したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

昔桃子やベリの学園小説書いてた者だけど〜新狼

3011:2015/09/08(火) 04:31:21
雅さんは、ベッドの上に横たわると、
「じゃあ…、おいで」と、俺を誘った。

「は、はい! いただきます!」
反射的におバカな返事をしながら、俺は思った。
(とにかく、雅さんのマ○コを、じっくり見たい!!)

俺は雅さんの両膝を押し広げると、そこに顔を埋めた。

ぴたりと閉じたピンク色の花びらが、じっとりと濡れていた。

「綺麗だ…。綺麗です!雅さん!」
俺は自分の愚息がまたビンビンに復活してくるのを感じながら、そこに口づけした。

「ア…、アン、アンアン…」
雅さんがかわいらしい声で鳴きだした。

3021:2015/09/09(水) 03:23:24
俺の舌遣いに合わせて、どんどん高まっている様子の雅さん。

(このまま舐め続ければ、イクだろう)とは思ったものの…。
それではさっきのリベンジにならない気が俺はした。

それに、やはりここは、俺のチンポで雅さんをイカせなければ、
せっかく筆下ろしをしてもらった恩返しにもならないではないか。

「雅さん、挿れますよ…」
身を起こしながら俺が言うと、
「いいわよ…」と、雅さんが囁いた。

3031:2015/09/09(水) 03:24:28

雅さんの両膝を抱えるようにして、俺は一物を雅さんにあてがった。

単に先っぽが粘膜に接触しただけなのに…。
さっきゴム付きでしたときとは一段レベルの違う気持ち良さが、瞬時に俺を襲ってきた。

(やばい! こりゃ、またすぐにイッちゃいそうだ…)

慌てて挿れるのは危険すぎた。

俺は心を落ち着かせるために、ちょっとの間、先っぽだけを雅さんの中に、
挿れたり出したりしていたのだが…。

雅さんは、「あーんっ…、もう! 生意気にじらしたりして! 早く挿れてえっ…!」
と、泣き声を上げた。

3041:2015/09/09(水) 03:24:54
ズンッ!

雅さんのその言葉が終わらぬうちに、俺は一気に雅さんの奥まで一物を叩きこんだ。

「ひいっ!」と、雅さんが1オクターブ高い声で叫んだ。

すんでのところでこらえたけど、本当は声を上げたいのは俺の方だった。

生で味わう雅さんの中は、生温かくて、ねっとりと俺を包み込んでくるようで、
本当に、ちょっとでも気を抜いたら、すぐにでも暴発してしまいそうな気がしたのだった。

数秒、そのままの態勢で気を落ち着かせた後、
意を決して、俺は前後に動き出した。

「あっ、あっ、あっ…」と、俺の動きに合わせて、可愛い声で鳴く雅さん。

3051:2015/09/09(水) 03:25:16

何が何でも、今度は先に雅さんをイカせたい。
でも、それにはどうすればいいのか…。

ピストン運動を続けながら、俺は必死で考えたけれど、
つい今しがた童貞を卒業したばかりの俺に、そんな妙案が浮かぶはずもなかった。

(とにかく、若さに任せて力で押しまくるしかないッ…!)

そう思ってピストンのスピードを速めようとしたとき、力んだせいか、
偶然に、一物の当たる角度が変わって、雅さんの感じるところを捉えたようだった。

「あっ! そこ! そこ、イイッ!」
雅さんが、両足を俺の腰に絡めてきた。

3061:2015/09/09(水) 03:25:38
雅さんが足を絡めてきたせいで、俺の方も快感が倍増した感じになってきた。

(いかん! このままだと、また俺が先にイッちゃうかも…!)
そう思ったものの、今さら動きを止めるわけにもいかなかった。

(俺が先にイクか、それとも雅さんを先にイカせるか…!?)

俺は最後の力を振り絞って、もう一段ピストンのスピードを速めていった。

その時、雅さんが「アッ! イク、イクイク!」と叫んで、体をガクガクと痙攣させた。

たとえようのない征服感に包まれて、歓喜する俺。
しかし、次の瞬間、雅さんがさっきと同じく、ギューッとそこに力を入れて、俺を締め上げてきた。

「アッー!!!」

一物を抜き去る余裕などあるわけもなく、
ビュッ、ビュッ、ビュッ!と、俺は雅さんの奥深くに、愛の弾丸をたっぷりと撃ちこんでしまった。

3071:2015/09/10(木) 05:10:48
https://www.youtube.com/watch?v=J_P4Hb6upDc

3081:2015/09/10(木) 05:11:12
しばらく放心状態のまま、俺は雅さんの上に覆いかぶさっていたけど…、
やがて、我に返ってのろのろと起き上がった。

それにしても…。
雅さんのマ○コの締め付けは強烈過ぎた。

その時は、これが普通なのかと思ったけれど…、
その後、俺が同級生とか他の女の子とセックスしたときも、
こんな強烈な締め付けを味わうことはなかったから、
やっぱり雅さんが名器だったってことなんだろう。

それはともかく…

俺は雅さんの中にたっぷりと生で放出してしまっていたのだった。

(どうしよう…?)

そう考えていると、雅さんが、

「ちょ…、信じらんない。中で出すとか…」

と、体を起こしながら、俺をなじってきた。

3091:2015/09/10(木) 05:11:39
「ご、ごめんなさい…」
と、俺は謝ったけど…、

「『ごめん』じゃないわよ。妊娠したらどうすんのよ!?」
と、雅さんはご立腹だった。

当然と言えば当然な怒りだった。

「雅さん…! 俺と結婚してください!」
俺は思わず叫んだ。

「はあ?」
と、呆れた様子の雅さん。

「雅さん! 『妊娠したら』じゃなくて、妊娠してください! そして俺の子供を産んでください!」
「えっ…?」

「雅さん! 好きです! 雅さんと結婚したい!」
俺はそう言って、ベッドの上に再び雅さんを押し倒した。

それは実際、その時の俺の正直な気持ちだったのだ。

3101:2015/09/10(木) 05:12:11
雅さんは、俺の髪の毛を撫でながら、
「もう…、可愛いこと言っちゃって…。困った子ね…」
と、呆れたように言った。

「でも…、本気なんです! 俺、雅さんのこと…!」
「『結婚して』とか、どうやって生活するの?」
「それは…、学校辞めて、バイトとかして…」
「そんなこと、できるわけないでしょ」

沈黙が流れた。

「しょうがないなあ…。アフターピル持ってるから、まあ、いいよ」
と雅さんが言った。

「えっ、何ですかそれ」
「そういう薬があるの」
「そうなんですか…。良かった…」
「良くないわよ! それ飲むと、すごく体調悪くなるんだから」
「そうなんですか…。ごめんなさい」

しばらくの沈黙の後、

「あのねキミ、責任とって、もう一回、ちゃんとお姉さんをイカせなさい!」
と、言いながら、雅さんが俺にキスしてきた。

3111:2015/09/10(木) 05:12:33
それは俺も望むところだった。
俺はもう、二回も放出していたけれど、徐々に慣れてきた感じも、間違いなくあったのだ。

(次こそは、もっと雅さんを攻めたててやる)
そんな気持ちがこみ上げてきた。

「雅さん、今度は後ろからしてもいいですか?」

俺が聞くと、雅さんは「フフッ」と笑ってから、「好きにしていいよ」と囁いた。

「じゃあ…、そこの窓際に立ってください」
と、俺が言うと、「そんな、生意気なこと言って…」と雅さんが言いかけたけど、
俺は有無を言わさず、雅さんを後ろから抱きすくめると、再び硬直していた愚息を、
ズブリと雅さんの中に突き入れた。

「あっ!」と、雅さんが鳴き声を上げた。

「みやび!みやび!」
俺は雅さんの腰をつかみながら、激しく雅さんの中に一物を突き差しした。

3121:2015/09/10(木) 05:12:55
「あっ! あん!あん!あん!」
と、甘い声を立て始める雅さん。

窓の下は、街の明かり。
よく見ると「アンジュルム」の店の看板も、真下で光っていた。

「雅さん、あそこが『ベリーズ工房』のあったところですよ。見えますか?」
俺がそう言いながら、雅さんの背中を舐めて、ピストンを続けると、
「あんっ! それ! それ、いい!」と、雅さんが泣き声を上げた。

(この人…、ドSだと思ってたけど、ドMでもあるんじゃ…?)

そう思った俺は、試しに雅さんの立派なお尻をピシャッと、平手で叩いてみた。

その途端、
「ふあーっ!」
と、盛りのついたネコのような叫び声を雅さんが上げた。

(間違いない!)

3131:2015/09/10(木) 05:13:16
「みやび!みやび!みやび!」
真っ赤に手の跡がつくほど、俺は強い力で雅さんのお尻を何度も何度も叩きながら、ピストンを続けた

「ふあーっ!ふあーっ!ふあーっ!」
ガクガクと体を震わせながら、連続して雅さんがイッた。

(勝った!)

俺はそう感じながら、なおも雅さんを突き続けた。

崩れ落ちそうになる雅さんの腰を抱えて、一方的に突き続けた挙句、
俺も雅さんの中に再び放出した。

ミヤ━━━(゚∀゚).━━━!!!

俺は叫びながら、もう三度目なのにこんなに出るのか、と思うほどの量を、
雅さんの子宮の奥に叩き込んだ。

<その時の俺の脳内の叫び声>
https://www.youtube.com/watch?v=AvpgQ7Vjafk&feature=player_detailpage#t=201

3141:2015/09/10(木) 05:13:32
俺たちはその後、しばらくの間、放心状態のままで、ベッドの上に佇んでいた。

「最初は童貞クンをつまみ食いしようと思っただけだったんだけど…、キミ、よく頑張ったね」
と、雅さんが笑った。

「雅さん! 俺は雅さんのこと、本気で好きになっちゃいました!」
「えっ?」
「雅さん! 離れたくない!」

俺は雅さんにしがみついた。

雅さんはしばらくの間、優しく俺の髪を撫でてから、
「ダメよ。○○クンは、ちゃんと本当に好きな子を見つけなきゃ」
と、囁いた。

「そ、そんな…。雅さん、また会えませんか?」
俺がそう懇願すると、雅さんは、
「ううん、もう会えない」と、優しく笑った。

3151:2015/09/10(木) 05:14:04
雅さんと別れてから…、
俺はのろのろと歩いて家に向かった。

市電はとっくの前に終電が出た後だった。
歩いて帰ると、40分以上の長い道のりだった。

俺はその道すがら、さっきまでの雅さんとの初体験を心の中で反芻し続けていた。

「俺はもう童貞じゃない。しかも、雅さんみたいな最高のオンナを征服した!」

そのことが、とにかく誇らしかった。

家に着いたときは、すでに午前3時近かった。
いくら何でも遅すぎた。

(姉ちゃんは、俺の顔を見たら何て言うだろう…?)

そう思いながら家のドアを開け、中に入った。

居間の明かりは既に消えていた。
姉ちゃんやセンセイたちも寝たのだろう。

俺は少しホッとして自分の部屋に戻ろうとしたとき、

「お帰り」と、後ろから声をかけられた。

3161:2015/09/11(金) 01:40:39
慌てて振り向くと…、

そこにはパジャマ姿の嗣永センセイが立っていた。

<パジャマ姿の嗣永センセイ・イメージ画像>
http://i.imgur.com/0KVe10m.jpg

「あっ、ただいま…。姉ちゃんたちは?」
と、俺が少し焦りながら聞くと、
「千奈美は結構前に潰れて寝ちゃった。佐紀ちゃんたちもさっき眠ったところ。
まだ起きてるのは、私と茉麻だけ」と、嗣永センセイは、声を潜めて言った。

俺はちょっとホッとしながら、
「そうですか。それじゃ、俺も寝ます。おやすみなさい」
と言って、部屋に戻ろうとしたけれど、

「待った!」
と、嗣永センセイは、俺の腕を引っ張った。

3171:2015/09/11(金) 01:41:12
「えっ、ちょっと…」
うろたえる俺に有無を言わせず、嗣永センセイは、
電気の消えた居間の中に、俺を引っ張りこんだ。

居間のソファーには、やはりパジャマに着替えた須藤さんが寝そべっていて、
俺を見ると、少しニヤりとしながら、「お帰り」と言った。

須藤さんも、もうかなり酔っているのか、
心なしか眼のふちが、とろんとしているように見えた。

<パジャマ姿でソファーに寝そべる須藤さん・イメージ画像>
http://i.imgur.com/qfgJXG3.jpg

本当はこっちを使いたかったんだけど…、ちょっと無理があるかな
http://i.imgur.com/6PCX2sc.jpg

3181:2015/09/11(金) 01:41:33
居間の隣の客間には布団が敷かれていて、
姉ちゃんや清水センセイたちが雑魚寝していた。
3人のスース―という寝息が、居間にも響いていた。

近づいて行った嗣永センセイが、そーっと客間の襖を閉じた。

すると、ソファーから起き上がった須藤さんが、
「じゃあ、話聞こうか」と、
真面目なのかふざけているのかわからないような口調で、俺に言った。

3191:2015/09/11(金) 01:41:55
「は、話って…、何のことですか」

と、俺が言うと、須藤さんは、
「まあ、そんな固くならずに、焼酎でも飲みなよ」と、
残り3分の1ほどにまで減っていた大五郎のペットボトルを取り出し、
グラスにドボドボと注ぐと、申し訳程度のウーロン茶を混ぜて、俺の前に突き出してきた。

「そうそう。飲んじゃえ飲んじゃえ」と、無責任に煽る嗣永センセイ。

俺はしばらくコップを見つめていたけれど、意を決してゴクンと呑み込んだ。

3201:2015/09/11(金) 01:42:17
「おー、いい飲みっぷりだねえ…」と、須藤さんは言いかけたけれど、
次の瞬間、俺は、「ゴホッ、ゴホッ!」と、むせてしまった。
須藤さんが注いだ焼酎は、ほとんど原液に近い感じの濃さだったのだ。

それに構わず、須藤さんは声を落として、「ねえ、ミヤに抱かれてきたの?」
と、単刀直入に切り込んできた。
興味津々、という感じで須藤さんの目が光っていた。

「どうなのよ。ハッキリしなさいよ」
と、こちらも目の光に力のこもる嗣永センセイだった。

3211:2015/09/11(金) 01:42:38
「そんなこと…」
と、俺は口ごもった。

そんなことをペラペラと、この人たちに喋っていいわけがない。
それが俺を男にしてくれた雅さんへの仁義というものだろう。

「雅さんを送って、途中で一緒にお茶飲んで、帰ってきただけですよ…」
との、俺の言葉が終わらないうちに、
「そんなんで、こんな時間になるわけないじゃん」
と、嗣永センセイが真顔で詰めてきた。

3221:2015/09/11(金) 01:43:01
「そんなこと言われても…、本当にそれだけですから!」

俺が強い口調で言い切ると、須藤さんと嗣永センセイは、2人で目を見合わせて、
何かいわくありげに頷き合った。

次の瞬間、須藤さんがいきなり、俺を後ろから羽交い絞めにしてきた。

「えっ!? ちょっ!? 何するんですか、須藤さん!?」
俺は暴れて逃げようとしたけれど、須藤さんの怪力にガッチリと抑え込まれて動けない。

それに、須藤さんのオッパイが、完全に俺の背中に密着する態勢になって、
さっき三発も出してきたばかりなのに、俺の下半身はビンビンに膨らんできた。

「桃!今のうちよ!」と、須藤さんが言うと、
嗣永センセイが顔を突き出して、クンクンと俺の全身の匂いを嗅ぎ始めた。

「ちょっ!嗣永センセイまで!いったい何を!?」

前かがみになった、嗣永センセイのパジャマの胸元はばっくりと開いて、
ピンク色のブラジャーに包まれた意外に豊満なオッパイが、
俺の位置からは丸見えになった。

「どう、桃?」と須藤さん。
「うん。ミヤの香水の匂いがプンプンする!」と嗣永センセイ。

3231:2015/09/11(金) 01:43:21
ようやく俺を離した須藤さんが、
「決まりだな」と、勝ち誇ったように言った。

「うん。完全にギルティ!」と、頷く嗣永センセイ。

「ちょっ! 馬鹿馬鹿しい! だってさっき俺は…」

(帰りにシャワーを浴びてきたから、移り香など残っているわけない)
と、言いかけて、俺はハッとして、両手で口を抑えた。

危ない危ない…。

この二人の連係のとれた鮮やかな誘導尋問に、あやうく俺は引っ掛かるところだったのだ。

「さっき…、どした?」と須藤さん。
「何があったの?」と嗣永センセイ。

「何もないです!お休みなさい!」
俺は二人を振り払うようにして、自分の部屋に戻り、そして寝た。

ベッドに入ると、大五郎の酔いが強烈に回ってきて、
俺はあっという間に眠りに落ちてしまった。

3241:2015/09/20(日) 05:14:51
目が覚めた時は、すでにお昼近くになっていた。
俺はベッドの中で、ぼんやりした頭のまま、
昨夜の雅さんとの出来事を何度も思い返した。

(夢じゃない)

今日は、童貞じゃなくなった俺が、最初に迎える朝だった。いや、昼だけど…。

のろのろとベッドから這い出して、階段を降りて居間にいくと、
すでにセンセイたちは帰った後のようで、誰も居なかった。

ソファーに座ってボーっとしていると、千奈美姉ちゃんがやってきた。
姉ちゃんも、酒が残っているのか、まだボーっとした顔をしていた。

从*´∇`)<あっ、アンタも起きたの?

と姉ちゃんが言った。

3251:2015/09/20(日) 05:15:13
「うん…。嗣永センセイたちは?」

从*´∇`)<さっき帰ったとこ…。あー、飲みすぎたわ。

姉ちゃんが昨夜の雅さんのことなど忘れているのか、話題に出してこないのにはホッとした。

「ところで、姉ちゃん、今日はアシカに餌やりにいかなくていいの?」

从*´∇`)<うん。今日は当番変わってもらった。てゆーか、変わってもらえたから昨日飲み会にしたの。

「そなの」

从*´∇`)<それよりアンタ、学校行かなくていいの? ダンス部だかの練習あるんじゃないの?

「いや、今日は休み。てゆーか、自分がその飲み会明けだからって、清水センセが勝手に休みにしたの」

从*´∇`)<そうなんだー

3261:2015/09/20(日) 05:15:38
俺はしばらくそのままソファーの上でボーっとしていたけど、
少し経ってから、「やっぱり学校に行こう」と思い直した。

ダンス部の練習がない日に、この間から貯まったままの写真を、
現像・引き伸ばししておきたかったのだ。

お昼少し前になってから、俺は自転車に乗って家を出た。

自転車を漕いでいると、まだ昨夜の酒が抜け切っていないのか、少し頭が重かった。

(スポーツドリンクでも買っていくか…)
と、例のコンビニの前まで来たときに思った。

もしかして、舞さんがいないかな、と少し期待しながら入ったけど、
レジにいたのは、舞さんのお父さんという、いつものやる気のないおじさん店長だった。

飲み物の棚からスポーツドリンクをつかんでかごに入れて、レジまでいく途中、
ふと、俺は雅さんの昨日の言葉を思い出した。

「男の子ならコンドームくらい持ち歩いておくのがエチケット」ってやつだ。

3271:2015/09/20(日) 05:15:59
俺は今までそんなものを買ったことがなかったけど、
もう俺も童貞じゃないわけだし…(ドヤ顔)。

確かに雅さんの言う通り、いつどんなことがあっても困らぬよう、
コンドームくらいは持っていた方がいいように思えてきたのだ。

幸い、このおじさん店長の時には、エロ本を買ったことも何度もあるし…。
今が絶好のチャンスのような気がしてきた。

俺は、無造作にコンドームの箱をつかんでかごに入れると、レジに向かった。

「ポンタカードお持ちですか?」とおじさん店長が聞いてきた。

「あっ、あります。確か鞄の中に…」

鞄の中を探っていると、レジの奥の扉が開いて舞さんが出てきた。

「パパ、レジ替わるよ」

そういうと、舞さんが俺の前に来て、
「あら、昨日の、愛佳の生徒の子ね?」と笑った。

3281:2015/09/20(日) 05:16:30
俺は慌てて、レジからいったん離れようかとも思ったけど…、
その時には、すでに舞さんが俺の顔を見てニコニコと話し出していた。

「昨日はゴメンね。ホントはあんな風に大げさにするつもりはなかったんだ。
実は、まいもあれから結構気になってて。でも、キミがまた買い物に来てくれて嬉しいよ」と、
早口で、弾んだ声で話す舞さん。

「あっ、はい。いえ…」
しどろもどろに返事をする俺。

そう言いながら、舞さんが、かごの中のサガミオリジナルを手にとって、
そのまま数秒、固まった。

見る見る顔を真っ赤に染めていく舞さん。

舞さんは上気した顔で、無言のままバーコードリーダーを箱に当てた。

それから…。

舞さんは一切俺に視線を合わすことなく…、
エロ本や生理用品と同じ扱いなのか、サガミオリジナルをわざわざいったん紙袋に入れてから、
レジ袋に入れて、俺に押し付けるように手渡してきた。

3291:2015/09/20(日) 05:16:49

会計を済ませた俺は、逃げるように店を出た。
心臓がドキドキと高鳴ったまま、俺は自転車を漕いだ。

(舞さん、また光井センセイに言いつけるだろうか?)と俺は考えた。

でも、昨日と違って、舞さんは文句を言わずにコンドームを売ってくれたのだ。
てゆーか、よくよく考えたら、高校生がコンドームを買っちゃダメなんていう法律はないだろう。

それよりも、客が何を買ったとか、プライバシーを漏らすことの方がよほどの問題だ。
だからこそ、舞さんも、わざわざ紙袋にコンドームを包んだのだ。

俺は必死に理屈で自分を安心させようとしていた。

ちょっと落ち着いてくると、別の興味も俺の頭の中に浮かんできた。

(コンドームくらいであんなに真っ赤になっちゃって…。舞さん、処女なのかな…)

もう自分は童貞じゃない、という心の余裕が、俺にそんなことを考えさせていた。

3301:2015/09/20(日) 05:17:07
学校に着くと、俺はまっすぐに写真部の暗室へと向かった。

暗室に着くと、ドアの上の「現像中」のランプが目に入った。

(誰だろう…?)

