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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

8715/6:2011/04/02(土) 19:48:23 ID:???
 そっけなく私は、毒舌をぶつける。だけどこれは、ちょっとだけ安心したからでもあっ
た。もし即答で付き合うなどと節操のない事を言われたら、貧血で倒れてしまったかもしれない。
「ちょっと待てよ。これは優柔不断とは違うだろ。相手の子の事を真面目に考えてるから
こそ、即答はしない方がいいって思ってるだけで」
 必死で言い訳する先輩に、私は更に追い討ちを掛けた。ぶっきらぼうに見えて優しいの
は先輩のいいところだが、その優しさは正直、私だけに振り向けて欲しい。欲張りな考えだけど。
『そんなの信じられません。本当は、ちょっとカッコいい事言ってるなって自画自賛して
るくせに。ちょっとドヤ顔っぽくなってますよ』
「してねーよ。つか、真面目に考えて答えてんのに、何でそこまで非難されなきゃなんねーんだよ」
 口を尖らせて、先輩は文句を言った。そろそろいいだろうと、私は思う。先輩が女の子
に告白されたらどういう態度を取るかが少し見えただけでも、十分に収穫はあった。少な
くとも、私もチャンスゼロではないんだと。
『それは、先輩がバカだからです。こんな嘘に、何真面目ぶって考えてるんですか』
「バカってな。お前……って……は? 嘘……だと?」
 抗議しかけて、先輩は呆然と呟く。私は、敢えて笑顔を作ってみせて頷いた。
『はい。先輩。今日が何月何日だか知ってますか?』
 私の言葉に、先輩はハッとする。それから、しまったという顔をして顔を逸らすと、頭を掻いた。
「四月一日……くそう。そういや、エープリルフールだったな。全く、してやられたぜ……」
『普通、ちょっと考えれば先輩が女子に人気なんて出る訳ないじゃないって分かりそうな
ものなのに。こんな単純な嘘に引っ掛かるなんて、本当にバカですよね。先輩って』
 私の毒舌に、先輩は自棄になって、椅子に座り直すと足を組んだ。
「バカで悪かったなちくしょう。そりゃ俺だって信じられなかったけどよ。けど、男って
のは夢見たい生き物なんだよ。全く、繊細な男心を弄びやがって。鬼畜かお前は」
 先輩に文句を言われても、毒がないので全然傷付く事はなかった。むしろ、その拗ね方
がいかにも子供っぽくって、私はつい笑ってしまった。
『ちょっとでも警戒していれば、こんな単純な嘘に引っ掛かるわけないのに。自分のバカ
さ加減を、人になすり付けないで下さいよね』
 そう言うと、先輩はフン、と悔しそうに鼻を鳴らす。それから、負け惜しみっぽくこう
言った。
「全く…… ホント、文村ってこの半年で性格悪くなったよな。誰の影響だよ。会長か?」




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