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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●
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「ん……」
冷たい風に頬をなでられ、俺は自室のベッドの上で目を覚ました。
晴れ晴れとした青空の下、まだ冷たい空気が開け放たれた窓から入り込んでくる。
暦の上ではもう春になっているとはいえ、まだまだ外は寒い。なのになぜ窓が全開になっているのか、それはこの部屋においてはとある人物の来訪を意味している。
「…………何してんだ、梓」
「おはようのちゅー?」
ベッドの上で毛布にくるまった俺の隣に制服姿の梓が寝転んでいる。唇を軽く突き出し、瞼は閉じられている。
勘違いをしてもらっては困るが、俺と梓は別に恋人同士でも何でもない。ただの幼馴染だ。
そこそこ長身な俺と比べて、梓の容姿はまさに子供体型という言葉がぴったりで、身長も胸も控えめ(本人曰く発展途上)。
腰もややくびれてはいるがやはり子供っぽく、さらに童顔なので、しょっちゅう中学生、悪いときには小学生に間違われるときもある。
俺は未だに唇を突き出してチューチュー言っている梓にチョップをくらわせる。
「いたっ!なにすんの!」
「いいかげんにそういうのは止めろと言ってるだろう」
そしてなにより言動が子供っぽく、今のように『ちゅー』をねだったり、べたべたとくっついてきたり、一緒に寝ようなどと布団に潜り込んできたりして、まるで幼い妹のようだ。
「うう〜……なんでしちゃだめなんだよぉ〜」
頭をさすりながら涙目で訴えかけてくる梓。
「だから、そういうのはちゃんと『好き』な人のためにとっておくもんだって言ってるだろ」
「? タカシのこと、ボクは『スキ』だよ?」
「あのなあ……」
梓の言う『スキ』は、タカシの言う『好き』とはまったくの別物だ。梓のは家族愛、兄弟愛のようなもので、恋愛感情とは全く関係がない。
そもそも一人称が『ボク』の時点で子供っぽ過ぎるし、おしゃれなどは最近少し意識し始めたようだが、同年代の女子に比べるとやはり気合の入れ方が違う。
「いーじゃんほらちゅー、ちゅー、ちゅー」
「はあ……しょうがないな」
梓の頭を抱き寄せ、額に軽く唇を触れさせる。
「え〜、おでこ〜?」
「良いだろ別に。ほら、もう起きるから、お前も下に降りて待ってろ」
わかってるー、とやはり子供のような返事をして、部屋から出ていく梓。
その後ろ姿を見送り、体を起こしたタカシは、盛大に溜息を吐く。
「なんで、あんなんを『好き』になったんだろうなあ……」
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