俺はトントンとドアをノックした。

「ゴメン、今印画紙しまうから、ちょっと待って!」

女の人の声だった。

3311:2015/09/20(日) 05:17:53
ドアの前で待つこと数分。

「待たせちゃって…、ゴメンね」と言いながらドアを開けてきたのは…、
3年生の山木先輩だった。

「あっ、山木さん。どうもお久しぶりです…」と俺はあいさつした。

山木さんは、「あっ、○○クン、元気だった?」とはにかむような笑顔を見せてから、
「私もう部を辞めたのに、勝手に暗室使っちゃって、迷惑だよね?
ゴメン。今片づけるから…」と、真面目な顔をして言った。

「迷惑だなんて、そんなこと…。構わないから続けてください」
俺がそう言うと、山木さんは、
「でも、○○クンも現像するんでしょ?」と、俺の目を覗き込むように言った。

「引き伸ばしをしようと思って来ましたけど…。引き伸ばし機は二台あるんだし、
お互いに声をかけあってやれば、2人で同時にやっても全然問題ないですよ。
どうぞ続けてください」

俺がそういうと、山木さんは「悪いね…。じゃあ、お言葉に甘えちゃうよ」
と言って、笑った。

<山木先輩・イメージ画像>
http://i.imgur.com/j8gQN1u.jpg
制服の種類が違うのは、例によって脳内補完で頼む。

3321:2015/09/20(日) 05:18:24
カギをかけた、薄暗い暗室の中で山木さんと二人っきり…。

そのことに気付くと、俺は急にドキドキとしてきた。

何を隠そう…。
俺の初恋の人は須藤さんだったけど、高校に入って最初に好きになったのは、
宮本ではなく、今、目の前にいる、この山木さんだったのだ。

高校に入って、俺に写真の現像の仕方を初めて教えてくれたのも山木さんだったし、
飛びぬけた美人ではないかもしれないけど、清楚で真面目な感じに、
入学したての俺は、たまらなく惹かれたのだ。

いつも優しい山木さんは、俺にとって、理想の姉みたいな存在だったのだ。

いや、千奈美姉ちゃんが理想の姉じゃない、とは言わないのだが…。

3331:2015/09/20(日) 05:18:49
実を言うと、俺は高校1年の時に、この山木さんに告ろうか、と思ったこともあったのだ。
でも、山木さんにはその時既に、2年年上の彼氏がいて、俺は諦めたのだった。

その彼氏も写真部の人だったらしいのだけど、俺とは入れ違いだから、会ったことはない。

その彼氏は頭が良くて、東京のK大に推薦入学したという話だった。

そして、山木さんも同じくK大に推薦で進むだろう、というのが最近の専らの噂だった。
何せ山木さんは、うちの高校でも常に学年で5番以内に入っているような才女なのだ。

3341:2015/09/20(日) 05:19:09
俺が引き伸ばし機にネガをセットしていると、山木さんが、
「最近の写真部はどうなの?」と、聞いてきた。

「どうって…。山木さんたちが辞めてからガタガタですよ。
相変わらず、真野ちゃんはヒステリーばかり起こしてるし…」と、俺は力なく笑った。

「そうなんだ…」と山木さん。

「せめて、次の高文連までは、山木さんたちに頑張って欲しかったんですけどね…」
俺がそういうと、山木さんは、
「ごめんね…。あんな時期に辞めるなんて、かわいくないやり方だったけど…」
と、伏し目がちに言った。

真野ちゃんと山木さんの方針の対立は極限に達していたから、それは仕方のないことだった、
と俺は思ったけど、それをうまく口に出して言う自信がなくて、俺は黙っていた。

3351:2015/09/20(日) 05:19:49
それからしばらく二人とも無言になって…。
それぞれ自分のネガを引き伸ばすのに熱中していた。

山木さんは何か、風景画のような写真を何度も何度も納得いくまで焼き直している様子で、
俺は俺で、この間の「カレーを食うズッキ」の写真を焼き直したり、
「涙を流す宮本」や「振り向く植村」の写真を引き伸ばしたりしていたのだが…。

定着液に溜まった俺の印画紙を見て、山木さんが驚いたように言った。

「えっ、女の子の写真ばっかりじゃん。びっくりー」
「えっ、おかしいですか?」
俺は少し、顔が赤くなるのを感じた。まあ、暗室の中では見えないだろうけど。

「別におかしくはないけど、何か意外ー」
「えっ?」
「ホラ、○○クンって、あまり女の子に縁のないイメージだったから…」

それは…。
童貞丸出しだったってことなのだろうか…。

俺が何気に傷ついていると、
「あっ、いや、ゴメン。別に変な意味とか、馬鹿にしてるとかじゃなくて、
○○クンは硬派っていうのか、大器晩成っていうのか…。
えっと…、女の子とかより、お寺や神社の写真ばっかり撮っているイメージだったから…」

山木さんがちょっとしどろもどろになりながら、必死にフォローしてきた。

3361:2015/09/20(日) 05:20:12
俺が黙っていると、山木さんは、
「でもちょっと複雑な気分だなー。○○クンのことはずっと弟みたいに思っていたから。
そのキミが女の子の写真を撮りだすなんてねー。しかも写っているのは可愛い子ばかりだし」
と言って、俺の焼いた印画紙をまた見返して言った。

妙な話になってきて、俺は少しどぎまぎした。

「そ、そんなことより、山木さんの写真、見せてください」
と言って、俺は水洗い槽に入ったままの、山木さんの印画紙を引っ張り出した。

それは何か、抽象画のような難解な写真だった。

学校の体育館への渡り廊下なのか、周囲が暗いトーンに覆われていて、
遠くのドアの向こうがハイライトになっている。廊下にはところどころ薄い陽が差し込んでいて、
廊下に影を織りなしている、というような構図だった。

よくは分からないけど、これは山木さんの心象風景を表しているのかな、と俺は思った。

ドアの向こうのハイライトは、未来をイメージしているのだろう。
では、全体を覆う暗さはいったい何なのか…。

俺は勝手にそんなことを考えていた。

3371:2015/09/20(日) 05:20:35

「何か、じっくり見られると、恥ずかしいけど…」と山木さんは囁いた。
「いや、俺はこういう写真、すごく好きです。でも…」
「でも?」
「真野ちゃんはこういうの、きっと認めないだろうなあ…」

山木さんは、それには答えず、
「これを高校時代の最後の写真にしようと思っていたの。
明日からは、もう受験勉強頑張らなきゃならないし」と、言った。

「受験勉強って…、山木さんはK大に推薦入学するって聞きましたけど?」
と俺が驚いて聞くと、山木さんは、
「K大、やめることにしたんだ。国立大を受験しようと思って」と力なく笑った。

「何でですか?もったいない! それに…、山木さんの彼氏ってK大なんでしょ?」
「…別れたんだ」
「えっ?」
「てゆーか、ハッキリ言うと、捨てられたの。私は結局遊ばれてただけみたいで…」
「そんな…」

俺が言葉を継げずにいると、いきなり山木さんが俺の背中に抱きついてきた。

「えっ!?」
「ゴメン…。しばらくの間、こうさせていて…」

山木さんは俺の背中で、泣いているようだった。

3381:2015/09/20(日) 05:20:59
山木さんが俺の背中で泣いている間、俺は何もできずに、
ただ木偶の坊みたいに突っ立っているだけだった。

その間、山木さんが途切れ途切れに言ったことをつなぎ合わせると、
山木さんは、夏休みに入ってすぐ、東京の彼氏の元を訪れたということだった。
それも、驚かせようと思って、何の連絡もせずに。

んで、彼氏のアパートを訪れると、彼氏は、東京でつくっていた他の女と、
セックスの真っ最中だった…、というような、
まあ、いかにも安い恋愛小説にありそうな、ベタな話だった。

俺はその話を聞いて、ムカムカと腹が立ってきた。

俺が新入生の頃から、ずっと憧れていた山木さん。
その山木さんの心と体を弄んで、紙屑みたいにポイと捨てた男がいる…。

そう考えると、その男をボコボコに殴ってやりたいような怒りとともに、
今すぐ山木さんを無理やりにでも犯して、
山木さんの気持ちを上書きインストールしてやりたいような、
複雑な感情に襲われて、俺は酷く狼狽した。

3391:2015/09/20(日) 05:21:20
まだ俺の背中で泣き続けている山木さんに、正面から向き直ると、
俺は山木さんの体を、ギュッと、きつく抱きしめた。

「えっ…!?」
と、狼狽した様子の山木さん。

俺は無言のまま、山木さんの唇を奪った。

「ちょっ! えっ? イヤ…」
驚いて、慌てたように、身をよじる山木さん。

「山木さん! 俺はずっと山木さんのこと好きでした。そんなやつのことなんか忘れて、
俺の女になってください!」

俺は再び山木さんの体をきつく抱きしめた後、むさぼるように山木さんの唇を求めた。

もう山木さんも拒まなかった。

『来た球を打て』という、雅さんの言葉が、俺の頭の中を支配していた。

3401:2015/09/20(日) 05:21:44
ねっとりとじっくりと、俺は山木さんの唇を貪った。
俺にとっては…、
これが大五郎の味のしない、初めてのキスだった。

(俺はもしかして、勢いに流されてこんなことをしているのか?)
キスをしながら、俺は自問した。

(いや、違う)

俺はもともと、このお姉さんみたいな人のことを、ずっと好きだったのだ。
でも、たまたま彼氏がいたから諦めたというだけの話であって、
いつでも俺は、隙あらばこの人のことをずっと狙っていたのだ。

と、そこまで考えてから、俺はまるでそれが、
自分に言い聞かせているような言い訳のように思えてきて、少しうろたえた。

ハッキリ言えば…、
昨日雅さんとセックスして、童貞を捨てていなければ、
こんなに調子に乗ったことは、できていないのではあるまいか…。

(違う!そんなことない!)

俺は、そんな気持ちを打ち消すように、山木さんの胸を、制服の上から鷲掴みにした。

3411:2015/09/20(日) 05:22:07
(これが…、女の人の、本物のオッパイか…)

いや…。
昨日触った、雅さんのオッパイが偽物などというつもりはない。

でも…。
どこまでも柔らかい山木さんのオッパイに触れて、俺は陶然となったのだ。

「くっ…!」
と、山木さんは、かみ殺すような声を一瞬上げたけど…、
別に俺の手を振り払ったり、嫌がるようなことはしなかった。

3421:2015/09/20(日) 05:22:26
「好きです…。山木さん!好きです!」
そう言いながら、俺は山木さんの首筋を吸った。

「あっ…!」
と、押し殺したような声を出す山木さん。

(本当に好きなのか?)

俺の中のもう一人の俺が問いかけてきた。

鞘師の顔が、宮本の顔が、めいの顔が、俺の脳裏をよぎった。

俺は思わず、首を強く振った。

(鞘師も、宮本も、めいも捨てる! 俺は今、山木さんが欲しい!)

俺は山木さんのセーラー服の裾から、右手を忍ばせていった。

3431:2015/09/20(日) 05:22:45
俺は山木さんのセーラー服の上着を乱暴にたくし上げて、
白いブラジャーの上から、山木さんの意外に豊満な胸を掴んだ。

「うっ…、うくっ…! うくうっ!」
山木さんはこらえるような嗚咽を漏らしながら、俺の手を制するように、抑えてきた。
でもその時すでに、俺の逆の手が山木さんの背中に回り、ブラジャーのホックを外していたのだ。

ポンッ、と弾けるように露わになる、山木さんのオッパイ。
ビンビンに尖った乳首を、薄暗く赤い安全灯が照らした。

「山木さん!山木さん!」
俺は叫びながら、その乳首にむしゃぶりついた。

「うっ… ううっ、ふううっ…!」
なすがままに俺に乳首を吸われながら、身もだえする山木さん。

3441:2015/09/20(日) 05:23:04
俺は山木さんの丸いお尻をスカートの上から撫でまわしてから、
今度はスカートの中に手を入れていった。

「ダメ…、それはダメ…」
切迫したような低い声で、一度山木さんが激しく抵抗したけど、
俺はお構いなしに、山木さんの恥丘をパンツの上から手のひらで包み込んだ。

(あっ!)
と、俺は思った。

山木さんのパンツは、まるでオシッコをもらしたみたいに、グショグショに濡れていたのだ。

3451:2015/09/20(日) 05:23:29
(すげえ…!)
俺は興奮しながら、山木さんのパンツの中に指を侵入させた。

グチョッ、グチョッ、グチョッ、グチョッと、
俺の指の動きに合わせながら、山木さんのそこがイヤラシイ音を立てた。

山木さんみたいな清楚で真面目なお姉さんが、こんな下品な音を立てながら、俺の指を下の口で受け入れている…。
そう思うだけで、既に俺のチンポも破裂しそうなほどに勃起していた。

「くっ! ううっ…! ふあっ! うわあーっ…!」
瞬間的に、大声を上げた山木さんは、次の瞬間、慌てたように自分の両手で口を塞いだ。

「うぐぅ… うぐぅ… うぐぅ…」
山木さんの手の隙間からくぐもった嗚咽が漏れた。

3461:2015/09/20(日) 05:23:48
よく見ると…。
山木さんは両目から涙を流して泣き続けているようだった。

その涙を見た瞬間、俺は正直言って、少し萎えた。
山木さんが嫌がっているなら、こんなことを続けても意味がない。

そう思って顔を覗き込むと、山木さんと視線があった。

山木さんは真っ赤な顔をしながら、
「お願い…。私のこと滅茶苦茶にして…。全部忘れさせてほしい…」
と、途切れ途切れに言った。

3471:2015/09/20(日) 05:24:08
山木さんの哀願の声を聞いて、俺はつい興奮して、
思わず中指を山木さんの奥深くへ、ズブっと突き挿してしまった

その瞬間、「ヒッ!」と、短く叫び声を上げた山木さんは、
体をガクガクと震わせて痙攣し、倒れそうになった。

俺は慌てて山木さんの体を支えた。

(もうイッちゃったのか、山木さん…。でも滅茶苦茶にしてほしいって言ったよな…。
じゃあ、まだまだこんなもんで済ませるわけにいかんだろう…)

山木さんが少し落ち着きを取り戻してきたのを見計らって、
俺は鞄の中から、さっき舞さんのコンビニで買った、サガミオリジナルの箱を取り出した。

3481:2015/09/20(日) 05:24:29
ボーっとした目のままで、コンドームの箱を見ている山木さん。

俺はおもむろに学生服のベルトを外して、ズボンを脱いだ。
パンツを下ろすと、ビンビンにそそり立った愚息が露わになった。

コンドームのパッケージを取り出して…。

俺はさっさとそれを一物に装着して、山木さんと一つになりたかったのだが、
いざ装着しようとすると、コンドームのゴムが絡まって、うまく嵌らない…。

(あっ!)
と、俺は思った。

よくよく考えてみると、俺は自分でコンドームをつける練習をしたことなどなかったのだ。
昨日は雅さんがつけてくれたし…。

3491:2015/09/20(日) 05:24:49
(落ち着け!落ち着け!)
俺は自分に言い聞かせたけれど、焦れば焦るほど、
ゴム同士がくっつくような感じになって、うまく装着できなかった。

俺が悪戦苦闘しているのを見て、
「あのさ…」
と、山木さんがおずおずと声を出した。

「先っぽの方に引っ張るようにして、逆の手でクルクル下ろしていけばいいんだよ」
「えっ…」

しばらくの沈黙の後、
「○○君って…、もしかして初めてなの?」
と、少し興醒めしたような口調で山木さんが聞いてきた。

3501:2015/09/20(日) 05:25:08
「ち、ち、ち、違いますよ!!!」

俺は意地になって、必死に否定した。

とはいえ…。
(これじゃ、何の説得力もないだろう)
俺は、恥ずかしさで顔が真っ赤になってくるのを感じていた。

とにかく、さっさとコンドームを着けることだ。

山木さんのアドバイス通り、片手で逆に引っ張るようにしながら下ろしていくと、
あんなに難渋していたのが嘘だったかのように、あっさりとゴムを装着できた。

正直、これほどホッとしたのは人生初めてのことだ。

(よし。初めてかどうか、山木さんに体で教えてやる! 俺はあの雅さんさえ満足させたんだからな!)
と、俺は自分に言い聞かせた。

351名無し募集中。。。:2015/09/24(木) 23:42:49
こっちが本スレになるんだな

352名無し募集中。。。:2015/09/25(金) 03:24:32
よかったこっちにスレあったか

3531:2015/09/25(金) 04:47:22
本スレ落ちましたね(笑)
旅から帰ってきたらこっちで再開します。
2日ばかり全くネット見てなかったから、野中問題ってのも知らなかった(笑)

354名無し募集中。。。:2015/09/25(金) 05:34:58
楽しみに待ってますね〜

355名無し募集中。。。:2015/09/25(金) 09:49:23
(笑)

3561:2015/10/01(木) 18:54:06
準備は万端整った。

(しかし、この狭い暗室の中で、どうすればいいんだろう…)
と、俺は少し考えた。

いくら「滅茶苦茶にして」とは言っても、いきなり立ってするというのも少々気おくれした。

何と言っても…。
俺にとっては、ずっと好きだった人とする、初めてのセックスなのだ。

昨日の雅さんとのセックスは、やっぱり一種の行きずりの恋のようなもので、
それはそれで凄く燃え上がったけれども、そこに愛があったかと聞かれると、
やはり、疑問符をつけざるを得なかった。

でも…。
山木さんとは違う。
俺にとっては、山木さんは憧れの人なのだ。

体だけじゃなく、山木さんの心も奪いたい。

山木さんを愛したい。
山木さんに愛されたい。

愛のあるセックスをしたかった。

3571:2015/10/01(木) 18:54:54
暗室の奥には、一応、長椅子がある。

しかし、この暗室は階段下のスペースなので、奥の方に行くに従って、
天井が低くなっている。動けば確実に頭を天井に打つような場所だ。

長椅子は諦めて、俺は引き伸ばし機の前の丸椅子に腰かけた。

「山木さん…。来てください」

エロ本で読んだ知識によると、いわゆる対面座位というのか…。

俺は山木さんと向かい合うような形で、膝の上に山木さんを抱え込むと、
再び彼女の体をギュッと強く抱きしめてキスをした。

ビンビンになった愚息が、山木さんのグショグショになったところにぴったり当たっている。

「はぁ、はぁ…」と、再び息を荒くした山木さんが、
「〇○クンと、こんな風になるなんて…、考えたこともなかった」
と、泣きそうな声で言った。

「俺は山木さんと初めて会った時からずっと、こうしたいと思ってました」
俺はそう言って、山木さんの目を見つめた。

3581:2015/10/01(木) 18:55:21
今度は山木さんの方から求めるようにキスをしてきた。

キスをしながら山木さんのスカートをたくし上げると、白いお尻に赤い安全灯の光が差して、
異様に艶めかしく見えた。

俺はもう、これ以上は我慢できなかった。

「山木さん、挿れますよ…」

山木さんがコクンと小さく頷くのを見て、俺は自分の一物に手を添え、山木さんの中へと導いていった。

3591:2015/10/01(木) 18:56:05
山木さんを貫いた瞬間、
「うっ…!」
と声を上げて、山木さんがまた慌てたように自分の口を両手で塞いだ。

山木さんは俺のものになったのだ。

山木さんの中は…、
ハッキリ言うと、昨日の雅さんみたいに、強烈に締まってきたりする感じはなく、
(同じ女の人でも、結構感じは違うもんだな…)
と、俺は思った。

でも次の瞬間、2人をそういう風に較べている、自分のゲスさ加減に気づいて、
俺は自分が恥ずかしくなった。

その時、山木さんが、
「い、痛い…」
と、小さな声で呻いた。

3601:2015/10/01(木) 18:56:42
(えっ…?)
俺は慌てた。

「痛いですか…? 山木さん、まさか初めて、なんてことは…?」

俺がそう聞くと、山木さんは、はぁはぁと荒い息を整えるようにしてから答えた。
「初めてってことないけど、私もあんまり経験多いわけじゃないし…、それに…」
「それに…?」
「○○クンの…、少し大きいんだと思う…」

恥ずかしそうな山木さんの声だった。

(昨日雅さんが言ってたこと、あながちお世辞でもなかったのかな…)

俺は少し誇らしげな気持ちになった。

3611:2015/10/01(木) 18:57:34
俺は少しの間、山木さんを落ち着かせようと、強く抱きしめたまま背中を撫でていたけれど、
そのうち、我慢しきれなくなって、耳元で聞いた。

「山木さん、動いていいですか?」

山木さんが無言のままコクンと頷いた。

俺がゆっくりと動き出すと、山木さんはもう感じまくっているのか、
「くぅっ…!」と、奥歯をかみしめるような声を出して、
顔全体を隠すように自分の両手で覆って、首を振った。

そのとき、俺は気づいた。
俺が動くたびに、山木さんのそこからは、生暖かい液体が、次から次と、
まるで尽きぬように湧き出していたのだった。

(これは…、気持ちいい…!)
締め付けとはまた違う、つゆだくの素晴らしい感触に、俺もだんだん陶然となってきた。

3621:2015/10/01(木) 18:58:20
俺はそろそろ本格的に動きたくなっていた。
それには、椅子に座ったままではやっぱり限界がある。

俺は山木さんとつながったままの体勢で、彼女を抱えるようにして立ち上がった。

「山木さん、俺の首に両手を回してください」

「こう…?」

俺のおでこに自分のおでこをくっつけて、上気した顔で聞いてくる山木さん。
俺は、山木さんの唇にチュッと短いキスをしてから、腰を前後に振り始めた。

「うわあっ!」

その瞬間、大声を出した山木さんが、とっさに自分の口を両手で押さえようとしたのか、
俺の首から手を離して、のけぞるようにバランスを崩した。俺は慌てて、山木さんを背中を強く抑えた。

「ダメ!ダメだよ…!○○クン…、これ、刺激が、刺激が強すぎる…、声が、声が…! うわあっ!」

3631:2015/10/01(木) 18:59:07
もともとが階段下スペースの暗室だから、山木さんのエッチな声が部屋中にものすごく反響した。

いくら校舎の隅とはいえ、いくら夏休み中で、校内に人が少ないとはいえ、
こんな声を響かせていたら、そのうち誰かに気づかれる。

また、そんな結果が容易に想像つくことが、余計に山木さんを興奮させているのだろう。
てゆーか、山木さんだけではなく、さっきから俺自身も、そんなスリルに異様に興奮していたのだ。

しかし、とにかく…。
駅弁は無理だ。
山木さんには悪いけれど、自分の口を押さえていてもらえるような体位でするしかない。

3641:2015/10/01(木) 19:00:35
俺はいったん山木さんを降ろすと、背中から山木さんを抱きしめた。

「山木さん、そこの机に肘をついてもらえますか…」

「えっ…、こう?」

言うとおりに肘を突いて前かがみになった山木さんの腰をつかむと、俺は後ろから一気に、
山木さんの奥深くまで突き刺した。

「ふあっ…!」

再び大声を上げかけた山木さんは、肘をついたまま、慌てたように両手で自分の口を押さえた。

「うぐっ…、うぐっ…、うぐっ…、うぐぐっ!」
俺のピストン運動に合わせて、嗚咽を洩らす山木さん。

(お望みどおり、滅茶苦茶にしてあげますよ)
と、俺は心の中でつぶやきながら、山木さんを突くスピードを速めていった。

3651:2015/10/01(木) 19:01:39
俺が動くに連れ、山木さんの泉がまた、こんこんと湧き出してきた。
それは俺のチンポどころか袋の方まで、ぐしょぐしょに濡らしていた。

あんまりヌルヌルになってきたせいで、そのうち、俺が突くたびに、空気が入るのが、
まるでオナラでもしているような、下品な音を山木さんのそこが立て始めた。

ブピッ、ブピッ、ブピッ、ブピッ…

「これイヤ! イヤだあっ…! 恥ずかしすぎるっ!」
と、山木さんが叫んだ。

ブピッ、ブピッ、ブピッ、ブピッ…

嗜虐心の出てきた俺は、素知らぬふりをして、
「山木さん、オナラしてるんですか?」と聞いてみた。

「違うのっ! 違うのっ! イヤだあっ!」
ブンブンと大きく首を左右に振りながら叫んだ山木さんだったけど、
また、ハッと気づいたように、自分の両手で口を押さえた。

ブピッ、ブピッ、ブピッ、ブピッ…
「うぐぅっ! うぐぅっ! うぐぅっ! うぐぅっ!」

3661:2015/10/01(木) 19:03:29
とりあえず
ここまでが本スレの補完

367名無し募集中。。。:2015/10/01(木) 21:06:20
乙です
こっちでもヨロシク

368名無し募集中。。。:2015/10/02(金) 00:52:27
早く続きを

369名無し募集中。。。:2015/10/02(金) 14:41:14
見捨てられてなかった!

3701:2015/10/02(金) 20:23:43
それから俺は、山木さんのことを滅茶苦茶に突きまくった。

結局、山木さんは自分の声を抑えきれずに、何度も大声をあげた。

その声が暗室中に反響したけれど、俺も山木さんも、
もうそんなことには構っていなかった。

やがて、山木さんが何度も体をガクガクと震わせるのを見届けてから、俺も全てを解き放った。

3711:2015/10/02(金) 20:24:12
ことが終わった後、俺は山木さんを、暗室の奥の長椅子にいざない、
無言のままで、しばらく抱き締めていた。

俺は満ち足りた気持ちに包まれていた。

雅さんとのセックスも、もちろん最高に気持ちよかったけど、
好きな人とのセックスが、こんなに多幸感に包まれたものだとは…。

やはり、愛がなければダメなのだ。

山木さんはしばらくの間、呆然とした表情のままで俺に抱かれていたけれど、
やがて、俺の胸に顔を埋めて、また少し泣いた。

3721:2015/10/02(金) 20:25:44
前よりはかなりペース落ちると思うけど、ぼちぼち再開します

373名無し募集中。。。:2015/10/03(土) 08:16:22
楽しみに待ってます

374名無し募集中。。。:2015/10/04(日) 17:03:23
あげ

3751:2015/10/05(月) 04:54:16
それから…。

ようやくのろのろと身を起こした山木さんは、「はあ…」と一つため息をついてから、
びしょびしょに濡れた床を見て、「ヤダ…、これ…、私が…?」と言って、顔を赤く染めた。

「いや…、そんなこと、気にしなくても…」と、俺は言いながら、
とにかく鞄からタオルを取り出して、山木さんの体を拭いてあげようと思った。

山木さんの太もものあたりを拭くと、タオルに赤いものが着いた。

「えっ…、血…?」

俺が驚いていると、山木さんは言い訳するように話し出した。

「私も経験あるって言っても、まだこれが二回目だったし、初めての時はホントすぐに終わったような感じだったから…。それに…」
「それに?」
「〇○君の方が、彼のより、大きかったから…」

(山木さん、実質処女のようなものだったのか…)

俺はまた歓喜に包まれた。

3761:2015/10/05(月) 05:08:58
「私、初めての時は本当に痛いだけだったのに、今日は気が狂ったみたいに感じちゃって…。
自分がこんな風になるとか、思ってもいなかった。私、大きな声も出してたでしょ? 超恥ずかしいよ…」

そう言って、山木さんはまた俺の胸に顔を伏せた。

俺は山木さんのことがたまらなく愛おしくなって、ギュっと強く抱きしめた。

「山木さん、俺、山木さんのこと絶対大事にします」

(俺もこれから必死に勉強して、山木さんと同じ大学に入ろう。
そして、東京で同棲して、大学を出たらすぐに結婚したい!)

