[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
昔桃子やベリの学園小説書いてた者だけど〜新狼
1
:
1
:2015/07/24(金) 02:21:01
狼の本スレが落ちたときのために立てておきます
本スレでの誤字脱字等のミスも補完してここに置いておきます
本スレ
昔桃子やベリのエロ小説、じゃなくて学園小説書いてた者だけど久しぶりにばくわら世代あたりを中心に書きたくなった
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1437026233/
2
:
1
:2015/07/24(金) 02:22:26
根っからの文化系だった俺が、ダンス部などという面倒なものに関わる羽目になったのは、元はと言えば、ひとえに佐紀ちゃ…、いや清水センセイのせいだった。
高校2年になって3か月が過ぎた、もうすぐ夏休みのある日。
写真部員の俺は、そろそろ高文連の写真展に出品する作品を作り上げねばならない時期になっていた。
とはいえ、何か「これを撮りたい」なんていう題材が明確にあるわけでもなく、気ばかりがどんどん焦っていた。
その日の放課後も俺は、何か被写体となりそうな題材を探して、カメラを持って校庭をぶらぶらと歩いていた。
旧校舎と体育館の間まで来たとき、渡り廊下の下の池の周りに、紫陽花の花がいくつも咲いているのに気が付いた。
「おっ、いいじゃん」
俺は愛用の、中古で買ったフィルムカメラ・ニコンF5にマイクロニッコールの60ミリを装着すると、さっそくパチパチと写真を撮り始めた。
「もっと下から見上げる構図の方がいいかな」
池の縁にしゃがんで、下から紫陽花を見上げるようなポジションで、シャッターを切ったその時。
「キャー、変態!」という叫び声が、突然頭の上から降ってきた。
3
:
1
:2015/07/24(金) 02:23:45
「?」
俺が驚いて見上げると、頭上の渡り廊下で清水センセイが灰色のスーツのタイトスカートを両手で押さえながら、怖い顔で俺を見下ろしていた。
「あっ、佐紀ちゃ…、いや清水センセイ…」
「ちょっとキミ! 今私のスカートの中、盗撮したでしょ!?」
「えっ…、してない…」
「ウソおっしゃい! 今確かに、こっちにカメラ向けて写真撮ってたじゃない!」
そう叫ぶと清水センセイは、上履きのままなのにも構わず、渡り廊下の横の階段を足早に駆けて、俺のいる地面に降りてきた。
清水センセイは俺の顔をじろじろと見まわしてから、「ふーん…」と顎をしゃくった。
<清水センセイ・イメージ画像>
http://i.imgur.com/xlWlak6.jpg
4
:
1
:2015/07/24(金) 02:25:10
「ふ、ふーん…って、何ですか?」
「キミ、確か私が数学受け持ってる2年3組の子よね? えーと…、○○クンだったかしら?」
「そうですけど…」
「あのねーキミ、女性のスカートの中を盗撮するなんてサイテーよ」
「盗撮!? してませんよそんなこと! 俺はただ花を撮ってただけで…」
釈明する俺の言葉に覆いかぶせるように、清水センセイは言い放った。
「先生、嘘つく子は嫌いよ。だいたいキミ、授業中もいつも勉強そっちのけで私のことじろじろと見てるじゃない」
「い、いや、それは… センセイ若くて美人だし… てゆーか、俺だけじゃなくて、男子は全員じろじろ見てますよ!」
しどろもどりになりながら俺が答えると、清水センセイは一瞬満更でもなさそうな表情を浮かべた後、すぐにまた元の怖い顔に戻って言った。
「お世辞なんか言ってもダメだからね。正直に認めて謝るなら今回だけは許してあげるけど、あくまで嘘つくんなら、キミの担任の先生に言いつけて停学処分にしてもらうわよ!」
5
:
1
:2015/07/24(金) 02:26:13
俺は少し呆れながら言った
「停学とか…、そんなに脅かさなくても、ホントに俺が盗撮なんてしてたかどうか、自分の目で画像を確かめてみりゃいいじゃないですか」
すると清水センセイもハッと気づいたように、
「そうよ。早く写真をみせなさいよ! そうすれば全部ハッキリするんだから」と言いながら、俺のカメラを覗き込み、そしてまた大声を上げた。
「何よ! このカメラ、画面がついてないじゃない!」
「フィルムカメラですから、画面なんかありませんよ」
「じゃあ…、どうしたら画像なんて分かるのよ?」
「俺がフィルムを現像した後で見せますから…」
「ダメよ! そんなこと言って、こっそりフィルムを掏り替える気でしょ! 白々しい!」
「参ったな… そこまで信用しないんなら、現像するところも一緒に見ますか?」
俺が聞くと、売り言葉に買い言葉、といった感じで、
「いいわよ! 一緒に見ててあげるから、早く現像しなさいよ!」と清水センセイが叫んだ。
6
:
1
:2015/07/24(金) 02:27:22
写真部の暗室は、旧校舎の一番端の、階段下のもともと倉庫だった場所を改造して造ってある。
ギーっ、と軋む重い鉄のドアを開けて、「どうぞ」と清水センセイを誘うと、センセイは一瞬入るのに躊躇してから言った。
「こんな暗い場所にあたしを連れ込もうとして、もしもヘンなことしようとしたら、大声出すからね!」
「あのさ…、現像するところ見るって言ったの、佐紀ちゃ…、清水センセイの方じゃん。それに、フィルムの現像ってのは電気消す必要なんかないの」
俺はそう言いながら暗室の壁のスイッチを点けた。途端に暗室は蛍光灯の光で明るくなった
「えっ?そうなの? 写真の現像って暗い所でやるんじゃないの?」
俺の後ろに続いて、ようやくおずおずと暗室に入ってきた清水センセイを振り向きながら俺は答えた。
「印画紙への焼き付けは暗くしてやりますけど、フィルムの現像は、現像用のタンクに入れてしまえば、明るいところでできるんですよ」
7
:
1
:2015/07/24(金) 02:28:25
暗室のドアを閉めると、俺は清水センセイと狭い密室に二人っきりになったことにあらためて気付いて、ふいに狼狽した。
今まで嗅いだことのない、大人の女の人がつける香水のいい匂いが漂ってきて、俺は一瞬めまいがしそうだった。
「何もたもたしてるの? 早く始めなさいよ」
「わ、分かってますよ」
清水センセイの棘のある言葉に弾かれたように、俺は現像の作業を始めた。
フィルムを収めたステンレスの現像タンクに、まず現像液、次いで停止液、定着液を順に注ぎ込んで、攪拌、排出するという作業を繰り返すと、ものの20分もかからずに現像は済んだ。
水洗いももどかしく、タンクの中から濡れたフィルムを引っ張り出すと、俺は清水センセイの顔の前に突き付けた。
「ほら、よく見てくださいよ。花しか写ってないでしょう!?」
清水センセイは無言でじーっと目を凝らした後、スーツのポケットから眼鏡を取り出した。
「センセイ、目悪かったんですか?」
「うん。普段はコンタクトだけど」
8
:
1
:2015/07/24(金) 02:29:31
眼鏡をかけた清水センセイは、「ちょっとよく見えないー」といいつつ、フィルムに顔を近づけながら、体を俺に寄せてきた。
その時、清水センセイの柔らかくてちっちゃなオッパイが俺の肘のあたりに一瞬触れた。
(アッー)
たったそれだけで、実戦未経験の俺の愚息は痛いくらいに敏感に反応して、瞬時に第一チンポ汁の発射シークエンスまでが整ってしまった。
「何?」
「い、いえ…。フィルム見えますか?」
俺は思わず前かがみになりながら聞いた。
「見えるけど…、何写ってるのか全然わかんない…」
「ネガだから、白と黒が反転してますから、この黒く見えるのが紫陽花の花」
「あー」
「ホラ、センセイのパンツなんかどこにも写ってないでしょ」
「…」
9
:
1
:2015/07/24(金) 02:30:23
清水センセイはしばらくネガを眺め回してからようやく言った。
「確かに映ってないわね…。私の勘違いだったみたい。でも、これからは誤解されるようなことしちゃダメよ。じゃあね」
そう言って暗室を出ようとした清水センセイの前を、俺は思わず壁ドンをするような形で塞いでしまった。
「キャッ!何!? 何するの!?」
びっくりして怯える清水センセイに向かって、俺は静かに言った。いや、静かに言ったつもりだったけど、たぶん怒りで声が震えていたのだと思う。
「センセイ…、人をさんざん盗撮魔扱いしといて、いくらなんでも、その言いぐさは無いんじゃないかな…。ゴメンの一言も言えないのかよ?」
沈黙が続いた後、小さな声で清水センセイが言った。
「…ゴメン」
10
:
1
:2015/07/24(金) 02:31:16
「ゴメンね○○クン、センセイが悪かった。許してくれる?」
身長178センチの俺を覗き込むようにして、ちっちゃな清水センセイが上目遣いをしながら、甘い声で聞いてきた。
この上目遣いは強力だった。
(許すどころか…、惚れてまうやろ…)
俺は一瞬思考回路がマヒしたみたいにボーっとなって、思わず目の前の清水センセイを抱きしめてしまいそうになった。
(い、いかん、いかん!)
