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日本茶掲示板同窓会

106キラーカーン:2017/08/11(金) 01:15:07
6.2.4.4. 「大統領制化」に対する警鐘としての「田中角栄ブーム」
 これまで述べたように、我が国の選挙制度には、中選挙区制と地方自治体の二元代表制の組み合わせを採っている。この選挙制度によって敵と味方の区別が相対的なものであり、時と場合によって連携の組み合わせが異なる事を許容する政治環境にある。このことは、当選者が一人であるがゆえに敵味方が固定される大統領制や小選挙区制とはきわめて相性が悪い。

 しかし、大統領制の「母国」である米国が、なぜ、中南米諸国のような「大統領制民主主義の失敗」を経験しなかったかについては、大統領制研究の中でも大きなテーマとなっている 。そして、その「民主主義国のチャンピオン」としての米国の存在が「大統領制民主主義」のリスクを覆い隠しているのではないかとの指摘もある 。

 したがって、「田中角栄ブーム」が「大統領制化」に対するアンチテーゼとして起きているということであれば、その田中角栄ブームは、逆説的に、小選挙区制導入以後、或いは「小泉以後」の我が国の政治状況の大勢が「大統領制化」へ向かっていることを示しているともいえる。

 昨今の「田中角栄本」で描かれているように、田中角栄は「敵」への配慮も忘れない政治家であった。それは、「敵味方」の区別が相対的なものであり、コンセンサスによって国会運営が今よりも強力になされていた時代では、多数派を握るためには必要不可欠な政治手法であった。確かに、当時の田中派は自民党で最大派閥であり、「田中派支配」といわれる程度には「数の政治」である側面は持っている。しかし、最大派閥であっても過半数を握れない以上 、その多数は、必ずしも「強行採決」のための多数ではなかった。

 「大統領制化」の副作用として、何でも「敵味方」に二分されて、「大統領(首長)」の支持勢力の組織化によってその分断が固定化されてしまう。これまでは、そのような事態は「(政権交代可能な)二大政党化」として、好意的に語られてきた。

 しかし、小泉以後の政治、特に二元代表制を採る地方自治体で、議会に敵対的な「改革派首長」の出現するようになった。この結果、「敵味方」で運営される「1ビット脳的政治」の不都合な点に少なくない人々が気付いた。そのような「敵か味方か(1ビット脳的政治)」の弊害に気付いた人々が、その対抗軸として「(コンセンサス志向の政治である)55年体制の権化」である田中角栄を美化し称賛していると推測できる。


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