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仮投下スレ

1偽ひろゆき★:2012/09/25(火) 02:28:45 ID:???0
仮投下スレです
ちょっと不安……とか冒険しました! なSSは一度ここに通しておくといいかもしれません。

116 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:23:41 ID:1TD2r2ww0
ミルコ・クロコップ、ウラーを仮投下します

117 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:24:25 ID:1TD2r2ww0
「…さっきの奴はもう追ってきていないようだな…」

ミルコクロコップは振り向き、化け猫の姿が無いのを確認し、足を止めた
…まったく、こんな殺し合いに本気で乗る奴がいるとはな…
そういう連中は願いを叶えるために、本当に何十人と殺す覚悟が出来ているのだろうか?
あぁ、他人の考えなんてわかったもんじゃないな…

ミルコは側のガードレールに寄り掛かり、背負っていたデイバックを下ろした
アイツに接触する前に中身は確認していたんだが、あまり当たりとは言えない
赤いスニーカーにロープ、そしてダンボール箱…
運の悪いことに、武器と呼べるものは何一つ入っていなかった
拳銃の一つでも入っていればアイツは死なずに済んだかもしれなかったというのに…
そう思いながら、ミルコは夜空を見上げてため息をついた

不意に後ろから、ガサッと言う音と共に、パタパタと足音が聞こえた
振り向くとそこには、でかい剣を振り上げた猫男が目の前に迫っていた

「ウラーーーーー!!!」

思いきり振り下ろされる大剣
ミルコはほとんど反射的に身をそらしてかわした

ガンッと、強烈な音が響き、ガードレールが大きくへこんだ
…チッ、またしても化け猫か…!
しかもコイツも殺し合いに乗ってやがる…!?

猫男は大剣を持ち上げると、柄を両手で掴み遠心力をかけて振り回した
ミルコは冷静にバックステップで距離を取る
大剣のリーチは長いが、一度離れてしまえばそんなもの当たらない

…すると今度は、あろうことか大剣を持つ手を離しハンマー投げの要領で投げてきたではないか

しかし、素人がハンマー投げをしたところで狙ったところに飛ぶはずがない
勢いのつけられた大剣は明後日の方向へ飛び、付近の塀にひびを入れた

丸腰となった今、大きな隙が出来ている。今がチャンスだ!
すかさずミルコは猫男の眼前へと距離をつめる
そして猫男が反応するより早く、左足を高く上げてハイキックを放つ…!

「ウラッ!?」

一撃必殺! 加減こそしていたものの、側頭部にクリーンヒットしたハイキックによって猫男はそのまま倒れた
ミルコはデイバックからロープを取りだすと、猫男の両腕を縛り上げた

「…ったく、危険な奴だ…」


○ ● ○ ● ○ ● ○ ●


「放せええぇぇ!!放せウラーーーッ!!死にたくないウラー!!」
「落ち着け、話を聞くだけだ。落ち着け!」

縛られたウラーはさっきから泣きながら暴れていた
パニックになってるな…仕方ない、若干手荒だが頭を冷やしてもらおう…
ミルコはデイバックから水を取りだし、ウラーの顔にパシャッとかけた
ウラーは驚き、喚き声が途切れた

「落ち着け。俺は殺し合うつもりはないし、お前を殺すつもりもない。
 だからまず、お前の話を聞かせてくれ」

ミルコの言葉がやっと耳に届いたのか、ウラーは大人しくなった

「まず、お前は殺し合いに乗ってるのか」
「…何を言うウラ、乗るしかないじゃないかウラ!」
「何故だ? 多くの人を殺してまで叶えたい願いがあるのか?
 本当にそんな覚悟があるのか?俺にはわからないな…」
「…そんなこと言うのは自殺発言ウラ! 死んでも知らないウラ!」
「自殺発言? …お前は何を言ってるん? 殺し合いに乗らないことが自殺と何の関係が…」
「アンタも聞いたらだろウラ! 殺し合いに不都合な事をしたら首輪を爆破するって!
 だから、乗らないとひろゆきに殺されるウラ! だからもう、嫌でも殺し合うしかないんだウラー!」

そう叫んでウラーはまた涙を溢した

…そうか、俺は少し考えが浅かったようだ…
殺し合いに乗る奴は皆、賞品に目が眩んでるもんだと思っていた
だが、最初の怯えていたアイツと同じように、ただ死にたくないと怯える奴がいる
そんな奴が死の恐怖のあまりに、殺し合いに乗る可能性があるということか…
まったく、本当にクソッタレなシステムだ…

ミルコはウラーを縛っていたロープをほどいた
ウラーは脳震盪を起こしたのか、やけにフラフラとしながら立ち上がり、大剣を拾いに行った

「俺はこれから、首輪を外す方法を探すつもりだ。よければお前もついてこないか?
 確かに首輪を爆破されるリスクは高いが、どちらにせよ俺は殺し合いには乗らないと決めている。
 …お前はどうする? 少なくとも、単独行動よりは危険も減るはずだが」

逃げようとしたウラーはピタリと足を止めた
…どうしよう…、このままこの男についていけば、ひろゆきに殺されるかもしれない…
でも、ただでさえ体が不調なのに、またこの男みたいな強い参加者に会ったら間違いなく負ける…

118 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:25:31 ID:1TD2r2ww0
「俺は…いったいどうすれば…」
「お前もそんなこと言うのか…。他人に選択肢を委ねて、それを貫けるのか?
 自分がどう行動するか、それはお前自身が決めることだ」

しばしの沈黙が続く
ウラーは悩みに悩んだ
死にたくない、ただそれだけの願いなのに…
どちらの選択もその願いを叶えてくれそうにない…!
何故こんなに、葛藤に悩まされなくてはいけないんだ…

数分後、沈黙が破られる
ウラーは涙をこぼしながら口を開いた
#aa(){{{
A_A    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( TAT)つ  < ついて行くウラ…!だから…だから…
(つ  )    | 俺を、俺を生きて帰らせてくれウラァ…!
と_)_)    \_________
}}}

「わかった。保証は出来ないが、お互いベストを尽くそう
 …俺の名前はミルコ・クロコップだ」

ミルコはあっさりとそう言って手をさしのべた

…出来ることなら、アイツのような犠牲者はもう出したくない
なるべく多くの弱き者を救ってやりたい
それが元警察官であり、格闘家としての責務だからだ

誇りを胸に宿した彼は決意を新たに、目の前の猫男と握手を交わしたのであった


【ミルコ・クロコップ@AA】
[状態]:健康、後悔
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、キック力増強シューズ@名探偵コナン、ロープ@現実、工具セット@現実
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗らない
1:首輪を外す術を探す
2:ウラーと行動する
3:化け猫(お断りします)を警戒
4:‥‥‥すまなかった



表向きでは和解しているものの、ウラーはまだ死に対して強い恐怖感を抱いている
そしてショボーンと違い、自分が生きるために「誰かを殺す」という選択肢を選ぶことが出来るタイプである
そんな、ある意味では危険な人物と呼べるような相手と同行することになったミルコ・クロコップ
これは彼の慢心によるものだが…はたして、この安易な判断が今後どのような結果へとつながるのだろうか…



【ウラー@AA】
[状態]:死に対する恐怖、脳震盪(軽度)
[装備]:バスタードソード@FF7
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本:生存最優先
1:ミルコ・クロコップについて行く
2:とにかく死にたくない…

119 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:28:29 ID:1TD2r2ww0
以上です。今回は短めです
修正店などがあればご指摘お願いします

120 ◆m8iVFhkTec:2012/11/24(土) 10:25:42 ID:QEkkNHNg0
位置情報と支給品情報も追加で


【B-1/路地/一日目・深夜】


《支給品紹介》
【キック力増強シューズ@少年漫画(名探偵コナン)】
コナン君がいつも履いてる赤いスニーカー。側面のスイッチを入れるとキック力が高まる
原作ではサッカーボールを蹴り上げ、犯人にぶつけて気絶させたりする等に使われる
VIP では時おり蘭のケツを蹴り上げ、「しんいちーッ」の悲鳴を聞くために使われる

【ロープ@現実】
ごく普通のロープ。数十メートルくらいのが束ねられている
高いところから降りる時や敵を縛り上げる時、首を吊る時などに便利

【工具セット@現実】
ペンチやスパナ、ドライバーなど、様々な工具が入っている
車板では、こだわりの工具について語られている

【バスタードソード@FF&ドラクエ(FF7)】
FF7の主人公クラウド・ストライフの愛用武器
かなり巨大なサイズの大剣だが、クラウドは軽々と振り回している
クラウドさんの私物だと思われる

121ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/24(土) 20:21:08 ID:gVHJHdVs0
仮投下乙です
特に問題は無いと思われます

122 ◆6LQfwU/9.M:2012/11/24(土) 21:27:22 ID:gVHJHdVs0
日本鬼子、鬼女、モララー仮投下します

123 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:27:38 ID:gVHJHdVs0
トリップ間違えました…

124 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:28:15 ID:gVHJHdVs0



 あの妙な奴らを襲った後。
 路地裏を少し走って退いた後、物陰に隠れて奴らが追いかけて来てないかを確認してみた。
 だが、奴らは追いかけてこなかった。……正直、有難かった。
 流石に、初っ端からあんなのとやりあっていたら、まず危険な目に遭っていただろう。
 その点では、追いかけられなかったのは幸運だった、かもしれない。
 どちらにしろ、奴らはもう近くにはいないだろう。
 あの中年はどこかへ逃げて行ったし、変な髪形をした奴も、どこかへ行った。
 その後、路地裏を抜け表通りに出た俺は、近くのビルに入る事にした。
 ……近鉄百貨店。確か、そんな名前だった。
 ――――幸い、中を調査する時間は、たっぷりあった。
 中に、何か役に立つ物があるのか。誰か、潜んでいるのか。
 それらを調べる時間は、俺にはたっぷりあった。
 ビル横の駐車場、地下1階の店舗プラス地下駐車場、1階から4階、全ての店舗……。
 時間はある。ゆっくり行こうじゃないか……。
 
 
 
 
 
 
 
 ――――結論から言えば、特に大した収穫は無かった。
 何処にも人は潜んでいなかったし、俺の興味を引く物も、特になかった。
 一応屋上も調べようとは思ったが……扉は施錠されており、いじられた痕跡も無かったので放置しておいた。
 ……これだけの事を調べるのに、1時間近くもかかるとは。
 まあ、いろいろ調べたから、これくらいかかっても仕方無いか。
 そうして、今俺はここ……3階のベンチの1つに、俺は腰かけていた。

125 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:28:35 ID:gVHJHdVs0

「……時間のムダだったからな!」

 ふてくされて、ベンチに寝転がり、ジーッと天井を見つめる。

「……だーれも来やしない……」

 これだけの時間をもてあますくらいなら、何か有意義な事に使えればいいのだが。
 ……いろいろ、考えてみるのもいいな。そう――――さっきの、妙な音についてとか。
 そう、丁度2階辺りを調べてた時だったかな。
 ドサッ、と言った感じの音に、何か、ヘリコプターのような大きな音が聞こえた。
 見つからないように外を伺ってみたら、ヘリコプターが、音を立ててどこかへ向かっていた。
 暗さのせいで、誰が乗っているのか良く分からなかったが。
 結局、特に気にする事もなく、探索を続行したのだった。

「…………」

 喋る事なんて何もない。ここには1人しかしないんだし。
 相手もいないのに、話す事などない。
 わざわざ口に出さずとも、頭の中で考えれば事足りる。

(…………)

 偉そうにそう考えちゃあいるが、別段考えなきゃいけないこともなかった。
 ……はぁ。拍子抜けだなあ。
 そろそろここを出ようかな?






126 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:29:00 ID:gVHJHdVs0




「……随分大きな建物ですね」
「どうやら、近鉄百貨店のようね。……ああ、百貨店って言うのは、まあ、色んな物がある場所ね。
 ……もしかしたら、その物資目当てに誰かがいるかもしれないわね。調べてみましょう」
「はい、分かりました! ……って、あそこにあるのって……」

 鬼子ちゃんの指差す方向を見ると……何かが、月明かりに照らされている。
 それは、地面にべったりと広がって、赤い色をしていて……。
 この真っ赤な液体は、もしかして?

「血……!?」

 思わず、息を呑む。
 急に、寒気と恐ろしさが、私に襲い掛かってくる。
 ……ここで、誰かが襲われたのだろうか?そして……殺されたのだろうか?
 でも、ここに残っているのは、この大量の血の痕だけ。
 ――――遺体は、どこにもない。

「どうして、こんなところに?」
「……私にも、分からないです」

 2人とも、ここに来てからほんの少ししか経っていない。
 そんな状態なのに、分かる訳ない。

「……とりあえず、これは後から調べませんか? 先に、中の方を調べましょう」

 コクリ、と小さく頷いて答える。
 入り口に歩を進めると、小さな音を立てて自動ドアが開く。
 ……中は真っ暗なくせに、こんなところには電気が通ってるんだね。
 ここに電気通すんなら、ついでに中の明かりもつけてくれればいいのに。
 最悪の店ね…………って、今はそんなこと言ってる場合じゃなかった。
 とにかく、店内は真っ暗だった。
 明かりと言えば、ショーケースの中の明かりと、非常口の緑の光くらいのものだ。
 足元くらいは照らせるが、あくまでその程度しか照らせない。
 結局、主な明かりは自分たちの持つランタンくらいだ。

(……無気味なくらい静かね)

127 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:29:27 ID:gVHJHdVs0

 辺りに響くのは、私たちの足音だけ。
 それ以外は……まるっきり静かだ。シーン、と静まり返っている。
 そんな静寂を、鬼子ちゃんの声が打ち破った。

「鬼女さんは、何も持たなくても大丈夫なんですか? 確か、鞄の中に……」
「……大丈夫よ。必要な時に出すわ」
「でも、もし急に襲い掛かられでもしたら……!」
「――――大丈夫。きっと、ね」

 根拠なんてない。
 でも、そう信じていないとやってられない。
 少しでも、後ろ向きに物事を考えてしまうと、それに思考が引きずられそうで、怖くて。
 私、この状況を、まだ現実じゃないと、心の中で、思ってたのかもしれない。
 今まで、誰かに襲われることもなかったし、命の危機に晒された事もなかった。
 そんな状況じゃ、やっぱりぼんやりとした「現実」しか見る事はできない。
 そんな所に、さっきの血の痕だ。それで、私は一気に現実まで引きずられた。
 いや、ようやく目が覚めたと言った方がいいのかな……。

「まあ、何があるか分からないから……一応、持っておくわ。心配してくれてありがとう」
「どういたしまして……」

 道端に鞄を置き、片膝立ちで鞄を開ける。
 そして、中から……細長い円筒状の物体を取り出す。私の鞄を調べた時に見つけた、唯一の武器。
 ――――閃光手榴弾。

(いくら殺傷力がないからって……いざ持って見れば、あまりいい気分じゃないわね……)

 とりあえず、1つポケットに仕舞っておこう……。

「……待たせちゃったわね。さあ、行きましょう」

 探索に戻る……とはいえ、特に変わった事なんてない。
 依然として静かだし、誰かの足音が聞こえてくる訳でもない。

(……この辺りは贈呈品ばかりね。のりだったり、ハムだったり……変わり映えしないものばかりね)

 ふと、ある疑問が浮かぶ。
 ……ひろゆきは、一体どうやって「ここ」を用意したんだろうか?
 こんな建物1つ用意するだけでも、かなりの額のお金が必要だろうに。
 どこから、そんなお金を用意したのだろうか。
 ……と言うか、こんなことをお金だけでできるのだろうか?
 「禁止エリア」なる場所に入ると爆発する首輪。鞄に入っている武器。この街や、建物。
 どれも、ただお金を用意したからと言って、出来る事じゃない。
 技術力、科学力……その他もろもろの力がないと、こんなこと……。
 そもそも、「記憶を消す」って時点でとんでもないじゃない。
 そんな権力を、ひろゆきは持ってるって言うの?
 ……私が思ってる以上に、敵は強大だ。だけど、これくらいで挫ける私じゃない。

128 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:29:38 ID:gVHJHdVs0

(相手が強大であればあるほど、晒し上げた時にダメージが大きい……! 今からワクワクして来ちゃうわ!!)

 ……しかし、それをするためにはまだまだ準備が足りない。今は、もっと仲間を集めないと。
 細かい作戦を立てるのは、仲間を集めてから……。
 そうでないと、ダメだ。

「…………どうか、しましたか?」
「えっ?」
「いえ、随分悩んでいたようなので……」
「あ、ああ……ごめんなさい。少し、考え事……」

 どうやら、顔に出ていたようだ。
 ……いけないいけない。
 こんな所で、熟考は良くない。

「……少し休みましょう。歩き通しで、少し疲れたわ。……鬼子ちゃんは大丈夫?」
「私は大丈夫です」
「そう。体力あるのね……羨ましいわ」

 確かに、鬼子ちゃんの顔には疲労は見られない。
 多分、私の顔は散々な事になってるんだろうな。
 元々、そこまで綺麗って訳でもないけれど。というか、自分を綺麗と言うほど自惚れてはない。
 ……そんなこと、どうでもいい。
 こうやってゆっくり座っているんだから、さっきの続きでも……。



「ふうん、こんな所に人がいたんだ」






129 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:30:01 ID:gVHJHdVs0




「ふうん、こんな所に人がいたんだ」

 壁に寄り掛かりながら喋る。

「さっきはいなかったはずなのに……」

 スッ、と刃を呼びだす。
 2人との間合いは、まだまだ離れている。
 この距離では駄目だ。

「何よ、あの剣……一体、どこから……!」

 片方の女……結構歳食ってるみたいだ。どうでもいいけどね。
 とにかく、そいつは俺のを見て驚いている。
 そりゃそうだ、何も無い所から突然現れれば、誰だって驚くだろうよ。
 ……でも、もう片方の奴……和服の女か。
 そいつは、特に驚いた様子はない。

「鬼女さんは、安全な場所に隠れていて下さい」
「え、でも……」
「大丈夫です、私も後で行きますから」

 ふうん、俺を倒す自信があるのかな。
 あんな剣を軽々と持っているくらいだ、結構な使い手かもね。

「……へえ、一人で戦うつもり?」
「貴方なんて1人で十分です。それに、鬼女さんを危ない目に遭わせる訳にもいかない……っ!」
「その自信……すぐに、へし折ってやるからな!!」

 地面を蹴り、一気に間合いを詰める!
 その勢いのまま、脳天目掛けて刃を振り下ろす!
 …………が、相手も黙って受ける様なバカじゃなかった。
 手に持つ剣で、しっかりと俺の攻撃を受け止めている。

「……一撃で死ななかった事を後悔させてやるからな」
「そちらこそ、こんな殺し合いに乗ってしまったことを後悔させてあげます!」

130 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:30:20 ID:gVHJHdVs0

 お互い一度距離を取り、再度ぶつかり合う。
 ――――辺りに響く金属音。触れあう刃。一瞬も、気が抜けない。
 何度も何度も、不規則な金属音が響く。
 どの斬撃も、有効な一撃を入れるには至らない。
 巧みに防御し、手痛い一撃を食らわないように、攻撃を凌いでいる。
 お互い、一歩も引かない。いや、引いてしまえば、その隙に付けこまれる……!
 ……この勝負、長くは続かないだろうな。あれほどの剣を振るっているんだ、普通ならかなり体力を消耗する。
 しかし、それはこちらも同じ事。早く、決着をつけないとマズい。
 ――――その焦りが、俺の心に一瞬のスキを産んでしまったようだ。
 一瞬力の緩んだ手から、剣が弾き飛ばされる。

「くっ……!」

 吹き飛ばされた剣は回転した後、天井に突き刺さって消えた。
 グズグズしてる暇はない。
 すかさず、もう一度剣を呼びだす。

「……まだ負ける訳にはいかないんだからな!」

 さっきは上から。なら、今度は下から攻める!
 大きく踏みこみ、一気に振り上げる!
 しかし、これもまた防御される。
 さっきと違って、今度は、静かに鍔迫り合い……。

「……」

 ギリギリと、刃同士が擦れあい、音を立てる。
 汗が額から頬を伝い、地面へ落ちて行く。
 いつまでこれが続くだろうか……そう思っていた時だった。
 ――――何かが、こっちに飛んでくる。

「鬼子ちゃん、こっちへ!」

 その声に応えるように、相手は俺の剣を押し返し、一歩引く。
 ――――撤退するつもりか?
 そうはさせない、逃げれば背中ががら空きになるじゃないか!
 ……しかし、追撃は出来なかった。

131 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:30:31 ID:gVHJHdVs0

「――――!!」

 目の前が真っ白になるほどの、眩い光。
 これには流石の俺も、怯むしかない。
 ……視界は真っ白、何も見えない。
 それと同時に、奴らの足音が遠ざかっていく。

(……追いかけようにも、見えないんじゃどうしようもないからな)

 それから少し経って。
 視力が元に戻り、普通に見えるようになったころには、もう奴らはいなかった。
 ……くそっ。
 もう少しやりあっていれば、もしかしたら、殺せたかもしれないってのに。

「……ちぇっ」

 ……足跡も何も残っちゃいない。
 こんな状態じゃ、追いかけられやしない。

(……今度会った時は、ただじゃおかないからな!)