俺は思わず雑念を振り払おうとして頭を強く降った。だけど、それを清水センセイは、「許さない」という意味にとったようだった。
「えーっ…、許してくれないの? どうすれば満足するの…?」
清水センセイが困ったように俺を見上げて聞いてきた。
11
:
1
:2015/07/24(金) 02:32:07
俺は目をつぶって天を仰いだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「そうだな… センセイがオ…、オッパイを見せてくれたら、許します」
「は!? ちょっ!? な、何、何言ってんの!? そんなことする訳ないじゃん!!」
途端に顔を真っ赤にしてうろたえる清水センセイ。
「イヤならいいです。新聞社とか教育委員会とかに訴えて出ますから。清水センセイに冤罪で濡れ衣着せられた、って…」
しばらく沈黙が続いた。
「…わ、わかったわよ。でも、見るだけだからね」
真っ赤な顔をしながらおずおずとジャケットを脱ぐ清水センセイ。
薄手のピンクのブラウスに既に浮かび上がっているブラジャーの刺繍の模様に、五クりと生唾をのむ俺。
清水先生の震える白い指が、ゆっくりとブラウスのボタンを外し、やがて白いハーフカップのブラジャーが俺の目の前に露わになる。
(もう、許して)と、懇願するような目で俺を見上げる清水センセイ。
「早く…、全部脱いでください」と、無慈悲に言い放つ俺。
「でも…」
「教育委員会に言いつけますよ…」
12
:
1
:2015/07/24(金) 02:32:52
しばらく俺を見上げた後、あきらめたように、意を決した清水センセイの手が背中に回り、泣きそうな目で俺を見上げながら、ゆっくりとブラジャーのホックを外した。
そして、真っ白い小さなオッパイと、焼きプリン色の乳首が、俺の前におぱよ…。
「す、すげえ…」
「イヤ、恥ずかしい…」
「きれいだよ、佐紀ちゃん…」
「そんなに見ないで…」
顔を近づけて凝視する俺を、放心したように見上げる清水センセイ。
そして、「もう、いいでしょ…」とブラをつけようとするセンセイの手をはねのけて、俺は焼きプリン色の乳首にむしゃぶりついた。
「あっ、イヤ! ダメっ! 話が違う! 見るだけ、見るだけって言ったのに! ああっ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
童貞の妄想がそこまで続いたとき、清水センセイの冷たい声が俺を現実に引き戻した。
「あのさ…、一体どうすれば気が済むわけ?」
13
:
1
:2015/07/24(金) 02:34:28
「あっ、いえ、その…、別に、どうするとか… もういいです…。あっ、いや、俺ほら、数学の成績悪いから…」
「悪いから…?」
「あの…、もし試験で赤点取ったら、見逃してほしいかなー、なんて…」
「何バカなこと言ってんの!? そんなことできるわけないでしょ、もう…。あっ、そうだ! 赤点取ったら特別に補習してあげるわよ」
そう言うと、ようやく清水センセイが笑顔で俺を見上げてくれた。
(怒ったところもたまらんけど、笑うとかわいい人だな…)と、またも俺がボーっとしかけると、清水センセイは「それじゃね」と言って暗室を出ようとした。
俺がドアを開けてやると、清水センセイは立ち止まって、また俺のことをじろじろと見始めた。
「な、何ですか? まだ何かありますか?」警戒しながら俺が聞くと、
「あのね、○○クン、キミ、写真部以外にも部活入ってる?」と、清水センセイはまた例の破壊力のある上目遣いで俺に近寄ってきた。
14
:
1
:2015/07/24(金) 02:35:55
「い、いえ…、写真部だけですけど…」
「写真部って忙しいの? 週何回くらい?」
「い、いえ、何回とか別に決まってなくて…。展示に合わせて作品さえ作れば…」
「じゃあ、普段はそんなに忙しくないの?」
「え、ええ。まあ、それほどでは…」
「じゃあさ、写真と掛け持ちでいいから、ダンス部入らない?」矢継ぎ早に質問を浴びせてきた後、清水センセイが、満面の笑顔で言った。
「ダンス部? 俺が? てゆーか、うちの学校にダンス部なんてありましたっけ?」
「最近できたの。うちのクラス…1組の鞘師さんたちが中心になって作ったの。で、私が顧問をやってるの」
15
:
1
:2015/07/24(金) 02:36:44
「1組の鞘師…」
(ああ、あいつか…)と俺は思った。
そういや、去年の宿泊研修のとき、夜の男部屋の人気投票では結構学年上位に入っていたっけな…、と俺は思い出した。
何かツンツンして男を寄せ付けないイメージがあって、俺自身はロクに口をきいたこともなかったのだが、そうか、あいつダンスなんてやってるのか…
<俺の中の1組の鞘師・イメージ画像>
http://i.imgur.com/DbvsClB.png
16
:
1
:2015/07/24(金) 02:37:55
ところで、去年の宿泊研修なんか思い出したせいで、俺の脳裏にすごくイヤな記憶までもが一緒に蘇ってきた。
俺はその男部屋の人気投票が盛り上がった次の日、まさに人気投票で学年一位となった、当時同じクラスの宮本佳林に告白して、見事に玉砕したのだった。
しかも後で聞けば、同じその日に俺以外の3人も宮本に告白して、やはり玉砕していたのだという。
(ダッセーな、俺…)
つらい気持ちを噛み締めていると、また清水センセイの言葉で現実に引き戻された。
「ねえ、聞いてる、人の話?」
「あっ、はい…。聞いてます…」
17
:
1
:2015/07/24(金) 02:38:50
「それでさ…、まだ女の子しかいないのよ、うちの部。でも今練習してる曲は、男の子もいた方が絶対バランスいいと思うんだよなー。鞘師は今のままでもいいとか言ってるけど、私が思うにね…」
清水センセイが早口で一方的に喋りだした。
「はあ…。でも俺ダンスなんてやったことないし、それに運動神経もそれほど良くないですから、他のヤツ探した方が…」
「運動神経いい子なんて、この時期に運動部にも入らずに残ってるわけないじゃん。だから暗い写真オタクでも我慢するって言ってんの!」
「センセイ…、本当に誘う気あるんですか?」
「えっ、あっ!? ゴメン、そういうつもりじゃ…」
「まあ、どういうつもりでも俺には関係ないっスけどね…」
俺が呆れた口調で言うと、清水センセイは、
「いや、本当にヘタでもいいの。必要なのはパッと見のバランスだけで、難しいパートはどうせ鞘師に踊らせるし、それに…」
「それに…?」
「キミみたいなボーっとした子でも、男の子がいた方が、女の子たちもちょっとはやる気出すかなー?、なんて…」
「…俺、帰りますよ」
「ああーん、待ってー!」
18
:
1
:2015/07/24(金) 02:40:09
「ねっ、ダンスやろうよ! 鞘師だけじゃなく、うちの部、みんなかわいい子ばっかりなんだから」
そう言って、清水センセイは俺の腕をつかむとぶんぶんと上下に揺らし始めた。
「いや、そんな…」
「だったら、9月まででもいいから。9月の大会で優勝するのが目標なの。でも、今のままじゃ正直厳しいのよ。何か起爆剤が必要なの」
「そんなこと言われても…」
「じゃあさ、練習見に来るだけでもいいから。とにかく一度来てよ」
「でも…」
(参ったな…)と俺は思ったけど、清水センセイはますます俺に密着して、おれの腕を一段と強く揺らし始めた。
(いや、センセイ、さっきから俺の手にオッパイが当たってるんですけど… アッー、ズボンの前が、前が苦しい…!)
いきなり前かがみになった俺を見て、清水センセイは不審そうに聞いてきた。
「どうしたの?」
「い、いや、別になんでも…」
「じゃあ、約束だよ。近いうちに必ず練習見に来てよ」
清水センセイは俺の返事も聞かずに一方的にそういうと、職員室に通じる廊下を小走りに駆けて行った。
19
:
1
:2015/07/24(金) 02:40:47
そんなことがあってから、二、三日後。
俺はハッキリ言って、清水センセイの言う一方的な約束など、まったく気にかけていなかった。
そんなことよりも、写真の題材が決まっていないことの方が気が重かった。
その日も、放課後に暗室に行こうとしていると、廊下でばったりと真野センセイに会った。
真野恵里菜センセイ。
清水センセイと同じく、去年うちの高校に新卒で赴任したばかりの、地歴の先生だ。
そして、俺たち写真部の顧問でもある。俺たちは蔭では「真野ちゃん」と呼んでいた。
まあ、美人でかわいいセンセイなのだが、実は俺は正直言ってこの人がちょっと苦手なのだ。
<写真部顧問の真野センセイ・イメージ画像>
http://i.imgur.com/rLoTkHk.jpg
20
:
1
:2015/07/24(金) 02:41:57
真野ちゃんは俺の方につかつかと歩み寄ってくると、「○○クン、もう高文連に出す写真、準備できたの?」と、眉根を寄せて、いきなり辛気臭い話をし始めた。
「いや…、まだですけど…」
「まだですって!? いつになったらできるのよ? やる気あるの!? もう…!」
「いや、でも… 締め切りは9月なんだから、そんなに慌てなくても…」
「それがダメだって言うの! 遅くとも7月にはちゃんとテーマ決めて、そこから作品をじっくり煮詰めていかなきゃならないって、私、あれほど何度もみんなに…」
「いや…、でも、みんなって言えば、俺だけじゃなくて、まだ他のヤツも誰も出してないんでしょ?」
「それが頭にくるのよ! 私が現役の時にはそんなこと、とても考えられなかった!」
実は真野ちゃんはもともと、うちの高校の出身なのだ。そして、しかも高校時代は写真部の部長。
そのころ、うちの写真部は全盛時代で、高文連の支部制覇どころか、写真甲子園でも準優勝したというのが真野ちゃんの自慢であり、誇りなのだ。
「それに引き替え、今のキミたちは…」と言うのが、真野ちゃんの最近の口癖だ。
事実、真野ちゃんが初めて顧問になった昨年の高文連では、入選したのは俺の撮った一枚だけ。
それまで毎年のように支部最優秀をうちの高校から出していたこと考えると、確かに酷い凋落ぶりではあった。
