた。彼は疲弊してたった『了解』の一言も発する事が出来ないのだと。度重なる激しい運動で肺がぼろぼろになって声がまともに出ないのも。そして、私も―――。

前方にそれらしき病院が見えた。しかし、それを見た2人を愕然とした。

シャッターが閉まっている。この緊急事態に誰もが病院に逃げこま無い様に病院の連中がバリケードを張ったのだ。シャッターの前では一般人もが悲鳴をあげてシャッターを各々蹴り付けたり揺らしたり殴ったりしている。それでもシャッターはびくともしなかった。二階の窓からは蒼ざめた顔をした医師が下を除いている。

民間人の1人が銃を持った千夏に気付いて絶叫した。その叫びを聞いた他の人間も一気に病院の周りから立ち去り、周りには誰も居なくなった。

龍一がシャッターを蹴り付けた。予想通りシャッターは微動だにせず、虚しく音が響くだけであった。
「畜生、畜生、畜生!! 」
何度も蹴り付ける。それでもシャッターは全く微動だにしなかった。何度か蹴ると、軸足がぐらついて晴美もろとも転んだ。倒れた龍一は、荒く呼吸を何度もし、息を大きく吸った。

「頼む開けてくれ! 仲間が死にそうなんだ! 頼む! 治してやってくれぇぇぇぇぇぇ! 」
怒号が木霊し、二階の医師が顔を隠した。舌打ちをし、絶望に打ちひしがれた。

「どいて! 」
千夏が叫び、その後千夏の身体が大きく跳ねた。グロック17の銃口からは鈍く光を放つ銃弾が炸裂し、シャッターに小さからず穴を開けた。二階の医師が再び顔を現し、「わかった! 入れてやるから銃を撃つな! 」そう叫んだ。

聞いて安心した龍一は再び晴美を背負った。一階に下りてきた医師がシャッターを開け始めた。
安堵の溜息を漏らし、龍一は自らと杉浦千夏を褒め称えた。良く頑張ったな、と。

空を切る破裂音が突如響き、シャッターを開けた医師の身体が大きく跳ね跳んだ。医師の周りに地溜まりが造られた。龍一は後ろを向いた。そこには大きな猟銃を構えた神楽圭吾が居た。

「邪魔なんだよ」
男は呟いた。龍一は、今にも倒れ落ちそうだった。


【残り25人】

227サイン </b><font color=#FF0000>(jSawKi22)</font><b>:2005/03/09(水) 22:17:56 ID:jPQN4nSQ
No:91


視線が自然と血溜まりへと移された。医師の腹部からは今まで見た事の無い物体が不自然に飛び出ている。一瞬の内に葬られたが故か苦悶の表情とは違う、きょとんとした顔が窺える。―――どのみち、もう死んでいるのだが。

大きく飛んだ。銃弾で跳んだのでは無く、自らの意思で飛んだのだ。何故なら神楽圭吾が自分の上半身程の猟銃をさも重そうに構えたからだ。直後、銃弾が猛烈な勢いで跳んできた。神楽は半分よろけながら撃った為か、銃口が大きく人間の的を外れて病院の二階の窓ガラスに直撃した。ガラスが弾け飛び、上で悲鳴が轟いた。ちらっ、と後ろを見た。そこにはもう由岐晴美と杉浦千夏の姿は無い。もう院内に運んだのだろうか。

戦争ゲームで良く聞く様な装填音が響き、また神楽が猟銃を持ち上げた。龍一は慌てふためいて病院の横にある薬局の影に隠れた。その横をまた弾がかすめ、礫片がばららっ、と跳ねた。弾はまたもや当たらなかった。しかし、段々手馴れたのか、狙いが段々定まっている。そろそろ当たっても悪くは無い、いや、悪いか。

龍一は足元に落ちている石を何個か掴んだ。すぐに神楽が猟銃を構えた。

しかし猟銃が火を吹く前に、ぱん、と音がして神楽の身体が大きく仰け反った。「この野郎! 」叫ぶと、病院の二階付近に目掛け猟銃を構えた。この時、龍一は病院の二階から杉浦千夏が援護射撃を行ってくれてるのだと感じた。小石を堅く握る。はっきりと手首の血管が浮き出た。

「てめぇ、まずはてめぇから殺してやろうか!? 」悪態を吐いた神楽は引き金を絞った。ぱん、と云う音とは比べ物に成らない程の破裂音が木霊して、またガラスが砕けた音がした。龍一は走り出した。今にも倒れそうなふらふらとした走行だったが、それがかえって神楽の注意を惹かないゆっくりとしたものになり、完全に逆上した神楽は背後から龍一が忍び寄ってくる事に気付かなかった。少し近づいた所から、神楽の後頭部を殴り飛ばした。不意を突かれた神楽が醜く裏返った奇声を発し、前に仰け反った。

後ろを振り向いて「この野・・・! 」言い掛けた所で、顔面に小石のスラグをまともに喰らった。渾身の一撃が無防備な顔面に突き刺さり、鼻が変な方向へ傾いた。仰け反った姿勢から完全に地面に倒れ、その顔面を龍一がこれも渾身の一撃で踏み抜いた。顔面を血塗れにした神楽が絶叫した。龍一は止めのかかと落としを炸裂させようと片足を上げたが、疲労困憊の軸足がぐらついてその場に倒れた。それを見逃す訳無く、神楽が瞬時に立ち上がり、龍一の背中に猟銃の台尻を振り下ろした。

背後の気配に気付いた龍一は無理矢理身体を動かし、地面を転がる形でその一撃をかわした。神楽の全身に痺れが巡り、一瞬の麻痺状態があった。今にでも立ち上がって上段蹴りでもブチかまそうかと目論んだが、身体が動かない。転がったは良しとし、その後身体が動かない。即座に態勢を取り直した襲撃者はすぐに龍一と距離を置いた。そして、弾を装填し始めた。

その頃、漸く立ち上がり、態勢を持ち直した。それでも時遅し、既に弾は装填し終えており、今にも銃を撃ってきそうだった。龍一は力を搾り出し、走り出した。銃もナイフも何も無い、基本的な人類の争い。武器を持たずに肉弾で闘う。今にはそれしか出来ない。しかも、自分だけ肉弾。これは差が有りすぎた。

「馬鹿め・・・」
神楽が引き金に指を掛けた。


【残り25人】

228サイン </b><font color=#FF0000>(jSawKi22)</font><b>:2005/03/17(木) 22:21:30 ID:cs.9qMjs
No:92


一言だけ呟くと引き金に指を掛けた。前方から顔が火照っている今にも卒倒しそうな三杉龍一が突進してくる。決して足取りは軽いとは言えず、ふらふらとよろめきながら何とか歩いていると云う感じだ。

龍一の最後の咆哮が聞こえた。通称クールガイ、また、不思議系天然男の異名をもつ龍一の人生で最大限の声だった。自分の発した声で身体全体が震え、走ったまま倒れそうにすらなった。その怒声を煩わしく感じた神楽圭吾は鼻でせせら笑うとまた呟いた、「死んじまえ・・・」と。

銃声が聞こえ、一部始終病院の二階から窺っていた杉浦千夏は眼をつむった。そして、もう駄目だ―――と確信した。それでも、次の瞬間にその近隣一辺に轟いたのは三杉龍一の断末魔の叫び声でも杉浦千夏の乾いた悲鳴でも無かった。聞こえたのは生々しい神楽圭吾の絶叫。千夏は眼を開けた。そこには、先刻より、1つ多く人影が夕焼けに照らされていた。すぐに、自分達が安全を考慮し世田谷区に置いてきぼりにしてきた三谷捺が居た。もうじっとしてられなかった。千夏は医師と他数人の看護婦を尻目に病院と云うよりは診療所を飛び出した。

