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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/21(水) 22:43:01 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。

sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。

792以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/25(金) 08:42:58 ID:???
九州でも計画停電の可能性あるらしいぞ

GJ

793以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/25(金) 09:18:14 ID:???
計画停電→ヤシマ作戦→エヴァ→アスカ→ツンデレ

だからどうしたと言われればそれまでだが、このスレの住人としては連想せずにはいられなかったんだ、うん

794以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/25(金) 17:07:14 ID:g2WKu8bg
とうとう運転免許を手に入れたぜ
これでかなみさんをドライブに誘える…

795以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/25(金) 17:17:28 ID:???
ツンデレにおちょくられたい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1883.jpg

796以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/25(金) 18:57:25 ID:???
ちなみんの妄想か…ウッ

797以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/25(金) 21:06:38 ID:???
>>795
フゥ……




エッチなのはいけないと思います(キリッ

798以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/25(金) 22:50:08 ID:???
そういうちょくせつてきなエロはどうかとおもうなー(超棒読み)




雨に濡れたのでボクっ娘に風呂を貸したけど着替えがなかったよ的な
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1884.jpg
(何か言いたそうにこちらを見つめる裸パーカーのあずあず http://shindanmaker.com/46272

799以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 07:45:22 ID:???
>>798
そんなこと言いながらお尻に目が行くような絵描いて…

GJ

800以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 11:53:55 ID:???
あなたは1時間以内に3RTされたら、ぼろぼろ大粒の涙をこぼす裸蝶ネクタイのリナを描かなければいけません。…がんばれ!


ふぅ…裸とか不健全だろjk

801以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 12:27:23 ID:???
RT >>800

802以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 12:40:45 ID:???
RT >>800

803以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 13:01:01 ID:???
RT>>800

804以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 14:28:26 ID:???
R…T…?

805以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 15:04:51 ID:???
リメンバーツンデレさ

806以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 15:50:06 ID:???
なんか肌色が見えてる気がするけどKENZENだね!

807以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 16:23:21 ID:???
纏さん
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1885.jpg

808以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 17:29:09 ID:???
はいアホです。

8091/6:2011/03/26(土) 19:29:30 ID:???
(自炊)ツンデレにまるで恋人とディナーに来てるみたいだって言ったら

『フゥ…… ただいま帰りました。タカシ様』
「お疲れ様、芽衣。今日は随分買い物に行くの、早かったんだね。気が付いたらもう出掛
けていなかったから」
『また何をのん気な事を仰っているんです。今日は夜、停電じゃないですか。いつもの時
間に、しかも邪魔者のタカシ様を連れて買い物なんてしていたら、停電までにお夕飯の支
度が間に合いません』
「邪魔者とは心外だなあ。確かに時々、買い物に連れて行って貰ってはいるけどさ。邪魔
した覚えなんて無いけど」
『ハア…… 無自覚というのはこれだから困ります。いいですか、タカシ様。あくまでご
主人様の意向だからこそ、仕方なく買い物に付いて行くのを許してはいますけどね。タカ
シ様のせいでどれだけ余分な時間を食っているかお分かりになりますか? いつも余計な
お店だとか、買いもしない商品に興味を持ったりして、その度に引きずり回される私の身
にもなってください』
「はいはい。それは耳にタコが出来るほど聞いてるけどさ。でも、いつも何だかんだ言っ
て、芽衣も楽しんでるじゃん。一緒に品物みたりしてさ」
『誰が楽しんでるって言うんですかっ!! 仕方なく付き合ってるのと楽しんでいるのが
分からないようでは、タカシ様の眼力も大したことはありませんね』
「はいはい。俺と一緒に夢中になってああだこうだと議論交わしてても、仕方なくだもん
ね。それは分かってるよ」
『なっ……!! 別に、会話しているからと言って楽しんでいるのとは別です。言われれ
ばつい言い返してしまうのは性分ですから。ついでに言えば、今だって別に楽しんでお話
しておりませんし』
「分かった分かった。それより、生鮮品とか、早く冷蔵庫に入れた方がいいんじゃない?
悪くなっちゃうよ」
『言われなくともやります。タカシ様さえ無駄話で引き止めなければ、の話ですけど』
「はいはい。邪魔して悪かったよ。お詫びに夕飯の支度、手伝おうか? 時間ないんだろ?」
『結構です。タカシ様はご主人様なんですから、メイドの手伝いなどしなくてもいいとい
つも言ってるじゃないですか』

8102/6:2011/03/26(土) 19:29:52 ID:???
「いや。でもこういう状況なんだし」
『そんな事を言っている暇があったら、先にお風呂に入って下さい。停電中は給湯器だっ
て使えないんですから。そうでないと、またいろんな事が遅くなりますよ』
「了解。でも、風呂って沸いてるの?」
『今からお湯だけ張りますから。あと十五分ほど大人しく部屋でお待ち下さい。私が呼び
に参りますから。いいですね?』
「わ、分かった分かった。いいですねってとこ、強調されると何か怖いんだけど」
『敢えて言ったんです。暇を持て余して、キッチンとかウロチョロされないようにと思いまして』
「はいはい。分かりましたよ。大人しく待ってますって」


「ふう…… いいお湯だった。芽衣、上がったぞ」
『随分ごゆっくりでしたね。このまま停電の時間まで上がって来ないかと思いましたが』
「まさか。別に入ってる時間はいつもと変わらないと思うけどな。それに、停電って早く
て六時二十分からだろ? まだ二十分近くあるじゃん」
『そ、それはそうですが…… でも、大体の目安でしかありませんし……』
「そんなに心配する事でもないじゃん。もしかして、結構気もそぞろだったりする?」
『ばっ……馬鹿おっしゃらないで下さい。たかが停電くらいで…… 大体私は、食事の支
度をするのに手一杯で、他の事なんて考えてる余裕ありません』
「あれ? まだ出来てなかったの? てっきり、停電前に済ませるんだとばかり思ってたけど」
『まるで私の手際が悪いみたいに言わないで下さい。これでもちゃんと計算して作ってい
るんですから』
「計算って……何を?」
『えっ……!? い、いえ。そんな大したことでは…… ど、どのみちすぐに分かります
から、タカシ様は大人しくお部屋で待っていて下さい。準備が出来たら呼びに参りますから』
「分かったよ。何を隠してるのか気になるけど……まあ、すぐ分かる事ならいいや。それ
じゃ、頼むよ」
『かしこまりました。タカシ様』

8113/6:2011/03/26(土) 19:30:15 ID:???
「芽衣の奴……すぐ分かるけどって言ってたけど……もう停電時間に入っちまったぞ」
 プツッ……
「あ、電気消えた。しかし、夜の停電って、マジで真っ暗になるんだな…… 街灯まで消
えるとこうも雰囲気変わるんだ……」
 コンコン
「はい?」
 ガチャッ……
『タカシ様。お夕食ですが……準備が出来ましたので』
「ああ、行くよ。しかし、停電直後って何か計ったようだな」
『えっと…… まあ、一応……』
「え? 本当に? 何で?」
『来れば分かります。それより、足元をお気をつけ下さい。懐中電灯の明かりしかありませんので』
「ああ、分かった。でも何かさ。こうやって真っ暗闇の中を懐中電灯の明かりだけで先導
されると、芽衣に案内されて秘密の場所に行くみたいだな」
『たかが自分の家の廊下を数メートル歩くだけじゃないですか。何くだらない事をおっしゃっ
ているんですか。バカバカしい』
「いや、だってさ。先導してくれるのが、西洋のお屋敷に勤めるようなメイド服に身を包
んだ女性だぜ。何かちょっとこう、昔の推理小説チックな感じじゃない?」
『タカシ様がどんな妄想をなされようが勝手ですが、私をそれに付き合わせないで下さい。
ほら、早く席についていただけませんか?』
「はいはい。まったく、冷たいなあ。芽衣は」
『誰が冷たいんですか。タカシ様がバカな話をなさるから悪いだけで、私の性格の問題で
はありません。他の誰だって、こんな時にそんな話しをされれば同じような態度を取るに
決まってます』
「そうかな? 芽衣がノリ悪いだけじゃなくて?」
『そうです。またそうやって私のせいにしようとして。全く、付き合いきれません』
「はいはい。俺が悪かったからさ。とりあえず、食事にしようぜ」
『どうせ反省などなさっていないくせに。一回、懐中電灯消しますね』
「え? 真っ暗になっちゃうよ」
『お待ち下さい。すぐに、代わりの明かりを点けますから』

8124/6:2011/03/26(土) 19:30:37 ID:???
 カチッ
「へえ……こんなライトあったんだ。何か面白い形してるね」
『ちょっと前に雑貨屋さんで見つけたんです。形も奇妙でインテリアにもいいかなって思っ
て。それに、電池ですからこうやって停電の時にも使えますし』
「でも、何か雰囲気いいね。何かちょっとしたレストランにでも来た感じだ」
『それにしてもちょっと暗すぎだとは思いますが。でも、お食事をなさるのには差し支え
の無い明るさだとは思います』
「うん。十分だよ。でも、芽衣も何気に雰囲気作りは狙ったでしょ?」
『は? 何故、私がタカシ様と食事をするだけなのに、いちいち狙って雰囲気を作ったと
お考えになられるのか意味が分かりません』
「だって、パスタにチキンステーキにサラダにミネストローネ。完全洋風の食事にワイン
まで出してさ。これで狙ってないって余りにも白々しくない?」
『タカシ様はご存じないかもしれませんが、今はどこも品薄状態で大変なんですよ? で
すから、手に入りやすい食材で料理を作ると、自然とこうなってしまうだけです』
「まあ、さすがにそれは知ってるけどさ。でも、米くらいは実家から送って貰えばいいじゃ
ん。多分、あそこならうちで足りるくらいの備蓄米あるだろ」
『周りの皆さんが困っている、こういう時に本家を頼るのはいい事ではありません。無論、
タカシ様の健康が最優先ですから、それの障害になると思った時は頼らせていただきます
が、代わりの食材があるうちはそれで満足頂けるような食事をご用意するのも、メイドと
しての仕事です』
「で、このワインは?」
『停電なのに無駄に起きていられても困りますから。アルコールを入れれば早めに寝てく
ださるだろうという、私の配慮です』
「分かった分かった。とりあえず、乾杯しよっか?」
『……乾杯を? 何でですか? 特にお祝いとかイベントごとでもないのに、やる意味が
わかりません』
「いや、その……何となく、雰囲気でさ」
『別に、タカシ様と雰囲気なんて作る必要を感じません。それに、こんな時にちょっと不
謹慎だとは思いませんか?』

