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●◎短編小説・曝し場◎●

19カサリズマ・メモリー 10/13:2003/05/05(月) 03:01
「何言うとんじゃ。だれも頼んどらんぞ、そんなこと。トーシロが勝手ほざくな」
 戦闘時に匹敵する形相で迫る少年を前に、少女は怯えの表情を浮かべていた。だが、理不尽さを感じたのだろう、少年を睨み返してきた。
「そやかて、あぶないとこやったやん。ウチがおらんかったら死んでたんやないの? あんた。カタナも何も全部のうなって、どうしようもあらへんかったやん」
 少年は右手で少女を突き飛ばした。
「よう見さらせ!」
 片足を上げて見せる。爪先をぐっと曲げると、その先からは勢いよく短剣が飛び出した。
「これで後ろから突き刺すつもりだったんじゃ。お前の助けなんぞいらんかった」
 鼻息も荒く、少年は説明する。獲物を横取りされ、少女が厭わしかった。
「でも、たすけてもらったんやから、お礼はした方がええと思う」
 なおも言い返す少女に、少年は上段蹴りを見舞った。爪先の短剣は、少女の首の皮一枚手前で止まる。少年は低い声音で言った。
「ええか、オレはお前を殺せた。でも殺さなかった。そやから、オレはお前の命の恩人や。お前がオレを助けたと見ても、おあいこっちゅうわけや。オレを助けたなんて思て、調子に乗るな、ドアホ」
 少女は今度こそ悲哀に満ちた表情になり、その場でしゃがんで顔を両手で覆った。その頭に更に切っ先を向ける少年であったが、少女の嗚咽を長く聞いているうちに足がつってきた。
 少年には、同年代の友人などいない。まして泣きに入った少女の扱い方など及びもつかない。親父に反発するのと同じように接したら、この始末だ。泣き出した親父など見たこともないので、どう対処していいのか判らず、辟易してただ見ていた。
「オレが悪いんか? ジャマしてきたのはお前……、いや泣くなや、ホンマに」
 子供じみた脅迫から転じて、慰めに移る。心中では、何やっとんじゃオレはと、自分の頭を殴りながら。

20カサリズマ・メモリー 11/13:2003/05/05(月) 03:01
 少女が嗚咽混じりに、何か言っているのが判ってきた。
「やって、チ、やって、ずっ。パパ、ママと……アクマが、ふっ」
「お前の両親のことかいな」
 首肯する。悪魔に殺された両親のことを言っている。
「死んじゃっ、日に、も泣いで……あん、あんたと、じめて会っ、って」
 切れ切れに言う少女の言葉を繋げると、今までの事情が判ってくる。
 初めて見かけた時に彼女が大泣きしていたのは他でもない、その日に両親が殺されたからだ。自分は遊びに出ていて、帰ってくると両親の遺書が残されていたという。
 長年生き、人並み以上に知能が発達した悪魔が両親を嬲り殺す前に書かせたものだとは、その時の彼女には知る由もなかった。
 その後、両親の死は公開されないまま、少女は養護施設に入れられた。世間では、故意であれ事故であれ、悪魔に関与した人間は白い目で見られがちなためだ。彼女は義務教育の拒否権を使い、毎日あの場所へ通って悪魔狩りの親子を見ていた、というわけだ。
「ウチも、アクマガリ、なりたいねん」
 悪魔を狩る存在は唯一、迫害とは逆の待遇を受ける。一般人を悪魔の魔手から救ってくれる守護者なのだから当然のことだ。
「ダァホ、女のガキに悪魔狩りがつとまるか」
「でも、あのアクマたおしたやん」
 指差す先には、銃弾を受けて沈黙した甲殻類がいる。少年は苦々しい表情で唸る。
「テッポウ使いなら、女の子でもなれるもん」
「あのな、オレかて何年も前から修行しとるんや。ついこないだ撃ち始めたばっかのお前じゃ、群れに囲まれたりした時イチコロじゃ」
 下らんと吐き捨てんばかりに立ち上がる。刀を拾って血振りし、納刀した。ナイフも拾って懐に戻す。
「悪魔狩りになるには、よっぽど才能があるか、ええ師匠につかなあかん。一人でなんぼ頑張っても、プロの悪魔狩りになんのはムリや。って、ムリムリのお前に言うてもムダかな」
 しゃがんでいる少女の頭をポンポンと叩き、横を通り過ぎる。
「ま、両親のくれた大事な魂や。生き急いで散らさんとき。こっちは男の修羅の道なんや」
 決まった。親父の名言を選り合わせた、取って置きの台詞だ。何やら後方から、ドアホだのイカレポンチだのイキリだのイケズだのクサイだの叫ぶ声が浴びせられたが、自己陶酔している少年の心には何の影響もなかった。

21カサリズマ・メモリー 12/13:2003/05/05(月) 03:01
「ケガしとんじゃ! 休ませ!」
「黙らっせ、ヘタレ坊主が」
 包帯が巻かれた左腕を指しながら休養を訴える少年が、親父にすげなく張り倒されたのは今朝のこと。
 利き腕を包帯の上から擦りながらぶつぶつと文句を垂れ、いつもの修行場へと向かう。親父も一応は息子の怪我のことを考え、腕を使った鍛錬はしないよう取り計らった。
 そんなわけで、初めのメニューは腹筋となる。
「五百! つる!」
 気合だけで最後の五百回目をやっつけ、汗だくの大の字になって開放感を味わう。こういった「たるんでいる」態度を見せると、決まって投石や蹴りなどの妨害がくるのだが、ある意味期待して待っていても何も起こらない。怪我の分だけ斟酌されているものかと訝しみ、ローアングルから親父の顔を伺ってみる。親父の視線は遠く向こうにあり、更にそれを追って視線を向けると、
 白いサマードレスを風に揺らした黒髪の少女の姿が、後ろで手を組み、横転した視界に立っていた。
 少年は呆れたような、感心したような気分で、しかし確かにほのかな喜びを感じた。
「何や、あの娘。こっちの方をジッと見てんで」
 親父のほざいた一言には、心底呆れる。
「お父はん、今まで気づかんかったんかい……」
「いや、そう言われると、今までもおったような。何や、こっちを意識してる感じが強いっちゅか何ちゅうか」
 よっ、と掛け声で調子を取り、少年はあぐらをかいて少女の方を向く。引きつる腹を押して、大きく息を吸い込み、
「何見とんじゃ、ワレェッ!」
 と怒鳴った。続いて、
「いくら見たかて、乳臭いガキは悪魔狩りになれんのじゃあ! 女は女らしく、女友達としゃべくっとれや!」

22カサリズマ・メモリー 13/13:2003/05/05(月) 03:02
 なぁお父はん? と、横を向いて同意を求めた瞬間、少年の鷲鼻の先を高速の何かが掠め去った。背筋に冷たいものが残り、硬直する。首を軋らせて再び見ると案の定、少女が得物の先をこちらに向けていた。洒落にならないことをした割に、清々しい笑顔である。
「うひゃはは、撃ってきよったであの娘! あの子なんやこせがれ、お前のサゲマンか?」
 わけの判らないことを言って、一人爆笑する親父。少年はといえば、彼女の銃弾を受けて砕け散った悪魔を眼前で見ているだけに笑えなかった。
 親父は涙目にぼやける視界で、銃口が自分に向けられたことを悟る。当たれば必殺の凶弾が、親父の額を正確に捕捉した。引き金を引く細い指に、ためらいはない。
 親父の眼光は政府擁する最強の悪魔狩りのそれに切り替わり、抜く手も見せず抜刀した。
「甘い!」
 正眼に構えた刀身は、いかなる硬度、いかなる速度の弾丸でも両断する。刀身は弾丸の先端を的確に捉え……、親父は自らの刀の峰を額で受け、昏倒した。
「ヒ・チシセイ、ねんちゃく弾」
 少女は勝ち鬨を上げた。
「ゴムみたいにブヨブヨで、当たっても死なんけど、いたいよ! これからは、このテッポウをよける練習して、あんたらはウチの練習台になるんや!」
 大真面目に言ってくる少女を見て、少年はぐっと押し黙る。しかし堪えきれず、腹を抱えて笑い出した。
「凄いでオマエ! 偶然やとはいえ、お父はんが倒されたんは初めてかも! うはは、見てみい、この勝ち誇った顔! 自分がやられたのも判らんかったんやでぇ」
 二人して、心底楽しそうに笑いあった。やはり海を隔てて、しかし銃弾という物々しい伝達手段を、これまでの品目に加えて。
「ね、なれるよね? ウチもアクマガリになれるよね?」
 少年は地面を叩きながら、笑いが収まらない。ゴロゴロと横へ転がり、水際の寸前で止まる。
『名前は、何て言うんや?』
 と、二人の台詞が一致した。そして、
「オレは、」「ウチは、」

23イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 03:06
今から読みます。
13回もオツカレサマでしたw

24イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 03:27
>>カサリズマ・メモリー
【表現力】★★☆☆☆
【構成力】★★★☆☆
【独創性】★★☆☆☆
【人物力】★★★★☆
【執筆力】★★★☆☆
【総合力】★★★☆☆

25イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 03:30
3/13であの会話だけで何故肝試しと分かるのかが疑問でした。

>>「でもさ、可哀相な話だよねえ。夫婦には、まだ小さい女の子がいたっていうのにさ」
この会話だけで彼女を幽霊なのか? と怪しむのは少しついていけないかなあ。

尚、私は超初心者なのであまり的確な事を言っていない上
参考にもならないと思いますので無視してくれてもいいです……。

26人言:2003/05/05(月) 03:30
ジャンルは恐らくファンタジー。
ページ数の配分がなかなか難しいなぁ。

>>23
ども〜。よろしくお願いします。
誤字脱字、違和感、矛盾などありましたら、
どうぞ忌憚なくご指摘くださいませ。

27人言:2003/05/05(月) 13:35
>>24>>25
肝試しと判る経緯は(行間というか)省略されていて、
会話文には出てきていません。
なので、「話を聞いているうちに」という言葉を付け加えることにします。

また、少女が幽霊だと思い至る要素は、
・言葉を一切話さない。
・真っ白い服を着ている。
・近所で皆殺しに遭ったハンター一家には、幼い娘がいた。
という三点があります。ただ、それでも突拍子もない印象を与えるので、
野外食道の場面でこれらを再確認する描写を加えることにします。


評価どうもありが㌧。不自然な部分を発見でき、とても役に立ちました。

28オンエア(2000字オーバー版)1/4:2003/05/05(月) 14:52
原稿用紙換算枚数8枚と七行。作品名――オンエア


『はーい! 朝守高校自研部プレゼンツ! ハイパ―――――――――ロオォォ――カルレディィィィィッッッ――――――――――ッオ! 今日も始まりましたー。DJはわたしクスカで今から三時間ノンストップ、ゲストは大山先生でおおくりしまーす!
「う、う〜ん?」
 おーっと先生が起きたようですね。大丈夫ですかぁ?
「!? お、おいお前、なんで私がイスに縛られてるんだ!」
 大丈夫なようですねー。それでは何も知らない先生の為に番組の説明をしますね。
「無視するんじゃないこら!」
 この番組は朝守高校のFMラジオ放送機材を使って、毎週月から金曜日の放課後に、学生主導で三時間ノンストップでお送りしてる番組でーす。
「それと私に何の関係がある!」
 それがですね、毎月最初の月曜日には、先月最もリクエストが多かった人をゲストに呼んでリスナーの皆様からの質問のお便りに答えてもらおう、ってことになってまして。今日がその日で、先生がゲストでして、ちょっと手荒な真似をして連れてきてしまいましたー。番組が終わったら縄とか解いてあげますから、安心して下さいね?
「……わ、わかった」
 この大山先生、本名大山忠人さんは、十月九日生まれのてんびん座、三十四歳独身で、朝守高校着任一年目で、二年三組の副担任をやってらっしゃるとのことです。
「いやそれよりも先にこの縄を解きなさい」
 ダメですよー、男の人と二人きりのこの部屋で男の方を自由にしておくなんて出来ませんからねぇ。
「何もするはずなかろうが!」
 それでは最初の質問です。

29オンエア(2000字オーバー版)2/4:2003/05/05(月) 14:53
『大山先生が一年五組の宮里の誘拐の犯人だって本当ですか?』
「……何?」
 ちなみに黙秘権は認められてませんからねー。
「………………」
 代わりに黙認権が認められてます。黙ってたら肯定ってことに。
「侮辱するのもたいがいにしろ!」
 先生からの希望ですし曲に行きたいと思いまーす。リクエストはなんですか?
「……河の流れのように」
 曲の間、リスナーの皆様から質問を募集しまーす。メールで、あさがみハイフンレディオアットマークあさがみドットえーしードットじぇいぴーまでー。
 それでは、美空ひばりさんで河の流れのようにどうぞー。
「……本当にこれで放送が止まってるんだな?」
 止まってますねー。オンエアの赤いランプが消えましたよね。ここのマイクの音を放送してる時はずっとあのランプがつくようになってるんです。だから大丈夫ですよー。
「ふん。そういえばそうだったな。で、なぜ私がそうだと思う?」
 三日も前から連絡が無くて、三日前にあの子が先生と一緒に居るところを見たっていうタレコミ情報がありまして、カマをかけてみたんですー。そろそろ最初の質問の答え貰っていいですか?
「誘拐犯は知らんが、宮里はあの時別れてから消息が知れない。心配だな」
 あら。会ってたのは肯定するんですか。どうやら違うみたいですねぇ。
「私がそんなことできると思うか?」
 思いませんねー。――あらー、メールがたくさん届いてますねー。しかし便利な世の中になったと思いません? パソコンとかのお陰で頑張ればAD業もディレクター業もDJ業も一人で出来るんですから。今のわたしみたいに。でも、ディレクターさんに隣の部屋からやってもらうほうが断然楽なんですけどね。
「放送が終わったらでいいから、縄を解くんだぞ」
 ええ。それじゃ、次の質問です。ラジオネーム店主さんからですね。