「この野郎ぉぉぉぉぉ! 」
神楽の憎悪に満ちた声が聞こえる中、龍一の一連の流れが掴めなかった。それでも、確かに解る。高笑いをする神楽の背後から人格、容姿諸々に当てはまらないナイフを振り下ろす三谷捺を。不意を突かれた彼の銃は天を仰ぎ、銃弾が空高く飛んでいった。そして、その頃にはもう自分の身体は再び突っ込んでいた。よろけるかよろけないかの所でじたばたしていた神楽の身体にタックルを仕掛けた。身体が大きく横っ飛びしたかと思うと、ごろごろと砂を舞い上がらせた。それでも、猟銃は離してなかった。

「ブッ殺してやる! 」
いきり立った調子で叫ぶと、後ろに居る捺の身体に銃尻を叩き付けた。小さく悲鳴をあげると、神楽より遥かに遠くに跳ね飛んだ。その後、すぐに龍一の方向を向き、ポケットに手を突っ込んだ。その行為が、すぐ読めた。弾丸を込める動作――。

「三杉! 」
神楽の後ろから声が聞こえた。龍一の前方から1つの物体が空を舞い、弧を描いた。それを掴むと、その物体を見る間もなく、突っ込んだ。龍一にはもうそれが三谷捺の所持するもう片方のナイフだと確信していた。ナイフの柄を握り下方へ振ると鋭く光った刃が顔を出した。それを、腰に構えた。神楽はまだ装填途中だった。その無防備な腹筋にナイフの刃が食い込んだ。絶叫を上げ、身体を後ろにずらしてナイフを抜こうとするが、龍一もそれに合わせ身体を動かす。そして、ナイフを握った手をぐちゃぐちゃに動かした。聞くに堪えない声がすぐ傍から漏れた。

腹部と背中から血を噴出している神楽は真っ赤に充血にさせた眼をかっと見開くと物凄い力で密着している龍一の股間付近を蹴り飛ばした。龍一がもんどりうって倒れると、自分に刺さっているナイフを抜き取ると、それを龍一目掛けて振り下ろした。

結局、血だらけの刃は龍一の肌に触れる事すらせず、砂埃が舞う地面にぼろっと落ちる事となる。龍一の15m後ろ。杉浦千夏がグロック17を構えていた。硝煙が立ち昇り、それが千夏の視界を曇らせていた。直後、神楽の身体が前方に倒れた。鈍い音がして、一度地面に跳躍する様に跳ねる。鼻骨が折れた音がした、と龍一は感じた。

そのぼきっと云う音を聞いた後、龍一は閉目した。睡魔がやってきたのだ。


神楽圭吾(男子)死亡
【残り24人】

229サイン </b><font color=#FF0000>(jSawKi22)</font><b>:2005/04/05(火) 22:05:13 ID:XXX46Ozk
No:93


三谷捺と杉浦千夏は血溜りの中で横たわる神楽圭吾を尻目に巨体の三杉龍一を何とか起こすと、とりあえず病院の中へ入れた。三人が院内へ入るのと同時に重いシャッターが唸りを上げて院内への扉を封鎖した。しかし、封鎖する寸前に医師が神楽の遺体をきちんと処してやりたいと促すので半ば貧血状態のままで龍一は神楽を遺体用の白袋の中へ丁寧に押し込んだ。それが終わると両手を合わせて、たっぷり10秒間『南無阿弥陀仏』を繰り返した。

遺体を無事霊安室へ届け終わると、龍一は急いで由岐晴美が看護を受けている部屋へ直行した。直後、龍一は後ろから思い切りはたかれた様な感じがした。ベッドに横たわっている由岐晴美の顔には真っ白な布が降りかかっていた。血気を失った指は腹の真上で交差されており、それが何を物語るか思いつかない筈が無かった。

「そんな・・・」呟くと自分もふらっと来た。血が急速に引いて朦朧となると、その場に膝を付いた。即座に千夏が駆けつけ肩を持つ。そのままもう1つのベッドの端に座らせた。

「出血多量によるショック死です」遺体の横に佇む年配の医師が言った。「事実、ここへ来た時にすぐ手遅れだと思いました。それでも、息を引き取ったのは今さっきです。血は大分減っていたので、ここまでこれたのは貴方方の応急手当が実に的確で丁寧で―――」

医師が色々話すが、龍一は耳も貸さなかった。自分は、こいつの前で絶対助ける、と言ったのに。結局助けてやれなかった。自分の思い込みで行った応急処置も、至らぬものとなった。自分がもっと早く判断をして、もっと早くここに着いていたらこいつはまだ助かったかも知れないのに――。

顔を両手で覆った。自責の念が一気に押し寄せてきた。自分が死なせた、自分が悪い、自分が殺した、自分の所為だ、自分の思い込み、自分の自信過剰――。

三谷捺の泣き声が聴こえる。うずめる指の先から顔を窺うと涙や鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしているのが解る。それなのに、自分は自分が死なせたかも知れないのに涙一粒さえ出てこない。何だ、これは。自分はおかしいのか――クソッタレめ。

見かねた千夏が近づいて来て話しかける。大方、自分を宥める気休めの言葉か何かだろう。もういい、ほっといてくれ。1人にさせてくれ。

龍一は立ち上がると病室を飛び出した。「1人にさせてくれ・・・」そう漏らすと走り出した。誰も居ない所へ――。しかし、走り出した瞬間にくらくらっと来て、龍一はその場で倒れると意識を失った。


由岐晴美(女子)死亡
【残り23人】

230サイン ◆BtjSawKi22:2005/06/29(水) 21:57:08 ID:LrfpOvdA
No:94


関越自動車道はがらんとしていた。普段なら目まぐるしく車が往来していく道も、今日に限っては静寂極まりない。相沢彰久(男子)はその手に不釣合いな所々角張った真っ黒な銃を握ったままその端っこをとぼとぼと足取り重く歩いている。

別に迷ってこんな所に来てしまった訳ではない。地図を見た瞬間、ここだ! と直感的に閃いたのだ。見通しの良い長い道路。ここなら敵に出くわし難いし、それ以前にこんな所を訪れる人間等居るのだろうか? それに、自分にはこれがある。

彰久はディパックから双眼鏡を取り出した。自分の誕生日に母方の祖父からお祝いにと貰ったものだ。中々高いらしく、性能も頭の悪い彰久の様に悪くはない。かなり遠くまで見る事が出切るし、ピントもすぐに合わせられる事が出来る優れものだ。彰久はその接眼レンズをまぶたに密着させた。慣れた手付きでピントを素早く合わせる。そこには500m先が眼の前に広がっていた。敵の姿も確認出来ず、只道路が漠然と広がっているだけだった。とりあえず胸を撫で下ろした。しかし、すぐに今度は今来た道を見回した。取り越し苦労だったらしく、そこには何も無かった。

気付かずに流れていた冷や汗を袖で拭うと溜息を吐いて腰を下ろした。焼けた地面の熱さが学生ズボン越しに臀部に伝わる。が、それもすぐに慣れた。とりあえずは双眼鏡を右手に、銃を左手に持ったまま監視を続けた。そしてあの立花とかいう先公が熱心に説明していた言葉を思い出した。『20人になったら一旦中断――』放送が幾度か鳴ったが、確か7人の死亡が告げられて筈だ。彰久は放送の度に広げている3年6組の名簿を取り出した。この名簿で〆が付いていないのは残り23人。つまり後3人が死んだら一旦中断、別の会場へ移動させられるのだろう。

自分に戦闘能力が皆無に等しい事は前々から知っていた。運動神経も悪い、かといい努力する訳でも無い典型的な駄目な奴だ。それに、例え自分にある程度の運動神経を持っていても人を殺すなんて勇気は欠片も沸き立たないだろう。喧嘩もした事の無い、ホラー映画も満足に見る事の出来ない自分は未だに夜中にトイレへ行くだけでも心臓が破裂しそうな思いがする。そんな自分が人をどう殺める事が出来ようか。前に一度お化け屋敷で卒倒した自分が。だから、ズルい手でいく。