 ビシッ、と誰もいない方向にポーズをとった。
 ……はぁ。前途多難だなぁ。




【B-4・近鉄百貨店1階/1日目・黎明】
【モララー@AA(FLASH「Nightmare City」)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、ランダム支給品0〜2、モシン・ナガンM28(4/5)@現実
[思考・状況]
基本:優勝狙い
1:今度会ったら、タダじゃおかないからな!
2:殺し合いに乗る、強者はなるべく後回し
【備考】
※出典元により、自在に赤い刃を作り出す能力を持っています
※日本鬼子、鬼女の姿のみ覚えました。

132 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:31:00 ID:gVHJHdVs0




 久しぶりの全力疾走だった。
 いきなり走ったもんだから、心臓はバクバク、息は上がり過ぎてふらつくくらいだ。
 ……やっぱり、体力ないわね、私。

「あ、ありがとうございました。あのままじゃ、私……確実に押し負けてました」
「いいのよ、別に……鬼子ちゃんが助かってよかったわ」

 ブロック塀に手をつき、深呼吸。
 ……うん、少し落ち着いてきた。
 心臓の鼓動も、だんだん落ち着いてくる。
 ――――本当に、助かってよかった。
 もし、あそこで鬼子ちゃんが殺されでもしたら、私……。

「――――ああっ、鬼女さん、涙が……」

 気がつけば、涙がこぼれていた。
 もしかしてうれし涙?鬼子ちゃんの命が、助かったから、つい涙を。
 ……グイッと、掌で涙を拭う。

「行きましょう。もしかしたら、アイツが追いかけてくるかもしれないし」
「そうですね……さっきは鬼女さんのお陰で助かりましたが、今度は……」
「……そうね。さっきは偶然上手く決まったけど、今度は分からない……」

 そう。
 次は、上手く行くか分からない。
 今回は、たまたま上手く行っただけで、今度こんなことがあったら、どうなるか。

(とにかく……今は動くしかない。動いて、協力者を集めなきゃ……)

 闇の中を、手探りで進むような気分で、私たちは歩き出した。

133 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:31:17 ID:gVHJHdVs0



【B-4・近鉄百貨店付近/1日目・黎明】
【日本鬼子@創作発表】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:グラットンソード@FF11
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ミキプルーンの苗木@ミキプルーンコピペ
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼女さんと協力する
2:とりあえず、ここから離れる

【鬼女@既婚女性】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2、閃光手榴弾@現実×3
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼子を信頼、協力する。……とりあえず、ここから離れないとね
2:殺し合い打倒派の協力者を集める
※自分の本名がわからないため、仮名として『鬼女(おにめ)』と名乗ることにしました


≪支給品紹介≫
【閃光手榴弾@現実】
ピンを抜いてから5秒ほどで爆発し、目が眩むような閃光を出す。
それを利用して敵から逃れることも、相手にスキを作ることも可能。


---
仮投下終了です

134ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/24(土) 23:40:52 ID:OiVRwK1UO
仮投下お疲れさまです
特に問題点などはないと思います

135 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/25(日) 21:30:02 ID:iXtDNj8w0
投下いたしました。
どうも、ありがとうございました

136 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:03:10 ID:DTB9iB7E0
T-72神、ドクオ、801の姐さん、照英、麦茶ばあちゃんを仮投下します

137 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:03:59 ID:DTB9iB7E0
(あれは確か、イスラエルがレバノンへ進行してきた時だったか…、我々はその時シリア軍の下で戦っていて…)
「ちなみにさー、ドク君は受けの方が好み?」
「まだ言うかお前!…というか、なんだそのドク君って…」
(愚かなる敵軍のショット戦車たちを次から次へと撃ち抜き、結果奴らは撤退していってだな…)
「えっ、んじゃあ話を変えるよ…。えーっと、どっちかと言うと攻める方が…」
「話変わってねぇじゃねぇか!」

夜の集合住宅街を騒ぎながら歩く、二人と一台の姿があった
一人は不健康そうな色白の肌、ダルさと眠さの両立したような表情の独身ヒキニート、ドクオ
もう一人はルーズな服装にキツめの度が入ったメガネをかけた腐女子、801の姐さん
そして最後の一台は、黒光りする装甲と輝く砲身、カリスマ全開のソビエト軍主力戦車の神、T-72神
この統一感の欠片もない3人組(2人と1台)は、「ひろゆきを粛清する」という崇高な目的を掲げる、勇ましいグループ なのだ!!



……まぁ、俺は正直それほど乗り気じゃないんだがね…

さっきはT-72神の威厳と凄みに押されて力強く賛同したものの、時間が経つにつれて冷めてきた。正直マンドクセー…
一応は表向きではそんな目標で行動するものの、結局はT-72神が一人で引っ張ってる感じだ
姐さんはさっきから俺の臀部に向けて野獣の如き眼光を注いでくる。あきらめてねぇだろコイツ
おかげで俺は警戒態勢を続けざるを得ない。つまり、このグループは全く統制が取れてない
こんなグダグダなグループで大丈夫なのか? いいや、ダメな予感しかしない…

(時に諸君、君たちは既に自身の支給品は確認しておいたか?)

先程から一人で武勇伝を語っていたT-72神が、ふと思いついたように問いかけてきた

「もちろん。ここに来た時点で真っ先に確認したよ」
「あー…俺はまだだ」
「遅いよー。さっさと中身見とかなきゃダメだよ」
「ハァ? おめーが追っかけてこなきゃ、とっくに確認してたわ!!」
(801の姐さんの言う通りだ。いつ襲われるかわからない、故に武器は迅速に確認すべきだ。もっと注意せよ)

クソー、おまいら言いたい放題言いやがって…
不服こそあるが、まぁ確認するに越したことは無い。どうせ正論ですよ
しぶしぶと足を止めてデイバックを開く。俺にも拳銃とかが入っていれば心強いのだが…



…アイスピックとうまい棒が入っていた。ふざけんなチクショウ
百歩譲ってアイスピックはまだ許そう。姐さんの拳銃に比べて圧倒的に心細いが、凶器には成りうる
うまい棒? 何を考えてうまい棒が? しかもめんたい味。こんなん支給するな
他に何か無いのか…? 他に何か…

………無かった

ほかは食料、水、地図、ランタン、PDAしか入っていない
流石に落ち込まざるを得ない。なんでこう俺にはいつも不平等が回ってくるんだ

「ドク君元気だしなよ。ほら、うまい棒にも穴はあるじゃん。ね!」
「うるせぇよなんだその悲しい慰め方は! 拳銃持ってる奴に言われたくねぇ」
(そう気を落とすことはありません。わたしも弾を全部奪われているので丸腰ですよ)
「アンタの場合、キャタピラーで踏んづけるだけで十分やれるじゃねえかぁ!」

ダメだもうやってられん…余計に気分が沈んだ…
せっかくPDAがあるし、もう2ちゃんでも見るとするか…

ドクオはPDAの電源を入れ、インターネットに接続しようとした
だが、801の姐さんは画面を見て横槍を入れてきた

「ちょい待って、今メニュー画面になんか無かった?」
「お前平然と横から画面覗いてんじゃねー!」
「いやだから、あたしの方には無かったアプリがあったんだってば」

言われるがままにメニューに戻ると、『参加者位置探知機能』なるアプリケーションがあった
試しに起動させてみると、中央にマーカーらしきものが3つ置かれた簡易な地図が表示された
名前の通りだとすれば、他の参加者の位置を見ることができる機能なのだろう
おそらく、この3つ分は俺らを表している

「それがメインの支給品なんだよ、きっと。いいのを当てたじゃん〜」
(なるほど…敵が近づいてきたら隠れて様子を伺うことが出来ますね…)

いや、アンタのサイズじゃ隠れられねぇだろ…
内心でそう思いながらも、面倒なのであえて口には出さないでおいた
画面に目を戻して機能を見てみると、画面下の縮尺バーをいじることで範囲を広げられることがわかった
縮尺を半径500メートルに広げたところで、2つのマーカーが目に付いた

138 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:04:18 ID:DTB9iB7E0
「おい、さっそく少し離れたところに二人ほどいるようだぞ」
(ほう、でしたら積極的に接触しましょう)

…たった今、様子を伺うって言わなかったっけ? いや、別に構わないけれども…





団地区域の路地を歩く二つの人影が見えてきた
ドクオと801の姐さんは息を潜めて様子を見た
なお、T-72神は少し離れた場所で待機している
曰く(いきなりわたしが行くと、相手を刺激する恐れがある)だそうだ

やがてはっきりと姿が見えてきた
一人は体格のいい男性、もう一人はごく普通のお婆さんと言った感じだ
長年引きニートやってたせいでコミュ力はあまり無いが、どちらも善良そうに見てるし大丈夫だろう…

「ねぇドク君…あれ、照英さんだよね?タレントの」
「何!?…本当だ。まさか芸能人まで巻き込まれてるとは…」
「照英さんって、結婚してたよね?既婚男性だったよね?」
「あぁ、確かな…ってお前何を考えて…」

と言ったところでドクオはゾクリと異様な殺気を感じた
殺気の発生源はもちろん801の姐さんだった
照英とドクオの姿を交互に見ると、目をギラリと光らせた

「喪男オンリーもいいけど、こっちもより『禁断の恋』って感じしない?」
「は…?いや、あの、こっちって何ですかねぇ…はは…まさかお前…」

ドクオの想像通り、801の姐さんの脳内ではカップリングのシナリオが完成していた


【毒男攻め×気団受け】

照英『や、やめるんだドクオ君!僕には妻と二人の子供がいるんだ!あぁっ!』
ドクオ『フッ、口ではそんなこと言っても、体は正直なようだな…』
照英『うあっ、そっ、そこだけは…』
ドクオ『ほらほら、俺のようなヒキニートに襲われる気持ちはどうだ?ん?どうなんだ?』



―――テ ラ モ エ ス !!―――



「ちょっ…てめぇ止め(ry ふげぇっ!?」
801の姐さんはドクオを掴み、ダンッ!と地を蹴って、照英へと飛び掛かった
照英と老婆が気付いて振り替える頃にはもう既に目の前に…!
そのまま、逃げようもがくドクオを照英へとぶん投げた
「うぐっ!?」
「ぐええぇぇ!!」

重なりあう体…まさに、既婚男性と独身男性の衝撃的な出逢い…
今、二人の顔はほんの数センチの距離…それはまるで互いの息遣いすらが聞こえるような…

「さぁ!このまま勢いでガッチュンするのだ!さぁ!」
興奮しながら嬉々として叫ぶ801の姐さん
もちろん男性陣二人は抗議の声をあげる

「ゴルァこの変態女!いきなりなんてことすんだ!!」
「い、いったいなんなんだ君らは!?」
「シチュエーション的に照英さんは受けね!よしドク君攻めるんだ!せーのっ!」

ダメだこいつ…まったく耳に入ってねぇ…
こんなときに暴走しやがって、最悪な接触になっちまった…

今度は飛んできた何かがカツーンと頭に当たった
な、なんだ…?と飛んでくる方を見ると、照英と一緒にいた婆さんが麻雀牌を俺と姐さんに投げつけてきた

「こ…これ! 照英殿から離れるのじゃ!」

痛い。地味に痛い。早く誤解を解かないとこじれる一方だ
そこで、そんなごった返した状況を沈める一喝が響いた


(落ち着きなさい!人の子たちよ!!)

139 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:04:41 ID:DTB9iB7E0

\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\


(さぁ、出会い頭に暴走したことを恥じて、彼らに許しを請いなさい)
「はぁい、すみませんでした」
(私の同志が非礼を行い、申し訳ありません)

騒ぎを聞きつけてかけつけたT-72神のおかげで、その場はなんとか収まることができた
流石神だ、頼りになる。こいつになら掘られても…いや、姐さんの前でそんな冗談考えるのは止めよう…

「あっ、僕は別に大丈夫ですよ。悪気があった訳では無いようですし」

照英は親しみのある笑顔で許した。…まぁ、悪気は無くはないとは思うがな…姐さんは…
お婆さんの方は仏頂面しているが…やはりさっきのは心臓にも悪いだろうしな…
一段落着いたところで、T-72神はオホンと咳払いをして話しだした

(本題に入る。照英、そしてご婦人よ。私と共に憎きひろゆきを粛清しに行かないだろうか?
 このようなふざけた殺し合いは破壊しなくてはいけない! 共に戦おうではないか!)

威厳全開で頼もしさに溢れた口調でそう言った
だが照英はT-72神の言葉に即答はせず、少し考えてから口を開いた

「えっと、僕も君たちと一緒に行動したい。…でも、僕にはひろゆきを粛清するのは無理だと思うんだ
 ただのモデルである自分が武器を持って闘うなんて…やっていける自信が無いんだ
 腕力はそれなりにあるけど、兵隊のような訓練はしてないし…何よりも、正直戦うのが怖いんだ…」

ため息をつきながら彼はポツリと自らの心情を明かした
T-72神はそれに対し、丁寧に、慈愛のこもった言葉で返す

(構わない。わたしは戦いを望まない者に、戦いを強制するような事はしない。
 来て下さい。わたしは進んで斥候に立ち、平和を望むもの達のために戦うのだから)
「ありがとう。僕なんかが役に立つかはわからないけど…出来る限り力になりたい
 …あっ、お婆さんの意見を聞いてなかったけど…大丈夫ですか?」
「…異論はない。多くの人で集まっいた方がより安全じゃからな」

照英と婆ちゃんは賛同し、彼らも粛正組の3人と共に行動をすることとなった
T-72神は、まるで同志たちの姿を見回すかのように砲身を動かすと、力強く宣言した

(決まりだ。諸君、改めてよろしく頼む。わたしたちは協力し、この殺し合いを打破して見せるのだ!)


【A-3・B-3との狭間付近の公団住宅街/1日目・黎明】


【T-72神@軍事】
[状態]:損傷無し、燃料満タン、カリスマ全開
[装備]:125ミリ2A46M滑空砲(0/45)、12.7ミリNSVT重機関銃(0/50)
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:人民の敵たるひろゆきを粛清し、殺し合いを粉砕する
1:801の姐さん、ドクオ、照英、麦茶ばあちゃんと共に行動。照英と婆ちゃんは保護の対象
2:弾が欲しい…。

※制限により、主砲の威力と装甲の防御力が通常のT-72と同レベルにまで下がっています。
※制限により、砲弾及び銃弾は没収されました。


【照英@ニュー速VIP】
[状態]:健康、不安
[装備]:金属バット@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、冷蔵庫とスク水@ニュー速VIP、サーフボード@寺生まれのTさん
[思考・状況]
基本:殺し合う気は無い。皆で生きて帰る
1:T-72神達について行く
2:いざ闘うとなると、やっていける自信がない…
3:きっと、誰も死なないで済むんだ……


【麦茶ばあちゃん@ニュー速VIP】
[状態]:健康、不安
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、麻雀牌@現実、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合う気なんぞ無い
1:T-72神達について行く。
2:全く、脅かしおって…

140 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:04:57 ID:DTB9iB7E0
「…何よりも、正直戦うのが怖いんだ…」


照英が自分たちに打ち明けた弱音…それがドクオの心に突き刺さっていた
………安易に「俺も闘う!」なんて言ってた俺がバカみたいじゃねえか………
照英さんも、婆さんも、さっきまでの俺らみたいなテンションとは全く違っていた
こいつらは「殺し合い」を悲しい事態として真摯に考えて、受け止めてる感じだ
…俺は深く考えることから逃げていた。自分に直面している「死」について考えることを避けていた
照英さんは違う。体格がよく、家族に恵まれた立派な男は、恐怖と向き合って答えを出しているんだ

なんか、人間としての格の違いを見せられた様な気がした
自分は彼に比べて、なんていい加減な人間なんだと痛感した

あぁ…マンドクセー…マンドクセーマンドクセーマンドクセー…
立派な人間を見ると、自分の惨めさが浮き彫りになる気がして、気分が沈む

「ドク君、せっかくいい感じの人が来たのに顔が暗くない? 気分でも悪いの?」
「うるせぇな。ほっておいてくれよ」
「あ、でもなんかその目、レイプ目みたいでそそるね…イイヨイイヨ」

うぜぇ…ホントこいつ人生楽しそうだな…
ドクオはニヤニヤする801の姐さんを冷めた目で一瞥して、ため息をついた


【ドクオ@AA】
[状態]:軽いウツ状態
[装備]:アイスピック@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】、参加者位置探知機能搭載)、うまい棒@現実、
[思考・状況]
基本:死にたくない。童貞と処女は死守する
1:T-72神、801の姐さんたちと行動する。
2:俺なんてどうせ…
3:801の姐さんを警戒。(貞操的な意味で)


【801の姐さん@801】
[状態]:健康
[装備]:グロック17(16/17)
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本:生き残って同人誌を描く
1:T-72神、ドクオたちと行動。
2:機会があればドクオにホモセッ○スさせる(ドクオ×照英なんて良さそう)

141 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:14:49 ID:DTB9iB7E0
以上です
仮タイトルは「8→0→1 完成でスーパー戦隊のブルーとピンクタイム」
長いかな

修正点、問題点などがあればご指摘お願いします

142ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/04(火) 20:30:50 ID:tQtiBz/AC
仮投下乙です
問題ないと思います

143 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:26:03 ID:2kPLYxN60
やる夫、エルメェス、原住民を仮投下します

144 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:26:22 ID:2kPLYxN60
#aa(){{{
      / ̄ ̄ ̄\
    / _, 、_ \
   /  (●)  (●)  \
   |    (__人__)    |
   \    ` ⌒´    /さっぱりおんにゃのこに会わないお…どうなってるんだお…
}}}

やる夫はトボトボと歩いていた
先ほどの長身の女性を見かけて以降、おんにゃのこどころか人っ子一人見かけなかった
やがて歩いているうちに彼のメタボ気味なボディーを支える足に疲労が溜まってきた

「もう疲れたお…一歩も歩けないお…」

やる夫はだらしなく道端でへたりこむ
水でも飲むかとデイバックを開けようとした、…その時視界にあるものが映った
………ハイヒールだ!
少し先に電灯に照らされている片足のハイヒールを発見した

―――おんにゃのこの予感…!

足の疲れなど即座に吹き飛んだ
彼は立ち上がってハイヒールへ全力疾走、ビーチフラッグの要領で飛び付く
そして、顔の前に構えると鼻で思いきり深呼吸、その魅惑の香りを堪能した
なんともご満悦な表情。非常に見苦しい。親が見たら泣かざるを得ないだろう

「きっと近くに持ち主がいるはずだお!」

ハイヒールを片手に走り出す
まだ見ぬおんにゃのことの出会いを求めて

殺し合いに一人放り出されて恐怖にうち震える女の子
そこへ通りかかったやる夫は荒々しく獣のように襲いかかる…
最初は嫌ぁ嫌ぁと抵抗するものの、やる夫☆テクニックによって徐々に快楽に呑まれ…

妄想は止まらない、心臓は期待と興奮で大きく高鳴っている…!

もう片方のハイヒールを発見!近い、近いぞ!
やる夫は走った。風のように走った
しばらくは特に曲がり角もなく、ひたすら真っ直ぐな道が続いていた
やがて突き当たりの角を曲がった所で、何かにつまずいて転んだ

「うわっ!」

ちょうど倒れた位置は、そのハイヒールの持ち主の胸の上だった
なんとも言えぬ温かく、柔らかな感触…
おんにゃのこに会えたよ、やったねやるちゃん!





さて、ここで問題です
このハイヒールの持ち主の女性はいったい誰でしょうか?
(ヒント:『エルメ』から始まる)

























正解は………エルメスでした!

145 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:28:04 ID:2kPLYxN60
「ぐちゃっ…」とした妙に柔らかな感触を感じ、なんだろう?と体を起こして周りを見回した
道路から周囲の外壁にかけて大量の血液がぶちまけられており、強烈な血の臭いが嗅覚を刺激した
肉体は無惨に食い千切られており、臓器の黒やピンク、砕かれた骨の白が血の赤とマッチして毒々しい色合いを見せている
そして、自分がさっきつまずいた原因は、側にゴロンと転がっている彼女の半分潰れた頭部
もはや生前の美しかった時の原型をとどめておらず、それでもなお恐怖に歪んだ表情だけはひと目で伺うことが出来た

#aa(){{{
       ____
   /::::::─三三─\
 /:::::::: (   )三(  )\
 |::::::::::::::::::::(__人__)::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
  \:::::::::   |r┬-|  ,/
  ノ::::::::   `ー'´  \
}}}

「ンギャアアアアアアア!!!」

彼の悲鳴は町中にこだました



¶¶¶¶¶¶



「なんだ…?今悲鳴のようなモンが…?
 おい、誰かいるのかーッ!」

エルメェス・コステロの脳内は大混乱していた
普通の混乱ではなく、大混乱

彼女は先刻、グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所の中で目が覚めた
そして突如手に表れたシールの効果に気付き、訳がわからないと言った様子で収容所を出た直後だった
本来ならそこには廊下が広がっているはず…
しかし自分は何故か大部屋にいて、妙な東洋人に『殺し合いをしろ』と言われたのだった

普通ならこんな現象有り得ない…頭でも打って記憶が飛んでるのか…?
1492年、新大陸発見、コロンブス…
#著作権の関係で削除# の誕生日は11月18日…間違いないはずだ…

シール以外にもう一つ、ここへ飛ばされてから自身の身に異変を感じていた
先ほどから髪の中から何かがボロボロと落ちているのだ
と言っても、別に髪の毛が抜け落ちているわけではない
毛の量は一向に減らないし、何より形状が¶と実に奇妙なものになっている

#aa(){{{
    △△△△△△△
  ¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶
¶¶¶¶¶¶¶""""""¶¶¶¶¶¶¶¶""
000◯◯0 _,,,,, ▼,,,≡0◯
¶¶¶¶ ¶ ¶ 〃 _\ /≡≡|¶ ¶
¶¶¶¶ ¶ ¶   〈 (・)》 ((・)〉|¶ ¶
¶¶¶¶ ¶ ¶  "" ̄≡|≡≡|¶ ¶    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
¶¶¶¶ ¶ ¶≡ / ... |||≡≡|¶ ¶   <いったいあたしの身に何が起こっているんだ…?
¶¶¶¶ ¶ ¶ 《    .ヽ 〉 ≡|¶ ¶     \___________________
¶¶¶¶ ¶ ¶  ゛ γ⌒〜≡¶ ¶|
¶¶¶¶ ¶ ¶    ..L_」≡/¶ ¶
 ¶¶¶ ¶ |   .┗━┛ ¶ ¶
 ¶¶¶ ¶ \   ┃≡/ ¶ ¶
 ¶¶ ¶   ̄ ̄ ̄ ̄
}}}

手からはシール、頭からは¶が出てきて、挙げ句バトルロワイヤルだなんて、冷静で居られる訳がない

とにかく、近くで悲鳴が聞こえた
何はともあれ、誰かに会って話をしないといけない
ましてや悲鳴が聞こえるんだ、行くだけの価値はあるだろう
その方角へ向けて、エルメェスは駆け出した
彼女の通った道にはまるでエノキのように大量の¶が生えていた



¶¶¶¶¶¶¶¶¶

146 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:28:20 ID:2kPLYxN60
目の前の惨状は完全にトラウマものである
やる夫は目を白黒させながら恐怖にうち震えた
転んだはずみで閉め忘れていたデイバックから何かがカンカララと落ちたようだが、そんなことには気が回らなかった

「は、早くここから離れるお」

とにかく赤黒い光景を視界から追いやりたかった
腰を抜かしており、うまく立ち上がれず、四つん這いで惨状に背を向ける
そのまま立ち去ろうとしたのもつかの間、先ほどの死体の感触を思いだして嘔吐してしまう
オォエーッ…
吐き気を抑えようと深呼吸する。血の臭いがひどいので、なるべくハーハーと口だけで呼吸する
#aa(){{{
__
_/___ヽ
(´・ω・`)
(     )
`u-u'
}}}

ふと、顔を上げると誰かの足が視界に入った
そこにいたのは、なんとも哀愁を漂わせた表情の小柄な少年だった
少年はやる夫の姿とエルメスの亡骸を見て、表情を変えぬまま尋ねた

「これ、君がやったの?」
「ち、違うお!知らないお!」
「でも、君の体は血だらけだし、凶器のチェーンソーも落ちてるし…」
「えっ、チェーンソーって、何の…?」

転んで接触したせいでやる夫の体には血がべったりと付いていた
さらに少年が死体のそばを指差す
恐る恐る振り返ると(なるべく死体をまともに見ないように)デイバックから落ちた支給品チェーンソーが、
ちょうど真っ赤な水溜まりに転がり、刃の箇所を絶妙な具合に染めていた
やる夫は生々しい凶器にぎょっとした。というか今まで確認していなかった。間抜けにもほどがある
少年はやる夫がやたらきょとんとしていることに違和感を覚えたが、まさか支給品を未確認だとは夢にも思わない

「ここまでやる必要は無かったんじゃない?ぐう畜だなぁ…」
「違うお! やる夫はただ通りかかっただけで…」
「じゃあそれまで何をしていたんだい?」
「そりゃあ、死ぬ前にどうせならレイプしようと…」

パニックのあまり、本音を漏らしてしまう。しかもこの表現では誤解は免れない
あわてて口を押さえたが、相手の目は既に完全に疑いから確信へと変わっていた

「そうかそうか、つまり君はそんな奴なんだな」

表情を変えずに淡々と言われたこの言葉には、明らかに軽蔑や侮蔑の感情が込められていた
それはかつて、2chで言われたどんな暴言よりも、深々とやる夫の心に傷を付けた
怖い、怖い、見るな、…そんな目で俺を見ないでくれっ!!