8135/6:2011/03/26(土) 19:31:00 ID:???
「いや、その……分かったよ。じゃ、いっその事お祈りでもする? こうやって食事がき
ちんと出来る事を神様に感謝して」
『何もそこまでする必要はないかと思います。無論、感謝の気持ちは大事ですが、無神論
者のクセにこういう時だけ神様にお祈りするなんて、調子がいいだけです。普通にいただ
きますだけして下さい』
「はいはい。それじゃあ芽衣に説教されたし、そうする事にするよ」
『説教されるような事ばかり言うタカシ様が悪いんですからね。まるで私が口うるさい女
みたいに言われるのは心外の極みです』
「それは考え過ぎだって。それじゃあ、いただきます」
『では、私も…… いただきます』
「うん。美味しいよ。チキンもいい焼き具合だ。表面はこんがりと焼けてカリカリしてる
のに、中はジューシーで。あと、付け合せの根菜もホクホクして」
『黙って食べて下さい。別にタカシ様から感想など頂いても嬉しくもありませんし、それ
に普段はそこまでおっしゃらないクセに、何で今日に限って饒舌なんですか』
「うーん。やっぱり、雰囲気違うからじゃないかな。余計な視覚情報が入って来ない分、食事に集中してるからかも」
『だったら、食事だけに集中すればいいじゃないですか。何で私に話し掛けて来るんです』
「……ああ、ゴメン。正確に言えば、食事と、あと芽衣だけしか視界に入って来ないから
だな。何て言うかさ、芽衣もこう……ライトの淡い明かりだけだと、いつもとこう……ちょっ
と違った綺麗さが醸し出されて、つい視線が行くんだよな」
『なっ……!? ごっ……ごまかしついでに褒められたって、嬉しくもなんともありませ
ん。綺麗だとか言っとけば私が喜ぶとでも思ってらっしゃるんですか? ホント、タカシ
様ってバカなんですから。まあ、今に始まった事ではありませんから、呆れはしても諦め
てますけど』
「いやいや、ホントだって。こうやってオレンジの光の中で向かい合って食事なんてして
るとさ。家でメイドと食事してるっていうより、何か美人の恋人とディナーに来てるみた
いな、そんな感じだよ」
『こ……こいっ……!? な……何をバカな事ばかりっ!! 私はただのいちメイドに過
ぎないと、普段から言ってるじゃありませんかっ!! 大体、私なんかはタカシ様の恋人
にも相応しくありませんし』

8146/6:2011/03/26(土) 19:31:34 ID:???
「いやいや。立場は別にしてさ。客観的に見れば、芽衣は相当美人だと思うぞ。前だって、
一緒に歩いてる所を友達に見られてさ。アレは誰だお前の彼女かって相当しつこく聞かれ
たし。パーティーで会った人からも、専属メイドですって言ったら美人のメイド羨ましいっ
て言われたし」
『あああああ、もうっ!! 適当な事ばかりタカシ様はっ!! 停電だからって変にテン
ション高くしてお世辞ばかりっ!! 正直、付き合いきれませんっ!!』
 グイッ!!
「ありゃ? 芽衣のグラスに入ってるのもワインだろ? そんなに一気に空けちゃって大丈夫か?」
『何言ってるんですか。普段、私は仕事があるからとジュースにしようとしても、付き合
えと言ってるのはタカシ様じゃありませんか。こういう時だけ、ワインはダメとでもおっ
しゃるのですか?』
「いや。飲むのは全然オッケーだけどさ。いくらなんでも、一気飲みは酔っ払っちまうん
じゃないかと……」
『タカシ様に付き合って話しをしていたら、喉が渇いてしまっただけです。ちゃんと酒量
くらいは自分でコントロール出来ますから、ご心配なさらないで下さい』
「わ、分かったよ。ただ、ちょっと待って。手酌なんてしないでも、俺が注ぐからさ」
『何言ってるんですか。ご主人様にお酌させるわけにはいきません。私なんて、手酌で十
分です。だから、早く瓶を寄越して下さい』
「まあまあ。食事の時くらい遠慮しないで、ほら。グラス出して。出ないとこぼれちゃうよ」
『う〜っ…… タカシ様って、こういう時本当に意地悪ですね』
「素直にならない芽衣が悪いの。はい、どうぞ」
『そ、それじゃあ……頂きます……』
 トクトクトク……
「うん。こんなもんか……って、もう空けちゃったの? いくらなんでも早過ぎだって」
『う……申し訳ありません。何かこのワイン……飲みやすくって、ジュースみたいに簡単
に入っちゃって……』
「それじゃあ、もう一杯。今度は一気飲みはダメだからね」
『き……気をつけます……』
『(でも、そんな事言われても……タカシ様が私の事を綺麗だとか美人だとか、恋人と一緒
にいるみたいだとか褒めちぎってばかりだから…… あああああ……もう、喉はカラカラ
だし、体の火照りは止まらないし……はふぅ……(////////////////////))』

815以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 19:33:53 ID:???
一応終わり

計画停電まだ一度もリアルで体験してないけど、町中真っ暗ってガチで怖いらしいね。


あと、最初の予定ではここまでだったけど、書いてる最中におまけを思いついたので
それは後ほど

816以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/26(土) 20:07:11 ID:???
敬語ツンデレっていいなぁ……
貴様にGJをくれてやろう!

817>>814のおまけ 1/5:2011/03/26(土) 21:16:57 ID:???
〜翌朝〜

 ピピピピピッ……ピピピピピッ……
『ん……?』
 カチッ……
『(もう六時…… 起きて、洗濯して……タカシ様の食事のご用意を……それにしても、何
でこんなに気持ち悪いんだろ……頭フラフラするし……)』
『(そういえば、夕べはどうしたんだっけ……停電で、タカシ様と食事して、食器を流しに
片付けてから……停電が終わってから洗い物とお風呂をって思ってたんだけど……あれ?
記憶に……ないな……私……ベッドに入った事も……)』
 ガバッ!!
『ど……どうしたんだっけ? そうだ。停電が明けるまでちょっとだけ休もうと思ってソ
ファで…… でも、何で私ちゃんと自分のベッドで……しかも、パジャマも着てるし……
でも……覚えが無いなんて……』
『(まさか……酔い潰れて、タカシ様が……)』
 ガチャッ……ドタドタドタ……
 コンコンコンコンコンッ!!
『タカシ様っ!! 起きて下さいタカシ様っ!!』
「ん…… 何だよ……まだ六時じゃんか……」
 モゾモゾ……
「何だ? 芽衣。開けていいぞ」
『では、失礼しますっ!!』
 ガチャッ……
「おわっ!?」
『は? いかがなさいましたかタカシ様』
「いや、その……芽衣が、予想外にパジャマ姿だったから……ちょっとびっくりした」
『なっ…… そんなの、一緒に暮らしている以上、別に驚く事でも何でもないじゃないで
すかっ!! 逆に、驚かれるとこっちが恥ずかしくなりますっ!!』

818>>814のおまけ 2/5:2011/03/26(土) 21:17:20 ID:???
「ああ、ゴメン。確かに芽衣の風呂上りとかはよく行き会うけどさ。朝はいつも、キチン
とメイド服着て起こしに着てくれるから……で、パジャマのまま早朝に部屋に来るなんて、
一体何があったんだ?」
『それはこっちが聞きたいですっ!!』
「何? 一体どういう事?」
『だから、その……えっと、私なんで、自分のベッドでキチンとパジャマ着て寝てるんですか?』
「え? それって別に普通じゃない?」
『普通じゃないから聞いてるんですっ!! というか、その……食事を終えて、食器を流
しに運んで……そこら辺までは覚えているんですが……』
「そこから先の記憶がないと」
『……はい。真にお恥ずかしながら……』
「なるほどね……クスッ……」
『お笑いになることないじゃないですかっ!! 大体、勧めたのはタカシ様ですよっ!!』
「いや。僕はお酌はしたけど勧めてはいないけどな。むしろ止めたのに、芽衣が自分から
飲んじゃってたじゃん。それも覚えてない?」
『…………失態でした。申し訳ありません……』
「素直なのは宜しい。で、夕べの事だけどさ」
『わああああっ!! ちょっ……ちょっとお待ち下さいっ!!』
「何? 聞きたいんじゃなかったの?」
『いえ、その……心の準備が…… コホン。どうぞ』
「うん。でも言ってもいいのかなあ」
『私が聞いてるんですから、言ってもいいも何もないじゃないですかっ!! 何をその……
そんな、もったいつけてるんですかっ!!』
「いや。世の中には、知らずに済むことならその方がいい事もいっぱいあるじゃん。だか
らさ。これも教えない方がいいんじゃないかなって……」
『なっ…… わっ……私が何をしたって言うんですかっ!! こ……ここまで来てそんな
事言うなんて、却って気になっちゃうじゃないですかあっ!! も……もう、後には引き
返せませんっ!!』
「ホントに? いいの? 聞いて後悔するかもよ?」

819>>814のおまけ 3/5:2011/03/26(土) 21:17:43 ID:???
『聞かずに後悔するよりマシですっ!! 大体、聞いたら後悔するって、私そんな酷い状
態だったんですか?』
「うーん……まあ、ねえ…… どうだか……」
『濁さないで下さいっ!! 私……一体、何をしたんですか? タカシ様に失礼な事とか、
たくさんしてしまったとか?』
「いや。それは普段からしてるから。主に言葉で」
『普段のは、大抵タカシ様に原因があるんですっ!! からかったりなさるから……大体、
昨日の深酒だってタカシ様が適当な褒め言葉でおからかいになるのがそもそもの原因じゃ
ないですかっ!! 私のせいばかりってわけじゃ……』
「あれはホントにからかったつもりはないんだけど、まあそこで言い合いしてたら、また
話が進まなくなるからな。夕べの話に戻そうか」
『う……それで、私……何をしたんですか?』
「いや。何もしてないよ。というか、何も出来なかったって言うべきかな」
『出来なかったって……どういう意味ですか?』
「だって、自分はまだ仕事が残ってるから俺だけ先に寝ろって言ってリビングのソファに
座ったら、すぐに寝ちゃったんだもん。まあ、結局芽衣の方がワイン多く飲んだし、食卓
のライト以外は明かりが無くてほとんど真っ暗だから、しょうがないんだろうけど」
『リビングのソファで休もうとしてたのまでは覚えてます。けど、その先どうやって、自
分の部屋まで戻ったのか、それが全く記憶になくて……』
「ああ。さすがに芽衣をそのままほっとく訳にも行かないし、停電が終わったら起こそう
と思って。まあ、停電は意外と早く終わったんだけど、起こしても芽衣が全然起きなくて
さ」
『起きなかったって……それじゃ私、どうやって部屋まで…… まさか……タカシ様が?』
「まあね。大変だったけど」
『いっ……やあああああっ!! どどどっ……どうやって私を部屋まで連れて行ったんで
すかっ!! 肩を貸してですか? そ、それともおぶったりとか……抱っこでとか……』
「それは、芽衣のご想像にお任せするよ。一つ言えるのは、おれが連れて行ったってこと
は確かだって事で」
『どうしてそこで言葉を濁すんですかっ!! それもニヤニヤして、絶対面白がってます
よね? もう、最低です!! タカシ様はっ!!』