人も殺さず、自分も死なない、それは傍観者の立場へ移動する事だ。とりあえず逃げて逃げて逃げまくる。そして、最後の1対1になった時、隙を突いて残りの1人を殺し、頂点となる。これしか無いのだ。これ以外に道は無い。もう残された道はこれしかないのだ。だから自分は遥々こんな所まで来ているのだ。そのお陰で疲労でぶっ倒れそうだ。元々体力は無い方だからこんな荷物持ったまま炎天下の中ここまで歩いて来れた事は奇跡と言っても誰も異存は無いのだ。――少なくとも彼を知っている人間ならば。いや、もっと言うとここまで生き残れた事こそが奇跡なのだ。当の本人もそれは痛感している。そして、喜んでいる。

「このまま勢い乗って優勝・・・」蚊が飛ぶようなか細い声で呟いた。しかし、その声を潰すように背後から音がした。うぅぅぅぅという地鳴りの様な重い音。そして確実に彰久の元へ近付いているのだ。急いで背後を向いて双眼鏡を覗く。ピントを合わせた先には鬼島弥勒(男子)が原付バイクを乗り回しながら接近しているのが見えた。レンズ内の鬼島がこっちを向いた。どうやらあっちもこっちに気付いた様だ。親指を立ててそれを逆さまにしてきた。血の気がひいた。

彰久は半ば泣き出しそうな顔で無人の自動車道を走った。無論、原付バイクのスピードの比にもならないが。


【残り23人】

231ラー:2005/07/06(水) 18:12:48 ID:PJPT8SfY
とても面白いです!
頑張って最後まで続けてください^^

232サイン ◆BtjSawKi22:2005/07/11(月) 17:37:00 ID:qJI70rJw
No:95


 鬼島弥勒。3年6組の中でもどちらかというと不良という部類に入る彼は常に1人だった。同じ不良として霧雨時耶や木下聖夜等が居るが鬼島弥勒は彼らとの付き合いは皆無だった。
 彼は喧嘩もしたし無断欠席もしたし煙草も吸ったし無免許運転もした。それは霧雨らのグループの連中も当然のように行った。共通する点は探せば幾つも見つかる。只、大まかに区別すると彼は不良であり、更に区別すると彼は一匹狼の部類に入った。いつも1人で居た。クラスでも孤立していた。それでも憐れな友達が出来ない生徒、では無く自らが望んでの事なのであった。何故なら、こういう状態に陥ると友達は友達を友達と思わなくなるからだ。彼はそこまで読んでいて、ある意味とても冷静沈着な考えが出来るのだ。
 そんな彼は瞬時に原付バイクで相沢彰久に突っ込んでバイクが壊れたら勿体無いと考えた。折角何度か運転した事がある原付バイクとキーを入手したのだ。これは戦闘や移動の面で大いに役立つ。わざわざこんな雑魚に衝突させておじゃんにさせるのはいささか勿体無い。ならば――彼は支給武器である金属バッドを左手でかざした。それで、逃げ惑う相沢彰久の後頭部に叩き付けた。ゴッ、とだけ聞こえると相沢彰久は大きく前に倒れた。勢いがつきすぎたバイクは倒れた相沢彰久の遥か前方へ進んでいった。急ブレーキかけた。舌打ちをすると、すぐさま振り向き相沢彰久の方を向いた。未だ倒れたままだ。暫く様子を見る事にした。
 鬼島弥勒の視線を感じたまま相沢彰久は後頭部に猛烈な痛みを感じていた。一瞬、死んだかと思った。事実、今の一撃で死んだらどれ程楽だろうとさえ感じた。
 頭に手を伸ばした。思いっきり一部分が妙に膨らんでいる。もう駄目だとはっきりそう感じた。相手はバイクに乗っている。しかもかなり乗り慣れている。それに根本的に運動神経と度胸が違うのだ。歯を食い縛る。
 思えばパッとしない人生だった。学校じゃろくに友達も出来ず、『泣き虫』のあだ名を女子より勝手につけられて馬鹿にされた。一応サッカー部として部活動も真面目に取り組んだ。なのに周りの生徒はおろか2年生にすら技術的に劣り結局3年間公式戦に出た時が無かった。街へ行けば行けばでその軟弱な顔と体格で3分の1の確立位でカツアゲにあった。集団リンチを喰らう寸前に陥った時もあった。とにかく、良い事が無かったのだ。帰れば帰ればで父と母の険悪な雰囲気の間に立たされ、場合によっては父親から暴行を受けた時もあった。
 最悪だ――死ぬ間際に考えると今までの人生全てが駄目だった様に思えた。本当は俺だってもっと男子の連中と笑いあったり部活で大活躍したり女子にモテたりしたかった。父さんや母さんと一緒に仲良く3人で楽しい生活を送りたかった――
 憎悪が湧き上がって来た。立ち上がった。
「俺だって・・・俺だって・・・俺だってもっとまともな生活送りたかったんだよぉぉぉぉぉ! 」
 叫んだ。すると、今自分をここまで追い込んだ人間の顔が何故か眼前で悠々とバイクにまたがる鬼島弥勒の顔と同じに見えた。
 あいつの所為で、俺は――
 左手の銃を持ち上げた。真っ黒な銃。グリップの所に僅かに『BR』と書かれていただけであった。それを両手で構えた。鬼島弥勒はというと相沢彰久が銃を持っていた事に驚き、アクセルをかけた。どうやら轢き殺す気らしい。いくら雑魚でも銃を持っていればそいつは化ける、そう踏んでの行為であった。
 真正面からバイクが迫った来た。彼はいつの間にか涙を流していた。ボクハシニタクナイ――ダカラ、オマエガシネ――
 相沢彰久が持っている銃は通称『BRGUN』と呼ばれるもので、今回のプログラムから導入された通常の比にならない程の威力を持つ最高級の拳銃であった――それの引き金を引いた。直後、両手から一気に何とも言えない波動が全身を駆け抜け彼は後ろへ跳んだ。
 只ならぬ大きさの銃口から発射された口紅程の大きさの弾丸は原付バイクのボディーを付き抜け、燃料タンクに穴を開けた。そして、原付バイクは大爆発を起こした。鬼島弥勒の身体が宙を舞った。次に、頭から硬いコンクリートに叩き付けられた。首の皮がやぶけ、そこから骨が飛び出た。そして、死んだ。
 相沢彰久は痛む身体を起こすとバイクが炎上している事に気付いた。急いで近付くと、そこには鬼島弥勒の骸が無残に放たれていた。そのグロテクスな映像を見て、彼は泣いた。


