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仮投下スレ
199
:
◆shCEdpbZWw
:2013/03/11(月) 10:53:37 ID:Y9OHWRk60
「ワタシ……ワタシ……ギコ君が死んじゃうかと……」
そんな俺の心中など知る由もなく、雌猫がおいおいと泣き続ける。
……ん? なんでコイツは俺の種族を知っていやがるんだ……?
そう思った瞬間に雌猫がまた俺にしがみつく手にギュッと力を籠めたらしく、俺の身体に何度目か分からない激痛が走る。
「はっ、離せゴルァ!!」
痛みに耐えかねて、というのもあったし、知らない奴に抱きつかれて訳が分からない、というのもあった。
俺は痛む体をおして、その雌猫を思いっきりドン、と突き飛ばした。
キャッ、と小さな悲鳴を上げてその雌猫が地面を転がった。
「ゴ、ゴメンね……? その……い、痛かった……ヨネ?」
その瞳を涙で潤ませながら、雌猫が上目づかいで俺を見つめる。
雌猫の一点の澱みもないその目と俺の目が合い、思わず俺は舌打ち交じりに視線を逸らしてしまった。
「気持ちは分かりますが、ダメですよ、しぃさん。あんまり傷に障るようなことをしては」
「……ウン」
オッサンが雌猫を宥めるように語りかけた。
……ん? しぃ……? どっかで聞いたような……うっ、頭が……
「……なんなんだよ、アンタらは」
「おっと、これは失礼。申し遅れてしまいました、ギコさん」
このオッサンもか。
何だって俺の種族を知ってやがるんだ? それも、さも俺の名前であるかのように扱いやがって……
世の中にゃ、俺以外にも山ほどギコ猫ってやつがいるらしい。
それらに共通しているのは、口が悪いことと、反骨精神を持ち合わせているということ。
とりわけ、黒く生まれちまった俺は、周りの環境も手伝ってか人一倍反骨精神が強いという自負はあるんだがな。
「私はいわっちと申します……まぁ、しがないゲーム屋でして」
俺が向ける警戒の視線などどこ吹く風、いわっちと名乗るオッサンがしぃを抱きかかえながら自己紹介する。
……ゲーム屋? そういやさっき俺を襲った奴もゲームがどうとか言ってやがったな……
「こちらはしぃさん、君のお知り合いでしょ……」
「……オイ」
いわっちとやらの話を遮るように俺は凄んで見せた。
警戒、というよりももう敵意を籠めた視線をぶつけてやったが、オッサンは怯む様子もない。
抱きかかえられたしぃって雌猫が、意外な物を見るような目で俺のことを見つめていやがる。
「ゲーム屋、っつったな……もしかしてオッサン、アンタは俺をこんな風にした奴の知り合いじゃねえのか? え?」
「それは……」
図星だったのか、いわっちの顔が少しばかり歪む。
……だけど、それも一瞬のことだった。
すぐに平静さを取り戻したのか、さっきまでと変わらない落ち着いた口調に俺に話す。
「確かに、あの男は知らない仲ではありません」
「いわっちサン……」
「えぇ、大丈夫ですよ、しぃさんが心配するようなことではありませんから」
不安げな表情で見上げるしぃの頭を、いわっちがそっと撫でるのを俺は冷ややかな目で見ていた。
「彼との関係は……なんと言えばいいでしょうかね。
まぁ、一番シンプルに表現するとしたら……そう、ライバル、とでも呼ぶのが近いでしょうか」
「ライバル……ねぇ」
「そうです。時に切磋琢磨し、時に手を取り合い、互いを高め合ってそれを世に還元する……それが私と彼の関係です」
「するとアンタもアレか、あいつと同じように世界を美しくするために俺に死ね、ってか」
俺がピシャリと言い放つが、いわっちは首を軽く横に振るだけだった。
「……いえ、そんなことは。どうやら彼とは道を違えてしまったようですし」
「……へっ、どうだか。口じゃいくらでも言えるからな」
「そんな……ギコ君……!」
まただ。
しぃって奴があたかも俺とは旧知の仲であるかのように話しかけてきやがる。
反発するかのように俺がキッと睨んでやったら、すぐにしぃは視線を逸らして俯いた。
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