「ウワアアアァァァン!」

やる夫は無理やり立ち上がり、少年にぶつかり突き飛ばして逃走した
#aa(){{{
        ____
      /      \
  o ○ o´  _ノ  ヽ、_ `o ○ o
.。゚   / o゚/⌒)  ((<))゚o\   ゚ 。なんなんだお!みんな怖い人ばっかりだお!
    | 0 / /(__人__)'  0 |    やる夫はただ、死ぬ前におんにゃのことウフフアハハしたいだけなのに!
    \ / /  `― '     /
}}}

被害者面をして、泣きながら路地を走っていった

147 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:28:34 ID:2kPLYxN60

¶¶¶¶¶¶¶



「まったく、危険な人もいるもんだ…」

なんでも実況Jの原住民は落ち着きを保ったまま、パッパッと体を払った
さっきの奴にぶつかった時に、べたりと血を付けられた。迷惑だなぁ
原住民は悲惨な死体を見ても、殺人鬼を見ても、一切恐いとは思わなかった
何故なら以前に、もっと恐ろしい光景を見たことがあったから

数年前のなんJ大虐殺…
多くの仲間達が、侵略者たちによって虐殺されてしまった
バットで殴られ、踏み潰され、縛り上げられサンドバッグにされ、ファックされ、火で焼かれ、ロードローラーで引き潰され…
…みんなみんな、いなくなった…

今はやきうを教えてくれたりして、お兄ちゃんたちとも上手くやっているけれど…
…だけど、彼らがやったことは僕は一生忘れない
いつか必ず僕たちの秘密基地を取り返すんだ…

原住民はとりあえずチェーンソーを拾い上げた
これも一応使わせてもらおうかな
積極的に誰かを殺す訳じゃないけど、身を守る武器にはなるし…

その時、ザッと言う音がした。誰か来たのだ
顔を上げるとそこにはラテン系の女性が立っていた

「…これ、お前がやったのか?」

女性は驚愕した表情で訪ねてくる

「違うよ。さっきここにいた変な男がやったんだ」
「嘘だ! だったらお前が手に持ってるソイツはなんだ!?」

そう、今自分は血の付いた服に、チェーンソーを持って死体のそばに立っている「明らかに怪しいヤツ」だった


…あぁ、面倒なことになったなぁ…



【D-1 /1日目・黎明】

【やる夫@ニュー速VIP】
[状態]:中傷、陰部丸出し、血が付着
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2(未確認)、ハイヒール一足@現実
[思考・状況]
基本:性欲のまま行動する
1:おまいら怖いお!
2:おんにゃのこを探す
※やる夫の悲鳴が周囲に響きました
※チェーンソーを落としました


【エルメェス@少年漫画】
[状態]:健康、エルメェス菌散布
[装備]:なし、スタンド『シール』
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:まずは誰かと接触
1:目の前の少年を問い詰める
※エルメェス菌が髪の毛から散布しています。触れると感染します
※エルメェス菌の感染症状などについては次の書き手の方にお任せします


【原住民@なんでも実況J】
[状態]:健康、血が付着
[装備]:チェーンソー@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:????
1:誤解を解かないと…なんかダメそうな気がする…
2:やる夫(名前未確認)を警戒

148 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:29:04 ID:2kPLYxN60
以上です
問題点、修正点などがあればご指摘お願いします

149ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/10(月) 18:08:02 ID:xDoJoCEwC
乙です
特に問題ないかと

150 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:47:47 ID:2ToxNb.60
夜神月、ダディクール仮投下します

151 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:48:06 ID:2ToxNb.60



(はぁ……どうして、こんなことに……)

 ……まさか、あんな奴の言いなりにならなければならないなんて。
 屈辱ではあるが、あれ――――A-10神を破壊する術が現時点では何も無い以上、どうしようもなかった。
 あれを破壊しうる力を持つ武器……対戦車砲でもあれば、グダグダ言われる前に破壊していただろう。
 でも、そんな物はなかった。結局、従うしかない。
 こんな物で立ち向かっても、ダディクールみたいに頭を撃たれて死ぬだけだ(こいつは死ななかったが)。
 どっちにしろ、今は……表面上だけ、A-10神に従っておこう。
 そう思い、僕は病院を離れたのだが……。

「工場はこっちの道で合っているのだろうか? 標識も何も出てないが……」
「ええ、そうですね……」

 離れたら離れたで、今度はこいつがついてくる事になった。
 僕の少し前を、テクテクと歩いている奴……ダディクール。
 妙にイラッと来る笑顔と、何とも言えない空気感のおかげで、ただ歩くだけより、余計に疲れる。
 邪魔な奴だ……。全く、どうにかできないものか……。
 ――――待てよ。
 さっきは、たまたま妨害が入ったから上手く行かなかったけれど、今ならいいんじゃないか?
 丁度いい事に、辺りには誰もいない。
 ここならうまく行く……。そう思った時。

「そうだ、ライト君だったか? ちょっと、これを見てくれないか」

 急に振り返り、地図を指差し何やら僕に尋ねて来た。
 ……チッ、もう少しだったのに。
 まあ、当の本人は僕の行動に全く気が点いていないようだったが。

「……どっちがいいと思う?」
「何がです」
「工場に行くと決めたはいいが、工場は2つあるようなんだ。どちらに行こうか迷ってしまってね」

 確かに、地図には工場が2つ載っている。
 ……砂糖工場と、ただ「工場」と記されているだけの工場。
 何故、こんな所に砂糖工場が……。

「……武装を探すのなら、こっちの……E-4の工場に行くべきですね」
「そうか。……だが、こちらの砂糖工場も調べてみないかい」
「どうしてです? 砂糖工場なんか調べても……」
「もしかしたら、役に立つ物があるかもしれないだろう? 地図によれば、砂糖工場の方が近いし。
 念の為に、行ってみようじゃないか」
「…………分かりました。一応、行くだけ行ってみましょう」

152 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:48:23 ID:2ToxNb.60

 まあ、もしかしたら、この状況を打開出来る何かがあるかもしれない……。
 それを考えると、調べるのも悪くはない。……A-10神を倒すほどの物が、ないとは言い切れないし。
 それに、あまりA-10神の武装になるものを、早く見つけられても、それはそれで困る。
 武装を見つければ、間違い無くダディクールがA-10神に持って行こうとするだろうし。
 ……とにかく、今は行ってみることにするか。









「よいしょ……っと……」

 門を乗り越え、砂糖工場の敷地内に侵入する。
 最初は、門が施錠されていたせいで、何らかの警備システムがあるのではないかと疑っていたが……。
 ダディクールが全く警戒せずに門を乗り越えて、何も無かった事から、特に何かある訳では無いと悟った。
 ……地味に、始めてこいつが役に立った瞬間だった。

「どうした、もう疲れたのかい? 若いのに体力無いんだな」

 悪いが、僕はお前と違って慎重なんだよ。
 考えも無しに突っ込むほど、愚かじゃない。

「さあ行こう。工場内を調べるんだ」

 ……いつからお前が主導権を。
 まあいいさ……今は、従っておこう――――演じるんだ。従順な男を。
 有能なメンバーを、集めるまでは。

「どうした、行かないのかい」
「……今行きますよ」

 そう言って、僕らは工場の入り口へ近づく。
 ……しかし、ダディクールは扉を開けようとしない。何故だ。
 そう思っていると、奴は僕に、何かを期待するような目で見て来た。
 まさか、僕が代わりに開けろって言いたいのか?何で僕がそんなことを。
 こうやって見ただけでは分からないが、もしかしたら……殺し合う気のある奴が、いるかもしれない。
 そのリスクがあるのに、碌に武器もないこの状況で、僕にやれと言いたいのか。
 ……眉間を撃たれても死なないような、お前が行けばいいんじゃないのか?

「…………僕が開けるんですか?」
「そういう訳じゃない。ただ、俺が開けるってのが、ちょっと躊躇われるだけさ」

153 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:49:04 ID:2ToxNb.60

 それって、結局の所「やりたくない」って事じゃないか……。

「だから、頼むよ」
「……」

 どうしようもないな、こいつは。

「分かりました、僕が開けますよ……」
「助かるよ」

 くそっ……。
 出来る事なら、舌打ちでもしたいくらいの、最悪な気分だ。
 しかし、言ってしまったものはどうしようもない。
 スタンガンを手に、できるだけ警戒してドアノブを捻り、ドアを押し開ける。

「…………」

 ……中はひんやりとした空気で満たされている。
 誰も、いないのか?いや、それはまだ分からない。
 どうやら、ここは倉庫だったようだ。
 コンテナやら何やらが大量に置かれている。

「……誰もいないようです。ダディクールさん、先に行って下さい」
「ああ、分かった」

 何者かに襲い掛かられてもいいように、ダディクールを先に行かせる。
 ……何で、こういうのは普通にやるんだ。
 ただ扉を開けるより、こっちの方が危険なはずだろう。
 ……まあ、こいつならちょっとやそっとじゃ死ななそうだが。
 そうこうしている内に、バタバタとダディクールは中に入っていく。
 少しは警戒しろよ……。

「…………誰もいないな」

 そんなこと分かってる。
 お前みたいにバタバタと入っていけば、そうなるだろう。
 命を狙う誰かがいたなら、その時点で襲われるだろうし。
 とにかく、今の所人はいないようだ。……また、こいつが役に立ったな。
 それでも、一応身構えて倉庫に入る。
 入った後に、後ろ手で扉を閉めて、ついでに施錠しておく。
 建物はこれだけじゃない。他にも入り口はありそうだが、とりあえずはこれでここからの侵入を阻止出来る。
 もちろん、力ずくで壊されてはどうしようも無いが。
 この扉は鉄製のようだし、そう簡単には破られはしないだろうけれど。
 ……A-10神みたいな化け物が来なければの話だが。

「さて、ここからは二手に分かれてここを調べよう」
「えっ、二手に別れる? ……それは、同意しかねますね」

154 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:49:29 ID:2ToxNb.60

 流石に、これには異を唱える。
 こんな状況で、単独行動なんて出来るはずがない。
 特に、ろくな武器も持たない現段階では。

「どうしてだい。二手に分かれて調べた方が、早く調べられるだろう」
「何でって……こんな状況で、1人で行動するなんて危険すぎるでしょう」
「大丈夫だ。この分だと、ここに人はいなさそうだしな」

 そう言って、グッと親指を立てる。
 こいつのこの自信はどこから沸いてくるんだ。

「そんなこと、まだ分からないじゃないですか」
「…………仕方無いな。そこまで言うなら、一緒に調べよう」
「……」

 これじゃ、まるで僕が駄々をこねてるみたいじゃないか。
 僕は間違ってないって言うのに。
 ……全く、何なんだ、こいつは。

#aa(){{{
    /\___/ヽ
   /''''''   '''''':::::::\
  . |(●),   、(●)、.:| +
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::| +  <さあ行こう。時間は有効に使いたいからね。
   \  `ニニ´  .:::::/     +
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
    |  \/゙(__)\,|  i |
    >   ヽ. ハ  |   ||
}}}
「……はい」

 ……。
 我慢だ、我慢しろ。
 ――――でも、そろそろどうにかしないとな。

155 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:50:28 ID:2ToxNb.60


【D-4・砂糖工場・倉庫/一日目・黎明】
【夜神月@AA(DEATH NOTE)】
[状態]:健康、ダディクールにイライラ
[装備]:スタンガン@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、zip画像ファイル@画像も張らずにスレ立てとな
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:出来ればダディクールを排除したい……早い内に
2:脱出目的を持つ参加者か、A-10神を倒せる善良な参加者を探す
3:一応、ダディクールと共にA-10神が使える兵器を探す

【ダディクール@AA】
[状態]:眉間に銃痕(絆創膏で処置)、クール
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2、ファービー@現実
[思考・状況]
基本:クールに行くぜ
1:砂糖工場を探して、A-10神が装備できる兵器を見つける
2:常にクールなダディを貫く
※バカに付ける薬@コピペを消費しました
※何故か生命力が異常に高いです。決して不死身ではありません

---
仮投下終了です
問題点等あれば、ご指摘お願いします

156ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/18(火) 21:30:19 ID:iGt5N90c0
仮投下乙です
特に問題ないと思います

157 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/19(水) 23:07:51 ID:Q1ncQvuw0
投下いたしました

158 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:24:07 ID:YW3ObjZ60
やらない夫、加賀を投下します

159 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:26:12 ID:YW3ObjZ60
ぼーっと甲板で横になり、夜空を見上げる
漆黒の空間に星々が強く輝き、月が冷たく照らしている
都会で見えるような、紫がかった空とは大違いだな…

って、俺はなんだ? ポエマー気取りかよ
やらない夫はため息をつく
まぁ…不安な時に限って妙に冷静になるものだし…

やる夫…あいつはどうしてるんだろうな…
まさか気が触れた奴に襲われて、早々にあぼーんなんてことは無いだろうな?
あいつのことだ、こういう事態じゃ、怯えて隠れてるに違いないだろうな、常識的に考えて…

勿論やらない夫はこの時、やる夫がハイヒール片手に妄想しながら走り回ってるとは知る由もない

何度目かのため息を着いたところで、加賀の声が聞こえた

(目的地が見えてきましたよ)
「何っ、もう着くのか?」
(これでも普通よりもだいぶ遅いですよ、3ノット程度ですかね)
「…すまん、そういう単位とか詳しくないからわからないな…」
(1ノットは1時間で1海里進む早さ…1852mですね。わかりやすく言えば3ノットは時速5.5kmくらいです)
「なるほど、把握した。1時間もあれば流石に着くわけだな」
(距離的には1時間かかりませんけどね。方向を変えるのが大変なんですよ、船は)

やらない夫は身を起こして、陸地を眺めた
街頭の白い明かりが水面に反射してキラキラと光っている
だが、建物等の灯りは点いていないようで何が建っているのかはよく見えない
さっさと夜明けが来ないだろうか…こう暗いと物騒で仕方がない

ようやくたどり着く…と思った時だった
ンガガガガガッ!!!と鋭い音が響き、船が大きく揺れた

「な、なんだ…!? 今の…」
(………座礁してしまいました…これでは動けません…)
「マジかよ! どうにかならないのか?」
(私自身の力ではどうにも…あぁ、パラオ港以来ですよ、座礁なんて…)

緊急事態じゃないか…これでは陸地にたどり着けないぞ…
海に飛び降りるとしても、結構な高さだぞこれ…
飛び込みなんてやったことないし、長い間泳ぎなんてしてないし…どうするよ

「この船にボートとか付いてたり…」
(してませんね…空母ですから本来ならば航空機なんかも置かれているんですが…
 完全に空っぽです。スカスカ過ぎて淋しいくらいです)

マズイな…このままじゃ二人共動けねぇぞ…
なにか打開する策はないのか…?ロープか何かあれば…

…そうだ、支給品! 支給品をうまく使えば…

やらない夫はデイバックの中身を思い出す…
薙刀、「ZUNビール」と書かれたビール瓶、プレイステーション3だったかな…

「…ってダメだわ…使えそうなものがない…」
(わたしのデイバックには何か入ってませんかね)
「…探さないとダメだよな…」
(そうですね。船内は閑散としてるので、すぐ見つかるんじゃないでしょうか)

まぁ…な。と思いつつもやらない夫は周囲を見渡してげんなりする
やれやれ、結局このだだっ広い船を探索することになるのか…
全長は200mくらい…階数は未知数…こいつは相当骨が折れるな…

「よし、さっさと探してくる」

そう言ってやらない夫はランニングで船内へと向かっていった

160 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:26:38 ID:YW3ObjZ60
#aa(){{{
    ―― [] []
   | l ̄ | |     / ̄ ̄\
   |_| 匚. |   /   _ノ  \
      | |   |    ( ●)(●)
       |_|   |     (__人__)
           |     ` ⌒´ノ
 [] [] ,-,     |         }
   //     ヽ        }
 匚/    / ̄ヽヽ     ノ      ,.r-、
       /           ⌒\  P{三)
      /ヽ/^y       /\  \/\ノ
     (、、J /       /  ヽ /  /
        /      /    \___/
从从    (       /
Σ  ヽ、 __へ     \
Σ  /  ̄   \    \
Σ_ノ \、__ / \    ヽ
            \    〉
            /   /
            /   /
           /  /
           \二フ
}}}

―――30分後…
#aa(){{{

          /  ̄ ̄ ヽ
          /  _ノ:::::::ヽ\
          l  ( ○) (○)l
            l li|il::(__人__)::i
            l :::::u /   /:::::i
           i     `⌒´   }
         /⌒ヽ      ノ
       /      \ ー‐ / `i
    /    , ⌒ヽ ヽ  / /
   r´    /    \ ヽ /
   {    < :       (__ノノ
  .;i  /\ ヽ ;      | |
 ;/ /;  \ i :.    | |
  (_ )   (_ヽ.     | |
}}}

「ハァ…ハァ…見つけてきた…」
(だいぶ時間かかりましたね)
「かかりました…広すぎる…ハァ…」

やらない夫は加賀のデイバックからヒョイと支給品を取り出す
一つはいわゆる手榴弾が3つ程、もう一つは錨を模したペンダントだった

【手榴弾】
 お馴染みの手投げ用の爆弾です。ピンを抜いてぶん投げましょう。
 コンカッションですので、中規模の爆発で攻撃します。
 

【擬人化アンカー】
 人外の物が身につけることで人が他の姿に変身できます。
 変身後は外すことで元の姿に戻ることができます。

「クソッ、爆弾とアクセサリーじゃどうしようもないな…」
(えっ!? いや、そのペンダントで変身ができるんじゃないですか?)
「変身? そんな摩訶不思議なことあるわけないだろ常識的に考えて…」
(やってみなきゃわかりませんよ。大体、わたしが話せること自体常識はずれですし…)

それじゃあ…と、やらない夫は擬人化アンカーを甲板の上に置いた
流石に本当に効果があるわけ無…おや?
置いた瞬間、どこからか煙がモクモクと噴き出したではないか
#aa(){{{

        γ ⌒ ⌒ `ヘ
        イ ""  ⌒  ヾ ヾ
      / (   ⌒    ヽ  )ヽ
      (      、 ,     ヾ )
      ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ
        ゝ、、ゝ   ノ  ノソ
          ゝ、、ゝノ ,, ノ
        _          _
        | ∟,¨ __ └┘/7
        |_厂  | 匚] |  <ノ
}}}

161 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:26:54 ID:YW3ObjZ60
やけに拍子抜けする音がして、やらない夫は気がつけば海に放り出されていた
生ぬるい水へバシャンと落ちた。頭がくらくらする
まさか本当に効果があるとは驚きだな…ついでに無事に着水が出来た…だが…

「でも…もう体力がねえよ…」

30分にも及ぶランニングによってやらない夫の体力は限界だ
ここから近くの陸地まで泳ぐのは酷だ…オワタ、ここで溺れ死ぬ…

「大成功ですよ、やらない夫さん。」

加賀の声が聞こえた。先ほどのように脳内に直接ではない、鼓膜を通してはっきりと聞こえる
目の前にいるのは軍服を着た少女だった

「良かったな…だが俺はここまでのようだ…」
「…疲れで投げやりにならないでください。陸まで送りましょう」

そう言うと加賀少女はやらない夫とデイバック二つを背負って泳ぎだした
さすが元が船だけあって、華奢な体に似合わず、その泳ぐ速度は相当なものだった
距離にして100m程度、波打つ海面をものの数分足らずでたどり着いた
テトラポッドを登って海辺へと上がる

「ハァ…ハァ…助かったよ…」
「この程度でくたびれていたら、戦争は生き残れませんよ
 回復したら、次に向かう場所や行動方針などを決めていきますよ」
「わかった…」

やらない夫は息を付きながら地面に倒れこんだ
とりあえず、陸地でも加賀と行動出来ることになったのは心強い事だ
数々の戦争を乗り越えてきた戦艦だし、俺よりもこういう事態には強いはずだ

ふと、うす明るくなってきた空に親友の姿が思い描かれた
…やる夫、お前は大丈夫か? どうにか生き延びていてくれよ…
普段は蹴飛ばしたりしてるが、こういう事態だとやっぱ気になって仕方ないな…

―――ない夫! なんでやる夫を差し置いておにゃのこと行動してるんだお!! ひどいお!