鬼島弥勒(男子)死亡
【残り22人】

233サイン ◆BtjSawKi22:2005/07/11(月) 17:43:36 ID:qJI70rJw
漸く俺も段落突入(何
何か多い感じがする。


ラー様>面白いと言って頂けて感動です。部活も終わったんでそろそろ定期的に更新しよう
    と思ってますので定期的に確認して下さい(笑

234サイン ◆BtjSawKi22:2005/07/20(水) 20:32:01 ID:EDT3YD3o
No:96


何時の間にか太陽は沈み、頭上に月が現れた。東京を思わせない下町では虫達の声がいつもの如く月夜の下で賑わっている。これが下町なのだ、と池谷翼(男子)は木造の木陰の隅で感じ取っていた。只、明らかに不自然に感じるのは虫達の声しか聴こえない事なのである。人気が殆ど感じられない――恐らく別の部分に纏まって避難したのである。残った一握りの人間は動く事は無駄だと思い、外で殺し合いが行われているのに我が家で過ごそうと思っている連中だけだ。事実、自分が隠れ家として隅を使わせて貰っている家にも人気がある。電気こそはついていないものの、僅かだが声が聴こえる。もし自分が見つかったら場合によっては襲ってくるかも知れない。「お前が死ねばゲームは早く終わる」と。
 暇つぶしにそんな事を考えてみたが本当の所どうでも良い。もしそんな事になっても返り討ちにしてやるさ。そっと呟くとゲーム開始、正確にはディパックを開けた瞬間から絶えず握っていた手投げナイフの1つを強く握り締めた。これを、頭か心臓に――
 練習はした。銃火器を望んでいたのだが結果がコレだったのにショックを受けたのを思い出した。直後、人気の無い外れに走ってそこで木や壁に向かって一心に投げ続けた。寝る間も惜しんで練習した結果、1日経って漸く10発中10当る様になった。それも、的を絞って。 始めは漫画や映画みたいにスナップを利かせて投げていた。それでも刺さる事はあるのだが稀に柄の方が目標に当たってしまう事があった。そんな事があって、もし相手に武器を取られる事があればそれは間抜けとしか良いようが無い。おまけにそれで致命傷を負ったり最悪の場合死んでしまった場合、それは愚の骨頂である。それは避けたい。このゲームは一発勝負。負けたらコンティニュー出来ないのである。
 段々重心やそういう事も勘を掴んで来たので投げ易い投げ方がある事に気付いた。それは手首を殆ど動かさず、ナイフを押し出すという事。そうする事でナイフに真っ直ぐな力が掛かり、命中率、破壊力が増すと云う事に気付いた。その投げ方に気付いてからどんどん巧くなっていった。それに伴い自信が付いていった、だが過信はしなかった。悪魔でコレはハズレなのである。一番良いパターンとしては銃器を手に入れる事なのである。例え木や壁に突き刺さろうが、人体に対して致命傷を与えなければ意味が無い。練習どおりに投げて、人体はおろか衣服で止まってしまっては何の意味も無いのだ。
 試してみたい。不意にその考えが頭を過ぎった。試す? 何で試すというのだ。無論人間――
 民家の中の笑い声が聴こえた。薄っすらとだが楽しそうだ。現在の状況下を思わせない声だった。そして、聴こえた。
「それじゃあ私達寝るからばあちゃんも早く寝てね」
「はいはい、おやすみ」そして階段を上がる音が聴こえた。そして横の窓が開いている事に気付き、そこに自分が容易に入り込む事が出来る事にも気が付いた。
 嫌な考えが再び過ぎった。今度のはもっと粘着質に頭の中に残っていく。うざってぇ雑念め。俺はそんな事はしない――
 必死で耐えた。いくら俺でも自分が生き残る為に一般市民を巻き添えにする事は出来ない。いくら自分が生き残る為でも、だ。
 考えていると民家から近付いてきた足音に気が付かなかった。眼の前の窓の中に光が映され、そこから老婆が顔を覗かせた。互いに存在を確認し、老婆が絶叫した。池谷翼はハッとし、自分の握るナイフに視線を落とした。畜生、コレに反応してか――
「ばあちゃん! 」
 室内から声が聴こえた。直ぐに足音がし、裏側の玄関から人影が現れた。察しがついた。恐らくこの家の主であろう。
「直ぐに去ります! 」
 滅多に敬語を使わない自分が咄嗟にそれが出てしまった。早口で告げると、後ろを向いた。しかし、家主には聴こえていない。ふーっ、ふーっと鼻息荒く仁王立ちをしている。まるで家の周りから邪悪な存在を掃うかの様に。違和感を感じた。家主の手に何かが握られている。先が鋭く尖った包丁であった。今まさに池谷翼を切り込む寸前であった。


【残り22人】

235サイン ◆BtjSawKi22:2005/07/20(水) 20:33:56 ID:EDT3YD3o
むむむ、段落がおかしな事になっている…orz
ちゃんとした筈なのだが所々チグハグになっている。
見難くなってすみません。

236:2005/07/21(木) 21:14:41 ID:pPISi4P.
こんにちは、お久しぶりです、空と申します。
本当に久々に拝見させていただきましたので第一話目から読ませて頂きました。
改めて、サイン様の文才というか日本語力に尊敬いたします。
乏しいmyキャラをとても素敵に動かしてくださって嬉しい限りです!
東京23区内という設定が新しくとてもどきどきするものがありました。
民間の人の行動等も詳しく描写されていてとても読みやすかったです。
これからも、大変かと思いますが連載頑張って下さいませ。

237サイン ◆BtjSawKi22:2005/07/22(金) 09:18:54 ID:kudG.ik2
空様>本当にお久しぶりです。第1話目から読まれると辛いものがありますな笑
   尊敬なんてとんでもない。自分はまだまだ未熟者だと痛感しております。
   この板や他のサイト持ちの作者様には自分なんかより更に面白く読み易い文章を
   展開する方々が多数いられるのでそちらの方の作品も是非ご覧になって下さい。
   東京都23区の設定につきましては無謀というか浅はかな考えというか今更後悔してます笑
   選んだは選んだにしても自分に活かすのは少々難儀なもので…。それでも自分で選んだものなので頑張って行こうと思います。
   これから更新のペースを上げていくつもりなので、たまに目を通してみて下さい。それでは。

238sign ◆ND.mNnOZFY:2005/08/05(金) 22:24:39 ID:egQlva4s
No:97


 いきり立った隠れ家の主の眼は完全に常軌を逸していた。異常な程紅く、怒りに満ちていた。そしてその怒りの矛先は間違い無く自分に向けられている。主の鼻息も猛々しく夜の下町に響く。神経が研ぎ澄まされている所為か、僅かの鼻息の音でさえ妙にやかましく聞こえる。もうお互い、心地よい虫の音等届かない。
「まさかここまで激昂するとはな…」
 確かにここまで怒るとは思っていなかった。ただ少しだけ家の隅を借りただけだ。それも今晩だけ。それが過ぎれば大人しく別の場所へ移動するつもりだったし、さっき主に見つかった時にもちゃんと退去する意思を伝えた。なのに彼は気が動転、いやこの状況は錯乱とでもいうのか。どちらにせよ彼は今、狂ってる状態にある。こちらが何と言おうが耳に届かず、己の本能のまま行動しようとする。その本能こそが、敵と見なした池谷翼を排除するという事なのである――
 翼が後ろを振り向いた。そして、主に目もくれず一目散に駆け出した。足が地を蹴る音が木霊する。タッタッタッ、と一定のリズムで直進していく。街灯で映し出された少々大きめの石ころ等も目についたが、軽やかにそれらを回避しながら進んで行く。
 正直、気持ちが良かった。何が気持ちが良いのかというと、走る事自体、逃げる事自体に非ず、追っ手の希望を断ち切る事であった。優越感に浸れるのだ。必死で自分を殺そうとする相手から神速の如く駆け去る。追っ手は獲物が急激に遠のいていく事を指を咥えて見つめ、そして自分への劣等感に嘆き悲しむ。それが彼にとって快感であった。それは普段の陸上競技や他の競技にも彼の性格上当てはまるのだが、命のやり取りの最中に死に物狂いで自分を狩ろうとする相手を実力の差を見せ付けてどん底へ叩き潰す事の方が全然快く感じた。しかし彼は錯覚していた。自分が中年の追っ手1人位、容易く撒けるものだと。事実、彼はここ何日間ロクに睡眠を取らずナイフ投擲の練習をしていた為に体力が消費されており、脚も覚束無いものである事を完全に忘れていたのである。