俺の妄想がそこまで飛躍した時、山木さんが静かに言った。

「ゴメン。最初に私の方から抱きついたりして、こんなことになるようなきっかけ作っておいて、すごく無責任とは思うけど…。
〇○君とは、やっぱり付き合えない…」

377名無し募集中。。。:2015/10/05(月) 10:01:36
りさちゃん‥…

378名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 01:15:53
あー残念

379名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 03:55:32
これでやりまくれるな

3801:2015/10/06(火) 05:37:25
「えっ…、どうして…」

俺はすっかり混乱した。
つい今まで、あんなに濃厚に愛を確かめ合った山木さんが、俺の手のひらから離れていくというのか…。

「ごめんね。○○君のことはもちろん嫌いじゃないよ。
うん…。私は好きでもない子と、絶対にこんなことしたりしないし」
そう言って、山木さんは俺のことを上目遣いに覗き込んで、さらに続けた。

「でも、やっぱり〇○君のことは、恋人っていうよりは、弟みたいにしか見れない。
さっきの私は、ただ単に、〇○君に慰めて欲しかっただけだったんだと思う…」

「そんな…」
「本当にごめん。私の気まぐれで、○○君の気持ちを弄んだだけみたいになっちゃったよね…」

そう言うと、また山木さんは顔を伏せて、静かに泣きだした。

3811:2015/10/06(火) 05:40:11
俺はどうしたらいいか分からずに、ただオロオロしていたけれど、
やっぱり山木さんを強く抱きしめずにはいられなかった。

「俺、山木さんのこと好きだったんです。高校に入った時からずっと」
「知ってたよ…。でも、ごめん。私はその気持ちに応えられない」

そんな会話を交わしながらも、
(いや、山木さんが謝ることじゃない)
と、俺は思った。

俺がずっと山木さんを好きだったというのは、確かに嘘ではない。
でも、今日は明らかに、失恋して弱っていた山木さんの心につけこんで、俺が強引に抱いたのだ。
それなのに、山木さんはそのことも自分のせいだと思っている。

それは違う。
悪いのは俺の方だ。

そのことを何とか山木さんに伝えたいと思ったけど、
どうにも適当な言葉が、俺には見つけられなかった。

382名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 06:39:28
来てた

383名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 12:33:01
きてる!!

384名無し募集中。。。:2015/10/06(火) 22:46:42
キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

3851:2015/10/07(水) 03:03:29
そのまま、俺が木偶の坊みたいに突っ立っていると、
やがて、山木さんは俺から離れ、のろのろと衣服を整えると、自分の写真を片づけ始めた。

「もう、この暗室に来ることもないと思う。明日からは、受験勉強に集中しなきゃ…」
山木さんはそう言って、暗室を出ようとした。

「ちょっと待って!」
俺は思わず呼び止めた。

「えっ?」
と、小首をかしげる山木さん。

「山木さん、その写真、俺にくれませんか?」
「えっ、どうして?」

「その写真、高文連の大会に出したいと思うんです」
俺がそう答えると、山木さんは、少し困ったような顔をしてから、
「でも、私はもう部を辞めてるんだし、だいいち、真野先生が、こういう写真許さないんじゃない?」
と、寂しそうに笑った。

「いや、誰か幽霊部員の名前でも使って出せば、そこまで目くじら立てませんよ。いけませんか?」
俺がそういうと、山木さんは少し考えてから、
「〇○君のやりたいようにしていいよ」と、小さく笑った。

3861:2015/10/07(水) 03:18:26
俺の手元に一枚の印画紙を残して、山木さんは暗室から去って行った。
俺はその後もしばらく、放心状態のまま、その場に立ち尽くしていた。

酷い罪悪感と喪失感とに包まれたまま、何もする気力が湧いてこなかった。

その時、トントンと、暗室のドアをノックする音が聞こえた。

「は、はい!」

(山木さんが戻ってきたのか!)
そう思って急いでドアを開けると、そこにいたのは佐藤優樹だった。

「なんだ、優樹かよ…」
俺ががっかりしながら思わずそう言うと、
「『なんだ』って何よ!」
と、優樹はぷーっと頬っぺたを膨らませた。

「それで…、何の用だ?」
と俺が聞くと、優樹は
「ねえお兄ちゃん、幽霊見なかった?」
と、勢い込んで聞いてきた。

「幽霊? 何だそれ?」
俺が呆れて聞き返すと、
「さっき、小田ちゃんがこの近くで、変な叫び声聞いたんだって。
だから、『きっと幽霊じゃないか』って、まーちゃん言ったの」

387名無し募集中。。。:2015/10/07(水) 13:24:29
ここでまーちゃんかw

388名無し募集中。。。:2015/10/07(水) 14:09:37
そういえば12期メンバー出す予定はないんですか?

389名無し募集中。。。:2015/10/08(木) 05:03:26
まーちゃん最近エロいからな

390名無し募集中。。。:2015/10/11(日) 11:59:33
良すれ発見!

391名無し募集中。。。:2015/10/13(火) 14:34:04
こっちに来てたのか

392名無し募集中。。。:2015/10/14(水) 06:31:47
一週間とかサボりすぎだろ
スレ削除すっぞこの野郎

3931:2015/10/15(木) 07:47:32
ごめんよ
2週間も有給とっちゃったから
仕事が溜まってどうにもならない

394名無し募集中。。。:2015/10/15(木) 12:33:23
おつおつ

395名無し募集中。。。:2015/10/15(木) 12:52:55
なるほど!じゃあのんびり待ってます

3961:2015/10/17(土) 03:31:25
とりあえず復刻版の方をちょっと書き足しました

397名無し募集中。。。:2015/10/20(火) 07:43:03
サンクユーが終わってこのスレに戻ってきました

398名無し募集中。。。:2015/10/27(火) 11:17:15
そろそろ更新して欲しい

399名無し募集中。。。:2015/10/29(木) 23:38:58
りほりほ卒業しちゃう…

4001:2015/10/31(土) 05:28:35
そろそろちょっと余裕が出てきたんで続き書こうと思ってたら
鞘師の一件で頭真っ白です(笑)

401名無し募集中。。。:2015/10/31(土) 18:06:31
ほんと予想外だったね

402名無し募集中。。。:2015/10/31(土) 22:58:09
ハロプロには残るからいる設定でいいと思うよ〜

403名無し募集中。。。:2015/11/07(土) 03:25:57
新狼になった途端やる気なくしててワロタ

404名無し募集中。。。:2015/11/30(月) 19:06:34
更新をまちわびて毎日スレをひらく

4051:2015/12/27(日) 05:26:39
鞘師卒業に対応してストーリー展開考え直してたら
今度はめいめいとかどうにもならん…。

406名無し募集中。。。:2015/12/27(日) 14:27:50
待ってるよー

407名無し募集中。。。:2015/12/27(日) 20:45:13
あーそかそか大変だなあ
気長に待つよ

408名無し募集中。。。:2016/10/16(日) 15:10:18
1年半ため込んでた狼のログと合わせて一気読みしましたーまさかこんなに面白かったなんて…もっと早く読めば良かった

それにしても鞘師・めいめい・香音と主要メンバー卒業でもう続けるのは難しいのかな・・・

4091:2016/11/15(火) 17:02:42
鞘師は海外留学
めいめいは宝塚合格で転校
みたいな続きもちょっと考えてみたのだが
ズッキが高校辞めて福祉の学校じゃさすがに話が難しい(笑)

410名無し募集中。。。:2016/11/18(金) 13:05:07
思い切って数年後卒業しみなバラバラになった後再会するところから始めてみるのは?

4111:2016/11/26(土) 09:22:42
「幽霊なんか…、いるわけないだろ…」
たぶん粘ったような声で、俺は優樹に言い返したのだと思う。

(それは幽霊じゃなくて、さっきの山木さんの声だ…)と俺はすぐに分かったけど、
いかに優樹とはいえ、そんなことを言うのは山木さんへの冒涜だと、俺は一瞬、カッと頭が熱くなった。

「でも、でも、幽霊の声を聞いたって!」
「知らねえよ、そんなの!」
「でも、でも、小田ンゴが! 小田ンゴがこの辺で聞いたって…」と優樹は言い続けていたけれど、

「何が小田ンゴだよ! 先輩だろ!? うるせえよ、お前!」と、俺は思わず、ドン、と優樹の肩を強く突いて、その場に突き倒してしまった。

床に倒れたまま、一瞬びっくりしたような目で俺を見つめる優樹。

「あっ、いや…、その…」
我に返った俺が言いよどんでいるうちに、優樹の瞳に見る見るうちに涙が溢れ出してきた。

「い、いや、す、すまん…」
「お兄ちゃんのバカー!」
大声で叫ぶなり、優樹は駆け出して行った。

4121:2016/11/26(土) 09:24:19
「おい、優樹…」
と、俺は一瞬口に出したけど、優樹を引き留める気力もなく、その場に立ち尽くしていた。

いくら優樹とはいえ、年頃の女の子だ。そんな子に暴力を振るって突き倒すなんて、いくらなんでもやりすぎだ。激しい嫌悪感に襲われながら俺が立ち尽くしていると、向こうの方から、小田が小走りでやってきた。

「あっ、○○クン、優樹ちゃん来なかった?」と息を切らしながら小田が俺に聞いてきた。

「来たよ…」

4131:2016/11/26(土) 09:25:31
小田がまっずくに俺の目を見つめながら話してきた。
「まーちゃん、どこに行ったのかな? もう…、練習中だって言うのに。私がこの辺で、変な声を聞いたって言ったら、勝手に『幽霊だ、幽霊だ』って大騒ぎしちゃって…。もう…、菅井先生は怒り出すし…。私、どうすればいいんだろう…」

俺は小田に言った。
「幽霊の声なんかじゃない、って、小田は分かってるんだろ?」
「えっ?」
小田が真顔で俺の顔を覗き込んできた。


「幽霊なんているわけないだろ。それは、この暗室から聞こえていた声だよ」
「えっ? 何?」
「小田だって分かってるんだろ? 女の子の声だよ」
「何? 何の話?」
まっすぐに俺の瞳を見つめる小田の顔を見ていると、俺はますます自分の頭が熱くなるのを感じてきた。
「俺と女の子がここで、抱き合っていた、って言ってるんだよ」

4141:2016/11/26(土) 09:26:40
両手で自分の口を塞いで、無言のまま、一歩、後ずさる小田。
「幽霊なんかじゃねえよ! ふざけんなよ!」
俺は一体、自分が何に対して怒っているのかも分からないまま、思わず両手で小田の肩をつかんだ。

「言わないから! 誰にも言わないから!」
突然、小田が叫んだ。

「えっ?」
俺が一瞬怯むと、小田はスルリと俺の手から抜け出して、
「ごめん! ○○クン、わたし、誰にもこのこと言わないから!」
と叫ぶと、突然駆け出して逃げて行った。

俺はそのままそこに立ち尽くしていた。

4151:2016/11/26(土) 09:39:55
俺は自分の頭が激しく混乱しているのを感じていた。

ずっと憧れていた山木さんと、いきなり成り行きでセックスしてしまったけど…、
付き合ってほしいという俺の懇願を拒絶して、山木さんは去って行った。

優樹や小田に怒りをぶつけて何になるというのか…。

俺は訳が分からないまま再び暗室に入ると、また写真の引き伸ばしを始めた。現像液の中から浮かび上がるズッキの、植村の、そして宮本の笑顔は美しかった。

「オレ、いったい何をやっているんだろう…」
引き伸ばしを続けながら、訳も分からず、熱い涙がこぼれてくるのを感じていた。

4161:2016/11/26(土) 17:47:54
家に帰ってくると、玄関には電気も点いておらず真っ暗なままだった。
両親は旅行に行ったままだし、姉ちゃんは一体どこへ行ってしまったのか。

台所のテーブルの上に、置手紙があった。
「アシカが熱出したから、急に呼び出されちゃった。今夜は帰らないかもしれないけど心配スンナ。カップラーメンでも食べてね」と、姉ちゃんの字で書いてあった。

食欲は湧かなかった。それより、安い酒でもくらって、何もかも忘れてしまいたかった。

(昨日の大五郎が残っているはず…)
食器棚の下の引き出しを探したけど、大五郎のペットボトルには、コップ一杯にも満たないほどの液体しか入っていなかった。

俺は諦めて外に出た。

4171:2016/11/26(土) 17:48:51
あてのないまま、駅の方に向かって俺は歩いた。

(『酒を飲みたい』なんて言っても、いまどき高校生に酒を飲ませてくれる店なんて…)
と、そこまで考えて、俺はまことさんの店のことを思い出した。

まことさんというのは、俺の住んでいる地域の兄ちゃんみたいな人で、もともとロックバンドのドラマーをして一旗揚げた人なのだが、最近は音楽活動の噂はさっぱり聞かず、もっぱらアウトドアで楽しんでいるような、まあ遊び人だ。そのまことさんは、夜はバーみたいな店をやっていて、細かいことは言わずに、高校生にでも飲ませてくれるという噂だった。

4181:2016/11/26(土) 17:50:06
俺は肝心の店の名前を知らなかったけど、以前に聞いていた場所に行ってみた。でも、それらしい店は見当たらなかった。

あたりを探して歩いていると、一軒、飲食店らしい店があった。真っ黒い壁に真っ黒いドアの妖しい雰囲気の店で、ドアにはただ一文字「℃」と書かれていた。

「こんな名前だったかな? でもバーって言う感じじゃないな…」

俺が店の前に佇んでいると、突然ドアが開いた。

4191:2016/11/27(日) 02:14:18
「ありがとうございました。またいらしてくださいね!」
そういいながら、ドアから出てきたのは、℃派手なコスチュームを着たお姉さんだった。
http://i.imgur.com/IhlkJwj.jpg

客の見送りに出てきたのだろう。俺は思わず目が点になった。
「何だこの店… 風俗店なのか…」

その時、見送りを終え、店内に戻ろうとするお姉さんと目が合った。
俺は最初はコスチュームにばかり気をとられていたのだが、この人の顔を見て、思わず「あっ!」と叫んだ。
「あなたは…、コンビニの…、舞さん!」
「えっ!?」

舞さんは俺の顔をまじまじと見つめてから、ため息をついて言った。
「はあ…。あのねキミ、こんなところまで舞のこと、ストーカーみたいに後をつけてきたの?」
「はい?」
「はいじゃないが」

4201:2016/11/27(日) 02:15:34
自体の成り行きがのみこめない俺に、舞さんは畳み掛けるように言ってきた。
「ねえ、ストーキングとか気持ち悪いって。どうしてそんな女の子が嫌がるようなことするのかな」
「ストーキング!? ち、違う!」
「違うって、じゃあどうしてこんなところにいるわけ?」
「そ、それはたまたま…」
「たまたまなわけないじゃん。あっ、そうだ。今朝のもキミ、わざとなんでしょ?」
「今朝の?」

「ほら、コン…、あんなの買って。舞がレジにいたからって、わざとああいうの買って、舞の反応見ようとしたんでしょ」
「えっ?」
「そんなことして、舞の気を引こうとしたってダメだからね」

最初は怒っているだけに見えた舞さんだったけど、だんだんとドヤ顔になってきた感じだった。
俺をからかって楽しんでいるのだろうか。それとも酒に酔っているのだろうか。

「あのねキミ。舞のことが好きなんだったらさ、変な小細工とかしなくていいから、男らしくまっすぐおいでよ、まっすぐ」
蓮っ葉な感じの笑みを浮かべながら、舞さんが俺を上目遣いで見上げてきた。

4211:2016/11/27(日) 02:16:32
何と答えたらいいのか…。
俺が戸惑っていると、店のドアが開いて、別のお姉さんが出てきた。
やはり際どいコスチュームだ。
http://i.imgur.com/QDnJvkq.jpg

「舞ちゃん、何かあったの?」
「あっ、舞美ちゃん。あのね、この子が…」

『この子』呼ばわりされた俺を、しげしげと見つめるお姉さん。
このお姉さんの顔には見覚えがあった。

「あれ、キミ千奈美の弟さんじゃない? やっぱりそうだ!」

4221:2017/04/04(火) 04:24:10
「あ、あなたは…?」

俺もそのお姉さんの顔をしげしげと見つめ返した。

(すごい美人だ…)
見つめていると、何故かこちらが恥ずかしくなるような気がしてきて、
俺は思わず目を伏せた。

『千奈美の弟』なんて俺を呼ぶところを見ると、千奈美姉ちゃんの友達なのか?

確かに見たことはある顔のような気がするのだが、どうにも思い出せない。

4231:2017/04/04(火) 04:47:43
そのお姉さんはニコニコとした笑みを浮かべて俺に近寄ってくると、
「××クン!? 久しぶりだねー! わあ!すっかり大人っぽくなって!
びっくりしたなあ!」と、いきなりフレンドリーな口調で話し出した。

「えっと、あの…、俺××じゃなくて○○ですけど…。
てゆーか、××って誰ですか?」

俺が呆れていると、そのお姉さんは、
「あれっ?」と、一瞬小首をかしげるような素振りを見せたのの、
「○○クンよね!分かってるって! 千奈美の弟クンよね!」と、何事もなかったように話をまとめようとした。てゆーか、俺の名前は絶対に忘れていたのだろう。

その堂々とした姿で俺も思い出した。

矢島舞美さん。

千奈美姉ちゃんの小学・中学時代の一番仲良しの同級生で、昔は毎日のように俺のうちに遊びに来てた人だ。

4241:2017/04/04(火) 05:02:55
俺はあらためて舞美さんを見つめ返した。

舞美さんが一番よく家に遊びに来ていたころは、俺は小学校低学年の、まだまだガキの時分だった。

だから、舞美さんのことを性的な目で見つめたことなど、俺にはなかったのだ。

その点、毎日夜のおかずにさせてもらってた、JK時代の須藤さんとは別次元の存在だ。

舞美さんというのは、俺にとってはあくまで活発で優しいお姉さんだったのだ。

そのお姉さんが…。

一体全体、どうしてこんな扇情的なカッコをしているのか…。

俺はつい舞美さんの全身をガン見してしまっていたのだろう。

「ちょっと…、ヤダ…」
それに気付いたのか、舞美さんが慌てて恥ずかしそうな表情をして、あたりを見回してから言った
「とにかく、店の中に入ってよ…」

4251:2017/04/04(火) 05:11:56
そんなやりとりをしている俺と舞美さんを見て、舞さんが、

「あっそ…。舞美ちゃんの知り合いだったんだ。舞じゃなかったんだね。はいはい…。どうせそうだよね」

と、なぜかやさぐれた表情でブツブツ言いながら、先に店の中に入って行った。

「?」という表情で俺を見つめる舞美さん。

「さあ…」と俺が答えると、「いいから入って」と、舞美さんは俺の腕をギュッとつかんで店の中に誘った。

(あっ!)
舞美さんの小ぶりなオッパイが俺の腕に触れて、俺はドキドキした。

4261:2017/04/05(水) 01:40:04
舞美さんに引っ張られるように入った店の中は暗かった。

カウンターとボックス席が4つ。
カウンターの横にはポールダンスの棒があって、妖しげなピンク色のスポットライトが当たっていた。

(この店はいったい…?)

ボックス席に座らされた俺が考えあぐねていると、舞美さんが開口一番、「ね? このお店のことは千奈美には内緒にしてね、お願い」と、俺の耳元でささやいた。

「内緒ってことは…、あの…、もしかして、まさか風俗関係とか…」

俺がそこまで言いかけたとき、「風俗なわけないじゃん!」と、舞さんの怒ったような声が背後から降り注いできた。

「舞美ちゃん! この子、舞美ちゃんの何なの!? 風俗とか失礼すぎ!」
と、おかんむりの舞さん。

舞美さんはそれには答えずに、「あのね、一応『ガールズバー』って話だったんだけど…」と、困ったように顔を赤らめながら言った。

4271:2017/04/06(木) 04:21:35
「ガールズバー、ですか…」

正直言って、高校生の俺には「ガールズバー」というのがどういう形態の店なのか、分かるはずもなかったのだ。ただ、千奈美姉ちゃんの友達の舞美さんの働いている店が、風俗店のような店ではない、という話を信じたい気持ちでいっぱいだった、というのが正直なところだったのだ。

俺が黙り込んでいると、「○○クンはどうしてこんなところに来たの?」と、舞美さんが俺の目を覗き込むようにして聞いてきた。

「俺は…、まことさんの店を探していて…」

そういうと、舞美さんが舞さんと、目線を交わし合ってから、俺に向き直って言った。

「まあ、ここが、まことさんの店なんだけど…」

4281:2017/04/07(金) 04:53:30
「えっ?」
「正確には、まことさんの店『だった』ってことになるけど…」

舞美さんが説明してくれた話を要約すると…。

ここは確かにもともと、まことさんの店「east cloud」のあった場所なのだが、まことさんはアウトドアでの遊びが過ぎて経営が思わしくなくなり、半年ほど前に店をたたんだのだという。その後、まことさんのバンド時代からの後援者だったという山崎さんというおじいさんが、後を引き取ってこの店を出したのだということだった。

「『山崎さん』って、どこかで聞いたことある名前だな…、あっ、そうだ!」

この間、雨の晩に成り行きで田村と相合傘をしてしまったとき、田村たちがバイトしている『コーヒーとホームメイドパイのお店 ANGERME』は、「山崎さんというおじいさんが、行き当たりばったりで開店した」という話を、俺は田村から聞いていたのだった。

その話を舞美さんにすると、「ああ、そうそう。アンジュルムもそうだし、その前にあった『スマイレージ』も、それにホラ、千奈美たちがバイトしていた『BERRYZ工房』も、みんな山崎さんの店なんだよ」と、舞美さんは笑った。

429名無し募集中。。。:2017/04/10(月) 01:32:17
来てた(笑)

430あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

4311:2017/04/28(金) 04:33:39
「そうなんですか…」
正直、よくわからなかったけど、成り行きで俺は相槌を打った。

舞美さんは「でも、ガールズバーって聞いてたから…、こんな感じの店になるとは正直思ってなかったんだけど…」と言って顔を赤らめた。

「はあ…」と俺。

一瞬、沈黙が流れた。

舞美さんはその沈黙をかき消すように、「でも○○クンは、どうしてまことさんの店なんか探していたの?」と、微妙な笑みを浮かべながら、俺を上目遣いで覗き込んで言った。

「酒を飲みたかったんです」
「えっ?」
「ムシャクシャすることがあって…、酒を飲みたかったんです」

舞美さんは一瞬真顔で俺を見つめた後、「じゃ、飲もっか」と、満面の笑みを浮かべて言った。

「えっ?」と俺が声を上げるのと、「ちょっと!舞美ちゃん!」と、舞さんが怒ったように制するのが同時だった。

4321:2017/04/28(金) 04:53:46
「えっ?ダメ?」と振り返った舞美さんに、舞さんは「ダメに決まってんじゃん! だいたいこの子、高校生だよ!」と言って口をとがらせた。

舞美さんは「うーん…」と、少し考え込むようなしぐさをした後、「もう他のお客さんみんな帰ったし…、ちょっとくらいいいんじゃないかな」と小首を傾げてから、「舞ちゃん、もう看板仕舞ってちゃってよ」と、笑みを浮かべて言った。