820>>814のおまけ 4/5:2011/03/26(土) 21:18:47 ID:???
「あれ? うっかり放置してたら暖房も無しで朝までリビングで寝てて風邪引いたかも知
れないのを、部屋に連れて行ってあげたのに最低扱いなんだ。それって、メイドとしてどうなの?」
『うううっ…… たっ……確かに、タカシ様に部屋まで運ばせたなんてのは、メイドとし
てあるまじき失態だとは思っておりますし、申し訳ないとは思いますけど…… ただ、今
のタカシ様は意地悪過ぎますっ!!』
「いや。まあ、詳しく語り過ぎると芽衣が恥ずかしがるかなって思って」
『もう、その言葉だけで十分過ぎるほど恥ずかしいですっ!!』
『(あああああ…… 私とした事が……タカシ様の言葉から察するに、やっぱり抱っことか
されたんだ…… それなのに、覚えてもいないなんて……じゃなくってっ!! タカシ様
にそのような事をさせるなんて……)』
「(まあ、本当は寝惚けてフラフラな芽衣の手を引いて部屋まで連れてっただけなんだけど。
でも、狼狽する芽衣はホント、面白いなあ)」
「まあ、まだ続きがあるんだけど。でも、これだけで十分恥ずかしいなら、この先は俺一
人の胸に仕舞っておくかな」
『まだ続きがあるんですかっ!! って、そうだ。何で私、パジャマ姿なんですか? 私、
起きなかったんですよね?』
「さあ。どうやってだろうね?」
『だから何だってそう意地悪な言い方するんですかっ!! もうはっきりおっしゃって下
さっていいです。腹は括りましたから』
「いや。やっぱ止めとく」
『何で? 何でですかっ!! 私がお願いしているのに言わないってどういう事なんですか?』
「だって、言ったら結局ボコボコに叩かれそうな気がして。今の芽衣の動揺っぷりから察するに」
『何で私がタカシ様をボコボコに……って、やっぱり、その……タカシ様が?』
「うーん……だって、芽衣がメイド服がしわくちゃになるからどうしても着替えるって聞
かないからさ。その割りに手は覚束ないし……」
『ちょっと待って下さい。私、起きたんですか? そんな事言ったんですか? 全く記憶
にないんですけど』
「起きたっていうか、ちょっと目を覚ましたって感じだったな。まるで、駄々っ子みたいだったよ」
『あの……それで、もしかして……』

821>>814のおまけ 5/5:2011/03/26(土) 21:19:34 ID:???
「そっから先はちょっと勘弁してくれ。話すの恥ずかしいから。まあ、俺にとってもちょっ
と思い出にはなったかな」
『なあああああっ!! 何がいい思い出なんですかっ!! ししし……信じられませんっ!!
そ……そんな事……ああああああっ!!』
「いや、ちょっと待て。誤解しないでくれよ。決してその、スケベ心むき出しでとかじゃ
なくてだな……」
『どっちだろうと私には同じ事ですっ!!!! あああああ……もうダメッ!! 失礼しますっ!!』
 ドタドタドタドタ……バタンッ!!
「ふう……やれやれ。本当は、冗談で着替え手伝おうかって言ったらボコボコに蹴られた
だけだったんだけどな。ま、ちょっとその仕返しもあったけど、でもやっぱり動揺してる
芽衣は可愛いよな」


『あああああ……もう最低っ…… タカシ様にここまで運ばれただけじゃなくて着替えま
で……という事は当然、下着もみ、見られて…… やだもう……酔っ払ってたからってな
んで……恥ずかし過ぎる……死にたい……(///////////////)』


以上
ツンデレが酔って記憶に無いなんていったら、やっぱり苛めたくなるよね

822以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 03:10:30 ID:???
昨日の夜は卑猥な流れだったのか!
「えっちなのはよくないと思います!!」
誰だってそう思う。俺だってそう思う。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1886.jpg

823以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 03:33:55 ID:???
俺だってそう思う

824以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 04:20:02 ID:???
ふぅ…


俺も、えっちなのは良くないと思うな!

825以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 12:16:56 ID:???
>>822
スカートが若干乱れて中が見えそうで見えないくらいになっているところまで妄想した。

826以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 13:55:06 ID:???
>>822
俺もえっちなのはよくないと思うから証拠として保存しておいた

827以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 14:31:25 ID:???
うん、えっちなのは良くないな
教訓としておっきく印刷して壁に貼っとくわ

828以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 20:37:20 ID:???
えっちなふぅ・・・のは良くふぅ・・・ないとおふぅ・・・もいふぅ・・・まふぅ・・・

829以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 21:05:04 ID:???
>>828
ただのピザじゃないかwwww

830以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/27(日) 23:32:33 ID:???
そんなかなみさんが好き
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1887.jpg

831以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 00:03:51 ID:???
かなみさんかわいい

832以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 01:21:00 ID:???
やっべ可愛い
GJ

833以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 02:02:07 ID:???
落書き。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1888.jpg

834以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 06:46:53 ID:???
落書きにしとくには勿体ない妄想だぜ
GJ!

835以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 06:58:10 ID:???
>>833
起きていきなりKOされた

836以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/28(月) 18:26:08 ID:???
>>833
かわいいいいい

837以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 01:22:10 ID:???
山田、きみが居なくなったらスレががらんとしちゃったよ。
でも……すぐになれるとおもう。
だから………。
心配するなよ山田。

8381/9:2011/03/29(火) 02:41:44 ID:???
(自炊)停電が怖いツンデレ

「よし。パソコンの電源は切ったし、携帯とゲーム機の充電も問題なしと。全く、夜の
停電ってうっとうしいなあ。まあ、電力足りないんだし、仕方ないけどよ」
 コンコン。
「何だよ……母さんか? 大丈夫だって。全部準備済ませたからさ」
 ガチャッ……
『こ……こんばんは……』
「へ……な、何だよ。かなみ……?」
『な、何よ。その変な顔。あたしが来ちゃいけないって言うの?』
「いや。いけないとは言わないけどさ。最近……その、珍しいじゃん。予告なしで来るなんてさ」
『うっさいわね。何よ。あたしが来ちゃいけないって言うの?』
「ま、待てよ。別にそうは言ってないだろ? 何カリカリしてんだよ」
『だって、アンタがまるで迷惑みたいな言い方するからじゃない。人の気も知らないでさ』
「だから、そんなん思い過ごしだっつーの。で、何だよ? 何の用だ?」
『……な、何よ。その……用がなくちゃ来ちゃいけないって言うの?』
「そんな意味で言ってねーよ。別に、用が無くたって、いたけりゃいればいいし。けど、
もうすぐ停電だぞ」
『分かってるわよそんなの。アンタ、あたしがバカだと思ってるわけ?』
「そんな、いちいち突っ掛かってくんなって。いや、分かってるならいいけどさ。ただ、
電気使えなきゃ何にもする事がないぞ。第一真っ暗になっちまうし」
『別にアンタの部屋でしたい事なんてないわよ。停電にでもならなきゃ、誰がこんなと
こ来るかっての』
「停電にでもって……ハァーン。なるほどな。そういう事か」
『え……? な、何よ。何一人で納得した顔してんのよ』
「いや。もしかしてさ、かなみ。一人で真っ暗闇の中にいるのが怖いんだろ」
『んなっ!? な……なにバカな事言ってんのよ…… だだだ……誰が怖いなんて……
そんなわけ無いでしょ? たかが停電くらいで……』
「じゃあ帰んなよ。別にここにいたって何にもする事ないぜ? むしろ、暗闇の中で男
女二人っきりなんて、下手したらムラムラして襲っちまうかもしれないし」

8392/9:2011/03/29(火) 02:42:09 ID:???
『ちょ……バカな事言わないでよ。変な事したらぶっ飛ばすからねっ!!』
「いや。勇ましいのはいいけどさ。暗闇でいきなり押し倒されて抵抗出来る? 俺だっ
て一応は人並みの男なんだぜ」
『じゃ……じゃあ、大声出すわよ。下におばさんだっているでしょ? そうしたら……』
「いきなり口塞いじゃうかもよ。そんな危険な奴と一緒にいるよりは家にいる方が安全
だろ。まあ、真っ暗闇が怖くて誰かと一緒にいないと耐えられないって言うんだったら、
話は別だけどさ」
『うっ…… な、何よアンタ。そんな脅すような事言って。あたしを追い返したいわけ?』
「追い返したいって訳じゃないけど…… まあ、俺だって後悔するような事したくない
けど、でもわざわざ真っ暗になるのに俺のトコ来るなんて、勘違いしたっておかしくないじゃん」
『勘違いって何よ? あたしが、その……タカシと……って? な……何言ってんのよ
アンタ。バカじゃないの? そ……そんな訳ないでしょっ!!』
「まあそう言うとは思ったけどさ。でも、何でわざわざする事もないのに俺んトコ来る
のか、理由が分からないとな。ここに来た理由が分からないと、俺だって男だから変な
期待するかも知れないし」
『アンタが期待するようなことなんてあたしがする訳ないでしょっ!! このドスケベ!!』
「じゃあさ。何で来たのか、理由くらい聞かせてくれたっていいだろ? こっちだって、
どう対応していいのか分かんないしさ」
『ううううう…… アンタってば卑怯すぎ。そうやって脅してさ。そこまでして、あた
しに理由を言わせたいわけ?』
「ああ。だって、これくらい言わなきゃ絶対言わないだろ? お前って頑固だからさ」
『ふ……ふんっ!! むしろ、アンタみたいな卑怯者には絶対教えてあげないわよ。そ
れに、どうせ襲う襲うなんて口だけでしょ? アンタってカッコばっかつけたヘタレだ
からさ。本当にそんな事出来る訳無いもんね』
「……お前さ。そういう挑発してると、本当に襲われるぞ」
『うっ…… バ、バカ言うんじゃないわよ。もし、ホントに襲ってきたら、舌噛み切っ
て死んでやるんだから』
「ちぇっ……全く、どこまで意固地なんだか。で、どうなんだよ? 別に停電が怖くて
俺んとこ来たでも、全然笑わねーからさ。正直に言ってみろって」
『だから停電なんて怖いわけないって言ってるでしょ? いい加減しつこいわよアンタもっ!!』