30オンエア(2000字オーバー版)3/4:2003/05/05(月) 14:54
『この前ウチの店で買ったモノ、その女の子に使ったんですか?』
 あら、先生。どうしたんですか? そんな青い顔して。
「どこで知った?」
 これもタレコミですね。ウチの学校にも進んじゃってる子がいまして、普通に大人専用おもちゃを売ってる店に行く子がいるんですよね。で、その子の情報を元に店主から先生が品物買ってるのビデオ、貰ったんです。大変だったんですよー。ごらんになります?
「だからどうした。あの娘をさらったのが私だという証拠にはなるまい」
 白を切りますねぇ。それでは最後の質問です。
『先生の車が、町外れの空家に止まってるの、みたんですけど、何であんなところにいたんですか?』
 ね、先生。白状しちゃったらいかがですか?
「……お前も、放送中にこれを聞けばよかったんだろうがな」
 と、言いますと?
「これだと、私も言い逃れようが無い。諦めたよ。私が彼女を誘拐した。だが、まだ何もしていないぞ?」
 だったら、喋ってくれますね? 彼女が今どこにいるか。
「知らないのか?」
 知ってたらこんなところにいないで、助けに行ってます。現にうちの部活のわたし以外の全員は探しに走り回ってます。わたしは置いてけぼりだったんです。だから先生にゲロして貰おうと。さっきの会話は録音しましたから、またシラ切っても無駄ですよ? テープを警察に持っていくだけでもあなたは捕まりますから。
「まぁ、どっちだって問題は無い。――放送が止まっているのがお前の運のツキなんだよ」
 ……先生、何言ってるんですか?

31オンエア(2000字オーバー版)4/4:2003/05/05(月) 14:55
「こんな縄、俺が解けないと思ったか?」
 うそ、きゃっ! いた、いたい!
「それじゃ、テープとやらを出して貰おうか?」
 ――先生こそ、本当に放送を止めてると思ったんですか?
「苦し紛れに、何を言うか」
 メールが届きましたね。先生。私を放すか、それかメールをご自分で見てください。たぶん書いてありますよ、『先生、自首してください』って。
「いや、それは絶対にありえんハズだ。オンエアのランプは消えている。ランプだけ消して、それでもマイクの音声をいれるなんざ、すぐに出来る処理じゃない」
 ――ご明察ですねー。でも、メールがまた着きましたよー。もう百通越してますね。ああ、先生これ知ってます? スタジオマイクから中継マイクに切り替えたときもスタジオのオンエアランプは消えるんです。ついでに、今中継マイクはこの部屋の中なんです。
「――まさか」
 メールを見ればわかりますよー。
「くそっ!」
 はなしてくれてありがとう。
「……なんだ? 『クスカさん、曲が終わってしばらく立ってもなにも聞こえないんですがどうしましたか』……まさか」
『そう。そのまさか』
「キサマッ! いつの間にその部屋に! おい! この扉の鍵をあけろ! なぜマイクを持っている! そのマイクを離せ! 離すんだ! 放送を止めるんだ!」
『真っ赤な嘘に引っかかってくれありがとうございますね。先に言っておきますが、パソコンから操作室の操作を止めるのは無理です。じゃあ先生、オンエア行きますよ!
 皆さん長らくお待たせいたしました! 先生の一生をかけた肉声を録音したこのテープ、今よりリスナーの皆さんに聞いてもらいたいと思います! それではどうぞ!』

3215=323:2003/05/05(月) 14:58
ども。失礼します。
2000字を越えてしまっているため、元のスレとはすれ違いになると判断し、
ここをお借りした次第であります。
微妙に訂正が入っています。微妙ですね。入れきってから投稿すればよかったと後悔中。
スマソであります。よければ見てやってください。

33イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 16:39
★の批評でいいならするけど、それは嫌だな・・・、って感じならそう書いて!

34イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 16:53
>>33
漏れはかまわん。って漏れが言っても意味ないか。
でも執筆力は意味分からん。

35イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:06
>>オンエア
【表現力】★★☆☆☆
【構成力】★★★☆☆
【独創性】★★★★★
【人物力】★★★★☆
【執筆力】★☆☆☆☆
【総合力】★★★☆☆

36イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:12
執筆力が少し足り無すぎるように感じました。
まあ、でもこれは書いていくうちに上手くなっていくものだから気にしなくてもいいかも。
独創性はすばらしいと思います。多分、これは一種の才能だと思うんで頑張って下さい。

37イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:12
あと、疑問に思ったのはクスカのセリフが『』と>> おーっと先生が起きたようですね。大丈夫ですかぁ?
みたいなのに分かれているのは何故ですか? 
尚、私はかなりの超初心者なので無視した方がいいかもしれません。

38イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:13
あ、★で批評されたくないって人はそう言ってくれると嬉しいです・・・・・・。
ちょっと、みんなの感想をまってるだけなんで。テストみたいなものです。

39イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:27
確かもともとの★評価のスレでは、執筆力は本の出る速度で考えてたと思うんだが…
ここではどういう扱いなの? 
文章力とか描写力なのかな。それだと表現力との違いがよく分からないんだけど。
すまん。漏れが厨なだけなのだろう……
しかもここで聞くべきじゃないか。スマソ。

40イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:31
ああ、そうなんですか。漏れはよく詳しくないんで
執筆力→文章
表現力→描写などをわかりやすく書くこと

なんて思っていたわけですが、どうやら違うみたいですね。

41イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:40
ああなるほど。
でもその二つってかなり密接に絡んでるから、区別が難しいよね。
わざと描写を小難しくすることだってありうるわけだし。
いやまぁ、自分の思った通りにやればいいと思いますよ。スレ違いスマソ>all

42人言:2003/05/05(月) 17:50
>>33>>38
僕は☆のみの採点でも、感想のみでも全く構いません。
たとえば一行の批評でも、読んで、その感想を伝えて
もらえるのなら嬉しいです。
遠慮なくカキコしてください。

4315=323:2003/05/05(月) 18:39
感想ありがとうございます。
>>35
ぬぅ。執筆力が一ですか……。だめだめですか、だめだめですね。
読めないまでにそれが低いのは、サイアクですしね。がんがりやす。
えーっと、『』については、さいしょっから最後まで、一応ついてるにはついてます。閉じてませんしね。
最後の方『』が余計なのは、アレです、隣の操作室は通常スタジオに音声を伝えられないんです。
ですから、マイクを使って中に声を入れてたんです。だから放送時の声につく、『』がついてたと。
……いや、われながら無理を言っているのが良くわかる。解るはずが無いやそんなの。
どうせなら取っ払ったほうが良かったでしょうね……。

ありがとうございましたー。頑張ります。
あ、ちなみに、私が書いた作品も☆評価全然OKです。
なかなか深くキますしね。むしろ土下座してまで頼みたいぐらいです。

44イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 21:39
>オンエア(2000字オーバー版)
 向こうのスレでオチが弱いとほざいた者です。
 フルバージョンを見て……なるほどねえ。うん、こういう展開なら全く違和感を
 感じません。面白さを十分堪能しますた。
 後はどう削るかの問題だけですね。締切まではまだ時間があるし、健闘を祈ります(^^

45イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/06(火) 03:30
原稿用紙30枚弱でレスが13分割なんだから、
50枚とかはちょっと無理っぽいよね。面倒だし。
とりあえず、何日かの内にあpろだを用意してみようと思います。

46イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/08(木) 16:20
>カサリズマ・メモリー
登場人物が魅力的。会話を関西弁(?)にしたのも良かったかも。
ただ、地の文はもう少し鍛錬(練習)した方がいいと感じた。
これは一例だが、
「が、親父が振り向きざまに腰から突き出した刀の柄頭によって、あえなく弾き落とされる。」
という文。この文は主語と述語の使い方が妙だと思った。
これは少年が投げた石を父親が弾き落とすシーンだが、
この文の主語は「父親が」で、述語は「落とされる」だ。
弾き落とされるのは石でなでればならないはずだ。再考を願う。
また、父親が息子を「こせがれ」と呼ぶのもおかしい。
辞書によれば、“こせがれ”は自分の息子の謙譲語とある。(岩波、新潮、講談社他)
第三者に使うならおかしくないが、息子の呼びかけに使うのはどうか…。
書きたい気持をおさえて、少し文章に気を配るといいかもしれない。
会話はテンポが良くて、キャラは立っているので改稿して文を整えるといいと思う。

47イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/08(木) 16:35
>>46
その例に挙がってる一文の主語、”親父”ではないぞ。
原文の使い方で間違いない。
もっと文章(゚Д゚)ヨメ!

4846:2003/05/08(木) 16:45
言葉足らずだったので補足を…。
「こせがれ」には若者の蔑称の意味もあるが、
自分の息子を呼ぶには先に書いた意味もあるので適切ではないと思った。
作者がわかっていて使っているなら、何も言うことはない。
だが、自分のように引っ掛かりを覚える読者がいる事を忘れないで欲しい。
色々スマソ。

49非46:2003/05/08(木) 17:22
>その例に挙がってる一文の主語、”親父”ではないぞ。
ちょっと原文を見たが、確かに47の指摘通り文法は間違っていないね。
ただ、読みにくい文だから、誤解しても無理はないかなあ、と感じた。
 この部分に限らず、全般に主語の省略が多くて読みにくい。これはちょっと気をつけ
た方がよさそうかなと感じますた。

50人言:2003/05/08(木) 22:46
>>46>>47>>48>>49
なるほど、こせがれが謙譲語ということは意識していませんでした。
一応、「小僧」という意味で、加えて息子の「せがれ」と
いう感覚で使っていました。奇を衒ったというか、語感が
気に入ってしまっているので、うーん、直そうか、直すまいか。

主語を省きがち。そうですね……テンポがよくない。
読み手の観点で文章を見なければいけませんね。

みなさん、ご意見どうもありがとうございました(´∀`)

51イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 01:23
えば、戦後、川沿いに発展した町工場群は、平成に入りだいぶ衰退している。
色褪せた空家や倦怠感に覆われた路地裏に昔のような粗野な労働者の影はなく。
疲れきったこの一帯には、何処からか流れてきた捨てネコの住処となっている。

私はここでコンクリート片や板切れでネコを殴殺したり、その死体を灯油で焼いたりします。
変り種としては、廃棄された機械を覆っていた布でネコを包み込んで、そのまま川に落したりします。
登校の途中の眩しい朝日を浴びながらそんなことする時もありますし
真っ赤な西日で目が痛くなる夕暮れ時にもあります。
学校には真面目に行きますよ。

私がネコを虐待するのは。
ネコを虐待することは悪いことだと言う人が現われて欲しいからです
なんで悪いんですか?と私が尋ねても
やっぱネコを虐めるのは悪いことだよ、はっきりと言う人が居て欲しいからです。
私が隅っこの方に居ても、その人は必ずやってきて
常識でガンジがらめにしないと壊れてしまうものを守ります。
強い人間が弱い動物を嬲るのは悪いことです。それはきっと最も純粋な悪です。 
そして、そういった純粋な悪意があるのなら、純粋な善意もあるはずです。
孤独だった悪意は善意との邂逅によって変わります。
この世界には善意も存在するのだとやっと実感できるのです。
それは倫理的で、宗教的で、超越的で、人が言葉を使う以前の美しさです。
その時が来たら、私はきっと泣いてしまうと思います。

52イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 01:24
確かに林君は善意の戦士かもしれません。
けど、善意の有無はそもそも信仰の問題です
林君にはそのような純粋なものを求める傾向が強いだけで
林君自身はそのような滑稽な役割を演じないと思います。
その原因を言うには前田さんについても言及しないとダメですね。
前田さんは少し暗めな女の子です。時々、猛烈な思想家さんになりますけど。
けど、根暗な性格を「お人形さんみたいだね」とも言い換えられるくらい綺麗な子でもあります。
(そういう子が伏し目がちに思想を口走る姿は圧巻ですけど)
理由はわかりませんが前田さんは
林君のようにクラスのみんなと馴れ合うか、合わないかの問題以前に
クラスから意図的に排除されています、つまりイジメですね。
そして、俗っぽいことを言ってしまえば、前田さんと林君は付合っているわけです。
たぶん、二人はそういう恋人関係を否定すると思います。
彼女/彼とはお互いの疎外感を癒すためのかりそめの関係なんだ、とは言わないでしょうが
お互いにお互いを利用しているという微妙な状況を二人は知っていて、今の関係を維持しています。
それを恋愛だとは口が裂けても言えないのです。少し可哀相だなと思います。
それでも、そのうち、二人一緒でないと
自分の一部が欠けたような空白感を感じるようになると思います。
そして、私はそういう関係性を一応、「恋愛」と呼ぶのだと、ドラマで教わりました。
前田さんと林君の思いは硬いものだと思いますし、それで二人が大切な何かを保てるなら
その状態で良いと思います。
それに私は私の欲望のために二人のそれを壊したくありません。
私の欲望によって壊したくないのか、欲望が壊すことを望まないのか知りませんが。

53イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 01:31
51の一番最初の「えば」ってのは、「例えば」です。
なんつぅーか、スゲー初歩的なミス。

54イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 01:48
おっ、久々の投稿だ!
重いテーマだけど、文章がしっかりしてるのでぐいぐい読ませるね。
(冒頭、第一段落と第二段落の文体の落差は気になった)
これがちゃんとした短編なり、長編になったものがあったら是非とも読んでみたい。
でも、ライトノベルっぽくないのは気になるところ。
電撃の読者は、こういった重厚でダークな雰囲気を持った小説を読みたがるだろうか。
電撃に送るのなら、地の文で語っている内容を分かりやすく噛み砕いて、
文盲寸前の中高生にも親しみやすいようドラマの中で語った方がいいと思うよ。
個人的にはかなり楽しみです。

55イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 18:56
>>51
 うーん……これは設定の善し悪しを見てくれ、ということかな?
 雰囲気は悪くないと思う。後は、これがどう展開していくかでしょうね。
 続きに期待します。

56イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/18(日) 04:46
>色褪せた空家や倦怠感に覆われた路地裏に
>疲れきったこの一帯には、
美人の描写で「彼女は美人だった」と書いたら台無し、っていう鉄則がある。
「倦怠感に覆われた」と書いた時点でただの説明になり、小説の描写じゃ
なくなる。まあ、「判りやすさ重視」かもしれないけどね。

57こんな感じの短編を応募したいんだけどどう?:2003/05/18(日) 04:46
「人が落ちたぞ」
僕が居る木製の古びた橋からその叫びのする方角を眺める。
今がまさに夏だと主張するかのように鋭い陽光があって
気持ちが良くなるほどの万緑に覆われた山々もある。
ここは田舎なのだと改めて気づく。
すると今まで意識からは消していた、雑多なセミの鳴き声や川の流れる音が聞こえてきた。
無条件で懐かしいと言える田舎の夏そのものだ。
「ところで高志はどこへいくの?」という彼女の問いかけを受けて、視線を高志に戻す。
アスファルトの陽炎によって身体を歪ませながらも、懸命に走って行く高志が見える。
こんな状況に遭遇しながら、ちゃんと下流の方へ向かっているのエライな。
川沿いに立つ民家で立ち止まっては
「駐在さんに電話を、川に人が落ちたんだ」と声を数度、張り上げる。
その姿はどこか、二時間サスペンスを感じさせる。
「我が町の狼少年の誕生ね」
上半身を欄干の上に寝かせつつ、下半身は橋の外に投げ出しながら、彼女は感慨深げにそう呟いた。
「お前のせいじゃん」
「ただでさバカ暑いのにあんなバカなウソをついていたら
暑さのせいで頭がイカレた村民からリンチね、可哀相に」
いつのまにか、彼女は欄干の上に仁王立ちしていた。狼少年の方を見ている。
陽射しをさえぎるためか、目の上に手をかざしている動作が酷くウソ臭い。
「でもさぁ、高志はほっとくとして
橋から普通に飛び落ちたのに、どうして這い上がってこれるの?
なんかおかしいよ……ロープを使っただとか?」

58イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/18(日) 04:46
「私の家に代々伝わる超魔術なの。母親から
『もしもバカな男からストーカーまがいのことをされたら躊躇せず使いなさい』って言われて……」
「掃除のサボりを注意されそうだったからって何もそこまで」
「まぁね」
ぶっきらぼうな返答。
まだ、彼女は気持ちよさそうに欄干の上に立っている……
そのような超魔術を全くの無傷でやったのだと思っていたけど。
川の水が少しばかり跳ねたのか、シャツの所々に肌の色が淡く浮きあがっている。
なんとなく、水の中にバシャっと飛び込んでみたいという衝動が疼いた。
そして、それとはまた別の衝動が、その水で濡れている部分とは地続きの、
腕が顔の辺りまで上げられてガラ空きになっている部位を僕に見せ付ける。
シャツ自体の薄さと、彼女を透かす強烈な日光で
白い布が彼女の胸を締め付けているのが見えた。
反射的に目を逸らした。
「でっ、これからどうすんの? 今なら、まだ狼少年を暴力の魔の手から救うのもできると思うよ」
「遠くから観察しようか。高志がどんなバカ面をしてるか見たいし。ちょっとそこどいて」
僕が後ろに一歩、一半歩下がる間に、彼女は「いっせぇのーせ」の掛け声で欄干から飛び上がった。
約50センチの僅かな落下と大げさな着地音。
「ちょっと、どき方加減が少なかったんじゃないの?」
僕のどき方が思いのほか甘かったのか、彼女と今までに経験したことがないほど接近してしまった。
ホント目の前に彼女の顔があった。
不意に彼女と僕の身長がほとんど同じだったことを思い出した。
「まぁ、とにかく行きましょうか」

59イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/18(日) 13:27
>>57
やめた方が良いと思われ >応募
内容云々の前に、表現が拙すぎ。
もうちっと文章を整理することをお勧めします。

60イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/18(日) 14:46
>>57
表現が拙いというより、書きたい事を整理できていない作品と思った。
>>59さんの指摘にあるように文章の整理も必要。(w
個々の表現にはそれなりの工夫を感じたが「お話」になっていないのが問題。
こちらの読解力不足を棚に上げて言うが、散漫な印象をぬぐえなかった。
田舎の感じとか、小悪魔的(?)な彼女とか、よさげなモノもあるので、
文を分解し、組み立て直すようなつもりで書き換えるといいかもしれない。

61イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:07
 一章

 ――高く囀る鳥の鳴き声で楠田來未は來未は目を覚ました。
 まだ、瞼が重く、眠気が去っていない。ぼんやりとした手つきで枕元にある時計を引き寄せてみれば、まだ四時を少し過ぎた頃合いだった。
 はあ、と一度嘆息してから來未は布団の中に潜り込む。もう一度寝ようと、瞼をゆっくりと落としたが夢の中に入り込む事は出来なかった。
 眠気に襲われてはいたが、何分たっても眠りにつくことはできない。仕方がなく、布団を掻き上げて一度身体を伸ばした。
「またか……」
 声に出して言ったのはもううんざりとしていたからだった。近頃になって随分と早く目が覚めており、眠気に襲われはいたが長い睡眠を取ることはできなかった。当初はそのまま起きており、雑誌を見入ったり、ビデオを鑑賞していたりしたがそれも長く続けば段々と苛立ちに変わってくる。この頃は、精神病にかかっているのではないかと不安にさえ犯されていた。
 來未は一度舌打ちしてから、寝台の横にある窓を開けた。
 冷たい風が吹き付けてくる。呼吸をするたびに白い息が風に遊ばれるようにはいては去っていった。もう春も終わりに近づいたというのに、肌寒さは去ろうとはしない。見上げれば薄紫色の空が辺りを覆い尽くしていた。
 ぱちん、と來未は窓を閉めた。おもむろに近くに掛けられていた制服を取り、それに着替える。はあ、ともう一度嘆息してから部屋を出て階段を下っていった。
 リビングに入れば、母親が録画した調理番組を見ていた。ドアを開ける音でこちらを振り向き來未を見上げていた。
「おはよ……」
「もう起きたの? 近頃随分と早く目が覚めるわね」
 來未の返答を待たずに母親は調理番組に目を戻した。來未もそれには答えずに近くにあった椅子に座り込む。
「ああ、昨日頼まれたノートね。忘れてきちゃった。今ならコンビニも開いてると思うから自分で行ってきて?」
 ぱっと、テレビから目を移し思い出したように母親が言うと、來未は顔を苦くした。
「ええ、めんどくさい。お母さん行ってきてよ」
「自分が必要なものでしょ。自分で行ってきなさい」
 母親は近くにある鞄の中から財布を抜き取る。そこからお札を一枚だして、來未に手渡そうとこちらに手を伸ばしてきた。
「めんどくさいなあ……」
 そう言って、椅子から立ち上がり母親の手からお札を取った。
「気をつけてね――」
「……馬鹿じゃないの。何歳だと思ってんのさ」
 頭ごなしに母親にいいつけて、來未はリビングを出て行き、玄関へ向かった。外に出てみれば、肌寒さが全身に押し寄せてくるほどの冷気だった。
 來未は小走りにかけ始め、家を遠ざかって行く。朝独特の冷たく、静かな空気が辺りにたちこめていた。
 数分、歩き続けもう目の前にコンビニが見え始めた頃、一人の男が目についた。電柱に背中を押し当てながら、じっと誰かを待っているようだ。白色の髪のせいか、顔立ちよりも何処か、年老いて見える。
 周りには男以外は誰もいない。來未はその男に何処か不安感を抱きながら横を通り過ぎようと、足を速めた。

62イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:07
「あの……」
 と、声をかけられたのは丁度男を通り過ぎ、來未の視線から消えた頃だった。
「……このくらいの男の子をみませんでしたか?」
 來未が後ろを振り向くのを待ってから男は手を肩幅ほどに広げた。
「――知りませんけど?」
「そうですか……、すいません」
 男はそれを聞くと立ち去るように、來未とは反対の方向へ歩き始める。來未もそれを見て取って、コンビニへと足をすすめはじめた。
 ――変な人。
 男が言った少年の背丈は赤子ほどだった。そんな、小さな少年が一人で歩けるはずもない。だいいち、と來未は思う。少年を探しているならば、電柱に寄り添ってなどいないものだ。もし、それがあの人の子供ならそれこそ、狂乱になるほどに探すはずだ。なのに、先ほどの男は何処か余裕を見せていた。そんな人物に育てられるくらいなら他人に育てられた方がまだましだろう。
 來未は心持ち嫌な気分に犯されながら、コンビニへ入っていった。
 いらっしゃいませ、と言う言葉が店内中に響き渡り、それが何故か恥ずかしく思えた。
 ――ノートは……。
 雑誌が売られている対面にノートを見つけ、それをレジに持っていく。会計をすませてコンビニを出て行こうと、扉を開けた時に一人の少年が目についた。
 すぐ、前方に一人の少年が來未を見上げている。本当に小さな風貌をしており、髪は綺麗な茶色をしていた。
「姉ちゃん、さっきあいつと何話してたんだよ」
 唐突に話しかけられて、來未は後ろを振り向く。そこには誰もいなく、そうして少年が自分に話しかけているのだとわかった。
「え?」
「さっき、あいつと話してただろ」
 來未は眉をひそめる。この少年が何を言いたいのかが全くわからなかったからだ。
「お母さんは何処にいるの?」
「――関係ないだろ。もう、いいよ。ちょっとこっちにきて」
 少年に手を掴まれて來未はそのまま引っ張られるように少年の後をついていく。
 少し歩いたところに、小さな空き地があり、そこで少年は立ち止まると來未に向き直った。周りには人の姿がなく、何処か寂しい気分にさせられる。
「何かようなの?」
「ちょっと、あっちに来てもらうから。もし、姉ちゃんがあいつの味方だったら殺すからね」
 殺す、という言葉に胸がうなった。
 この少年は一体何を言いたいのだろう。あっちとは何のことで少年が言うあいつとは、一体誰のことを指しているのか、來未にはわからなかった。こんな小さな少年が殺すなんて言葉を使っても信憑性がなかったが、それでもこの誰もいない空間で少年と二人きりになれば、何処か不安が押し寄せてくる。
「ちょっと、離して!」
 そう言って、少年の手をふりほどいた。
「姉ちゃん。ちょっと黙っててよ」
 静かな声で少年は言うと、來未は後ろに振り向き空き地から遠ざかろうと歩き始めた。
 もう、空き地から出ようとしたときに後ろから少年が走ってくる音が聞こえた。來未は、後ろを振り向いて、少年を確認すれば、もう來未から数歩の距離まで来ている。
「え?」
 と、言ったのは少年の髪が茶色から銀色に変化していたからだった。先ほどよりも髪が伸びており、肩までかかるほどになっていた。
驚愕しているうちに、少年は來未の目の前にまでやってくる。そうして、右手で來未に触れるとにんまりと笑いながら、來未を見上げてきた。
「もう、遅いよ」
 少年が言った瞬間、空間に穴が開き來未はそこに吸い込まれるようにして入っていく。來未の悲鳴だけが、木霊になって残っていった。
 数分後、そこには來未の姿も少年の姿もなく、ただ虚ろな空気だけが流れていった。

 一羽の鳥が旋回している真下には広い敷地の中に学校が建てられていた。校舎の横にある灰色の砂を捲いたグラウンドでは大勢の緑色のジャージ姿に身を包んだ生徒がボールを蹴り合い遊びほうけている。その中に佐伯秋人がいた。
 周りでボールを蹴り授業を受けている生徒達とは対照的に秋人は数名の友人達と立ち止まりながら会話を繰り広げている。真面目に授業を受けている生徒達も諦めたように彼らを無視していた。

63イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:09
キターーーー

64イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:24
いい感じだよ
描写のリアリティ云々以前に言い知れぬ感触(現実感って言うか)があるし。
全編に漂う不安もいい感じだし、その不安が方向性を持ったときが楽しみ。
知名度だとか技量だとかなしに、なんか期待するけど
どっかで俺と被ってる部分があるから、そういうところが俺にはキツイ。

65イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:27
>>64
 ありがとうございます。すごくうれしいですw

66イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:33
「ええ、めんどくさい。お母さん行ってきてよ」
「……馬鹿じゃないの。何歳だと思ってんのさ」
微妙に性格が変わっている気が・・・。

67190:2003/05/25(日) 01:33
たいしたことじゃないが、描写がちょっと変な部分がある。
例)男を通り過ぎ、來未の視線から消えた頃だった。(視線→視界)
この辺は推敲不足だからかな。