想像上のやる夫が突然怒ってそんなこと言ってきた
知るか。というかそんな呑気なこと言ってる場合か。常識的に考えて…

女…ねぇ…。なんとなく加賀の姿をじっと見てみる
船体のカラーである灰色と赤がモチーフの軍服、細い体にあどけない顔…女学生にしか見えん

「って、そういやお前女性に変身してるが、もともと女だったって事か?」
「さぁ…? 空母ですから正直わかりません」
「…まぁ、そういうものか…」

…ん、なんだこの感情は…
おい待て、俺は一体何を残念がっているんだよ…!?
別に女性じゃなくても関係ないだろ、今の状況でそんなこと考えてる場合じゃ…(ry



【B-5 船着場/1日目・黎明】

【やらない夫@ニュー速VIP】
[状態]:健康、常識的
[装備]:薙刀@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ZUNビール@現実、PS3@ゲームハード
[思考・状況]
基本:殺し合う気なんてないだろ、常識的に考えて……
1:休憩したら行動方針を決める
2:やる夫が心配

【加賀@軍事】
[状態]:擬人化、健康
[装備]:20cm単射砲(0/1)×10、25mm連装機銃(0/15)×10 擬人化アンカー@安価スレ
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、手榴弾(3/3)@軍事
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る気はないけれど……
1:やらない夫さんが回復したら今後の方針を決める
2:すごい支給品ですね
3:どこかで弾薬を補給できれば……
※制限により、全ての弾薬と12.7cm連装高角砲が没収され、航行速度が低下しています
※他にも制限があるかは不明です
※身長1.6m程の軍服少女へ擬人化しました。装甲がなくなりますが、陸上でも機動可能。


《支給品紹介》
【薙刀@現実】
長い柄の先に刃がついた武器。日本鬼子の得意武器でもある

【ZUNビール@現実】
ニコニコ超会議というイベント時に、ZUNがプロデュースしたビール
原料にみかんが使われているため、香りが爽やか
ビール瓶に入ってるため、勿体無いが鈍器として使用するのもアリ

【PS3@ゲームハード】
レベル男が買い求めた夢のハード。物売るってレベルじゃない
かなりの重量感がある。これで殴ったらシャレにならない

【手榴弾@軍事】
手投げ爆弾。爆発による破片を飛散させるのをフラグ、爆風で直接攻撃するのをコンカッションと呼ぶそうだ
これはコンカッションです。筆者は詳しくないのでこれ以上は語りません

【擬人化アンカー@安価スレ】
いかり(アンカー)を模したペンダントの付いたネックレス。安価とアンカーを掛けたネーミング
身につけることで人の姿になれる画期的な支給品。首から外れると元の姿に戻る

162 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:28:09 ID:YW3ObjZ60
以上で仮投下終了です
修正点、ご意見などがありましたらご指摘お願いします

163ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/27(木) 20:35:07 ID:Oj43sKvUC
仮投下乙です
問題ないと思います

164ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/01/13(日) 21:50:30 ID:mDpuemQE0
ギコ猫、しぃ、いわっち、クタタンを仮投下いたします

165 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:51:03 ID:mDpuemQE0
しぃはいわっちに抱き抱えられながら夜道を移動していた
夜の風は少し冷たいけど、いわっちの腕の中は暖かくて安心出来る

ふと、しぃの頭の中で疑問が浮かんだ

「いわっちサン、テレビ局ってこっちナノ?」
「いいえ。まずは協力者を探す必要がありますので、寄り道をするところですよ」
「そっか」

しぃはすぐに納得した

横断歩道に差し掛かる。ちょうど信号は青になっていた
車が一台も通らない道路で、淡々と仕事をこなす信号機の姿は何とも虚しいものだ

「寄り道…いい言葉だと思いませんか? わくわくしますよね」

いわっちは呟く
しぃはその言葉について少し考え、すぐに首をかしげる

「うーん…チョットわからない」
「はは。まぁ、しぃさんはお若いですから、そういうものかもしれません
 私にとって、少年時代はだいぶ昔の話なんですよね。だからこそ、あの頃を連想する言葉に魅力を感じてしまうんです」

そう話すいわっちの目は輝いていた
子供の頃に楽しいと感じたこと、それを今でも鮮やかに想像出来る
だからこそ、多くの人を虜にするゲームを作れるのかもしれない

相変わらず暗い空の下、街灯に照らされる街道を歩いていると、ふと目につく看板が見えた

『森林公園』

柵で囲われた敷地沿いの真ん中辺り、柵の無いところ、すなわち入り口

「せっかくです、中に入ってみましょうか」
「ウン」

静まり返った世界に、コツコツとした足音だけが聞こえている





夜の公園には、ひんやりとした空気が漂っていた
昼間の太陽の光をたっぷりと浴びた広葉樹たちは、夜は静かに風になびかれて身を休めている
中央に設置されている噴水は街灯の光を乱反射して白い輝きで瞬いている
舗装された散歩道は幾人もの靴を受け入れた結果、土でまぶされて、周りの自然と一体化しているようだ
その落ち着いた雰囲気は人々の悩みや沈んだ気持ちを受け入れてくれることだろう


「また森林公園に来ちまったのか…俺ってやつは…」

ギコ猫は目の前の光景を見て沈んだ気持ちになった
この光景は二回目である。数時間前に彼が目が覚めた場所、まさにここであった
散々逃げ回ったあげく、道に迷い、ふりだしに戻るとは…そろそろ方向音痴の称号が貰えるかもしれない

不名誉だな…と思いながら、ギコは近くの茂みへ潜り込んだ
開始早々からずっと走りっぱなしだった。いくら俊敏な猫と言えどもそろそろ限界である
肉食動物って基本的に持久力が無いからな。人間と違ってな
今後生き残るためにも、なるべく体力を温存しなくては…



そうしてギコが一息つこうとしたのも束の間、一人の男が歩いてきた
質の良さそうなスーツを見にまとった初老の男
彼は道の端に備え付けられたベンチに腰をかけて一息をついた
偶然にもギコがいる茂みのすぐそば

ギコはイライラした

「(なんでよりによってコイツは…)」

休息しようと思ったらこれだよ、面倒なことになった
どうせこいつも俺を見つけたら、問答無用で襲いかかるに違いない
そろそろいい加減にして欲しい。今はガチで疲れているんだ
とりあえず、見つからないうちにここから離れてしまおう
無視して休んでいて、うっかりクシャミでもしたらアウトだしな

166 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:51:41 ID:mDpuemQE0
男はデイバックから水を取りだして口に含んでいる
全く気付いていないな…、この隙にずらかるしかあるまい

茂み…腰の高さ程の葉がもっさりと生い茂った小さい木、俺はその下に隠れている
地面には音を立てるような落ち葉は無い、そして頭部と胴体を一切触れずに抜け出す隙間有り…これなら無音で行ける!
イライラ棒の如く、慎重に茂みの小枝の間から頭を出す…

―――ガサッ…

バカ。ご自慢の鍵尻尾の存在を忘れていた。葉を掠めて小さな物音を立ててしまった

いや、大丈夫だ、まだ気がついてないようだ。まだ巻き返せる
さすがに、この程度の物音では警戒されることは無かったようだ

尻尾を引っ込め、頭に続いて胴体、そして後ろ足ゆっくりと出す…
これでよし!あとは歩いて離れれば
ギコは勝利(?)を確信し、物音を立てないようにこっそりと茂みから
「ちくわ大明神」
離れようとする
よし、落ち着け…息を潜めて、一歩ずつ進…

「ちくわ…?」

誰だ今の。なんか意味不明な言葉が聞こえ…


…しまったああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


流石に男にも聞かれてしまったようで、即座に反応し立ち上がって身構えた

「…これはこれは…そこに誰か居たようですね…」

ひどい、今のは反則だろ! とりあえず、走って逃げれば…

「おっと、驚かないで結構です。それより少しだけ私の話相手をしませんか?」

どうする…?
ギコ猫は思考する

男は何か野球ボール程度の大きさの球体を取り出して手の中で弄っている
あれは爆弾だろうか…? だとしたら下手に逃げると刺激しかねん…
流石に体力のない状態では『華麗に回避』なんて出来ない気がする
相手が話を持ちかけている間は少なくとも攻撃はしないとは思うが…

まぁ、まだこの男が殺し合いに乗ったやつとは限らないが…
摩呂、お断り野郎、そしてモッピー…俺が出会った参加者はいずれも好戦的なやつだった
すなわちこの男も乗っていてもおかしくない、むしろ乗ってる可能性の方が高いんじゃないか?

「ちくわ大明神」

またしても変な声が聞こえる
全く、いったい誰が言っているんだ?
俺以外には男しかいないようだが…こいつじゃないみたいだ…

目の前のスーツの男は、一口だけ水を口にすると話を始めた

「私たちは突然拐われて、ひろゆきと名乗る男に殺し合いを強いられました
 そして訳がわからないままこの街中に飛ばされた…本当に理不尽な話です」

凛とした口調で語る

「ここに飛ばされた直後、私はまず落ち着くことが大事だと思いました
 まずは支給品を調べて、そして自分はこれからどうするべきか、それを考えました
 行動指針も何も考えずにただ『優勝したい』、『死にたくない』、
 または『脱出したい』、だなんて曖昧な思考では生き残るのは難しいでしょう」
「(うっ…俺のことじゃねえかそれ…)」

予想外に痛いところを突かれ、ギコ猫は苦い顔をした
本能的に生きていたい、それは最も自然な思考であり、思考していないことと同じ
…別にいいじゃないか、とは思うが

167 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:52:21 ID:mDpuemQE0
「我々が、この殺し合いに参加する意義について考えました」

さらに続きを語る

「自分が生き残りたいがため、または自分の『願いを叶える』報酬を得るため…
 そんなくだらないことで唯一無二の大切な命を奪い合うなんて間違っている…
 あなたもそうは思いませんか?」
「ま、まぁな…」

ギコは小声で答える

「私利私欲のために何人も人を殺して、願いを叶えてもらう…バカバカしい事だ
 私たちは協力するべきなのです。ひろゆきから与えられた支給品の力を有効に活用せねばならない」
「…それはつまり、参加者で一致団結して、ひろゆきをぶっ殺そうぜ!ってことか」

   √ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 / ̄          |
/   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\|
|   / ',. へ 二二,.へ |
|  /  ,.-=\ / =-、 |
| /  、__,,,ノ( 、_, )。、_,|
(6    |l`'ー=ニ=-イ|  |
|     ヾr‐-r‐-、ソ  :|
|       `ニニ´    |
| _\____//
´ ̄\ ̄\ ◇、/ ̄|\

男はそれを聞き、はっはっは、と乾いた声で笑った
水をまた一口飲む。それをデイバックに仕舞い、今度は白っぽい棒のようなものを取り出した

「それはステレオタイプの考え方です。まずはこれを見てくださいよ、私に支給されたちくわを。
 材質、形状、中身、何を取っても完璧にちくわです。…しかし」
「ちくわ大明神」
「言葉を語るんです。なんの変鉄もない食材が、我々の日常に『驚き』と『笑い』というファクターを投げ入れる…
 これはある意味では、エンターテイメントを突き詰めた究極のカタチ、技術の結晶だとは思いませんか?」

ギコ猫はこの時、「何言ってるんだ」と思った
というか、さっきの変な声の正体はそれか
そりゃあ、ちくわに言葉を喋らせる技術はすごいかもしれないが、それが今の話と何の関係があるのか?

すると男は手に持っていたボールを後ろに放り投げた

「そして…」

ポンッ!っと子気味のよい音を立てて球体…もといカプセルが口を開いた


「グオオオオォォォォン!!」


赤い光と共に黒い影が飛び出し、その力強い咆哮が公園の中に響き渡る

「この禍々しい生き物の姿を見てください。最も洗練された、美しい姿だとは思いませんか? でもこれ、実は造られた生き物なんだよね
 ひろゆきにはこんな『力の結晶』と呼べる生き物を作り出し、それをコンパクトに持ち運ぶ技術を持っているのです」

徐々に男の口調に熱がこもっていた
ギコ猫はおそるおそる、茂みの葉と葉の隙間からその生き物の姿を見る

街灯の光をバックに見えるその生き物は、ただの獣ではなく、『悪魔』…そう形容するのがふさわしい姿をしていた
虚無を思わせるような漆黒の体毛は、ソレが日の当たる世界から来たものではないと一目で理解出来るだろう
鼻先から闇空へと真っ直ぐに伸びるツノは血のように赤く、闇に溶け込む体から一際目立っていた
鋭く、鈍く輝くキバと強靭なアゴはまさに『捕食者』と冠するのに恥じないものだった
これを『洗練された美しい姿』だと? おかしい。この男の言ってることはさっきからおかしい…!

「ひろゆきには世界を動かすだけの技術を持っている。そして彼は言った。『我々の願いを叶える』と
 ならば私はその力を使って、世界をより美しいものへ創り上げて見せましょう!
 あなたも私の考えに賛同するのであれば、私にその命を預けなさい!!」
「…それは要は、てめぇの優勝のために死ねと言っているのか!?」

168 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:52:59 ID:mDpuemQE0
ギコは語調を強めて問い返した

「私がやらなくては、誰がやるというのでしょう?この願いは私利私欲ではない
 ゲームを楽しむユーザーたち、SCEを叩く2ちゃんねるの人達、全ての人々をより高みへと進化させるためのものだ!
 これは世界を動かす最も大きな『仕事』、そして『ゲーム』なのです! 私が作りたかったプレイステーションの世界が目の前にあるのです!」

男は―――もといクタタンは、酔いしれたような表情を浮かべてそう叫んだ

逃げられない…!とギコは直感した
あの獣から放たれる威圧感、そして殺意…
その目が俺という獲物を捉えたら最後、確実に逃さないことを予感させた

「ネメア、アイアンヘッド」

クタタンは指先を茂みに向けて、彼の『武器』へと指示を下した
命令に反応し、ネメアは大地を蹴り、そのツノを茂みへと叩き付けた

打撃音が響き、土埃を巻き上げ、植木が宙を舞う













          トv'Z -‐z__ノ!_
        . ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
      ,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
    rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|:::  ,.、
    、  ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ   ミ ∧!::: .´
      ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf::::  ~
    r_;.   ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;. ←コロちゃん
       _  ::\,!ィ'TV =ー-、_メ::::  r、
       ゙ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ:::  ._´
       ;.   :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.::  ,.
       ~ ,.  ,:ュ. `ヽニj/l |/::
          _  .. ,、 :l !レ'::: ,. "

「…人形…?」

ネメアの攻撃で出来た小さなクレーター、そこにあったのは無残にも綿が飛び出し、首が千切れたクマのぬいぐるみ『コロちゃん』
ギコの姿はいなかった
はたして、それが意味するのは…



―――ギコねこに かわって みがわりが こうげきを うけた!
「逝ってよし!!」

ギコ猫はサバイバルナイフを構え、クタタンの首筋へ迫る
キラリと光る両刃のナイフは、その柔い肉を容易く切り裂いた…!

「ぐっ…!!」

だが、間一髪で気付いたクタタンは腕で防御をした
深々と肉をえぐり、彼の右腕から血がほとばしる

「クソッ!」
「ネメア、悪の波動!」

ネメアが咆哮する
禍々しい肉体からブラックライトのような色の『波動』をギコ猫に向けて放つ

ギコ猫は困惑した。彼はこんな攻撃の挙動を、かつて一度も見たことがなかったからだ
例えば、生まれて始めて「自分に飛んでくるボール」を目の当たりにした時、それを反射的に避けることが可能だろうか?
ほとんどの場合それは不可能である。何故ならばどう対処するかを思考する必要があるからだ

かくして、悪の波動はギコ猫に命中する

「グハアッ!!」

衝撃で吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられた
腹部の皮膚がただれ、血がにじみ出ている
倒れているギコ猫にクタタンは歩み寄る

169 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:53:17 ID:mDpuemQE0
「もっと大人しく協力してくれれば良かったのです」

そう言ってクタタンはギコ猫の頭を鷲掴みにする
ネメアは掴まれたギコ猫を見て、息を荒くしていた
まるで、飼い主から餌を与えられるのを待つ動物のようだった

「は、放せっ…!やめ…ろ…!」
「弱肉強食。君ならそれはよくわかっているでしょ。黒猫君?」

嘘だろ…? …心が絶望に染まり、ギコの意識は遠くへ落ちていった…

そしてクタタンは、ボロボロの黒猫をそのままネメアへと放り投げる














「待ちなさい!!」

公園内に響く第三者の声
ギコ猫を投げようとした腕がピタリと止まった

その声の主を、クタタンはよく知っている
彼と同じ、ゲームを作る同業者であり、最大の競合者…

「おや、これはどうも、いわっちさんじゃないですか。あなたも殺し合いに巻き込まれていたとは…」
「ええ、クタタンさん。本当に奇遇なものです…。それよりまず、その猫を放しなさい」

いわっちの手には街灯の光を反射し、黒光りする大きな銃が握られていた
その銃口はクタタンの方へ向けられている

「その猫はこちらのしぃさんのお友達です。ここであなたに殺させるわけにはいきません
 もし、放さないのであればこの散弾銃の引き金を引かせていただきます」
「わたしはあくまでゲームのルールに乗っ取っているだけです
 あなたにわたしを止める権利はありませんよ?」
「放しなさい」

いわっちは静かに、それでいて突き付けるように言った

今、クタタンの命は握られている状態だ
散弾銃…いくらいわっちが素人といえども、約15mの距離から散開発射される銃弾を外すことはないだろう
ネメアに命令を下す時間もない。いわっちの指示に従わなければ、ヘタをすればここでゲームオーバー
フッ、と鼻で笑い、クタタンはギコ猫を持つ手を緩め、地面に置く

「ネメアをボールに戻してください。そうすればあなたを見逃します」

クタタンは無表情でその指示に従った
散弾銃は向けられたままだ
クタタンは両手を挙げた状態で、いわっちに言った

「…いわっちさん、わたしと手を組む気はありませんか?
 あなたが協力してくれれば、きっと全てうまくいくと思うんですがね」
「お断りします」

いわっちは言い切った

「…どうせ、そう答えると思ってましたよ」

やれやれ、という調子でため息をつくと、クタタンはそのまま立ち去った

170 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:53:33 ID:mDpuemQE0





しぃは震えていた
いわっちと共に森林公園に入ると、そこにはコワイ怪物に襲われてるギコ君がいたから
ギコ君はお腹を怪我してる。ひどい怪我、きっとスゴク痛い、死んじゃうかもしれない…

―――大好きなギコ君が、死んじゃうかもしれない

「あ…あ………」

怖くて、怖くて、うまく声が出ない
ただ、いわっちの足にしがみついて、カタカタと震えるだけだった


いわっちはクタタンが去ったあと、深々と安堵の息をついた
彼に支給された散弾銃、それはただのモデルガンだった
殺傷能力は無し、まさに脅しや駆け引きにしか使えない
つまり、相手が何かしらの防御策があったり、逆上されたらそのままやられていただろう
危険な橋を渡るような行為…クタタンのような慎重な相手だからこそ成功したと言える

それにしても…といわっちは先ほどのクタタンの様子を思い出した

『これは世界を動かす最も大きな『仕事』、そして『ゲーム』なのです! 私が作りたかったプレイステーションの世界が目の前にあるのです!』

…あれは本当にクタタンだったのだろうか?
自分の知っている彼は、ひろゆきの「願いを叶える力」なんかに頼ったりせず、自らの力で切り開き、望みを叶えていく男だ
彼は、私が知っているクタタンでは無かった
この世界に来て、彼の何かが歪んでしまったのだろうか?

…いくら考えていても答えは出ない。今やるべきことは…

「ギコさんの傷の手当をしないといけませんね」

自分の影に隠れて震えているしぃの頭を撫で、かがみ込んでギコの様子を見る
脇腹の辺りが焼け爛れたような痛々しい傷になっている
そして、死に直面したショックで気を失っているようだ。しばらく目覚めないかもしれない
…まずは手当をしなくてはならない。基本支給品から消毒液、そして包帯を取り出す
そして、ぐったりとしたギコの傷口に消毒液をかけた

\人_人,_从人人,_从,人/
  )  アピャーッ!?   (
/⌒Y⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒ヘ
 ∩∧ ∧
 ヽ( ゚Д゚)
   \⊂\
    O-、 )〜
      ∪

予期せぬ痛みにギコ猫は飛び起きた



【ギコ猫@AA(FLASH「K」)】
[状態]:打撲(小)脇腹のダメージ(大)、疲労(大)
[装備]:サバイバルナイフ@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本:生存優先
0:何が起きた!? 誰だお前!?
1:本能に従って生き残る…のを否定されたので少し考えるか…
2:仲間なんて煩わしいので作るつもりはない
3:磨呂、お断りします(名前未確認)、モッピー(名前未確認?)クタタン(名前未確認)を警戒
4:ひろゆきはマジで逝ってよし

※何故か迷子らしいです(PDAを見ると言う案が出てない模様)
※コロちゃん@家族が増えるよやったねたえちゃん が破損しました。壊れたまま森林公園に落ちています

171 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:53:48 ID:mDpuemQE0

【しぃ@AA】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:皆死んじゃうのはイヤ
1.ギコ君…大丈夫…?
2.カイブツ(ネメア)がコワイ…


【いわっち@ゲームハード】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、モデルガン@サバゲ、不明支給品(0〜2・本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いをやめさせる
1.ギコ猫と話をする
2.色々な人に情報を訊きたい
3.反抗の手はずが整ったらテレビ局からダイレクトを行う





             ポケットモンスター
クタタンに支給されていた『生物兵器』

ホウエン地方と呼ばれる土地に、巨大な隕石が墜落した
その時、大地を震わせた地響きは、世界で最も深い谷底で眠る邪悪の化身を目覚めさせてしまった

―――その名はネメア

人間の心を操り、その者が持つ野心をより強大なものへと変貌させてしまう

しかし、元々人並み外れた野心を持つクタタンの場合は、それを大きく歪ませてしまった
多くの人の笑顔、そして最も美しい形を追い求めた結果が、
殺し合いに呼ばれた少数の人々を切り捨てた上で、全世界の人々を幸福にすると言う願いだった

「いわっち…次に会うときはお互いフェアな状態で『ゲーム』を楽しもうではありませんか
 私は世界を背負っている。決して負けません。世界を動かすのは、この私です」

…彼のその思想がはたして「私利私欲のため」ではないと言い切れるかは定かではない



【クタタン@ゲームハード】
[状態]:右腕に切り傷(中)、健康
[装備]:ネメア@ポケットモンスターアルタイル・シリウス
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ちくわ大明神@コピペ、不明支給品(0〜1)
[思考・状況]
基本:優勝し、世界を美しいモノへ創り上げる
1:ネメアを使い、他の参加者に「協力」を呼びかける。
2:いわっちには自分の思想を理解してもらいたい。

【ネメア@ポケットモンスターアルタイル・シリウス】
[状態]:支給品、健康
[思考・状況]
基本:クタタンの指示に従う


《支給品紹介》
【ネメア@ポケットモンスターアルタイル・シリウス】
2ちゃんねるの住民によって造られた改造ポケモン「ポケットモンスターアルタイル・シリウス」に登場するオリジナルポケモン
ここに登場する悪の組織「B・H団」「W・H団」のリーダーのダイゴとミクリは、このネメアに洗脳されている
本ロワでは所有者の精神に影響し、強い悪の思想へと変えてしまう
アイアンヘッド、悪の波動以外の技は、次の書き手の方にお任せします

【ちくわ大明神@コピペ】
見た目も材質も中身も完全にちくわ
だが不定期に「ちくわ大明神」と呟く
なお、元ネタでは別にちくわが喋っているわけではない模様
食料として使える

【モデルガン@現実】
銃身50センチ程度の狩猟銃…と見せかけて、ただのモデルガン
実際に銃弾を発射することは不可能
一応脅しに使える。なんなら直接ぶん殴っても良い

172 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:56:28 ID:mDpuemQE0
以上で投下終了です
修正点、問題点、ご意見などがあればご指摘お願いします

ちなみに、支給品紹介でのモデルガンの出典が間違えてました
サバイバルゲーム板です。修正しておきます

173ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/01/13(日) 22:33:09 ID:HW8lxEaU0
仮投下乙
特に内容に問題ないとは思う

ただ一つだけ、癖なんだと思うけど(過去作も見たけどそうだったし)文末の句点(「。」)がついてないのが凄く気になる
こういう掲示板でのレスならともかく、創作としての文章には無いとなんだか不自然に感じちゃうのでね…

174 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 22:47:06 ID:mDpuemQE0
実際、掲示板レスを意識して付けてませんでしたが…、
確かに、読む側に違和感を与えてしまうのでは本末転倒ですね。
それでは、これを機に句読点を付けます。
ご意見ありがとうございます。

