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繰り返される悪夢【長編】

68よこせう:2004/05/12(水) 18:24 ID:x6ocGLdw
No:23

「討ち取ったり!」
久保宗鑑は、妙に高い声で、そう叫んだ。直後、手にしていたMP5クルツの引き金を絞った。
ぱぱぱ、と耳をつんざく様な音がし、電線に止まっていたスズメのカップルが、声を立てて逃げ惑った。
引き金を絞った瞬間、思いも寄らぬ強い反動で、完全に宗鑑は後ろにつんのめった。
銃口が上を向き、銃口から発射された幾多の弾丸は、標的、黒井絢女のかなり上を通り過ぎて行った。
黒井絢女の後ろにあったビルのガラスが割れ、下に落ちていった。

その音を聞いて、気付かない訳が無い。絢女は、すぐさま、物陰に駆け込んだ。
宗鑑が舌打ちをする。絢女が入っていった建物の反対側、に銃口を向けた。
「さぁさぁ、迷えし子羊よ、天に召され給え・・・・・・・・・」
その考えとは裏腹に、絢女は入っていった方向から脱出した。
しかし、それに宗鑑は気付かない。絢女の小さな手に、巨大なナイフが握られているのも知らずに。

一歩、また一歩と、宗鑑に忍び寄って来た。完全に建物を凝視している宗鑑は、迫り来る影に気付かなかった。
慎重に、慎重に、宗鑑の背後を取ろうとした。喉元を刺せば、じわじわと死ぬ。
問題なのは、その刺した後、宗鑑が最後の抵抗をしたときに、あの手に持っているマシンガンでやられないかが心配だ。

もう、宗鑑は10m先。ここまで、じっくりと音を立てずに忍び歩いてきた。
手に持っているナイフを見た。美しい刃。思わず吸い込まれそうなくらい、綺麗なシルバー。

慎重にここまで歩いてきたが、惜しくも、それはそこで終った。
落ちていた枝。
踏んだ仕舞った。
ぱきっ、という普段なら気に止めない音だが、このBRという殺人ゲームでは、その音が命取りになる。
実際、このほんのわずかな音が、絢女の命を危機に晒した。

音がして、宗鑑がびくりと物凄い速さで振り向いた。そこには、無防備な絢女。
「そこかぁー!」
宗鑑は叫ぶと、一気にMP5クルツを撃った。絢女はその場に身を伏せた。
また何発かは、反動の強さで、絢女の頭上を飛行していった、しかし、今は危ない。
立ち上がると、一気に宗鑑の眼の前に来た。そして、ナイフを振りかざした。
そのとき、ぱぱぱとまた音がした。音がして、絢女が後ろに飛ばされた。
宗鑑は、そのとき怖くて目を瞑っていたのだけれど、相手が攻撃してこないとわかり、恐る恐る目を開けた。
そこには、腹部に幾つ物風穴を空けた絢女の死体。手には巨大なナイフが握られている。
宗鑑は、あまりの出来事に驚き、その場にへたり込んだ。そして、重いMP5クルツを置くと、
絢女の所まで歩み寄って来た。そして、眼についたナイフを、絢女の割と綺麗な手から奪おうとした。
しかし、ナイフが手から離れてくれない。引っ張っても全然反応が無い。
よく見ると、手首に血管が浮いていた。つまり、まだ力が入っている事。
それを見て仰天した。すぐさま後ろに下がろうとしたが、もう遅かった。
死んだはずの絢女が立ち上がり、手に持っているナイフで宗鑑の額を突き刺した。
宗鑑の頭から、滞り無く血が滴り落ちる。宗鑑は、血だらけの眼で、左、右、を向くとそのまま倒れ落ちた。
そして、もう動く筈が無かった。
絢女は、支給武器の防弾チョッキを拳で軽く叩いた。素晴らしい。あんな至近距離でマシンガンの連射を喰らっても、
全然平気だ。まぁ、護身用のナイフを持参しておいたのが正解だったかも知れないけど。
絢女は落ちているMP5クルツを持ち上げると、素早くその血溜まりから遠ざかっていった。

久保宗鑑(男子)死亡
【残り44人】


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