長編ならともかく、短編で、このオープニングはつらい。
おれなら、男に声をかけられるシーンとか、もっと動きのあるところから
はじめる。先の展開がわからんので、はずしてるかもしれないが。

68イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:36
少年の「姉ちゃん」の台詞は、
チンピラっぽいから変えた方が良いと思う。
お姉ちゃんかお姉さんがいいかと。

69イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:38
>>66
うあー、性格変わってましたか・・・・・。
人間ってよく気持ちで左右されたりするから、そういうところを書こうと思ったんですけど
さすがに無理がありました。すいません。

>>67
 先の展開は小さい男が妖精だって言う設定のつもりだったんです。
描写の指摘ありがとうございました。

70イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:39
>>68
 指摘ありがとうございます。

71イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:41
初めのうちは無愛想な文体に感じられたけど、
読み進むうちに気にならなくなった。

少し「あれ?」と思ったのが、

>緑色のジャージ姿に身を包んだ生徒がボールを蹴り合い遊びほうけている。

>ボールを蹴り授業をうけている

>真面目に授業を受けている生徒たちも
ってところ。
「ジャージ姿に身を包む」ってのは誤字かもしれないから別に構わないんだけど、
生徒たちは遊んでいるのか授業受けているのかどっちだろう、って気になった。

まあ、些細な揚げ足取りだからあまり気にしないで。
何より、作りかけのものを晒した勇気に敬礼。

72イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:42
ギブアンドテイクで、創作物を発表したら
今度は他の創作物を批評してくれよ。
そうしないと閑古鳥が鳴いて寂しいからw

73イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:43
>>41
さすがに目が肥えてると思いました・・・・。
最後の方はもうやけで書き始めたところなんですよ。やっぱりそんなところはすぐにぱれるんだなあ・・・・・。

74イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:44
>>71さんの間違いでした。

75イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:44
「來未の悲鳴」を台詞にしてないところとか好感持てるな。
でも「悲鳴をあげようとした」とか「無意識に喉から声が漏れる」とかの描写をつけると文が締まると思う。

76イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:46
>>75
 好感もってくれてありがとうございます。そうゆうこと言われるの本当にうれしいんですよねw
描写ですか少し考えてみますね。指摘ありがとうございました。

77イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:46
この段階までで評価をするとしたら。

・文章はまあいいんじゃないでしょうか。ただ、ライトノベルであることを意識する
ならもう少し漢字を開いた方がいいかも。まあ、この辺は好き好きで。

・出だしがやや遠回りなように感じました。たぶん序章があって、その続きから書いて
いるのかな? という印象です。

・心理描写に若干の違和感。
>そんな人物に育てられるくらいなら他人に育てられた方がまだましだろう。
 その前の文まで「親にしてはずいぶん薄情だな」と感じているわけですね。
 ちょっと変だと思っている。それがいきなり「そんな人物に〜」と親子だと確信して
 憤慨するのは、やや不自然かと。
 (まあ、彼女が思いこみの激しい性格だということならそれでもいいのですが)

 気になったのはこんなところかな。(・∀・)イイ!となるか( ´・ω・) ショボーン と
なるかは、今後の展開次第ということで。期待してまつ。

78イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:49
>>77
 ああ、なるほど。そうですよね。親子って分かっていないんでスモンね・・・・・。
ちょっと、バカになってました、すいません。

文章がまあまあ良いっていうのはすごい褒め言葉ですね。
自分ではかなり下手だと思ってたから、慰めになります。ありがとうございました。

79イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:53
飛びぬけて悪くて、ここは駄目というところはないけど、
なんとなく違和感が残るところが幾つかある。
抽象的で悪いけど、これが直せれば文章は問題なく良くなると思う。

80イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:56
>>79
 違和感ですか・・・・・・。
とにかく書き続ければ何とかなるものかな?
それだといいんだけどなあ。
指摘ありがとうございました。

>>72
 今度晒した人のを批評してみますねw

81イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:57
>>79
そうだね。ソツのない作品って印象だ。
淡々とした、雰囲気で読ませる小説が向いてそう。

82イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:58
>>80
いろいろな本を読むことがいいと思うよ。
書くことももちろん大切だけどね。

83イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:58
続きもここに晒していいのかな?
それよりも100枚とかいって、楽しくない小説だったら批評してくれる人まだいるかなあ・・・・。

84イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 01:59
このノリでもう1人くらい書いてくれないかなー

85イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:00
>>81
ありがとうございます。
ふいんきで読ませる小説ですか、なんかうれしいかもw
有名な人でふいんきで読ませる小説書いてる方っていますか?

>>82
 本は一ヶ月に二冊は読むことにしてるんですけど
やっぱり少ないかな?

86イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:00
>>83
書いてさえくれれば読むし、感想も書くよ。

87イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:01
>>83
どうなんだろ。
漏れ的には構わんが、スレの1に八十枚が目安ってあったしなあ。
他の香具師の意見キボン。

88イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:01
こんなに人の集まったことだし、なんかできないか?

89イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:03
>>85
一ヶ月に2冊は少ないかもな。
ライトノベルで比喩的な文章なら秋田がいい。
古橋なんかも勉強になるかも。

90イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:03
>>84
電撃学園向けで一本ストックがあるんだけど、読んでくれる?

91イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:03
>>88
http://jbbs.shitaraba.com/movie/bbs/read.cgi?BBS=2689&KEY=1051888496
このスレッドを盛り上げてください……理由はいわずもがな

92イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:04
>>85
どういう本を、どういう読み方で月二冊読んでるかのよると

93イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:04
>>90
読む。っていうか読ませて。

94イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:04
>>90
僕は読みますよー。

95イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:06
>>92
うーん、宮部みゆきさんや小野不由美さんなんかを筆頭に読んでます。
読み方は布団の中でじっくり派です。

>>89
 ありがとうございました。

96イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:06
>>93
他人の小説を読むことはそれだけで勉強になるしね。

97イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:08
小野不由美さんはいいよね

98イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:10
小野不由美さんは十二国記しか読んでないけど、すごく好きだ。

99イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:10
>>97
いいですよね!!
ライトのベルの完成系って感じがするんですよ。
難を言えばもう少し早く本を出してほしいことかなw

100イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:12
おれは秋田厨だからねー。秋田より上はありえないw
あの文章に慣れると癖になるんだよなーw

101イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:13
読んでねえや……試しに読んでみようかな。<小野不由美さん

十二国記ってハードカバーとか出てるけど、
やっぱ文庫買ったほうが安いのかな?
当方貧乏学生なもので

そして100ゲット。
この板では100まで伸びたのは二つ目か。

102イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:13
>>90
マーダー?

103イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:13
最強の敵が伊集院光と佐藤友哉
ギャルゲーとウィトゲンシュタインである色物系の俺には判らない世界だ>小野

104イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:13
>93,>94

ありがとー。んじゃ、↓のスレに晒してみます。

「電撃学園物語対策スレッド」
http://jbbs.shitaraba.com/movie/bbs/read.cgi?BBS=2689&KEY=1051881471

どたばたコメディが狙いなんだけど、つまらなかったらスマソ。

105101:2003/05/25(日) 02:13
はどぅかしい……

106イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:16


107イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:18
>>105
大きくなれよ。

108101:2003/05/25(日) 02:19
いや、100ゲットし損ねて……
スマソ。放置してくれ

109イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:25
みんな寝た?

110イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:28
起きてるけどー

111イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:29
起きて孤独を噛み締めてる。

112イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:30
ワシはもう限界ですたい

113104:2003/05/25(日) 02:30
すいません、101のですけど、スレッド勘違いして、。こちらに晒してしまいました。
「第8回電撃short3」
http://jbbs.shitaraba.com/movie/bbs/read.cgi?BBS=2689&KEY=1051805278

恥……

114イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:33
もう寝ます。バイバイ。

115104:2003/05/25(日) 02:49
あたふたしているうちに、すっかり流れに遅れてしまいますた。
とりあえず、読んでくれた人、ありが㌧です。
感想を元に、また勉強していきたいと思います。

では、漏れも寝ます。お休みー

116イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/26(月) 00:00
age

117イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/26(月) 02:24
電撃hp短編用に一作書き上げたのですが、六月の電撃文庫新人ラッシュの
中にかぶり気味のがあったので泣く泣くぼつにしました。
このまま眠らせるのもなんなので、
http://www.readingstation.dyn.to/
のファンタジーのところに、晒してきました。
ペンネームは「奈須 たけお」
タイトルは、「NEVER FORGET」
です。
よかったら、読んでください。

118イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/27(火) 07:57
やっぱ短編だとなかなかレスつかんな。
気長に待つべし。

119奈須 たけお:2003/05/27(火) 09:18
>>118
了解でつ

120イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/27(火) 12:24
「NEVER FORGET」読みました。

 んー、細かい感想は夜にでも書くとして、ひとつ思ったのはあまり電撃向きじゃ
ないんじゃないかなあ、という点。
 それと、かぶり気味だった新人ラッシュの中の作品って何?

121奈須 たけお:2003/05/27(火) 15:15
>>120
読んで下さってありがとうございます。

かぶり気味の新人ラッシュの作品っていうのは、「しにがみのバラッド。」
っていう作品です。
紹介を読む限りでは方向性の類は全然違いますが、「女の子の死神」っていうねっこの部分がかぶったので、
これはまずいかなと思ってセルフボツにしました。

122イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/27(火) 21:04
>>121
それくらい被ってるなんて言わないんじゃないか?
僕血と吸血鬼のおしごとは、「吸血鬼」ってねっこの部分が同じだけど共存してる。
女の子の死神って結構ある設定だよ。それならばそこが被っててもストーリーが違うならなんとかなる。(もちろん面白く書くこと前提)

123イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/27(火) 21:21
>>121
 ああ、なるほど。でも、「女の子の死神」程度なら、被った被らない云々はあまり
気にしなくてもいいかも。

 とりあえず、感想です。
 まず文章ですが、読みやすくまとまっていたと思います。ライトノベルは読みやすさ
が第一なので、この点は評価します。ただ、他の点で……うーん。
 一番気になったのが、構成の面ですね。本題に入るのが遅すぎるかと思います。
中盤過ぎ、彼女が死神だと明かされるまでほとんど波がないので、読み手の方は
いらいらするかあるいは読まなくなる可能性高いです。その辺で、もう少しストーリー
を練った方が良さげ。
 少女レーベル系でも同じようなネタを扱っているものがあったはずなんで、その辺で
どう話を作っているか研究してみるといいかも。

 まあ、そんなところです。

124イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/28(水) 00:19
死に神は武技歩にもかぶってるかも

125奈須 たけお:2003/05/28(水) 05:36
>>122
うーむ、なるほど……。
そういや僕血も吸血鬼も読んでたのに、すっかり忘れてました。
確かに、そうですね。少々気にしすぎていたようです。

>>123
感想ありがとうございます。

>本題に入るのが遅すぎるかと
まったく自覚してませんでした……。
ううむ、そうだったのか。
短編でそう感じさせるのはちょっとまずいですね。

>少女レーベル系でも同じようなネタを扱っているものがあったはず
よろしければ教えていただけませんでしょうか。
少女系には弱いもので……

>124
ブギポ……笑わないしか読んだことないんだけどなあ。

126イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/28(水) 20:19
>>125
>>少女レーベル系でも同じようなネタを扱っているものがあったはず
>よろしければ教えていただけませんでしょうか。
 いや、その辺はっきりしたこと言えなかったんで、言葉を濁したんだがw

最近ので、死神見習い修行中(樹川さとみ、豆)はそのまんまなんで覚えてるんだけど、
後はタイトルすら覚えてないんだよなあ。自分で適当に探してちょ。
(折原みとの天使シリーズにも似たシチュあった気がしたんだが、うろ覚え)

ああ、それと。
「死神」ということでネタを広げるなら、「死神くん」というそのものズバリな
漫画もある(作者:えんどコイチ)。結構面白いんで、読んでみるといいよ。

127奈須 たけお:2003/05/28(水) 23:01
>>126
ご丁寧なレスありがとうございます。
参考にさせていただきます。

それでは、そろそろ名無しに戻ります。

128小骨:2003/05/28(水) 23:42
あー、ほんとにたまたまここを覗いたら、奈須たけおさんがいてびっくり。
ReadingStationの方で感想つけた者です。的外れっぽくて申し訳ないです…。

自分もここで曝させてもらおうと思ったんですが。
まだ終わってないやつなんだけど、いいですか? > みなさん

129イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/28(水) 23:43
いいんじゃないかしら? 多分誰も文句は言わないでしょうしー。

130イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/28(水) 23:43
いいですよ。

131イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/28(水) 23:43
>>128
どうぞどうぞ。
是非ともリンクお願いします!

132小骨:2003/05/28(水) 23:46
ではお言葉に甘えて。
http://www.readingstation.dyn.to/
の「ファンタジー」に置いてある「地図屋継承顛末記」の1,2回です。
奈須さんの真下にありますw

133小骨:2003/05/29(木) 00:39
つか、全部書き上げると短編じゃすまない量だ。
ちとご迷惑だったかも…。

134イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/29(木) 02:43
>小骨氏
「地図屋継承顛末記」読みました。
けっこうすごい。つーか、かなりすごい。
正直、ネット上でこんなイカすガジェット盛りだくさんなSFを読むのは始めてです。
(……なんか自演くさいマンセー書きこみだな。でも自演じゃないYO!)