【残り22人】

239sign ◆ND.mNnOZFY:2005/08/05(金) 22:25:18 ID:egQlva4s
No:98

「痛ッ」
 その不用意な結果が出てしまった。彼は今まで何の事も無く容易に避けていた石ころに躓いてしまった。懐に入れてあった数十本のナイフが入っていたケースが飛び出し、中身がばら撒かれた。まるで割れた鏡の様にナイフが散乱し、翼はそれらを拾う事に一心不乱になった。
 1つ1つ拾っていくのは骨が折れた。数十本のナイフは全てバラバラに刃先の部分が向けられている為、1つを拾っていると、横のナイフの刃先が軟骨の部分に接触し、たちまち手の甲や掌に無数の切り傷が出来た。それでも拾わない訳にはいかない。時間を掛け、少しづつ慎重に拾っていく。結局、集中するも比較的男子の中でも繊細な手を持った翼の手は大部分から血が吹き出ている。全て拾った事を確認すると、立ち上がった。ズキズキとした手のいやらしい痛みを堪えながら歩き出すと、街灯の明かりが当たらない道の端の方に1つだけ金属を発見した。しゃがんで手に取ると、それは先程自分の落としたナイフの1つに相違無かった。
 「あぁ、危ねぇ危ねぇ。1つでも貴重だ」
 立ち上がってまじまじとナイフを凝視した。刃先が鋭く尖っており、その先端も異様な程に尖っていた。改めて見るとその鋭利な程に驚いてしまう。こんなもん使ったら人間なんてすぐ殺せるな――
 少々安易な気持ちでそう思った。それでも、自分はいざ人を殺すとなるとその通りに行動出来るか解らない。自分に人間を殺す度胸があるのか解らない。いざとなったら手足がすくんで動かないかも知れない。だって、自分が殺そうとする人間にも家族や友人は居る。そいつらは死んだ奴の事をどう思う? 悲しむに違い無い。そう考えると人を殺す事に抵抗が感じられる。どれ程性根が腐った奴だろうが、そいつが死んで悲しまない人間が居ない筈が無い。それが大勢であろうがたった1人であろうが、そいつを悲しませた自分は最低な奴じゃ無いのか、って。だからこのゲームは心底腐ってる。これは無意味だ。人の死を利用してまで得るものがこの世に存在するのか? 絶対無い筈だ。だから、俺は絶対このゲームを残った連中と生き残ってやる。打開策への道のりは遠く険しいかも知れないが、やらずにどうする。もうそれしか道は無い。俺は殺し合いなんて絶対嫌なんだ。
 固く決すると夜空を見上げた。このゲームの参加者の連中もこの空を見てるんだろうか。そして、どう思っているんだろうか――
 光る刃に視線を落とした。本当ならこんな物必要無いんだろうな。話し合って和睦へ進んで行けば良いんだ――
 すうっ、と刃の表面に何かが過ぎった。そして、直ぐに刃に見覚えのある者の顔が反射された。後ろを向いた。
 そこには怒気を帯びた例の主が包丁を深く握った状態で立っていた。主は街灯の明かりだけが僅かに光る暗闇の中で舌を垂らした。翼の頭の固い決意が軽く揺らいだ。『人の死を利用してまで得るものがこの世に存在するのか――』
 主が素早く包丁を振り下ろした。


【残り22人】

240sign ◆ND.mNnOZFY:2005/08/13(土) 22:55:45 ID:x/ref6M2
No:99


 反射的に刃から視線を離し、大きく翻った。振り下ろされた包丁を完全にかわしたつもりだったが、今や汗で湿ったYシャツの背中の部分が大きく切り裂かれた。おまけに刃先が皮膚に当たり、背中も同じく大きく切り裂かれた。ゴロゴロと転がり、素早く立ち上がる。すぐさま背中に手をやった。手の甲には更に上から新しい血が覆いかぶさっており文字通り血塗れとなっていた。それでも、単に皮膚が切れているだけで身体に異常を来たすものでは無いと悟った。
 頭の回転を早くしようとした。立ち上がり、冷静に現状を把握しようとする。
「なんでこんな所に居るんだよ…」
 無意識に出た言葉を飲み込み、再び後ろを振り向いた。
「悪いけど、俺あんたと遊んでる暇は無いから」
 人の眼を見て話しなさい、と面倒見が良くて時々お節介をかける母親の言葉を思い出した。でも、今はそんな事言ってる暇じゃないんで。息子が生きるか死ぬかの瀬戸際ですよ。
 一目散に駆け出した。後ろから『追跡者』が自分よりほんの少し遅い足並みで追いかけて来た。矢張り速い。スピードを上げようとした。このままこの中途半端なスピードで逃げても埒があかない。一気に全速力で差を離して追いかける意欲を消してやる。
 大きく息を吸い込むと、脚に力を入れた。一歩一歩地面を蹴り飛ばすイメージ。そうすれば差は開――
 その地面を蹴り飛ばすイメージ通りの一歩目。その一歩で背中に凄まじい程の激痛が走った。あまりの痛さに瞬時に涙腺が脆くなり、涙がつう、と流れ落ちた。そして、平衡感覚を絶たれ、前屈で大きく倒れ込んだ。その時更に地面に頬を擦り、またも痛みを引き起こしてしまった。それでも判断を誤る事無く密かに握っいたナイフを素早く、華麗に後方に投げ飛ばした。
 カン、という練習中何度も聞いたナイフが落ちる音がしなかった。いつもなら木に刺さりそこねたナイフが地面に落ちて音を成す。もう何百回と耳にした音である。それが聴こえない。妙な違和感を感じ、後ろを向いて絶句した。
 今、自分が握っていた筈のナイフは『追跡者』の喉に深々と刺さっており、そこから血の雫を垂れ流しにしている。瞬間、より一層辺りが静かになった気がした。耳に、何の音も聴こえなくなった。翼はそのえもいわれぬ光景に言葉を失った。マサカ喉ニ当タルトハ――
 主は仁王立ちをしていた。何時の間にか握っていた包丁を地に落とし、細い眼を完全に見開き、顔の筋肉がくっきり見える――顔全体に力を入れていた。そして、ゆっくりとその自分に刺さっているそれに手をかけると勢い良く抜き出した。つい今し方まで自分と一体となっていたそれは最早普段の光沢のある銀色の感じは全くせず、邪悪な赤みを帯びていた。主は暫くそれに見入っていたが、2秒と絶たない内に表情を変えずにその大きな身体を地に倒した。比較的大きな音がすると見えないが居ると思われる猫がしゅっ、と逃げた音がした。主の身体は堂々と仰向けに大の字に倒れており、首元には地の溜りができていた。
「う…うわぁああああああああああああああ! 」
 何が何だか解らなかった。何で主がひたすら追っかけて来るのかも、そして眼の前で大の字になって死んでいるのも。何で自分が逃げていて、何で背中が妙に痛くて、何で自分がこんな下らないゲームに参加していて、何でそれに全く関係無い一般住民を殺しているのかも。
 立ち上がり、三度駆け出した。今度は背中の痛みなんて感じなかった。


【残り22人】

241sign ◆ND.mNnOZFY:2005/08/13(土) 22:57:36 ID:x/ref6M2
今回はネオマト4周年記念です(何
相変わらず段落のつけ方がヘタレです。
色々な作家さんの作品を読んで違和感無い綺麗な段落のつけ方を学んでいきたいと思います。

242バスター:2005/08/27(土) 15:30:43 ID:H0M89cr6
自分も久々に読ませていただきました
ちょくちょく読んでいるのでがんばってください

243削除人★:<削除>
<削除>

244瞬坊:2005/09/06(火) 02:22:32 ID:sC92MIv2
お久しぶりです。いや、ほとんど毎日見に来てるんですけどねw

読み返してみるとやっぱ面白い!
最後まで頑張ってください。

245sign ◆kZBEYEDH3A:2005/11/02(水) 19:21:08 ID:Y4ojUxsk
No:100


 ふと腕時計に目をやった。いつも時計は持たないのだが、これは、たまたま修学旅行の為に1050円で買った簡単に作られた安い物で、雨に打たれた所為かその時から時針がカタカタ震えている。0時まで残り20分。そろそろ放送が鳴ると思い、ディパックから地図とシャープペンを取り出した。放送が鳴ったらすぐに禁止エリアを書き取る為だ。地図も幾分水気を帯びており、ちゃんと写るか心配だった。それでも、書き取らずにうっかり自滅、という事は避けたい。
 風祭達樹(男子)は額から流れてくる止め処ない汗をもう色々な液体が混ざって変色してしまったYシャツの裾で拭った。それでも流れてくる汗。周りが暑すぎて全く発汗の抑止が出来ていない。それでも、衣服は既に大分湿っており、岩場や林を駆けた為汚れも目立っていた為、もう汗等気にならなかった。気になったのは、この異常な暑さで俊敏に身体が動かせるかという事であった。
 気になっているのはそれだけでは無い。腰に付いている長い鞘。日本刀であった。余裕があったので抜いてみた。長さは1m前後といった所。刃先の切れ味が凄い事は先程木の枝を切り裂いた時に理解出来ていた。問題は、自分がこれを扱えるかどうか。多少の武術の嗜みはあったものの、自身に剣術までの心得は無い。全く使えない物を支給されても困るが、日本刀も同じ様なものだ。要するに、自分には手に負えない代物なのである。
 それでも練習しない訳にはいかない。武器がこれしか無い以上、これを駆使して生き延びるしか手立ては無いのだ。達樹は刀をしっかり握ると大きく縦に振り下ろした。刀は決して軽いものでは無く、重量が多少あった為、前に重心がグラついた。おっと、と声が漏れたが、すぐさま体勢を直すと、再び構え、刀を振る練習を始めた。水気で滑らないように気を遣って。
 