175 ◆m8iVFhkTec:2013/02/07(木) 21:20:05 ID:diTZsHK20
ZUN、壁殴り代行、八頭身を仮投下します

176 ◆m8iVFhkTec:2013/02/07(木) 21:20:33 ID:diTZsHK20
「あの……もしかして怒ってますか……?」
「いえ、そんなこと無いですよ」

壁殴り代行はオドオドとした様子をしていた。
そりゃあ、新婚と聞いただけで突然壁を破壊したら、脅かしてしまうのはわかりきっている。
頭では理解していた。だが、不意打ちで言われたために思わず反射的に手が動いてしまったのだ。

……歩き出してからと言うもの、ZUNの口数は先ほどよりも少なくなっている。
もしかして不信感を持たれてしまったのかもしれない……
どうしよう、このまま友好関係を築くことができなくなったら……
あぁ、バカなことをした。自分を殴りたいくらいだ。
このままでは良くない……もう一度誠意を込めて謝らなくては。

「その……さっきは本当に申し訳ありませんでした!」
「い、いやいや、そんなに謝らなくてもいいですよ」
「とは言いましても……先程からあんまり話さなくなってるもので…」
「うん、そのことだけどさ……う〜ん…まぁ、もう言っちゃってるし、いいか」

ZUNは少し考えるような仕草をしながらそう呟くと、デイバックを開いた。
そしておもむろにPDAを取り出して、『手書きメモ』の画面に。
彼はタッチペンでさらさらと何かを書きながら、口を開く。

「えーっと…壁殴りさん、私たちは首輪を外すために、まずどこへ向かうべきかわかります?」

そう言いながら、ZUNはPDAの画面を見せた。
『首輪に盗聴器あるかも』
えっ! とした表情を壁殴り代行は浮かべた。

「本当でs…じゃなくて、どこへ向かうべきか……えー…
 先ほどの地図を見た感じ、"ちかてつ"百貨店とかどうでしょうか?
 工具の類とか調達できれば、首輪を外すのに役に立つと思いますし」
「ンフフ、"きんてつ"百貨店と読みます。そうです、その通りです。
 まずはそこへ向かいましょう。ただ、近鉄百貨店周辺は繁華街のようです。だからたぶん死角が多いんですよね。
 だから闇討ちされないように、その辺りに近づいてきたらなるべく身を隠しながら移動しましょう。
 出来れば明るくなる前に着きたいところですが…ちょっと遠いので難しいかもしれません」

『首輪の機能・・・バクハツ GPS 多分+αで盗聴器』
『首輪解除について←発言済み とうちょう?←ナイショでよろ』

「ふむふむ……わかりました」
「まぁ、もっとも、壁殴りさんの体格だと隠れるのに一苦労かもしれません」
「あははは、いやはや…その通りですなぁ」

ZUNの口数が少ない理由は、どうやらこれだったようだ。
うかつな発言をひろゆきに聞かれるとそこで首輪が爆発してしまうかもしれないからだ。

ZUNの考えはこうだ。
支給されたPDAにはGPS機能がついている。
この機能によって自分の現在位置がわかる…が、その情報は主催者にも共有されているとは考えられないだろうか?
いや、むしろそう考えるのは当然だろう。参加者が目の届く場所にいるかどうか、監視する必要があるからだ。
では、GPSの電波はどこから発生しているだろうか? PDA本体から? ……いいや、そうとは考えづらい。
なぜならPDAを破棄、紛失、破壊、そのいずれかによって情報を受け取れなくなるから。
すると、捨てることが困難であり、破壊される事態になっても問題のない『首輪』に搭載するのは有効であるのだ。
少なくとも、首輪には爆発以外にいくつかの機能が取り付けられているのだ。

位置情報の他に受け取れる情報があるとすれば、それは音声。
反乱を企てる参加者たちの会話を把握することによって、ひろゆきが事前に対策が出来るからだ。
他に考えられるのは脈拍や、嘘発見器のような思考を読み取る機能だが、それらに関しては何の対策もできない。
映像に関しては、首輪にカメラを仕込んでいる様子がないため考えづらい。
もしかすると会場のあちこちに監視カメラが仕込まれているかもしれないが……。

そんなわけで、重要な事項はなるべく筆談を行うことでリスクを減らす必要がある。
ZUNは会話がひと段落ついたところで筆談に集中する。
『あくまでも仮説 でもとうちょうきの話題はなるべく出さないように
 ついでにひろゆきにバレないように、とーちょーに気付いていないフリを』
"盗聴"って画数多いから書くの面倒なんだよね。

壁殴り代行はそれを読むと、自身もPDAを取り出し、メモを書き始める。
そして真剣な顔をしてその文章をZUNに見せた。

(`・ω・´)『りょうかい』

もう少しで吹き出すところだった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

177 ◆m8iVFhkTec:2013/02/07(木) 21:20:57 ID:diTZsHK20

              ‐=≡   ∧ ∧
             ‐=≡   ( ´Д`) ハァハァ
           ‐=≡_____/ /_
         ‐=≡  / .__   ゛ \   .∩
        ‐=≡  / /  /    /\ \//
       ‐=≡  ⊂_/  /    /  .\_/
         ‐=≡    /    /
          ‐=≡   |  _|__
           ‐=≡  \__ \
             ‐=≡ / / /
``)          ‐=≡  // /
`)⌒`)       ‐=≡ / | /
 ;;;⌒`)      ‐=≡ / /レ
   ;;⌒`)⌒`)‐=≡ (   ̄)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は、1さんを探さねばならない。
いまはただその一事だ、走れ! 八頭身!
八頭身は走った。黒い風のように走った……

と、一人で盛り上がりながら疾走していた八頭身の目が、二つの人影を捉えた。
一人は筋肉ムキムキの巨漢、もう一人は目立つ帽子をかけたメガネさんだ。

「おーーーーい!」

八頭身は彼らのそばへ行くと、1さんについて尋ねた。


              ∧_∧   从从
              (  ´Д`)   ビシッ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         D  _/  ⌒ヽ  (⌒)   < 1さんを知りませんか?
          ⊂二 /    へ  ノ ~.レ-r┐  \_________
          D  /    /  ヽノ__ | .| ト、
         _ _レ   /〈 ̄   `-Lλ_レ
       /   __ノ   ̄`ー‐---‐′
       ヽ <  | |
        \ \ | ⌒―⌒)
         ノ  )  ̄ ̄ ヽ (
        (_/     ⊂ノ


        ∧_∧ 
         (´・ω・`) _、_,,_,,,     
     /´`''" '"´``Y'""``'j   ヽ   
    { ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l 「知らないですねぇ」
    '、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ
     ヽ、,  ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/
      `''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r'   
        ,ノ  ヾ  ,, ''";l 


          . ∧_∧:::       /
       (⌒=- (´Д`  ):::     <  チッ・・・・・・・。
   ⊂⌒ヾ  ./⌒   ⌒i::::/⌒つ  \______
      \\/ /i    i レ / ̄
       \_/ i    .L__/:::
            )     |:::
            /    .|:::
         / ,. フ /:::
        / / / /:::
       (  く / /:::
         \ ( (:::
          \|  iヽ:::
           | /(:::
           | .|し:::
      .___ノ i________
         (_ノ

初対面でこの態度である。激怒されても仕方がないレベルである。
が、ZUNと壁殴り代行は別段気にする様子はなかった。
名簿によればこの男『八頭身』は、『1さん』という人物に首ったけだという。
この態度から察するに、1さん以外のことに関してはどうでもいいと考えてる人なのだろう、と即座に悟ったのだった。

178 ◆m8iVFhkTec:2013/02/07(木) 21:21:14 ID:diTZsHK20
「その1さんっていう方も、殺し合いに巻き込まれているんですか?」
「ええ、いるに違いありません。僕の勘が告げているんです」

八頭身は自信を持ってはっきりとそう答えた。
……ただ、参加者名簿には彼の言う『1さん』と思わしき人物が見当たらなかった。
考えられることは、『1さん』は殺し合いに参加していないか、登録されている名前とは違うのか、名簿が間違っているか…このどれかであろう。
とりあえずは彼に『1さん』についての情報を聞いてみよう。

「ンフフフ…なるほど、勘ですか…。ちなみに、『1さん』という名前はかなり珍しいですが、本名でしょうか」
「なんでそんなこと聞くんですか?」
「え……いや、なんでって……」

突っぱねるかのように質問が返ってきて、思わずたじろいでしまう。
それを聞かれることが不都合なようにも思える。

「いや、もし1さん以外の呼び方があったら、情報を聞いたときにわかるかと思いまして」

適当な理由を挙げた。
『名簿に載ってないから』なんて言っては、面倒なことになる。

「1さんは1さんですよ。それ以外にありません。」
「はぁ……
 あ、ではでしたら外見的特徴などを教えてくださればいいのですが」
「1さんは、笑顔が爽やかで、クールで、優しさにあふれていて、
 それでいて多少の厳しさも備えていて、普段はカッコよくて、
 たまに抱きしめたくなるようなかわいい一面もあって……

⊂二 ̄⌒\               ノ)    あぁ、愛しの1さん!!
     )\   ( ∧_∧  +     / \     僕は君の全てが欲しい!」
   /__   ) ´Д`)    _ / /^\)
  //// /       ⌒ ̄_/
 / / / // ̄\      | ̄    +
/ / / (/     \    \
+           \    〉
        +    .| y   'j
             i  (  く
    +         |  i \ \
             |  |   \ \  +
             |  |     \ \
             |  |      \ ヽ
           (⌒__ノ        i .j
                      `‐'

感極まって叫びだす八頭身に引きながら、ZUNは改めて問いかける。

「…………あの、外見的特徴といったはずですが……例えば貴族っぽい服装だとか、そういうのを……」
「イカしたヘアースタイル! そして凛々しい顔立ち! これに限るね!」
「…………はぁ、なるほど……」

ZUNは首を傾げた。
先ほどから『1さん』という人物像が一向に掴めない。
八頭身は頬を桜色に染めて、その『1さん』の姿を妄想しているようだが……
彼の話す『1さん』の情報には、どれも明確な特徴と呼べるものがなかった。
服装だの、背丈だの、挙げられるものは他にいくらでもあるはずなのに、彼はそれを語らない。
男性なのか、女性なのか、それすらも明確ではないのだ。

顔立ちが整っていて、素晴らしい性格…わかることはそれだけ。
人物としての個性が何一つないのだ。言うなれば『人格者なマネキン』みたいなものだ。

「ウッフフフ……いかがです、君も1さんの魅力を理解していただけたかな?」
「う〜ん…いやぁ、私にはちょっとねぇ……」

179 ◆m8iVFhkTec:2013/02/07(木) 21:21:35 ID:diTZsHK20
                  ∧_∧:::
                 ( ´Д`):::::
                / 丶'  ヽ::::: 「これだけ語ったのに1さんの魅力が理解できないとか、
               / ヽ    / /::::   ダメだなアンタ。ダメ。考えられないね。うん」
              / /へ ヘ/ /:::::
              / \ ヾミ  /|:::
             (__/| \___ノ/::::::
                /    /::::::::
                / y   ):::
               / /  /:::
             /  /::::
            /  /:::::
          (  く::::::::
           |\  ヽ:::::
            |  .|\ \ :::::
      \    .|  .i::: \ ⌒i::
       \   | /::::   ヽ 〈::
          \ | i::::::   (__ノ:
         __ノ  ):::::
         (_,,/\



           ∧_∧
          ( ´・ω・)
         /´,mn Y ` ヽ  制裁入りますね
         〈 (_n ̄)ィ ヽ 〉
         ヽ_(y';、,!,/ノ ノ
     メキメキメキ   |ヽ、__/〈
          /|  !,  ヽヽ
         〈 |   |`ヽ、ヽ`i,
          ヽ/   ノ   i  ,〉
          ノ  ,./ヽ   |/  |
     /^ヽ_/  ヽ、 )   i  ,!
     し/´ ∧_∧/⌒'i (  ヽ、
      ゝ (.;´Д`),ノi ノ ←八頭身
      /  ノ  ,r-っ (ノヽ,,>
     〈_ ̄ ̄ メ  ))
        ̄ ̄`ヽ`つ て バンバン
          )/V Vヽ(


流石に口が過ぎた。

 ◇ ◆ ◇ ◆

一通り謝罪をした八頭身は、太ももをさすりながら言う。

「痛たたた……もういいです。僕はさっさと1さんを探さなくてはいけないので、この辺で……」
「これからどこか向かう先はあるんですか?」
「……そうだった、まだ正確な目的地を決めていなかった!
 とりあえず、人が集まる場所へ行きたいんだけど、どのあたりかなぁ」

目的地も決めずにひたすら走るとは……
呆れつつも、ZUNは地図を広げて考察をした。

「そうですね……会場の真ん中であり、怪我人なども集まる『病院』ですかね。
 ただ、その分危険人物も集まりそうですが……大丈夫なんでしょうか」
「危険でも構わない! 少しでも1さんがいる可能性が高いなら僕は行くつもりだ!」
「ふむ……でしたら気を付けてください。どれだけの人が殺し合いに乗っているかわかりませんので」
「わかりました……。あ、お礼と言ってはなんですが、僕の支給品をお分けします。…ハズレのですけれども…」

八頭身はそう言うとデイバックから二枚の紙、そして時計を取り出した。
二枚の紙…それは野球観戦のチケットだった。時計は趣味の悪そうな金ピカのもの。
少なくとも殺し合いの場においては不要だと思われる品である。

「いえ、それでは不公平です。それでしたら、私たちが使わない支給品を……
 壁殴りさん、あれを差しあげても大丈夫でしょうか?」
「ええ、僕は構いませんよ」

ZUNに促され、壁殴り代行はトンファーを取り出すと八頭身に差し出した。

「そんなっ、こちらは使えない品を渡しただけなのに悪いですよ」
「とはいえ、我々にはトンファーは使えませんからね。1さんを見つけるために、少しでも足しになれば」
「どうもありがとう。君たちも無事でいられることを祈ってるよ!
 …あ、ついでに、もしも1さん見つけたら保護してあげてください。お願いします。……それじゃあまた!」

そう言うや否や、八頭身はトンファー片手に疾風のごとく駆け出した。
湧き上がってくる使命感と母性本能、そして不安……。
それらのエネルギーが脳内からあふれるパワーとなり、その足を更に速めた。
(だいぶ時間を取っちゃったなぁ……あぁ、1さん、今君はどこに……?
 早く見つけないと……あぁ、早く護ってあげないと……)

不安が焦りに変わっていく。どれだけ速く走っても足りないほどに……

(あぁ、1さん、早く見つけなくちゃ、早く1さんを、早く1さんを、早く、はやくはやくはやくはやく……)

明け方の空の下、彼の足音が騒がしく街の中をこだましていた。

180 ◆m8iVFhkTec:2013/02/07(木) 21:22:05 ID:diTZsHK20
足音が遠ざかっていくにつれて、次第にはっきりとした静けさが戻ってきた。
完全に静まったところで、壁殴り代行が口を開いた。

「彼に伝えなくていいんですか? 1さんという名前の参加者がいないって」
「うん。彼には悪いけど、教えても逆効果だと思ったんだよね」
「逆効果? どうしてですか?」
「こう言うと失礼だと思うけど……『1さん』って彼の"理想の恋人"であって、実在しない人物な気がするんだよね」
「ほう、それは意外ですね……! そう判断出来る材料はあったんですか?」
「僕の勘が告げているんです」
「それ、八頭身さんのマネですか」
「ンフフ、そうですよ」

ZUNは忍び笑いを浮かべる。
壁殴り代行は「なんだ…」という素振りをしつつも、気がつけば内心でかなり信用していた。
もしかすると、口に出さないだけで何かしら明確な理由を持っているんじゃないか? と思っていた。
きっと、そう思わせるだけのカリスマがZUNにはあるのだろう。

―――ZUNが"逆効果"だと語った理由。
それは、八頭身のあの異常な愛情が、ある時突然狂気に変わってしまうような、そんな気がしたからだ。
口と態度はひどく悪いものの、八頭身は本質的になんだかんだで温厚な性格であった。
別れ際の穏やかな会話は嘘ではない。

ただ、どうしても『1さん』の存在が引っかかるのだ。
仮に『1さん』が存在せず、彼の妄想の産物だった。などと言う事実が明らかになったとしたら、彼はどうなるだろう?
あれだけ全身から溢れ出ていた愛情を向ける先がなくなったとき……
きっと、彼は正気を保てずに、狂うだろう……そう思ったのだ。

だからこそ、ZUNはあえて彼と行動を共にしない選択をしたのだ。
自分たちが近鉄百貨店に向かうことを伝えなかったのは、病院までの道のりと被るからである。
少なくとも、このバトルロワイヤルと言う極限状態で、様子のおかしな彼と深く関わるのはリスクが高すぎると思ったからだ。

しかし、ZUNは決してドライな性格ではなかった。そのことに多少の罪悪感を感じていた。
出来ることなら、彼の探す1さんが見つかればいいのだが…。
そう願わずにはいられなかった。

「ZUNさん、百貨店まではあとどのくらいかわかりますか?」
「そうだねぇ…この距離だと、1時間くらいかな。ついたらまず地下へ行きますよ」
「地下? なるほど、地下に何か眠ってるんですね……」
「はい、デパ地下には酒があります」
「えっ」


【A-4・住宅街/1日目・黎明】


【壁殴り代行@ニュー速VIP】
[状態]:左拳が少し痛い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】、詳細名簿インストール版)、金ピカの腕時計@泣けるコピペ
[思考・状況]
基本:首輪を外して室伏の仇を取りに行く
1:ZUNの護衛をしつつ、首輪解除の手段を探る
2:ZUNさんって、スゴイ

※壁を殴りすぎると拳が破壊される可能性があります
※トンファーを八頭身に譲渡しました

【ZUN@ゲームサロン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【LV=00】)、瓶入りオリーブオイル 、プロ野球観戦の優待券×2@泣けるコピペ
[思考・状況]
基本:首輪を外してこの場から脱出する
1:壁殴りさんに守ってもらいながら首輪解除の手段を探る
2:まずは近鉄百貨店へ向かう
3:酒が飲みたい。百貨店で調達したい
4:『1さん』の実態が気になる。八頭身も心配

※主催・ひろゆきの真意を疑っています。黒幕の存在もあり得ると考えています。



【A-4・住宅街の外れ/1日目・黎明】

【八頭身@AA】
[状態]:健康、焦り
[装備]:デザートイーグル(7/7)@現実、トンファー@トンファーキックのガイドライン
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)
[思考・状況]
基本:1さんを護る。邪魔する奴には、容赦しない。
1:人の集まりそうな場所『病院』を目指す。待っててね、1さん!!
2:1さん…どこにいるんだい…?
3:さっきの二人…ありがとう!
4:他の参加者に話を聞いて、より人が集まりそうな場所があればそこへ行く
※ZUN、壁殴り代行の名前を聞いていません
※不明支給品は『プロ野球観戦の優待券』『金ピカの腕時計』。ZUN、壁殴り代行に譲渡しました。

181 ◆m8iVFhkTec:2013/02/07(木) 21:23:02 ID:diTZsHK20
《支給品紹介》

【プロ野球観戦の優待券@泣けるコピペ】
タケシのカーチャンが勤め先からもらったチケット。2枚セット。
『招待券』ではなかったため、お金が足りずに結局野球観戦が出来なかった。切ない思い出の品。

【金ピカの腕時計@泣けるコピペ】
オメガのシーマスター。とある男性の父親が「金に・・困ったら・・・質にでも入れろや・・・!」と形見に残した品。
メッキがところどころ剥げているものの、しっかりと時を刻んでいる。


―――――――――――――――――

以上で仮投下終了です
修正点、問題点、意見などがあればご指摘お願いします

182ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/02/07(木) 21:31:35 ID:No0j934Q0
仮投下乙です
特に問題はないかと思われます

183 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:53:58 ID:QUuUB0ls0
やる夫、チハ、畜生マッマ、グンマー仮投下します

184 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:54:40 ID:QUuUB0ls0
やきうのお兄ちゃんが起こした惨状を目の当たりにしたやる夫は、振り返ることもせずにひたすら逃げ続けていた。
しかし、元々疲弊していた身体についに限界が来てしまう。
やる夫は息を切らせながらその場に座り込んだ。

「おにゃのこはいないし、怖い人ばっかりだし、もう散々だお…」

何はともあれ、まずは疲れた身体を回復させるために水分を補給しようと思い直した。
数刻前にもしたように、デイバックからボトルを取り出す。
キャップを開け、口を付けたままボトルをひっくり返して中の水を一気飲みした。

          ,-‐-、
          | 天 |  ング
   ング     | 然 |
          | 水 |
      / ̄⌒)  (⌒ ̄\ング
    / ,. ^‐'_ヽ /__ー^ 、 \
  / // ̄ ` ⌒ ´ ̄\\ \
 (  </            \ノ   )
  \ \           / /
 ング \ \       / /
                   ング

そうしていると、やる夫の耳がある物音を捉えた。

「ム、ムガモゴ・・・?(ん、何だお・・・?)」

口に水を含みながらやる夫が音のするほうに目を向けると





一台の戦車がこちらに向かってきていた。



         ___
        /⌒  ⌒\         ━━┓┃┃
       /(  ̄)  (_)\         ┃   ━━━━━━━━
     /::::::⌒(__人__)⌒:::: \         ┃               ┃┃┃
    |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                       ┛
    \   。≧       三 ==-
        -ァ,        ≧=- 。
          イレ,、       >三  。゚ ・ ゚
        ≦`Vヾ       ヾ ≧
        。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 。


予想外の事態に思わず水を吹き出してしまうやる夫。

185 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:55:22 ID:QUuUB0ls0
「なな、なんだおアレ!?あんなもん反則だろうがお!!!
 おおおお落ち着け、そそそそ素数を数えて落ち着くんだおおおおお、1,3,5,7,9…」

やる夫が焦りを募らせている間にも、戦車はやる夫に近づいてきている。
とっさに逃げようとしたやる夫だが、足をつんのめらせてその場で転んでしまった。

(あばばばばばばばもう無理、オワタ、やる夫の冒険はここで終わってしまうんだお…)

やる夫は頭を抑え、震えながら死を覚悟した。



(あれ?参加者がいるよ。なんかすごく怯えてる…それに怪我もしてるみたいだ。たぶん殺し合いには乗ってないんじゃないかな)

道端に座り込んでいるやる夫を発見したチハはやる夫に近づいた。
次第に怯え始めたやる夫に何度か声をかけたが成果はなく、背を向けて丸くなっているやる夫の前でただ佇むしかなかった。

(うーんどうしよう…お姉さん、ちょっと出てきて代わりに対応してよ)



…………お姉さん?