舞さんは一瞬ポカンと口を開けてから、「はいはい…。でも、知らないよ、舞」と呆気にとられたような口調で呟いた。

「○○クン、何飲みたかったの? ビール?焼酎?」と舞美さん。
「あっ、はい…、でも俺、そんなにお金持ってないし…」
「お金なんて気にしなくていいよ。キミと私の仲じゃん。何でも好きな物飲んでいいよ」
「じゃあビールで…」
「舞ちゃん、ビール二つ!」

ちょうど看板を仕舞い終えたところだった舞さんは、呆れたようにこちらを見てから、返事もせずに、グラスにビールを注ぎ始めた。そして、しばらくしてから三杯のグラスをお盆に載せてやってくると、お盆をテーブルに置いて、自分もどっかりと俺の横に腰を下ろした。

そんなことにはお構いなし、といった感じで舞美さんが「じゃあみんなで乾杯しよう!」と笑った。

「乾杯!」と舞美さん。
「あ…、乾杯!」と慌てて応じる俺。
怒ったような顔をしながら無言でグラスを持つ舞さん。

4331:2017/04/28(金) 05:06:37
俺は(どうにでもなれ…)と思いながら、ビールを喉の奥に流し込んだ。

今までビールは苦いだけだと思っていたのに、グーッと一気にビールを注ぎ込むと、何だか甘いような感じの味がして、俺は少し驚いた。(あっ、これは旨いかも…)

そう思いながら俺がグラスの3分の1ほど飲んでテーブルに置いた時、舞美さんはまだゴクゴクと飲み続けていて、結局半分くらいを飲み干してからテーブルに置き、「ああ、美味しい!」と笑った。舞さんは、そんな俺たちを呆れたように見てから、ちょこんと一口だけ口をつけてグラスを置いた。

「美味しいね!」と舞美さん。
「は、はい…」と俺。
「…」と舞さん。

4341:2017/04/28(金) 05:22:45
「でも高校生の○○クンが、お酒を飲みたいほどムシャクシャするって、どんなことなの? よかったら、お姉さんに話してみなよ」と、舞美さんが笑った。

「は、はあ…」と、俺が言い淀むと、
「昨日も飲んでたくせに」と、ぼそっと舞さんが言った。
「えっ、なあに?」と小首をかしげる舞美さん。

俺はいちいち俺に突っかかってくる舞さんが、段々と小憎らしくなってきた。

「セックスまでしたのに、俺と付き合えないって女の子がいうから、ムシャクシャして…」
俺はわざと舞さんに当てつけるように露悪的な口調で言った。

「えっ?」と舞美さん。
「!」と、驚いたように両手で口を押える舞さん。

4351:2017/04/29(土) 03:31:53
沈黙が流れた。

舞さんは真っ赤な顔をしながら目を伏せていた。

(俺のバカ! 調子乗ってこんなこと言って…)と、俺が後悔しかけた時、
「そっか…。○○クンもそんな歳になったんだ。早いなあ」と舞美さんが笑った。

「えっ?」
救われたような気持ちになって、俺が思わず舞美さんを見上げると、
舞美さんは「○○クンももう高校生だもん。そりゃ、いろいろあるよね。うん。いろいろ経験するといいよ」と、優しく俺に微笑みかけてきた。

俺は思わず聞かずにはいられなかった。
「舞美さんにも、やっぱりそういうこと、いろいろあったりしたんですか?」

「そりゃね。誰だって高校生くらいの時は、そういうことあると思うよ」と、舞美さんは爽やかな笑みを浮かべた。

(この舞美さんも、やっぱりいろんな男といろんな経験しているのか…)
と、俺が思わずゲスな想像を浮かべた時、

「舞は…、そんなこと全然なかったもん…」と、舞さんが拗ねたような口調でぼそりと呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。

4361:2017/04/30(日) 05:02:43
俺が舞さんのそんなつぶやきに思わず聞き耳を立てていると、
そんなことには気づきもしないように、舞美さんが、
「○○クンは、その子のこと、そんなに好きだったの?」と探るような目で俺を見上げながら聞いてきた。

「好きだった、と言い切れればいいんですけど、正直、自分でもよく分からないから、余計にムシャクシャしているんです」と俺は正直な気持ちを言った。

「そっか…」と舞美さんが言うのと、「何よそれ。意味わかんない!」と舞さんが言うのが同時だった。

「ちょっと、舞ちゃん…」と、舞美さんが舞さんをたしなめようとしたけど、舞さんは、
「別に大して好きでもない子とエッチして、その子に振られて、ヤケ酒飲んでるってだけじゃん。何よそれ」と、怒ったような口調で言った。

4371:2017/05/01(月) 04:17:18
「えっ?」
俺が思わず二の句を継げずにいると舞さんは、
「だってそうじゃん。それにその子もその子よ。別にキミじゃなくても、エッチさえできれば誰でも良かったんじゃないの?」と、冷たく言い放った。

「おい、ちょ、待てよ…」
俺は山木さんが馬鹿にされたような感じがして、カッと頭が熱くなった。

思わず立ち上がろうとした俺を制して、舞美さんが
「ダメよ舞ちゃん! そんなこと言っちゃ!」と厳しい口調でたしなめた。

舞さんは「だって…!」と、何か言いかけたけど、舞美さんの厳しい視線に遮られて、「わかったよ…」と、小さな声で不服そうにつぶやいた。

4381:2017/05/03(水) 04:21:57
沈黙が流れた。

俺は、何か興醒めしたような気分になって、思わず壁の時計を見上げると、舞美さんも連られたように時計を見てから、「いけない、もうこんな時間…」とつぶやいた。

俺が舞美さんを見返すと、舞美さんは「ごめんね。そろそろ閉店なの」と笑った。

俺が慌てて「あっ、いくら払えばいいんですか?」と聞くと、「今日はお金はいいよ」と舞美さんは笑ってから、「あのね、舞ちゃんを家まで送ってあげてくれるかな?」と、俺を上目遣いに見てから言った。

「舞美さんはまだ帰らないんですか?」
「うん。私はまだちょっと用事があるから…」

4391:2017/05/03(水) 04:35:53
それからしばらくして…

舞さんが私服に着替え終わるのを待ってから、俺たちは舞美さんに見送られて店を出た。

舞さんと2人ならんで歩いて、大通りに出て…
舞さんはしばらく無言のまま歩いていたけど、「ねえ…、舞美ちゃん、私たちを追い返して、きっとこれから山崎さんと会うんだよ」と、むすっとした表情のまま、突然俺に話しかけてきた。

「えっ? 山崎さんって…」
「さっき言ってた、オーナーのおじいちゃん」

俺は返事に困ってしまった。

舞美さんとそのおじいちゃんが会うなんて言われても…。
それは単に仕事の上での話なのか、それとももっと深い意味でもあるとでもいうのか。

俺は一瞬カッと頭が熱くなったけど、それを舞さんに確かめる勇気も無くて、無言のまま歩き続けた。

4401:2017/05/04(木) 05:13:30
俺が黙って歩いていると、舞さんは「ねえ、怒ってる?」と言って、俺の目を上目遣いに覗き込んできた。

「えっ?」
「さっきのこと。『エッチさえできれば誰でも良かったんじゃないの』とか、言っちゃったけど…」

俺は一瞬またカッと頭が熱くなったけど、気持ちを抑えて黙っていた。

「ごめんね。舞、あんな風にいうつもりはなかったんだ。怒ってるよね?」
「別に…、怒ってはいませんけど…」

441名無し募集中。。。:2017/05/09(火) 23:26:32
まいまいみ楽しみにしてます

4421:2017/05/14(日) 04:52:27
超低速進行で申し訳ないけど(笑)
読んでくださってありがとうございます

4431:2017/05/23(火) 02:51:16
「怒ってはいません、けど…?」
俺の言葉を鸚鵡返しに繰り返すと、舞さんは俺の目を上目遣いに覗き込んできた。

「なんか、気持ちがモヤモヤするって言うか…」
俺が答えるか早いか、舞さんが「うん…。なんか舞もさっきからずっとモヤモヤした気分なんだ」とつぶやいた。

俺が言葉に窮して無言のまま歩いていると、「ねえ…」と舞さんが話しかけてきた。

「はい」
「もう一杯、一緒にお酒飲まない?」
「はい?」
「はいじゃないが」

少し口をとがらせて、俺を見上げる舞さん。

「でも、舞さん、『未成年は飲んじゃダメ』って…」
「昨日もさっきも飲んでたくせに、こんなときだけ未成年アピールして…、ズルいぞ!」

ちょっと酔っているのか、座ったような舞さんの目つきだった。

4441:2017/05/23(火) 03:17:09
そう言われると、俺の中にも少々やさぐれた気持ちが蘇ってきた。
俺はもともと、今日はヤケ酒を飲んで、山木さんとのことを忘れたい気分だったのだ。

「じゃあ…、飲みましょうか」
俺がそう答えると、「うん。舞も飲む」と、舞さんがニコリともせずに言った。

俺は何も考えずに、舞さんの進むにまかせて歩いていたのだが、よくよく考えると、舞さんと俺は、駅や繁華街とは逆の、丘の方に向かって歩いていた。

(どこに向かって歩いているんだろう?)と俺は思った。

丘の上といえば…。
港を見下ろす公園と、外国人墓地、そしてその丘を越したところにある2軒の古いラブホテルくらいしか俺には思いつかなかった。

4451:2017/05/23(火) 03:18:50
(まさか舞さん、いきなり俺をラブホに連れ込む気か…?)

そう思うと俄然強めに緊張してくる俺であった。

「あ、あの…、舞さん」
「何?」
「えっと、こっちの方には…」

俺がそう言いかけた時、舞さんが「そこのコンビニでお酒買って、公園で飲もう」と俺に向かって言った。

「公園ですか?」
「イヤ?」
「いえ、別に…」

ホッとしたような、ガッカリしたような気持ちになる俺であった。

4461:2017/05/24(水) 05:04:28
コンビニに入ると舞さんは、氷結のもも味を選んで籠に入れた。俺はちょっと考えた後、スーパードライの500ミリを手に取った。

「いいからこっちの籠に入れなよ」と舞さんは俺からスーパードライの缶を奪うと、すたすたとレジの方に行って、さっさと会計を済ませてしまった。

「自分の分、払いますよ」と俺は言ったけど、舞さんは「このくらい、いいよ」とそっけなく言って店を出ると、すたすたと公園の方に歩き出した。

俺は慌てて舞さんの後を追った。

4471:2017/05/24(水) 05:26:38
コンビニを出てからダラダラとした坂を登り詰めて、ちょっと曲がったところに公園はあった。

この公園は地元ではそれなりに有名な観光スポットで、俺もガキのころから幼稚園の遠足とかで何度か来たことがあったけど、こんな夜更けに来たのは、初めての経験だった。

目の前には、港と街の夜景が広がっていた。

「わあ…」と俺は思わず口に出した。
港を取り巻く街の灯りと、波止場に佇む貨物船のきらびやかな灯火。

自分の生まれ育った街の夜景が、思いのほか美しいことに初めて気がついて、俺は少し高揚した気持ちになった。

(カメラを持ってくるんだった)と思いながら、俺が立ち尽くしていると、舞さんはそんな俺の気持ちは一切分からないかのように、「ねえ、あそこのベンチに座ろう」と、俺の袖を引っ張った。

4481:2017/05/24(水) 05:34:57
舞さんと二人並んでベンチに座ると、「じゃあ、飲もっか…」と、ぎこちない素振りで舞さんが言った。

2人それぞれ、プシュッ、と缶の蓋を開け、「乾杯…」と言って、カチリと缶をぶつけ合った。

スーパードライを喉の奥に乱暴に流し込む俺。横を見ると、舞さんもちょっと無理矢理気味に氷結を喉に流し込んでいる。

「ゴホっ…」とせき込む舞さん。

「大丈夫ですか?」と俺が心配して聞くと、「大丈夫だよ、こんなの」と、投げやりな口調で舞さんが返事をした。

4491:2017/05/24(水) 05:48:15
俺はもう一度港の夜景に目をやってから、ゆっくりと周囲を見渡した。

すると…。

最初は気がつかなかったのだが、だんだん目が暗闇に慣れてくると、公園のあちこちのベンチには、たくさんのカップルがいて、抱き合ったり、キスをしていたり、中にはもっと激しいことをしている連中もいるのが、少しずつわかってきた。

ベンチだけでなく…

公園の周囲には、停まっている車もたくさんあって、それぞれの車内には人影があって…。
中にはゆらゆらと揺れている車さえあるのであった。

(ここはそういう場所だったんだな)と、俺は初めて気付くと、ちょっと頭がカッと熱くなってきた。

舞さんはというと…。
そんな周囲の状況に気付いているのかいないのか、何事もないように、氷結の缶をちびちびと飲み続けているのであった。

4501:2017/05/25(木) 05:09:51
俺はスーパードライを一口ゴクッと飲んでから、舞さんに声をかけた。

「舞さん…」
「何…?」
「あの…、周り見えてますか?」
「…ムカつく」
「えっ…?」
「何かムカつく!」

舞さんはそういうと、氷結の缶をゴクンと飲んでから、俺に向き直って言った。

「舞美ちゃんってば…、舞のこと、子ども扱いばかりして! 超ムカつく!」
「は、はあ…」

舞さんの目には、周りの景色は入っていないようだった。

4511:2017/05/26(金) 04:18:47
それからしばらくの間…。
俺は舞さんの愚痴ともつかぬ話を、ただ一方的に延々と聞かされ続けたのだった。

曰く…、
舞さんと舞美さんは、町内の子供会で、舞さんが小学校に入ったころからの付き合いだということ。
そして、そのころから今に至るまで、舞さんはずっと舞美さんに子ども扱いされているていうこと。

そのくせ、今回は、帰省ついでに舞美さんに誘われてバイトをしたけど、あんな際どい衣装の店だなんて、ちっとも聞いていなかったということ。

店には舞美さんの他にも何人かの女の子がいるけど、みんなが舞さんのことを子ども扱いしているということ。

「だからさ、いろいろ思うことはあったけど、店の誰にも…、素直に本心を話すなんて、できないかもしれないって」
「はあ、そうなんですか…」
「でもね、私子供じゃない…」

そう言うと、ちょっと座り気味の目で、まっすぐに俺を見つめる舞さんだった。

4521:2017/05/26(金) 04:41:53
正直、(困ったな…)と思いながら俺は舞さんの話を聞いていたのだけれど。

そのうち、舞さんはもっと困ったことを言い出してきた。

「だいたい、キミだってさ…」
「はい」
「昨日は舞のこと『きれいだ』なんて言ったくせに」
「はあ」
「今日は『違う子とエッチした』とか、ぬけぬけと話しだして」
「…」
「舞のこと、馬鹿にしてるんでしょ!?」
「いえ…、そんなつもりは…」

4531:2017/05/26(金) 05:02:15
舞さんは、それから何かまたぶつぶつと話し出したのだけど…。

正直言って、俺は舞さんの話がもうほとんど全然頭の中に入ってこなかったのだった。
というのも…

花壇を挟んで俺たちの向かいのベンチに座っているカップル…、何かすごい美人とイケメンのカップルなんだけど、その二人が俄然強めに愛を確かめだして…、女の人のオッパイなんか、ほとんど丸出しといった感じで、イケメンの手に激しく揉みしだかれ始めたからだった。

(ど…、℃エロいだに…!!)

舞さんのことなんかそっちのけで、ほとんどガン見、という感じで俺は興奮しながらそのカップルを見ていたのだけど、瞬間、その美人と視線が合って、俺は腰が抜けそうになるほど驚いたのだった。

(ちょ! あれ、真野センセイじゃね?!)

俺が驚くのとほとんど同時に、ハッとした感じで俺の方を凝視してくる、その美人。

(ヤバい!)

俺は慌てて、舞さんを押し倒すようにして、真野ちゃんから視線を逸らせた。

「えっ?何!?何!?」と、切迫したような低い声を出しながら、俺を見つめる舞さん。

「あ…、あの…」俺が釈明しようとするより早く、「そんなに舞のこと、好きになっちゃったの?」と、とろんとした目で、舞さんが俺を見上げてきた。

「いや、それは…」
話し出そうとする俺の唇に、舞さんの唇がぴったりと重なり合って、押しとどめてきたのだった。

4541:2017/05/27(土) 00:40:49
一応貼っておくか
https://www.youtube.com/watch?v=orxN4z4Yny0

455名無し募集中。。。:2017/05/28(日) 08:17:56
これじゃマイマイがまるで馬鹿ビッチみたいだろ



いいね

4561:2017/05/30(火) 03:28:12
舞さんの舌がチロチロと動き出すと、俺は反射的に舞さんの背中に手を伸ばしてギュッと抱きしめてしまった。

舞さんの薄手のTシャツは汗でしっとりと湿っていて、舞さんのぬくもりが俺の掌にもハッキリと伝わってくるようだった。

(舞さんの体って、プニプニしていて、触ると気持ちいいな…)と俺は思った。雅さんや山木さんの体が固かった、というのではないけれど、舞さんの体を触っていると、その柔らかさに陶然となりかけて、俺は少し焦ってきた。

4571:2017/05/30(火) 03:28:49
(さすがにこのまま突っ走ってしまうのはマズいのではないだろうか…)
俺の中の良心が俺を咎めた。

舞さんは、俺が舞さんを好きで押し倒したのだと思い込んでいる。
でも、俺は真野ちゃん似の美女の視線を逃れようとしただけなのだ。そう思っている今時点でも、正直、その美女のことが気になって仕方ないというのが本当のところなのだ。

そんなことを考えている間も舞さんの舌はチロチロと動き続けて、俺の愚息はどんどん元気君になり続けていたのだった。

4581:2017/05/30(火) 03:29:51
いちおうお約束
https://www.youtube.com/watch?v=ccu7rWRUR8U

4591:2017/05/30(火) 03:32:20
雅さんは『来た球を打て』と言ったけれど…。

昨日その雅さんに童貞を奪ってもらい、今日は昼過ぎに山木さんを抱いてからまだ半日しか経っていないのだ。

それも…。
雅さんには憧れを感じたし、山木さんには淡い恋心があったけど、舞さんのことは…。

ハッキリ言うけど、「可愛い人」とは思うけど、「好きな人」とは違うのだ。

それなのに…。
(このまま突っ走ってしまうのは、人間のクズというものではないだろうか)と俺は強く感じた。

俺は意を決して、(本当のことを言おう)と思った。

4601:2017/05/30(火) 03:46:57
舞さんからいったん体を離すと、舞さんは「?」という顔で俺を見つめた。

「舞さん、あの…」
言いかけた俺の言葉を遮るように、「あのね、もう『舞さん』じゃなくて、『舞』って呼んでいいんだよ!」

そう言うと、舞さんは俺をギュッと抱きしめて、またキスを求めてくるのであった。

勢いに流されてしまいそうになった俺であったけど、理性のかけらと、舞さんのどうしようもない地雷女臭が俺をかろうじて押しとどめた。

(舞さんの親友は光井センセイなんだぞ!)
俺は心に強く言い聞かせた。

4611:2017/05/30(火) 03:48:14
再度身を離した俺に、「どうしたの?」と怪訝そうに聞く舞さん。

「あのね、舞さん…」
「だから『舞』って呼んでいいって…」
「俺、舞さんのこと、『舞』なんて呼べないよ…」
「やさしいんだね。分かった。キミがそう呼びたいんなら、舞はそれでもいいよ」

「えっ?」と俺が正直困りかけた瞬間、もう一度舞さんが俺に抱きついてきて、ぽつりとつぶやいた。
「舞、ずっと、ずっと、独りっきりで寂しかったんだ」
はっとして、舞さんを見ると、舞さんの両目から一滴の涙がポロリとこぼれてきた。

4621:2017/06/01(木) 03:29:33
舞さんの涙を見た瞬間、俺は反射的に舞さんの躰をギュッと強く抱きしめてしまった。男の大半はそうだと思うけど、俺も女の涙には弱いのだ。

「舞さん…」
そう言って俺が舞さんの背中をまさぐっている間も、舞さんはずっと一人語りを続けていた。

「舞の家、コンビニやってるから、子供の時からパパもママも仕事で忙しくて、舞はずっと独りぼっちで…」

俺の家も両親は共働きだし、姉ちゃんは姉ちゃんで一人であちこち遊びに行っちうから、(そういや俺もずっと独りぼっちだったなあ)と、俺は思った。

舞さんが愛おしくなってきて、思わず、舞さんの栗色の髪に顔を埋める俺。

「東京に行ってからもさ…、夏休みになったら、彼氏は舞に断りもせずに、勝手に友達と遊びに行っちゃうし…」

(えっ…?)

「舞はいっつも独りぼっちなんだもん…」

(彼氏いるって…。いや、それ全然独りじゃないだろ…)

4631:2017/06/03(土) 04:45:23
舞さんの話を聞いていて、俺は完全に白けた気持ちになりかけたけど、その後に、嗜虐的な感情がふつふつと湧き起こってきた。

(そういうことなら…、そんなに寂しくて抱いてほしいって言うんなら、お望み通りに抱いてやろうじゃないか! そして彼氏と俺のどっちがいいか、体で比べさせてやる!)

今度は自分の方からキスをして舞さんの独り語りをやめさせた俺は、舞さんのTシャツをほとんどまくり上げるようにして、ピンクのブラジャーの上から荒々しく舞さんの乳房を揉み始めた。

「う、う、ふん…」と甘い声を漏らしはじめる舞さん。

俺はブラのカップの隙間から強引に指を入れると、舞さんの乳首を摘まんで転がした。

「あ、あん、あん」と、眉根を寄せて切なげな表情を浮かべる舞さん。

4641:2017/06/03(土) 04:47:04
胸を揉みながらふと見ると、舞さんの胸と脇の間には、何か乳首のような突起物があることに、俺は気がついた。

(なんだろう…、これ? 副乳ってやつか…?)