 同刻、川守田瀬菜(女子)は近くから聴こえて来る謎の音が気になってしようが無かった。何か荒い息遣いの様なものが聴こえる。しかし、辺り一面闇なので何が音を発しているか解らなかった。確かめたかったが、焦って行動を誤ると命取りとなる。こういう駆け引き的な判断の仕方は幼い頃習っていた剣道で十分培われていた。ましてや、これは剣道とは訳が違う。一度ミスを犯すと次は無い。普段より更に感覚を研ぎ澄ませて物事に当たらなければならない。
 目を瞑った。視覚を消し去る事で聴覚に気を一層集中させ、集音に努める。すると、息遣いの寸前に空を切る様な音が聴こえてくる。ビュン、そしてフッ、と。ビュン、フッ。ビュン、フッ。ビュン、フッ。と何度も連続して聴こえる。息遣いからの声からして男子だ。そう確信を持った瀬菜は声の主に更に近付くべく足を踏み出した。支給武器の大きな猟銃がベルトで身体に固定されている為、多少動きづらかったが、このままじっとしている訳にもいかないので進み出す事にした。


【残り22人】

246sign ◆kZBEYEDH3A:2005/11/02(水) 19:26:31 ID:Y4ojUxsk
中々更新出来なくて申し訳ございませんでした。何分、現在多忙なもので、はい。
ご理解の程宜しくお願い致します。

バスター様>返事遅れて本当申し訳ないです。出来る限り時間を見つけて書いていこうと思いますので、楽しみにしていて下さい。

瞬坊様>お久しぶりです。超が付くほど不定期な更新をするこの小説を度々チェックして頂き、とても嬉しいです。
    これからも書いてこうと思うので、応援の程宜しくお願いします。

247sign ◆kZBEYEDH3A:2006/01/03(火) 23:13:01 ID:iakFswHE
No:101


 川守田瀬菜は徐々に息吹の主へと近付いていった。説明書の通りに猟銃の銃尻を肩で固定させ、引き金に指をやった。もう30mほどだろうか。歩みを進める毎に音が大きくなっていく。同時に、瀬菜の額からも汗が滴り落ち、心臓の鼓動がバクバクと大きくなっていく。引き返したくすらなってきた。脚がふらついている。こちらが襲撃をかけるとはいえ、相手と自分の生死を賭けた本物の戦いを始めるのである。不安と恐怖が募り、瀬菜は緊張のあまり滅入ってしまった。
「怖い…」
 本音が零れた。何でこんなことになってしまったんだろう。いつもならこの時間はお風呂から上がって深夜テレビをジュースでも飲みながらゆっくり見ている筈なのに。あぁ、もう一体今日は何曜日なの? もし火曜日なら深夜ドラマ見なきゃならないのに、水曜日は面白くないけど木曜の12時10分からは音楽のランキングがあって――
 脚だけが進んでいた。身体だけが自然と音の方へ進んでいって、思考が付いて行っていない。瀬菜は無意識に危険へ近付いていくことに気付かなかった。
 つまり、足元に石コロが落ちていることに気付かなかった。石コロを踏み付けてしまったことで現実世界に引き戻され、それが一瞬遅かった為、バランスが崩れ、瀬菜は地面へと倒れこんだ。幸い、地面は草で茂っていた為に衝撃は無かったものの、草同士が擦れる音はこの静寂な状況で人が拾えない程の小さい音とは到底言えなかった。
 先程の息遣いが消えた。その代わりに、倒れこんだ瀬菜の元へと物凄い勢いで草が擦れる音が近付いてくる。
 誰カ来ル――
 瀬菜は立ち上がるとデイパックを放置し音の鳴る逆の方向へ一目散に走り出した。運動神経は決して悪くなく、むしろクラスの中では屈指の運動神経だったが、重量のある猟銃を固定したまま走ることは無謀だった。
 突然、走行中の瀬菜の背中にこれも重量のある物体がぶつかった。その衝撃は強く、猟銃を所持しながら走っていてバランスを崩していた瀬菜はその衝撃をまともに喰らって前に倒れ込んだ。反射的にそれを触ってみたが、それは恐らく自分の放置したデイパックだった。
 そして、音が近付いてきた――
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
 悲鳴を上げた。猟銃を肩に固定し、撃つ用意をした。引き金に指をかけ、歯を食い縛った。
 その時だった、首筋に冷ややかな感覚が伝わった。
「動くな、殺されたくなかったら銃を置け」
 誰でも解る。男子の声だった。そして、首筋に当てられているのが刃物ということも。


【残り22人】

248:2006/04/25(火) 23:32:51 ID:ZlRECtcc
あげ

249お祭り:2006/05/20(土) 16:19:44 ID:ZNECO5Dc
つまんない。邪魔。うせろ。
改めてみると本当につまらないwwwww文章力なさすぎwこれ書いてる人は中学生かな?

246 名前:sign ◆kZBEYEDH3A 投稿日: 2005/11/02(水) 19:26:31 [ Y4ojUxsk ]

中々更新出来なくて申し訳ございませんでした。何分、現在多忙なもので、はい。
ご理解の程宜しくお願い致します。

バスター様>返事遅れて本当申し訳ないです。出来る限り時間を見つけて書いていこうと思いますので、楽しみにしていて下さい。

瞬坊様>お久しぶりです。超が付くほど不定期な更新をするこの小説を度々チェックして頂き、とても嬉しいです。
    これからも書いてこうと思うので、応援の程宜しくお願いします。

この文書が一番面白いw

>>楽しみにしておいてください。
これwwwwこんな小説で楽しみにしろとかwww無理だろwwwwww

>>これからも書いてこうと思うので、応援のほどよろしくオネガイシマス。
ぎゃあwwwこれからも書くのかwwwwこんなつまんないのをwカンベンしてくださいよw

250sign ◆kZBEYEDH3A:2006/06/03(土) 20:47:03 ID:IStAenAw
うはwwwwwwwww久々に見たらあがってるwwwwwww
一応今年から高校生ですよ(`・ω・´)

時間に余裕出来たら書くつもりなんで。

251瞬坊:2006/06/18(日) 19:04:13 ID:zxEe5PQs
がんばれよ。リアルも小説も

252 ◆QGtS.0RtWo:2006/06/18(日) 19:28:03 ID:lXe5DZeY
>>249
文句ばっか言ってないで自分で書いてみれば?ww
正常な人から見て邪魔なのは明らかに
あなたの方ですよ〜ニセモノさん♪

253バスター:2006/12/11(月) 16:12:38 ID:4niGaGwA
久々にあげてみる

254芽衣:2007/01/14(日) 20:05:43 ID:6INeaWlk
こんばんわ
始めましてw
芽衣といいます
小説おもしろいです!!
続き楽しみにしているので頑張ってくださいw
応援してますv

255sign@Ouske64:2007/02/18(日) 19:31:10 ID:dz4P/uuM
生きてます。
きっと完成させるつもりなんで(`・ω・´)