8403/9:2011/03/29(火) 02:42:35 ID:???
「じゃあ何でわざわざ、真っ暗闇になるこの時間に、二人っきりになりに来たんだよ。
俺とただいたいから?」
『へっ……!? べっ……別に、アンタなんかと一緒にいたい訳じゃないわよ……』
「ふーん。なら、いたくなければ帰ればいいじゃん。嫌な奴と真っ暗な中で二人きりで
過ごすっておかしくね?」
『べ……別に嫌って程じゃ…… 大体、幼馴染でずっと高校まで一緒なのに、今更嫌も
何もないわよ』
「でも、一緒にいたい訳じゃないのにいるのって、何か矛盾してないか?」
『いちいちうるさいわね。アンタは!! 男のクセにグチグチ言うなんてみっともないわよ』
「いや。お前だって気付いてんだろ? 自分がどんだけ理不尽な事言ってんのかってさ。
せめて理由くらい言って貰えないと、納得出来ないんだよ」
『ええいっ!! もう、細かい奴。停電でする事なくて暇だから、せめて話し相手くら
いになってあげようかと思ってやって来たのにさ』
「フーン。話、したいだけ?」
『あたしがしたいんじゃないのっ!! アンタが暇だろうから付き合ってあげるだけ!!』
「……いや。俺、停電終わるまで寝ようと思ってたからさ。話し相手とか必要ないんだけど」
『どーしてアンタは、人の親切を無にするようなこと言うのよっ!! せっかく話し相
手になってあげるって言ってんのよ? まあ、その……可愛いとまでは言わないけどさ。
でも、年頃の女の子がよ? 非モテ男のアンタなんだから、素直に喜びなさいよね』
「別に、押し付けの親切ならいらないんだけどな。かなみが俺と話したいって言うなら、
俺だって付き合うけど」
『だから何でアンタの方が付き合うことになるのよっ!! あたしが付き合ったげるっ
て言ってんのに!!』
「いや。だから、わざわざ付き合ってもらう必要なら無いって。仕方なくとか嫌々とか
だったら、全然気にしないで帰ってくれていいからさ」
『あああああ……もうっ!! アンタってどうしてこう、素直に人の親切を喜べないの
よっ!! ホントは嬉しいんでしょ? あたしが来てさ。だったら、大人しく認めなさいよね』
「……かなみがさ。停電中暇だから俺と一緒にいたいって言ってくれるなら、俺も素直
に喜ぶけどさ。何か親切の押し売りみたいじゃ喜べねーよ。コマーシャルでも言ってん
だろ? バカって言ったら、バカって言うってさ」

8414/9:2011/03/29(火) 02:43:00 ID:???
『むう…… フ、フンだ。時事ネタだからって偉そうに使っちゃってさ。もういいわよ。
別に、アンタなんかに喜んで貰わなくたっていいもん』
「そう言いながら、座るんだな」
『何よ。立ってるの疲れたから座っただけでしょ。悪いの?』
「いや、別に。それより、そろそろだな……」
『そろそろって……な、何がよ?』
「いや。だから、停電」
 プツッ……
『きゃあっ!!』
「ありゃ? 言ったそばから来たか。ところで、かなみさん」
『……な、何よ?』
「今さ。電気消えた瞬間、悲鳴上げなかった?」
『そ……そんな事ないわよ。気のせいでしょ?』
「じゃあさ。何で俺の手に縋り付いてるわけ?」
『……だって、暗いんだもん。こうやって触ってないと、アンタがどこにいるかよく分
かんないし……』
「別に、真っ暗っつったって、完全な闇ってわけじゃないじゃん。まあ、外からの光も
いつもに比べると異様に暗いけどさ」
『でも、暗いじゃない。べ……別に、怖いって訳じゃないけど……でも……』
「でも……何?」
『うっ……や、やっぱり何でもないっ!!』
「何だよ。変な奴」
『う……うるさいわねっ!! バカ……』
『(言える訳ないじゃない…… こうやってると、タカシの存在を感じられて、安心出来
るなんて……恥ずかしくって……)』
「ところで、かなみさ。寒いのか?」
『へ……? な、何でよ……?』
「いや。何か震えてるからさ。それとも、真っ暗で怖いから?」
『違うわよっ!! 全く、アンタもしつこいんだから。そうね。ちょっと……寒いかな』
「じゃあさ。悪いけど、ちょっと手、離してくれる?」

8425/9:2011/03/29(火) 02:43:22 ID:???
『ダッ……ダメよっ!! どっか行っちゃ……』
「違う違う。ベッドから毛布取るだけだって。ちょっと立つだけだからさ」
『何だ…… は、早くしてよ? 女の子凍えさすなんて、男としては最低だからね……』
「はいはい。それよりかなみ」
『こ……今度は何よ?』
「いや。さっき、ダメって言ったのさ。めちゃくちゃ必死だったよね?」
『あぅ……うるさいっ!! 寒いんだから、余計な事口走ってないで、早く何とかしな
さいっての!!』
「はいはい。よっ……と。ほらよ」
 バサッ……
『きゃっ!? い、いきなり渡さないでよ。暗くて見えないんだから、危ないじゃない』
「悪い悪い。俺も暗いから、あんまり動けなくてさ」
『全くもう。ホント、アンタって優しさがないわよね……』
「そうか? 俺は俺なりに気は遣ってるつもりなんだけどな」
『アンタの気の遣い方なんて、世間で優しいって言われてる男の十分の一にも満たない
のよ。ちょっとは反省しろ』
「はいはい。で、どうだ? 毛布かぶって少しは暖まったか?」
『うーん……少しは』
「少しは、か……どれどれ?」
『ちょっ……? な……何でアンタが入ってくんのよ?』
「何だよ。スペースあるんだし、別にいいだろ? それに、隣に座ってた方が、どこに
いるか分かるからいいんじゃないの?」
『そ……それはそうだけど……』
 ギュッ……
「ほら。また、こうやって縋り付いて来るし」
『うるさいわねっ!! そういうからかうような言い方、超ムカつくんだけど。嫌なのアンタは?』
「いや。全然嫌じゃないけど」
『だ……だったら、変な事言わないで大人しくしがみ付かれてなさいよね』
「はいはい。でもさ。何か毛布掛けても、震えおさまってなくないか?」

8436/9:2011/03/29(火) 02:43:45 ID:???
『え……? う、うん。まだちょっと……』
「しょうがないな。まあ、もう少し暖かくする方法はあるんだけど……」
『あるの……? だったら、その……早くしてよね』
「ああ。だけどさ。また手を離してもらわないと、出来ないんだけど」
『だ、ダメよ。どっかいっちゃ…… それに、その……暗闇の中で動き回ると危ないじゃない』
「いや。別に何か取りに行ったりする訳じゃないから。ちょっと体勢変えるだけで」
『体勢って…… 何する気なのよ』
「えっと…… こう」
 グイッ!!
『きゃっ!? なっ……ななななな……何すんのよいきなりっ!!』
「その……こうやってくっ付けば、体温でより暖かくなるんじゃないかって思ったけど、ダメかな?」
『あぅ…… 言ってる事は分かるけど、いきなり肩を抱かないでよねっ!! 心臓に悪
いじゃないのっ!!』
「……悪い。予告したら、断られそうな気がして……」
『そ……そりゃまあ…… でも、だからって断りもなしにやるなんて、しっ……失礼過ぎない?』
「それは、その……そうかも知れないけどよ。でも、まあその……無理矢理にでもやっ
て、暖かさが実感できれば、かなみも拒否しないかなって…… で、どう?」
『ど……どうって、その……何がよ……』
「いや、だから……寒さの方。マシにはなったかなって……」
『え、えーと、その……うん。まぁ……』
「そっか。良かった。確かに、震えの方もおさまったようだしな」
『(て言うか、もうそんなどころじゃないわよ。もう心臓バクバクでヤバ過ぎて……怖い
とか寒いとかなんて、全部どっか行っちゃって…… 体めちゃくちゃ熱いし……)』
『ううううう…… もうっ!! こんな事……普段だったら、ぶっ飛ばしてやるんだから……』
「いや。まあ、こんな時でもないと出来ないし。でも、何気にかなみも、気持ち良さそ
うじゃないか?」
『だ……誰がよ? バカ言ってんじゃないわ。アンタに肩抱かれるなんて、気持ち悪く
てしょうがないんだから。今は、それ以上に暖かいから、許してあげてるけど』
「でも、頭もたれかけて来てるし」
『う…… だ、だって、それはその……楽だから……だもん……』

8447/9:2011/03/29(火) 02:44:08 ID:???
「それに、最初肩を抱いた時より、くっ付いて来てないか?」
『それはだって……どうせ暖まるんだったら…… ていうか、その……いっそ、こうし
た方が、もっと暖かいかなって……』
 スッ……
「へえ。かなみから、腰に手を回してくるなんて意外と大胆だな」
『うるさいっ!!(////////////////) 暖まる為だって言ってるでしょっ!! こんな事……
寒くもなきゃ、したくないんだから……』
「分かった分かった。ま、俺は嬉しいからいいけどさ」
『え……?』
「いや。かなみの方から積極的になってくれるなんてな。例え仕方なくでもさ。それで
も俺は別に構わないし」
『なっ……何変な事言ってんのよ。こんな時に……バカじゃないの……?』
「ハハ…… ゴメンな。でも、ホントの事だから……」
『……ズルイ……』
「え? 何か言ったか?」
『へっ……? な……何でもない!! 気にしないで』
「でも、俺の言った事に何か言ったんじゃないのか? 気にするなって言われても気に
なるんだけど」
『気になっても気にするな!! あああああ……もうっ……いいから黙っててよ、もうっ!!』
「ちぇっ。相変わらず、お前ってワガママだな。まあ、お前らしさが戻って来て良かったけど」
『何よそれ? あたしの事バカにしてる訳? ワガママなのがあたしらしいって……』
「いやいやいや。そういう訳じゃないけどさ。何つーか、さっきまでは無理に強がって
た感じがあったけど、やっと元気が出たみたいでさ」
『やっぱバカにしてるじゃない。ワガママなのが元気の証拠だなんて。フンだ。もうい
いわよ。バーカッ!!』
『(もう……せっかくドキドキする展開だったのに台無しじゃない。まあ、あたしのせい
なんだけど…… でも、タカシはズルイな。サラッと嬉しいとか言っちゃって……あた
しなんて、せっかくタカシがチャンスをくれたのに……話題に乗っかる事すら出来なく
て…… でも、まあいいかな。こうして、タカシの温もりに包まれているだけで……)』