思わず、そこに俺は口をあてがって、吸ったり舐めたりしていたのだけど…、

「ねえ…、あのさあ、何やってんの?」と、イラっとした口調で舞さんが抗議してきたので、俺は慌てて舞さんの唇をまたキスで塞いだ。

それから舞さんの背中に手を回して、ブラのホックを外すと、舞さんのこんもりとしたオッパイが目の前に露わになった。

「きれいだよ、舞さん」
俺がそう言ってしばらく眺めていると、舞さんはあたりを見回してハッとして、初めて周囲の状況に気付いたらしく、「ちょっ、周りに結構人いるじゃん! ヤバいって! 誰かに見られてるかも!」と、切迫したような低い声を上げながら、慌ててTシャツの裾を下げようとした。

「大丈夫。みんな自分たちのことに熱中してて、俺たちのことなんか見ちゃいないよ」

俺はそう言うと、舞さんの下ろしかけたTシャツの中に強引に頭を突っ込んで、舞さんの尖った乳首を口に含んだ。

「あ、アン、だめっ、アン…」
舞さんの舌っ足らずな甘い吐息が響いた。

4651:2017/06/03(土) 04:59:58
乳首を吸いながら、俺は舞さんの太ももに手を這わせ、ミニスカートの奥へと進めていった。

俺の指がパンツの裾に触れた時、「だめ…」と囁いて、舞さんは俺の手を上から抑えようとした。

俺は構わず、パンツの中に強引に指を進めていった。
ヌルっとした感触と、思ったよりも熱い舞さんの体温。
瞬間、「あんっ!」と甲高い声を上げてから、慌てたように両手で自分の口を押える舞さん。

俺は舞さんの顔にぴったりと自分の顔が付きそうになるくらい近い距離で、舞さんの目を見つめながら、舞さんの熱い蜜壺の中でゆっくりと指を動かした。

「だめぇっ…」とくぐもった声を上げながら、俺の手を上から抑える舞さん。
無言のまま、俺が指を動かし続けると、ヌチャヌチャとしたいやらしい音があたりに響いた。

「ねえっ…」
ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ…

「ホントに…」
ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ…

「お願い…」
ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ…

「ここじゃイヤなの…」
哀願するような目で舞さんが俺を見上げてきた。

「どこか行く?」
俺がそう聞くと、舞さんがコクコクと首を縦に振った。

4661:2017/06/04(日) 05:43:07
俺にしなだれかかってくる舞さんを促して、俺たちはベンチから立ち上がった。

公園を出るときにチラッと、向かいのベンチの方を確かめたのだけど、そこにはもう、真野ちゃんに似た美女とイケメンのカップルはいなかった。俺が舞さんとのプレイに熱中している間に、一足先に席を立ったのだろうか。

俺と舞さんは、公園から元の道に出て、丘を越えたところにあるラブホテルを目指した。その間、俺は無言のままずっと舞さんのオッパイを揉み続けていて、舞さんも無言のまま、俺の肩に頭をくっつけていた。

しばらく歩くと、古いお城のような形をした、二軒のラブホテルが見えてきた。

4671:2017/06/05(月) 04:53:39
闇夜の中、ようやく現れたラブホテルを目を凝らして見つめると、手前のラブホの玄関にちょうど入ろうとしている一組の先客がいることに気が付いた。

遠くてはっきりしないけど、女の人の服装はさっきの真野ちゃんに似た美人と同じもののようにも見えた。だとすると、俺たちよりも一足先にベンチを立って、ホテルに向けて歩き出していたのかもしれない。

ちょっとドキドキしながらも、俺は舞さんのオッパイを揉み続けて歩いていたのだが、そのとき舞さんが「あっ、満室になった…」と言った。

「えっ? どうして分かるの?」と俺が聞くと、舞さんは「知らないの?」とちょっと呆れた感じの声で呟いてから、「ここのラブホ、満室になったら看板の上のライトが消えるんだよ。この辺じゃ有名じゃん」と、なぜかちょっとドヤ顔をしながら俺を見上げた。

「そなの…?」
(昨日まで童貞だった俺には、まだまだ知らないことがたくさんあるのだな)と思うと、俺は何かシュンとした気持ちになって、舞さんのオッパイを揉み続ける気力もなくなってきた。

オッパイを揉むのをやめると、舞さんは「?」という感じの表情で俺を見上げてきた。俺は舞さんの胸から手を離して、あらためて舞さんの手を握った。

4681:2017/06/05(月) 05:17:16

「じゃあ、もう一軒の方は…」と俺が聞くと、「ああ、あっちも満室みたい。あっちはね、建物の上のツリーのイルミが消えたら満室なんだよ」と、舞さんは蓮っ葉な笑みを浮かべながら、舌足らずな声で俺に解説しはじめた。

俺は歩くのをやめた。
「じゃあ、ダメじゃん」と俺が言うと、「そんなこと、舞に言われても困るよ」と、舞さんがふくれっ面をした。

俺たちはそのまま数秒、顔を見合わせた。
「帰ろっか…」と、舞さんがつまらなそうに言った。

仕方なくその場から回れ右をした俺たちは、元来た道を戻り始めた。

すると…
来るときは気がつかなかったのだが、公園とラブホの間の長い雑木林の中から、それもあちこちから、女の人の喘ぎ声のような音が、聞こえてくるのだった。

俺と舞さんは思わず顔を見合わせた。

4691:2017/06/05(月) 05:26:05
「舞さん…!」
「…うん」
「この中で…、してる人たち、いっぱいいるみたいだ」
「…そう、…みたいだね」

俺は舞さんの手をギュッと握った。
瞬間、一歩後ずさる舞さん。

「舞さん…!」
「…はい?」
「俺たちも…」
「えっ?」
「俺たちも…、林の中に行こう」
「ちょっ…!? ええっ!?」

俺は舞さんの手をつかんで、強引に林の中に誘おうとしたけど、「ちょっと!待ってよ!」と舞さんは腰を引き気味に立ち止まった。

「舞さん…」
「ちょ! こんなところで…、外でなんて、ヤダヤダヤダ! 絶対嫌だからね、舞!」と、舞さんは耳まで真っ赤に染めながら小さく叫んだ。

4701:2017/06/08(木) 01:44:16
俺はというと、ここまできてお預けなんていうのも、とても我慢できない気持ちになって、舞さんを強く抱きしめた。

「お願い。舞さん。舞さんが欲しい!」
そんなことを言いながら舞さんのお尻を揉んでいると、舞さんは「困った子ね…。でもそんなかわいいこと言っても、ダメなものはダメだよ。こんなところでなんて、舞、絶対恥ずかしいし…」と、舌っ足らずな声でいいながら、上目遣いに俺の目を覗き込んできた。

「でも…」
「それならさ…、帰り道に…、駅の裏手の方にもラブホあるじゃん。あっちに行ってみて、空いてたら入ってもいいよ。ねっ、ねっ?」

そういうと、舞さんは俺の手を引いて、坂の下の方に向かって歩き出した。

4711:2017/06/08(木) 01:46:29

ダラダラとした坂を下り、もと来た電車通りに沿って、俺と舞さんは手をつないで歩いていた。

舞さんはさっきも話していた、東京の学校での彼氏への不満話などを、またぬけぬけと話し出して、俺を辟易させ続けた。

その時、前の方から、一台の怪しげな車、〜その車は紫色に塗られてローダウンした旧型のセルシオで、夜中だというのに大音量のヒップホップを流していたのだが〜、がやってくると、ちょうど俺たちとすれ違ったあたりで急にUターンをして、俺たちに並びかけて停まった。

俺は焦って、思わず五クりと唾をのみこんだ。

(ヤンキーに絡まれるのか…。でも、何があっても舞さんだけは逃がさないと…)

俺はつないでいた舞さんの手を一度ギュッと握ってから、俺の背中で舞さんを隠すようにした。もう片方の手は、ズボンのポケットの中で握りこぶしを固めた。

4721:2017/06/10(土) 04:10:39
俺が身構えていると、セルシオの助手席のフルスモークの窓ガラスがゆっくり下がってきた。

助手席に乗っていたのは髪を金色に染めた女の人で、窓が開くなり「ちょっと舞ちゃん! こっちに帰ってたんなら連絡くらいくれればいいのに!」と、俺のことなど眼中にない感じで、舞さんに向かって舌足らずな声で叫んだ。

途端に舞さんが「えっ!千聖じゃん! 元気?」と、俺を押しのけるようにして、車に駆け寄った。

車の中を伺うと、運転席にはチャラそうな男、後ろの席にももう一組の男女が乗っているようだった。

千聖と呼ばれた女の人が、「ウチら今までサバゲーしてたんだけどさ、これから千聖の家で飲む直すんだ。そうだ!舞ちゃんも来ない?」と聞くと、舞さんは車を覗き込んで、「あっ! なっきぃもいるんじゃん! 行く行く!」と明るい声で答えながら、後ろのドアに手をかけた。

4731:2017/06/10(土) 04:12:36
俺が呆気にとられていると、千聖という人が「ところで舞ちゃん、この子舞ちゃんの彼氏? もしかして高校生? 舞ちゃんまさか高校生と付き合ってんの? 超受けるんだけど」と俺を見て蓮っ葉な笑みを浮かべた。

舞さんは「ちょっと千聖! 変なこと言わないでよ!」と怒ったような声を出して、「この子は舞も会ったばっかりで、良く知らないんだけど、舞美ちゃんの知り合いの子なんだってさ」と言うと、俺に向き直って「ごめんね。久しぶりに友達に会ったから、今日はここまででいいかな?」と、悪びれる様子もなしに言った。

「えっ…」
返事も出来ずにいる俺をその場に残して、舞さんは後ろの席に乗り込むと、「ばいばい。またね」と、何故だかちょっと赤い顔をして、俺に手を振ってきた。

呆然として立ち尽くす俺を残して、車はタイヤの音を軋ませながらUターンして、そのまま走り去って行った。

4741:2017/06/10(土) 04:44:41
俺はしばらくの間、その場から動く気力もなくなり、立ち尽くしていたのだけれど、そのうち、なぜだか可笑しくなってきた。

「ハハハハ」と、力のない笑い声が出た。

手マンまでさせておきながら、俺のことを「良く知らない」なんて言う舞さん。でも、よくよく考えれば、俺の方だって、別に舞さんのことなど深く知っているわけでもなんでもなかったのだ。

しょせん、寂しいもの同士が一晩、勢いだけで互いを慰めあおうとしていただけの話なのだ。これでよかったのかもしれない。

そんなことをぼんやり考えながら歩き出したけど、そのうち、舞さんがさっきの男女と乱交しているような妄想が頭の中で止まらなくなってきた。

男に後ろから激しく突かれながらお尻を叩かれて、別の男の一物もしゃぶらされている舞さん。その男は千聖っていう人とディープキスなんかしてたりして…。

俺は思わず首を振った。

すると、今度はさっきの古いホテルの一室で、真野ちゃんがさっきのイケメン風の男に駅弁スタイルで突き上げられて喘いでいるような妄想が頭の中に浮かんできた。

(俺、頭がおかしくなったんじゃないか…)と、俺は自分で自分に呆れてきた。

(それにしても、あの人は本当に真野ちゃんだったのだろうか…)

475名無し募集中。。。:2017/06/10(土) 07:08:02
嫌な予感はしてたがお預けルート残念すぎる
長期間に及ぶ期待が直前で消えてしまってつらいw

476名無し募集中。。。:2017/06/10(土) 13:29:25
サバゲー(笑)

4771:2017/06/11(日) 05:35:10
>>475
マイマイはまたの機会に

4781:2017/06/11(日) 05:50:39
俺は駅の方に向かって、ブラブラと歩き出した。

歩く気力は全然湧かなかったけど、いつまでもこんなところに立ち尽くしていても仕方ない。市電はとっくの前に終わっているし、タクシーに乗る金もない。自分の足で歩いて帰るしか他にないのだ。

歩き出すと、山木さんのこと、舞さんのこと、それに真野ちゃんのことも頭に浮かんできた。でも、そのたび、俺は頭を強く降って、とにかく歩き続けた。

4791:2017/06/11(日) 05:51:55
駅前を通り過ぎる時、駅舎の時計を見ると、午前1時半を回っていた。繁華街の飲食店も、ほとんどの店は既に電気が消えていて、明かりのついている店がぽつりぽつりとある程度だった。例の「ANGERME」も、もちろんシャッターが降りている…。

そのまま市電の線路に沿って歩き続け、高校の前まできたとき、このまま線路に沿って歩くより、毎日チャリで通る通学路をショートカットした方が近いことに気が付いて、俺は路地を曲がった。

4801:2017/06/11(日) 06:24:43
ずっと歩き続けて、ようやく高校と家の中間くらいまでたどり着いた。

(今はとにかく早く家に帰って、布団に入りたい)
それだけを考えていたのだが…。

小さな川沿いに「赤ちょうちん横丁」という、古い平屋の長屋が向かい合った、怪しげな飲み屋街があった。いつもは朝か夕方しか通ったことがなくて、店が開いているのを見たことは一度もなかったので、建物全体が空き店舗なのだと俺は勝手に思っていたのだが、今見ると、そのうちの数軒に明かりがついている。

(へえ…。こんな遅い時間にやっていたのか)

そんなことを考えながら、思わず立ち止まると、ちょうど一番手前の店のちょうちんの灯りが消えて、ガラガラと引き戸が開くと、中から割烹着姿の女の人が出てきた。

ちょうちんを店の中に仕舞おうとする女の人と、一瞬、目が合った。

4811:2017/06/11(日) 06:25:59

(こんな店のママさんなのだろうから、結構な年のおばさんだろう…)
そう思って何の気なしに見上げると、その人はおばさんどころかすごく若い、しかも相当な美人だったので、俺は一瞬たじろいだ。

(いくつだろう…、舞さんとどっちが年上かな? いずれにしても二十歳そこそこくらいかな…)

そんなことを考えていると、その女の人がいきなり「○○クン!」と、俺に向かって呼びかけてきたので、俺は二度驚いた。

(えっ… 誰だろう、この人…)

俺は無言のままドギマギした。

4821:2017/06/11(日) 06:27:55
「分からない?」とその人は小首を傾げながら、上目遣いに俺の目を覗き込んできた。その目つきで俺はようやく気がついて、思わず大声を上げた。

「お前…、小田か!?」

その人…、いや、俺と同じクラスの小田さくらは、恥ずかしそうに顔を赤く染めると、コクンと一つ頷いた。

「お前、前髪下ろしてるの初めて見たから…、全然気がつかなかった。てゆーか…」

話しをしながら、落ち着きを取り戻して周囲を見回すと、店の看板には「スナックさくら」と書いてあった。

「てゆーか、お前、高校生のくせにスナック経営してんの?」

俺がそう聞くと、「してるわけないじゃん。店をやってるのはお母さんで…、私は今日は夏休みだからたまたま手伝ってただけ…」と、小田は消え入りそうな声で答えた。

483名無し募集中。。。:2017/06/11(日) 16:38:23
ようやくばくわら世代に戻ってきたか

4841:2017/06/12(月) 04:04:45
「そうなのか…」と俺が答えると、「でも、学校のみんなには…、誰にも言わないでね。お願い!」と、小田が赤い顔のままで囁いた。

「あ、ああ…」と俺。

(それじゃ、これでお互いに秘密を一つずつ共有したってことになるのかな…)と、俺は思い出した。

今日は暗室で山木さんとあんなことをした後、山木さんに振られて混乱した俺は、優樹が「幽霊の声がした」なんてふれ回っていたせいもあり、カッとなって、ほとんど八つ当たり気味に、小田に本当のことを話してしまっていたのだった。

その時、「誰にも言わないから」と、生真面目な顔で俺に叫んた小田。

そんなことを考えていると、昨日からのことや、さっきまでのことが次々と脳裏に浮かびあがっては、止まらなくなってしまった。

(あれ、俺、泣いているのか…)
なぜだか、涙が出てきてしまっているのに気が付いて、俺は激しく狼狽した。

「どうしたの、○○クン?」と、驚いたように俺の顔を覗き込む小田。

「い、いや、なんでも…」

4851:2017/06/12(月) 04:53:34
「別に、なんでもない…」
俺は自分に言い聞かすように、そう答えたけど、涙は止まらなかった。

考えてみれば…。

これは前にも経験したような光景だった。

そう。昨年の宿泊研修の後の、2学期終了のクラスの打ち上げの後のことだ。

宿泊研修で宮本に告白して玉砕した(と思い込んだ)俺は、安酒に悪酔いして、泣きながらズッキの膝の上で介抱されていたのだが、その時も、今みたいにどうにも涙が止まらなかったのだ。

(俺って、女の前で涙腺が緩むタイプなのか…、情けない…)

「ねえ、何かあったの? 本当に大丈夫? …ちょっと落ち着くまで、うちの店で休んで行ったら?」と、小田が心配そうに言った。

4861:2017/06/12(月) 05:01:55
俺は慌てて、「いや、店の中に小田の母ちゃんいるんだろ? いいよ。いいよ」と断ったのだが…。

小田は「大丈夫。お母さんいないから」と、小さく微笑んでから、「お母さん、今日疲れてて体調悪そうだったから、さっき店閉めたらすぐ、先に帰ってもらったの。で、私一人で洗い物とか店の片づけしようとしていたところだったんだ。だから…」

そう言いながら、小田は俺を背中から押すような形で店の中に押し込んだ。

4871:2017/06/12(月) 05:15:01
店の中には、カウンターとボックス席が一つ。

外の看板には「スナック」とは書かれていたけれど、入ってみると、焼き鳥屋かおでん屋のような造りの店だった。それともこういう店を「小料理屋」というのだろうか。カウンターの奥にはカラオケのセットが置かれていた。

(それなら「和風スナック」とでもいうべき店なのだろうか…)

俺が店内を見回していると、後ろ手に玄関の引き戸を閉めて入ってきた小田が、「その辺にでも座ってて。あっ、そうだ。お茶でも飲む?」と言って、「サッポロビール」とロゴの入った冷蔵ケースの中を探りはじめた。

「そう言えば俺、今日はヤケ酒飲もうとして出てきたんだった。でも、酒なんて飲んでも、何もいいことなんてないもんだな」

ようやく涙のとまった俺がそう言って力なく笑うと、小田は真面目な顔をして数秒俺の顔をじっと見つめた後、無言のまま冷蔵ケースからサッポロ黒ラベルの中瓶を取り出し、俺の前に持ってきた。

4881:2017/06/13(火) 04:59:33
無言のままビールの栓を抜くと、俺の前に小さなコップを置き、注ぎ始める小田。

「えっ…」
おどろく俺を尻目に、小田は「私、注ぐのなかなか上手いでしょ。さっきもお客さんに褒められたんだ」と、小さく笑ってから、「ねえ、一体何があったの? これ飲んで、イヤなこと全部忘れちゃうといいよ」と、つぶやいた。

「小田、お前…」
思わず俺が真顔になって話しかけようとすると、小田は「ごめん! 詮索とかするつもりじゃなくて…。そうじゃなくて、元気出してほしいな…、って私思って…」と、言い訳するように言ってから、「私、洗い物済ませちゃうから、ゆっくり飲んでてね」と言って、カウンターの中に入った。

俺はしばらくコップのビールを見つめてから、一息にそれを飲み込んだ。

4891:2017/06/13(火) 05:02:40
空になったコップに手酌でビールを注ぎ足してから、「でも、小田が俺にビールを注いでくれるなんて、夢にも思わなかったわ」と、俺はつぶやいた。

カウンターの向こうで洗い物を始めながら、「えっ、どうして?」と生真面目な顔で俺を見上げてくる小田。

「小田とは1年生の時から同じクラスだったけど、俺たちあんまり接点なかったし、深く話したこともなかっただろ…。それにホラ、お前、俺なんかと違って頭もいいし真面目じゃん。去年は学級委員長もやってたし。そんな優等生のお前が、劣等生の俺に飲酒を注意することはあっても、まさか酒を勧めてくるなんて、想像もしてなかったから」

俺がそういうと小田は、一瞬、洗い物の手を止めて、「えっ、私はクラスの中では、〇○クンとは仲がいい方だと思ってたんだけど…。それに、私…、優等生なんかじゃない…」と言って、ちょっと寂しそうな表情を見せた。

4901:2017/06/14(水) 05:38:07
「えっ、いや…、その…」
小田の寂しげな表情を見て、俺は思わず言葉に詰まってしまった。

(俺はなんでいつも、物事を深く考えもせずに喋ってしまうのかな)と、俺は自分の軽口を後悔した。

「何か…、スマン」
俺がそう言うと、小田は「いいよ…、別に」と言って、また下を向いて洗い物を始めた。

沈黙が流れた。

何か話題を作ろうとして、俺は「ところで、あのあと優樹、どうなった?」と聞いた。そして、聞いてからまた後悔した。

小田は洗い物を続けながら、「優樹ちゃん…、あの後大変だったんだから。音楽室に戻ってきて大泣きして。『お兄ちゃんに突き飛ばされた』とか大騒ぎして。それ聞いて、合唱部のみんなも、そう、植村さんとかも『女の子に暴力振るうなんて最低』って、○○クンのこと、怒ってたよ」と、真面目な顔をして言った。

4911:2017/06/14(水) 06:13:55
(あの植村あかりに嫌われたのか…)
俺が何気にショックを受けていると、「でも、私はそうは思わないけど」と小田が言った。

「えっ?」
「いや、私もそんなによくは分からないけど…。○○クンが理由もなしに優樹ちゃんに暴力振るうなんて、私には想像つかないもん。きっと、何か行き違いがあったんじゃないのかな? 優樹ちゃんって、感情的になるとすごく大げさなこと言ったり、嘘ついたり、人の話聞かなくなったりするところあるし…」
「…」
「植村さんも、○○クンのこととかよく知りもしないくせに、優樹ちゃんの言い分だけを真に受けて、悪く言ったりしない方がいいのにって、私思った」

俺は恥ずかしさで自分の顔が赤くなるのを感じていた。と同時に、小田の俺への底抜けな買い被りにも似た同情に、正直言って戸惑ってもいた。

4921:2017/06/15(木) 04:19:08
「いや、小田、あのな…」
「何?」
「庇ってくれるのは嬉しいけど…、やっぱり俺が悪かったんだと思う…」

小田は数秒俺の顔を見てから、「ねえ…、いったいあのとき何があったの? あっ、いや…、言いたくないなら、別に言わなくてもいいんだよ」と、早口で言って、俺を見た。

俺は何て答えればいいか数秒迷ったけど、コップのビールをグッと飲み干してから、小田の疑問に答えることにした。

「あの時も言ったけど…」
「うん…」
「俺は暗室で、好きな先輩と、その…、抱きあってたんだ。声も響いてたと思う…」
「…」
「でも、俺、フラレてな…」
「えっ?」
「それで…、落ち込んでたところに、優樹が来て、幽霊だの何のって…。俺、ついカッとなって」
「そう、なんだ…」

赤い顔をしながら、俺を見つめる小田。

4931:2017/06/15(木) 04:32:13
「その先輩って、写真部の人? もしかして…、山木さん?」
「…」
「ごめん。詮索したりして…」

沈黙の中、小田が食器を洗い続ける音だけが響いた。

「でも…、こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど…」そう言って、小田が上目遣いで俺を見上げた。

「何?」
「私、ちょっとホッとしたな」
「どゆこと?」
「私、○○君って、うちらのクラスの鈴木さんか…、もしかしたら植村さんのことが好きなんじゃないかって、勝手に思ってたの。でも、そうじゃなくて、その先輩が好きだったんだね」

俺は小田の言っている意味が分からなくて、黙っていた。

「別にフラれたっていいじゃん! 女の子なんて星の数ほどいるんだよ。○○君のこと好きな子だって、きっといるよ」
小田はまっすぐに俺の目を見て言った。

4941:2017/06/15(木) 04:46:44
小田は小田なりに俺のことを励ましてくれているのかもしれないけど…。
その無責任な口ぶりに、正直俺は少し腹が立った。

「何で小田にそんなこと分かるんだよ」
「だって…」
「だって?」
「私、知ってるもん!」
「何を?」
「○○君のこと、好きだっていう女の子がいること、私、知ってるもん!」
「誰だよ、それ?」
「そんなこと…、言えないよ…」

そう言うと、また小田は下を向いて、洗い物に集中してしまった。

4951:2017/06/15(木) 05:16:49
そのまま小田は黙って洗い物を続けた。

俺も黙ってビールを飲み干すと、コップと瓶を小田に渡した。

しばらくして小田は「じゃあ、後片付終わったから…、店閉めるよ」と言った。
「お、おう…」と俺。

2人並んで店を出ると、小田は玄関にカギをかけて、シャッターを下ろした。

「おい、こんな時間になったし、お前の家まで送っていくよ」と俺は言った。
「いいよいいよ。だいたい私の家、○○君の家とは反対方向だし」と言って、首を振る小田。
「えっ、お前、俺の家知ってんの?」と俺。
「あっ、いや…、よくは知らないけど…」と小田。

「まあ…、それはいいけど…。遠慮すんなって。てゆーか、こんな時間に、女の子一人じゃいくら何でも危ないだろ」と俺が言うと、小田は少し考えるような素振りをしてから、「それじゃ、お言葉に甘えて送ってもらおうかな…。ホントはね、正直言うと、一人で帰るの、ちょっと怖かったんだ」と言って、頬を赤くして俺を見上げた。

4961:2017/06/15(木) 05:31:47
小田の家は、そこから高校の方に少し戻ったところの、歩いて5分くらいの場所だった。

今まで小田のことは別に何とも思ったことはなかった俺だけど、こんな時間に、クラスの女の子と二人きりで歩いていると思うと、少しドキドキとしてきた。それに、正直に言うけど、割烹着を脱いでワンピース姿になった小田は、俺が思っていたよりもずっとオッパイが大きく見えて、俺は目のやり場に困って緊張していたのだ。

俺だけじゃなく、どういうわけか、小田もほとんど無言のままで歩いていた。

「私の家、ここなんだ」と言って小田が指さしたのは、お世辞にも立派とは言えない、古い木造アパートの二階の一室だった。

「小田…、今日は何かスマンカッタな…」
「えっ、どうして…」
「何か俺、酔っ払って絡んだみたいで…」
「そんなことないよ。私の方こそ、わざわざ送ってもらって…」
「あっ、そうだ。ビール代払うの忘れてた」
「えっ、別にいいよ。そんなの」
「よくないだろ」
「そんな…。あっ、そうだ!じゃあ、ツケにしておくから、また今度きてよ」
「えっ?」
「…機会があったら、でいいから」
「お、おう」

そう言うと、小田は早足でアパートの鉄製の階段を昇って行って、自分の部屋の前で一度俺に振り向いて手を振ると、部屋の中に消えていった。

497名無し募集中。。。:2017/06/15(木) 22:11:28
本命は小田ちゃんか

4981:2017/06/18(日) 04:31:05
家まで帰ってくると、玄関に電気がついていた。

カギを開けて中に入ると、居間のテーブルに千奈美姉ちゃんが突っ伏して寝ていた。

姉ちゃんの姿を見ると、またさっきまでのいろいろな出来事が一気に押し寄せてきて、俺は泣きそうになってしまった。(いっそ、姉ちゃんに話を聞いてもらおうかな…)と、俺は一瞬思った。

「姉ちゃん、こんなところで寝てると風邪ひくぞ」と声をかけて体を揺さぶると、千奈美姉ちゃんはむくっと起き上がって

从*´∇`)<ちょっとアンタ! こんな時間まで何やってたの!

