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繰り返される悪夢【長編】

62よこせう:2004/05/08(土) 23:00 ID:StPCe44Y
No18:捕獲、しかし

ようやく時差ぼけにも慣れて来た。昨日、深夜番組を凝視していたせいか、眼が赤い。
学生服のポケットから小さな手鏡を取り出した。
これも、女子、女子、と周りから囃し立てられる理由の一つだ。

藤沢雅(男子)は、反対のポケットに忍ばせておいた、二連発式デリンジャーを取り出した。
本で見た事がある。一般的にはシルバーだが、雅の手にしているのは、真っ黒な、輝きの無い黒。
雅的にも、この黒は、自分には似合わない。
輝きの無い色なんて信じられない。なんだよ、何事もあのシルバーの様な人生の方が、良いじゃねぇかよ。
それを、今だ理解しない細川竜司(男子)とかは、ホントにどうかしてるよな。

言いたい愚痴は溢したが、実際、デリンジャーなら使い方は、わかる。
付属の薄っぺらい紙一枚の説明書。説明書ってのはな、もっと本の様な・・・・・・。
いや、いい。こんな事を考えてもしょうがない。
どうせ、知っているのだから。
しかし、威力はない。一発撃って、弾を込めてる最中にズドンだ。つまり、これは最初の一発、
どれだけ正確に致命傷を与えられるかが、鍵だ。
まぁ、不意打ちを喰らわせて、相手の武器を奪うというのが、先決だ。
このちっぽけなデリンジャーじゃ、マシンガンの相手には到底、正面からぶつかると勝てない。
要は、とにかくこのデリンジャーでも仕留められる様な人間を探さなくてはならない。
まぁ、その為にわざわざ走ってるんだけど。

それでも、見つけた。後ろ姿の男。木下聖夜(男子)を。
おやおや、いつもは冷静な彼も、このゲームに関しては全くの別物だったってことね。
はいはい、じゃあ、デリンジャーの錆と化して下さい。さよなら、っと。
聖夜に向けて銃をぶちかました。しかし、距離が遠すぎるせいで、弾は聖夜の背中の真横を通り過ぎて行った。
軽く舌打ちをする。その瞬間、茂みに身を隠した。
聖夜がきつい目付きでこちらを睨む。そして、言った。
「誰だ・・・・・・?」
このまま、隠れていても埒があかない。どうせなら・・・・・・、弾を素早く込めた。
そして、それを構えたまま茂みから立ち上がった。
「手を上げろ。さもなければ撃つ」
そう言って、聖夜を睨み付けた。聖夜は手を挙げ、全く動じずに、言った。
「おやおや、乱暴ですねぇ。そんな物を振り回して。女の癖にねぇ」
それで、完全に脳内を怒りが支配した。
「貴様、その辺にしておけ、撃つぞ」
そのとき、聖夜がいきなり笑い出した。クックックッ、と。
「何がおかしい!」
デリンジャーの引き金に指を掛けた。
「いやね、デリンジャーとは奇遇な・・・・・・・・・。
 君の武器も、デリンジャー。
 ―――俺もね、デリンジャーなんだよ・・・・・・」
そう言うと、挙げていた右手の甲、から一本の糸が繋がっているのがわかった。
その糸の先――――デリンジャー。
聖夜は手を回すと、その糸の先にあったデリンジャーがすっぽり自分の手に納まった。
「デリンジャーの腕前は・・・まだまだだな」
2人の距離はもう眼と鼻の先であった。

【残り46人】


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