ただ、ひとつだけ気になるのはこれが『ファンタジー』として投稿されていること。
もう一作の「セミ時雨」は『SF』のところに登録されてるのに。
これは後々、半ダースほどの魔女ッ娘が玩具片手に大暴れ!みたいな展開になる予告でしょうか?
遠慮なく来い!

135小骨:2003/05/29(木) 07:32
>>134
読んでくれてありがとうございます。うわここまで誉められるとは思ってませんでした。

『ファンタジー』に置いたのは、SFの専門知識があまりないので、ホンモノのSF読みの人に
「こんなんSFジャネーヨ」って言われたら言い返す自信がなかったからです。
「セミ時雨」を『SF』に置いたのは、ほのぼのユーモアだからまあいいか、って感じで。

「地図屋-」はこのままの路線で続きます。魔女ッ娘は残念ながら出ませんw
ちゃんとSFって名乗った方がいいですかね。
あと、こんな感じのを投稿するとしたら、電撃で大丈夫ですかね。
ほんとはソノラマ狙ってたんですが、今やってないし…。

136134:2003/05/29(木) 10:57
>>135
レス、サンクス!

>『ファンタジー』に置いたのは、SFの専門知識があまりないので、ホンモノのSF読みの人に
「こんなんSFジャネーヨ」って言われたら言い返す自信がなかったからです。

なるほど。
実は俺も読んだSFはグレッグ・イーガンくらいで、SF素人です。
それなのに「ガジェット」がどうとか、マニアぶった口をきいてすいません。
・・・知らない自分を見つけたかったんだ……

>ちゃんとSFって名乗った方がいいですかね。

うーん、どうなんでしょう。あえて火中の栗を拾う必要はないのかな?
とりあえず俺はあの川舟描写と、未来アジアっぽい幻想的な世界設定に引きこまれました。
素人意見ですが、いまのところ十分SFと呼べると思います。これはよいSFだ。
だって、今はCCさくらが星雲賞を取ったりする未来世紀じゃないですか。

>魔女ッ娘は残念ながら出ませんw

……そこをなんとかなりませんかね?
だって、今はCCさくらが(以下略

137小骨:2003/05/29(木) 16:20
>>134 さん、度々感謝です。
東南アジアSFなんて、やってる人が少ない代わりに需要も少ないかと思ってたんですが、
気に入ってもらえてほんと嬉しいです。

>> ちゃんとSFって名乗った方がいいですかね。
> うーん、どうなんでしょう。あえて火中の栗を拾う必要はないのかな?

SFも広義のファンタジーに内包されるから、まあこのままでいいか、と思い直しました。
場所移すの面倒だし。気持ちだけSFってことで。

ちなみに自分もSFは素人ですが、「ガジェット」って言葉はよく使いますよ、便利だから。
小道具とかそんな意味合いですかね。

>> 魔女ッ娘は残念ながら出ませんw
> ……そこをなんとかなりませんかね?

それじゃ、間をとってメガネッ娘あたりで (違
自分、女なんで萌えキャラの書き方がよく分かんないんですよね。
……って言ったらCCさくらのCLUMPも全員女だしなあ。単に修行不足か。

138イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/29(木) 18:27
女キター。
萌えキャラなんて女書いとけば勝手に萌えるらしいよw

139小骨:2003/05/29(木) 21:00
>>138 そんなもんすかw

140134:2003/05/29(木) 23:08
しのぶれど 萌え出でにけり 萌えごころ
(訳 ああ、魔女ッ娘もいいけど、メガネッ娘もいいものだなあ)

>東南アジアSFなんて、やってる人が少ない代わりに需要も少ないかと思ってたんですが、
気に入ってもらえてほんと嬉しいです。

こういう雰囲気好きです。なんか倦怠感が漂ってる感じで。
お奨めのSFとかありませんか?
イーガンの次になにを読んだらいいのかわからないもので。

>あと、こんな感じのを投稿するとしたら、電撃で大丈夫ですかね。

電撃は色々な芸風を受け入れているみたいなので、大丈夫っぽいです。多分。
今後の展開が「新聞その他を切り張りして物語を構成」みたいなことにならなければ、
充分行けると思います。

俺もとっとと電撃短編に取りかかろう……

141小骨:2003/05/29(木) 23:11
つか、繰り返してほんとに申し訳ないですけど、
こういう感じのを投稿するとして、どこに送っていいかイマイチ分からないんです。
なんかアドバイスあったら、よろしくお願いしますー…。

142小骨:2003/05/29(木) 23:16
ああ、入れ違いでした、スマソ >>134

> こういう雰囲気好きです。なんか倦怠感が漂ってる感じで。
> お奨めのSFとかありませんか?

んー、人によって好き嫌いが激しいですけど、椎名誠の三大SFとか、どうですかね。
世界の壊れっぷりというか、くたびれっぷりが結構好きです。

> 電撃は色々な芸風を受け入れているみたいなので、大丈夫っぽいです。多分。

ああ、それが聞きたかったw ありがとうございます。

143小骨:2003/05/30(金) 10:31
ええと、遅くなりましたが、読んでくれてありがとうございました。
ここで曝してよかったです、ほんと。
この後、名無し潜伏して感想書く側に回ります。

144カウント10:2003/06/18(水) 22:44
今回の電撃一次落ちのものですが、
http://www.readingstation.dyn.to/
のファンタジーの所に晒しました。短編です。
タイトルは、月下に血は謳う、です。

読み返してると、これをUPすんのか〜、と
骨の髄がこそばゆくなるような所もあったりしましたが、
何でもいいのでコメントくださると大変ありがたいです。
お目汚しですが、よろしくお願いします〜。

145イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/18(水) 23:26
ageといた方が。

146イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/19(木) 00:29
軽く読んでみた。軽く聞いてくれると嬉しい。
・導入が短編にしては長い。
・キャラに今ひとつ感情移入できない
・世界についての説明が殆どなく、ここがなんと言う国のいつ、どこなのか変わらない。

147イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/19(木) 01:39
>144
俺も読んでみた。
とりあえず、読める。引き込まれるほどではないが、
問題なく普通に読めた。上手いって褒めるほどではないけど、今後に期待。
気になったのは>>146と同じく、やっぱり世界観かな。
無造作に英語が使われてるけど、この作品世界は地球?
日本人の読者向けに書いてる小説だから地の文でナイフやフォークと書くくらいなら
いいと思うけど、キャラの台詞でもろに「レディ、ゴー」は気になるな。
あと、「血の輸送」というのは不気味さと神秘的な響きがあっていいと思うけど、
吸血鬼や獣人の設定が既存作品のコピーそのままでオリジナリティを感じない。
ラストもダブルブリッドそっくりだね。ハーフなとこも同じ。打ち解けた人の目の前で変身するのも同じ。
馬鹿一な設定をやるのは構わないけど、それなら他の部分でオリジナルなところを感じさせて欲しいかな。

148イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/19(木) 01:50
>>144
私も軽く読んだ。しっかりじゃないけど勘弁。
問題点については概ね146と147の感想と一緒。
個人的に呪いの人形(?)のキャラが好き。レンだっけ。
新しいわけじゃないけど、でも好き。

でもけっこうまとまってるよね。これで一次落ちって、電撃レベル高いのね〜と
改めて思った。
よく言われてるのは、一次落ちは日本語になってない云々だけど、全然そんなことないし。
やっぱりオリジナリティが弱かったのかな。ほかの賞なら、一次突破はいけそうだけど。

149カウント10:2003/06/19(木) 22:37
読んで頂いた方、大変ありがとうございました。

>146
確かに導入は、ちと冗長すぎたかも。
プロットも何も明確でないまま、とりあえずキャラを登場させていったのが
悪かったと思います。
そんな具合で、書いてる方は、世界や舞台設定を読み手に伝える、ってことは
あまり考えず、話をとにかく回すことを考えてたので独りよがりになってしまってた気もします。

>147
世界観…あまり重要視してなかったのですが、やっぱ大事なのですね。
ファンタジーということで、とりあえず剣と魔法の世界にして
人情とアクションを書けばいいと思ってたのですが、甘甘でした。
ダブルブリッドは、読んだことなかったのですが、ありがちな展開といわれれば
何もいえないです。実際そうですよなあ。

>148
一次落ちと言うことで箸にも棒にもかからんってことかな?と
ひとり呻いてたりしたんですが、まあ、そうでもないよ、と
言ってくださる方がいて嬉しい限りです。

10枚程度の短編を投稿サイトに投稿したことはあったのですが、
80枚書くのは初めてでした。
本サイトの方でも言われてますが、短編にする内容ではなかったのかも。
実際、後半は、残り枚数をカウントしながらまとめに入っていたわけで。

でも書いていて楽しかったですし、こうして感想を頂くこともでき
大変ありがたく思っております。

自己分析しますに、とにかく足りないのはオリジナリティ。
文章、構成は、まるでダメダメ、と言うわけでもなさそう?なので
その辺も磨きつつ、独創的な視野、切り口をもてるよう頑張っていきたいです。

150小房:2003/06/20(金) 00:48
 ちょっとだけ作ってみました。MF文庫の短編に出そうかなと思いつつ
ページが足りなくて放置している奴です。どうかご意見いただけたら
幸いです。
http://www.readingstation.dyn.to/fan.cgi?key=33&page=1

151イラストで騙してる名無しさん:2003/06/20(金) 01:42
>150
うむ、可愛いくて良い話だな。ひねりはないが、その分ストレートで要旨も明確だ。
ただ、MF文庫向けというよりは、これはコバルトとか少女向けじゃないかな。
嫌なこと言うようだが、MF文庫みたいな萌えレーベルに送るなら、
主人公は女の子にした方がいい、そして妖精も女の子。
いま、そういうのが流行だから。
「いま何が流行ってるか」っていうのを考えて、そこを踏まえて書く感覚は必要だよ。
プロになるなら、
「ここが売りです、ここが読者にお金を払って読みたいと思わせるポイントです」
というポイントは絶対に必要なんだ。
自分は女の子で、妖精も女の子で、二重に叶わぬ恋。
そこの辺りの葛藤を書き足すとドラマチックに、かつ男性向けレーベルに相応しくなる。
君の場合、最初からあざとくそこの辺りを狙ってないから、逆にいい。
そこを真剣に書けば、純粋なドラマが書けると思う。
この男の子、行動が可愛いから、女の子に変換しても無理は生じないと思うしね。
このままでは、この作品にお金は払えない。

あくまでもこの内容でいくなら、少女向けレーベルを検討した方がいいな。
雰囲気はいいから、大学に行くエピソードを書き足して長編にしてはどうか。
人間の恋人との間で揺れる、みたいなエピソードは恋愛ものとしてプラスになると思うよ。
男の子可愛いし、いけるかもしれないよ。

あとは細かいこと。
冒頭、「夜伽話」はエロい意味があるので別の単語に変えよう。
>もしかしたら夜行性の獣……いや、闇の眷属かも。ひぃっ
ひいっ。が余計。ここだけ主人公の心情と地の文が混ざっちゃってる。

でも「かわいらしい話になるといいな、と思って書きました」という
君の目的は明確に伝わってきた。あと、森の中を歩く描写もなんとなくいいね。
もう少し木々や湿気を含んだ空気の描写、差し込む日差しの描写なんかも加味すればよりよくなるだろう。
虫から虫へ、それらが生息してる場所ってことで自然に森をイメージさせるとこはいい。グッド。
ただ、良い話ではあるが、やや童話ちっくでライトノベルの読者層である中高生にはやや
子供っぽいと思われる可能性もあるな。

このままでは「売りになる要素」が弱いが、もう一工夫すれば良い線ねらえるかもよ。頑張れ。

152イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/20(金) 07:48
>>150
まだ読んでる途中なんだけど…。
「腰までの半ズボン」に引っかかった。
こういう長さの描写って、たいてい下に下に表現しないか?
「膝までの」とか「腿までの」とか。
一瞬、「腰まで…腰!?ちゃんとズボンなのか!?」と思った。

いや、話の大筋に関係ないことなんだけどさ。

153小房:2003/06/20(金) 12:42
>>151
 ありがとうございます。ご提案は、主人公を女の子にして、レズかつ
異種属の恋愛にしたほうがよいか、ということでしょうか。
 もともと童話的な話ではあるんで男の子向きっぽくないというのは
感じていました。おっしゃる通り、大学でかわいらしい女性と知り合っ
て良家の子女でいい感じになりかけて、というエピソードが入ると
女の子向けとしてはとてもかわいらしい話になりそうですね。ただ
将来的に書いていきたいのは硬めのSFとか男性向けのファンタジー
なんで、悩ましいところです。

154小房:2003/06/20(金) 12:43
>>152
 こちらもありがとうございます。「膝まで」の誤字ですね。
151さんのご指摘もあわせてちと修正してみます。

155イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/20(金) 18:16
漏れのスレが上にあがってるうううう。
やったぜw

156イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/20(金) 19:05
>>153
な…悩ましい!?
悩める…を書き間違えたんですか?それとも素ですか?
確かに悩みを感じるという意味があるけど、どっちかってぇと
古文の表現。
あのう…あなたは実はあんまり小説とか読まないひと?
文章の勉強もちゃんとしたほうがいいですよ(<オレモナー)。
私が気にしすぎなのかとも思ったんですが…どうも気のせいじゃないみたいなので。

157イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/20(金) 19:22
>>150
読みますた。これまで小房さんが晒した作品の中では一番、気に入ったりしたり。
ちょっと身を入れて、感想を書きます。