256しゅんぼう:2007/05/21(月) 03:26:21 ID:Vy3CeEC6
age

257幽々子:2017/06/07(水) 16:14:05 ID:???
No:92


一言だけ呟くと引き金に指を掛けた。前方から顔が火照っている今にも卒倒しそうな三杉龍一が突進してくる。決して足取りは軽いとは言えず、ふらふらとよろめきながら何とか歩いていると云う感じだ。

龍一の最後の咆哮が聞こえた。通称クールガイ、また、不思議系天然男の異名をもつ龍一の人生で最大限の声だった。自分の発した声で身体全体が震え、走ったまま倒れそうにすらなった。その怒声を煩わしく感じた神楽圭吾は鼻でせせら笑うとまた呟いた、「死んじまえ・・・」と。

銃声が聞こえ、一部始終病院の二階から窺っていた杉浦千夏は眼をつむった。そして、もう駄目だ―――と確信した。それでも、次の瞬間にその近隣一辺に轟いたのは三杉龍一の断末魔の叫び声でも杉浦千夏の乾いた悲鳴でも無かった。聞こえたのは生々しい神楽圭吾の絶叫。千夏は眼を開けた。そこには、先刻より、1つ多く人影が夕焼けに照らされていた。すぐに、自分達が安全を考慮し世田谷区に置いてきぼりにしてきた三谷捺が居た。もうじっとしてられなかった。千夏は医師と他数人の看護婦を尻目に病院と云うよりは診療所を飛び出した。

「この野郎ぉぉぉぉぉ! 」
神楽の憎悪に満ちた声が聞こえる中、龍一の一連の流れが掴めなかった。それでも、確かに解る。高笑いをする神楽の背後から人格、容姿諸々に当てはまらないナイフを振り下ろす三谷捺を。不意を突かれた彼の銃は天を仰ぎ、銃弾が空高く飛んでいった。そして、その頃にはもう自分の身体は再び突っ込んでいた。よろけるかよろけないかの所でじたばたしていた神楽の身体にタックルを仕掛けた。身体が大きく横っ飛びしたかと思うと、ごろごろと砂を舞い上がらせた。それでも、猟銃は離してなかった。

「ブッ殺してやる! 」
いきり立った調子で叫ぶと、後ろに居る捺の身体に銃尻を叩き付けた。小さく悲鳴をあげると、神楽より遥かに遠くに跳ね飛んだ。その後、すぐに龍一の方向を向き、ポケットに手を突っ込んだ。その行為が、すぐ読めた。弾丸を込める動作――。

「三杉! 」
神楽の後ろから声が聞こえた。龍一の前方から1つの物体が空を舞い、弧を描いた。それを掴むと、その物体を見る間もなく、突っ込んだ。龍一にはもうそれが三谷捺の所持するもう片方のナイフだと確信していた。ナイフの柄を握り下方へ振ると鋭く光った刃が顔を出した。それを、腰に構えた。神楽はまだ装填途中だった。その無防備な腹筋にナイフの刃が食い込んだ。絶叫を上げ、身体を後ろにずらしてナイフを抜こうとするが、龍一もそれに合わせ身体を動かす。そして、ナイフを握った手をぐちゃぐちゃに動かした。聞くに堪えない声がすぐ傍から漏れた。

腹部と背中から血を噴出している神楽は真っ赤に充血にさせた眼をかっと見開くと物凄い力で密着している龍一の股間付近を蹴り飛ばした。龍一がもんどりうって倒れると、自分に刺さっているナイフを抜き取ると、それを龍一目掛けて振り下ろした。

結局、血だらけの刃は龍一の肌に触れる事すらせず、砂埃が舞う地面にぼろっと落ちる事となる。龍一の15m後ろ。杉浦千夏がグロック17を構えていた。硝煙が立ち昇り、それが千夏の視界を曇らせていた。直後、神楽の身体が前方に倒れた。鈍い音がして、一度地面に跳躍する様に跳ねる。鼻骨が折れた音がした、と龍一は感じた。

そのぼきっと云う音を聞いた後、龍一は閉目した。睡魔がやってきたのだ。


神楽圭吾(男子)死亡
【残り24人】

258幽々子:2017/06/07(水) 16:15:34 ID:???
No:92


一言だけ呟くと引き金に指を掛けた。前方から顔が火照っている今にも卒倒しそうな三杉龍一が突進してくる。決して足取りは軽いとは言えず、ふらふらとよろめきながら何とか歩いていると云う感じだ。

龍一の最後の咆哮が聞こえた。通称クールガイ、また、不思議系天然男の異名をもつ龍一の人生で最大限の声だった。自分の発した声で身体全体が震え、走ったまま倒れそうにすらなった。その怒声を煩わしく感じた神楽圭吾は鼻でせせら笑うとまた呟いた、「死んじまえ・・・」と。

銃声が聞こえ、一部始終病院の二階から窺っていた杉浦千夏は眼をつむった。そして、もう駄目だ―――と確信した。それでも、次の瞬間にその近隣一辺に轟いたのは三杉龍一の断末魔の叫び声でも杉浦千夏の乾いた悲鳴でも無かった。聞こえたのは生々しい神楽圭吾の絶叫。千夏は眼を開けた。そこには、先刻より、1つ多く人影が夕焼けに照らされていた。すぐに、自分達が安全を考慮し世田谷区に置いてきぼりにしてきた三谷捺が居た。もうじっとしてられなかった。千夏は医師と他数人の看護婦を尻目に病院と云うよりは診療所を飛び出した。

「この野郎ぉぉぉぉぉ! 」
神楽の憎悪に満ちた声が聞こえる中、龍一の一連の流れが掴めなかった。それでも、確かに解る。高笑いをする神楽の背後から人格、容姿諸々に当てはまらないナイフを振り下ろす三谷捺を。不意を突かれた彼の銃は天を仰ぎ、銃弾が空高く飛んでいった。そして、その頃にはもう自分の身体は再び突っ込んでいた。よろけるかよろけないかの所でじたばたしていた神楽の身体にタックルを仕掛けた。身体が大きく横っ飛びしたかと思うと、ごろごろと砂を舞い上がらせた。それでも、猟銃は離してなかった。

「ブッ殺してやる! 」
いきり立った調子で叫ぶと、後ろに居る捺の身体に銃尻を叩き付けた。小さく悲鳴をあげると、神楽より遥かに遠くに跳ね飛んだ。その後、すぐに龍一の方向を向き、ポケットに手を突っ込んだ。その行為が、すぐ読めた。弾丸を込める動作――。

「三杉! 」
神楽の後ろから声が聞こえた。龍一の前方から1つの物体が空を舞い、弧を描いた。それを掴むと、その物体を見る間もなく、突っ込んだ。龍一にはもうそれが三谷捺の所持するもう片方のナイフだと確信していた。ナイフの柄を握り下方へ振ると鋭く光った刃が顔を出した。それを、腰に構えた。神楽はまだ装填途中だった。その無防備な腹筋にナイフの刃が食い込んだ。絶叫を上げ、身体を後ろにずらしてナイフを抜こうとするが、龍一もそれに合わせ身体を動かす。そして、ナイフを握った手をぐちゃぐちゃに動かした。聞くに堪えない声がすぐ傍から漏れた。

腹部と背中から血を噴出している神楽は真っ赤に充血にさせた眼をかっと見開くと物凄い力で密着している龍一の股間を蹴り飛ばした。龍一が股間を押さえ、もんどりうって倒れると、自分に刺さっているナイフを抜き取ると、それを龍一目掛けて振り下ろした。

結局、血だらけの刃は龍一の肌に触れる事すらせず、砂埃が舞う地面にぼろっと落ちる事となる。龍一の15m後ろ。杉浦千夏がグロック17を構えていた。硝煙が立ち昇り、それが千夏の視界を曇らせていた。直後、神楽の身体が前方に倒れた。鈍い音がして、一度地面に跳躍する様に跳ねる。鼻骨が折れた音がした、と龍一は感じた。