8458/9:2011/03/29(火) 02:44:37 ID:???
 パパッ……パッ!!
「お、電気点いたか。おい、かなみ。起きてるか?」
『何よ。ちゃんと起きてるわよ』
「じゃあ、分かってるだろうけど、停電終わったぞ。暖房入れるからさ。もう離れてもいいぞ」
『……いい』
「は? いいって、何が?」
『……このままでいい。せっかくヌクヌクしてるのに……離れたら、温もりが逃げちゃ
うじゃない』
「いや。でも、ずっとこのままって訳にも行かないだろ? 俺も風呂入らないといけないしさ」
『……じゃあ、もうちょっとだけ。せめて、部屋が暖まるまで』
「しょうがねーな。何か、今日はずいぶんと甘えっ子じゃん」
『う……うるさいっ!! 別にアンタに甘えたい訳じゃないわよ。せっかく暖かくて気
持ちいいのに、体冷やしたらもったいないなって……それだけなんだから』
「はいはい。じゃあ、もう少しこうしているか」
 ギュッ……
『だからって調子に乗って抱き寄せないでよ。バカ』
「だって、暖かくて気持ちいいんだろ? だったら、よりくっ付いた方がいいじゃん」
『ううううう…… しょうがないわね。まあ、あたしからこのままでいたいって言った
から、少しだけ我慢してあげるわよ』
『(我慢なんて嘘だけどね。もっともっと、くっ付きたいくらいだし……)』
 コンコン。
「『へ?』」
[ちょっと。かなみ。アンタ、家の鍵持ったままで――]
『おかっ……!?』
[あらあらまあまあ。お邪魔しちゃったみたいね]
『ちっ……ちがっ……お母さんっ!! これはその……』
[照れなくてもいいわよ。でも、二人ともまだ高校生だからね。避妊だけはしっかりす
るのよ。それじゃ、お母さん下でタカシ君のお母さんと話ししてるからね]
 バタン。
「……………………」

8469/9:2011/03/29(火) 02:45:37 ID:???
『いっ……』
「え?」
『いつまで抱きついてんのよっ!! 離れろこのバカッ!!』
 ドンッ!!
「あイテッ!! いくらなんでも突き飛ばす事ないだろが」
『うるさいっ!! アンタのせいで、お母さんに見られちゃったじゃないのよ。あれ、
絶対誤解してるもん。どうしてくれんのよっ!!』
「どうしてって言ったって……元々くっ付いたままでいたいって言ったのお前だし……」
『ゴチャゴチャ言わないのっ!! 男だったら、ちゃんと責任取りなさいよっ!!』
「責任って言われても……なあ……どうすりゃいいんだよ」
『自分で考えなさいよねそんなのっ!! あああああ……もう、恥ずかしいよぉ……死にたい……』


おしまい
せっかくの告白チャンスを不意にしてしまうのも、ツンデレのまたいいところ

847以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 04:59:11 ID:IHOBX1bQ
GJ!

848ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:25:07 ID:???
デレデレ→ツンデレ
という変化を書きたくて勢いで書いた。反省はしていない
ツン成分は最後のみ、前半はデレデレです

849ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:25:39 ID:???
「ん……」

冷たい風に頬をなでられ、俺は自室のベッドの上で目を覚ました。
晴れ晴れとした青空の下、まだ冷たい空気が開け放たれた窓から入り込んでくる。
暦の上ではもう春になっているとはいえ、まだまだ外は寒い。なのになぜ窓が全開になっているのか、それはこの部屋においてはとある人物の来訪を意味している。

「…………何してんだ、梓」

「おはようのちゅー?」

ベッドの上で毛布にくるまった俺の隣に制服姿の梓が寝転んでいる。唇を軽く突き出し、瞼は閉じられている。
勘違いをしてもらっては困るが、俺と梓は別に恋人同士でも何でもない。ただの幼馴染だ。
そこそこ長身な俺と比べて、梓の容姿はまさに子供体型という言葉がぴったりで、身長も胸も控えめ(本人曰く発展途上)。
腰もややくびれてはいるがやはり子供っぽく、さらに童顔なので、しょっちゅう中学生、悪いときには小学生に間違われるときもある。
俺は未だに唇を突き出してチューチュー言っている梓にチョップをくらわせる。

「いたっ!なにすんの!」

「いいかげんにそういうのは止めろと言ってるだろう」

そしてなにより言動が子供っぽく、今のように『ちゅー』をねだったり、べたべたとくっついてきたり、一緒に寝ようなどと布団に潜り込んできたりして、まるで幼い妹のようだ。

「うう〜……なんでしちゃだめなんだよぉ〜」

頭をさすりながら涙目で訴えかけてくる梓。

「だから、そういうのはちゃんと『好き』な人のためにとっておくもんだって言ってるだろ」

「? タカシのこと、ボクは『スキ』だよ?」

「あのなあ……」

梓の言う『スキ』は、タカシの言う『好き』とはまったくの別物だ。梓のは家族愛、兄弟愛のようなもので、恋愛感情とは全く関係がない。
そもそも一人称が『ボク』の時点で子供っぽ過ぎるし、おしゃれなどは最近少し意識し始めたようだが、同年代の女子に比べるとやはり気合の入れ方が違う。

「いーじゃんほらちゅー、ちゅー、ちゅー」

「はあ……しょうがないな」

梓の頭を抱き寄せ、額に軽く唇を触れさせる。

「え〜、おでこ〜?」

「良いだろ別に。ほら、もう起きるから、お前も下に降りて待ってろ」

わかってるー、とやはり子供のような返事をして、部屋から出ていく梓。
その後ろ姿を見送り、体を起こしたタカシは、盛大に溜息を吐く。

「なんで、あんなんを『好き』になったんだろうなあ……」

850ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:26:49 ID:???
〜〜〜〜〜


「行ってきます」

「いってきまーす!」

朝食をとってから二人で家を出る。もちろんデートなんかではなく、普通に学校だ。

「タカシタカシー。今日のお弁当のメニューは?」

「もう昼の心配かよ。あんま食い意地はってると太るぞ」

「大丈夫だよー。ボクは太らないようにできてるから!」

「だからこんなにチビなのかー」

小さな梓の頭を掴んでぐりぐりしてやる。

「うあー!やめろー!もっと小さくなったらどうしてくれるー!」

「うりうり」

「やーめーろーよー」

口では嫌そうにしているが、梓の表情はそれと違い、むしろ嬉しそうにしている。
ひとしきりぐりぐりとしてから手を放して、もちゃもちゃになってしまった髪の毛を手で整えてやる。

「まったくタカシはー!これ以上小さくなったらホントに妹になっちゃうぞー!」

「バカ言え。食費がかかりすぎて破産するっつーの」

「なんだとー!そこまで食いしん坊じゃないもん!」

851ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:27:42 ID:???

頬を膨らませてプリプリしている梓を見ながら歩いていると、前方に友子と山田のペアを発見した。
梓もそれに気付き、大声で二人を呼ぶ。

「おおーい!ともちゃーん!山田くーん!」

二人もそれに気づいて立ち止る。

「おーっす。今日も元気に別府くんと仲良く登校してるなあずあず〜」

「おはよう、タカシ」

「おう、山田も友子と仲睦まじそうでなによりだな」

山田と友子は幼馴染同士で、中学1年の時に俺と山田と同じクラスになって以来、ずっと一緒にいるメンバーだ。

「はは、そうかな。ま、梓ちゃんとタカシには敵わないけど」

山田の言葉に梓がすぐさま返す。

「えー、そんなことないよー。タカシったらねー、今日もおはようのちゅーをねー、おでこにしたんだよー。信じらんない!」

「ばっ……!」

なんてことカミングアウトしやがる!しかも大声で!
朝で人が少ないとはいえ、学校のそばなんだぞ!誰かに聞かれたらどうすんだ!

「なになに〜?別府君てば据え膳も取れないヘタレなの〜?」

「あはは、そうだね。友子は口じゃないと許してくれないもんね」

今度は山田のターン。友子の顔が一瞬で真っ赤になる。

「ば、あ、あんた、な、なんてことを……」

852ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:28:16 ID:???

「あはは、言っちゃダメなんだっけ?」

「あああああ、あ、あったりまえでしょ!?なに考えてんの!?」

真っ赤な顔で詰め寄る友子と、朗らかに笑っている山田。しかし山田のターンはまだ続く。

「でも朝っぱらからあんなにシたから、僕も腰痛くってさー」

「!?!!??!?!?バカっ!!もう知らないっ!!」

「あっ!?ごめんよ友子〜!待ってくれ〜!」

真っ赤な顔のまま走り出す友子とそれを追う山田。

「タカシー!僕たち先に行くからー!あとでねー!」

「おー、また後でー!」

「後でねー!……ところでタカシ?」

梓が俺の袖を引く。

「ん?」

「ん」

振り向くと、軽く顎を上げて、いわゆるキス待ちの顔をしている梓がそこにいた。

「……梓、なにしてんだ?」

「早く、おはようのちゅー」

「……今朝しただろ」

「口じゃないと許さないー。ほらちゅー」

「やかましい!」

「いった!!」

無防備な額にデコピンをしてやる。
自分の腕をぶんぶん振ってプリプリと怒る梓。

「もー!なんでなんでなんでー!!?」

「うっせー。ほれ行くぞ」

梓の手をとってぐいぐいと引っ張りながら歩く。
引っ張られながら、梓はうーうーと唸っている。

「うぅ〜……じゃあさ、タカシ?」

「今度は何だ?」

「山田くんは、なんで腰が痛くなったの?」

「……お前にはまだ早い」

853ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:28:48 ID:???
〜〜〜〜〜


「ぅおあ゙あ゙〜〜……今日も終わったなあ〜〜」

今日最後の授業が終わり、俺は思いっきり伸びをする。
それと同時に、梓が駆け寄って来る。

「たーかーしっ!!」

「ん、帰るか?」

「ボク今日さー、委員会があって、ちょっと遅くなるんだよねー」

梓は結構読書家で、見かけによらず図書委員なんてものをしている。
普段俺がいないときは本を読むか寝るかの二択で、俺が一緒のときも図書館に付き合ったりしている。

「なにするんだ?図書委員って、そんなに時間のかかることってやるっけ?」

「うん。なんかねー、今日は皆でラベルの張り替えとかやるんだってー。しかもそれ貸出時間終わってからだからさー。もしかしたら夜までかかっちゃうかも」

「ふーん……」

「だから、タカシ先に帰ってて?」

「ん、わかった」

「うんっ!じゃ、ボク行くね?」

「おう、がんばれ」

「じゃあねっ!」

ぶんぶん手を振りながら教室を出ていく梓。
それに手を振り返しながら、俺はどうするか悩んでいた。
そこに友子がやってきた。

「ヘイ旦那!嫁と一緒に帰れなくって寂しいのかい?」

「誰が」

854ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:29:12 ID:???
「お?あずあずが嫁だというところは否定しないのかい?」

「……朝から自分の旦那と盛ってるヤツにイジられたくねー」

「ちっ、ちがっ!?あれは山田がっ……!!」

「ほう?山田が旦那だということは認めるんだな?」

「〜〜〜っ!!」

顔を真っ赤にして悶えていた友子だったが、しばらくすると落ち着いたようで、こほん、とわざとらしく咳払いをした。

「でも旦那、そんなに余裕でいいのかい?」

「? なにが?」

「最近、主に先輩たちの間で賭けって言うか、競争が始まってるんですよ」

「なんの」

「誰が一番早くあずあずをモノにできるか、っていうね」

「はあ!?」

思わず音を立てて立ち上がってしまう。

「あずあずは前から結構人気でね。でも彼氏がいるって話に最近までなってたんですが」

「彼氏!?梓に!?」

嘘だろ!?いつの間に!?どこの誰が!?