チハの発した言葉にやる夫は反応する。
会話の内容から察するに目の前の戦車の乗員は二人以上、一人は声の感じからしておそらく少年だろうか。
そしてその声の主が残りのうち一人の乗員を「お姉さん」と呼んでいる。


つまり


戦車の中にいるのは


「お…お…お…」



゚ | ・  | .+o   ____* o。 |。|   *。 |
゚ |i    | +   /_ノ ' ヽ_\   | |!    |
o。!    |! ゚o /(≡)   (≡)\   | * ゚ |
  。*゚  l ・/::::::⌒(__人__)⌒:::::\ |o  ゚。・    
 *o゚ |! |     |r┬-|     |  + *|
| ・    o \      `ー'´     / *゚・ +||    
 |o   |・゚  >         |  *。*   |    
* ゚  l|  /           |    | +|
 |l + ゚o  /           | *゚・ ||  ・ |o
 o○ |   | 丶    ヽ  /  | *o|  *。
・| + ゚ o /| /     | /   |  O *。|
 O。 | ( ∪  / ̄\∪  ノ。* 。   |
 o+ |!* \  /     |  ノ   |  *o|
 |・   | ゚・  )ノ     \ | o○ |!


「おにゃのこおおおおおおおおおお!!!!!」

186 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:56:11 ID:QUuUB0ls0
やる夫の中から疲労も恐怖も何もかもが消し飛んだ。
「戦車の中でお姉さんとキャッキャウフフしたい」という思い一心で、
未だ丸出しの息子を滾らせながら戦車へと駆け出す。

その間に戦車のハッチが開き、中から乗員が姿を現した。





J( 'ー`)し



       ____
     /_ノ ' ヽ_\
   /(≡)   (≡)\
  //// (__人__) ///\
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /

       ____
     /_ノ  ヽ_\
   /(○)   (○)\
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /

       ____
     /-‐  ‐-\
   /(●)   (●) \
  /    (__人__)    \
  |      `ー '     |
  \              /


      / ̄ ̄ ̄\
    / ─    ─ \
   /  (●)  (●)  \
   |    (__人__)    |
   \    ` ⌒´    /
   /              \



「いやいくら死ぬ前にセクロスしたいとは言っても、羊水の腐ったBBAとなんてごめんだお。
 やる夫にだって選ぶ権利ぐらいあるお。ていうかマジ萎えたんだけどやべえどうしよう」

期待はずれの結果にやる夫のテンションは大幅ダウン。
頂点を向いていた息子も次第に地面へと頭を垂らし、平常時のように収縮し始めた。
今のやる夫の心情は、例えるなら自慰行為中にうっかり母親の顔を思い出してしまった際の物と同じだった。

(な、なんだろう…急に元気になったと思ったら、また静かになって何か言い出したけど…)
「あなた参加者でしょ?私達は殺し合いには乗ってないよ。あなた名前は?」

やる夫のテンションの高低の激しさにオロオロしている同行者を尻目に、
戦車の中から現れた中年の女性がやる夫に話しかける。
それにやる夫は表情も変えず冷徹に返した。

187 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:56:52 ID:QUuUB0ls0
「人に名前を尋ねるときはまず自分から名乗るもんじゃないかお?
 そもそもやる夫にはBBAに名乗る名前なんてないお。
 教えてほしければ年頃のメスの一人や二人ぐらい連れてこいお。それじゃやる夫はこれで」





J( 'ー`)し



     ↓マッマ
     ,,,,, ,,,,,,_
   ,,;;;彡-ヽ;;;;;;;                      /ヽ_,-
  {;;彡;;;;;;;;;;-"`;}                  ヽー-'
  {彡< //、_,-'_ヽ       ↓やる夫      /
   >;/ ,---, l三|)      ,-、         ゝ~     が
  ヾ=、. '^"`.ヽ,. |/^ヾ-、__/'_ ヽ        <
   ,-ヽ.  _'=-'、/ こ\\/: :-/`-、     ノ     あ
. _,-ー/|::|ヽ、' ~./-,、__~ヽ 〉'|ヽ/: : : : : :\   \
': : : : ヽ|: ヽ `>< |.  `;;-///: : : : : : : : ヽ  ノ     あ
ヽ: : : : |: :/、 /ミミ/'|  ;;. |<: : : : : : : : : / \ `)
: :ヽ: : :'-/: .ヽ /,:ヽ.|  ; |、ヽ。。o-::/     ヽ<     あ
-、: :ヽ: :<: : ヽ/ヽ;>ヽ l .|_/-、:_/>----ー--、\ヽ_
~ー-::<: :ヽ: :/;/|/  〉  )-,、 ,_/    ̄ ̄`-、  ヽ, )>、 あ
: : : : : :|:/: :.>;;(/, , }`---' > / ,-、      \ \  ヽ
: : : : : : ): : :|ー( }ヽ.ヽ.ヽ-、_,/   /~          ヽ<./
: : ://`/~:~:~: :ヽ^>-' ;;ヽヽ:l:ヽ-'/           ヽ|


      __          __
     _l\ \―――― _'\_ `,,_
     `ヽ l´ ̄、、 `lヘ,rl´、,, _,,゙l‐'-/ヽ
    /ヽ、\ ヾll ,/゙ト 、`,,_ ‐'' _,,'ソ
     l  l;;ヽ、ヽ,,/\ l ` ‐ ̄ r_―_,、'l' \       それ以上いけない
    ヽ ' ,. 、,,!、,\ \、,,_ ll_(,ヽ、llノ ―' \
      ヾ,l |;l、、ヽ \ \,,_  ̄_ヽo_`_‐ ,,ヽ
      ヾ,'l |;l、、,,!、,\/,_ ` '' ‐.‐_‐:"l (( 、) i_',、
        ヾ,'l |;l、、ヽ、,\゙' ‐、'ー‐'"  ̄ `' 、 \
         ヾ,'l |;l 、、,,!、,ヽ、、\  _ 'O,_ \ ヽ
           ヾ,'l |;l、、,,ヾ‐ ` ''l        ̄ヽ ´=ヽ
            ヾ,'l |;l| |;;三;;l  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /,l l;;三;;l
              ヾ,'_,,、ノ爰;;/‐' ̄ ̄ ̄ ̄ヾ,‐',ノ爰;;/
                  ̄´            ̄´




188 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:57:26 ID:QUuUB0ls0
中年の女性、畜生マッマと同行する戦車、チハはやる夫と名乗った怪我人を保護してチハの中で情報交換を始めた。
まず戦車チハが参加者の一人であることを伝え、やる夫からこれまでの経緯を聞きだす。
しかしやる夫の説明を聞いている途中から、すでにマッマのやる夫に対する印象は最悪だった。

「ええと、やる夫はまずおにゃのこをレイ…じゃなくて、おにゃのこを助けてお礼にセクロ…でもなくて」

要するにこの男、ただの暴漢である。
ああだこうだと誤魔化そうとしてはいるが、ところどころに本音が見え隠れ。
その身に負った怪我も付着した血も、全て自業自得だった。

「…どうやらあんたを助けたのは間違いだったみたいだね…」
「そ…そんな言い方酷いお!た、確かにやる夫もちょっとどうかしてたとは思うお…
 でももうむやみやたらに襲ったりなんかしないお。
 それよりも、やる夫が逃げてきた方には行かないほうがいいお。
 二人も参加者を殺した黄色い化け物がいるんだお」

やる夫の弁明を半ば聞き流していたマッマだが、思わぬ情報に驚きを見せる。

「ちょっと待った!黄色い化け物が二人も殺したって…?」
「そ、そうだお…それを見てやる夫は逃げてきたんだお」
(黄色い化け物って…お姉さん…)

「黄色い化け物」。数刻前に看取った一等自営業が、仇と言って憎んでいた参加者。そして…
もし二人の殺人者が同一人物だとするならば、その犯人は野球場の方面へ向かっている事になる。
マッマは少し考え込み、やる夫に向き直った。

「ちょっとその現場まで案内してもらえないかしら」
「は、はあ!?あんた何言ってんだお!?話聞いてたかお!?
 やる夫はもうあんな殺人鬼のいるところに戻りたくないお!!」

それを聞いて今度はやる夫が驚く番だった。
たった今その現場から逃げてきたというのに、再び戻されるというのがやる夫は不満だった。

「ゴチャゴチャ言ってんじゃないの、粗末なモノ付けてても男でしょ。もっとシャキッとする!」
「ふざけんじゃねえお!もうあんた達には付き合ってられないお!やる夫は降ろしてもらうお!」

やる夫がハッチから体を乗り出し外に出ようとしたところで、マッマに引っ張られ再びハッチの中に引き摺り込まれた。

「ちょ、何するんだお!離せお!」
「うるさいね、私だってあんたみたいなダメ男どっかに捨て置きたいところだけど、仕方なく嫌々連れ添ってるのよ。
 わかったらさっさと案内する、ホラ!早くしないとこいつであんたの愚息を叩き潰すよ!」
(ちょっと二人とも、僕の中で暴れないでよ…)

苛立ちを高まらせたマッマは、支給品のハンマーを取り出しやる夫の前にちらつかせる。
そうして泣き叫ぶやる夫を強引に殺人現場まで案内させた。
複雑に逃げ回っていたわけでもなかったので、やる夫も漠然とではあるが道順を覚えていた。

「ううう…やっぱりここの参加者みんな怖いお…あ、そこの角を左だお」
(でもしょうがないよやる夫君…僕だって怖いけど、隠れてたって何にもならないし。
 それに、ついさっき出会った人が僕らに遺言を残して亡くなったんだ。
 『黄色い化け物を殺して仇を討ってくれ』って。
 殺すかどうかはともかく、 あの人の想いを無視するなんてできないよ)
「そんなこと言ってるけど、チハだってこのおb…お姉さんが怖くて従ってるだけだお?」
(い、いや…そんなことは…痛っ!お姉さん、床を叩かないでよ…!)

やる夫の証言の中にも出てきた「黄色い化け物」。
マッマがそのフレーズに過敏に反応を示しているのにチハは気づいていた。
もしかして、何か心当たりがあるのではないか…?
それはまさかよく文句と共に口にする、彼女の息子の事ではないかとも思ったが、
一等自営業ややる夫の証言からイメージされるそれと現在自身に乗ってる女性が、血縁ましてや親子関係だとはとても思えなかった。

とにもかくにもマッマはその黄色い化け物なる人物の正体を確認したがっていると推測し、
消極的ながらも捜索を手伝おうと思っていた。
加えて一等自営業から想いを託されたという使命感もまた、少しばかり彼の恐怖心を抑える手伝いをしていた。

189 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:58:34 ID:QUuUB0ls0
「はあ…やたら説教してくるところとか、暴力的なところとか、なんだかやらない夫にそっくりだお…あ、そっち右だお」
「あんたの友達かい?そんな友達がいるなんてむしろ運がいいじゃない。その子もあんたのためを思ってやってるんでしょうよ」
「そんなはずないお。ここでもやる夫のこの綺麗な顔を思い切り蹴ってきたんだお。親にも蹴られたことないのに…」

呟きながらやる夫は自分の頬をさする。
傷に隠れているが、よく見ると確かに軽い痣ができていた。

「"ここ"って…その友達も参加させられてるのかい?」
「お、おお…たぶんそうだお。最初に集められた会場でやる夫のすぐ近くにいたんだお」
「じゃああんたその友達が心配じゃないの!?」
「だ、だって…生き残った一人しか帰れないんだお?やらない夫の心配なんてしても無意味じゃ…」

やる夫の返答を聞いたマッマは、顔を抑え大きく溜息をついた。

「うちの息子にも引けをとらないぐらいのろくでなしだね、あんたは…
 こんな状況下で友達ほっぽっといて、やってることは女漁り?
 そのやらない夫って子に同情すら湧いてくるよ」
「う、うるさいお!やる夫だって大変だったんだお…攻撃されたり疑われたり…
 おばさんにどうこう言われる筋合いはないお…!」
「用が済んだら私達の弾除けにでもなってもらおうかね…」

度重なるマッマの言葉責めがやる夫の心を刺したが、それが次第にやる夫の心に現実感を与えていた。

(でもよくよく考えてみると、この状況って結構チャンスなんじゃないかお?
 ちょっと狭いけどこの戦車の中にいれば安全だし、あいつの持っていた拳銃なんてちっとも怖くないお。
 ただ問題はこのおばさんと一緒にいると、おにゃのこを見つけてもセクロスできそうにないという点だお。
 というかこのおばさんと一緒にいるだけで性欲なんてちっとも湧かないお…)

先程までの衝動が嘘であるかのように、やる夫の心は冷静さを取り戻していた。
どんなに逃げ回ったところで、首輪を嵌められ殺し合いの最中にいる限り安全地帯など存在しない。
同行者に不満はあるものの、戦車と行動を共にしている現在のやる夫の状況はまさに不幸中の幸いなのだ。
戦車から降りて彼らと離別しようとした自分のなんと間抜けなことか。自身の行動を反省し、やる夫は考えを続ける。

(そもそもやる夫は本当におにゃのことセクロスできればそれでよかったのかお?
 やらない夫が誰かに殺されても?やらない夫はたぶん殺し合いには乗ってないお。
 殺し合いから脱出する方法や、もしかしたらやる夫を必死に探してるのかもしれないお。
 それなのに…やる夫はこれでいいのかお?)

性欲喪失による無気力感のためか、とりあえず身の安全が確保できたためか。
やる夫は、共に巻き込まれている親友や殺し合いについて思考を巡らせることができていた。

やる夫の暴走は本当に彼の性欲のみに起因するものだったのか。
ひょっとすると今の苦境から彼の心を守るために働いた、一種の防衛本能だったのではないだろうか。
ともかくこの一連の出会いや出来事はやる夫に幾ばくかの変化をもたらしていた。
その変化がただ一時のものであるかどうかはまだわからない。

「そこずっと真っ直ぐ・・・あ、何か飲み物ないかお?」
「コーラならあるよ(ニッコリ」



          ,-‐-、
          | 醤 |  ング
   ング     | 油 |
          |   |
      / ̄⌒)  (⌒ ̄\ング
    / ,. ^‐'_ヽ /__ー^ 、 \
  / // ̄ ` ⌒ ´ ̄\\ \
 (  </            \ノ   )
  \ \           / /
 ング \ \       / /
                   ング


         ___
        /⌒  ⌒\         ━━┓┃┃
       /(  ̄)  (_)\         ┃   ━━━━━━━━
     /::::::⌒(__人__)⌒:::: \         ┃               ┃┃┃
    |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                       ┛
    \   。≧       三 ==-
        -ァ,        ≧=- 。
          イレ,、       >三  。゚ ・ ゚
        ≦`Vヾ       ヾ ≧
        。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 。




(うわっ、汚っ!)

190 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:59:29 ID:QUuUB0ls0
【E-1 /1日目・早朝】

【やる夫@ニュー速VIP】
[状態]:負傷(中程度)、血が付着、テンションsage、擬似賢者モード
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2(確認済み)、しょうゆ一㍑(1/4消費)@現実
[思考・状況]
基本:性欲喪失。とりあえず今は生き延びる
1:オエーッ!
2:畜生マッマを殺人現場に案内する
3:でも戻りたくない
4:畜生マッマから離れたい
5:でもチハからは離れたくない
6:やらない夫がちょっと心配
7:でもやっぱりおにゃのこには会いたい
※やきうのお兄ちゃんを危険人物だと認識しました(名前は把握していません)
※擬似賢者モードによりテンションが下がり、冷静になってます。性欲が回復すれば再び暴走するかもしれません。



【畜生マッマ@なんでも実況J】
[状態]:健康、やる夫にイライラ
[装備]:ぬるぽハンマー@AA
[道具]:基本支給品一式×2、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜1(治療に使えそうなものは無いようです)、ハイヒール一足@現実
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める
1:やる夫が目撃した殺人現場へ案内させる
2:野球場方面へと向かう
3:やる夫をどっかに捨てたいが、野放しにするのもまずい気がする
4:もしバカ息子がいたら……どうする?
5:やる夫の友達のやらない夫に親近感



【チハ@軍事】
[状態]:損傷無し、燃料残り92%、内部が少し醤油臭い
[装備]:一式四十七耗戦車砲(残弾無し)、九七式車載重機関銃(7.7mm口径)×2(0/20)
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1〜3(治療に使えそうなものは無いようです)
[思考・状況]
基本:死にたくない
1:やる夫の案内どおりに進む
2:殺しに乗った人に遭ったら……どうしよう
3:お姉さんは黄色い化け物に心当たりがあるのかな?
※チハは大戦中に改良が施された、所謂「新砲塔チハ」での参戦です。
※チハは自分の武器の弾薬が無い事にまだ気づいていません。


<<支給品紹介>>


【ぬるぽハンマー@AA】

ぬるぽとレスされたらガッとレスし返す2chではお約束の流れ。
その際に用いられるAA↓で使用されているハンマー。

  ( ・∀・)   | | ガッ
 と    )    | |
   Y /ノ    人
    / )    <  >__Λ∩
  _/し' //. V`Д´)/
 (_フ彡        /
  ↑これ



【しょうゆ一㍑@現実】

キッコーマン印。飲みすぎると死ぬ。

191 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 01:59:50 ID:QUuUB0ls0
「オイオイ…センシャトカマジネーワ…(うーむ…戦車は流石に厳しいな…)」

グンマーは田代から逃げ果せたあと、北へとキャタピラを走らせる一台の戦車を発見していた。
現在の武装で戦車を相手取るのは流石に部が悪いと判断したグンマーは、
相手が戦車から降りたところを襲って戦車を奪おうと、陰に隠れながら後を追っていた。

スピードをあまり出してはいないうえに、
入り組んだ街中では戦車の機動が鈍くなることも相まって、
グンマーにとって尾行するのは容易かった。

しばらく尾行を続けていると突然戦車のハッチが開き、中から小太りの男が顔を出した。

「ヤベッ!バレタカ!?(しまった!勘付かれたか!?)」

咄嗟に身を隠すグンマー。
だが男はすぐにまた戦車の中に身を引っ込め、操縦を続けた。

「ビビラセヤガッテ…キノセイカ…(驚いたな…きのせいか…)」

気づかれずにすみほっと胸をなでおろす。同時に彼はある一つの確信を得ていた。

(あいつも試練を受けている新成人だな…)

軍事技術が発達している彼の故郷では、兵器の扱い方も子供のうちからある程度教えている。
グンマー出身者ならたとえ未成年でも戦車を操縦するなど容易なことである。
当然彼も簡単な戦車なら乗りこなすことができた。
故に彼は戦車に乗っている男を自分と同じグンマー出身の新成人だと思っていた。

男がすぐに身を引っ込めたのも、自身の気配を察知したからではないかとグンマーは推測していた。
もし男がそのまま戦車を降りていたら、グンマーは咄嗟に駆け寄って出てきた男を殺していただろう。
その危機を回避した事からも、戦車の操縦者は只者ではないと思い込んでいた。

自分同様に誇り高い戦士を目指す者を殺すのは心苦しいが、席が一つと限られている以上、心を鬼にしなければいけない。
戦場では時に仲間の命を踏み越える勇気も必要なのだ。
グンマーはより警戒を強くしながら再び尾行を始めた。


【E-1 /1日目・早朝】

【グンマー@まちBBS】
[状態]:健康、首筋に血を吸われた痕、首元から出血(微量)
[装備]:熱光学迷彩服(所々破れている)@攻殻機動隊
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本:優勝して、村を守る戦士になる
1:戦車(チハ)を尾行し、隙を見て奪い取る
2:使えそうな武器を探したい
3:武器が見つかるまでは弱そうな参加者のみを仕留める
※チハを支給品だと思っています。また、畜生マッマが乗っていることに気づいてません
※やる夫を自分と同様に成人の儀を受けているグンマー出身者だと思っています

192 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 02:00:34 ID:QUuUB0ls0
投下終了です。

193ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/03/03(日) 08:21:30 ID:v0nbD/vM0
仮投下乙 内容は問題ないと思う あとはタイトルが足りないくらいですかね
醤油といえばブームくんを思い出すなぁ

194ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/03/03(日) 17:27:45 ID:S9sIsx2Q0
仮投下お疲れ様です
問題ないと思いますよー

195 ◆1WOpAbkgRc:2013/03/03(日) 23:22:17 ID:yEFc7cqQ0
全鯖規制により2chに書き込めないので、どなたか代理投下お願いします。
タイトルは「おっぱいなんて、ただの脂肪の塊だろ」で

196 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:51:56 ID:Y9OHWRk60
近所のネカフェからの投下を試みましたが、proxy規制がかかっておりました
こちらに投下いたしますので、どなたか代理投下していただければ幸いです

197 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:52:31 ID:Y9OHWRk60
――夢を見た。



随分と昔のことのように思えた。
なにせ、俺が道を行けばその不吉な体に罵詈雑言を浴びせられていた頃だ。
罵詈雑言だけならまだよかった、ガキどもが悪魔退治ごっこでもしているかのように石を投げつける時だってあった。

俺の身体は生まれつきこんな真っ黒なものだった。
まだガキだった頃は、どうして俺がこんな目に遭わなきゃいけないのかが分からなかったな。
俺は成長するにつれて、俺をこんな目に遭わせた人間どもを、俺をこんな体に生んだ親を、境遇を呪ったりもした。
だが、呪っていたところで状況はまるで変わりゃしなかった。
矛先を向ける先を見失った俺は、次第に何もかもがどうでもよく思えるようになった。

俺の一生は、生きとし生けるもの全てに疎まれ、憎まれ、蔑まれ……そう定められているのだと、諦めた。
孤独なその環境こそが俺にとっての楽園であり、その方が気楽なんだ、そう思っていた。
自分以外の誰かのことを思いやることなんて、面倒で仕方が無かったし、考えたことさえなかったかもしれない。



夢の中で一本の手が差し伸べられた。
この手は……忘れるものか。
街の片隅で傷ついていた俺を抱き寄せようとする、その男の腕を。
俺に石を投げつけた奴らと比べると、妙に頭身が大きなその男の腕を。

アイツは売れない絵描きだった。
誰にも相手にされず、それでもなお自分の描きたいものを一心に描き続けた男だ。
僕らは似た者同士だな、そんなことも言っていたっけな。

冗談じゃなかった。
アイツの境遇がどうだか知った事じゃないが、俺の楽園にずかずかと足を踏み入れてきた侵略者、最初はそう思っていた。
だから、俺を抱きかかえようとするをアイツの腕の中で暴れ、その手を跳ね除け、爪を立てたりもした。
今にして思えば、アイツの商売道具に傷をつけたわけなんだよな……ちょっと悪いことしたな、と思う。

そんな俺の抵抗などお構いなしに、アイツは何度も何度も俺の前に現れては懲りずにその手を差し伸べて来た。
いったい何を考えていやがる、ってのが率直な印象だった。
俺の皮でも剥いで三味線でも作る気か、あるいは保健所から送り込まれた刺客なのか。
はたまた魔除けのグッズにでもして商標登録でも取るつもりか、そういう穿った見方しか出来なかった。

