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仮投下スレ

132 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:31:00 ID:gVHJHdVs0




 久しぶりの全力疾走だった。
 いきなり走ったもんだから、心臓はバクバク、息は上がり過ぎてふらつくくらいだ。
 ……やっぱり、体力ないわね、私。

「あ、ありがとうございました。あのままじゃ、私……確実に押し負けてました」
「いいのよ、別に……鬼子ちゃんが助かってよかったわ」

 ブロック塀に手をつき、深呼吸。
 ……うん、少し落ち着いてきた。
 心臓の鼓動も、だんだん落ち着いてくる。
 ――――本当に、助かってよかった。
 もし、あそこで鬼子ちゃんが殺されでもしたら、私……。

「――――ああっ、鬼女さん、涙が……」

 気がつけば、涙がこぼれていた。
 もしかしてうれし涙?鬼子ちゃんの命が、助かったから、つい涙を。
 ……グイッと、掌で涙を拭う。

「行きましょう。もしかしたら、アイツが追いかけてくるかもしれないし」
「そうですね……さっきは鬼女さんのお陰で助かりましたが、今度は……」
「……そうね。さっきは偶然上手く決まったけど、今度は分からない……」

 そう。
 次は、上手く行くか分からない。
 今回は、たまたま上手く行っただけで、今度こんなことがあったら、どうなるか。

(とにかく……今は動くしかない。動いて、協力者を集めなきゃ……)

 闇の中を、手探りで進むような気分で、私たちは歩き出した。


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