そのせいで真野ちゃんは「今年こそは何としてでも名誉を挽回する」と息巻いて、このところカリカリしっぱなしだったのだ。
21
:
1
:2015/07/24(金) 02:43:00
(でも…)と、俺は思う。写真っていうのは創作活動なのだ。
体育会と違って尻を叩かれて頑張ればいい結果が出るわけでもないし、精神論でいい写真が撮れるわけでもない。
もっと言ってしまうと、個人の創作にチームワークも関係ない。(みんなで頑張ろう)という真野ちゃんの考えには正直、共鳴しかねるところがあった。
俺がそんなことを考えてると知ってか知らずか、真野ちゃんの説教とも愚痴ともつかぬ話は、ボルテージが上がる一方だった。
「大体○○クン、あなたがいけないのよ! 去年入選したあなたが先頭になって、みんなを引っ張らなきゃならない立場なのよ! あなた部長でしょ? 自分の立場わかってる!?」
「いや、ちょっと待ってくださいよ。俺、部長を引き受けた覚えは…」
「他に誰がいるっていうのよ!」
一方的に言いこまれて、俺は(一度この人に、ハッキリ言っておかなければならない)、と決意した。
「お言葉ですけど先生…」
「…何よ?」
「だいたい、部長は室田がやることになってたんですよ。それに、去年部長だった3年の山木さんや中西さんたちも、本当は9月の高文連まではやってくれるはずだったのに」
「えっ?」
「何でみんな写真部辞めたと思います?」
22
:
1
:2015/07/24(金) 02:43:48
俺がそう聞くと、真野ちゃんは無言のまま、(何言ってるかわかんない!)と言いたげな顔で俺を見返してきた。
俺はとうとう、できれば言わないでおきたいと思っていたことまで、ぶちまけずにいられなくなってしまった。
「室田は確かに、写真部のほかに軽音も掛け持ちしてたけど…」
「写真部の部長が掛け持ちなんか許されるわけないでしょ!」
「でも、室田は俺たち2年生の中で一番真面目に写真打ち込んでいたぜ」
「えっ?…」
「じゃあ、聞くけどさ…、吉田とか峰脇とかの男子が、真剣に写真に打ち込んでると思うの? あいつら単に真野ちゃんのことエッチな目で見たいから写真部にいるだけだぜ」
「そんな…」
「それにさ、室田には掛け持ちダメとかいう一方で、部費獲得したいからって、優樹とか掛け持ちの幽霊部員を俺に勧誘させるって何なの?」
「それは…」
23
:
1
:2015/07/24(金) 02:44:29
一度言い出すと、俺も止まらなくなってしまった。
「山木さんだって、写真はすごく上手かった」
「それはわかるわよ。だから私の言う通りちゃんとやっていれば、去年だって賞とれたのに…」
「いや、俺はそうは思いません。山木さんの去年の作品は、最初はすごく良かったのに、真野ちゃんが『作りこみ』とか言って、いじればいじるほど、最初の良さがどんどんスポイルされて…」
「何よ! 私のせいだって言いたいの!?」
俺はその問いには直接答えずに言った。
「去年、山木さんの最初の作品をヘタにいじらずに、そのまま出していれば、最優秀賞だってとれてたかもしれない、って俺は思ってますよ」
真野ちゃんは無言で俺を睨んだ。
24
:
1
:2015/07/24(金) 02:45:40
しばらく無言の対峙が続いた。
と、突然、真野ちゃんが「ひーん」と声を上げて泣き出した。
「何よ、私のせいにばっかりして。○○クンひどい! 私はこんなに頑張ってるのに!」
(あーあ、泣いちゃったよ…)と俺は思った。やっぱりこの人に本当のことを指摘するのはキツすぎたのだ。
(同じわがままでも清水センセイの方がずっといいや)、と俺は思った。正直言って、真野ちゃんは俺には面倒くさすぎるのだ。
その時、「こらっ、何やってるの!」と、俺は後ろからいきなり教科書で頭を叩かれた。
25
:
1
:2015/07/24(金) 02:46:45
「痛っ、何だよ!」
そういって振り向くと、俺の担任の嗣永センセイが、仁王立ちしていた。
「こらっ、○○クン、何真野ちゃん泣かしてるの!?」
その声に弾かれたように、真野ちゃんが「桃ちゃ〜ん」と泣き声を上げながら、嗣永センセイの方にすり寄っていった。
「○○クンが…、○○クンが私のこといじめるの…」
「ちょっ! いや、いじめるとかいじめないとかじゃなくて…」
嗣永センセイは、そういう俺たちを交互に見つめたあと、(わかった、わかった)と言う感じで俺に目配せしながら、
「○○クン! ダメよ! あなたいいから早くあっちにいきなさい!」と芝居がかった声で俺に言った。
(助かった!) これ幸いとばかりに、足早にその場を離れた俺の後ろから、
「わーかったって。わかったから落ち着きなよ真野ちゃん」という嗣永センセイの声が聞こえてきた。
26
:
1
:2015/07/24(金) 02:48:16
嗣永センセイも清水センセイや真野ちゃんと同じく、去年うちの高校に着任したばかりの国語の教師だ。
クラスの男子たちの評価では、真野ちゃんの方が人気があったけど、俺はこの嗣永センセイの方に親しみを持っていた。
まあ、嗣永センセイはたまに変なブリッコを始める時があって、辟易させられるのだけど、基本的にはさばさばした人だし、世間知があるっていうのか、話が通じるところのある人なのだ。
それに、童貞の俺が自信を持っていうけど、嗣永センセイはああ見えてきっと、脱いだら凄い…、のに違いない。
<俺の妄想する・脱いだら凄い嗣永センセイイメージ画像>
http://i.imgur.com/AASC9pZ.jpg
(まあ、真野ちゃんのことは嗣永センセイが何とかうまく慰めてくれるだろう…)と俺は思った。
27
:
1
:2015/07/24(金) 02:48:51
とはいえ…、それにしても…。
真野ちゃんにあんなことを言って泣かせてしまうなんて。
なんていうか、子供相手に本気で相撲を取ってしまった後のような、後味の悪さを俺は感じていた。
(次に会った時に、真野ちゃんに何て言えばいいのかな…)と俺は思った。
まあ、面倒だけど、真野ちゃんの言う通り、さっさと作品の一枚も提出してやりゃ、少しは真野ちゃんのイライラも収まるかもしれない。
俺はそう考えると、教室の廊下の自分のロッカーから、カメラを取り出した。
28
:
1
:2015/07/24(金) 02:49:48
高校写真展の題材の王道といえば、何と言っても学園生活だ。
俺はカメラを持って放課後の学校の中を歩き始めた。
とはいえ、題材なんて、そんな簡単に見つかるくらいなら誰も苦労はしないのだ。
階段を降りて、ブラブラと廊下を端まで歩き、体育館に通じるドアを開けると、男子のバスケ部やバレー部が盛んに練習を繰り広げていた。
知った顔の部員に「ちょっと写真撮っていいかな」と声をかけてから、俺は練習の邪魔にならぬように、彼らの写真を撮り始めた。
スポーツ写真というのはなかなか難しいものだ。バスケのシュートのタイミングをつかんでシャッターを切るコツをつかむために、俺はフィルム1本を費やした。
最後にはうまく撮れるようにはなったものの、ただバスケの写真を上手く撮れたからって、それで何かを表現できるなんていうほど甘いものでもない。
俺は黙ってその場を離れると、今度は第二体育館に向かった。
29
:
1
:2015/07/24(金) 02:50:28
第二体育館では、手前に女子のバレー部、奥では卓球部の男子たちが練習していた。さらにその奥のステージ上でも、何かのミーティングでもやっているのか、ジャージ姿の連中が集まっていた。
女子のバレー部には、さすがにカメラを向けにくかった。いや、別に一声かけて撮ってもいいのだが、なんとなく変態扱いされそうで気おくれしたのだ。
女子バレー部の横を足早にスルーして奥に進んで、卓球部の練習でも撮らせてもらおうかと思ったとき、ステージ上のジャージ姿の集まりの中に、見覚えのある女の子の顔を見つけた
(あっ、鞘師…)
すると、これがダンス部なのか…。
30
:
1
:2015/07/24(金) 02:51:06
ステージ上には10人ほどの女の子の姿があった。鞘師のほかにも、3年の竹内さんや高木さんなど、知ってる顔が何人かいた。
しかし、ダンスを練習している様子は全くない。全員なんとなく暗い顔をして、ただ突っ立っているだけなのだ。
不審に思ってよくよく見ると、背が低くてすぐには気付かなかったけど、全員の中心には清水センセイがいた。
そして、清水センセイは何か長々と説教をしている様子なのだ。何を言ってるか俺のところまで内容は聞き取れないけど、ネチネチと怒ってる雰囲気だけは伝わってきた。
<ダンス部員にネチネチと説教をする清水センセイ・イメージ動画>
http://www.youtube.com/watch?v=ONTflT4Rqtk
#t=18m22s
(清水センセイって、男子に接するときと女子に接するときとは、結構態度が違うんだな…)
俺は何となく背筋が寒くなってきた。
31
:
1
:2015/07/24(金) 02:51:49
(佐紀ちゃん…、怖え…)
俺は思わず五クりと唾をのみこんだ。
この間、俺を盗撮魔扱いした時の佐紀ちゃ、いや清水センセイは、口調はキツかったけど、態度にはかわいらしいところもあったのだ。
でも、いま鞘師たちに説教してる清水センセイはその逆で、口調はすごく丁寧なのに、まるで氷のような冷たさだった。
(これは、関わり合いにならないうちに、さっさと帰ろう…)
そう思ってステージに背を向けたその時。
「あっ、○○クンじゃな〜い!? 約束通り、さっそく来てくれたのね? うれしい!」
清水センセイの弾んだ声が俺の背中に向かってきた。
32
:
1
:2015/07/24(金) 02:53:09
「えっ…、違う…」
俺がそう反応するよりも素早い勢いで、清水センセイはステージから駆け下りてきて、ギュっと俺の腕をつかんだ。
「ダンスやる気になってくれたんだ!?」
俺に密着してきた清水センセイからは、この間のと同じ香水のいい香りに加え、今日の場合は、さっきまで踊っていたことが明らかな、汗でグッショリ濡れたTシャツから、濃厚なメスのフェロモンがプンプンと立ち上ってくるようだった。