そのぼきっと云う音を聞いた後、龍一は閉目した。睡魔がやってきたのだ。


神楽圭吾(男子)死亡
【残り24人】

259幽々子:2017/06/07(水) 16:16:39 ID:???
腹部と背中から血を噴出している神楽は真っ赤に充血にさせた眼をかっと見開くと物凄い力で密着している龍一の股間を蹴り飛ばした。龍一が股間を押さえ、もんどりうって倒れると、自分に刺さっているナイフを抜き取ると、それを龍一目掛けて振り下ろした。

260幽々子:2017/06/08(木) 19:28:21 ID:???
神楽は真っ赤に充血にさせた眼をかっと見開くと物凄い力で密着している龍一の股間を蹴り飛ばした。龍一が股間を押さえ、もんどりうって倒れると、自分に刺さっているナイフを抜き取ると、それを龍一目掛けて振り下ろした。

261幽々子:2017/06/08(木) 21:12:15 ID:???
「ウオッ!」龍一は驚き、一瞬身体が硬直した。その刹那、神楽のつま先が確実に龍一の股間を捕らえた。

「グエッ!」龍一は両手で股間を押さえ、その足は完全に内股になっていた。

262幽々子:2017/06/19(月) 02:44:46 ID:???
神楽は有無を言わさず、龍一の持ったナイフに向って左手を伸ばし、その手を掴んだ。 次の瞬間、片方の手、傷ついた右手で龍一の股間に拳を叩き込んだのである。






「・・・・・・グッ!」

 短く呻き、龍一は後悔した。

 ナイフを突きつけた事で、気を抜いたのは龍一の完全なミスだった。 いや、元々争いを好まない性格である以上、それ以上の事が出来ず、龍一の行動に覚悟がなかったのも原因の一つだろう。

 龍一は股間を押さえ、その場に蹲った。

263幽々子:2017/06/19(月) 04:07:35 ID:???
肩の辺りを軽く突くと、戦人はおとなしく腰かけた。
だらりと垂れ下がったペニスがファスナーの隙間から出たままなのが多少滑稽だったが、ロノウェはそれを指摘せぬまま、自らの指でそれを下着に仕舞いこみ、ファスナーをそっと上げてやった。
「あ…」
戦人は紅潮すると、ふっと横を向いて俯いてしまう。
なまじ皮肉られるよりは、よほど強い羞恥を覚えたに違いない。

264名無し:2017/12/11(月) 05:37:10 ID:???
「まだ喋れんのか」と俊文が股間を強く蹴り上げてきたから、俺はうめき声を漏らした。

殴りすぎだろ。ちょっとぐらい手加減しろよ。


痛みが快楽に変わって心地よい。今寝たら気持ち良く寝れるだろうな。


地面が俺に近づいてくる。あっ、俺が地面に向かって倒れてるんだ。

顔から激しく倒れ込み、額と頬を擦りむいた。


顔を横に向けると、一匹のダンゴ虫が地面を這っていた。


ダンゴ虫と一緒だ。俺は動けねぇから、ダンゴ虫以下だな。


朦朧とする意識の中、聞き覚えがある着信音が聞こえてくる。


俺の着信音だ。勇一が携帯奪ったままだ。 誰から電話? 翼のお姉さん?


翼の容態…奈津子と話を…夜鳴村に行って途中までしか読んでないノートの続きを読まなくちゃ。

265名無し:2017/12/11(月) 05:38:22 ID:???
「まだ喋れんのか」と俊文が股間を強く蹴り上げてきたから、俺はうめき声を漏らした。

殴りすぎだろ。ちょっとぐらい手加減しろよ。


痛みが快楽に変わって心地よい。今寝たら気持ち良く寝れるだろうな。

266名無し:2017/12/11(月) 05:47:13 ID:???
「まだ喋れんのか」

俊文が股間を強く蹴り上げてきたから、俺はうめき声を漏らした。

同じ男だろ。そこを蹴るのは無しだろ。


痛みが快楽に変わって心地よい。今寝たら気持ち良く寝れるだろうな。

267名無し:2017/12/13(水) 09:51:01 ID:???
「まだ喋れんのか」

俊文が股間を強く蹴り上げてきたから、俺は股間を押さえ、うめき声を漏らした。

同じ男だろ。そこを蹴るのは無しだろ。


痛みが快楽に変わって心地よい。今寝たら気持ち良く寝れるだろうな。

268風見:2018/06/30(土) 05:49:13 ID:???
「うおらぁ!」
 倒れかけた昭範は持ち直し、逸雄を再度殴りつける。殴られた逸雄は体が捻じ曲がり吹っ飛びそうになっていたが、顔を元の位置に戻すと、昭範の股間に蹴りを入れた。
「ぶっ……」
 声をあげ、股間を押さえながらよろめいた。昭範は掠れた声で言っていた。
「キンタマは、反則だろ……」
「反則なんて、ねえよ」
 逸雄は昭範の逆立った髪を掴み、振り回した。引っ張られた昭範は唾を吐き、逸雄を睨みつける。再度頭突き。再度股間にめり込むように、昭範の左拳が突き刺さった。骨が揺れ、内臓が出そうになった。
「そっちこそ、キンタマじゃん……」
「だって、反則じゃないんだろ」
 二人は睨みあう。その時逸雄は、小さく開いたドアの隙間から一つの目が覗いていることに気がついた。赤茶色の髪と女子の制服が見える。岩崎は無表情で、二人を観察していた。
 それに気を取られていたら、昭範のパンチを喰らいそうになった。かろうじて避けるが、体がよろめいた。
 昭範の顔は酷い。頬は赤く膨れ上がり唇からは血が出ていて、瞼は青く腫れあがり、頭部から出た血は固まりかけ、頬や目の近くにメイクのように散っている。多分、自分も負けず劣らず酷い顔をしているのだろう。

269風見:2018/07/06(金) 21:16:10 ID:???
「うっ!」
次の瞬間、体が浮き上がるほどの勢いで急所を蹴り上げられた。
うめき声を上げ、股間を押さえて転がった。
苦しくて、立ち上がれない。
一瞬にして全身に脂汗が吹き出す。
……畜生、駄目だった。

270風間:2018/09/30(日) 11:49:10 ID:PJV3tt4I
直後、目が見えずに動きのとれない貴史は股間に強烈な痛みを覚えた。かすかに麗音が後ろ廻し蹴りを貴史の股間に叩き込んだのがわかった。
――グッ
蹴りの威力も強く、蹴った場所も正確で貴史は股間を蹴られた痛みで立っていられず崩れた。
――ま、まずい!

271珍子:2018/10/31(水) 20:03:54 ID:PJV3tt4I
お互いに力比べの格好になる。が、城太郎がそこからローキックを放つ。攻撃時のモーションが無い、必殺のキック。

的確に耕一の股間を狙っていたが、城太郎の手を掴んだままガッチリ受けとめる耕一。城太郎の顔に驚きが浮かぶ。

272珍子:2018/10/31(水) 20:04:56 ID:PJV3tt4I
和樹は先ほどの風美の色っぽい姿を見たため、下半身がちょっと恥ずかしい事になっているので慌てた。女の子である風美に言うわけにはいかない。男しか分からない理由だったからだ。風美は和樹が拒否する理由が理解できないらしく頭に?マークを浮かべていた。
「それより早く山荘に行こう」

273珍子:2019/11/10(日) 17:41:08 ID:HZUAAEHQ
額から流れる紅い血で顔を汚した真澄は、クラスメイトたちが今までに見たことのないような険しいものに歪め、物干し竿を振るった。
横に薙いだものはかわされたが、真澄は間髪入れず剣道で言う“突き”の要領で亘の股間を突いた。
兵士の卵として鍛えられている亘と言えども、睾丸は鍛えられない。
うっ、と呻き声を上げ、股間を押さえ、怯んだ。

274あげ:2021/09/18(土) 09:34:04 ID:???
-5kg目指す白米っ子チャン
@5kg_puipui
いっぱいの好きな子に囲まれて幸せに生きたい白いビックリマークオタクの現実逃避ドキュメンタリー。
twpf.jp/5kg_puipui


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