と大声を上げた。

「いや、別に心配してもらわなくても…」と俺が言いかけると、姉ちゃんは俺の言葉を遮って

从*´∇`)<心配? ハァ?

と首をかしげてから

从*´∇`)<そんなことどうでもいいけど、それより聞いてよ! ちいちゃんの大活躍で、アシカの赤ちゃんたちが劇的に回復したんだから! それをアンタに話してやろうと思ってわざわざこうして待ってたんだから!

というと、姉ちゃんは早口で一方的にアシカを治した自慢話をし始めた。

(姉ちゃんに話を聞いてもらおうと思った俺が馬鹿だった)と思ったけど、姉ちゃんの笑顔を見ていると、なんだか元気が出てくる俺でもあった。

4991:2017/06/18(日) 05:02:07
姉ちゃんの長い話を聞き流し…、
部屋に戻って時計を見ると、すでに時刻は午前3時半を回っていた。
(疲れた…)と俺は思った。

パジャマに着替えてすぐに布団にもぐりこんだのだが…。
すごく疲れていて、すぐにでも眠りたいのに、どういうわけか神経が高ぶって、目を閉じても眠れない。

(困ったな)と俺は思った。

これはきっと…、舞さんとセックスするつもりでいたのに、直前で寸止めされたのも影響しているのではないか。

(だったら、一本抜いて、スッキリしてから寝よう)

俺はベッドから這い出ると、おもむろに部屋のドアにカギをかけた。

5001:2017/06/18(日) 05:05:01
ズボンとパンツを脱いで、一物を握りしめた。

すると、頭の中には舞さんではなく、自然と山木さんのことが浮かんできた。

(山木さん…! 梨沙!)

昼のことを思い出すと、気持ちが昂揚してはきたのだが、「〇○君とは、やっぱり付き合えない…」という山木さんの言葉を思い出すと、自然と萎えてきてしまった。

(これじゃダメだ! もっと鬼畜になって、舞さんの…、体のことだけを考えよう)

俺は目を閉じて、舞さんを後ろから抱きしめているところを想像した。

(舞さん!舞さん!)

後ろからオッパイを揉みしだくと、妄想の中の舞さんのオッパイは、さっき実際に触った舞さんのオッパイよりも大きかった。

(あれ、舞さんじゃない! キミは!?)

肩をつかんで振り返させると…
そこにいたのは舞さんではなく、顔を真っ赤に染めた、さっきのワンピース姿の小田だった。

(えっ!? 小田…)

俺が叫ぶと同時に、俺の胸の中に飛び込んでくる小田

(くそ…!)
俺は訳が分からなくなって、妄想の中で小田を押し倒し、奥深くまで貫いた

(小田…!、さくら…!、さくらッッ!)
小田の中で勢いよく果てると同時に、猛烈な睡魔が俺を襲ってきた。

5011:2017/06/20(火) 05:20:27
ドン、ドン、ドン
ドン、ドン、ドン
と、激しくドアを叩く音で目が覚めた

从*´∇`)<ちょっと! アンタ! 何で部屋にカギなんかかけてんのよ!

そう言って、姉ちゃんが俺の部屋のドアをガチャガチャと開けようとしている。

俺は慌てて飛び起きた。

気がつくと、俺は下半身裸のまま、ティッシュを握りしめてベッドで大の字になって寝ていたのであった。

急いでパジャマのズボンを履いてから、部屋のドアを開けた。

「ちょっ…、何だよ姉ちゃん…。まだ朝早いだろ!」

俺がそう抗議したのにも構わぬ素振りで、姉ちゃんは俺の部屋に一歩入ると、

从*´∇`)<何!? なんかこの部屋、男臭い!

と言って、顔をしかめた。

「そ、そりゃ、男だもん、男臭いに決まってるだろ…。それより、何だよこんな時間に?」
と、俺がしどろもどろになって言い返すと、姉ちゃんは

从*´∇`)<電話だよ、電話! それも、可愛い声の女の子から!

と言って、ニヤニヤと俺の顔を覗き込んできた。

5021:2017/06/20(火) 05:40:06
慌てて階段を降りて、電話の受話器を握る俺。

「もしもし!」と俺が話しかけると、「あっ、ごめんね。こんな朝早くに。私、あの…、鞘師だけど」と、声がしてきた。

「お、おう。お早う」
俺がそう言うと、鞘師も小さな声で「うん。お早う」と返してきた。

「あれ、お前、俺の携帯の番号教えてなかったっけ?」と俺が聞くと、「うん。聞いてなかったから、名簿見て家の方にかけたんだ。ごめん。やっぱり、迷惑だったよね…」と、鞘師が消え入りそうな声で言った。

「いや、別にいいんだけと、何の用?」
「あのね、実は昨日の晩にも電話かけたんだけど、誰も出てくれなくて…」
「えっ、ああ…、スマン。昨日遅くまで用事あって、帰ったの遅かったんだ」
「そうなんだ…。あのね…」

その時、受話器の向こうから「出発便のご案内を致します。○○航空××便で羽田へご出発のお客様は、ただいま最終のご搭乗の…」と、アナウンスが聞こえてきて、鞘師の声がかき消された。

「ごめん! ちょっと聞こえない」
「あ、あのね…」
「鞘師、今空港にいるの?」
「う、うん。実はね…」

5031:2017/06/23(金) 02:14:03
「本当は、昨日のうちに○○クンにも相談したかったんだけど…」
「何を?」
「ごめん。いま詳しく説明してる時間ないんだけど、私これから用事で東京に行かなきゃならないんだ」
「へえ、いいじゃん」
「あのね、それで私、二日ほど、一緒に練習に出きなくて」
「ああ、そのことか。別に気にすんなよ」
「あっ、でも、ちゃんと代わりの先生頼んだから」
「えっ、誰?」
「ごめん。もう行かなきゃ。○○クンはいつもどおりの時間に練習に行ってね。じゃあ」

鞘師が早口でそう言い終わると、電話は切れた。

5041:2017/06/23(金) 02:32:33
(へえ…、鞘師、東京に遊びに行くのか。いいなあ。俺も行きたいなあ。あっ、でも急用だったみたいだから、もしかしたら親戚に不幸でもあったのかな…。だとしたら『いいじゃん』とか言って、失礼だったかな)と、俺は思った。

そんなことを考えていると、千奈美姉ちゃんがニヤニヤしながら近づいてきて

从*´∇`)<ちょっとアンタ! 今の子誰なのよ? あれが一昨日キャプテンの言ってたダンスの上手い子なの? それとも桃が言ってたクラスの子? デートの約束でもしたの?

と、探るような目つきで俺のことを見始めた。

「ちょっ、姉ちゃんまで変なこと言わないでくれよ!」

そういうと俺は姉ちゃんを振り切って部屋に戻った。

(そうだ。爆睡していたけど、そろそろ学校に行かなきゃならん時間だ)と俺は思った。

鞘師と会えない寂しさももちろんあったけど、正直に言うと、鞘師の厳しいレッスンを受けずに済むという、単純な解放感もあった。

(ところで、代わりの先生って、誰なんだろう)

5051:2017/06/23(金) 02:47:15
準備を済ませてから、チャリに乗って家を出ると、今日も外は暑かったが、日陰に差し掛かると時折心地よい風も吹いていた。

家からちょっと行くと、例の舞さんの家のコンビニの前に出た。

俺は一瞬、昼飯を買っていこうかとも考えたのだけど、正直言って、今は舞さんに顔を合わせたくない気分だった。

仮に会ったとしても…、いったい何を話せばいいというのか。

通りがかりに、スピードを落として店の中を覗くと、レジには舞さんのお父さんと言う店長が一人でいるだけだった。俺は何とはなしにホッとすると同時に、この人の知らないところで、娘さんに手マンまでしたのかと思うと、一瞬背徳感に襲われた。俺はやっぱり、店には寄らないことにした。

しばらく行くと、昨日寄った小田の母さんの店、「スナックさくら」がある、赤ちょうちん横丁の前に差し掛かった。

建物は、昼間に見ると、昨日の夜に見た時よりもさらにみすぼらしく感じられて、俺は何だか胸が締め付けられそうな気持ちになった。

5061:2017/06/23(金) 03:02:38
(昨日も詳しくは聞けなかったけど、小田の家って、お父さんいなそうだよな…)と俺は思った。

お母さんが夜の店をやりながら、女手一つで小田を育てたのだろうか。確かに小田にはどことなくそういう陰がある。(でも、それにしてはグレたりせずに真面目に勉強してるし、小田は偉いよな…)と俺は思った。

店の前から自転車を漕いでいて、気がつけば、小田のアパートの前で俺は停まっていた。

アパートもやはり、昼間に見ればより貧相に見えて、生活感の感じられる建物だった。

(ここで待っていたら、小田が偶然ドアを開けて出てこないかな…)と俺はぼんやりと考えた。(そしたらチャリの後ろに小田を乗せて、全速力で学校までぶっ飛ばしてやるのに…)

そんなことを妄想しながらその場に1分ほど佇んでいた俺は、自分の考えていることの馬鹿馬鹿しさに気付いて頭を振ってから、学校に向かった。

5071:2017/06/23(金) 03:07:10
学校に着き、自転車置き場にチャリを止め、玄関に向かった。

上靴を履いて校舎に入り、階段の横を通り過ぎようとしたとき、
突然、階段の上から、「こらっ!DV男!」と、大きな声が降ってきた。

「えっ?」
驚いて見上げると、あの植村あかりが腕組みをして大股を開いて、ちょっと頬っぺたを膨らませて、俺の前に仁王立ちしていた。

508名無し募集中。。。:2017/06/23(金) 21:09:08
2年ぶりに学校まで戻ったかw

5091:2017/06/28(水) 01:22:11
階段の踊り場から、植村がゆっくりと降りてきた。

俺は思わず植村から視線を逸らして、「確かに俺が悪いんだから、何言われても仕方ないよ」とつぶやいた。

すると植村は、「えっ? ちょっと、何マジレスしてんの?」と、驚いたように目を丸くして、俺を見つめてきた。

俺は少し頭がカッと熱くなってくるのを感じながら、自分に(落ち着け)と言い聞かせて話を続けた。

「俺は優樹を殴ったりしたつもりはないけど、まとわりついてきたあいつにカッとなって、思わずちょっと強く払ったら、突き飛ばしたような形になってしまったんだよ。とはいえ、結果的に暴力をふるったのは間違いないから、植村に軽蔑されても仕方ないよな。ただ、優樹は別に俺の家族じゃないから、『DV』ってのは当てはまらない」

俺がそう言い訳すると、植村は「えっ、何? ○○クンって、冗談も通じないの?」と呆れたような目で俺を見上げてきた。

5101:2017/06/28(水) 01:24:22
「えっ?」と思わず俺が聞き返すと、
「優樹ちゃんの話なんて、割り引いて聞いてるに決まってんじゃん。それなのにそんなにマジレスされると、何かかえって私、心配になっちゃうな」と、植村は硬い表情で答えた。

俺は正直混乱した。
「でもお前、みんなの前で、俺のこと『最低』って言ってたんだろ?」
俺がそう聞き返すと、植村は「はあ!? 何それ!? 誰がそんないい加減なこと言ってんの!?」と、大声を上げた。

5111:2017/06/29(木) 04:41:17
「い、いや、それは…」

俺が言いよどむと、植村は「あのさ…、確かに私、『暴力はよくないよね』とは言ったよ」
と怖い顔をして言い始めた。

「そうでも言わないと優樹ちゃんも収まらないだろうと思ったし。でもさ、優樹ちゃんって、感情的になるとすごく大げさなこと言ったり、嘘ついたり、人の話聞かなくなったりするところあるなんて、みんなが知ってることじゃん」

(あれ、どこかで聞いたようなセリフだな)と俺が考えているのにも構わず、植村は続けた。

「誰も〇○クンが本気で優樹ちゃんに暴力振るったなんて信じてないけど、そういう体にしとかないと、いつまで経っても優樹ちゃん、泣きやまないじゃん」
「そ、そうか」
「そうだよ! そんなの分かった上でみんなであやしてたのに。それなのにまるで私が陰で〇○クンの悪口言ってたみたいに告げ口した人がいるわけ!? 誰なのそれ!? マジ許せない!」

植村は本気で怒っているようだった。

5121:2017/06/30(金) 01:56:34
「ねえ、それ一体誰が○○クンにそんな話したの?」
「誰って…、いや、それは…」

昨日の晩、優しく俺をあやしてくれた小田の姿が脳裏に浮かんで、俺は狼狽した。(俺は本当に、いつも余計なことばかり言ってしまうんだな…)と、後悔が襲ってきた。

「言えないの? じゃあいいよ。私これから合唱部の練習に行ったら、誰が言ったのか一人ずつ問い詰めて、ハッキリさせるから!」
「おい、よせよ、そんなこと…」
「はあ? ○○クンは、その子の肩持つわけ!? マジ、ムカつくんだけど。○○クンも本当はその子のこと好きなんじゃないの?」
そう言うと、植村は冷ややかな表情で、俺の目を覗き込んできた。

「好きとか、そんなんじゃないけど…」
「あのさ…、ハッキリ言うけど、誰だか知らないけど、その子は私のこと悪く言って、○○クンに取り入ろうとしてるんだからね。○○クンも、そんな子の言うこと信じるんなら、勝手に仲良くしてるといいよ。私、○○クンのこと、見損なったわ」

そう吐き捨てると、植村はくるりと俺に背を向けて、すたすたと歩きだしてしまった。

5131:2017/07/03(月) 23:47:44
「おい、ちょっ、待てよ」
俺は思わず植村の肩をつかんだ。

振り向いた植村の顔を見て、俺は驚いた。怒って怖い顔をしているのだろうとばかり思いきや、植村は少し涙を溜めたみたいに赤い目をして俺を見ていた。

(俺のバカ! 植村、見かけによらず傷ついているじゃねえか…)

後悔だけに包まれながら、言うべき言葉を見つけられずにいると、植村が「…何よ?」と、口調だけは強気なままで言った。

「…いや、何て言うか、その…、スマン…」
俺がそう言いかけると、「はあ? スマンって何? 一体何を謝りたいわけ? 意味わかんない!」

植村は怒りを倍加させながら言った。

「いや、植村、俺はな…」
俺がそう言いかけた時、後ろから「…こんなとこで2人で大声出しあって何やってんの? 痴話喧嘩ってやつ?」と、冷ややかな声が聞こえて、慌てて振り向くと、そこに硬い表情をした宮本佳林が立っていた。

「宮本…」
「りんか…」
俺と植村が同時につぶやいた。

俺はつかんでいた植村の肩から、静かに手を放した。

5141:2017/07/04(火) 00:01:53
何と言ったらいいのか…。

俺が呆気にとられていると、植村はさっきまでの泣きそうだった表情とは一変して、冷たい笑みを浮かべながら、「へえ…。りんか、ずいぶん皮肉っぽいこと言うじゃん」と、宮本に向かって啖呵を切った。

「別に…、そんなつもりないけど。でも、いちゃいちゃするなら、廊下じゃなくて、別の場所でした方がいいんじゃない?」

宮本の声はさらに冷ややかな響きだった。

「おい、宮本…」
俺は驚いて、思わずそう声に出したけど、宮本は俺には視線すら合わせず、植村を見つめたままだった。

宮本がこういうことの言えるやつだと思っていなかった俺は、ただただ呆気にとられていた。(俺って、宮本のこと、いや、女の子のことなんて、全然分かってないんだな…)

515名無し募集中。。。:2017/10/20(金) 07:03:02
こんなのがあったとは

516名無し募集中。。。:2018/03/19(月) 02:32:51
続きはもう来ないのか

5171:2018/04/18(水) 01:49:20
「りんか、こないだのこと怒ってるんでしょ?」と、植村が冷たい笑みを浮かべながら言った。
「こないだ? こないだって何のこと?」と、能面のような表情で答える宮本。

「こないだ私がダンス部の練習後に教室行ったときのことだよ。りんかが○○クンと何か話そうとしてた時に私が横から割り込んじゃったから、そのことまだ根に持ってるんでしょ?」
「えっ?何の話? 私そんなこと全然覚えてないんだけど」
「へえ…。そうなんだ(笑)。それにしては私にずっとガンつけてたじゃん」
「ちょっと! ヘンな言いがかりやめてくれない!?」

2人の女の子のエスカレートする言い合いを、オレはハラハラしながら見ているだけしかできなかった。

5181:2018/04/18(水) 01:51:02
あのさあ…、りんかが〇○クンのこと好きになるのは自由だけど、そんなことで勝手に私にヤキモチ焼いて難癖つけられるのは迷惑なんだよね」
植村がそう言い放つと、宮本は顔を紅潮させて「うえむーこそ、○○クンのこと好きだからこんなとこで痴話喧嘩してたんじゃん。私をダシにするのやめてよね」と叫んだ。

このまま放っておくと、二人の女の子がつかみ合いの喧嘩をするんじゃないか、と思った俺は慌てて二人の間に割って入った。

「スマン! 全部オレが悪いんだ! だから俺のことでお前ら二人が喧嘩なんかしないでくれよ!」
そう叫んだ俺を、宮本は数秒間見下ろしてから冷ややかに言った。

「馬っ鹿じゃないの! ○○クン、自分がモテモテのイケメンで、私たちが○○クンを取り合って喧嘩してるとでも思ってんの? この間、私が謝ったからって、私が〇○クンのこと好きだとか思ってるんなら背負いすぎだから。そういう勘違い、マジキモいんだよね」
そう吐き捨てると、宮本は俺と植村をその場に残して、すたすたと歩き出した。

呆気にとられて宮本の後ろ姿を見ながら立ち尽くす俺。

しばらく呆然としていた俺は、「ゴホン…」という植村のわざとらしい咳払いで我に返った。
「あのさ…、私はりんかほどキツく言うつもりはないけど…、それでもやっぱり今日の○○クンには腹が立つわ。ちょっとは本当に反省してよね」
そう言い捨てると、植村も小走りに駆けていった。

俺は一人その場に取り残された。

5191:2018/04/18(水) 02:10:34
宮本と植村。この二人の美女に俺はどうやら完全に嫌われたのだろう。
(それも仕方ない。自業自得というやつだ)と、俺は思った。

この間ウチに遊びに来た嗣永センセイや清水センセイは、俺のことを「優柔不断すぎる」と言っていたけど、そんなことはあの二人に言われなくても、俺が一番分かっていたことだった。

(俺は本当は誰のことが好きなんだ…?)
鞘師なのか、田村なのか、ズッキなのか、植村なのか、宮本なのか、それとも小田なのか…。

(いや、違う…)
眼を閉じると、俺の脳裏に浮かんでくるのは、やっぱり山木さんの面影だった。

(俺、結構重症なのかもしれないな…)
そんなことを考えながら、俺は一人とぼとぼと、ダンスの練習場所の家庭科準備室へと歩いた。

5201:2018/04/18(水) 02:51:25
家庭科室の前まで来て、俺は思い出した。

(そうだ。今日は鞘師がいないんだ。『代わりの先生』ってのはいったい誰だろう…)

恐る恐る教室のドアを開けると、ジャージとTシャツ姿の3年の稲場さんがそこに立っていた。
俺に気付いた稲場さんは「遅い―!」と言ってから、壁の掛け時計を見て、「2分15秒の遅刻!」と口をとがらせた。

5211:2018/04/22(日) 03:01:55
「あっ、稲場さん…」
予想していなかった展開に、俺は少しびっくりした。

「すみません、遅れちゃって…」慌てて俺が謝ると、稲場さんは
「えっ、冗談だよう。そんなに真面目に謝られると、まなか困っちゃうよ。それより早く着替えてきて」と言って、はにかむように笑った。

「は、はい…」慌てて俺は家庭科準備室に通じるドアを開けた。

5221:2018/04/22(日) 03:27:50
家庭科準備室に入って、急いで着替えを始めると、目の前に稲場さんの物らしい紙袋が置いてあった。
紙袋の中からは綺麗に折りたたまれたセーラー服の上着が覗いて見えた。

(これをさっきまで稲場さんが…)

と考えだして、俺は(あっ!)と思い出した。

数日前に、俺は体育準備室で偶然に稲場さんが竹内さんや高木さんと一緒に着替えているところを覗いてしまっていた。
その時見てしまった稲場さんの、真っ白な肌。そして、ブルーのブラジャーとパンツに包まれた、むっちりとした肢体…。

途端に自分の下半身がビンビンにうずきだすのを、俺は感じていた。

5231:2018/04/25(水) 03:32:20
思い起こせば…。
同じこの場所で、鞘師のセーラー服を見て興奮したり、今日は稲場さんのセーラー服を見て興奮したり…。

(俺ってクズだな…)
そう考えると、今までビンビンだった愚息が急速に萎えてくるのを感じだした。

(早く着替えて、行こう…)
俺は急いでジャージに着替えると、稲場さんの待つ家庭科室に戻った

5241:2018/04/25(水) 03:50:30
ジャージに着替えてきた俺を見ると、稲場さんは「それじゃ、練習始めよっか」と、はにかむように笑った。

「は、はい」と俺が答えると、
「まなかが先生でびっくりした?」と、稲場さんは俺の目をのぞきこように上目遣いで聞いてきた。

「え、はい…。い、いえ…」
「まなかもね、びっくりしたよぉ。昨日ね、練習休みって話だったけど、ダンス部のみんな、結構学校にきてて」
「えっ、そうだったんですか…?」
当然のように練習を休んで、暗室で山木さんとあんなことをしていた俺は少々焦った。

「うん。そしたらね、急に鞘師さんが2、3日学校に来れなくなるって話になって」
「はい」
「『○○クンのために、誰かが代わりの先生を』ってことになったんだけど」
「はあ」
「みんなは『佳林ちゃんがいいんじゃない?』って言って、佳林ちゃんも満更でもない感じだったんだけど…」
「?」
「鞘師さんが『稲場さんが教えて』って言い出して…」
「えっ?」
「まなかもびっくりしたし、佳林ちゃんに悪いから気が進まなかったんだけど…、鞘師さんが『どうしても』って言うから…」
「…」
「で、まなかが教えることになっちゃったの。ごめんね。佳林ちゃんじゃなくて、○○クン、ガッカリしたでしょ?」

そういうとまた稲場さんは俺の目を覗き込むように、上目遣いで見つめてきた。

5251:2018/04/25(水) 04:02:04
(そんなことがあったは…)

そういえば、ついさっき俺は宮本に「馬っ鹿じゃないの?」とか「マジキモい」とか酷い罵声を浴びせられていたのだった。
(たぶん俺が悪いんだろうとはいえ、何でいきなりそこまで言われたのか…)

そんなことを考えて俺が黙っていると、
稲場さんが「ごめん。ホントにまなかが先生でガッカリさせちゃったみたいだね…」と、シュンとした顔をしてつぶやいた。

「い、いえ、全然そんなことないです。てゆーか、俺なんかのために稲場さんにまで迷惑かけて、ホントにわざわざスミマセン」
俺は慌てて頭を下げた。

526名無し募集中。。。:2018/04/25(水) 11:00:34
新作きてる…(´;ω;`)

5271:2018/04/26(木) 03:25:28
>>526
すみません。仕事が忙しかったりいろいろあって
書く気というのは突然湧いてきたりまた消えたりして…
構想自体はいろいろあるのでちょっとずつでも前進できればと

5281:2018/04/26(木) 03:39:01
「それじゃ、練習始めよっか…」
「は、はい」

「ワン、ツー、スリー、フォー…」
稲場さんの手拍子に合わせて、俺は踊りだした。
(せっかく来てくれた稲場さんをガッカリさせないためにも、真面目に踊らなきゃ…)
俺は真剣だった。

一通り踊り終えると、稲場さんが「すごーい! 前より全然うまくなってるじゃん!」と叫んで拍手をしてくれた。
「いえ、そんな…。鞘師には『まだまだ全然ダメ』とか言われてるんですけど…」
「ううん、そんなことないよ! 本当に上手くなった! ○○クン、すごーい!」
「そ、そうですか…?」
「そうだよ! まだ初めて全然経ってないのに、普通こんなにできないよ!」

少々大げさに褒められすぎているとは思ったけど、悪い気はしなかった。

5291:2018/04/26(木) 03:51:48
「全体的にはすごくいいと思ったんだけど、ちょっとまなかの気になったところ言ってもいい?」
と稲場さんが上目遣いに俺の目を覗きこんできて言った。
「は、はい。もちろんです」と、弾かれたように俺は答えた。

「あのね…、ここの角度なんだけど…」
そう言い出すと、稲場さんはナチュラルな感じで背後から俺の体に密着してきた。
「えっ…?!」

前にも鞘師に手取り足取り教えてもらってドキドキしたことはあったけど…
それよりも稲場さんの密着度合いは遥かに強かった。

「あのね、肩の力抜いて…」
「は、はい…」
「ちょっと腰をひねって…、そう。このくらい…」

そう言いながら、稲場さんはほとんど俺の背中に抱きつくような体勢で指導をしてくるのだった。
俺の背中に稲場さんのオッパイがびったりと密着しているのが、薄手のTシャツを通じてハッキリと感じ取れていた。

「そう!そんな感じ!」
稲場さんの甘い吐息が俺の耳にかかった。

530名無し募集中。。。:2018/04/27(金) 03:36:11
>>527
ゆっくりでも全然大丈夫です!
気長に待ってます(^o^)

5311:2018/05/02(水) 02:28:24
(この間鞘師に密着された時は童貞だったから、不覚にもフル勃起してしまったけど…、今はもう俺も童貞じゃないのだから…)

そう思って平然を装っていた俺ではあったが、やはり背中に伝わってくる稲場さんの体の柔らかい感触に、愚息がギンギンに勃起してくるのは避けようもないことだった。

そんなことを考えていると、不意に稲場さんが俺の前に回り込んできて、
「じゃ、もう一回やってみて?」とほほ笑んだ。

(あっ)と、途端に顔が赤らんでくるのを感じる俺。

そのとき一瞬稲場さんの視点が俺の下半身に下りてきた。
ジャージのズボンに盛大にテントを張っていた俺の一物に、稲場さんもハッキリと気が付いたはずだ。

稲場さんが一瞬「ウフッ」と笑ったように見えたのは俺の気のせいだろうか?