といっても、童貞の俺にはホントのところ、何が濃厚なメスのフェロモンなのかは実はよく分からんのだが、たぶんこれのことなんだろう、と生まれて初めて確信した。
(いかん、頭がクラクラしてきた…)
清水センセイは、小さな体のどこにそんな力があるのか、俺の腕をグイグイと引っ張り、有無を言わせず俺をステージの上に引っ張り上げた。
33
:
1
:2015/07/24(金) 02:54:27
壇上の女の子たちは、さっきまでの不機嫌さとは180度変わって、ニコニコ話しだした清水センセイの態度の変化に驚いているのか、それともこの急展開についてこれないのか、呆気にとられた表情で俺たちを見つめていた。
だけど清水センセイが「みんな注目〜! 今日からこの○○クンがダンス部に入りま〜す!」と一方的に宣言すると、一拍おいてから「えーっ!?」というどよめきが起きた。
「何?男子?男子が入るの!?」と、話が全然呑み込めてない様子で、両隣の女の子に聞いているのは3年の竹内さん。
すかさず高木さんが「イヤ〜だ〜!」と両手で頬っぺたを抑えながら大声で叫んだ。
女の子たちが本気でイヤと言ってるのか、それとも照れて言ってるのかはわからなかったけど、どっちにしても、イヤだというのはこっちのセリフだぜお猿さん、と俺は思った。
「ちょっと待って、俺は入りたいなんて一言も…」
狼狽しながら周囲を見回すと、一人だけ表情を全く変えずにまっすぐに俺を見てるやつがいた。鞘師だった。
俺は鞘師の目力に負けて、思わず視線をそらした。
34
:
1
:2015/07/24(金) 02:55:36
慌てて鞘師から視線をそらした時、鞘師の斜め後ろにいる女の子の顔に突然気づいて、俺は酷く狼狽した。
宮本佳林。
(えっ、宮本…!? 宮本もダンス部にいたのかよ…)
俺と視線が合うと、宮本は怯えたように視線を逸らした。
(うわ…。完全に警戒されてるよ俺。まあ、去年あんなことあったしな…。もしかして俺、宮本を狙ってストーカーみたいにダンス部に来たと思われてるんじゃ…)
俺は慌てて清水センセイに向き直ると、焦りながら早口で言った。
「ムリムリムリムリ! 俺ダンス部なんかに入る気全然ないから!」
35
:
1
:2015/07/24(金) 02:56:27
すると清水センセイは突然怖い顔をして、「何よ!意気地なし!」と、俺に怒鳴ってきた。
「はあ!?」 訳がわからずに聞き返す俺に、
「○○クン、男でしょ!? 男に二言はない、って言うでしょ」と、清水センセイは決めつけた。
「いやいやいやいや。一言も二言も、そもそもダンス部に入るなんて言ってないし俺! センセが勝手に決めつけてるだけじゃん!」
その時、高木さんが「先生、質問〜!」と手を挙げた。
俺を無視して清水センセイが「何?」と聞き返すと、高木さんは「その子、ひょっとしてダンスが超うまかったりするんですか?」と聞いた。
女の子たち全員の視線が俺に集まった。
「ううん、ただのド素人」と清水センセイが言うと、女の子たちの間に落胆のため息が広がった。
36
:
1
:2015/07/24(金) 02:57:07
「静かにっ!」清水センセイが元の冷たい表情に戻って叫ぶと、瞬時に女の子たちは黙り込んだ。
清水センセイはゆっくりと女の子たちを見渡してから、突然鞘師を指さして「鞘師!」と叫んだ。
「は、はい」と応じる鞘師。
「鞘師は優勝したいの?」と、問いかける清水センセイに、「したいです…。すごく」と応じる鞘師。
妙な展開に、俺は思わず五クりと唾をのみこんだ。
「だったら、この○○クンを入れることね。それしかあんたたちが優勝する道はないわ。ハッキリ言って、今のままじゃ可能性はゼロ。この私が断言する!」
どんな根拠があるのか、俺にはさっぱりわからんけど、清水センセイが大見得を切った。
37
:
1
:2015/07/24(金) 02:57:55
一拍置いてから、女の子たちの間にまたざわざわとした雰囲気が広がった。
俺はこの場にいるのが正直キツくなってきた。
「馬鹿馬鹿しい。何度も言うけど、俺はダンスなんかに興味ないし、キミらが優勝しようがしまいが、俺には何の関係もないことだからな。じゃあ、帰らせてもらうぜ」
そう言って壇上を降りかけた俺の前に、突然鞘師が立ちはだかった。
「えっ?」
「頼む…」
鞘師がいきなり俺の前に跪いた。
「○○クンのどこがすごいのか、私にはまったくわからない。でも私は清水先生を信じてる。清水先生が必要と言うのなら、きっと私たちにはキミが必要なんだと思う。私は優勝したい。お願い! 力を貸してほしい!」
38
:
1
:2015/07/24(金) 02:58:47
女の子たちが静まり返った。きっと、鞘師のそんな行動にびっくりしたのだろう。でも、一番びっくりしたのは俺だ。
俺は正直返答に困っていた。でも俺は、こういう男気のあるやつには弱いのだ。まあ、「男」なんて言ったら鞘師に怒られるだろうけど。
思わず鞘師から視線を外すと、宮本と目が合った。俺は聞かずにはいられなかった。
「宮本は…、俺が入っても構わないのか?」
一瞬間を置いて、「私は別に…、構わないけど」と、宮本が困った顔をしながら言った。
「よし決まり! 入部決定!」と喜ぶ清水センセイの横で、鞘師が俺と宮本を不審そうに交互にみつめていた。
39
:
1
:2015/07/24(金) 02:59:43
「じゃあさっそく踊ってみようか。みんなも練習再開!」
清水センセイの合図で、女の子たちが散開して練習を始めたけど…。
女の子たちは明らかに横目でチラチラと俺の様子を伺っていた。
(こいつ、実際はどの程度踊れるんだろう?)と、女の子たちの顔にはハッキリ書いてあった。そして、それは宮本の顔にも…。
俺と目が合うと、宮本はまた慌てるように視線を逸らせた。
その時、俺のそんな雑念を遮るように、清水センセイが「じゃあ、先生と同じように踊ってみてね」と微笑んだ。
清水センセイは「ワン、ツー、スリー、フォー…」とカウントをとりながら、最初のワンフレーズをゆっくりと踊ってみせた。
鞘師はセンセイの助手格なのか、他の女の子たちとは離れて、俺とセンセイの横に立っていた。
「じゃ、やってみて」
(こうかな…)
センセイに促されて俺が踊ってみたとき、女の子たちの間に、はっきりと落胆のため息が広がった。
40
:
1
:2015/07/24(金) 03:00:11
「℃ヘタじゃん…」
高木さんのつぶやきが漏れた。
(だから最初からできないって言ってるだろ)と、思わず俺が言いそうになるより早く、
「そういうこと言うのやめて!」と、鞘師が高木さんに怒鳴りつけた。
(いや、お前…、高木さんの方が学年上だろ…)と呆気にとられる俺。
高木さんもポカンとした顔で、ただ鞘師を見返すだけだった。
「さ、続きやろう」
ニコリともせずに鞘師が俺に言った。
41
:
1
:2015/07/24(金) 03:00:49
それから小一時間、俺は清水センセイの言う通りに踊り続けた。
てゆーか、ジャージにTシャツ姿の女の子たちと違って、学ランのままの俺は、汗びっしょりになってしまった。
「よし、今日はここまで!」と清水センセイが言ったとき、鞘師が俺に近づいてきて、生真面目な顔で聞いてきた。
「○○君、キミ、朝って早起きできる?」
「えっ?」
「ダンス部の練習は放課後だけなんだけど…、このままじゃ間に合わないから、これから毎日朝練してくれないかな。私が付き合って教えるから…」
(おいおい、鞘師とのプライベートレッスンかよ…)
42
:
1
:2015/07/24(金) 03:01:44
「俺は…」
少し狼狽しながら答えようとしたその時、
「ああーん、私が教えようと思ってたのにい!」と清水センセイがシナをつくりながら言ってきた。
「えっ、そうなんですか、ごめんなさい。ごめんなさい。それじゃ私は…」と鞘師が慌てて早口で言おうとするのを、清水センセイが制して、
「うん。でもやっぱり鞘師が教えた方がいいかもね。よし。二人で毎朝ちゃんと練習してね!」と笑って言った。
俺と鞘師は思わず顔を見合わせた。
一瞬、鞘師が照れたように視線を逸らせた。
「それじゃ…、そういうことでいいかな…?」と鞘師。
「お、おう…」と俺。
「それじゃ明日、家庭科室にきてくれるかな?」
「家庭科室?」
「あそこ大きな鏡あるから… 少人数でダンスの練習するにはちょうどいいんだ…」
「そ、そっか…」
43
:
1
:2015/07/24(金) 03:02:24
次の朝。
俺はいつもより二時間も早く目覚まし時計をセットしていた。
とはいえ、根っからの文化系の俺はそんな早い時間に起きたことなどない。
さっきから目覚ましのアラームが鳴り続けているのはわかっているのだが、どうにも体が動かない。
从*´∇`)<あー!、もう五月蝿い!
突然姉ちゃんが俺の部屋に入ってくると、俺の布団を強引に剥ぎ取った。
「ちょっ、千奈美姉ちゃん…、何するんだよ」と俺が抗議すると、
从*´∇`)<あんたこそ、こんな時間に目覚ましなんてかけて、何するつもりなのよ!?
と、姉ちゃんが叫んだ。
44
:
1
:2015/07/24(金) 03:03:45
俺は眠い目をこすりながら、時計を手に取った。
「おっ、もうこんな時間か…」
(さすがに初日から遅刻したら、鞘師に嫌われるよな…)と俺は思った。
アラームを止めて、ベッドから這い出た俺を見て、
从*´∇`)<ホントに起きるんだ…
と千奈美姉ちゃんは珍しいものでも見るように言った。
「ん、ああ、まあ。それより、千奈美姉ちゃんはなんでこんな朝早く起きてるの?」
俺が聞くと、千奈美姉ちゃんはちょっと胸を張って、
从*´∇`)<ちいちゃんはアシカに餌をやりに行かなきゃならないから。毎日この時間に起きてるよ。
と笑った。
俺の姉ちゃんは、水族館でアシカのトレーナーをしているのだ。
45
:
1
:2015/07/24(金) 03:04:45
眠い目をこすって顔を洗った後、台所に行くと、千奈美姉ちゃんがトーストを焼いてくれていた。
オヤジとオフクロはまだ寝ている時間だ。
「おっ、サンキュー」
テーブルについて、トーストを食いだすと、姉ちゃんが話しかけてきた。
从*´∇`)<ところでさ、茉麻はちゃんと真面目に働いてるの?