まず151さんも言ってるけど、森の描写が良かったです。いや、森に限らず、全体として
描写の水準が適切であり、それがメルヘンな内容とマッチしていて、非常に親しみやすく
感じました。これはとても(・∀・)イイ!かと。

 気になった点。
 この話、中折れになっていますね。少年期のエピソードと青年期のエピソードの二つが
あって、少年期から青年期へ一気にエピソードが飛んでしまっている。なもんで、中盤の
村の描写あたりで、唐突に話が変わったように感じてしまいますた。これは構成上、
あまり良くないかと。
 一つの対策として、少年期と青年期の間にもう一つエピソードを挟み、暫時移行させる
という感じにしてみたらどうでしょう? 例えば、魔法医の審問に受かり、息せきって
報告に駆けてくるカール。古代語を修得しようと、森の中で辞書を開き、悪戦苦闘
しながら妖精と会話しようとするカール。月夜の下、妖精の案内で森の奥深くにある
秘密の場所に踏み込み、その神秘的な光景に魅了されるカール……ぱっと思いついた
だけの適当な例ですが、こういった小エピソードを間に挟むことで、少年期→青年期の
突然の移行をゆるやかにし、よりスムーズな感じにできるかと。

 あと細かい点。冒頭で出てきた「ドラゴニアン」(竜人)というのはちょっと違和感
です。これって割と最近の、ゲーム的な言葉じゃなかったかなあ。メルヘンの感じで
統一するなら、食人鬼(オーガ、トロル)や黒妖精(ゴブリン、インプ)といった単語の
方が、雰囲気にあうかも。

 この手の話は、筋がシンプルなだけに作者の力量が問われます。この作品は、それを
正面からクリアしていて、なかなかいい感じ。確かにレーベルさえ間違えなければ
良い線にいけそうな作品だなあ、と思いますた。
とりあえず、こんなところで。

158小房:2003/06/20(金) 21:28
>>156
 いやはやまたやってしまいました。この間も「好もしい」とか使って
指摘されていました。昔小松左京にハマっていたのですが、この人
結構古い言葉をSF小説のなかで平気で入れてくるんです。言葉
選びを気をつけるようにします。

>>157
 ありがとうございます。友人に「情景が浮かぶような描写を心がけろ」
と言われ、それに気をつけて作ってみました。
 話がまっぷたつに切れている点は自分でも気になっていました。
ご提案とても嬉しいです。妖精と少年が言葉を交わす所が白いなー
とも思っているところでした。言葉の交わしあい、そして少年の成長、
月夜の湖で踊る妖精、といったシーンを交えていこうと思います。
 「ドラゴニアン」ってのは安易に使ってしまいました。小説では
ドラゴンランス戦記にでてきますね。ゲームでもみた覚えが。
このへんも調整します。
 例えばこれならレーベルどんなところがお勧めでしょうか。
というのは前2作の通り自分自身はSF者で、ファンタジーに
挑戦したら童話になってしまった(笑)という事情でちと悩んで
います。MF文庫とか電撃HPみたいなところを狙って書き
はじめていたつもりだったのですが。

159イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/21(土) 00:47
>>158
156なんですが…えーと。
私の書き方が悪かったみたいだなー。
好もしいも、悩ましいも、別に使ってもいいんです。
使い方、っていうか。
普通は、悩ましいも好もしいも(いや、好もしいはどこでどういうふうに使ったか
知らんけども)、自分に対しては使いません。自分以外に対して使います。
さらに言えば、悩ましいについては、多くは悩みを感じるという意味より、
その対象から刺激を受けるという意味で使います(例外もあり)。
例えば、すっごい安直だけれども、せくしーねえちゃんが色っぽく溜息なんかついている様とか、
スリットからのチラリズム(…例が極端だな)とかを、悩ましい、とか言ってみたり。
本を読んでるとたくさん出てくるよ。
言葉選ぶ前に本読んだほうがいい。

少なくとも間違えるのは小松左京のせいではないですよ。
つか、小松左京もあそこで悩ましいところですは言うまい…。

160イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/21(土) 00:48
>>158
電撃でいいんじゃない?
あそこ懐深そう。
待つのが苦じゃないなら富士見とか。

161イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/21(土) 03:20
上のスレで叩かれてるみたいなんで、ちょっと気が引けますが。
>祖父が幼い頃には、既に妖精は絶滅したと言われていたそうだ。
とあれば、でも今は違うんだな、と読んでしまう可能性が高いので、私なら
>祖父が幼い頃には既に、妖精は
>祖父が幼い頃でさえ、既に妖精は
のようにします。
>妖精は人間とともに生きていくことはできない。
と断言されているので、それは何故?と思うのですが、説明がなく「だから」
となります。私なら、この一文は、意味がないので消します。
>わたしが寝つかない時に、よく昔話に話してくれた。
これも違和感があります。
「昔話」は「個人の経験談」とはちょっと違うと思います。
>寝付けないでいるときに、昔の話として/昔話の一つとして、
くらいで良いと思います。
夜伽話、としたのは「おとぎ話」は陳腐、と思ったからでしょうが、
「夜伽」のもつ意味を考慮すると、151さんと同じく、私ならつかいません。
>子供だったわたしは一生懸命聞いたものだ。
一生懸命、というのは、こういう、じっと聞いている場合には
向かない形容だと思います。
その話に夢中になった、くらいで良いと思います。

重箱の隅をつついているのは承知していますが、文章の細部に配慮が
欠けているのが、小房さんの大きな欠点の一つだと思いますので、
過剰なくらいに大げさに指摘してみました。

162小房:2003/06/21(土) 21:23
>>159
 うお。どうも自分が語法として正しいと思っていたものが実際には
間違っている、ということが多々ありそうですね。これはとても不利
なことなので、ライトノベルと純文学両方を読んで自分を矯正して
いくようにしたいと思います。

>>160
 電撃でカテゴリエラーにならなさそうですか。電撃HPの短編募集
が近いですよね。がんばって推敲して挑戦してみようかしら。

>>161
 いやいやとんでもないです。ご意見とてもありがたいです。そう、
最初はちょっと気になっていました。いろいろ考えた末のことでは
あるのですが、どうしてもしっくりこない感じがしていました。祖父が
のくだりはまさにそのまま使わせて頂きます。しかし、次の「妖精は
人間とともに生きていくことはできない」ですが、理屈無用で妖精
は人間と共存はできんのだよ、ということを先に(妖精が人間に
接触すると死んでしまうんだ、と読者に誤認させるために)なにか
こうした言葉を置きたくあります(ここでなくても構わないのですが)。
どんなものでしょう。
 その後の昔話、のくだり、一生懸命、のくだり、とてもありがたい
です。「昔の話として話してくれた」「夢中になって聞いたものだ」の
ほうがずっとずっといいですね。

 重箱の隅などとは言わず、こんなに読んでもらってとても嬉しい
です。もっともっと欲しいくらいです。
 また、自分でも単語選びに気をつけるようにします。ありがとう
ございます。

163イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/22(日) 01:22
>162
俺も電撃がいいと思う。
じゃなきゃ素直にコバルトだね。でもその場合、妖精は男の子に(藁
とりあえず電撃に送って駄目だったらコバルトにすれば?
それでも駄目なら長編に書き直してみるとか。

164イラストで騙す予定の名無しさん:2003/06/22(日) 01:38
>理屈無用で妖精は人間と共存はできんのだよ、ということを〜省略〜
>どんなものでしょう。
確かにそのとおりですね。

ただ、説明抜きで設定を述べるのは必要ですが、
読者に誤読させる目的で押しつける/押しつけられるのは、好きではないです。
だから、私なら、消えていった、と言う事実だけ述べます。
(もちろん、これくらいなら許容範囲、という人もいるでしょう)

何か書くとしたら、理由はわからないが消えていった、
昔から何故かそう言われている、という意味の文にします。

頑張ってください。

165小房:2003/06/23(月) 02:14
>>163
 ありがとうございます。みなさんにご指摘いただいたところを見直し、
また推敲を徹底的にやって電撃送ってみます。村でのエピソード等
を入れ込んだ長編への改稿も視野にいれておきます。

>>164
 ありがとうございます。そうですね、「妖精は人とともに生きる
ことはできない」の文章は後半の(青年編の頭)頭にも出てくる
ので、こちらがあれば(こちらは各章の飾りとして使う文なんで
この言い切りでいいかと思っているんですが、どうでしょうか?)、
文のはじめの同じくだりは削除しちゃってもいける、と思いなおし
ました。どんなものでしょう。

166164:2003/06/28(土) 00:58
上手く言えないんですが、この作品はどちらを狙ってるんでしょう?

1.読者をひっかけて誤読させる/驚かせるのが楽しい
2.ラブストーリーで楽しんでほしい

それによって変わると思います。
これ以上は小説の構成に絡むんで、小房さんの判断でしょう。

この文が必要かどうか、使う表現は別の方が良いかどうか、
もっともっと悩んでください。

あと、二つ付け加えておきます。
googleでは、
"人類の版図"104件、"人間の版図"7件、"帝国の版図"477件。
"夜の帳が降りる"は477件、"夜の帳が覆う"は2件でした。

167小房:2003/06/28(土) 01:32
>>166
 ありがとうございます。悲恋と思わせておいて、最後に救いと
小さな驚きを与えるというものになると思います。従って2を
中心としますが、1がまったく無しとはしません。
 とはいえすいせん、いじくっている間に該当部分はやはり
煩雑に感じるようになり、やっぱり削除してしまいました。また
用語について自分はかなり配慮が足りないようで、ご指摘
ありがたいです。版図については「人類がその版図を広げる
につれ」、帳については「夜の闇が森を覆っている」でいこうと
思います。いろいろいじって苦しみながら楽しんでいます。また
ぜひお気づきな点ありましたら教えてください。

168どっかのスレで一瞬、話題になった小説を晒してみる:2003/07/20(日) 01:29
「でも、東四大だとか東京都はこの人工島作る大バカ計画のゴタゴタでここの利権を結構、得たでしょ」
時速百数十キロで走るワゴンに当たる海風は思いのほか騒音を出す。
「……えっ?」
ドスッ。
走行中に道路と道路のツギハギに乗っかったらしい。
普通の高速道路に比べて、この海上アクセス道路のツギハギがあまりにも少ないので忘れていた。
「普通に考えれば、おかしいと思うでしょ。
今時……高度経済成長期にだって、こんなハコモノ公共事業なんてないわよ?
まぁ、裏で数兆は流れたわね……」
「……」
「まさか不安にさせちゃったかしら?
それでも、こういう広大な試験場が出来るのは科学者として嬉しいものよ?
それに金にうるさい東四大が相当、関わってるんだから、ただの無駄遣いには終わらせないでしょ」
「……」
「未来の納税者に新しい負担が掛かることなんてないわよ。安心して」
「いや、壮大で面白そうだなと、だってかっこいいじゃないですかっ、なんかホントにスゴイです」
「面白い子に当たった……かな」
「すみません、少しうるさくしすぎましたね」
「まぁ安心して私はそれぐらいでうるさいって言わないし。変に静かな子よりマシよ。
発情期をぶっ潰してまで、こんな辛気臭いところ来るぐらいだから……」
「でも、夏休み一年分ぐらいなら捨てる価値はあると思います
一回の高校生がこんなところにいけるんですから」
「ただの夏休みにはならないかもね、少なくても君の人生を変えるのはまちがないないわ」
「なんとなく望むところです」

169どっかのスレで一瞬話題になったワナビ小説の引用:2003/07/20(日) 01:34
しばし沈黙ののち、渋谷さんは片手をハンドルに置いたまま
肩越しにこっちへ振りかえった。いつのまにやらメガネを掛けている。
「まぁ形式じみてるけど……それでは、『東京最先端海洋技術研究所とミヤコドリ島へようこそ』」
握手しましょうと言う笑みとともに、手が僕の前に差し出された。
僕は後部座席から少し腰を浮かせてその手を握った。
渋谷さんにされるがまま握手した手をブンブンと数回振りまわされた。
「よろしくおねがいします」
「プッ!」
「なんですかッ、いきなりに噴出して」
「いや、ミヤコドリ島よ、ミ・ヤ・コ・ド・リ、ホントに笑える……
でも公募で私の名前が決まらなくて良かったわ」
「あのぉ……ものすごい心配なんですけど……運転は良いんですか?」
「安心して、運転席に人が居ればオートで運転をやってくれる頭の良い車なのというのはね、」
『ミヤコドリ島まであと二キロ』とおなじみの道路看板が、時速百二十キロで後方に過ぎていった。
少し前までは渋谷さんは首都高のコミ具合に異議を申し立てていたのに……遂に「ここ」まで来たか。
うっかりと視線をウインドガラスに戻すと
僕は「やり遂げる」前の情緒を噛み締める暇も無くミヤコドリ島を見てしまった。
風通しの良い硬質なビルディングは陽光と海面からの乱反射を受けて僅かに眩しい。
人工海岸は夏真っ盛りなのに海水浴客で埋まっていない。
海風を受けて勢い良く回る風力発電用風車はもう珍しいものではなくなってしまった。
東京最先端海洋技術研究所―パンフレットでしか見たことがなった僕の憧れの場所―が
わずかながら見えた。
今はまだ、ここへの招待状ととも郵送されたパンフレットの表紙絵の方が
詳細にその全容を知ることができるけど
これから、僕はあの島に入り、たった一ヶ月だけの住民となる
その日から、僕に研究所の近くのホテルの一室で暮らし、あの場所に通う。
確かに夏休みの内の一ヶ月だけの体験だろうけど、僕の人生を変えるの明らかだった。
科学技術が僕だけでなく人々の生活を変えていくのなら、確かに未来がそこにあった。

