「新しい」左派的市民運動団体が求められていた。
そのような状況の中で、これまでの市民運動とは「全く関係のない」新しい学生運動の形として、マスコミやリベラル・左派(特に学者)から称賛された団体として「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動:Students Emergency Action for Liberal Democracy-s)がある 。
しかし、既に述べたように、「ヘイト(スピーチ・クライム)」は、在日朝鮮人保護の文脈で語られてきたことから、普遍的な「集団に対する名誉棄損」といったものではなく、日本人から在日朝鮮人に対して『のみ』存在するという「ガラパゴス」的な言説空間が生まれた。しかし、外国の例から見て「ヘイトスピーチ/クライム」としか表現しようのない言動は、在日朝鮮人の側からもなされている。有名な例として
① 「あなたたちが強姦して産ませた子供が在日韓国朝鮮人 」(辛淑玉女史)
② 「拉致問題の発覚で初めて堂々と『被害者となれる』チャンスが巡ってきた 」(同上)
③ 「生粋の日本人なら何人でも殺そうと思った 」(2013年5月の生野区通り魔事件)
④ 日本寺院に油をまき、文化財保護法違反等の疑いに問われた事件
⑤ 「しばき隊リンチ事件」
というものがある。
このように、我が国の中選挙区制において、主要政党数がデュヴェルジェの法則が示唆する「6」とはならない理由として、
① 定数が「5」でない(定数が「3」又は「4」)選挙区が存在したこと
② 当時の自民党の派閥が中選挙区制を勝ち抜くため「党中党」として機能していたこと
③ 自民党が過半数を制するためには同一選挙区で複数候補の当選が必要
という理由が挙げられる。
派閥政治華やかなりし当時、総理大臣(自民党総裁)として求められる条件として、一般的にいわれていたのは
① 派閥の領袖
② 主要閣僚(外相、蔵相、通産相)のうち2つ
③ 自民党三役のうち幹事長を含む2役
であった。
この条件から逆算すれば、総理・総裁「候補」として認知されるためには、
① 派閥の領袖(又は派閥の次期領袖として認知されている)
② 主要閣僚経験(財務(旧大蔵)、外務、経産(旧通産)いずれかの経験)
③ 自民党三役(特に幹事長又は政調会長)
のいずれか1つを満たすことが最低限の条件であろうと思われる。該当する職の経験数が増えれば増える程「有力候補」として認知されていく(特に政調会長と主要閣僚の両方を歴任した者は「将来の総理総裁候補」として見込みのある者である可能性が高い)。
本節では、
① 平成の初期に出現した旧来の政治構造と異なる「アウトサイダー」として現れた「無党派(知事)」から議会との対立構図を演出する「劇場型首長」への「発展」
② 小選挙区制導入をなどの「政治改革」が、地方自治体の二元代表制に対してどのような影響を及ぼし、その「(現時点での)最終形態」である橋下徹氏に至ったのか
6.2.3.5.2.2. 橋下氏の政治手法
橋下氏の政治手法は箇条書きにすれば
① 「敵」を作り出す
② 作り出した「敵」への住民の憎悪を煽る
③ 「敵」を倒すために首長である自分に「民意」という「全権委任」を求める
④ その「全権委任」によって、敵を滅ぼす
⑤ 滅ぼした敵の権限は橋下氏が握り、「全権委任」として「裁量」最大限に拡大
というものである
橋下氏は「民衆の興味は長続きしない」、「(損切のうまさ(損得勘定のうまさ)」を二大特徴とする政治家である。前者については、まず、「派手な政策」打ち上げる。そして、実際は裁判闘争なので、「取り消し処分」や「間違い」となることが多いのだが、
① その決定は年単位の時間を要する
② その決定は、最初に打ち上げた程には大きく取り上げられない
③ 決定がなされたころには民衆の注目度が消滅しているか小さくなっている
④ 「嘘」をつくコストの方が「嘘を暴く」コストより格段に小さい
(「嘘をついたもの(逃げ切り)勝ち」ということが往々にして生ずる)
という理由により、自身間違いが「隠蔽される」ということを熟知している。
また、「損切のうまさ」とは、
① 自身にとって本質的でない部分での不祥事はさっさと認める
② 後に尾を引かない形で「大げさに謝罪する」
という手法で、それ以上の追及を避ける。
これは、先の「長続きしない」とも関連するが、一度「大げさに」謝罪すれば、それ以上追及するほどの「持続力」を民衆は持っていないということを逆手に取った手法である。したがって、継続的に「燃料」を投下して、民衆の興味を長期間継続させないためにも、「最初に」、「大げさ」に謝罪することは必要となる。それと、橋下氏自身の「弁舌のうまさ」とが相まって、自身の失政を追及されない一因となっている。
リベラルは「政治的に正しい」という「ポリティカル・コレクトネス(political correctness:PC)」という概念を打ち立てた 。本稿の文脈での「PC」は
① 「政治的に正しい」を決める権限はリベラルの側「のみ」が持つ
② その正しさに対するする異論・反論は許されない
③ 疑いを掛けられた側が「無実」を証明しなければならない(「悪魔の証明」)。
④ 「PC」を理由とする限り、反対者にどのような制裁を加えても不問に付す
という特徴を持つ。
そのような排外主義の壁を破ったのが「福祉排外主義」と言われるものである。移民の流入・増大により、「近代化の敗者」に対する社会扶助が以前にもまして必要となった。そのためには、
① 増大する需要に対応できる財政上の措置
② 社会扶助費削減のため、社会扶助の対象となっている移民の対象者数を削減
という二つの手法がある。後者を強く主張する者が「福祉排外主義者」となる(勿論、それと合わせて、前者を主張することも可能である)。
2015年の総選挙でもスコットランドの地域政党であるスコットランド国民党(SNP:Scottish National Party)がスコットランドでは、59議席中56議席を獲得するという「完全試合」を成し遂げている。スコットランド国民党は中央レベルでは労働党と政策位置が近く、2015年の総選挙でも、仮に勝利すれば、労働党と連立を組むとの観測もあった。したがって、スコットランドにおいては、民族自決主義が「ネトウヨ化」或いは「極右政党」とは結びついていないというのが特徴となっている。