「茉麻…、ああ須藤さんか」
須藤さんと言うのは、千奈美姉ちゃんの高校時代の同級生だ。
専門学校を出た後、しばらく仕事もせずにプラプラしていたのだが、最近、うちの高校の事務室に臨時職員として勤めだしたのだ。
「俺らは事務室なんか行く用ないから分からんけど、そういや演劇部の指導してるとか聞いたな。顧問の先生、年寄りで名前だけだから、代わりに教えるって」
从*´∇`)<そういや茉麻、昔から「女優になりたい」とか言ってたもんなー
46
:
1
:2015/07/24(金) 03:05:26
須藤さん…
何を隠そう、須藤さんは俺の初恋の人と言うのか、初めての夜のおかずというのか、まあ憧れの人だ。
須藤さんが高校生時代、姉ちゃんを訪ねてうちによく遊びにきたとき、セーラー服姿の須藤さんには本当に胸がドキドキしたものだ。
その後、須藤さんは何てゆーか、妙に迫力が増したりして、おかずにすることもなくなったのだが…
<俺がお世話になってたころの須藤さん・イメージ画像>
http://i.imgur.com/R7ZycRM.jpg
47
:
1
:2015/07/24(金) 03:06:27
俺がそんな須藤さんの思い出に浸っていると、千奈美姉ちゃんは、窓のカーテンを開けて、
从*´∇`)<おー。雨が本降りになってきたなー
と言った。
「えっ、マジ? 雨なんてふってたのかよ」
俺は慌てた。
俺の家から高校までは、普段はチャリでぶっ飛ばせば10分ちょっとで着くのだが、雨の日は、電車で行こうとするとぐるっと遠回りになるので、30分以上かかるのだ。
「姉ちゃん、じゃ、俺行くわ」
と、俺は慌てて家を飛び出した。
48
:
1
:2015/07/24(金) 03:07:21
家のすぐ目の前にある、市電の停留所から、俺は始発の電車に飛び乗った。
始発の電車なんかに乗るのは、高校に入ってから初めてのことだった。
さすがに始発だけあって、電車はまだすいていた。
席は空いていたけど、何となく俺は入口近くのつり革につかまって立っていた。
朝も早いというのに、車内には、後ろの方の席でギャーギャーと騒ぐ2人の女の子たちの声が響き渡っていた。
別に、話を聞くつもりはなかったけど、女の子たちの声があまりに大きかったので、会話の内容が俺の耳にも自然と入ってきた。
「でね、でね、自分のことを『まろ』。自分のことを『まろ』って…!」
「ギャハハハハハハ!」
「『何だそれ』、って」
「超受ける―!」
何を話してるのかはわからんけど、その子たちの声があまりにうるさかったので、俺は思わず彼女たちの方を見た。
(あっ、うちの学校の制服じゃん…)
49
:
1
:2015/07/24(金) 03:08:07
俺がそう思ってると、その子のうちの一人が俺を見て言った。
「あっ! ○○クンじゃん。久しぶり―!」
(えっ… この子誰だろう?)
俺は一瞬考え込んだ。
すると、その子は「酷い―! めいの顔忘れちゃったのー?」と大きな声で言った。
「めい? お前田村かよ?」と俺が聞くと、「何よー! 忘れたふりなんかして―!」と、その子は頬っぺたを膨らませた。
50
:
1
:2015/07/24(金) 03:10:01
田村芽実。
こいつは、小学校から高校まで俺と一緒の、いわば腐れ縁のような幼馴染なのだ。
でも、高校に入ってからはあまり接点がなく、特に2年生になってからは俺が3組、田村が8組で、教室の階が違うこともあり、顔を合わすことも全然なくなっていた。
それにしても…
田村と言えば、ツインテールにデコ出し、八重歯の目立つ、丸っきり子供のような子だったのに…
今俺の目の前にいる田村は、五月蝿さこそ変わってないものの、髪型が変わり、背も高くなって大人っぽくなっていたし、まるで別人のようだった。
<すっかり大人っぽくなっていた田村・イメージ画像>
http://i.imgur.com/M6ccMmC.jpg
51
:
1
:2015/07/24(金) 03:11:24
不覚にも俺はしばし田村に見とれた。そのあと、
「めい…、お前綺麗になったな…」
と、思わず自然に言葉が口をついて出た。
「えっ…?」顔を赤らめる田村。
すると、田村の横にいた女の子が、すかさず『めい…、お前綺麗になったな…』と、俺の口真似をして。田村をからかった。
「ちょっと! いやーだー!いやーだー!」と田村が大声を出してその子を叩いた。
「えっと… この子は?」と俺が聞くと、田村は「あっ…、めいと同じクラスの勝田里奈ちゃん。通称りなぷー。こっちは私の中学の同級生の○○クン」と、俺たちを紹介した。
「あっ…、ども。」と、りなぷーははにかんだような顔で俺を見て言った。
52
:
1
:2015/07/24(金) 03:13:01
「それにしても、お前らいつもこんな朝早い電車に乗ってんの?」と、俺が立ったまま2人を見下ろしながら聞くと、
「あ…、めいたちは演劇部の朝練あるから…。りなぶーも一緒なんだよ」と、田村はつり革の俺を見上げるように上目遣いで言った。
(こ…こいつの上目遣いもなかなか破壊力出てきたんだな…。あっ、そんなことより…!)
俺は気付いてしまった。この角度で見下ろすと、セーラー服の襟元からチラチラと田村の胸の中が覗けてしまうのだ。
ブラジャーなのか、それともこれがキャミソールっていうやつなのか、童貞の俺にはよくわからなかったけど、フリフリのついた白いものが見えて、俺はうろたえた。
(ガキだと思ってたのに…、大人っぽい下着つけてやがる…)
俺は思わず五クりと唾をのみこんだ。
53
:
1
:2015/07/24(金) 03:13:40
俺がそんなことを考えてるとも知らずに田村は、
「それよりも、○○クンはなんでこんなに早いの?珍しい。確か写真部だっけ? 写真部に朝練なんてあるの?」
と、真面目くさった顔で聞いてきた。
「ん、ああ、まあな…」
ダンスのことを説明するのも恥ずかしい気がして、俺は適当な返事をした。
そんな話をしているうちに、学校前の電停に電車が着いた。
俺が先になって降りようとすると、後ろの方から、ひそひそ話のつもりなのか、りなぷーのでかい声が聞こえてきた。
「あの人…、めいめいの胸元、ずっとエッチな目で見てたよ」
「ちょっと! いやーだー!いやーだー!」
54
:
1
:2015/07/24(金) 03:14:35
りなぶーに図星の指摘をされて…
たぶん、俺の顔は恥ずかしさで耳まで真っ赤に染まっていたのだと思う。
でも、今の俺としては、2人の会話が聞こえなかったようなふりをして、前に進むしかなかった。
俺は後ろを振り向かないようにして、校門を過ぎて、玄関に入って、靴を履きかえて、家庭科室のある実習教室棟の方に向かっていったけど…
田村たち2人も、俺の少し後ろからずっとついてきているような気配なのだ。
(あれっ…、演劇部の朝練って、視聴覚室だったよな…。おい、家庭科室の隣じゃねえか…)
俺がそう気づいたとき、
「あれっ…、写真部の暗室って、旧校舎棟だよね…」
「何でこっちに行くんだろうね…」
また、ひそひそ話をしてるつもりなのかもしれないけど、二人の会話がハッキリと俺の耳にまで聞こえていた
55
:
1
:2015/07/24(金) 03:15:15
俺は焦った。
(いったん2人をやり過ごしてから、家庭科室に向かおうか…)とも一瞬考えた。
しかし、腕時計を見ると、鞘師との約束の時間まで、あとわずか2分足らずしか残っていなかった。
昨日の鞘師のくそまじめな表情を思い出すと、たとえどんな理由があるにせよ、1分たりとも遅刻はできないような気が俺はした。
(くそっ!)