「アンタのことだっつーの……あー、で。最近あずあずには彼氏がいないって真実がついに周知の事となりまして。そんで最近はアタックを仕掛ける男共が増えているわけです、はい」

「……それで?」

「ん?いや、梓はアンタも知っての通りアレだから、まだゲットはされてないみたい」

それを聞いてほっと息をつく。
彼氏がどうとか聞いたときは軽くパニクりそうだったが、梓が一方的にアタックを受けているだけなら安心だ。

「なんだよ……ビックリさせんな」

「……ずいぶん余裕だね?」

「余裕ってほどじゃないけど……まあ梓だし、大丈夫だろ」

「ところがどっこい」

「?」

「梓も今をときめく女の子。頼れる年上にコロッと落ちちゃったり……」

「ふん、バカバカしい」

「……ま、余裕こいてあずあず取られちゃってもアタシには大してカンケーないし……でもあずあずがアタック受けまくってんのはマジだから。じゃーね」

「おう。じゃーな」

855ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:29:42 ID:???
〜〜〜〜〜


そして夜。
俺は未だに教室にいた。

「…………ふう」

さっき校内の自販機で買ってきたコーヒーの残りを飲み干す。
うちの学年の教室棟は図書館と向い合せになっていて、様子がよくわかる。
電気がまだ点いているところを見ると、相当長引いているのだろう。
携帯で時刻を確認すると、すでに午後7時を過ぎていた。

「それにしてもなっげーなあ…………」

遅くなるとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。
一旦帰ってから迎えにくればよかったと少し後悔したとき、図書館の電気が突然消えた。

「さてと……」

空き缶をゴミ箱に捨ててから、俺は昇降口へと急いで向かった。


〜〜〜〜〜


昇降口に着くと、梓と、もう一人男がいた。
遠くからでよくわからないが、男がなにやら梓に詰め寄り、梓は少し怯えているようだった。
俺は急いで駆け寄り、声をかけた。

「梓、今終わったのか?」

「あ……!タカシ!」

パッと顔を輝かせて、梓が俺の方へ駆け寄って来る。
すると梓に詰め寄っていた男が不機嫌そうに話しかけてきた。

「ちょっとちょっと、なんなんだよ。梓ちゃんは俺と帰る約束してたんだっつーの」

男が手を伸ばして梓を捕まえようとする。
俺はそれから庇うように梓の肩を抱くと。

「すんません、梓は俺と帰る予定だったんすよ。いつもそうですし、今日も委員会が終わるまで待ってたんです」

856ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:30:04 ID:???
「は?そんなの聞いてねーけど」

「そうですか。ウチの梓の予定を、わざわざアンタに報告する義務もないと思いますけど」

「は?なに?ウチの?」

男は明らかに敵意を向けてくる。
俺は梓をもう少し強く抱き直し、はっきりと言う。

「はい。『俺の』です」

「…………チッ」

男は諦めたようで、肩を怒らせながら帰って行った。
俺はほっと息をつく。
正直ビビった。緊急事態だったとはいえ、ここまで緊張したのは初めてだ。

「た……タカシ……」

「……おう」

「……ありがと」

「……おう」

「あとあの……手」

「ん?」

「手……もう離しても、いい、よ?」

「お、ぉおう……」

慌てて手を離す。
なんか間抜けな声が出てしまった……。

「………………」

「………………」

「……か、かえろっか」

「……おう」

857ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:30:24 ID:???
〜〜〜〜〜


「ほら!満月だよ満月ー!」

「わかったわかった。前見て歩け街灯ないんだから、転ぶぞ」

「大丈夫だよ〜。ここら辺車も少ないし〜」

真っすぐな住宅街の道をクルクルと回りながら楽しそうに歩く梓。
あれから10分もすると、梓はもう元気になっていた。

「呑気なもんだな……」

あの男との対峙もそうだが、あんなに大胆というか、思い切ったことを俺がするなんて……。
――『俺の』です――

「恥ずかしい……」

「なーに顔赤くしてんの?」

目の前で立ち止った梓が楽しそうに見上げてくる。
しかし、俺と目が合うと、すぐに目をそらした。

「? どうした?」

「あーああー、うん。えー……っと。あの、さ」

「うん?」

近付いてくるトラックのライトで、梓の顔がだんだん見えにくくなる。

「さっきは、なんか……助けてくれて、あり、がと」

「……おう」

「な、なんか……はずかしー!!」

「ばっ……!!」

住宅街の狭い道。
いきなり振り返って走りだそうとする梓。
そこそこのスピードで近付いて来るトラック。

「え?」

「梓!!」

858ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:30:47 ID:???
〜〜〜〜〜


「ぅぉおお〜……あっぶねー……」

「ぁ…………あ…………」

まさに危機一髪。
梓を抱き寄せるのが一瞬遅ければ、二人とも無事では済まなかった。

「梓……大丈夫か?」

「だだ、だいじょ、ぶ」

梓の顔を見てみると、泣いてはいないが、まるでトマトのように真っ赤っかだった。

「あ、梓!顔が赤いぞ!?どっか痛いのか!?」

「ちが、ちが、ちが」

「血が!?出てるのか!?」

「違う。うん。違う、から、はな、離して」

「え?なに?」

「は、離して。うん。早く。ボク。解放。して」

何故片言?

「ホントに大丈夫か?頭とか打ってないか?」

「いい。いい。へーき。は、早く。離して」

「でも顔真っ赤だぞお前……」

「は、離してっ!!」

無理やり腕から抜け出す梓。

「え?あ?だ、大丈夫か?」

「うん。うん。大丈夫。たた、助けてくれて……ありありありありありがとう」

「お、おう……」

「じゃ……じゃあねっ!」

「え?おい!待てよ!」

突如、猛然と駆けていく梓。

「なんだあ……?」

俺は疑問に思ったが、腰が抜けてしばらく動けなかった。

859ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:31:35 ID:???
〜〜〜〜〜


1週間後。
登校の時間。

「おはよう、梓」

「お、おはよ……」

「今日も来なかったんだな」

「べ、別に……行こっ」

「…………」

あれから、なぜか梓は俺の部屋に来なかった。
そのうえ、いつも目を見て元気にあいさつしてきていた梓が、俺と目も合わせようとしない。
そして、今まで毎日ねだってきた『おはようのちゅー』をねだらなくなった。

「………………」

「………………」

なぜっ!!?
どうしてこうなった!!?

「あ、梓?」

「な、なに?」

「最近おかしくないか、お前」

「べ、別に」

「俺、なんかしたか?」

「べ……別に」

「か、顔赤いぞ……熱とか……」

梓の額に手を当てて熱を測る。
うーん。別段熱くは……。

「ぼ………………」

「……?」

「ボクに触るなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「ぐはっ!?」

鳩尾に思いっきりタックルをくらった。
腹を抱えてうずくまる。

「な、なにを……」

860ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:32:00 ID:???

「た、タカシはボクに触れちゃダメ!!あの……アレだから!!た、タカシに触られると、ボクの頭がおかしくなっちゃうから!!」

「ええ!?」

「ちゅーとかも禁止!!触るのも禁止!!ぼ、ボクの半径5メートル以内に入らないで!!」

「なぜ!?」

「とっ、とにかくダメ!!おかしくなるから!!」

な、なんか梓が暴走してる!?
とにかく落ち着かせないと……。

「お、落ち着け梓……」

とりあえず頭を撫でる。
昔はこんな感じで泣いている梓を落ち着けたもんだが……。

「………………」

「お、落ち着いたか?」

恐る恐る顔を覗き込むと。

「んにゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「ごふっ!?」

顔面に思いっきりパンチを食らった。

「ああっ!!?ちっ、違うの!!これはちがくてっ!!あの、あの、あの!!」

「梓……?」

「ちっ…………」




「違うんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」




トドメを刺して、梓は走り去って行った。

861ボクっ子幼馴染の動揺:2011/03/29(火) 11:32:43 ID:???
とりあえず終わり
続くと思う
アレな人はNGよろしく

862以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 12:24:21 ID:ym3isE0I
良すぎる。
続きを待ってる。
全裸で。

863以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29(火) 12:57:12 ID:???
期待してます

864以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/30(水) 17:37:16 ID:???
デレツン…だと…!
超期待!

865以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/31(木) 01:52:48 ID:???
何なんだこれは・・・
デレツン初めて見たけどヤバ過ぎだろ
続き全力で期待してるわ

866以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/31(木) 08:20:17 ID:???
これがデレツンか……
とりあえず全裸に靴下で待機すればいいんだな?まかせろ!