最後はもう根負けだったのかもしれない。
俺を抱き寄せて頬ずりしてくるアイツのことを正直キモいとは思いながらも、観念したんだ。
もう煮るなり焼くなり好きにしてくれ、って感じだった。
優しさだとか温もりだとか、そんなものの存在を信じられなかった俺が、初めてそれらを身に受けた瞬間だった。



人々が忌み嫌う俺の黒い毛並みを、アイツはこよなく愛してくれた。
「ホーリーナイト」なんて大層な名前まで俺によこしてくれた。
意味はなんだと聞いたら「黒き幸」だってよ、不吉だと蔑まれた俺に随分と皮肉めいた名前じゃないか、気に入ったぜ。

アイツは俺のことを何度も何度もキャンバスに描き続けた。
それ自体は悪い気分じゃなかったが、元々大して売れてもいないアイツの絵はますます世間に相手にされなくなっていった。
その日暮らしという言葉がまさにピッタリだったが、まぁそんなことは俺にとっちゃ慣れっこだったんだけどな。
でも、ただでさえデカい図体のアイツの身体は見るも無残にやせ細っていった。
食っていくためには別の絵を描くことだって出来たはずだった……が、アイツはそれをしなかった。

アイツが今わの際に俺に託してくれたことがある。
故郷でアイツの帰りを待つ恋人に手紙を届けてくれないか、と。
冷たくなって、二度とその目を開けなくなったのを看取ってから、俺は飛び出したんだ。



そして――





 *      *      *




「アピャーッ!?」

腹を貫くような激しい痛みに襲われて俺は飛び起きた。
また痛みで意識が飛んでしまいそうになるのを何とかこらえる。

「ぐっ……俺は……いったい……?」

首を動かすのも億劫な状態だったが、今の状況を確認しなきゃならない。
視界に入ったのはメガネをかけたオッサンと、その後ろでなんだか所在なさげにボンヤリとしている猫だった。

198 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:53:04 ID:Y9OHWRk60
「おや、気が付きましたか。今、手当てをしますからね」

そう言うとオッサンは「マキ○ン」と書かれた容器を俺に押し当てる。
中身は消毒液なんだろう、またさっきと同じ突き抜けるような痛みが俺の腹を走り抜けた。

「ぎゃおおおん!?」

思わず情けない叫び声をあげてしまった。
耐え切れない痛みに、思わずジタバタと身をよじろうとする俺を、オッサンががっちりと押さえつける。

「動かないでください、ちゃんとした手当てが出来ませんから」

そう言いながらまた「マ○ロン」を持った手を俺の方に伸ばして来る。
ふざけるな、誰がそんなこと頼んだって言うんだ……と口にする前に三度痛みが走る。

「ぶるぅぅあぁっ!?」

もういっそこのまま殺してくれ、と思うほどの痛みだ。
恐る恐る腹の方に視線を向けてみると、何をどうやったらこんな風な傷が出来るのかと思うほどに俺の腹はただれていた。
切り傷でも、刺し傷でもない、じわじわと広範囲にわたって感じる痛みの下からは、ジワジワと血が染み出してきている。

「君を見つけたのが襲われてすぐで良かった。少しでも遅れてたら危なかったかもしれませんよ」

オッサンがそう言うのを聞き、俺はようやく何があったのかを思い出すことが出来た。
スーツを着込んだ、目の前のオッサンとは別の男に出会ったことを。
殺し合いに勝ち抜いて世界を美しくするという願いを叶えるんだという世迷言を聞かされたことを。
そして、そいつが妙なバケモノを繰り出してきて、抵抗空しく変な攻撃を受けたことを。

(クソッ、つーことは、俺はあのバケモノにやられた、ってわけか……!)

痛みに耐えるのも兼ねながら、俺はギリッと歯ぎしりする。
それでもなお俺が生きてる、ってことは……殺されそうになったところにこいつらがやって来た、ってことか……?

「心配いりませんよ、あの生き物を操っていた男はもうここにはいませんから」

俺の心を読んだかのように、オッサンが話す。
そして、口を動かしながらも、手にしたガーゼで俺の腹を丁寧に処置し、最後にクルクルと包帯を巻きつけていった。

「これでよし……と。これで命の心配をすることは無くなったと見ていいでしょう」

ふぅっ、とオッサンが自分の額の汗を拭った。
為すがままにならざるを得なかった俺の身体にはその黒い毛の中にいっそう目立つ白い帯が巻かれていた。
これじゃ、闇夜に溶け込むことも出来ない、目立って仕方ないじゃないか、と俺は内心毒づいた。

「……ホントに? ホントにもう大丈夫ナノ?」
「ええ。しっかり消毒もしましたから、破傷風にかかることもないでしょう」

今までずっと黙りこくっていた猫が、不安そうにオッサンに問いかけた。
声のトーンからすると、コイツは雌猫か。
そんな不安を鎮めるかのように、オッサンは優しく返した。

「……ヨカッタ、ヨカッタよぉ!」
「ぬぅおわっ!?」

次の瞬間、雌猫が駆け寄って俺に抱きついてきた。
衝撃でまた腹に痛みが走るが、そんなのはお構いなしと言わんばかりにギュウギュウと俺を抱きしめてきやがる。

「ヒドイ……こんな黒コゲになっちゃって……」

俺にしがみつきながら雌猫は涙を流し続ける。
……ってちょっと待てゴルァ、誰の身体が黒コゲだっつーんだよ!
こちとら、この黒い毛並みを少なからず誇りに思っているっつーの!

「まったくです。これほどの大ヤケドを負って命があること自体が奇跡と思っていいでしょう」

うおーい!! オッサンもかゴルァ!!
大ヤケドだと思ってんなら、全身に包帯巻きつけてみろってんだよ!!
だいたい、全身真っ黒コゲになって生きている生き物がいるわけないだろ、常識的に考えて!
チクショウ、こいつら俺の毛並みをバカにしてやがるのか……?

199 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:53:37 ID:Y9OHWRk60
「ワタシ……ワタシ……ギコ君が死んじゃうかと……」

そんな俺の心中など知る由もなく、雌猫がおいおいと泣き続ける。
……ん? なんでコイツは俺の種族を知っていやがるんだ……?
そう思った瞬間に雌猫がまた俺にしがみつく手にギュッと力を籠めたらしく、俺の身体に何度目か分からない激痛が走る。

「はっ、離せゴルァ!!」

痛みに耐えかねて、というのもあったし、知らない奴に抱きつかれて訳が分からない、というのもあった。
俺は痛む体をおして、その雌猫を思いっきりドン、と突き飛ばした。
キャッ、と小さな悲鳴を上げてその雌猫が地面を転がった。

「ゴ、ゴメンね……? その……い、痛かった……ヨネ?」

その瞳を涙で潤ませながら、雌猫が上目づかいで俺を見つめる。
雌猫の一点の澱みもないその目と俺の目が合い、思わず俺は舌打ち交じりに視線を逸らしてしまった。

「気持ちは分かりますが、ダメですよ、しぃさん。あんまり傷に障るようなことをしては」
「……ウン」

オッサンが雌猫を宥めるように語りかけた。
……ん? しぃ……? どっかで聞いたような……うっ、頭が……

「……なんなんだよ、アンタらは」
「おっと、これは失礼。申し遅れてしまいました、ギコさん」

このオッサンもか。
何だって俺の種族を知ってやがるんだ? それも、さも俺の名前であるかのように扱いやがって……

世の中にゃ、俺以外にも山ほどギコ猫ってやつがいるらしい。
それらに共通しているのは、口が悪いことと、反骨精神を持ち合わせているということ。
とりわけ、黒く生まれちまった俺は、周りの環境も手伝ってか人一倍反骨精神が強いという自負はあるんだがな。

「私はいわっちと申します……まぁ、しがないゲーム屋でして」

俺が向ける警戒の視線などどこ吹く風、いわっちと名乗るオッサンがしぃを抱きかかえながら自己紹介する。
……ゲーム屋? そういやさっき俺を襲った奴もゲームがどうとか言ってやがったな……

「こちらはしぃさん、君のお知り合いでしょ……」
「……オイ」

いわっちとやらの話を遮るように俺は凄んで見せた。
警戒、というよりももう敵意を籠めた視線をぶつけてやったが、オッサンは怯む様子もない。
抱きかかえられたしぃって雌猫が、意外な物を見るような目で俺のことを見つめていやがる。

「ゲーム屋、っつったな……もしかしてオッサン、アンタは俺をこんな風にした奴の知り合いじゃねえのか? え?」
「それは……」

図星だったのか、いわっちの顔が少しばかり歪む。
……だけど、それも一瞬のことだった。
すぐに平静さを取り戻したのか、さっきまでと変わらない落ち着いた口調に俺に話す。

「確かに、あの男は知らない仲ではありません」
「いわっちサン……」
「えぇ、大丈夫ですよ、しぃさんが心配するようなことではありませんから」

不安げな表情で見上げるしぃの頭を、いわっちがそっと撫でるのを俺は冷ややかな目で見ていた。

「彼との関係は……なんと言えばいいでしょうかね。
 まぁ、一番シンプルに表現するとしたら……そう、ライバル、とでも呼ぶのが近いでしょうか」
「ライバル……ねぇ」
「そうです。時に切磋琢磨し、時に手を取り合い、互いを高め合ってそれを世に還元する……それが私と彼の関係です」
「するとアンタもアレか、あいつと同じように世界を美しくするために俺に死ね、ってか」

俺がピシャリと言い放つが、いわっちは首を軽く横に振るだけだった。

「……いえ、そんなことは。どうやら彼とは道を違えてしまったようですし」
「……へっ、どうだか。口じゃいくらでも言えるからな」
「そんな……ギコ君……!」

まただ。
しぃって奴があたかも俺とは旧知の仲であるかのように話しかけてきやがる。
反発するかのように俺がキッと睨んでやったら、すぐにしぃは視線を逸らして俯いた。

200 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:54:06 ID:Y9OHWRk60
「……言葉だけじゃ信じてもらえるか分かりませんが……
 少なくとも、私たちがそのまま放っておいたら君の命は危なかったでしょう。それは分かりますね?」
「それはまぁ……そうだけどよ」

確かにこのオッサンが居合わせていなかったら、俺は今頃惨めにのたれ死んでいたかもしれないわけだ。
それを思えば、少なくともこのいわっちとやらがさっきの奴と違って殺し合いには乗っていないのかもしれない。

……だけど、それを額面通りに信じていいのか?
俺をしつこく追い回して保護してきたアイツ以外の奴は、皆が皆俺を忌み嫌っていたんだぞ?
そんな俺にアイツと同じような優しさだとか温もりだとかをくれるやつなんてそうそういるわけないじゃねえか。
それこそ、今後は体のいい駒として使われる可能性だって無くは無いんだからな。

「……ともかくギコさん。私たちは殺し合いに乗るつもりはありません。
 むしろ、彼のような者たちに対抗し、殺し合いを停めたいと願っているのです。
 その為に仲間を集め、時期が来たら……」
「お断りだゴルァ」

俺の言葉に、いわっちがキョトンと目を丸くした。

「大体、さっきから人のことギコだギコだ、ってなぁ……
 間違っちゃいねえが、俺にはちゃんとホーリーナイトって名前が……」
「ギ、ギコ君……? なに言ってるノ……?」
「うるせえっ! ちゃんと名前で呼びやがれ!!」

……ったく、一体なんなんだよ。
なんで俺はアイツにギコって呼ばれるだけでこんなにイラついてんだ……?
俺の言葉を受けて、またさめざめと泣くその姿がさらに俺の苛立ちを増していきやがる。

ダメだダメだ、助けてもらったのはありがたいが、このままコイツらといても精神的に保たねえ。
俺はスッと立ち上がって、まだ痛む腹に手を当てながらゆっくりと二人に背を向けて歩き出した。

「待っテ! そんな……そんなケガしているのに歩き回ったら……ギコ君、死んじゃうヨ!?」
「だからそうやって呼ぶなっつってるだろーが!!」

振り向いて俺が怒鳴ると、もう雌猫の口から言葉が発せられることは無かった。
呆然自失、といった具合の表情を見せている。

「……俺だって殺し合いなんてさらさらゴメンだ。
 だけどな、俺にゃやらなきゃいけねえことがあるんだよ……だから邪魔するんじゃねえ」

口から出まかせだった。
俺としては独りでいる方がよっぽど楽なんだ、今までそうだったし、これからもそのつもりだ。
だけど、それをそのまま口に出しても、はいそうですか、と納得する連中には見えなかった。
アイツならまだしも、それ以外の奴にあれこれと付き纏われるなんて想像したくもねえ。
だから、適当にやらなきゃいけないこと、なんてことをデッチ上げてみた。

いわっちって奴が、俺の決意がもう揺るがない、ということを悟ったような、そんな表情に変わった。
もうこれで俺に構ってくることもねえだろう、そう思い、もう一度奴らに背を向けて歩き出す。

「……助けてくれたのには感謝するぜ。だけど、もう俺には構うな……分かったな?」

そこまで吐き捨てて、一歩二歩と足を進め始めたその時だった。



「……ギコさん!」

背後からいわっちの声が聞こえる。
もう振り向いて怒鳴るのも面倒になってきたぞ、チクショウ。
一瞬足を止めてしまった俺だが、その声を無視して再び歩き始めようとした。

「……君の言うことは分かりました。
 君が何を為さねばならないのか、それを聞くのは無粋というものでしょう」

分かってるじゃねえか。だったら、さっさと行かせてくれや。

201 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:54:32 ID:Y9OHWRk60
          ホーリーナイト
「ですが、君が『聖なる騎士』の名に違わぬ気骨を持っているのでしたらこれだけは聞いてください!」

俺は動かそうとした足を再び止めた。

「私たちは12時までにテレビを使ってこの殺し合いを停めるよう呼びかけるつもりです!
 その際に力を結集する為にここ、森林公園に時間を決めて集うことも併せて呼びかけます!」

そこまで言われれば、その後に何が続くかぐらいは俺でも読めた。

「君のやらなければならないことが済んでからでも構いません……!
 その力をどうか私たちにも貸してほしいのです!」





   ∧∧
   /⌒ヽ)  「……勝手にしやがれ」
  i三 ∪
 ¬三 |
  (/~∪
  三三
 三三





そう吐き捨て、俺は森林公園を後にした。





 *      *      *





再びいわっちに抱きかかえられたしぃは、しばらくの間泣き続けた。
大好きなギコが助かったのは嬉しかった……が、その後に自分を拒絶するかのような言葉を浴びせられたことがこの上ないショックだったのだ。

「ドウシテ、ドウシテ……?」

泣きじゃくるしぃを抱え、いわっちはただ優しくその頭をポン、ポンと撫で続けていた。

「……しぃさん」
「……ナァニ?」

依然としてしゃくりあげながら、しぃがいわっちを見上げる。

「……パラレル・ワールドという言葉をご存知ですか?」
「……」

知らない、という言葉の代わりに、しぃはただ黙って首を横に振った。
そうですか、と一つ呟いたいわっちが言葉を並べる。

「簡単に言ってしまえば、色んな世界が同時に存在している、ということでしょうか。
 たとえば、恐竜という動物はこの世から滅んでしまいましたが、どこかに恐竜が今でも覇権を握っている世界があるかもしれない。
 あるいは、私のような人間ではなく、別の生物がこうして文明を築き上げている世界があるかもしれない。
 もっと単純に言えば、私が今ここでコインを投げたとして表が出た時の世界と、裏が出た時の世界が別々に存在するかもしれない、ということです」
「……どういうこと?」

少しばかり落ち着いたしぃが、いわっちに尋ねる。

202 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:55:06 ID:Y9OHWRk60
「……ギコさんは、もしかするとしぃさんの知っているギコさんとは別の世界から来たギコさんかもしれない、ということです」
「……エ?」
「そうでなければ、あそこまで彼がしぃさんに対してあのような応対をするとは思えないのです。
 しぃさんから聞いたギコさんは、口は悪いですけれども貴女に対してはあのように邪険に扱うようなことは無かったはず」

そこまで言ってから一呼吸置き、さらにいわっちが続ける。

「……もっとも、しぃさん。恐らくは貴女も私とは別の世界の住人ではないでしょうか?」
「……しぃが?」
「ええ。少なくとも、私の身の回りには貴女のように言葉を話す猫というものは存在しませんから。
 ですが、どこかに猫が言葉を使い、文明を築き上げている世界があるとして、そこからしぃさんがやって来たとすれば理屈は合います」

想像だにしなかったことを聞かされ、しぃは思わず黙りこくってしまう。

「それに、クタタンが使役していたあのような生物も……私の住む世界には存在はしていませんでした。
 支給品の一つなのでしょうが、それも様々な世界から集められたのだとすれば合点がいきます」
「じゃ、じゃあ……あのギコ君の世界にはしぃが存在していないかもしれない……ってコト?」
「その可能性はあります。見ず知らずの娘にいきなり抱きつかれればああいう反応も無理なからぬことかもしれませんねえ」

しぃは寂しさに囚われていた。
黒コゲになってしまったけれども、あのギコ猫が自分の知るギコ猫とは全く別の存在であること。
そして、あのギコ猫には自分にまつわる思い出などそもそもが存在しないということ。
見た目は同じなのに、そんなことが本当にあるのだろうかという思いを抱いていた。
いわっちの言うことも推測でしかないが……さっき見かけた怪物もしぃは見たことが無かったのだ。
とするならば、やはりさまざまな世界から参加者のみならず武器が集められているということを意味する、しぃはそう思った。
それはつまり、パラレルワールドの存在を認めることでもあり、あのギコ猫が自分とは何の繋がりもない赤の他人であることも認めざるを得ないことだった。

(デモ……)

しぃは心優しい。
たとえ自分のことを知らなくても、たとえ先刻のような扱いを受けたとしても。
黒いことを除けば自分のよく知るギコ猫を放っておくことが出来なかった。
出来ることならば、いわっちを置いてでもギコ猫の下へと駆け寄りたかった。
そこでどんなに邪険に扱われようとも、連れ添って歩いていきたかったのだ。
だが、それは自分をここまで守ってくれたいわっちとの決別を意味しかねないことをしぃは承知していた。
その選択を取れないのもまた、しぃが心優しい所以である。

「……大丈夫ですよ、しぃさん。ギコさんを信じましょう」

しぃの心中を知ってか知らずか、いわっちがしぃを励ますように声をかける。

「ギコさんには私たちの方針もお教えしました、テレビを使って停戦を呼びかけることもです。
 それならば、私たちがすべきことはなんでしょうか?」
「……それまでに仲間と情報を集めて……テレビ局に行くコト?」
「その通りです。ギコさんにやらなきゃいけないことがあるのと同じように、私たちもやらなきゃいけないことが多いのですから」

そう言ったいわっちが辺りを見回す。
漆黒の闇に包まれた森林公園の空に、ほんの僅かであるが光が射してくるのをいわっちは感じ取った。

「朝も近いですね。今しばらく仲間と情報を集め、テレビ局へと向かうことにしましょう。
 随分寄り道も長くなってしまいましたしね」
「ウン、分かったヨ」

203 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:55:41 ID:Y9OHWRk60
小さな手でしぃが涙を拭う。
そして、ギコ猫が向かった方角にもう一度視線を向け、その後で今出来る精いっぱいの笑顔を作っていわっちに向ける。
いわっちもまた、それに応えるように笑顔を作る。
それから二人はギコ猫とは逆の方向へと足を進め始めたのだった。



【C-2/森林公園/早朝/一日目】

【しぃ@AA】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:皆死んじゃうのはイヤ
1.ギコ君が心配だけど頑張らないと……
2.カイブツ(ネメア)がコワイ……
3.パラレルワールドってなんだろう?


【いわっち@ゲームハード】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、モデルガン@サバゲ、不明支給品(0〜2・本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いをやめさせる
1.色々な人に情報を訊きたい
2.反抗の手はずが整ったらテレビ局からダイレクトを行う(遅くとも12時までに)
3.様々な異世界から人や物が集められているのでは……?

※12時までにテレビ局で仲間集めを行うことをギコ猫に宣言しました。その際の集合場所は森林公園になります。





 *      *      *





俺は森林公園を出た。
これといって行く宛てはない。
今は闇夜を駆けるだけの体力も残っていない。
ただトボトボと彷徨うことしか出来なかった。

204 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:56:08 ID:Y9OHWRk60
俺は不器用だ。
優しさだとか温もりを与えられても、それを素直に受け取ることが出来ない。
自分の考えを力でねじ伏せられたとしても、それであっさりと生き方を変えることだって出来ない。



(そんなケガしているのに歩き回ったら……ギコ君、死んじゃうヨ!?)



脳裏にさっきの雌猫の声がリフレインする。
あのしぃって奴はなんだって俺にこうまで構おうとするんだ……?



……俺は何か大事なことを忘れているような気がする。
そもそも、俺はどうして最初に会った麻呂のような奴を知っていたんだ……?
次に出会ったお断り野郎は……どんな名前だったっけか……?
そして、あのしぃって雌猫は……?

