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繰り返される悪夢【長編】

87よこせう:2004/05/22(土) 21:01 ID:9PTyl7q2
No:32

「脱出――――――!?」
朱美は驚きを隠そうと努めた。だがそれは無駄な努力だった。

脱出―――?本当に―――このクソゲームから―――嘘―――。
朱美の表情を見透かした様に、魚月が口を開いた。
「嘘じゃないわ。本当。事実よ」
朱美は一度下を向き、その後、また魚月の方向を向いた。
「どうやって?」と魚月の眼を真っ直ぐに向き、問い掛けた。
魚月は微かに笑うと頭上を向いた。「方法?それは―――」

その次の瞬間、がさっ、と茂みが揺れる音がした。魚月が素早くM92Fミリタリーを構えた。
銃口は音のした茂みに向けられた。続けて朱美もがしゃん、という音を立て、四七歩兵銃のコックを引いた。
それも、茂みに向けた。
中から現れたのは、学生服に何か付着させている木下聖夜(男子)。

「悪いな、今の話聞いちまったんだ」
聖夜はすまなさそうな顔をした。魚月は怪訝な顔をした。それで、聖夜の全体をまじまじと見た。
「貴方、今までに誰かと出くわした?」
「いや、俺はまだ誰にも会ってねぇよ。脱出する為には仲間が必要だろ?
 だから安心できる仲間を探してたんだよ。そこで聞こえたんだ。
 お前達が話している事を、しかも、脱出って言葉も聞こえたからな」
朱美はへぇっ、と鼻を鳴らすと、四七歩兵銃の安全装置を下ろした。
魚月は用心深く、更に問い詰めた。
「それなら良いけど。貴方も脱出する気?」
聖夜はくすっ、と笑った。「当たり前じゃねぇかよ」
朱美も笑った。それで、ちょっと嬉しい様な仕草をした。
「よかったじゃん、魚月。これで脱出を目指す仲間が増えたじゃん!」
喜びを身体全体で表した。
「よっしゃ、これで決まりだな。俺もお前達の脱出計画案に参加させて貰うぜ!」


朱美と聖夜が喜ぶ中で、魚月は朱美の見逃した物をちゃんと我が眼で見ていた。
聖夜の学生服に付着しているもの―――――血。
彼は誰にも会ってないと言った。もしあの言葉が嘘だとしたら―――。
「ちょっと魚月?早く脱出の方法、教えてよぉー」
朱美の声が聞こえる。魚月は思った。木下聖夜。奴に油断しては駄目だ。

【残り43人】


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