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繰り返される悪夢【長編】

63よこせう:2004/05/09(日) 00:33 ID:Z452e1KU
No19:意表突き

躊躇わずに、藤沢雅(男子)は、デリンジャーの引き金を引いた。
それと、同時に、いや、それより早く、木下聖夜(男子)も、デリンジャーの引き金を引いた。
ぱん、と独特な高い音が2つ響いた。

その次の瞬間、雅が苦しそうにうめいた。対する聖夜、は、不気味に笑うと、うめく雅に蹴りを喰らわせた。
「ぐっ」
と雅が更に苦しくうめいた。その一撃で、地面に倒れ伏した。
横たわるまま、雅が聖夜を睨んだ。
――――畜生・・・、俺は・・・こんな奴に・・・負ける・・・のか?

嫌だ。死にたくない。いや、死にたくないんじゃない。こいつに殺されたくない。
ぶっ殺してやる。その鼻っ柱にこの弾丸を・・・・・・。
更に蹴りが来た。蹴りは、雅の延髄に直撃した。世に言う、延髄蹴り。
その一発で、完全に思考が飛んだ。
もう、何を考えているのか自分でもわからない。けど、これだけはわかる。
自分は、恥や、躊躇もない悪人に殺されそうになっている。それだけ。

聖夜がポケットから、バタフライナイフ(いつも学校でブラ付かせている。目障りでしょうがない)を取り出した。
そのバタフライナイフの先端を、雅の首に向けた。
そして、また笑うと、冷めた様子でこう言った。
「グッバイ、おかま野郎」
一気にバタフライナイフを首に突っ込ませた。けど、その刃が、止まった。
刃の先を辿って行った。そこには、雅の真っ白な手が、そのバタフライナイフを握っていた。
「ここで、終れねぇんだよ。ここでな・・・・・・」
聖夜が、左手でナイフを握る雅の右手を掴んだ。その途端、雅が聖夜を睨んだ。
「汚い手で俺に触るな」
一気に、身体を回して、聖夜の脚を蹴飛ばした。その一撃で、聖夜がよろめいた。
その瞬間、腹に激痛を感じながらも、立ち上がり、背を向けて逃げ出した。
一歩、又一歩走る度に、銃創が痛む。
意識が飛びそうだ。あまりの痛みに顔が歪む。だが、ここで終れない。ここまで来た。
こんだけやって、死ぬわけにはいかない。
走りながらデリンジャーの弾を詰め替える。手が震えて上手く操作できない。
やっとの思いで、二発詰められた。すぐさま後ろを振り向いた。
後ろからは聖夜が追いかけてきた。メチャメチャ脚が速いじゃねぇかよ。おいおい・・・どうするよ・・・。
こちとら今にも激痛で意識が飛びそうってのによぉ。
腕を後ろに回した。脇がぐぐっと開いて、またもや激痛が襲い掛かって来た。
それで撃った。しかし、そんな体勢で撃っても、当たる訳が無い。
そのかわり、後ろから、ぱん、と音がした。直後、自分の背中に激痛が来た。
その一発で前にヘッドスライディングした。背中に直撃した弾丸のせいで動けない。
逃げようと思っても逃げられない。手が、脚が、脳が、動かない。
今にも消えそうな意識の中で、眼の前に聖夜が現れた。にたりと笑うと、デリンジャーを構えた。
雅は眼を瞑った。

一発の銃声が、木霊した。

藤沢雅(男子)死亡
【残り45人】


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