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仮投下スレ

165 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:51:03 ID:mDpuemQE0
しぃはいわっちに抱き抱えられながら夜道を移動していた
夜の風は少し冷たいけど、いわっちの腕の中は暖かくて安心出来る

ふと、しぃの頭の中で疑問が浮かんだ

「いわっちサン、テレビ局ってこっちナノ?」
「いいえ。まずは協力者を探す必要がありますので、寄り道をするところですよ」
「そっか」

しぃはすぐに納得した

横断歩道に差し掛かる。ちょうど信号は青になっていた
車が一台も通らない道路で、淡々と仕事をこなす信号機の姿は何とも虚しいものだ

「寄り道…いい言葉だと思いませんか? わくわくしますよね」

いわっちは呟く
しぃはその言葉について少し考え、すぐに首をかしげる

「うーん…チョットわからない」
「はは。まぁ、しぃさんはお若いですから、そういうものかもしれません
 私にとって、少年時代はだいぶ昔の話なんですよね。だからこそ、あの頃を連想する言葉に魅力を感じてしまうんです」

そう話すいわっちの目は輝いていた
子供の頃に楽しいと感じたこと、それを今でも鮮やかに想像出来る
だからこそ、多くの人を虜にするゲームを作れるのかもしれない

相変わらず暗い空の下、街灯に照らされる街道を歩いていると、ふと目につく看板が見えた

『森林公園』

柵で囲われた敷地沿いの真ん中辺り、柵の無いところ、すなわち入り口

「せっかくです、中に入ってみましょうか」
「ウン」

静まり返った世界に、コツコツとした足音だけが聞こえている





夜の公園には、ひんやりとした空気が漂っていた
昼間の太陽の光をたっぷりと浴びた広葉樹たちは、夜は静かに風になびかれて身を休めている
中央に設置されている噴水は街灯の光を乱反射して白い輝きで瞬いている
舗装された散歩道は幾人もの靴を受け入れた結果、土でまぶされて、周りの自然と一体化しているようだ
その落ち着いた雰囲気は人々の悩みや沈んだ気持ちを受け入れてくれることだろう


「また森林公園に来ちまったのか…俺ってやつは…」

ギコ猫は目の前の光景を見て沈んだ気持ちになった
この光景は二回目である。数時間前に彼が目が覚めた場所、まさにここであった
散々逃げ回ったあげく、道に迷い、ふりだしに戻るとは…そろそろ方向音痴の称号が貰えるかもしれない

不名誉だな…と思いながら、ギコは近くの茂みへ潜り込んだ
開始早々からずっと走りっぱなしだった。いくら俊敏な猫と言えどもそろそろ限界である
肉食動物って基本的に持久力が無いからな。人間と違ってな
今後生き残るためにも、なるべく体力を温存しなくては…



そうしてギコが一息つこうとしたのも束の間、一人の男が歩いてきた
質の良さそうなスーツを見にまとった初老の男
彼は道の端に備え付けられたベンチに腰をかけて一息をついた
偶然にもギコがいる茂みのすぐそば

ギコはイライラした

「(なんでよりによってコイツは…)」

休息しようと思ったらこれだよ、面倒なことになった
どうせこいつも俺を見つけたら、問答無用で襲いかかるに違いない
そろそろいい加減にして欲しい。今はガチで疲れているんだ
とりあえず、見つからないうちにここから離れてしまおう
無視して休んでいて、うっかりクシャミでもしたらアウトだしな


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