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繰り返される悪夢【長編】

64よこせう:2004/05/09(日) 20:03 ID:ckHgbRx.
No:20 束の間の食事

グァーグァーと、不気味に烏の鳴き声が、広い広い島内の隅、市街地に響いた。
立ち尽くす建物の数々。
デパート、電器屋、レストラン、そして、その内の一つ、パン屋。
その狭い店内に、1人の男が居た。
彼の名は、風祭達樹(男子)は、その店頭に並べられてあった数多のパンを、適当に手に取り、
それを真っ直ぐ、自らの乾燥しきった口へと運んだ。
その後、ディパックから全く手のつけていないペットボトルを取り出すと、それも口へ持っていった。
乾ききった唇が、潤いを取り戻して行く。

こんなに潤いが足りなかったのも、全て、あいつのお陰だ。
大原克己(男子)。
あいつが急襲してきたせいで、逃げる事を余儀なくされた。それに、弾丸もかなり減った。
俺もまだまだだな―――。

置いてあった椅子に、堂々と腰掛けた。パイプイスがギギッと撓る。
右ポケットに詰めておいた44マグナムを取り出した。銃口が、まだ、僅かに熱い。
あの激戦(まぁ、自分があまりにもみっともない泥仕合)の後がここにはっきりと残っている。
左ポケットに手を突っ込んだ。じゃら、とバラ弾のぶつかり合う音が聞こえる。
それを、取り出した。
もう、瞬時に数えられるほどの弾数。こんなんで、俺は優勝できるのだろうか、いや、脱出だった。

考えていても仕様が無いので、そのバラ弾を44マグナムに詰め込んだ。
それで、少々危険だが、いつでも撃てるように、レバーを引いておいた。
それを、また、元の右ポケットに突っ込んだ。

大きなガラス越しに外を見た。快晴。こんなに陽気で、それに時差ぼけの途中だと、
なんだか眠くなって来る。まぁ、寝たらそこで終わりに等しい。
ウチのクラスは49人という珍しい大所帯だ。今、何人死んだか知んねぇけど、
まぁ、この島に沢山のハンターが居るってのだけは確かだが。
ってことは、こんな所で呑気に座ってる場合じゃねぇな。
そろそろ、出かけるか。

パイプイスから立ち上がった。またもや、ギギッと音がした。
そして、ディパックを肩に提げると、店内を出た。
自動ドアが、殆ど無音で不気味に開いた。
外への第一歩を踏み出したそのとき、右手の方から、一発の銃声が響いた。
そして、達樹の眼の前を、物凄い速さで、ある物が通過していった。言うまでもなく、弾丸。
右を向いた。そこには、拳銃を構えた霧雨時耶(男子)が居た。
時耶が笑った。それに釣られて、達樹も笑った。

「おいおい、またかよ・・・・・・」
達樹は、建物の陰に飛び込んだ。直後、達樹の足元のコンクリートが弾け飛んだ。

【残り45人】


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