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繰り返される悪夢【長編】

74よこせう:2004/05/15(土) 22:23 ID:r82E.xtk
No:26

金城真人(男子)は、腹の虫を抑え切る事が出来ず、無心に身体が集落の方へ向って行った。
腕時計を見た。真人が昨日飯を食ってから既に12時間。
驚いた。飯をこんなに長く食わなかったのは初めてだ。欲求不満。食欲という、不満。
腹が減った――――、食いてぇ、食いてぇ、腹一杯。
飯がある所と言ったらやはり集落しかない。大通りにあったパン屋には、何故か既にもう荒らされた跡があった。
しかも、薄いガラスに刻み込まれた一つの弾痕。
―――身体が震えた。もう殺し合いをやっている。もう、殺人ゲームをおっぱじめている。
俺の居ない所で、俺の見ていない所で、殺し合い。俺の―――

欲求不満という考えが頭に走った。食欲、の他に、殺人欲―――
常人では有り得ない欲求。ある意味、金城真人は常人ではない、つまり、異常人。
要するに、頭がおかしい。狂っている。それで、誰も近づかない。

孤独。
そう、孤独。昔から1人で居る。何でこんなに俺には誰も近付かない?
何?小学三年の時に初めて出来た友達を自分の二階のベランダから誤って落としてしまった時の所為?
そして、その後、大量の血が抜けて軽くなった初めての友達を川に投げ捨てた事でか?
それとも去年、祭に1人に行って、ヤクザの1人にカツアゲされて、所持していた通販で買ったナイフで
そのカツアゲをしたヤクザの胸を突き刺した所為?
何で俺には、友達が居ない?バスケ部に入って、友達が出来ると思った。けど、それは場違いな発想。
誰もこの俺に近付く野郎は居なかった。誰も―――誰も―――・・・、いや、只1人、居た。


住居に侵入した。おかしな事に足跡がある。それも、違うサイズのが2つ。
そして、奥から聞こえる話し声。
高まる鼓動を抑え、左ポケットから、雑貨屋で見つけたそれ、爆竹、を取り出した。
胸ポケットからジッポライター。これも、通販で買った。シルバーボディに大らかに鷲が描かれている。
それ、爆竹に緋を点けた。そして、手を離す。
直後、ぱぱぱぱぱんという大きな音。耳をつんざく様な音。そして、奥から音。
立ち上がり、こちらへ向ってくる音。すかさず、あのヤクザを殺したあのナイフを取り出した。
壁に張り付く。そして、向って来る。こちらへ、ナイフを握る手に力を込めた。

壁から出て来るその一瞬。その一瞬に相手の喉、または額を突き刺す。
全部、全部、コンバット雑誌で知った事だ。そしてこれもまた、彼への恐怖感を一層引き立てる。
足音の大きさが一層増してくる。そして、真人の眼の前に、影が現れた。
背は自分と変わらない。狙うは喉元―――手を止めた。
彼の手を止めた理由、それは、奥から現れたのが、唯一の友達、三杉龍一(男子)だったから。

【残り44人】


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