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労働運動

1119とはずがたり:2016/04/06(水) 14:59:10
>>1117-1119

実態を分析すれば賃金は着実に強含みに

とはいえ、現金給与総額は現在雇用されている就業者(正規雇用も非正規雇用も含め)1人当たりの「月給」であり、新規に雇用される層が短時間労働者主体であれば、月給の伸びは抑制される。そこで「月給」ではなく「時給」で見ると、最近の雇用市場における需給ひっ迫と平仄が合う動きが確認できる。リクルートジョブズが公表する『アルバイト・パート募集時平均時給調査』によれば、三大都市圏(首都圏・東海・関西)の2015年11月平均時給は前年同月差プラス19円の981円となっており、過去最高を6カ月連続で更新している。

また、「雇用者数×1人当たりの賃金」で算出される名目雇用者報酬には、同期間に新しく雇用された層の給与の増加分が反映される。2014年1〜3月期から足元(2015年7〜9月期)の名目雇用者報酬の伸び率はプラス15%となっている。

名目雇用者報酬を実質GDPで割ったものが「単位労働コスト(ULC)」であり、付加価値一単位を生み出すためにかかるコストを表す。ULCの同期間の伸び率はプラス18%弱と、やはり相応の強含みを確認できる。より正確にはULCは「名目雇用者報酬÷実質GDP=(名目雇用者報酬÷労働投入量)÷(実質GDP÷労働投入量)」として計算される。名目雇用者報酬が伸びている一方、労働生産性(=実質GDP÷労働投入量)が伸びていないことがULCの上振れに直結していることが見えてくる。

以上をまとめると、人手不足の中、高い生産性が期待できる若年労働者の正規雇用を本来増やしたいところ、少子高齢化の下でそれらの層の供給が不足しているため、短時間労働しかできないリタイア層の再雇用や女性の活用によってしのいでいるという現状が見えてくる。その結果として表れる労働生産性の低迷が「雇用と景気のズレ」をもたらしている疑いが強い。

高齢者や女性の活用が進むことによって、労働参加率が高まってくることは日本経済にとって望ましい。だが今のところ、それが成長率に直結している様子はない。労働時間の伸びを伴って労働投入量が増えるのでなければ、成長への寄与もそれなりのものにとどまる。

浮かび上がってくる日本型雇用の課題

少子高齢化が所与の条件とすれば、本来、日本にとって最善の状態はリタイア層や女性を、正規雇用やそれに準じる条件で雇用することである。だが、日本特有の雇用慣行が幅を利かせる中で、その実現が難しい。

例えば、「いったん雇うと定年までは解雇不可能だが、定年になれば強制退職」といった慣行の下では、65歳以上のリタイア層を正規雇用するのが難しい。何故ならば、荒っぽく言えば「定年で強制的に解雇できる」ということが、「それまでは解雇できない」ことに対する調整弁になっている側面があるからだ。また、「一度正規雇用から退場したら復帰が難しい」という制度の下では、女性が結婚や出産後に復帰するには、パートタイムなどとしての参加を余儀なくされやすい。頻繁な配置転換を伴う日本型雇用の下では、専門性の蓄積は多くを期待できないため、専門性を評価されて退職前と同様の処遇で復帰するという形も一般的ではない。

頻繁な配置転換や慢性的な長時間労働は従来からある終身雇用制度を円滑に運営するためのシステムである。既存の労働力を最大限活用することが課題となっている現在の日本において、生産性を高めていくためには、制度疲労を起こしている日本型雇用制度から変えていく必要がある。この点、雇用制度の見直しや新しい働き方といったテーマを課題としている安倍政権の取り組みの進展を期待したい。


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