170イラストで騙す予定の名無しさん:2003/07/25(金) 02:18
>>168
文章がかなり下手で(表現がとっちらかってる)、そのうえ独りよがり。
でも、書こうとしてる物や感性そのものは悪くないと思った。
推敲すればよくなるじゃん。

171イラストの騙された名無しさん:2003/07/27(日) 15:11
>>168-169
正直言って、何が何だかさっぱりわかりません。
これは自分のじゃなくて、どっかの誰かのを晒したの?
さあ、突っ込め、ってこと?
いやもう突っ込む以前のシロモノですよ。

172イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/20(水) 01:39
天才。

173イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/24(日) 18:36


 ぼくは、まだ生まれてから数カ月の時、神経芽細胞腫という病気になった。小児ガンの一種で、手おくれになると死んでしまう事もあるらしい。この病気になっているという事がわかったのは、生まれて数カ月たった時に行った尿検査のおかげだ。それ以来、ぼくは入院することになったと母から聞いた。父や母は、一時ぼくのことをあきらめかけたという。祖父などは、初孫であったぼくが助かるように毎日仏様に拝んでくれていたほどだ。そのおかげか、手術は成功した。
 しかし、ここで問題となったのが手術代である。だが、心配していた入院費や手術代は全額、当時ぼく達が住んでいた横浜市が出してくれたのだった。
 その話を聞いてぼくは、びっくりした。自分の知らない過去を知ったと同時に横浜市が手術費や入院費を出してくれたという事をだ。
 日本は子供の健康状態や病気への予防に対して多額の税金が使われているということだ。ぼく達がまだ小さかったころは国が予防注射を行っていたらしい。それに、今でも学校などでは、身体測定や目の検査や尿検査を行っている。このような事が行われているおかげで、ぼく達は健康に暮らす事ができるのだと思う。
 ぼくの場合も、国が検査をしてくれたおかげで病気を早期に治療することができた。しかも、治療費までもが無料ですんだ。
 これは、みんなから集めた税金でみんなのために医療設備を整えたからである。日本国民は税金を納めているおかげで病気などにならないように検査を受ける事ができるのだ。そして、もし病気になっても早期に治療する事ができる。これは、とてもすばらしい事だと思う。もし、税金がなければ何千もの子供が命を落としているだろう。
 税金とは人々を助けるために使われるお金だ。税金は,社会へ参加するための入場料なのだから、そこに住む人は払わなくてはいけない。そのかわり税金を払っていれば病気になって困っている時などは治療費をもらえる。それに税金は募金とはちがう。募金は余裕のある人が困っている人を助けるためにする。だが、税金は自分達も払っているので困った時はお金を出してもらうのはあたりまえなのだ。自分達が払っている税金によって保護される事は恥ずかしい事ではない。
 ぼくは、自分の生まれたばかりのころの話を聞いて税金の大切さを身をもって知った。今後ぼく達は税金をより有効に使って新しく生まれてくる子供達の尊い命を守り、子供達が健康に暮らせるような環境をつくらなければいけない。

174イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/26(火) 19:35
>>168-169
SF好きな自分としては、けっこいい感じがした。研究所の名前とか自動車とか、
研究施設に入る前の緊張感や嬉しさも感じる。
会話もけっこう面白い(けど、なんか微妙に文章が文法レベルで変なのが変)
でも、これだけじゃよくわからない。

>>173
お説教。見方も一方的だし。
仮に書いてあることが100%正しいとしても、小説ならば、
税金が会計検査院が調べられない民間に流出してたり、
税金払ってない奴とか、税金は払っているけど税金でかけてもらったコストの方がでかい奴とか、
もっといろんな見方が可能で、そういうのをある意味戦わせて
ドラマはなんぼだと思う。

175イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/27(水) 12:31
ありがとうございました>>174

176173:2003/08/27(水) 12:37
でも、15歳でこんなこと書いていいんでしょうか・・・・

177イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/28(木) 07:16
コメントが意味不明

178イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/28(木) 13:30
>>173てなんかのコピペだと思ってた

179イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/28(木) 20:10
ぼくには向いていないようです・・・・逝きます

180イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/28(木) 20:58
http://216.239.33.104/search?q=cache:UJ2FNqNqTA8J:www.tax.metro.tokyo.jp/school/sakubun/14junior/matida.htm+%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E8%8A%BD%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%85%AB%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F&hl=ja&ie=UTF-8
これか。

181イラストで騙す予定の名無しさん:2003/08/30(土) 02:38
税かぁ・・・ふー

182イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/04(木) 21:57
The clear blue pupil.
The waist which became tight tightly.
Ponytail of black hair.
She is beautiful.
And I fell in love with her.

183人、いますかね?:2003/09/04(木) 23:47
一週間前から「今度こそ!」と思って新小説の準備を初めました。少し長い奴書こうかと思ってます。
大体のあらすじやキャラ、世界観の設定をここに書き込んでもよろしいでしょうか?
「この設定なら後はお前次第だ!」とか「いくらなんでも無理だな、考え治せ」等感想いただけますか?
「他のスレ行け」と言われたら素直に出ていきます。

近未来ファンタジーの世界の軍学校物なんですが、電撃の学園物語には
「放課後」「二人」等当てはまらないのでここに目をつけました。

184イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/05(金) 10:44
ぜひ見てみたい

185イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/05(金) 10:45
追記。
ここではsageないほうがええよ。
ageたほうが皆に気づいてもらえる。

186183:2003/09/05(金) 19:14
ありがとうございます。了解しました。
読んで貰えるそうなんで明日カキコするつもりです。
少しでも面白そうに見られるように分章を推敲しております。
なにしろ教養の授業の時に少しずつノートにメモしてたことをやっとこ一つの文にまとめ始めた訳でw

俺の小説がラノベとして発売されるのは多分無理でしょう。いいネタがなかなか思いんで。
でも一次予選ぐらいは突破して田舎の両親や兄弟を驚かせたいのです。

187イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/07(日) 22:59
明日は過ぎたわけですが

188イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/07(日) 23:25
まあいいじゃん。学生は忙しい。

189イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/08(月) 02:27
みなさん何歳ですか?私はリア厨です

190183:2003/09/09(火) 16:42
ごめんなさい。回線の問題でずっと繋げませんでした(涙
(元々これは5人のミス研の話だったのが、俺の頭でミステリーは無理だと気付き
軍学校物にしよう!となり、ダメだ!俺の文じゃ戦闘が面白く無い!
そうだ、魔法軍学校にしよう、となったものです。
つまり俺には文才がありません。かなり無理して書いたということをご承知ください。

それじゃあ設定を書きたいと思います。ご指導よろしくお願いします。

191題名募集中(1/5):2003/09/09(火) 16:44
世界−近未来のとある国の話。この世界には魔法がありモンスターがいる(ファンタジーの基本か)

国−経済が豊かな島国。魔法軍学校が5つある。(まだできたばかり)
この国でただ「学園」というとこの軍学校のこと。とても頼りにされている。
都会はマンハッタンみたいな感じだが田舎にはまだまだモンスターがいる。
物語の舞台は学園の一つ、「シュライク」←名前変わるかも

魔力−遺伝とは関係無く突然持って生まれてくる。
これを持ってる人は身体能力のすべてが2〜10倍で、更に魔法も使えるので普通の人では手がつけられない。
銃も保持者の持つ防御結界に阻まれて意味が無いし、そもそも当たらない。
つまり保持者を倒せるのは保持者だけである。(これ重要)
魔法は大きく分けて攻撃、治癒、保護、障害に分けられる。
才能によって覚えやすい魔法と覚え難い魔法がある。(学校のどの授業が好きか、なんかと同じ)

192題名募集中(2/5):2003/09/09(火) 16:45
学園−国中から魔力を持っている人を捜し、スカウトして連れてくる。
ここに4月に入れられると入学者の中からランダムで5人のチームを組まされる。
(志望者が出ると動いたりする。毎年50人程度が喧嘩で死ぬ)
チームメンバーは同じ時間割で訓練を受け、同じ「ホーム」に住むことになる。
「ホームとは学園内にある寮みたいなもの。キッチンとテーブルのあるリビングと5人分の寝室からなる。
カードキーでリビングに入り、そこから各自の寝室に行ける。
生徒は常に胸に名前、生徒番号、所属チーム、そして「ランク」が書かれたバッチを付けなければならない。
毎週ランクに応じた給料が出るので、生徒達はそれをやりくりして生活していく。
シュライクは前校約3000人、600チーム程度。
校内はドーム型でとても広く全部見て回れば3時間はかかる。全8階。
(FF8のガーデンがでかくなったのをイメージしてください)
校内には電気屋や本屋、服屋や小さなデパート、図書館や映画館、更には風俗まであり、(噴水なんかも)
食事処にいたっては15件もある。だから外が恋しくなることは少ない。
生徒同士の喧嘩や脅迫、いじめが耐えない。したがってトラブルを起こしたくなかったら
夜10時以降は外を歩かない方が無難。昼のシュライクはまったりなのだが(大学をイメージしてください)
チームメイトはランダムで選ばれたのだが色々ありエリートチーム「Intelligent」や
不良チーム「BLOOD」、女子プロみたいな豪傑女チーム「アマゾネス」なんかは試合で当てるつもり。
他にも白文で女四人にこきつかわれているかわいそうな男がいるチームや男四人にひどいことされてる
女がいるチームがいる、なんてことを紹介するつもりです。
ちなみにチームが男女混合なのは分けてる他の学園の女のチームの立場が弱かったり、ホームに突貫され
レイプされる事件があるなど、うまくいってないから。・・・ってことにしましょう(笑)
9時から12時、1時〜5時までは訓練。実践形式のものや、ただの体力作り、中には「魔導学」みたいな
授業形式のものも。みんな卒業したいのでさぼる奴少なし。5時以降は何しようと自由。水、日は休み。
十時以降のホームや店以外の校内は90%の照明が消える、がまだまだ歩けるので不良がうろつく。
好きな人同士が集って5時以降や休みに活動する同好会なんかもある。

193題名募集中(3/5):2003/09/09(火) 16:46
ランク−様々な分野の成績の総合結果。S〜Fまでがある。学園ですることのほとんどにこれが必要。
例えば・・・「この階段はE↑です」「この店はD↑です」「私服はC↑です」「エレベーターはB↑」等
もちろん向上心を作るためのシステム。
A〜Bになると学園でかなりの有名人。その人はもちろんチームメイトもでかい顔ができる。
Sは創立以来出たことがないのだが・・・

クリミナルフーリッシュ(仮)−主人公達のチーム。通称クーリッシュ
ルークがリーダーの有名チーム。その年に入った犯罪者3人を全員入れ、目付約として優秀な
二人をランダムで放り込んだ、唯一意図的に作られたチーム。チーム名はシルヴィーナが「どうでもいい」
と白紙で出したのを悪戯書きされて命名されたもの。ここまで書かれたのに シ「それでいい」だそうだ。
現在は4人。一人をいびり出したから。誰も入りたがらないので4人のままであった。
残る四人はいびり出した時意気投合し、なかなかのチームワーク。
朝飯はベアーが作り、昼は毎回違うレストランで食い、夜は毎日ビアガーデンで一時間、盛り上がる。
(三人のランクが優等生なのに加え、スリや情報屋などをしてくる奴もいるので金には困ってない)
余談だがシュライクBBSの「クーリッシュ死ね!」スレは「雑談するべー」「ロートレック教官死ね!」
「看護のパル先生はエロかわいい」に次ぐ人気。困ったもんである。

194題名募集中(4/5):2003/09/09(火) 16:48


キャラ設定(歳や能力などを書きました。文庫化したらピンナップに乗せてもらいたいなんて妄想してます。
その他の科目はまだ考えてません。色々出したいと思っていますが。)

ルーク:チームリーダーの19歳青年。赤髪の普通の髪。
ちょっとその場の雰囲気に流され易い好青年。基本的に苦手分野が無い。
人に好かれやすい。特に悪人に好かれる。少し優柔不断なとこがある。女の子に弱い。
武器は槍を使ってる。杖等の補助無しで魔法が唱えられる。
学園へは、自分から志願してきた。優秀だから学園は当時歓迎したのだが・・・。
格闘:B 魔法:B 総合戦闘能力:A その他色々もA〜C  ランクB
「げ・・・そんなもんなんだ?んじゃしょうがないか」「まあ、やれるだけのことはやってみるさ」

シルヴィーナ(シルヴィ):チームの頭脳的存在の21歳青年。銀髪を女のようにコシまで伸ばしてる。
学園一の美男子。女に間違えられる。頭いい。他人に冷たい。たまにおちゃめな一面も見せたり。
口には出さないが初めて出来た友達であるチームの仲間を気に入ってる。なんだかんだ言っていつも
助けてくれる。口調はいつも怒っているようだが、チームの仲間は微妙な感情の変化が分かる。
軽く長い刀を接近戦時使ってる。腕はまあまあ。杖等の補助無しで魔法が唱えられる。
自分両親の仇を皆殺しにし捕まるが、戦闘能力と頭脳を買われ学園へ。死刑級犯罪者。
格闘:C 魔法 A 総合戦闘能力B そのほか色々は優秀(プログラム等) ランクA
「知るか。たまには自分で考えるんだな」「・・・のーこめんと」「?・・・お前、俺男だぞ?」