「深呼吸して落ち着いてから、もう一回踊ってみて」と稲場さんは上目遣いで微笑んだ。
「は、はい…」と答えながら、俺はますます自分の顔が赤らんでいくのを感じていた。
深呼吸をしても愚息は一向に萎えてくる気配がなかった。

5321:2018/05/02(水) 02:49:06
(『落ち着いてから』って、稲場さん…、何が落ち着いたらなんだ…?)と俺は思ったけど、いくら深呼吸をしても愚息が落ち着かないものは仕方ない。
俺はそのままの体勢からやけくそになって踊りだした。

体の動きに合わせて、時折乱暴に暴れ出す我が愚息。俺はなるべく手足に神経を集中して踊ったつもりだったけれど、もはや稲場さんも確実に気づいているはずだ。というより、俺はさっきから稲場さんの突き刺さるような視線をハッキリと愚息に感じているのだ。

曲が終わってから稲場さんの方を向くと、稲場さんは上気したような赤い顔で俺の方を見ていたけど、一瞬してから慌てたように「うん。すごくよくなってきた」と舌足らずな口調で俺を褒めて拍手を始めた。

5331:2018/05/02(水) 02:58:55
(本当にうまくなってきているのかな…)と俺は思った。

愚息のことはさておいても…、というより、愚息から意識を逸らすためにも、俺は手の先や足の先まで意識を集中しようとして踊ったのは事実であって、(もしかして、今までで一番うまく踊れたんじゃないか)と素直に感じていたのも本当のところだったのだ。

「うん。本当に今のはすごく良かった。なんか生き生きした生命力がダンスにすごく出てたよ」と稲場さんは言った。

(ダンスにじゃなくて、愚息にじゃないか…)と俺は一瞬吹き出しそうになったけど、稲場さんに褒められるのは全然悪い気分ではなかった。(やっぱり俺、褒められた方が伸びるタイプだな)と俺は思った。

5341:2018/05/09(水) 02:16:21
{「稲場さん、すみませんけど…」
俺はこの際、もっと真剣にダンスを教えてもらおうと思って、稲場さんに切り出した。

「えっ、なあに?」
「俺、自分では鞘師に教わった通りに踊ってるつもりなんですけど、本当にこれであっているのかどうか…。もう一度ちゃんとしたお手本を見て確かめたいなと思って。俺のパートを、稲場さんが通しで一度踊って見せてもらえませんか?」
「あっ、うん。いいけど。じゃあちょっと見ててね」

そういうと、稲場さんは曲をセットし直して、俺の目の前で最初から踊り始めた。

(あっ、この人、ガチで上手い…)
稲場さんのダンスをじっくりと観察するのは初めてだったけど、踊りだすと、素人の俺にも一目でわかるほどの切れ味があって、俺の視線は思わず稲場さんの体にくぎ付けとなった。
(この人、もしかしたら鞘師よりも上手いんじゃないか…?)

5351:2018/05/09(水) 02:30:41
俺は一瞬そう感じたけれど、よくよく見ているうちに、
(技術的な面では、やはり鞘師の方が繊細なうまさがあるのではないか)と思い直した。

でも…。
何というか、鞘師のダンスより稲場さんのダンスの方が、生命感があるというのか、生々しいというのか…。
(一言で言うと、エロいのだ)と俺は思った。

(そういえば、前に鞘師自身も清水先生のダンスについてそんなことを言っていたし、当の清水先生も俺の家にきたとき『鞘師のダンスには色気が足りない』なんて言っていたな…)と、俺は思い出した。

稲場さんが動くたびにプルプルと揺れるオッパイと、プリプリ弾むお尻…。
俺は自分がだんだんと興奮してくるのを感じながら、ほとんど稲場さんの体をガン見するような体勢になってきた。

5361:2018/05/10(木) 01:00:18
あらためてじっくり観察すると、躍動している稲場さんの体はほどよく肉感的で、
(抱いたら気持ちいいだろうな…)と俺は想像した。

こんなことを比べるのはゲスだとは思うけど…。
俺を男にしてくれた雅さんの体は細かったし、山木さんだって細い方だ。
(稲場さんみたいなぽっちゃりした感じの女の子も抱いてみたい…)
薄手の白いTシャツにブラジャーの縫い目がくっきり浮かび出ている稲場さんのオッパイを凝視しながら、俺はそんなことをボーっと考えていた。

「あの…、一応一通り終わったけど…」
稲場さんの声に俺は我に返った。

5371:2018/05/11(金) 02:56:03
俺にエッチな目で見られていることに気付いたのか、稲場さんは、両手でちょっと胸のあたりを隠すような仕草をしながら、赤い顔で俺を見ていた。
俺は自分もたぶん赤い顔をしているんだろうと思いながら、「あっ、はい…。ありがとうございます」と、とってつけたような返事をした。

「で、ダンスは分かってくれたのかな?」と稲場さんがちょっと皮肉っぽい口調で聞いてきた。
俺は少し返事に困りながら、「ごめんなさい…。何か稲場さんのダンス上手すぎて、見とれちゃいました。だから、正直言って、細かい動きとかはよく分からなかったです…」と、言った。
エッチな気持ちもあったけど、そのこと自体は嘘ではない、正直なところだったのだ。

「そ、そうかな…。そんなに褒められるほどじゃないよ」と稲場さんがはにかんだ笑顔を見せた。

538名無し募集中。。。:2018/05/12(土) 01:12:42
更新はじまったから楽しみダァ!

5391:2018/05/15(火) 01:35:01
稲場さんはそう言いながら、壁の時計に目をやると、「あっ、そろそろいい時間だね。じゃあ今日はここまでにしようか」と、俺を見つめて言った。

「は、はい。ありがとうございました」と、俺が少々慌てながら答えて、教室を出ようとすると、稲場さんがびっくりして俺を呼び止めるように「えっ、○○クン、お昼ご飯は?」と言って、俺の目を覗き込むように上目遣いで見つめてきた。

(この人の上目遣いも強力だな…)と思いながら、俺が「は、はい。どっかコンビニでも行って弁当でも買おうと思ってたんですけど…」答えると、稲場さんは「ええっ!? 鞘師さんに『○○クンにお弁当作ってあげて』って頼まれたから、まなか頑張って早起きして作ってきたんだけど…」というと、寂しそうな目をして俺を見上げてきた。

「えっ? えっ!? 鞘師のやつ、そんなことまで稲場さんに頼んでいたんですか?」俺は驚いて声を上げた。

5401:2018/05/15(火) 01:42:37
「食べたくないなら、別にいいけど…」
と、消え入りそうな声でつぶやく稲場さん。

「い、いや、食べたくないなんて…、そんなこと、あるわけありません。むしろ喜んでいただきますけど…」
「けど?」
「そんなことまで稲場さんにしていただくなんて、何かすごく申し訳なくて。てゆーか、鞘師のやつもいったい何考えてんだろ…」
「なんか鞘師さんは、それが一番気がかりだったみたいだよ」と、稲場さんもちょっと不思議そうな顔をして俺を見上げた。

(そういや、俺の写真部との掛け持ちのこと気にして、『せめてお昼ごはんくらいは』とか、言ってたっけな、鞘師…)と、俺は思い出した。

5411:2018/05/15(火) 01:51:39
「鞘師さんが佳林ちゃんじゃなくて、まなかに先生頼んだのも、もしかしたらダンスの上手さじゃなくて、お弁当づくりの腕を見込まれたのかなあ、なんて」と、稲場さんは笑った。
何と答えればいいのか、「は、はあ…」と俺は困りながら相槌を打ったけど、稲場さんは気にする素振りもなく、「じゃあ、持ってくるね」と言って家庭科準備室に消えると、すぐにかわいい感じの袋に包まれたお弁当を手にして戻ってきた。

「それじゃ、一緒に食べようね」と稲場さんは包みを開いた。
中に入っていたのは、バスケットに入ったサンドイッチだった。

稲場さんは、おしぼりで自分の手を拭いてからそのうちの一つをつかむと、「ハイ、あーん!」と俺の方に近寄せてきた。

5421:2018/05/15(火) 01:58:27
「えっ!?」
俺は自分の顔が赤くなるのを感じていた。

そんな俺の反応を見た稲場さんは、「えっ?」と言って、俺を見つめた。

「あっ、いや…、そこまでしていただかなくても…」
「あっ…、いつも鞘師さんに、こうやってもらっているのかな、と思って」
「い、いや、さすがにそこまでは…」

稲場さんは「そうなんだ…」と言うと、少し顔を赤らめて、「なんか変な気を回しちゃったみたいで、ごめんね」と、はにかんだ笑みを見せた。

5431:2018/05/15(火) 02:01:37
>>538
ありがとうございます。気長に読んでもらえると助かります。

544名無し募集中。。。:2018/05/15(火) 22:05:07
キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!

5451:2018/05/16(水) 00:33:11
そんな照れた様子の稲場さんが不意にすごく可愛く感じられて、俺はドキドキしながら、「と、とにかく、いただきます」と、話題を替えるようにサンドイッチをつまんで一口食べた。

「どう、お口に合うかな?」とちょっと不安げな顔の稲場さん。
「あ、おいしい」
「ホント?」稲場さんの表情がパッと明るくなった。

「うん。すごくおいしいです」
サンドイッチはピーナツバターとイチゴジャムをはさんだものだった。

その時の俺の脳内イメージソング
https://www.youtube.com/watch?v=5k9cmZLKdaQ

5461:2018/05/16(水) 01:06:52
他にも、ポテトサラダとハムをはさんだものとか、レタスとトマトのサンドとか、バスケットの中にはいろいろな種類のサンドイッチが入っていた。そして、それぞれ食べてみると、胡椒や辛子が微妙に効いたりしていて、どれも素晴らしく美味しい出来栄えのものばかりだった。

俺は自分でもゲスだと思ったけど、つい鞘師がこの間つくってくれた無骨なおにぎりと心の中で比較してしまった。
(鞘師の気持ちももちろん嬉しかったけど…。正直こっちの方が格段に上手い…)

俺は結構な勢いで食べながら、「稲場さん、マジ旨いです。てゆーか、その辺の店で売っているやつよりずっと美味しいです。稲場さんって、料理上手いんですね」と、お世辞ではなし本当に感心して思わず言った。

稲場さんは、「そんなに褒められると、まなか照れちゃうよ」と言いつつも、まんざらでもない表情を浮かべてから、「あっ、そうだ。野菜スティックも作ってきたから食べて」と言って、別の包みを取り出した。

キュウリと大根、それにニンジンが結構な太さで切ってあった。

「あっ、ニンジンかあ…」と俺は思わずつぶやいた。食べられないというほどではなかったけど、生のニンジンはあまり得意ではなかったのだ。
稲場さんは俺のそんなつぶやきを聞き逃さずに「ニンジン、ニンジン食べなきゃ駄目だよぉ!」と言うと、頬っぺたを膨らませた。

※参考動画はカントリーガールズDVD MAGAZINE VOL.3
見当たらないので各自探してください(笑)

5471:2018/05/17(木) 03:03:40
そんな稲場さんの素振りを見て俺は、
(この人、姉さん女房みたいで可愛いなあ…)と、思わずポーッとした気分になってきた。

と、その時、教室の後ろの入り口の方から「ねえ…、あざといから、ホントに…」と呆れたような、笑いを押し殺したような声が聞こえてきて、俺は我に返って振り向いた。
見ると、ポニーテールの女の子が、耳まで真っ赤にして俺たちを見つめていた。

稲場さんも振り向くと、「あざ…、あざとくないよぉ、ちいたん」と、その子に向かって言った。

「ちいたん?」と俺が聞くと、稲場さんは「あっ。この子、ダンス部の1年生の森戸知沙希ちゃん。知ってるでしょ?」と俺を見て言った。

ダンス部の練習の時、何度か見かけている顔の子ではあったけど、名前を聞いたのはこれが初めてだった。

548名無し募集中。。。:2018/05/17(木) 22:37:43
やりとりが微笑ましい

5491:2018/05/18(金) 02:32:24
俺と目が合うと、その子、知沙希ちゃんははぺこりと頭を下げて「こんにちは」と言った。

「あ、ああ、こんちは。そんなとこでキミ、どうしたの?」と俺が聞くと、
「まなかんが普通にあざといから、ちょっと注意してるだけです」と、知沙希ちゃんは耳まで真っ赤にしたまま、笑いをこらえるような声で言った。

「あざといとか、嫌な言い方…」と稲場さんは拗ねたように口をとがらせてみせてから、
一転、ふざけたような声に変わって、「反抗期なのかな?」と、からかうように知沙希ちゃんを見上げた。
「違うよ!」
「反抗期かな?」
「ちが!もう、ホントに!」

じゃれあう2人のやりとりが、掛け合い漫才のように俺には見えた。







てから、稲場さんの方を向き直り、

5501:2018/05/18(金) 02:34:20
てから、稲場さんの方を向き直り、

ってのはただの削除ミス。お恥ずかしい

5511:2018/05/18(金) 02:49:30
そんなやりとりがしばらく続いてから、
「ちいたん、本当はどうしたの? 何か用だった?」と稲場さんが聞いた。

「用ってわけじゃないけど…。ちょっと心配で見に来たの」
「心配って、何が?」
「あ、いや…、その…」と言うと、知沙希ちゃんはチラリと俺の方を見た。

「俺、席外そうか?」と俺が言うと、
「あ、いや、そんな、いいんです…」と知沙希ちゃんは慌てたように言ってから、
「ダンス部の先輩たちが、まなかんと○○さんのこと、面白おかしく噂してたから、ちょっと心配になって…」ともじもじしたような仕草をした。

「噂って、どんな噂?」と稲場さんが口を尖らして聞くと、
知沙希ちゃんは「『まなかんがきっと何かあざといことしてるんじゃないか』って噂だよ!」と、相変わらずの赤い顔で答えた。

5521:2018/05/18(金) 03:02:42
(そうか、他の女の子たちがそんなこと噂してるのか)と俺は思った。
(他の女の子たちがみんなそう言うってことは、稲場さん、やっぱりあざといんだろうな)と思うと、俺はちょっと吹き出しそうな気持ちになった。

でも、そのあざといという感じは、きっとあくまで女の子から見た感じなのだろう。男の俺からすれば、稲場さんの甲斐甲斐しい感じというのは、たまらなく可愛いとしかいいようのないものだった。

553名無し募集中。。。:2018/05/20(日) 12:19:58
ちぃかわええ

5541:2018/05/29(火) 00:22:23
俺のそんな思いとは裏腹に、稲場さんはちょっと怒ったように口をとがらせて、
「みんな酷い! 勝手にそんな無責任な噂話なんかして…」とつぶやいてから、
「ね?」と俺を上目遣いに見上げて同意を求めるように問いかけてきた。

俺は反射的に「は、はい…」と答えたけれど…。
(そういう稲場さんだって、前には鞘師が俺を好きとか、宮本が俺を好きとか、無責任な噂話してたじゃねえか)
と思い出すとちょっと可笑しくなってきた。

それと同時に、あのときの、別に隠れて覗いていたわけじゃないけど、偶然見てしまった稲場さんの下着姿をまたもや思い出して、
知沙希ちゃんの前だというのに、再び下半身が熱くなってくる俺だった。

5551:2018/05/29(火) 00:35:58
「いちおう、それを教えにきただけだから。いろいろ気をつけてよ、まなかん。あっ! それと、ちゃんと遅れず時間通り全体練習にこないと、きっとまたみんなにいろいろ言われるよ」

知沙希ちゃんは早口でそう言い終えると、「じゃあ、また後でね」と、くるっと背を向けて小走りに去って行った。

俺と稲場さんは思わず顔を見合わせた。

「はあ…」と、俺はため息をついた。
(女の子ばかりのサークルというのは、面倒くさいものだな)と俺はあらためて思った。

女の中に男が一人なんて、やっぱりそんなに良いことばかりであるわけがない。
鞘師の熱意にほだされて残留してしまったダンス部だけど、(やっぱり辞めた方が良かったのでは)と、俺は少し後悔した。

俺がそんなことを考えているとは思いもしていない感じで、稲場さんは、
「知沙希ちゃん、あんな憎まれ口きいてたけど、本当は結構いい子なんだよ。今のもきっと心配してきてくれたんだろうし」と、俺の耳元で囁くように言った。

5561:2018/06/02(土) 00:58:48
「は、はあ…」といったん答えてから俺は、「知沙希ちゃんと稲場さんはどういう関係なんですか?」と、残っていたサンドイッチをつまみながら聞いた。

「どういう関係ってほどの関係じゃないんだけど…、ダンス部入ってから知り合って…、気が合うっていうのか、妹みたいで可愛くて」と、稲場さんは笑った。

それから稲場さんは俺の目を覗き込むように見上げて、「知沙希ちゃん、可愛いでしょ?」と意味ありげに聞いてきた。

俺は一瞬、サンドイッチを吹き出しそうになったけど、この場合、何と答えればいいのか良く分からなかった。
とりあえず、「は、はあ。確かに可愛いですね…」と相槌を打つと、稲場さんは、「ダメよ、そうやっていろんな女の子に色目遣ってちゃ」と、釘を指すように言ってから、ポン、と俺の膝を叩いた。

稲場さんは冗談のつもりでいったのかもしれないけど…。

ここ数日の自分のフラフラとした行動を思い出して、何気に俺は落ち込んだ。

「俺…、やっぱそういう風に見えますかね…?」
「えっ…、何? マジレス?」
稲場さんは困ったような顔をして俺を見上げた。

5571:2018/06/02(土) 01:14:13
「やっぱ俺って…、女の子だけが目当てでこの部に入って、いろんな女の子に色目遣ってるって思われてるのかな…って」

俺がそういうと、稲場さんは「そ…、そんなことないよぉ! でも…」と口を濁した。
「でも?」
「女の子ばかりの部だから…。女の子って噂話とか好きだし、いろいろ言う子もいるのは仕方ないよ」と声を潜めて言った。

俺はまたしても…、当の稲場さんと高木さんたちが着替えをしながら俺の噂をしていたのを覗いてしまったときのことを思い出して、頭がカッと熱くなった。

「俺は鞘師に色目を遣ってるってことになってるんですか? それとも宮本にですか?」

5581:2018/06/02(土) 01:38:47
一瞬ムキになって聞いてしまった俺に、
稲場さんは「…どうしたの?」と驚いたように目を丸くしてから、
「誰かにそんなこと言われたの? 鞘師さんがどうとか、佳林ちゃんがどうとか、そんな噂、まなかは聞いたこともないけど」
と、ぬけぬけと言い出した。

俺が二の句を継げずにいると、
「○○クンは同級生とか下級生より…、年上の女の子の方が合っているんじゃないかなあ…」と、稲場さんは上目遣いで俺を見た。

「えっ?」
雅さんや山木さん、そして舞さんとのここ数日の出来事を思い出して、俺は少し焦った。

そんな俺の気持ちには気づかぬように、稲場さんは「○○クンは確か写真部だったよね?」と聞いてきた。
「は、はい」
「写真部に山木梨沙ちゃんっているでしょ?」
「えっ? あ…、いるっていうか、いたって言うか…」
「梨沙ちゃんとか、○○クンには向いているんじゃないかなあ。○○クン、甘えん坊みたいだから、梨沙ちゃんみたいなお姉さんタイプが似合ってるよ」

俺はそのまま固まった。
(この人、俺と山木さんのこと、何か知ってるのか? それともただの偶然か?)

559名無し募集中。。。:2018/06/04(月) 00:04:36
まなかんこわいなぁ。笑

5601:2018/06/06(水) 01:44:00
背中に冷や汗が流れ出すのを俺は感じていた。

このまま黙っていたら、山木さんに振られた時のことを思い出して、また不覚にも涙が出そうな気がした。
慌てた俺は、弾かれたように早口で話し出した。

「でも、山木さん、確か彼氏がいたはずですよ」
そんなことを言って韜晦しようとした俺に、すかさず稲場さんが返してきた。
「あ…、それ、もう別れてるはず」
「え?」
「東京のK大に行った彼氏のことでしょ? それもう別れたって聞いたよ。梨沙ちゃん、振られたんだってさ」

俺は完全にフリーズした。
俺が山木さんを抱いて、まだ昨日の今日なのだ。
そして山木さんが彼氏に振られたって言うのも、夏休みに入ってからのごく最近の話なのだ。

なぜ稲場さんがそんなことまで知っているのだろう…。

5611:2018/06/06(水) 01:55:43
俺が口もきけなくなって完全に固まっていると、
「あれ、もしかして梨沙ちゃんのこと本当に好きだった?」と、稲場さんがからかうように俺の目を覗き込んできた。

俺はうろたえながらも、(そう聞くってことは、稲場さん、まだ俺と山木さんがセックスしたことまでは知らないのだろう…)と一応判断した。
(とはいえ、山木さんが彼氏と別れたことまでもう知っているのだから、山木さんと稲場さんには相当深いつながりがあるのだろう。だとすれば、いずれ俺とのことが知られるのも時間の問題かもしれないな)
俺は半分涙目になりながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。

「ねえ…、大丈夫? 遠くなんか見つめて…」
稲場さんの言葉で俺は我に返った。

5621:2018/06/06(水) 02:07:45
「あ、はい。い、いえ、別に…」
しどろもどろになった俺に、稲場さんは「本当に図星だったみたいだね。びっくり…」と、少し呆れたような口調で聞いてきた。

「そんなに好きならさ…、アタックすればいいじゃん」と稲場さん。
「い、いや…、俺と山木さんはそんなんじゃなくて…」
「あれ? もしかしてもうアタックしたことあったとか?」
「…」
「あのね、一度くらい断られたからって諦めちゃだめなんだよ」
「え?」
「梨沙ちゃんみたいな子って、ああ見えて押しに弱かったりするんだから」
「…」
「女の子なんて、勉強ができるからって、しっかりしてるとは限らないんだよ」

(稲場さん、何を言いたいのだろう? もしかして稲場さんと山木さんって、それほど仲がいいわけでもないのかな…)

563名無し募集中。。。:2018/06/09(土) 00:00:31
いいね!

