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繰り返される悪夢【長編】

78よこせう:2004/05/16(日) 22:40 ID:Q2mMIO6.
No:27

「金城・・・・・・・・・!」
唐突に出会った2人。互いに相手の名や性格は、百も承知。問題はこの後だ。
「三杉――――」
一瞬、ほんの僅か、何もかもが凍結した様な感じになった。三杉龍一は、口をパクパクさせ、
只、呆然と突っ立っている。それは、金城も同じ。

「あ―――あ―――あぁ・・・・・・」
龍一が何か喋りたそうに口を動かす。その動作を遮る様に金城がナイフを突き付けた。
そして、龍一を一瞬躊躇った後睨むと、冷たくこう言い放った。
「動くな、動いたら刺す」
龍一が一瞬、むっ、とした感じで顎を上げた。その顎を一滴の汗が滴り落ちた。
その汗がフローリングの床にぽとりと落ちた。

「おいおい、何のつもりだ―――」
「喋るな、俺の質問に答えろ」
首を振った。そして、対峙する金城の眼を真っ直ぐ見た。直後、溜めに溜めた息を吐き出した。
「わかったわかった、だからナイフを下げろ」
だが、金城はナイフを下げようとはしなかった。それどころか、それを更に激しく突き立ててくる。
「おい、今お前は俺が腕を上げただけで喉にナイフが突き刺さる。それを承知で言っているのか?」
冷や汗が更にぷつぷつと噴出した。やべぇ、こいつ、完全に戦闘態勢じゃねぇかよ。

そのときだった、どたどたっと足音が聞こえてきたのは。
金城も、龍一もその音がした方を向いた。そこには眼を完全に見開いた神谷塁の姿が―――
表情が硬かった。それもそのはず。先程まで話していた相手が一瞬の隙に人質に。
金城がナイフを龍一の喉に擦りつけた。途端、切り付けた箇所から血が滲む。
その血が、龍一の首筋の汗と合わさり、また、滴り落ちた。
塁が慌てて腰から支給武器、オートマグ3を取り出した。それを、金城に向けた。
「おい、三杉を放せ」
金城が龍一の首に手を回し、自分の盾にした。塁が焦る。
「おい!放せ!」
だが、金城は動じる事も無く、右手でナイフを持ち、左手でポケットから何かを取り出した―――
実は、その取り出した物が、金城の支給武器。グロック26。
それを龍一越しに、塁に向けた。
「じゃあな、死ねよ」
ぱん、ぱん、と連続して音がした。塁の頬を物凄い勢いで弾丸が通り過ぎて行った。
金城が舌打ちをした。―――やはり左手ではコントロールはきかねぇか。
その次の瞬間、金城に掴まれていた龍一が肘で金城の脇腹を強打した。
金城がうめき、一瞬龍一の首から手を放した。
その隙に龍一が金城の元から脱出した。そして、眼の前にある窓ガラスを突き破り、外に逃げた。
塁もそうした。この2、3mの距離では接戦は必至。時が来るまで血を流したくはない。
金城の猛り声が家の中から聞こえる。それにはなるべく耳を傾けず、人気の無い所へと急いだ。

【残り44人】


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