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仮投下スレ
198
:
◆shCEdpbZWw
:2013/03/11(月) 10:53:04 ID:Y9OHWRk60
「おや、気が付きましたか。今、手当てをしますからね」
そう言うとオッサンは「マキ○ン」と書かれた容器を俺に押し当てる。
中身は消毒液なんだろう、またさっきと同じ突き抜けるような痛みが俺の腹を走り抜けた。
「ぎゃおおおん!?」
思わず情けない叫び声をあげてしまった。
耐え切れない痛みに、思わずジタバタと身をよじろうとする俺を、オッサンががっちりと押さえつける。
「動かないでください、ちゃんとした手当てが出来ませんから」
そう言いながらまた「マ○ロン」を持った手を俺の方に伸ばして来る。
ふざけるな、誰がそんなこと頼んだって言うんだ……と口にする前に三度痛みが走る。
「ぶるぅぅあぁっ!?」
もういっそこのまま殺してくれ、と思うほどの痛みだ。
恐る恐る腹の方に視線を向けてみると、何をどうやったらこんな風な傷が出来るのかと思うほどに俺の腹はただれていた。
切り傷でも、刺し傷でもない、じわじわと広範囲にわたって感じる痛みの下からは、ジワジワと血が染み出してきている。
「君を見つけたのが襲われてすぐで良かった。少しでも遅れてたら危なかったかもしれませんよ」
オッサンがそう言うのを聞き、俺はようやく何があったのかを思い出すことが出来た。
スーツを着込んだ、目の前のオッサンとは別の男に出会ったことを。
殺し合いに勝ち抜いて世界を美しくするという願いを叶えるんだという世迷言を聞かされたことを。
そして、そいつが妙なバケモノを繰り出してきて、抵抗空しく変な攻撃を受けたことを。
(クソッ、つーことは、俺はあのバケモノにやられた、ってわけか……!)
痛みに耐えるのも兼ねながら、俺はギリッと歯ぎしりする。
それでもなお俺が生きてる、ってことは……殺されそうになったところにこいつらがやって来た、ってことか……?
「心配いりませんよ、あの生き物を操っていた男はもうここにはいませんから」
俺の心を読んだかのように、オッサンが話す。
そして、口を動かしながらも、手にしたガーゼで俺の腹を丁寧に処置し、最後にクルクルと包帯を巻きつけていった。
「これでよし……と。これで命の心配をすることは無くなったと見ていいでしょう」
ふぅっ、とオッサンが自分の額の汗を拭った。
為すがままにならざるを得なかった俺の身体にはその黒い毛の中にいっそう目立つ白い帯が巻かれていた。
これじゃ、闇夜に溶け込むことも出来ない、目立って仕方ないじゃないか、と俺は内心毒づいた。
「……ホントに? ホントにもう大丈夫ナノ?」
「ええ。しっかり消毒もしましたから、破傷風にかかることもないでしょう」
今までずっと黙りこくっていた猫が、不安そうにオッサンに問いかけた。
声のトーンからすると、コイツは雌猫か。
そんな不安を鎮めるかのように、オッサンは優しく返した。
「……ヨカッタ、ヨカッタよぉ!」
「ぬぅおわっ!?」
次の瞬間、雌猫が駆け寄って俺に抱きついてきた。
衝撃でまた腹に痛みが走るが、そんなのはお構いなしと言わんばかりにギュウギュウと俺を抱きしめてきやがる。
「ヒドイ……こんな黒コゲになっちゃって……」
俺にしがみつきながら雌猫は涙を流し続ける。
……ってちょっと待てゴルァ、誰の身体が黒コゲだっつーんだよ!
こちとら、この黒い毛並みを少なからず誇りに思っているっつーの!
「まったくです。これほどの大ヤケドを負って命があること自体が奇跡と思っていいでしょう」
うおーい!! オッサンもかゴルァ!!
大ヤケドだと思ってんなら、全身に包帯巻きつけてみろってんだよ!!
だいたい、全身真っ黒コゲになって生きている生き物がいるわけないだろ、常識的に考えて!
チクショウ、こいつら俺の毛並みをバカにしてやがるのか……?
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