5641:2018/06/10(日) 03:56:17
俺の気のせいかもしれんけど、稲場さんの口調の中に、何となく山木さんをディスっているようなニュアンスを感じて、警戒する俺であった。

そんな俺の気持ちには全く気づかぬ風に、稲場さんは「ねえ、もし本当に梨沙ちゃんのことがそんなに好きだったら、まなかから梨沙ちゃんに伝えてあげようか?」と、俺の目を上目遣いに覗き込んでくるのであった。

昨日、俺は山木さんにハッキリと振られているのだ。
この上、稲場さん経由でそんな未練がましいことを伝えてもらったりしたら、決定的に軽蔑されるだけに決まっている。

「そ、そういうのやめてください。だいたい俺、山木さんのことなんて、別に好きでもなんでもないし」
俺はしどろもどろになりながら、早口で言った。

5651:2018/06/10(日) 04:09:55
「そうなの?」
丸い目をして稲場さんが俺の目を覗き込んできた。

「そ、そうですよ」と反射的に答える俺。

稲場さんは、「ふーん。そっか…。まなかの考え過ぎだったのかな…」と考え込むような仕草をしてから、
「梨沙ちゃんがダメなら、竹内さんとかどう? あっ、それとも紗友希ちゃんの方がいいかな?」と、またニヤニヤしながら俺の顔を見上げてきた。

「そんな…、俺、そんなこと…」
「イヤなの?」
「イヤとかじゃないですけど…」
「けど?」
「そんな、俺、誰でもいいなんて風には…」
「じゃあさ…、まなかはどう?」
「えっ?」

不意に真剣な顔で俺を見上げる稲場さんだった。

566名無し募集中。。。:2018/06/11(月) 01:46:33
ワッフルワッフル

5671:2018/06/11(月) 02:19:10
(稲場さん、そんなこと言って、俺をからかってるのか…)
俺は思わず五クりと唾をのみ込んで、稲場さんを見つめ返したけど、稲場さんの真剣なまなざしにぶつかって、つい目を逸らした。

(それとも…、この人、もしかして本気で俺に告っているのか…?)
俺は自分の心臓がドキドキと早鐘を打つのを感じていた。

俺を見上げる稲場さんの表情は、さっきまでのお姉さんぶったものとは違って、一人のか弱い乙女のようにしか見えなかった。

(もし稲場さんが、真剣に言ってくれているのなら、この俺も真剣に答えないといけないに違いない…)と俺は思った。

稲場さんとは正直言ってこれまであまり接点がなかったけど…。
今日のこの数時間のやりとりで、俺の心が大きく稲場さんに惹かれだしているのも、認めざるを得ない事実だったのだ。

「お、俺は…」

568名無し募集中。。。:2018/06/13(水) 23:10:52
まなかんルートキターーーーー

5691:2018/06/14(木) 00:36:23
俺は深呼吸をしてから稲場さんの目をもう一度見つめた。

そして思い切って、「俺…、稲場さんみたいな人、す、好…」と言いかけた時、
稲場さんは「えっ、冗談だよ冗談! ○○クンって、ホント、マジレッサーなんだね(笑)」と、慌てたように早口で言った。

俺があっけにとられていると、稲場さんは顔を赤くして、
「ちょっと、○○クンが冗談通じないから、まなかも何か熱っくなってきた」と言って、両手の掌でパタパタと自分の顔を扇ぐような仕草をした。

5701:2018/06/14(木) 00:52:28
そんなふうに言って稲場さんはケラケラと笑った。

俺はからかわれていたと分かってカッとする気持ちと、冗談だと知ってホッとした気持ちと、稲場さんをモノにできなくてがっかりしたような気持ちが綯い交ぜになった、不思議な気持ちになっていた。

ただ一つハッキリしているのは、稲場さんとの会話は俺には刺激的で心地よいものだということだった。俺は目の前のこの可愛い先輩のことを数時間前よりも確実に好きになりつつあった。

571名無し募集中。。。:2018/06/14(木) 10:33:07
このタイミングでまなかんとは素晴らしい

572名無し募集中。。。:2018/06/14(木) 23:33:38
まったくだ

5731:2018/06/15(金) 01:00:41
3年もダラダラ続けているといろんなことがあるなあ(笑)

574名無し募集中。。。:2018/06/19(火) 00:49:07
地震大丈夫?

5751:2018/06/22(金) 01:29:58
ボクは東日本なので大丈夫ですが関西の方は心配ですね

5761:2018/06/22(金) 01:43:44
俺がそんなことをぼんやり考えていると、
稲場さんが「あっ、いけない! もうこんな時間。早くいかないと練習に遅れちゃう」と叫んだ。

壁の時計を見ると、集合時間までもうあと1、2分しか残っていなかった。
俺が「早く片付けて行きましょう!」と言うと、稲場さんは「そだね。遅れたりしたら、みんなにいろいろ根も葉もないこと言われちゃうかもしれないしね」と言って、上目遣いに俺を見上げてきた。

どう答えればいいのか分からないまま、「は、はあ…」と生返事をしながら、俺が弁当の包みを片付けていると、稲場さんが「コホン、コホン」と咳をした。

「?」と俺が振り向くと、稲場さんは口を押えて「コホン、コホン」ともう二回咳をした。

「どうしたんですか? 夏風邪ですか?」と俺が聞くと、稲場さんは「そ、そうかも。でも大丈夫…」と慌てたように返事をした。

(ずいぶん苦しそうな咳だな…)と俺は一瞬思ったけれど、「早く行こう!」と稲場さんが俺の袖を引っ張ってきたので、慌てて一緒に教室を飛び出した。

577名無し募集中。。。:2018/07/03(火) 22:29:55
まってるよ!

578名無し募集中。。。:2018/07/17(火) 20:43:42
待機チュゥ

5791:2018/07/18(水) 02:17:37
走り出した稲場さんの後を追って、俺も廊下に飛び出した。

稲場さんの足は思ったよりも速く、俺は一瞬置いていかれそうになって、ちょっと焦った。
(ちょ…、女の子に負けられるかよ…)
俺は本気になって走り出すと、「お先に!」と稲場さんを追い抜いて、廊下の角を曲がった。

しばらくムキになって走り続けてから、(稲場さん、追いついてきてるかな?)と思って振り返ると、そこに稲場さんの姿はなかった。

(あれ…?)
俺はしばらくその場に立ち止まって稲場さんを待ったけど、何秒経っても稲場さんは現れなかった。

5801:2018/07/18(水) 02:28:30
段々不安になってきた俺は、恐る恐る廊下を戻ってみた。

元来た角を曲がると、そこに稲場さんがしゃがみこんでいた。

「稲場さん!どうしたんですか!?」
稲場さんは胸を押さえて「コホン、コホン」と咳をし続けているようだった。

「えっ? 稲場さん、どうしたの!?」
俺はびっくりして、思わず自分もしゃがみこんだ。
稲場さんは(大丈夫)といいたげに、俺を制するように片手を挙げかけたけど、咳は収まるばかりか、むしろ強くなる一方のように見えた。

(ど、どうすりゃいいんだ!?)
俺は一瞬パニックになりかけたけど、俺がうろたえたら稲場さんが余計に混乱するだろうと思って、危ういところで踏みとどまった。

「大丈夫? 落ち着いて…」
俺は自分に言い聞かせるように言いながら、稲場さんを抱くようにして背中をさすった。
稲場さんは無言でコクンと頷いたけど、咳が収まる気配はなかった。

5811:2018/07/18(水) 02:40:21
(ちくしょう!どうすりゃいいんだ!)
俺は半ば稲場さんを強く抱きしめるような体勢になりながら、稲場さんの背中をさすり続けていた。

その時、向こうの方から誰かがつかつかと歩いてきて、俺の前で止まる気配がした。

見上げると、そこに宮本佳林が立っていた。

「呆れた…。本っ当に誰でもいいんだね…」
そんなことを言いかけた宮本に、俺は強い口調で「いいところに来た! 宮本! 手伝ってくれ!」と強い口調で声をかけた。

「えっ?」
一瞬、理解しかねるような顔を浮かべた宮本だけど、稲場さんが「コホン、コホン」と苦しそうに咳をし続けているのに気が付くと、「う、うん!」と声を上げて、駆け寄ってきた。

5821:2018/07/18(水) 02:50:50
宮本は俺と稲場さんの間に割って入ると、「稲場さん、気持ちを楽にして」と、冷静な口調で言いながら稲場さんの背中をゆっくりさすった。

俺が小声で「宮本、救急車呼んだ方がいいかな…?」と聞くと、宮本はそれには答えず、「稲場さん、薬か何か持ってませんか?」と落ち着いた声で聞いた。

稲場さんは苦しそうに咳をしながら、「家庭科、準備室の…、袋の中…」と途切れ途切れに答えた。

俺は「いま持ってくる!」と叫んで慌てて駆け出した。

5831:2018/07/19(木) 03:01:05
俺は急いで家庭科準備室へ走って、さっき見た稲場さんのセーラー服がはいった袋をつかむと、すぐにまたとって返した。

「稲場さん! この袋だよね!?」と言って、俺が袋の中身を引っ張り出すと、稲場さんのセーラー服だけでなく、ブラジャーとか下着までもが出てきてしまった。

真っ赤な顔をして、慌ててそれを隠そうとする稲場さん。
「バカ!」と宮本が俺の背中を叩いた。

稲場さんは、下の方に入っていたポーチの中から、吸入薬のようなものを取りだして吸い込んだ。
ようやく稲場さんの咳が収まってきて、俺と宮本は顔を見合わせてホッとした。

584名無し募集中。。。:2018/07/21(土) 03:00:30
新作ありがと!!

585名無し募集中。。。:2018/07/21(土) 03:50:10
http://nazr.in/11AJ

5861:2018/08/03(金) 03:06:20
稲場さんの様子が少し落ち着いてきたので、俺は「稲場さん、とりあえず保健室にでも行きませんか」と提案したけれど、
宮本が「今夏休みだし、確か保険の先生いないよ」と、覆い被せるように言ってきた。

俺が黙っていると、稲場さんは「私、病院に行ってくるから、○○クンたちは練習行ってよ」と、力なく笑った。

俺と宮本は顔を見合わせた。(でも、稲場さんを1人きりにしても大丈夫なのだろうか…)と、俺は不安になってきた。

5871:2018/08/04(土) 02:48:15
「じゃ…、じゃあ、俺か宮本が病院に付き添いますよ。あっ、その前に清水先生に報告しといた方がいいか。俺、ちょっと話してきます」と、走り出そうとした俺を、稲場さんは「待って!」と引き留めた。

「えっ?」
「清水先生には黙っていて。お願い!」
「で、でも…」
「お願い。今は黙っていて」
「そういうわけにも…」
「明日まなかが自分で先生に説明するから…。清水先生とは約束があって…、どっちみちきちんと自分で話をしなきゃならないから…」
「約束?」
「お願い…。今はそれ以上聞かないで」

稲場さんは泣きそうな顔をしてそれだけ言うと黙り込んだ。

俺と宮本は思わず顔を見合わせた。
すると宮本は「わかりました。それじゃとにかく一緒に病院に行きましょう」と、稲場さんを促した。
「俺も行く!」と俺は慌てて後を追った。

1人で部の練習に戻ったところで、いろいろみんなに聞かれるだろうし、聞かれたところで「清水先生には黙っていて」との稲場さんの頼みに従えば、俺は皆にも説明するわけにはいかなくなるのだ。

つまり、病院に着いていく以外の選択肢は、俺にも宮本にもなかったのだ。

5881:2018/08/04(土) 03:00:18
稲場さんを挟み込むように、俺と宮本が両側について、3人で校舎を出た。
稲場さんは途中で何度か「ゴホンゴホン」と咳がぶり返してきたようだった。俺は焦ってきたけど、学校の前まで来たところで折よくタクシーが走ってきたので手を挙げて止めた。

タクシーに乗り込むと「××病院までお願いします」と、稲場さんが駅前通りにある古い内科医院の名を告げた。

3人ほとんど無言のままで、タクシーは走って行った。

589名無し募集中。。。:2018/08/07(火) 01:19:24
すごい心配や

590名無し募集中。。。:2018/08/29(水) 02:11:55
待機

5911:2018/08/29(水) 02:15:31
タクシーを降りて、目の前の病院の看板を見ると「痛井病院」と書いてあって、俺は「ああ、この病院か」とようやく思い出した。
車中でも稲場さんがその病院名を告げたのを聞いていた筈だったのに、俺も動転していたのかピンと来ていなかったのだ。

午後の病院は静かだった。

3人で玄関から入ったところで、ベテラン風の看護師さんとばったり出くわした。

看護師さんが「あら、まなかちゃんじゃない? もしかして、また発作起きちゃった?」
と心配そうに聞くと、稲場さんはコクンと頷いた。

「待ってて。今先生呼んでくるから…」と優しく言いかけた看護師さんだったけど、何かに気付いたように突然、稲場さんの左腕をつかむと、「あなた、まだこんなことやってるの?」と厳しい口調で言いながら、稲場さんの肘あたりに巻かれていたベージュのサポーターをめくりあげた。

何がどうなっているのか、俺の位置からは何も見えなかったけど、稲場さんは慌てたように腕を隠して「ごめんなさい…」と消え入りそうな声でつぶやいた。

5921:2018/08/29(水) 02:24:28
稲場さんは、その看護師さんに促されるように診察室へと入っていった。

俺と宮本が待合室の長椅子に腰を下ろした時、向こうの廊下から不機嫌そうな顔をした工藤静香似の女医さんがつかつかと歩いてきて、診察室に入っていった。

俺と宮本は顔を見合わせた。

宮本は小声で「ねえ、○○クン、見た?」と不安そうな顔で聞いてきた。

「何を?」
「稲場さんの腕…」
「いや、俺の位置からは見えなかったけど…」
「私、見ちゃったんだけど、いっぱい切り傷がついてた…」
「えっ…?」

5931:2018/08/31(金) 02:14:00
俺と宮本はそのまま無言になった。

しばらくしてから俺が「稲場さんが喘息だったなんて知らなかったな…。やっぱりそのことで悩んでいたりしたのかな…」と言うと、
宮本は「私は薄々は知ってたけど…。でもリスカとかまではちょっと…」と言いかけて、また黙りこんだ。

「うーん…」と俺がため息をつくと、宮本は「でも○○クン、やっぱり男の子だししっかりしてるね。○○クンがてきぱきしてたから安心した。私だけだったらたぶん動転して何もできなかった」と、俺を上目遣いで見上げながら言い出した。

「へ? いやいや。俺こそ動転しちゃって、たまたま宮本が来てくれたから良かったものの、俺一人じゃどうなっていたことか…」と、俺は慌てて答えた。そして、それは本当に俺の正直な気持ちだったのだ。

5941:2018/08/31(金) 02:24:58
俺がそう言うと、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、宮本は俺の手の上に、そっと自分の手のひらを重ねてきた。

(えっ?)
突然心臓がドキドキと鳴りだす俺。
「稲場さん、大丈夫だよね?」と心細そうに俺を見上げる宮本。
「お、おう…」とあいまいな返事をするしかない俺。

すると宮本は、真っ赤な顔をしながら話し出した。
「○○クン、今朝はゴメン。私がどうかしてた」
「えっ?」
「○○クンとうえむーがあんまり仲良さそうだったから、私、ヤキモチ焼いてたのかもしれない」
「…。」

595名無し募集中。。。:2018/09/05(水) 21:35:07
待ってました!ありがと!

596名無し募集中。。。:2018/09/06(木) 02:31:31
痛井病院とか
こりゃまた古いな

597名無し募集中。。。:2018/09/06(木) 21:52:41
ハロモニかw

598名無し募集中。。。:2018/09/13(木) 22:03:02
飯田みたいなヤブ医者じゃ治るものも治らない

5991:2018/09/14(金) 22:28:49
宮本の手のひらはすべすべしていて、それでいてしっとりと湿っていて、思いの外ひんやりとした体温が、俺の手の甲に伝わってきた。おれは全身の神経を手の甲に集中して、宮本の体温を感じたいと思った。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、宮本はやがて俺の手の甲をそっと握ってきた。俺は少し逡巡した後、もう一方の手を宮本の手の上に重ねたいと思った。

意を決して俺がそうしようとした瞬間に、診察室のドアがガチャリと開いた。慌てたように宮本が俺から手を離した。

600名無し募集中。。。:2018/10/01(月) 03:06:54
台風やば

601名無し募集中。。。:2018/10/09(火) 16:28:02
待機

6021:2018/10/15(月) 00:39:22
診察室から出てきた稲場さんはさぞ落ち込んで深刻な表情をしているのでは…、と思いきや、ヘラヘラと笑みを浮かべながら出てきて、「いやー、まいったなー。症状ぶり返しちゃったみたいなんだってー」と、俺と宮本を交互に見ながら話しかけてきた。

俺と宮本は思わず一瞬顔を見合わせた。
俺たちに気を遣ってか、そんなことを笑いながら話して明るく振舞おうとする稲場さんの様子は、かえって痛々しく俺たちの目には映っていた。

俺は「そうなんですか…」と返すのが精いっぱいだった。

6031:2018/10/15(月) 00:50:56
「うん。『今度発作起きたら一人暮らしやめて家に帰る』って、前からお医者さんや両親と約束してたから、いったん実家に帰らなきゃならないなー」と、稲場さんは笑った。

(あっ、そうか。稲場さんって越境入学だったんだ)と俺は思い出した。
確か学区外の隣の町から出てきて、学生向けアパートみたいなところで一人暮らしをしていると聞いたことがあった。
隣町といってもこのあたりの田舎だと、汽車で片道2時間以上かかったりするのだ。

「ダンス部の練習には、もう出られないかもしれないなあ」と稲場さんは明るい口調のままで言った。
ふと見ると、稲場さんの目じりから涙が一滴、ポロリとこぼれ落ちるところだった。

604名無し募集中。。。:2018/10/16(火) 00:14:28
切ないなぁ

6051:2018/10/29(月) 01:48:10
俺と宮本は思わず顔を見合わせた。

宮本はもらい泣きでもしているみたいに真っ赤に目をはらしていた。

「帰ろっか…」との稲場さんの声に俺は我に返って、「は、はい…」と返事をした。

6061:2018/10/29(月) 02:02:11
会計を済ませ、薬を貰った稲場さんのに後について、俺と宮本は病院を出た。

俺たち3人はほとんど無言のまま歩いていた。
俺はそんな空気がたまらなく、何か話をして場を盛り上げたいとは思ったものの、
適当な話題がどうにも探せずに結局黙って歩いていた。

「ありがとうね。私の家、ここだから、もういいよ。二人とも学校に戻って」
普通のアパートみたいな建物の前で、稲場さんが言った。

「は、はい。それで、あの…」
清水先生や、みんなには何て伝えればいいか聞きたかったけど、それを稲場さんに聞くのは酷な気がして、思わず俺は言い淀んだ。

すると、稲場さんは俺のそんな気持ちを察したのか、「ああ、清水先生にも『喘息が再発したら部活を辞めて実家に帰る』って約策は前からしてたんだ。だから、まなかからきちんと話そうと思ったけど、○○クンたち、学校に戻ったら説明しないわけにもいかにいよね。だからおおよその話はしてもらっていいよ。『詳しくは明日自分で連絡する、ってまなかが言ってた』とでも伝えといてよ」と言って、力なく笑った。

6071:2018/10/29(月) 02:04:02
変換ミスが酷い…

608名無し募集中。。。:2018/10/29(月) 02:39:19
待ってたぞ��

6091:2018/10/31(水) 00:44:51
いろいろスマン

6101:2018/11/06(火) 03:35:16
稲場さんと別れて…
俺と宮本はほとんど無言のまま、学校に向かって歩いていた。

しばらく経ってから、「稲場さん、かわいそう…」と宮本が言った。
俺は答えるすべもなく、無言のまま歩いていた。

俺が黙っていると、「稲場さん、かわいそう」と、もう一度宮本が言った。

『分かっているよ、そんなこと』」と俺は言いたかったけど、俺は黙っていた。

「稲場さん、かわいそう」
もう一度そう言うと、宮本は俺の腕にギュッとしがみついてきた。

俺は矢も楯もたまらなくなって、思わずギュッと宮本を俺の方に抱き寄せた。

611名無し募集中。。。:2018/12/19(水) 01:16:03
待機

6121:2018/12/23(日) 03:04:47
そのまま数秒…。

期せずして宮本を抱き寄せるような恰好になっていたことに気が付いて、俺は慌てて身を離した。
それが合図になったように、宮本も弾かれたように俺から身を離すと、不自然な感じで俺に背を向けた。

「とにかく、学校に戻ろうよ…」そういうと、宮本は俺から顔を背けたままで、俺の学生服の袖をつかんで引っ張った。
「お、おう…」と答えながら、俺は宮本の頬が赤らんでいるのに気が付いた。

613名無し募集中。。。:2019/01/03(木) 22:58:01
あけおめ

614名無し募集中。。。:2019/01/11(金) 21:53:36
続き待ってまーす

615名無し募集中。。。:2019/01/30(水) 14:37:11
待ってるで

616名無し募集中。。。:2019/03/24(日) 21:14:20
待機やー

617名無し募集中。。。:2019/06/15(土) 19:09:07
つらたん

618名無し募集中。。。:2019/08/14(水) 14:23:54
続きはよ!

619名無し募集中。。。:2019/08/16(金) 15:50:20
ゆきぽよカワイイ
小山リーナ (マジパン) @Koyama_Rina_Box
6d
溶けそう????
https://pbs.twimg.com/media/EBcdtwRUYAAPt0q?format=jpg&name=large
https://pbs.twimg.com/media/EBcdtwQUEAAyORt?format=jpg&name=large
https://pbs.twimg.com/media/EBcdtwQUcAMsvtO?format=jpg&name=large
├342     >>339 ビジネスなんだから必死にやらないと お金を稼ぐ大変さがわかる
├348     >>339 そういえば、祐奈誕生日 トイスマメンバーお祝いしてた?
│└357     >>348 してない。 後藤と倉田がお祝いのツイートしてた
まさにルリカの頑張りが評価された役柄だったな
ルリカは女子アナで番組のアシスタントと言う役か
木下が殴られた時のルリカの驚いた演技が面白かった
るかぴょんって卒業時16才で高1だよな
339     祐奈は必死なんだよ。 トイスマ解散して収入源確保の為に 後藤と組んでイベントした...
高校以降であれだけ背が伸びて声が変わる女子も珍しい
一般人より成長期が4年ぐらい遅かったんじゃないか
瑠果は前にも増して何言ってんのか分からないらしい

620名無し募集中。。。:2019/08/16(金) 15:51:02
https://pbs.twimg.com/media/EBcdtwPU0AAGPgS?format=jpg&name=large
配信中、なんかガワさん暗くないか?
犬置いてくとか相変わらずなルミさん笑
こりゃ売れないわ
ゆうなは皆に祝われていいね
イベントすらない有れば凄いんだろうけど
祝われる歳でもなかったか
4000円や立ち見3000円が高額だと思う?
はした金だろ?あのーそもそも稼ぐことが集金なんですかね?
会社もタレントもファンもWin-Winだと思うんだけど
商売ってそういうもんだよ明日、やすらぎの刻にルリカ出るね
祐奈は必死なんだよ。
トイスマ解散して収入源確保の為に
後藤と組んでイベントしたりして。
フジ系福岡ローカルで
上半期ブレイクランキングで総合10位に朝日奈央111本だって
ルリカきたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
https://pbs.twimg.com/media/ECB8dMAUYAEmt0D.jpg

621名無し募集中。。。:2019/10/07(月) 23:21:35
もうおらん?

622名無し募集中。。。:2019/12/04(水) 00:31:08
あげ

623名無し募集中。。。:2021/06/02(水) 01:01:13


624名無し募集中。。。:2023/09/18(月) 01:13:03
アンジュルムの小説書いて下さいお願いします!

625名無し募集中。。。:2023/11/26(日) 00:11:34
>>624
わきゃなのエロしょうせつ

6261:2023/11/26(日) 00:12:18
>>624
わきゃな主役ののエロ小説書きたい気はちょっとしてる


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板