俺は何も考えるのをやめて、家庭科室に向かって全速力でダッシュした。
56
:
1
:2015/07/24(金) 03:15:47
ガラっ、と家庭科室のドアを開けると、鞘師は既にそこにいて、一人でダンスの練習を始めているようだった。
「ごめん!鞘師。遅くなった」と俺が言うと、鞘師は一瞬、壁の掛け時計を見つめてから、
「別に○○クンは遅れてないよ。時間通り。私が勝手に早く来ただけ」と、表情も変えずに言ってから、改めて気づいたように「お早う…」と、ちょっとはにかんで言った。
「お、お早う…」と俺もつられて言った。
57
:
1
:2015/07/24(金) 03:16:28
俺は鞘師を待たせて、急いで隣の家庭科準備室に行くと、学生服を脱いで、Tシャツとジャージに履き替えた。
ふと見ると、そこに鞘師の物らしい紙袋が置いてあって、その中には、鞘師の物らしいセーラー服の上着とスカートが無造作に突っ込んであった。
(鞘師のセーラー服…。今なら誰も見ていない…)
俺は一瞬、そのセーラー服を引っ張り出して、思いっきり匂いを嗅いでみたい誘惑に駆られた。
58
:
1
:2015/07/24(金) 03:17:10
俺は目をつぶって天を仰いだ
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
素早く周囲を確認した後、紙袋の中から、セーラー服の上着を引っ張り出した俺。
(これが、さっきまで鞘師の素肌に直に触れていたのか…)
五クりと唾をのみこんでから、もう一度周囲を確かめると、俺は真っ白いセーラー服の中に恐る恐る顔を埋めた。
洗剤の匂いなのか、それとも柔軟剤の匂いなのか、甘いような香りに混じって、微かに漂ってくる酸っぱいような汗の匂い。
(これが青春の香りってやつか…)
まるで鞘師を征服したかのような昂揚感に包まれる俺。
数秒その匂いを堪能した後、俺はそのセーラー服をゆっくりと自分の股間に…
59
:
1
:2015/07/24(金) 03:17:38
(今度は…、鞘師を汚してやる…)
そう思ったときに、突然、家庭科室に通じるドアが開く
「○○クン…、何やってるの!? あっ!それ私の制服!!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そこまで妄想した後、俺はわれに返った。
(こんな妄想、昨日の鞘師の男気みたいなものへの冒涜だよな…)
俺はもう数秒、未練がましく紙袋の中のセーラー服を見つめた後、準備室を後にした。
60
:
1
:2015/07/24(金) 03:18:29
家庭科室に戻ると、鞘師が例によってニコリともせずに、「じゃ、始めよっか」と言ってきた。
「お、おう…」と応じる俺。
「じゃあ、昨日の続きからね…。ワン、ツー、スリー、フォー…」とカウントをとって踊り始める鞘師。
慌てて俺もそれに続いた。昨日清水センセイに習ったところまでは、一応俺なりに家で復習してきたので、忘れずに体が動いた。
それを見た鞘師が、「あっ、ちゃんと家で練習してきてくれたんだ…」と言うと、初めて少し笑顔を見せた。
「ま、まあな。けど、こんなちょっと見ただけで分かるもんなのか?」と俺が聞くと、
「分かりますとも」と、ちょっとドヤ顔になって鞘師が言った。
61
:
1
:2015/07/24(金) 03:18:58
「じゃあ、その続き教えるね。ワン、ツー、スリー、フォー…」
「スマン、もっとゆっくり…」
「あっ、ゴメン。ワン…、ツー…、スリー…、フォー…」
「こ、こうか…?」
「ちょっと違う。こう」
「こうか?」
「よく見て。左手がこう」
「こうか?」
「うーん…」
鞘師はちょっと考え込んだ後、もう我慢できんという感じで、俺の背後に回ってくると、後ろから俺の両手首をがっちりつかんできた。
「えっ…」と思わず狼狽する俺。
「左手はこういう感じなの。そしてその時の右手がこう…」
鞘師は、まるで操り人形でも動かすかのように、まさに文字通り俺の体を手取り足取りして、教えだした。
62
:
1
:2015/07/24(金) 03:19:25
「えーっとね… 次はちょっとお尻を引っ込めて」
「お、おう…。こうか?」
鞘師はちょっと考えてから、「ごめん…、ちょっと触るよ…」と言って、ちっちゃな手で俺の尻を押してきた。
「腰の角度はこんな感じなの。この角度を覚えてもらえるかな…」
俺の背後にほとんど密着するような体勢で鞘師が言うもんだから、鞘師の吐息がいちいち俺の耳にかかってきた。
くすぐったくて体を動かしたいのだが、真剣に教えてくれている鞘師を怒らせそうで、それもできん。
俺は耐えた。でも、くすぐったいのは我慢できても、愚息がムクムクと膨らんでくるのまでは到底制御不可能だった。
63
:
1
:2015/07/24(金) 03:20:05
ほとんどフル勃起に近い感じで息子がギンギンになってきた。ジャージのズボンだから、正面から見れば鞘師にだってハッキリと分かってしまうだろうと思った。
幸い鞘師は今は後ろにいる。とはいえ、鞘師が真剣に教えようとすればするほど、俺への密着度が増してきた。
「次はこう…」と鞘師が動いたとき、俺の背中に二つのツンとした柔らかいものが一瞬触れた。
(やばい、これは本当にやばい…)
童貞の俺にとっては、鞘師のレッスンは拷問にも等しいものだった。
64
:
1
:2015/07/24(金) 03:20:39
「じゃあちょっと、通してやってみようか」と言うと、鞘師が俺の背後を離れて正面に回ってこようとした。
(アッー、いかん!)
俺は思わずしゃがみこんだ。
「えっ、どうしたの?」と驚く鞘師。
(落ち着け!落ち着け、俺!)と息子をなだめる俺。
「どうしたの? どこか痛めた? 足でも攣った?」と不安そうな顔をしながら、俺の足に触れようとする鞘師。
(ちょっと待て! 触れられたりしたら、また息子が!)
俺は無言で手を挙げて鞘師を制すると、数回深呼吸をした。
65
:
1
:2015/07/24(金) 03:21:18
「○○クン、ねえ○○クン、本当に大丈夫なの…?」
ちょっと鞘師がオロオロとしだした時、ようやく俺の一物が少し収まりをみせてきた。
俺はちょっと前かがみになりながら、恐る恐る立ち上がった。
「ねえ、もしどこか痛いなら、本当に…」
心配する鞘師を制して、俺は作り笑いを浮かべながら言った。
「いや、久しぶりに早起きしたからちょっと立ちくらみしただけ。もうオーケー。ホントにオーケー」
66
:
1
:2015/07/24(金) 03:21:38
「本当なの? 無理してない?」
まだ心配そうに聞いてくる鞘師を抑えて俺は言った。「もう大丈夫。よし踊るぞ」
「そう…? じゃ、行くよ。 ワン、ツー、スリー、フォー…」
鞘師の手拍子に合わせて俺は踊りだした。
まあ、上手く踊れたかどうかはわからんけど、鞘師に教わった通りに踊ったつもりだった。
67
:
1
:2015/07/24(金) 03:22:18
一通り踊り終えて、俺は鞘師に聞いた。
「どうだった?」
「うん…。ちゃんとできてるよ」
「ホントか!?」
鞘師にそう言われて、俺は正直ちょっぴり嬉しかったのだが…、
その時、俺は家庭科室の開いたままになっていた後ろのドアから、何人かの女の子がこちらを覗いているのに気付いて慌てた。
演劇部の練習が終わったのか、田村とりなぷー、それにやはり演劇部で俺と同じクラスの鈴木香音の三人が、驚いたような顔で俺と鞘師を見ていた。
「ちょっ…! ダンスなんか踊ってる!」と田村
「しかも超ヘタ…。ばくわら…」とりなぷー
鈴木は困ったような顔で俺を見ていた。
68
:
名無し募集中。。。
:2015/07/24(金) 04:04:24
もしかして理科室で桃子が先生に犯されるの書いてた人かな?
続き楽しみにしてます
69
:
1
:2015/07/24(金) 12:47:04
>>68
違いますけど読んでくださってありがとうございます
70
:
1
:2015/07/25(土) 04:45:50
「うっ…」
りなぷーの一言に、正直言って俺は何気に傷ついたのだが、その時、鞘師がつかつかとりなぷーの前に歩み出ると、
「あのさー…、練習の邪魔しないでくれるかな?」と腕組みをしながら、りなぷーを睨みつけて啖呵を切った。
りなぷーはたじろいだ様子で、「うわ…、怖わ…。行こう、めいめい、香音ちゃん」と二人を引っ張るようにして去って行った。
しばしの沈黙の後、「ふー…」とため息をつく鞘師。
俺は聞かずにはいられなかった。
「あのさ、俺がいうべきことじゃないかも知れんけど、鞘師、お前いつもそんな風にツンツンしてて疲れないの? 昨日も高木さんにきつく当たってただろ」
俺がそう聞くと、鞘師は動揺したように、
「えっ! 私そんなにきつかったかな? そんなにツンツンしてた?」と聞き返してから、「でもでもでも…」となぜか顔を赤らめた。
71
:
1
:2015/07/25(土) 04:46:27
「でも?」
「私、『キミを守る』って決めたんだ」
「俺を…? 守る…?」
今まで、女の子を守りたい、と思ったことはあっても、女の子に守られるなんて、考えたこともなかった俺は動揺した。
「俺を守るって、どゆこと…?」
「○○クンは、本当はダンスなんて興味なくてやりたくなかったのに、私のわがままで、無理やりダンス部に入ってもらったわけじゃん…」
「…」
「だから、○○クンがダンスをやっている間は、絶対にダンスが原因でイヤな思いだけはさせたくない、それだけはどんなことをしても…。だから、私が守る、って決めたの」
「鞘師…」
ちょっと赤らんだ顔でまっすぐに俺を見ている鞘師が、なんだか神々しいもののように、俺には思えてきた。
<その時、俺の脳内に思わず流れてきた曲>
https://www.youtube.com/watch?v=an3dpZeDIBI
72
:
1
:2015/07/25(土) 04:48:01
そんな鞘師の告白、いや別に告白ではないんだろうけど、その言葉を聞いたとき、俺の胸にグッと湧き上がってきたこの気持ちを、どう表現すれば適当なのか、俺には正直わからない。
「驚き」か、「戸惑い」か…。いや、どんな言葉を使ってもうまく言えない気がするのだが、敢えて言えば「歓喜」というのが、俺の気持ちに近かったのかもしれない。
思わず沈黙のまま、鞘師を見つめてしまう俺。鞘師も沈黙のまま、俺の言葉を待ってる。
いや、このまま黙っていると、ヘタすると涙が出そうな気がして、俺は慌てて早口でしゃべりだした。
「ハハハ。鞘師がそんなこと気にする必要はないぜ。第一、俺を無理やりダンス部に入れたのは鞘師じゃなくて清水センセイだしな」
(何言ってんだ、もっと他に言うべきことあるだろが、俺)と自分の心に喝を入れる俺。
「でもでもでも…」と何か言いたそうな鞘師。
「それにな…俺、確かに仕方なく始めたダンスだけど、やってみたら楽しいところもあるかなーって…。今日『お前と』練習できて、そう思い始めてる」
もちろん、『お前と』に力を込めたつもりの俺だった。
鞘師は数秒、俺の顔を見つめた後、
「ダンスを好きになる人が増えてくれるのは、『誰であれ』嬉しい」と、笑った。
73
:
1
:2015/07/25(土) 04:49:29
鞘師が意図して「誰であれ」と言ったのか、それとも俺が童貞特有のナイーブさから、鞘師の言葉尻に引っ掛かっただけなのか…
俺はたった今までの高揚感が急速にしぼんでいくのを感じていた。
鞘師はそんな俺の心の動きには全く気付いてない様子で、
「あっ、もうこんな時間。そろそろ練習おしまいにしよう。○○クン、先に着替えてきていいよ」と笑った。
「いや…、俺は写真部の暗室行って着替えるから、鞘師いいぞ」と俺が答えると、鞘師は「じゃあ、また放課後頑張ろうね」と言って、準備室に消えた。
74
:
1
:2015/07/25(土) 04:50:21
写真部の暗室に入ると、俺はのろのろとTシャツとジャージを脱いだ。
パンツ一丁になると、思わずため息が出た。
『キミを守る』と、思いつめた表情で俺に告げる鞘師が脳裏に浮かぶと、またあの時の歓喜が押し寄せた。
でも『誰であれ』という言葉を思い出すと、心がキリキリと切なくなった。
(オレ、鞘師に恋をしはじめているのか?)