頭が痛くなってきた。
殺し合い以外にも、今の俺には訳の分からないことだらけだ。



「勘弁してくれよ……休ませてくれ……」

今は頭も、身体もどこかでゆっくりと一人で休めたかった。
昔のように、誰にも邪魔されない寝場所を求め、少しだけ明るくなった街を俺は歩き続けた。



【C-2/森林公園付近/早朝/一日目】

【ギコ猫@AA(FLASH「K」)】
[状態]:打撲(小)脇腹のダメージ(中、治療済)、疲労(大)
[装備]:サバイバルナイフ@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本:生存優先
1:とりあえず休ませろ
2:本能に従って生き残る…のを否定されたがどうしろってんだよ……
3:仲間なんて煩わしいので作るつもりはない……が、いわっちの言うことは一応覚えといてやるか
4:しぃ……? うっ、頭が……
5:磨呂、お断りします(名前未確認)、モッピー(名前未確認?)クタタン(名前未確認)を警戒
6:ひろゆきはマジで逝ってよし


※ギコ猫と特に関係が深いAAの記憶(とりわけ「K」に出演していないAA)が抜け落ちています。
  しぃ以外の記憶については次以降の書き手の方にお任せします。
※いわっちがテレビを使って停戦の意思を呼びかけることを知りました。集合場所が森林公園になることも把握しました。

※コロちゃん@家族が増えるよやったねたえちゃん が破損しました。壊れたまま森林公園に落ちています

205 ◆shCEdpbZWw:2013/03/11(月) 10:57:09 ID:Y9OHWRk60
投下は以上です
この度は多大なご迷惑をおかけいたしました 改めてお詫びいたします

206 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:27:39 ID:5fphdqVU0
忍法帖のルールに関わる話なので、一度仮投下致します

207 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:28:07 ID:5fphdqVU0
「遅い……!」

読み終えた本をパタンと閉じて、キバヤシは呟いた。
あれから結構な時間が経った。バイク君はまだ帰ってこないのか。
話に聞く限り、レストランがある場所はそこまで遠くはないはずだが。

「川越に呼び止められて説得されてるのだろうか?……まぁいい、それならそれで俺だけで調査するまでだ」
「キバヤシー、ボクハー?」
「あぁ、ジサクジエン君。君にも手伝ってもらう。頼りにしているよ」
「オー!!」

この生物はジサクジエン、僕に支給された謎の生物だ。
UMAの類なのは間違いない。コイツは頭だけで動き、さらに人語を話す。
とても興味をそそられる存在だが、意思疎通をする内に『UMA』と言う観念が『相方』に変わってしまった。
そして気が付けば、ジサクジエンの調査は後回しでいい、先に鮫島事件を……と考えていた。
もはや「それがコイツの能力だろうか?」と疑いたくなるほど、コイツの存在は俺の中にスルリと馴染んでいた。
どうにもジサクジエンの方を調査する気が起きないため、結局鮫島の方を再開することにした。優先順位的に間違ってないため、構わないだろう。

ジサクジエンに手伝ってもらい、図書館中から集めてきたいくつもの資料や本。
机の上に山積み……というほど多くはないが、それらのうち、一つを手に取って読み始める。




……先程からいくつもの資料に目を通しているが、一向に情報がまとまらない……。
鮫島事件関連と思われる資料を抜粋し、メモを取ってまとめているものの、どれも内容に統一性が無い。
ある資料では「鮫島と言うコテハンの男がリンチされた事件」と書かれている。
またある資料には「鮫島代議士絡み」の話が語られた。
先ほどの資料じゃ「呪いが関係する」と記されており、この本には「2002年に自殺者、行方不明者が増えた理由に鮫島が……」と明言されている。

「きっとデマが……デマが多すぎるせいだ……。完全に隠蔽されてしまっている……」

そう、諸説を数多く流すことにより、どれが正しい情報かを判別出来ないようにする隠蔽工作……。
それがこの鮫島事件において行なわれている可能性が非常に高い。
この手法は有名なもので挙げれば『都市伝説』なんかに使用されている。

都市伝説のほとんどは、個人の範疇では真相が確認出来ない程の突拍子もない陰謀論やウワサが語られている。
そのどれもが妄想や夢物語のような内容であるものの、確実にウソだとは言い切れないようなものばかり。
―――悪魔の証明。"100%無い"と断定するのは不可能、そんな話が集められているのが都市伝説である。
そこが魅力であり、話のタネとして広がる要因なのだ。ただし、口では「本当にあるかもよ?」と語りつつも、多くの人々は内心では信じていない。

では、その突拍子のないウソが詰められた箱の中に、たった一つだけ突拍子のない『事実』を混ぜてみたらどうだろう?
それを真実だと見抜ける者がどれだけいるだろうか? 仮に見抜いたとしても、それを公表したところで人々は信じるだろうか?
……これがいわゆる隠蔽工作の一つ。木を隠すなら森の中とはよく言ったものである。
もはや真相と言う名の木は、とてつもなく広大な森の中に埋もれてしまっていた。


俺は荒々しく本を閉じると、机の上へと放り出した。
検証出来る術が無い状況で諸説ばかりを集めたところで、もはやどうにもならないだろう。

「調査が完全に行き詰まってしまったな……」

このバトルロワイヤルの真相へたどり着くまでの道のりは果てしなく長い。
そして、それまでに俺が生き残っていられるかどうかの保証は無い……。
あぁ、なんてやるせない思いなんだろうか。何も分からないまま、死んでいくのだと思うと悔しくてならない。
机に突っ伏したまま、感情に任せて拳を机に叩きつける。
ドンッ、と激しい音が薄明かるくなった図書館に響き渡り、やがてすぐに静寂が戻ってきた。

……音? そういえばこれは何の物音だ?

キバヤシが図書館内の『音』に注意を傾けた時、初めて先程からガサゴソといった物音がしていることに気が付いた。

「ジエン君、何をしているんだ?」
「ピーディーエーダヨ」

何かと思えば、退屈していたであろうジサクジエンが、キバヤシのデイパックを漁っていたようだ。
ジサクジエンはPDAを取り出して床に置いて、上に乗ったりして遊んでいた。

208 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:28:55 ID:5fphdqVU0
「……PDAか。ひろゆきは2ちゃんねるが閲覧出来ると言っていたが……」

キバヤシはジサクジエンからPDAを取り上げて、じっくりと観察をする。

「な、なんだこの凄まじい性能は……! 大型のコンピュータ並の機能性! さらに高画質!
 そしてこんなにもコンパクト……携帯電話のように折り畳む必要すら無いだなんて……!」

何を驚いているのかと思うかもしれないが、彼が活躍していたMMRは1990年代後半の話である。
その頃の携帯電話は、ここ最近画面がカラーになり、折り畳み携帯が普及してきた時代。
一方、PDAはモノクロ画面が主であり、パソコンというより電子手帳としての役割が大きかった。
インターネットはダイヤルアップ接続で出来たが、性能はデスクトップPCに大きく劣る。
携帯の方はiモードが実装されていたが、サイトが少なく、何よりコストがかかるため利用者はそれほど多くなかった。
だが、それが最新式だと言われていた当時の世界から、この世界に来てPDAを見たら驚くのも無理はない。

……90年代の人がどうして2ちゃんねるを知ってるかって? ほら、多分本編終了直後の2000年代から来たんじゃないだろうか。

「ミセテミセテ!」
「あぁ、いいだろう。……こんなことなら、真っ先にコレの機能を把握しておくべきだったな」

前述した通り彼は若干ステレオタイプの時代の人であるため、情報収集と言えばコンピュータよりも図書館を優先してしまう。
というか、彼にとって携帯はただの通信機器と言う見解が根付いているため、主催者から配信を受け取る
だから、支給されたPDAについては盲点だった。主催者からの配信を受け取るためだけの機器だと考えていた。

彼にとっては未来の世界の道具であるPDA、それをタッチペンを巧みに使いこなして操作する。
キバヤシのIQは170とも言われ、ほぼ初見である道具をものの数分で把握していくだけの知力はあった。
カメラにボイスレコーダー、現在位置がわかる地図に手書きメモ帳と、彼の想像を超えた万能さにまたしても驚いた。

「現在の地球の技術ではここまで画期的な物は無いだろう……主催者は相当な技術力を持っているに違いない……!」
「ソウカナー?」
「おそらく、裏社会のスパイなどがこう言った機器を使っているのかもしれない。
 それを一般市民であるこの俺が手にする日が来るとはな……あぁ、実に興味深い機械だ……」

まさかこのレベルの機械を一般人が、それも学生に至るまでほぼ全員が所持するような世の中になるとは、彼は想像もしなかっただろう。

「キバヤシー、コノ『ニンポーチョー』ッテナニ?」
「忍法帖……何のことかと思っていたが、どうもこのPDAに搭載されたシステムのことらしい」

そういえばひろゆきが最初に言っていた。
『一人殺す毎に忍法帖のレベルが1つ上がります。現時点での皆さんの忍法帖レベルは0ですね。
 レベルが上がると様々な恩恵が得られますが、レベルが1以上の方はバトルロワイアル板にて殺害した人物の名前と実名が公表されます。』
……殺害を行なうことのメリットを生み出すシステム、それが忍法帖。
キバヤシは規定の操作でヘルプメニューを開き、その内容に目を通していく。

「……なるほど、上手く出来たシステムだな、これは……」
「キバヤシー、ニンポウチョウニツイテオシエテー!」

209 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:29:12 ID:5fphdqVU0

                _,.. -─   ─-、 しァ
          /!/ヽ‐'"         / イ⌒ヽ
         ,l_/           l l  / /!   ヽ
         |l         /lハ//  V| !   ハ
         | l       /  イ    ヽヽ/Vl !
         | ハVヽト`ー- ' イ/   ,ィ/!  \ ∧l |
        、ト、 \ ヽー- '  _,..ィ/ // ハ ト、   l!
         \  ヽ_,.メ、<イ_/__,.._-=ニ-ヽ _,/
          ヽi`、|  、‐rッヾ =|二|-=_rッァ `}',.}  「OK、わかった。説明していこう」
           { ヽ!    ̄ シノ! ヽヽ  ̄  //リ
           ヽヽ!`ー--‐'´/|  ` ー--‐ ' /./
            \!     ヾ_,.      /‐'
           _ィニlヽ    __    ,イiヽ、
       _,. -‐'"   l | \   `二´   ,r' l !  `ヽ、._
  _,. -‐ '"      l |   \       /   | l      `` ー- 、._
‐'"      _,. -‐  ̄`ヽrァr--`‐──'‐‐-r ,! !           `` ー-
    _,.ィ´     ヽ、._ ヽ        ./ /i  l
ァ‐/ /         \_ノ!        l / l  ',
 /   {       `ヽ、  }!ヽ!       /V !   ヽ
 !   ヽ      \  Y |  ` r====r'´  |    〉



(・∀・)「ワーイワーイ」


図書館内の自販機から拝借した缶コーヒーを一口啜り、説明を始めた。


      〜キバヤシで学ぶバトルロワイヤルの忍法帖システム〜


 
  NヽN`              `゙、
.、Nヾミ                i
 ヾミミ、       _,.ィイ八、     !
  ー-=ニ _,..、_'"'ノ,."-'ニ'ヾ、._ l_  「まず、一般的な"忍法帖"と言うのは本家の2ちゃんねる掲示板で使われている機能から来ている。
     {F|! '、辷゙iニ{´'_辷,゙ ゙!r'-r,^、i  かつて、荒らし対策としてプロバイダーごとに一括規制してきていたんだ。だが、その方法では同プロバイダの一般人を巻き添えにしてしまう。
      l;j゙、_   ノ ヽ)、  ノ'  ゝ:'/  そのために多くの顰蹙を買っていた……。そんな中、改善策として導入されたのがこのシステムだ。
      `!  ̄ヽ '   ̄~´  ,'.,ィ'    利用者のCookieごとにレベルを設けて、利用者がそのレベルを上げていくことで投稿間隔、容量などの利用制限を解いていくシステムだ」
       i.   --一 、   ,' |
        ヽ、 `二ニ´  ./  ト、
       ,..-i;:ヽ、   ,. '´  / ヽ、_
    _,.イ´  j   ̄ ̄   /   ,i、゙ト-、



  ?
(・∀・)「ドユコト?」

210 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:29:24 ID:5fphdqVU0

    ,ィ, (fー--─‐- 、、
.    ,イ/〃        ヾ= 、
   N {                \
  ト.l ヽ               l
 、ゝ丶         ,..ィ从    |  「簡単に言えば"信用度"とでも言おうか。信用の低い最初こそ少し不便になるが、これまでのような余計な規制に巻き込まれなくなる。
  \`.、_    _,. _彡'ノリ__,.ゝ、  |   そして荒らしなどの迷惑行為を行なわず、普通に使用していれば信用され、そのうちに元通り快適に使用出来るようになるのさ」
   `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ
.    |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ
    ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐'  ,ン
      l     r─‐-、   /:|
       ト、  `二¨´  ,.イ |
     _亅::ヽ、    ./ i :ト、
  -‐''「 F′::  `:ー '´  ,.'  フ >ー、
    ト、ヾ;、..__     , '_,./ /l
   ヽl \\‐二ニ二三/ / /


   !
(・∀・)「ナルホドー」



なんとなく教養番組のようなノリになっている。
というのも、ジサクジエンの反応が良いから、そういう雰囲気になってるのだろう。
キバヤシは普段のプレゼンとさほど変わらない説明を行なっている。

「では前置きはこの辺にして、次はこのバトルロワイヤルにおける忍法帖について説明していこう」
「ハーイ!!」

解説は続く。


     |丶 \ ̄ ̄~Y〜、
     |  \_    /    \
    | \   /  /  ヽ   |
    \__ ̄   //\     ;!
      ,ゞi ̄ ̄l‐! ̄ ̄|- 、! 「いわゆる"忍法帖プログラム"は、殺害を行なうごとにレベルが上がり、そのレベルを消費することで恩恵が得られるシステムだ。
       i `ー‐"||"---' |b |'  レベルが高い恩恵ほど、より強力な恩恵が得られるため、殺し合いに積極的である者は、より大きなアドバンテージを得られるのだ」
        |    /     | /
        \  ー--   イ/
         ヽ   _,/ト\



( ・∀・)「ヘェー…ドンナノガアルノー?」

211 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:29:35 ID:5fphdqVU0

       ,.ィ , - 、._     、
.      ,イ/ l/       ̄ ̄`ヽ!__
     ト/ |' {              `ヽ.   「これが忍法帖で得られる恩恵の一覧表だ!」
    N│ ヽ. `                 ヽ
   N.ヽ.ヽ、            ,        }                           ,-v-、
.  ヽヽ.\         ,.ィイハ       |                          / _ノ_ノ:^)
   ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、   |                           / _ノ_ノ_ノ /)
.      ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ                        / ノ ノノ//
.       l    ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./                      ____/  ______ ノ
       ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ   トr‐'                      _.. r("  `ー" 、 ノ
       l   `___,.、     u ./│                _. -‐ '"´  l l-、    ゙ ノ
.        ヽ.  }z‐r--|     /  ト,   __       . -‐ ' "´        l ヽ`ー''"ー'"
       | :ヽ、`ー-- '  ./ヽ  / ' "´/`゙ ーァ' "´  ‐'"´         ヽ、`ー /ノ
       ヽ  `ー--‐ _´  '//    /    /                __.. -'-'"
        |  | \   / /     l   /            . -‐ '"´
        \ |___>< / ヽ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【Lv1】
・プロキシ
  次の定時カキコの際に、使用者の"殺害者の実名"が公表されなくなる。

例:
 MSKK(モララー)
 オエー(川越達也)
 ショボーン(お断りします)
  ・
  ・
  ・

  ↓ 川越達也がボーナスを使用した場合

 MSKK(モララー)
 オエー(****)
 ショボーン(お断りします)
  ・
  ・
  ・    ……と表示されるようになる


・代理書き込み
  バトルロワイヤル板に1レスだけ書き込みができる。その際には使用者の名前が表示される。
  なお、最初の定時カキコ以降(6時以降)に使用可能となる。


【Lv3】
・P2
  3時間の間、禁止エリアに自由に出入りすることが出来るようになる。
  時間切れ15分前になるとアラームで知らせてくれる親切設計。
  

【Lv4】
・専用ブラウザ
  地図上に他の参加者の位置がマーカーで表示されるアプリをインストールする。

・キャップ発行
  全参加者の名前、顔写真、そしてリアルタイムの現在位置座標を表示するアプリをインストールする。
  専用ブラウザと合わせて使用することが出来れば、誰がどこにいるのかが手に取るようにわかる。


【Lv6】
・水遁の術
  全参加者の『忍法帖を未使用のPDA』の忍法帖レベルを強制的に0にする。
  

【Lv8】
・あぼーん
  使用者から半径100m以内にいる任意の参加者一人の首輪を爆破出来る。
  発動すると、該当する首輪から40秒のカウントが流れ、その後爆発。
  なお、その間に使用者が死亡した場合はキャンセルされる。


【Lv12】
・規制解除
  恩恵を使用したPDAの"オーナー"の首輪が外れる。
  ただし、バトルロワイヤル板に使用者の名前と現在位置が表示されてしまう。


これ以外に、恩恵を使用するとオマケとして『!omikuji』が表示される。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

212 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:30:10 ID:5fphdqVU0
 .ト│|、                                |
. {、l 、ト! \            /     ,ヘ                 |
  i. ゙、 iヽ          /  /  / ヽ            │
.  lヽミ ゝ`‐、_   __,. ‐´  /  ,.イ   \ ヽ            |
  `‐、ヽ.ゝ、_    _,,.. ‐'´  //l , ‐'´, ‐'`‐、\        |
  ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ       /ヽ
        ,.‐'´ `''‐- 、._ヽ   /.i ∠,. -─;==:- 、ゝ‐;----// ヾ.、 「ただし、これらには使用限度がある。まず、『一つのPDAにつき、一つの恩恵しか使えない』と言う点だ。
       [ |、!  /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | }.  複数の恩恵を利用するためには、殺した相手のPDAをしっかり奪っておく必要があるということだな。
        ゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''   ̄ ̄  |l   !ニ! !⌒ //  どうやらワイヤレス機能でレベルの譲渡が出来るらしい。つまり、稼いだレベルの一部を移し、使用するのが基本だろう。
.         i.! l .:::::     ソ;;:..  ヽ、._     _,ノ'     ゞ)ノ./   そして最も高い恩恵である"規制解除"……これに限り使用対象を『PDAのオーナー』に限定している。
         ` ー==--‐'´(__,.   ..、  ̄ ̄ ̄      i/‐'/    俺の予想が正しければ、この恩恵のために誰もが自分のPDAを最後まで取っておく傾向があると思う」
          i       .:::ト、  ̄ ´            l、_/::|
          !                           |:    |
             ヽ     ー‐==:ニニニ⊃          !::   ト、
            ヽ     、__,,..             /:;;:   .!; \
             ヽ      :::::::::::           /:::;;::  /   l


    ?
( ・∀・)「フムフム…デモ、ナンデコンナシステムヲ、ツクッタンダロウネ?」



         N /i/´ ゙ ̄ ̄``ヾ)_
        Nヾ ゙        ゙ヽ
       N゙、            ゙i
       N゙ゞ            .!
       ゞミミ、  ノ,彡イハヾ、  i
       ー-r-==、'リノ_ノ_,.ヾミ,.ィ,ニi  「それはもちろん、参加者たちの殺し合いを促進させるためだ。恩恵はどれも数人殺すだけで生存出来る確率がぐっと上昇するものばかりだ。
.        {i `゙';l={゙´石ゞ}='´゙'r_/   ゆえに、自分の死を恐れている参加者に他者の殺害を、一歩踏み出させるのに一役買っているということだ。
.        ` iー'/ ヾ、__,.ノ  /i´    さらに一度『一人殺す』と言うハードルを乗り越えさせてしまえば、次からは殺しに対する躊躇が大幅に減る。
          !  ゙ニ-=、  u / ,ト,    やがて参加者たちは進んで殺害を行なうようになる……つまり、殺し合いがスムーズに進展していくというわけだ!」
           ヽ、i'、_丿 /// ヽ
        _,.ィヘヽ二 ィ'_/ /  ゙i\
  -‐ '''" ' ̄/ i ヽ_./´   ./    .| `\ 
      /  /ィ´ ゙̄i   /   ir=、  l'i"ヽ、
     ∠__,,..-イ i   /\_,イ,=-、 i 、,.ゞ、 | ゙'"ヽ \
!     .i-'´  ,i | ./`゙'i'   /i_.!._,..ヽ<!  ゙i、゙i.  =゙!  \
!    |   .,i゙::|/  .|  ,/::/-i   ゙i ゙i 三゙i ゙i   | /⌒
i/   .|   ,i゙:::i'    | ,/ ::/= .|三. ゙i/.|   .| .|  .ij:.
.l〉   |   ,i゙ :::|   .!' ::::i゙'i  ト.  ゙i | _,.. V =,!
 !   |  ,i゙ ::::|   / ::::::| l= ヾ!.._ ヽ」 "´;i  :.:i ./
. |   .|  .,i ::::::|  ,/::::::::::|  ヾ:.:. ヾ::" ゙     //
│   |  ,i::::::::| ,/ .::::::::: |   ゙i.:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/,ィ'"´
.|     |  i::::::::,イ::::::::::::::::|   /ト、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::,ノi|Y

213 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:30:21 ID:5fphdqVU0
(; ・∀・)「ナ、ナンテコッタ! オソロシイハナシダ…」



ワキワキ              ワキ
    ., --、   i´!⌒!l  r:,=i
   .|l⌒l l   | ゙ー=':| |. L._」 ))
  .i´|.ー‐' |   |    |. !   l     ワキワキ
  |"'|.   l  │-==:|. ! ==l   ,. -‐;  「そう、俺たちは初めからひろゆきの手の内で踊らされているんだ……!
  i=!ー=;: l   |    l. |   | /   //    籠の中の鳥……いったい、俺たちに何が出来ると言うのか……!?」
  │ l    l、 :|    | } _|,.{::  7 ))
  |__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ'  ::::::|;   7
  \:::::\::::: ヽ  ::::::!′ :::|   .:/
    /ヽ::: `:::    ::::  ....::..../  ワキ   



キバヤシはそこまで話したところで一息をついた。
犯罪心理学の領域まで考慮された上でのこのシステム、全く本当によく出来ている。
こうも計算され尽くしては、殺し合いに乗る者を止める方法はおそらく存在しないだろう。
自分の命が狙われるのが先か、それともこの殺し合いに隠された謎を解き明かすのが先か……。
この殺し合いの目的について、会場について、ひろゆきの技術力について、そしてジサクジエンなどの謎の生物について……。

調べなくてはいけない課題は山ほどある。
それを『籠の中』で行なわなくてはいけない。
手がかりや痕跡を全て消されていたらアウト、それでもやるしかないんだ。

「あきらめない……。それがオレたちに出来る唯一の闘い方なんだ」

そう呟くと彼は図書館の奥の方……外からは発見されず、隠れられる程度の場所に向かい、そこに横になった。
少し頭を休ませたほうがいい。あまりに一気に動かしすぎるとオーバーヒートしてしまう。
時計の針は5時半を指し示す。定時更新まで30分程度あるが、今はそれほど早急に確認することも無さそうだろう。

「ジエン君、僕は仮眠を取るから見張りを頼む。1時間くらいしたら……あと誰かが来たと思ったら起こしてくれ」
「ワカッター!」
「そうだな……バイク君以外に協力者が、それも戦い慣れているような人物が現れてくれたら、図書館から出て調査したいところだな……。
 出来る事なら学校、病院、テレビ局辺りが望ましいんだが……。どこへ向かうにしろ、地図に名前が出てる時点で危険だろうな……」

そう呟いたところで、しばしの静寂が訪れた。
徐々に彼は睡魔に誘われて行き、やがて意識は闇の中に落ちていった。



【D-3・図書館/一日目・早朝】

【キバヤシ@AA】
[状態]:健康、睡眠中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、Vやねん!タイガース×36@なんでも実況J
[思考・状況]
基本:バトルロワイヤルの謎を解明する
1:…………
2:目覚めたらバトルロワイヤル板の確認を行ない、調査を再開する
3:バイク君が帰ってきたら手伝って貰う
4:出来れば図書館以外の場所も調査したい
5:バトロワは鮫島事件と何か関係がある……? だが、諸説が多すぎて現時点ではどうしようもない

【ジサクジエン@AA】
[状態]:(・∀・)イイ!
[思考・状況]
基本:キバヤシに従う
1:ミハルゾー!
2:1ジカンゴ、キバヤシヲオコス
3:ニンポーチョーニ、クワシクナッタヨ

214 ◆m8iVFhkTec:2013/04/19(金) 18:31:35 ID:5fphdqVU0
以上です
ご意見、問題点、修正点などがあればご指摘お願いします

215ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/04/19(金) 20:43:52 ID:iVkwqqZM0
仮投下乙です。
内容は、おそらく問題ないかと思われます。忍法帳の説明も、問題ないでしょう。


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