ニューハム地区は、区内に入居待機者が1万6000人もいる状態だ。しかし、公営住宅の取得権を入居者に与え、割引価格で払い下げる購入権制度(Right to Buy)を政府が支持しているために、公営住宅の在庫が減ってしまったと指摘している。この制度で入居者に払い下げられた住宅のうち35〜45%は民間の不動産業者に転売される。業者は短期間契約でこれを貸し出し、絶えず賃貸料を値上げしている。昨年、平均賃金の上昇ペースと比較した賃貸料の上昇ペースは、ロンドン全体で2.8倍、ニューハムでは5.6倍だった。
ロンドン大学バークベック・カレッジ(Birkbeck, University of London)で都市研究について教えているポール・ワット(Paul Watt)氏は「見上げれば、豪華な高層ビルを建設中のクレーンが空を埋め尽くしているのに、普通のロンドンっ子が本当に手の届く住宅を見つけることが困難になる一方だ」と述べる。