今朝は田村のことをかわいいと思って、胸の中の下着が見えたと喜んでいた俺であった。
俺は自分の軽薄さに嫌気がさしてきた。
(それに田村といえば、見られたんだよな…。鞘師とダンスの練習してたとこ。それにりなぷーや、何と言ってもあのズッキにも…)
75
:
1
:2015/07/25(土) 04:51:07
そんなことをボーっと考えていたとき、突然、ノックもなしに暗室のドアが開いた。
佐藤優樹。
優樹はパンツ一丁の俺に気付くと「キャーッ!」と大声を上げた。
俺は慌てた。
「こらっ、優樹! 暗室に入る時には必ずノックしろってあれほど…」
「キャーッ!キャーッ!」
「待てっ、今ズボン履くから…」
「キャーッ!キャーッ!キャーッ!」
「いいから、ちょっと静かに…」
「キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!」
キーキー叫んで、両手で目を覆ったふりをしながら、指の間からしっかり俺のパンツを観察している優樹だった。
76
:
1
:2015/07/25(土) 04:51:57
「あー、もう、うるさい…」
俺は思わずため息をついた。
佐藤優樹は、俺の1年後輩の新入生だ。
うちの近所のお寺の子供で、我が家も代々、優樹のところの檀家だったから、ガキの頃から知っているのだ。
まあ、ハッキリ言ってしまうと、俺はこいつが大の苦手なのだが、優樹のお母さんに「うちの子、こんなだから、よろしく頼みます」と、
小2の時に何度も頭を下げて頼まれて以来、何となく断りきれずに今日まで面倒を見てるのだ。
ただのアフォなのか、それとも一種の天才なのか、俺には正直わからない。
ただ、うちの千奈美姉ちゃんに言わせると、
从*´∇`)<ああ、まーちゃんはただのアフォ
と言うことだった。
77
:
1
:2015/07/25(土) 04:52:43
そもそも、優樹は入学するとすぐに合唱部に入ったから、もともと写真部員でもなんでもなかったのだ。
ただ、「辞書忘れたから貸して」だの、「習字の筆忘れたから貸して」だの、いちいち俺のところにくるので、
そのたびに、用具置き場にしていた暗室に連れてくるうち、ちょくちょくここに遊びにくるようになったのだ。
それを見た写真部顧問の真野ちゃんが、予算を獲得するために「幽霊部員でも掛け持ちでもいいから、あの子も入部させて部員を増やせ」と俺に命令して、
俺は心ならずも優樹を写真部に勧誘したというわけだ。
78
:
1
:2015/07/25(土) 04:53:33
俺がズボンを履くと、優樹の絶叫もようやくに収まった。
「ところで、お前、こんな朝っぱらから、こんなとこに何しにきたの?」と俺が聞くと、
優樹は、「まーちゃん、今合唱部の練習が終わったから、これから教室に行くの」と言って、
暗室の奥の棚をごそごそと探ると、ごっそりと教科書の束を取り出した。
「ひょっとして、お前…、教科書全部ここに置いてるの?」と俺が呆れて聞くと、
「だってまーちゃん、家に持って帰ると重いし…」と、優樹は屈託のない表情で答えてきた。
はあ…。
(全く、何だって真野ちゃんはこんなやつを入れさせたんだ…)と俺は思った。
79
:
1
:2015/07/25(土) 04:54:10
真野ちゃん…。
(そういえば俺、昨日真野ちゃんを泣かしたんだっけな…)
思い出すと急激に心が重くなってきた。
しかも、俺はその後、真野ちゃんをなだめようと写真を撮りに出かけた先で、電撃的にダンス部に入部してしまったのだ。
『写真部の部長が掛け持ちなんてとんでもない』と言い張って、結局、室田を退部にまで追い込んだ真野ちゃん。
(俺がダンス部に入ったと知ったら、発狂するんじゃないか…)と俺は思った。
とにかく、みんなで早く、作品を数多く出すことだ。それしかない。
「おい、優樹…」
俺は、教科書を抱えて暗室を出ようとしていた優樹を呼び止めた。
80
:
1
:2015/07/25(土) 04:54:46
「なあに、兄ちゃん?」と俺を見上げる優樹。
「おい、その『兄ちゃん』ってのはやめろよ」
「だって、兄ちゃんじゃん」と笑う優樹。
俺はため息をついてから言った
「…あのな、優樹、お前も高文連の大会に出す写真撮ってこいよ」
「えっ…、だって、まーちゃん写真とか撮らないから」
「いや、『撮らない』じゃないだろ。撮ってこいって言ってんの」
「だって、まーちゃんカメラとか持ってないし」
81
:
1
:2015/07/25(土) 04:55:16
「わかったわかった。別にカメラじゃなくて、優樹もスマホ持ってるだろ?」
「持ってる」
「スマホのカメラでいいから写真撮ってこい」
「何の写真を?」
「別に何でもいいけど…」
「何でもいいとか言われても、まーちゃん困る」
まあ、そりゃそうだろうな、と俺は思った。これは優樹に分があった。
82
:
1
:2015/07/25(土) 04:56:20
「そうだな…、優樹は合唱部だよな?」
「そだよ」
「合唱部のな、友達とか先輩とかが練習してるところとか、遊んでるところとか、何でもいいから撮ってこい」
「そんなのでいいの?」
そんなので言い筈はない。が、今は真野ちゃんの手前、作品の数合わせも大事なのだ。
「うん。それでいいから、撮ってこい」
俺がそういうと、優樹は「分かった!」と元気よく言って、駆けだした。
83
:
1
:2015/07/26(日) 15:45:11
優樹の背中を見送っていると、授業開始3分前の予鈴が鳴った。
(いかん、俺も教室に戻らないと…)
旧校舎の一番端にある暗室から、長い廊下を全力疾走して、階段を駆け上がっている最中に本鈴が鳴った。
ようやく2年3組の前までたどり着き、恐る恐るドアを開けると、幸い先生はまだ来ていないようだった。
自分の席に着くと、隣の席の女の子が、いつもと同じ素振りで「おはよう」と言ってきた。
その女の子こそが、鈴木香音。俺がさっきこいつを見て動揺したのも、つまりまあ、こういう訳だ。
(こいつ、いつもと同じ風を装いながら、これから根掘り葉掘り聞いてくるに違いない…)
84
:
1
:2015/07/26(日) 15:46:02
その時、教室のドアが開いて、嗣永センセイが入ってきた。そうか、1時間目は現国だったのか。慌てて俺は鞄から教科書を取り出した。
「ハイ。今日はこの間の続きから。また俳句の授業ですよー。教科書開いてねー」と、ぶりっ子口調の嗣永センセイ。
「誰に教科書読んでもらおっかなー…、じゃあ小田ちゃん」
「ハイ…、えーっと、『春風や 闘志抱きて 丘に立つ』」
「よくできましたー。これは高浜虚子の句ですねー…」
その時、隣のズッキが、前を見たまま、小声で話しかけてきた。
「ねえ、ダンス部に入ったの?」
やっぱり来たか、と俺は思った。
でも、無視する訳にもいかないのだ。
なぜなら、俺はズッキには頭が上がらない理由があるのだ。
85
:
1
:2015/07/26(日) 15:47:15
少々、話は長くなるのだが…
俺が初めて鈴木香音なるものの存在を知ったのは、今から2年前の中学3年の夏だった。
俺のいた中学の陸上競技大会は、毎年、隣の中学と合同でやるのだが、その時に初めて見て、その美少女ぶりに衝撃を受けたのが、今俺の横にいるコイツ、鈴木香音だ。
<俺が中学の陸上競技大会で初めて見た、隣の中学の超絶美少女・鈴木香音のイメージ画像>
http://i.imgur.com/ePLiDNH.jpg
まあ、要するに、中学時代の俺が須藤さんの次にお世話になったのが、中学の時のコイツなのだ。
もっと言えば、俺がこの高校に来たのも、コイツがここに進学すると聞いたからなのだ。
俺は本当は、千奈美姉ちゃんや須藤さんと同じ、もっと偏差値の低い高校に行くつもりでいたのだ。
でも、中学からの同級生の嶺脇〜こいつは物知りなことから「社長」というあだ名で呼ばれているオタクなのだが〜が、ズッキがこの高校を受けると聞きこんできたので、
俺も一念発起して勉強して、この高校に進学したのだ。
でも、話は逸れるが、そんな進学校に、竹内さんや優樹が、どんな卑怯な手を使って合格したのかは、まったくの謎だ。
86
:
1
:2015/07/26(日) 15:47:57
高校に入学して最初の日、クラス割りを見たら、「鈴木香音」という名前が同じクラスにあったので、俺は興奮した。
しかし、教室に行ってあの美少女を探したのだが、それはどこにもいなかった。
嗣永センセイに「鈴木香音」と呼ばれて、「ハイ」と返事をしたのは、こんなやつだった。
<こんなやつ・イメージ画像>
http://i.imgur.com/olsiY6V.jpg
87
:
1
:2015/07/26(日) 15:49:01
まあ、その時の俺は驚愕したのだが…、別にズッキ自体をイヤになったわけでもなんでもなく、
話をしてみると、これがまた実にさばさばとしたいいヤツで、俺たちはすぐに仲良くなれたのだった。
その後、俺はやはり同じクラスにいた宮本佳林のことを好きになって、宿泊研修の2日目に告白して玉砕するのだが、
そのことを知っているのは、俺と宮本の他には、この鈴木香音ただ一人なのだ。
なぜなら…、
これは言うのも恥ずかしいのだが、宿泊研修の直後の2学期終了の打ち上げで、
高校生のくせに安酒に悪酔いした俺は、ズッキに介抱されながら、宮本とのことを打ち明けて、ズッキの膝の上で泣いていたからだった。
それがまあ…、俺がコイツに頭の上がらない理由だった。
88
:
1
:2015/07/26(日) 15:50:00
「ダンス部に入ったの? いきなり何で?」
ズッキの問いに、俺は返事に躊躇した。
「入ったっていうか、入らされたっていうか…、正直俺もよくわからんのだが…」
その時、嗣永センセイが「ちょっと、そこの2人、うるさい!」と俺とズッキを指さした。
黙り込む俺とズッキ。
「えー、この高浜虚子っていう人は、お孫さんも俳句の先生やってるんだけど、俳句で世襲なんてインチキだよねー」
