NAIRU等との関係[編集]
自然失業率に非常によく似たものに、NAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment、インフレ非加速的失業率)があり、両者は時に同一視される。NAIRUとはインフレ率を安定的に保つ失業率の閾値であり、失業率がNAIRUを下回るとインフレ率は上昇していくとされる。逆に述べると、インフレ率を上昇させないという維持可能な経済において、もっとも雇用状態がいい場合の失業率がNAIRUである。長期均衡での失業率という概念的な面の強い自然失業率と異なり、NAIRUはただの閾値であり実際的な面が強い[5]。
その他、失業を構造的失業・摩擦的失業・循環的失業に分けた場合において、循環的失業が無い場合、すなわち構造的失業と摩擦的失業を足しあわせた分の失業率が自然失業率に当たる、とする場合がある。また、失業率が自然失業率に一致している時に完全雇用が達成されていると考えることがある。
[1] Milton Friedman (1968), "The Role of Monetary Policy," American Economic Review, Vol.58, No.1
[2] Edmund S. Phelps (1968), "Money-Wage Dynamics and Labor-Market Equilibrium," Journal of Political Economy, Vol.76
[3] なお『アニマルスピリット』におけるアカロフの言によると、この以前にRaymond J. Saulnierによって先駆的にアイデアが示されていたとのことである。
[5] Carl E. Walsh (1998), "The Natural Rate, NAIRU, and Monetary Policy," FRBSF Economic Letter