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繰り返される悪夢【長編】

48よこせう:2004/05/04(火) 22:13 ID:QXpnAsYQ
No:13 遅すぎた追加報告

静まり返る島内。どこまでも続く街道、その先の高速道路、そして大海原。
このスカイブルーの、沖縄の海、いや、それ以上に透き通った海。だが、既にそこで1人死んでいる。
蒼火遠音(女子)。
恐らく、この島の南部にある灯台からは、その腹部が弾け飛んだ蒼火遠音の無惨な死体を見下ろせる事だろう。
だが、何故、誰がそんなホラー映画のワンシーンより酷い映像を求めるだろうか。
それより、まず蒼火遠音が死んだ事すら、この島内の生徒は誰一人として知る筈が無いだろう。
まさか、この大海に先程まで動いて、生きていた同級生が腹部をズタズタにさせて浮いているだろうとは、微塵も思わないだろう。

派手に煌く繁華街のネオン灯。朝っぱらなのに、全然輝きを劣らせない。
細川竜司(男子)、は電気の無駄、という場違いな考えを頭に巡らせながら、手に持っている折り畳み式ナイフを見つめた。
ナイフを開いた。カチッ、と刃の後端がグリップに留まる音がした。
試しに、鋭い刃先を自分の腕に擦りつけてみた。
当然の如く、皮膚が割れ、血が滲む。その血をみた竜司は、顔を蒼ざめて言葉を詰まらせた。
「ウッ・・・・・・」
後悔の念が襲ってきた。昔から好奇心が強いので、考えた事はやってみないと気が済まない性格。
そして、その行動の後に沸いて上がる気持ち、「やらなきゃよかった・・・・・・。」

人差し指に軽く唾を付け、それを傷口に押し当てた。沁みる。まぁ、慣れっこだ。
そういえば、ディパックの中に・・・、と、ディパックのチャックを開けた。
中には、折り畳みナイフの入っていたケースや、ペットボトル、そしてパン。
続けて漁ると、見つかった。バンドエイド。しかも、一枚だけ。
救急手当ての道具はこの薄っぺらいバンドエイド一枚だけ。こんなもの、銃創にはどうするんだよ。
と、思う。

こんな馬鹿な事をやっている場合ではない。さっさと脱出を試みる同士を探さなくては、
かれこれ30分は歩いているが、人っ子一人見つからない。
おいおい、ちょっと島が広いんじゃねぇのかよ。これじゃ脱出も何も飢え死にしてしまうぜ。
そういえば、今、何人死んでいるんだろう・・・。
竜司の脳裏に、あの鮮烈な光景が浮かび上がってきた。
教室で殺された立花雄吾の壮絶な死に様。銃殺。初めて見た光景。
そのときだった。想い出したくも無いあのなまめかしい声。

ピーンポーンパーンポーン
「おらー、わりー!先生、一つ大事な事を報告するのを忘っちまったぞぉ!
 それはな、先程、この島から脱出しようとした馬鹿な生徒が居た。当然、処刑したけどな、
 皆、あの発光機が無いから脱出しようとか思ってんじゃねぇんだろぉなぁ、おいぃ!
 あれはな、本島の至る所に隠されてありまぁす。
 まずは、電信柱の上、はたまた、ごくその辺にある植木蜂の影とか、数え切れないほどあります。
 もし、君達が脱出という馬鹿な考えをもって、それを実行すると、私達がそこらに設置してある発光機を作動させ、
 それを、君達の腹に挿入しまぁす。だから、そんな事は、絶対しないで下さい。
 以上、立花賢吾の、追加報告でしたぁ」
ブツッ

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