嗣永センセイは滑らかな口調で授業を続けている。
「あのさー、もしかして…」とズッキがまた話しかけてきた。
「ん?」と俺。
「まだ佳林ちゃんに未練がある…、なんてことないよね?」
「そ、そ、そんなことねーよ!」
思わず俺が大声を上げたとき、
「だからうるせーってんだろ! ○○と鈴木、廊下に立ってろ!」と嗣永センセイが怒鳴った。
89
:
1
:2015/07/26(日) 15:51:15
2人で廊下に立たされて、顔を見つめあうと、
「もう…! ○○クンの声が大きすぎるからじゃん!」とズッキが怒った。
「お前が話しかけるからだろ!」と反論する俺。
「まあ、いいけどさ…。で、実際のところどうなの? やっぱり佳林ちゃん目当てでダンスなんか始めたの?」
「いや…」
「だったら私、キミのこと軽蔑するかもなー…」
割と真顔で言うズッキに、(何でコイツにそんなこと、言われなきゃならんのだ…)と俺は思った。
「あのな…」俺は、数日前に清水センセイに盗撮魔と間違えられた話から、今日までのいきさつを、懇切丁寧にズッキに説明した。
「えー!何それー!?」と驚くズッキ。
「だからまあ、仕方なくやってんのよ」と俺が言うと、
「そうなんだー。佳林ちゃん狙いじゃなくて安心したよー」とズッキは笑ってから、「でも、それはそうと、さっきの○○クンと里穂ちゃんも、なかなかいい雰囲気だったなー」と言って、
反応を伺うように俺の目を覗き込んできた。
90
:
1
:2015/07/26(日) 15:52:51
「えっ…?」と一瞬顔が赤らむのを感じる俺。
「うん。恋人同士…、って感じに見えないこともなかったな」とズッキ。
「おいおい(笑)…」
「まあでも、いつまでも佳林ちゃんに未練残すよりは、里穂ちゃんとの方を私は応援するかなー」
「おい、そんなんじゃねえよ…。それよりお前、そんなに言うほど鞘師のこと知ってんの?」
「うん。中学一緒だったし。てゆーか、里穂ちゃんは2年の時に広島から転校してきたんだけど。あっ、私も1年の時に名古屋から転校してきたんだけどね…」
「そなの?」
「まあ、里穂ちゃんみたいに肩肘張った子には、キミみたいにちょっとボーっとしたヤツの方が合ってるんじゃないかな」
「俺を馬鹿にしてんの?(笑)」
91
:
1
:2015/07/26(日) 15:53:31
(そうか、鞘師とコイツは同じ中学だったのか…)と思うと、つい、言わなくていいことまでが口をついて出た。
「それにしちゃ、中学の陸上の時、鞘師になんか全然気づかなかったな…。お前のことはすぐに気づいたんだけど」
「えっ、どういうこと?」
「あっ、いや…」
「ねえ、どういうこと? どういうこと?」
一瞬(しまった)と思ったけど、すぐに、(まあ、昔の話だし、別にいいか)と思い直して、俺は話すことにした。
「中学の時のお前って、美少女だったじゃん」
「てへ(笑)」
「だから、うちの中学じゃ、すごく話題になってたの」
「マジ?」
顔をくしゃっとして、満面の笑みを浮かべるズッキ。
92
:
1
:2015/07/26(日) 15:53:57
「うん。だから、お前がこの高校に来るって噂が流れたんで、無理してこの高校受けた男子多かったんだ」
「ホント?ホント? たとえば誰?」
「うちの部の嶺脇とか…、まあぶっちゃけ俺もそうだったんだけど」
「えーっ!?」
「だって、お前ホントに美少女だったしな」
「ちょっと! 『だった』じゃなくて、今も美少女!」
「いや、お前な…」と言いながらズッキを見返したとき、(あれっ?)と俺は思った。
「お前、ひょっとして…、痩せた?」
「分かる?」と、話に食いつくズッキ。
「あー、いや…、今初めて気づいたんだけど。うん…、確かに前より痩せてきてるよな…」
俺がまじまじと眺め回すと、
「フハハハハハハハ」とズッキが高笑いした。
93
:
1
:2015/07/27(月) 02:07:20
本スレでも指摘されてるけど
もちろん「里保」が正解
痛恨の極み
94
:
1
:2015/08/03(月) 18:31:51
「お前、ダイエットとかしてたの?」と俺が聞くと、
「まあね。夏休み明けを目標に、今が『猛烈頑張る期』って感じ」と、ドヤ顔のズッキ。
俺はもう一度、まじまじとコイツを見た。
正直言って、高校入学以来、俺はコイツをいい友達とは思っても、女として意識したことが一度もなかったのだが…、
よくよく見ると、顔の輪郭とかも前より確かに細くなっていて、美少女の頃の面影が本当に戻ってきているかのようだった。
それに…
頭から足元へ見回していくと、どうしても目を止めざるを得ない、ズッキの爆乳…。
「お前…、もし、このまま痩せたら凄いことになるな…」
「えっ?」
ズッキは、何のことかわからない、という感じで俺を見上げていたけれど、俺がズッキの胸を凝視していることに気付いて
「いやあっ!」と大声を上げて、両手で胸を覆った。
「ちょっと!どこ見てんのよ!やらしい!変態!」
そう言うと、ズッキは俺の背中をバシバシと叩いてきた。
「痛え!」
95
:
1
:2015/08/03(月) 18:32:36
怒ったふりをしながらも、ズッキはどこまでも上機嫌だった。
「そっかー… 私はそんなに人気あったのかー。うふふふー」
「いや、中学のときの話な…」
「○○クンも、私目当てにこの高校に来たとは知らなかったなあ…。まあ、私がもっと痩せた後、泣いて頼んだら、付き合ってあげるかもよ」
「お前なあ…」
その時、終業のベルが鳴って、嗣永センセイが教室から出てきた。
「あんたたちねえ…、廊下でも何かずっとぺしゃくしゃ喋ってたでしょ! 立たされた意味分かってんの!?」と、嗣永センセイはご立腹だった。
「すみません」と俺は謝ったけど、何を思ってるのか、ズッキはその間もずっとニコニコとしていた。
ズッキの笑顔に、嗣永センセイも怒る気力を削がれた様子で、「どしたズッキ? なんかいいことでもあったか?」と聞くと、
ズッキは「えへへへへへ」と、ひときわ飛び切りの笑顔を作った。
「あー、もういいや。わかったわかった」と、嗣永センセイは呆れたように言って少し歩き出した後、
「あっ、○○クン、昼休みに、ご飯食べた後でいいから、ちょっと職員室にきてくれるかな」と、俺を振り向いて言った。
96
:
1
:2015/08/03(月) 18:33:32
(何だろう…?)と俺が思ってると、
「2時間目は選択科目の地歴だよね。私は日本史だけど○○クンは世界史でしょ? 早く隣のクラス行った方がいいんじゃない?」と、ズッキが俺の袖を引っ張りながら言った。
選択科目は隣の4組と合同授業なのだ。日本史を選択している生徒は3組、世界史を選択している生徒は4組の教室で、2クラス一緒に授業を受けている。
俺は教室に戻ると、教科書を抱えて、隣の4組に移動した。
世界史の先生は… 真野ちゃんだ。
97
:
1
:2015/08/03(月) 18:34:19
(はあ…)
俺は昨日、真野ちゃんを泣かしたことを思い出して、思わずため息をついた。
(あの後、どうなったんだろう真野ちゃん…。俺はこの後、どんな顔して真野ちゃんを見ればいいのかな…)
そんなことを考えると、またため息が出た。
すると、「どうしたの、そんなため息ばかりついて?」と、隣の席の女の子が話しかけてきた。
4組の植村あかり。
世界史の授業の時は、席割が決まっていて、いつも隣の席になるのだが、実は今まで一度も話をしたことはなかったのだ。
それが、突然話しかけられて、俺は驚いた。
<4組の植村あかり・イメージ画像>
http://i.imgur.com/pLZz29S.jpg
セーラー服の種類が鞘師もめいめいもうえむーもまちまちだけど、脳内補完で頼む!
98
:
1
:2015/08/08(土) 00:43:54
「えっ、あっ…」
植村に話しかけられて、俺は正直ドキドキした。
俺が去年、宮本佳林に告白して玉砕した前の晩の、宿泊研修の男部屋での人気投票の話は、前にもしたと思うけど、
その時も、1位の宮本と僅差で競っていたのが、この植村あかりだったのだ。
俺自身も…、まあ、その時は宮本の方がかわいいと思っていたけど、純粋な美人度で言えば、正直言って、この植村あかりの方が上じゃないかとも思っていたのだ。
とはいえ、1年生の時はクラスも離れていたし、接点もなくて話したことがなかったから、あまり植村に興味はなかったのだが…。
その美女が、今俺に話しかけてきている。
99
:
1
:2015/08/08(土) 00:44:30
何と答えようかと一瞬考えたとき、ガラッと教室のドアが開いた。
つかつかと入ってきたのは、嗣永センセイだった。
「えっ…、嗣永センセイ、教室間違えてるんじゃ…」と植村がつぶやいたとき、嗣永センセイは黒板いっぱいに、でかい文字で「自習」と書いた。
「おーっ!」と沸き上がる生徒たち。
「先生質問です! 真野先生はどうしたんですか?」と小田が聞くと、嗣永センセイは
「うん。体調悪くてね、急に休んだの。みんな静かに自習してよ」と言って、教室を出て行った。
100
:
1
:2015/08/08(土) 00:45:09
「真野ちゃん、生理かな…」
「きっと重いんだよ」
南波とか嶺脇とかの馬鹿な童貞たちが、訳知り顔にひそひそ話をしているのが漏れ聞こえてきて、植村は顔をしかめた。
俺はと言うと、ただ心が重かった。
(真野ちゃん休みって、ひょっとしてこれも俺のせいなのか…? 面倒くさすぎるぜ、真野ちゃん…)
そう思うと、また自然とため息が出た。
「またため息ついた! いったい何なの?」
ちょっと怒ったように植村が聞いてきた。
「あ、ゴメン」と、俺はちょっと慌てて答えてから、
「真野ちゃんが休んだの、俺のせいかもしれないと思ってさ…」と言うと、
「えっ、何それ?何それ?」と、植村はちょっと興味津々って感じで聞いてきた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板