8671/6:2011/04/02(土) 19:46:44 ID:???
(自炊)ツンデレが男に実はモテてるみたいだよって言って反応を確かめてみたら

 春休みだというのに、わざわざ制服着て学校に来ているなんて奇特な人は、そう多くな
いと思う。いや。部活とかやってる人は別だけど、私みたいな物事にそう熱心に打ち込め
ないタイプの人間は、普通、友達と買い物行ったり家でのんびりしたりして過ごすものだ。
とはいえ、もちろん理由はある。それは私が単に生徒会執行部の一員で、新年度に向けて
やるべき仕事があるという以上の理由だ。
「ふぁ〜あっ!! つっかれたなぁ……」
 その理由の人は、コの字型に配置された机の、私の向かいの席で気だるそうに大きくあ
くびをしていた。
『何言ってるんですか。別府先輩。まだ来て十分くらいでしょう。だらけてないで、真面
目に仕事して下さい』
 ピシリと言って、私は目の前のノートパソコンに向かう。もっとも、偉そうに言う私だっ
て、ほとんど仕事は進んでいなかった。何故なら、先輩と二人っきりなんていう状況で、
しかも今日は他の役員は誰も来ないとなれば、緊張で身が入らなくなっても当然なのだ。
「既に、ここに来る段階で気力使い果たした。やっぱ、ちょっと休んでからにするわ」
 そう言って、先輩はバッグから雑誌を取り出して読もうとしだす。私はここは、真面目っ
子ぶって注意をした。
『ダメですってば。先輩の場合、ちょっとが一時間にも二時間にもなるんですから。会長
がいないからって羽伸ばさないで下さい』
「その会長がいないからじゃねーか。滅多にないんだぞ。まあ、言われた仕事やっとかな
いと後が怖いからちゃんとやるけどさ。少しくらいのんびりしたっていいだろ」
 先輩は不満そうに私に文句を言う。だけど、私だって不満だ。せっかく会長も他の誰も
来ない二人っきりなのに、雑誌読んで時間潰されたりしたら、がっかりにも程がある。こ
のひと時は、そんなに長くは続かないのに。
『だったら、先に仕事をしてからにすればいいじゃないですか。そうすれば、雑誌でなく
たって、早く帰って好きなことが出来ますよ』
 すると先輩は、紙パックのコーヒーをちょっと啜り、雑誌をパラパラとめくる。無視さ
れたのかと、私は声を荒げた。
『ちょっと先輩。私の言う事聞いてます?』

8682/6:2011/04/02(土) 19:47:08 ID:???
 先輩は、顔を上げて私を見た。ちょっとめんどくさそうな表情なのが苛立つ。
「聞いてるよ。お前の言う事はもっともだけどさ。ちょっとくらい休んでからでないと能
率も上がらないって言うだろ? ダラダラ時間掛けて仕事するよりは、その方が早いかも
知れないぞ」
『先輩が能率よく仕事してるのなんて、見た事ありませんけど』
 ピシリと言い返すと、先輩は思わず舌打ちをして渋い表情を見せた。雑誌から顔を上げ
て、やっと私を見てくれる。
「お前な。あんだけ会長の馬車馬のように働かされて、能率よく仕事出来なかったら毎日
帰れないって。正直、どう考えたって、俺が一番働かされてるだろ? おまけに、雑用ま
でたんまり押し付けられてさ。たまらんぞ」
『仕方ないじゃないですか。先輩が一番の下っ端なんですから』
 キッパリと言い返すと、先輩は苛立たしげに頭を掻き、それから背もたれにドサッと体
を預けた。
「一番の下っ端てなあ…… 一応、副会長なんだぞ。俺は?」
『別名、会長の奴隷ですよね?』
 冗談ぽく言って私は笑顔を見せる。しかし、内心では自分の言葉にキュッと僅かな痛み
を覚えていた。美人で聡明。凛とした立ち振る舞いで人気があるにもかかわらず、同時に
近寄りがたい雰囲気の会長と、それはちょっと特別な関係を意味しているのだから。
「全くだ。正直、よく務まってると思ってるよ」
 うんざりしたように言う先輩を、私はジッと見つめた。私から見ても、それは確かにそ
の通りだと思う。だからこそ気になるのだ。果たして先輩は、会長をどう思っているのか。
だけど、臆病な私が口に出すのは、全然かけ離れた言葉だけだった。
『……前から思ってましたけど、別府先輩ってM気質なんですかね?』
 すると先輩は、凄く嫌そうな顔をした。
「止めてくれよ。俺にそういう趣味はないぞ」
『だって、会長にこき使われても黙って付き従ってるじゃないですか』
 私は、出来る限り冷静にそう言うと、パックのいちご牛乳を少し飲む。意外と、ちょっ
と核心に近づけたかなと先輩の返事を待つが、先輩はしばらく考えてから、小さく言った。
「……単に、逃げ出すのが嫌なだけなのかもな。実際、仕事回らなくなるのも事実だし」
『へえ。先輩って、そんなに責任感が強い人だなんて知りませんでした。正直、驚きです』

8693/6:2011/04/02(土) 19:47:31 ID:???
 ちょっと嫌味ったらしく、私は言った。正直なところ、先輩の今の言葉はあまり信じら
れない。果たして、先輩は何を考えていたのだろうか。そこが私は知りたくてたまらなかった。
「……お前さ。今、スゴく俺の事バカにしただろ?」
 先輩がジト目で睨むのを、私は笑顔で受け止めた。
『はい。もちろん』
 先輩の表情が面白かったから笑ってしまったけど、もちろん、そんな事はない。信じて
いないのは事実だけど。
「ハーア…… 何で俺の周りっていうのはこう、性格のキツイ女子ばかりなんだろうな。
もうちょっとこう、優しく癒してくれる女っていうのはいないもんかね」
 ため息混じりな口調で先輩が言う。しかし、私は知っていた。先輩の傍にそういう子が
いても、多分先輩は気付いてくれないだろうと。
『そんな都合のいい人なんて……』
 いつものように毒舌で切り返そうとして、私ははたと言いよどんだ。もし、いると言っ
たら先輩はどんな反応を見せるんだろうか? 幸いにして、今日はそれが出来る日なのだ。
そんな事を考えていると、先輩が食らい付いてきた。
「都合のいい人が、どうしたんだよ? てっきりいる訳ないじゃないですかって速攻で切
り返されると思ったんだけど、途中で止められると却って気になるじゃん」
 先輩から視線を逸らし、私はうつむく。何だか自分が傷付く結果にもなりかねないよう
な気がするが、そうしたらせめて憂さ晴らしを散々すればいい。私は、迷いを振り切った。
『……いや。考えてみたら、信じられない事ですけど、いない事もないかなって……』
「マジで?」
 先輩が驚いた声を上げて椅子から腰を浮かす。私はそんな先輩を見て、ため息をつく。
目の前の女の子には全然目もくれないくせに、こういう時に興奮されると、やっぱりやる
せない気分になる。そりゃ、私だって仮に私に好意を持ってる男子がいるよと言われれば
悪い気はしないけど、でも好きな人に目の前でやられるのは、やっぱりちょっと辛い。
『知らないってのは怖いですよね。実は先輩って、一年の女子の間じゃ結構人気あるんで
すよ。曲がりなりにも生徒会副会長とかやってるから、知名度はありますし』
 私はそう言って顔を背けた。こんな嘘で喜ぶ先輩の顔なんて見たくない。とはいえ、や
はり反応も気になってしまい、目線だけで先輩を追ってしまう。
「マジかよ。その割にはバレンタインデーとか、さっぱりだったけどなあ」

8704/6:2011/04/02(土) 19:47:58 ID:???
『……女子って、そういうトコ牽制し合いますから。それに、先輩って会長のお付のイメ
ージは拭えませんから、それで遠慮してる子もいると思いますし』
 つまらなさそうに言いつつ、私は視線をあちこちに泳がせる。果たして、先輩がどうい
う態度を取ってくるのか、私は気が気でなかった。
「ちぇっ。やっぱ勘違いされてんのか。俺もクラスの奴から、あんな美人とお近づきにな
れて役得だなとか散々言われてよ。全く、譲れるものなら譲ってやりてーよ」
 その言葉に、私はドキリとする。今のが本音だったら、先輩は会長の事をあまり良く思っ
ていないのかも知れない。だけど、人の心なんて、そう簡単には推し量れないのだ。
『私もよく聞かれます。別府先輩って会長と付き合ってるのって。安心して下さい。天地
がひっくり返っても、そんな事あり得ないって答えてますから』
「天地がひっくり返ってもってのは大げさだろ。まあ、でもねーだろうなぁ……」
 気のせいか、先輩の声が諦めの混じった声に聞こえた。もうちょっと、確かめてみたい。
そう思って、私は一歩踏み込んだ質問をしようと決めた。
『先輩。じゃあ、もしその中の子の一人が告白して来たら……先輩は、付き合いますか?』
「へっ!? お、俺にか?」
 ちょっと驚いた顔で、先輩は自分を指差す。私はコクリと頷いた。
『はい。先輩が完全フリーだと知れば、誰かに先を越されないうちにって、思い切って先
輩に告白する子が、もしかしたらいるかも知れません。そうしたら……どう、答えますか?』
 私は、勇気を振り絞って先輩を真正面から見据える。しかし、今度は先輩の方が、ちょっ
と困った顔で顔を逸らしてしまった。
「そ……そう言われてもなあ。俺だって好みがあるし……相手の子によりけりかと思うんだがな」
『じゃあ、顔が可愛くてスタイルのいい子なら、オッケーしちゃうんですか?』
 その質問は、自分にとっては痛みも伴った。何故なら私は、その両方も持ち合わせては
いなかったから。しかし、先輩の答えは、それでもなおかつ歯切れが悪かった。
「うーん。そりゃ、美人でスタイルのいい子から告白されたらどうしようもなく興奮はす
ると思うけどさ。でもなぁ…… やっぱりその……即答は出来ないと思うぞ。いろいろ聞
いて、ちょっと考えてからでないと、お前の言うとおり勘違いされてるだけじゃ、お互い
にいい思いしないだろうし……」
『先輩って、だらしなくて怠け者で、かつ優柔不断まで付いてたんですね。本当に、こん
な人のどこがいいんだか』

