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日本茶掲示板同窓会

129キラーカーン:2017/10/10(火) 00:58:20
6.3.1.2.2. 英国内の地域対立とEU離脱問題との関係
 我が国では「英国」とあたかも単一国家のように扱っているが、英語で「UK:United Kingdom」というように、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの地域 からなっており、スコットランドには独自の議会も存在する。このため、これまで述べてきた地域間対立も「リベラルVS非リベラル」に影響を及ぼす。

 特にスコットランドは、2014年、スコットランドの独立を問う国民投票が実施されたことや北海油田の利益分配などでイングランドとは潜在的な対立関係にある 。EU離脱を問う国民投票では、スコットランドがEU残留で、ロンドン都市圏などを除くイングランドがEU離脱派という投票結果で、英国内の地域別の温度差が明らかとなった。

 2015年の総選挙でもスコットランドの地域政党であるスコットランド国民党(SNP:Scottish National Party)がスコットランドでは、59議席中56議席を獲得するという「完全試合」を成し遂げている。スコットランド国民党は中央レベルでは労働党と政策位置が近く、2015年の総選挙でも、仮に勝利すれば、労働党と連立を組むとの観測もあった。したがって、スコットランドにおいては、民族自決主義が「ネトウヨ化」或いは「極右政党」とは結びついていないというのが特徴となっている。

6.3.1.2.3. 2017年6月の総選挙(「大きな政府」路線による野党労働党の健闘)
 メイ首相は、労働党の合意を取り付け、EU離脱交渉を名目として解散総選挙に打って出ることとした 。解散時点では保守党が圧倒的有利であるといわれていたが、選挙期間中に労働党が差を詰めた。選挙結果は保守党が第一党の座を守ったものの、議席を減らし、過半数を割り込んだ。このため、実質的には保守党の敗北となった。保守党は、過半数まで10議席足らずという議席数であるため、少数単独政権を選択した。当面は北アイルランドを地盤とする保守政党である民主統一党(10議席)の閣外協力を得て政権運営を行うことを選択した。過半数を制する政党が存在しない中でのメイ首相の政局運営となるため、予断を許さない。

 労働党が健闘した要因としては、①「オールド・レイバー」とも言われるコービン党首が脱緊縮を掲げた政策を打ち上げたこと、②英国に選挙疲れがあったこと、などが言われている 。冷戦終結後の経済のグローバル化に対応したブレア元首相の唱えた「ニュー・レイバー」の効力が無くなり、長期低迷傾向にあった労働党が、「反緊縮」という旗印で「没落した中間層」の救済に取り組んでいるというメッセージを有権者に与えたことにより労働党が健闘した原因と言ってもよい。

 これは、トランプ大統領にも言えることであるが、「ネトウヨ化」の主力と見られている「没落した中間層」の票を獲得することができた効果でもある。これは、「欧米型ネトウヨ化」が経済主導型である事を如実に示している。

 ネトウヨ化以外の貧困対策(具体的には、反緊縮による「大きな政府」)を打ち出し、その政策が彼ら「没落した中間層」の琴線に響けば、左派であっても彼らの票を獲得できるということの証明でもある。

 その一方、ここ数年、英国政治の「台風の目」であった英国独立党(UKIP)が、今回の総選挙で敗北を喫した。前回の総選挙では二大政党に次ぐ得票率(10%超)を記録したが、今回は1%超の得票率にとどまった。EU離脱を掲げるUKIPの得票が激減したことも、労働党の健闘と合わせて、英国政治の「潮目」が変わったのかもしれない。その結果は、比例代表制で行われる次回の欧州議会選挙結果で明らかになるであろう。


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