8715/6:2011/04/02(土) 19:48:23 ID:???
 そっけなく私は、毒舌をぶつける。だけどこれは、ちょっとだけ安心したからでもあっ
た。もし即答で付き合うなどと節操のない事を言われたら、貧血で倒れてしまったかもしれない。
「ちょっと待てよ。これは優柔不断とは違うだろ。相手の子の事を真面目に考えてるから
こそ、即答はしない方がいいって思ってるだけで」
 必死で言い訳する先輩に、私は更に追い討ちを掛けた。ぶっきらぼうに見えて優しいの
は先輩のいいところだが、その優しさは正直、私だけに振り向けて欲しい。欲張りな考えだけど。
『そんなの信じられません。本当は、ちょっとカッコいい事言ってるなって自画自賛して
るくせに。ちょっとドヤ顔っぽくなってますよ』
「してねーよ。つか、真面目に考えて答えてんのに、何でそこまで非難されなきゃなんねーんだよ」
 口を尖らせて、先輩は文句を言った。そろそろいいだろうと、私は思う。先輩が女の子
に告白されたらどういう態度を取るかが少し見えただけでも、十分に収穫はあった。少な
くとも、私もチャンスゼロではないんだと。
『それは、先輩がバカだからです。こんな嘘に、何真面目ぶって考えてるんですか』
「バカってな。お前……って……は? 嘘……だと?」
 抗議しかけて、先輩は呆然と呟く。私は、敢えて笑顔を作ってみせて頷いた。
『はい。先輩。今日が何月何日だか知ってますか?』
 私の言葉に、先輩はハッとする。それから、しまったという顔をして顔を逸らすと、頭を掻いた。
「四月一日……くそう。そういや、エープリルフールだったな。全く、してやられたぜ……」
『普通、ちょっと考えれば先輩が女子に人気なんて出る訳ないじゃないって分かりそうな
ものなのに。こんな単純な嘘に引っ掛かるなんて、本当にバカですよね。先輩って』
 私の毒舌に、先輩は自棄になって、椅子に座り直すと足を組んだ。
「バカで悪かったなちくしょう。そりゃ俺だって信じられなかったけどよ。けど、男って
のは夢見たい生き物なんだよ。全く、繊細な男心を弄びやがって。鬼畜かお前は」
 先輩に文句を言われても、毒がないので全然傷付く事はなかった。むしろ、その拗ね方
がいかにも子供っぽくって、私はつい笑ってしまった。
『ちょっとでも警戒していれば、こんな単純な嘘に引っ掛かるわけないのに。自分のバカ
さ加減を、人になすり付けないで下さいよね』
 そう言うと、先輩はフン、と悔しそうに鼻を鳴らす。それから、負け惜しみっぽくこう
言った。
「全く…… ホント、文村ってこの半年で性格悪くなったよな。誰の影響だよ。会長か?」

8726/6:2011/04/02(土) 19:49:42 ID:???
『さあ。でも、これだけは言えますけど、私が性格悪くなったんじゃなくて、先輩のダメ
さ加減がどんどん明らかになってきた、これはその当然の反応と言えますけど』
 そう言いつつ、私は内心呟く。先輩の指摘は、少なくとも間違ってはいませんと。何故
なら、こうやってキツイ事を言ったほうが、先輩は、私にも関心を向けてくれるから。
「ハア…… もう、右からも左からもダメダメ言う女子ばかりでよ。正直、病気になって
もおかしくないぞ。こんなんじゃ」
 ため息混じりの先輩に、私は笑って首を振る。
『それは心配してません。先輩みたいな雑な神経の持ち主だからこそ、こういう事が言えるんです』
「それって、一応は親しい相手だからっつー事で捉えていいのか?」
 ボソッと言った先輩の一言に、私は顔が急激に熱を帯びるのを感じた。いや、親しいと
いっても、先輩後輩の間柄だって事は十分知っているのだけど、それでも好きな人から親
しい仲とか言われると、ドキドキしてしまう。
『しっ……知りませんそんな事!! ていうか、雑な神経なのと親密さって、全然関係な
いじゃないですか。何でそういう思考になるんですか。どんだけプラス思考なんですか』
 畳み掛けるように言うと、先輩は体を起こし、私をジッと見つめて言った。
「いや。俺の性格とか、よく理解してるから言えるのかなーって。ま、いいや。そろそろ
真面目に仕事すっかな」
『だっ……誰が先輩の事なんて…… 知りませんもうっ!!』
 勝手に仕事に戻られ、放置されてしまった私は、最後に吐き捨てるようにパソコンに向
かった。だけど、もちろん集中なんて出来る訳もなく、思いはさっきの先輩の態度に向か
う。そして私は、心の中で小さく呟いた。
――さっき、先輩が女子に人気なのが嘘だって言いましたけど……それも、嘘です。だっ
て、少なくとも、一人の女の子の中では……私の中では、先輩は大人気なんですから……


終わり

規制中だったり某シリーズの番外だったり他様々な事情があるのでこっちに投下。

873以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/02(土) 21:09:03 ID:???
可愛いにゃー

874以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/03(日) 07:45:00 ID:???
最終的にどっちくっつくのか見ものだな
wktk

875以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/03(日) 11:17:07 ID:???
18号可愛かった
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1899.jpg

876以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/03(日) 18:16:58 ID:???
>>875
あれ……可愛い……?

877以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/08(金) 01:33:55 ID:???
老成のイメージってあんまり出てこないなぁって思いながら落書きしてたらなんとなく愛着がわいてきた。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1913.jpg

878以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/08(金) 05:37:56 ID:D54wChMw
>>877
おぉ、これはいいまつりん
GJ!

879以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/08(金) 07:48:55 ID:???
>>877
GJ!!

俺の老成さんイメージにピッタリだ

880以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/08(金) 10:13:54 ID:???
>>877
かわいい

881以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/08(金) 14:06:52 ID:???
あんたどんだけ画力向上してんだよ……

882以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/08(金) 17:20:39 ID:???
ちなみちゃんにシャルウィ―ダンスしたい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1914.jpg

纏さんにカモられたい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1915.jpg

883以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/08(金) 18:22:12 ID:???
壺振りまつりん可愛いよwwww
そして照れちゃうちなみさんは最高だ
GJ!

884以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/09(土) 08:03:10 ID:???
>>882に勝手に文を書いてみた
中途半端に終わってますが一レスです

「……あああああチクショーーーっ!ええいいですとも、次はパンツ賭けてやりますよッ!もう俺には捨てる恥なんて無いんじゃーいっ!」
「冗談じゃ、阿呆。お主の粗末なものなんぞ見たくもないわい」
「ぐふっ」
「全く…ほれ、肌着くらいは返してやるからとっとと尻尾まいて帰るがよかろ?」
「ぐぬぬぬぬ…しかし、このままおめおめと引き下がってはそれこそ負け犬…!ここは一発逆転を狙いやはりパンツを賭けるしか…」
「…脱ぎたいだけじゃなかろうな、お主。まあよいわ。どうしても気が収まらんといのなら…何かないかな…お、これがよいわ」
「何だそれ…京都探索ガイド、古寺巡り18000円の旅?」
「いやあ、以前から趣深い寺社仏閣を見てりたくてのう。こうして本だけ買ったは良いが、きっかけが無くて困ってた所なのじゃ」
「………ま、さ、か」
「お主が勝ったら、全て返そう。儂が勝ったら…旅行を奢れ♪」
「ちょっと待てーーい!い、いや、纏さん、いくらなんでもそりゃあ…」
「嫌か。それはそれで別に構わぬぞ、負け犬タカシ」
「…………………コンチキショーっ!いーよもう!所詮は1/2!やってやろうじゃありませんかっ!…その代わり条件が一つある」
「ほう、なんじゃ?」
「俺も行くからな、京都旅行っ!」
「なっ…た、たわけっ!それじゃ賭けの意味が無いじゃろうが!」
「金は二人分俺が持つ。俺だって京都行きたいんだい!四条大橋!ろう人形館!学問の橋!」
「う、ううむ…いや、しかしお主…分かってて言っておるのか…?」
「え、何が?」
「それは…その、いや…い、いわゆる、二人っきりでの旅行という事に…それではまるで…」
「……どういう事?」
「〜〜〜〜っ!!ええい、もうよいわ阿呆!とっとと張れぃっ!」

885以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/09(土) 08:41:48 ID:???
>>884
二人きりの京都旅行&温泉編マダー?

886以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/09(土) 09:01:00 ID:???
>>884
おい続き待ってんだけど

887以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/09(土) 20:43:28 ID:???
ツンデレスレっていろんなタイプのツンデレさんがいて面白い

どの娘もみんな可愛いしな

888以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/09(土) 21:36:25 ID:???
・ラブラブ

男「男の子が女の子を後ろからギュッてするのに憧れる」
尊「させんぞ。絶っっっ対させんぞ」
男「なんでだよぅ。ただ願望を口にしただけじゃないか」
尊「そんなバカップルがするような恥ずかしいこと出来るか」
男(意外に強情だな……よーし、それなら)
男「ふ〜ん。この程度のことが恥ずかしいだなんて、尊もまだまだお子ちゃまだな」
尊「……なんだと?」ピクッ
男「図星さされて悔しかったら、俺にお前をギューと抱きしめさせてみろ!!」ビシィッ
尊「ほう、貴様ごときが私に向かって一丁前に挑発か。いいだろう、させてやろうじゃないか」
男(やった!! 挑発攻撃、大成功!!)
尊「早くしろ。人が来たらどうするんだ」
男「了解了解」ギュッ
尊「……んっ」
男「うはぁ、尊の体やわらけー」
尊「……タカシの体は、温かいな」
男「へ? あ、そ、そうだろ!!」
尊「ヤバいな。本当は金的蹴りあげてやろうとしてたのに、意外とハマりそうだ」
男「お前そんなことしようとしてたの!?」
尊「うるさいぞ。今は抱っこに集中しろ」
男「なんか怖いこと言ってるけど、結果オーライなのか……?」ナデナデ

889以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/09(土) 21:57:38 ID:???
GJGJGJ

890ネタが出た時にはスレが無し:2011/04/24(日) 13:13:53 ID:???
【各々がお握りを握ったら】

・かなみさん…綺麗な三角形のお握り。無難だが、愛情がたっぷりこもっていて萌ゆる。

・ちなみさん…ちんまりした小ぶりなお握り。可愛らしく微笑ましいので萌ゆる。

・お嬢…あまり綺麗でない不恰好なお握り。しかし、「初めて握ったのだから」という言い訳に萌ゆる。

・尊さん…角がやたら鋭利な三角お握り。偉そうな感じが作った本人そっくりで萌ゆる。

・纏さん…皆の中で唯一の俵型お握り。素朴な味わいがあり、田舎のお婆ちゃんを思い出すので萌ゆる。

・いいんちょ…四角四面でかっちりした三角お握り。しかし、砂糖と塩を間違えるという凡ミスに萌ゆる。

・ボクっ娘…ぐちゃぐちゃで形を成していないお握り。不味いと言ったら泣きそうな顔するので萌ゆる。

・かつみさん…予想外に整ったお握りを出すので理由を聞いたら、「妹弟が多いからよく作ってやる」ため。萌ゆる。

891以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/24(日) 19:55:28 ID:???
落ちすぎてもういくつ前かわからなくなったがどっかで出てたバニ嬢
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1959.jpg




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