フェイ:生意気な16歳少女。緑髪ショート。
一番年下なのに他の仲間にタメ口である、がなぜかそれが許せてしまう憎めない少女。
学園内でスリをしてチームの飲み代を作ってくれる。身長が低く胸が無く気にしている。
スリや密偵に長け、素早さだけならチームNo1。噂好きで情報屋のマネなんかもしている。
ナイフを投げたりして戦う。補助無しで魔法を唱えられないが、精霊石のついたナイフが杖代わり。
スラムでスリをしていて捕まる。長かったので結構な犯罪者。その後警察でスカウトされた。
格闘:D 魔法:C 総合戦闘能力:D その他色々の密偵や情報等はA  ランクD
「へっへーん、どう?この財布、結構重いわよ♪」「好きになっちゃったもんはしょうがないでしょ!」

195題名募集中:2003/09/09(火) 16:50
本名不明。ベアーと名乗ってる:野生感あふれる20歳・・・には少し見えない青年。黒の短い逆毛。
いつでも声がでかく豪快なお兄さん。だが自分は頭悪いのを自覚しているので何かを決める時は
あまり口を出さないという控えめな面も持つ。趣味はバイクに釣り、スポーツに料理etc・・・と多趣味。
魔力を拳に集中し、そのまま相手を殴るという珍しい戦い方をする。その勢で魔法は一切使えない。
町で夜レイプされてる子を助け、加害者の少年を全員殺してしまい捕まるが、学園へ。死刑級犯罪者。
格闘:A 魔法:F 総合戦闘能力:A その他色々は全部へぼい(特に勉強系) ランクB
「やっぱお前がいないと盛り上がらんわい!」「喧嘩を売ってるとみなす!表に出ろこのやらぁー!」

マリアテーゼ(マリア):金髪でお嬢様風の髪型。19歳の女の子。詳しくは書けないんで本編にて。
なんでもできる天才少女。転校してきた。クーリッシュの新リーダー。
四人のことを屑と思っていてとても嫌み。だけど本当はいい子。
西洋剣を武器に使う。全魔法を補助無しで唱えられる。
格闘:A 魔法:A 総合戦闘能力:A その他色々全部A  ランクS
「本当に・・・私なんかでいいの?」「−−−−−マリアテーゼって言います。・・・よろしくね。」

ミッシェル:青髪。なんかポケモンのコジローみたいな髪型だと思っといてほすぃ。
元クーリッシュのリーダーだったがいじめで追い出された。
いやみ。自分が優位に立つと調子に乗り出す。今はエリートチームの下っ端。


大体の流れはまたすぐにUPしますんでそちらの方の採点もどうかお願いいたします。

1961/2:2003/09/10(水) 01:31
 全体としてはなかなか面白そうな設定。蓬莱学園ファンタジー版かな?

○設定部で詰めておいた方が良さそうな所。
・>銃も保持者の持つ〜〜
 んー、世界設定は現代+モンスター+魔法?
 力関係としては、
 保持者>銃所持者・モンスター>一般人
 なんだろうけど、銃とモンスターの力関係はどうなっているのだろう?
 また、保持者が対モンスターや対非保持者として銃を持つことはないのか?
 銃と魔法を組み合わせた複合戦闘術みたいなものは存在しないのか?
 
・学園内部と外部との関係
 ストーリー自体は学園内部だけだからあまり関わってこないけど、作者としては
これも一応考えておいた方が良さげ。
1.まず、魔法学校は社会からどのように見られているのか?
 エリート養成校として嘱望か、普通の職業学校みたいなもんか
 泣いて止められるようなところなのか、変人の巣窟だと思われているのか?
2.学校と社会との物理的距離
 近くの街からどれくらい離れている? 
 街のちょっと外れにあるだけでその気になればいつでもアクセスできるのか?
 それとも離れ小島でまったく外部と接触がないのか?
 3000人規模の学校なら、それを維持するための一般人も結構必要だと思うけど、
 彼らの生活は?
3.入学システム:志願制か徴集か?
 例えば全国に調査機関みたいなのが張り巡らされていて、才能があるとみるや自動的に
徴集される仕組みなのか?
 あるいは、志願者が応募し、テストを経て入学するようなシステムなのか?

1972/2:2003/09/10(水) 01:32
4.卒業後の進路
 魔法の系統をみる限り、卒業後はほとんどが軍事関係、一部医療関係、ドロップアウト
してヤクザの用心棒、といったところかな?
 生徒達の間では、どのような進路が想定されているか?
 また、どの進路がランクが高く、どの進路は普通、どの進路は落ちこぼれ、
と考えられているのか?

・教師の位置
 単に講義(授業)をするだけで、ホーム制とは無関係なのか?
 ホーム毎に担当教官がついて、指導していくのか?
 一番、考えられるのはこの2パターンなんだけど、成績が生活に直結するこの学園の
システムだと、優秀な教師は人気が高く、教師が生徒を選ぶ師弟制度に近いものも想定
できるかもしれない。

・チームが男女混合
 生活指導上、問題あり(ホームのことね)。
 別に男女混合でも構わないが、理屈づけはしっかりしておくこと。
(補足:
 つーか、やりたい盛りの男女を同じ屋根の下に置くのは、結構無茶な設定。
性欲なしにするのは不自然だし、ありにするとそっちの描写も必要になって話がずれる。
この路線でいくなら「共同生活をするが、セックスはタブー」にできるような設定が必要
なわけね。この辺、私生活で必ず触れるところだから、しっかり設定しておく必要あり。
)

○キャラ設定
 筋がうpされるまで保留。
 ただ、ぱっと見た感じではバランス良さそう。

 全体として、設定は○。きちんと詰めればイケるものになるかと思う。
 がんがれ〜。

198イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/10(水) 23:42
設定はありがちかな。とはいえ、それは仕方が無いことでもある。
話の流れに期待してます。

199イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/11(木) 00:34
セックスに関しては、三十まで童貞なら大魔術師になれる。
でよろしか。

200題名募集中:2003/09/12(金) 00:11
皆様感想ありがとうございます。特に196様、くだらない妄想設定を
読み込んでいただきありがとうございます。
書き足りなかった所、考えてもいなかった所、新しい案を貰えたこと、
感無量です。つたない文章なのでうまく伝えられませんが本当に感謝しております。

銃について。
一般人はモンスターを倒す時銃を使いますが、やはり効くモンスターときかないモンスターがいるという設定でした。
その他のことに関しては考えていませんでした。本文を書く前に良く考えてみようと思います。
1.まず、魔法学校は社会からどのように見られているのか?
エリート養成校ということになってます。任務を与えられた生徒が外に仕事をしにいくこともある、と本文に書くつもりでした。
基本的には非常に頼りにされてますが、町や国によって嫌われていたりもします。
2.学校と社会との物理的距離
これは町から少し離れた所という設定でした。高い階まで行けば町が見えます。
一般人は住み込みで働いていたり、町から通勤したりです。
夜もやってる店の店員は住み込みってことになるです。
3入学システム
国中を探して年に5000人程度しか見つかりません。とても貴重という設定です。
魔力を持ってるとみなされるとスカウトされますし、例え犯罪者であろうが才能があれば釈放されます。
4卒業後の進路
196様のお考えの通りです。だけどみんな軍事関係者なることが前提で入ってきますのでやはりほとんどが軍隊かと。
治癒魔法しかできない、といった専門馬鹿がその他の関係に行くことになります。
・教師の位置
単に講義(授業)をするだけで、ホーム制とは無関係という設定でした。
じゃないと一部の生意気なキャラが教師と色々ありそうですし、教師を目立たせると漫画のナルトみたいになりそうなんで(^^;
ただ師弟制度ってのはとても面白そうなんで困ってしまいます(笑
やってるチームもあるってことにするか、それともシルヴィあたりに剣の師匠がいるということにするか・・・。
・チームが男女混合
言われてみれば(;・∀・) こっちの方がよっぽどレイプ等多そうですね・・・
全チーム腹ボテだらけになってしまうw
危なかったです。そこまで深く考えてなかったので。

201題名募集中:2003/09/12(金) 00:13
本文です。〈〉で閉じてある所はこんな感じです、というところでまだ文は考えてません。
序章だけ大体できてますが、マリアのセリフ等はまだ全然仮のものです。もっと生意気なセリフにしたいと思ってます。

(序章)
酒場の中に入る。下品な音楽が大音量で流れる中、それぞれのテーブルに3人から五人程度の客が騒いでいる。
客は全部で200といったところか。
ここはビアガーデンと呼ばれる形式の酒場なのだそうだ。こんな店の中に入ったのは初めてだ。
・・・なるほど、周りを見ると必要以上に頭が悪そうなのがそろっている。 
いらいらしているのか、周りいる人間にやつあたりしたくなる。こいつらは何を考えているのだろう?
なぜ食事をすませたら自主練を開始しない?
仮に訓練ができる体調でないのであれば、ホームに帰って早く寝るだけでも明日の訓練の成果は大分変わるだろうに。
こいつらに向上心は無いのか?そもそもなぜ学園にこんなものを作る?
っと、こんな屑共のことを考えるのはどうでもいい。私はこんなのじゃ相手にならないくらいの
屑を探しているのだから−−−−−−いた。
私は少し近づく。話声が聞こえるようになる。ゴリラが猿を叩いている。
何を話しているのかが分かる程度の距離だ。私の耳が正確に連中の話の内容を捕らえる。・・・くだらない。
猿が民間人に暴力を振るったことを自慢しているらしい。かんべんしてくれ。
さっき読んだ資料を思い出し、改めて自分の境遇を再確認する。
つまり、私はだまされた訳だ。

202題名募集中:2003/09/12(金) 00:14
この国にある5つの学園のうちの一つ、シュライク。
ここの校長が転校してくれと頼んできた時校長は言った。
最高のSランクを出す。なかなか優秀なチームにつけよう。君はそこのリーダーになるのだ。
私はシュライクは校内がきれいだということで有名だったのでその申し出を受けた。
私の生活は大して変わらないだろうから。
とんとん拍子で話は進み、私は転校してきて、チームメイトの資料を貰った。
チーム名はクリミナルフーリッシュ。なんて卑屈な名前なんだろう、と呆れた。戦績を見ればなかなかのチーム。
資料をめくり、個人の資料に目を通す。
二人、元死刑囚と書かれていた。

酒を飲んでる面々を見る。
クククという不気味な笑い声だけで三人の会話に参加している銀の長髪はシルヴィーナ。
女に見えるが正真正銘の男だそうだ。死刑囚。
肩を叩かれ「痛い!痛い!」と連発しているのはフェイ。
緑髪のショートで華奢な男の子にも見える。
彼女は300件以上の窃盗犯らしい。最低でも300!
私的にはこいつ死刑でも構わないと思う。
大声で笑いフェイの肩を叩いている下品な男、黒の短い逆毛はベアー。
偽名らしい。この上無く似合っている。
こいつも死刑囚。頭が痛くなってきた。
ニューハーフもどきと、うるさい猿とゴリラ。全員犯罪者という種の人間の
屑だ。どうも私はこいつらのお守りをまかされたらしい。
確かにこいつらの成績は平均水準から見れば中々だ。
誰かこいつらを新しく統率するリーダーが欲しいがこの学園にそんな人材はいない。
そこで私に白羽の矢が立った訳か。
当然だ。能力うんぬん以前に普通の精神を持つ者なら誰もこいつらのチームに入りたくないだろう。
でも---目が合ってしまった。恥ずかしくて目をそらしてしまった自分を頭の中の冷静な部分が恥じる。
まで会話に参加していて、偶然私と目が合った赤毛の少年-名をルークという。
彼だけは前科が無かった。私と同じ目付役といったところか。
・・・もしかしたら友達になれるかもしれない。
そんなくだらないことを考えている自分を私はまた恥じる。
もう一度五人の方を見る。ルークはずっと私から目を離さずにいた。
また目が合ってしまう。残りの四人もこちらの方をむいた。
・・・しかたが無い。そのつもりで来たんだ。私は五人のすぐ前まで行った。
ゴリラの視線がある意味恐い。
。「本当なら貴方達のような人種の顔も見たくないんだけどね」私はゆっくり、しかしはっきりと話始めた。
(序章終)

203題名募集中:2003/09/12(金) 00:15
一章
その晩も彼らはごきげんだった。ベアーが「ぶぁーっはっはっは!」と凄い声でで笑いながら机をばんばん叩いている。
話題はフェイが広い学園で迷った宅配のおじさんに「そこのぼっちゃん」と道を聞かれたという話である。
「で?その男、ただで帰した訳じゃないんだろ?」
いつも無口なシルヴィーナが微笑して言った。彼にとってもこの話題は面白いらしい。
「当ったり前でしょ!あそこを蹴り上げてやったわよ!」「うわーっはっはっは!」
吹き出したベアーがフェイの肩をばしばしはたく。フェイがいたいいたい」と言ってるのもお構い無しだ。
「そのおっちゃんも悲惨だなぁ」と、これはルーク。苦笑しているが心底楽しそうだ。
「ククク、痛み分けってとこだな。どっちも悲惨だ」
シルヴィーナはそこまで言ってよそ見しているルークに「どうした?」という視線を送る。
彼の目は口以上にものを言う。「笑いすぎよ!くぬ、くぬ・・・」「ぐええ、ギブ、ギブ〜」
「いや、あそこの美人さんもう五分も俺達の方見つめてるからさ。気付いてるだろ?」
視線を戻さずに言うルークにプロレスをしていた二人まで女の方を見て、
「ああ」「誰?あれ、知ってる人?」「わしは知らんのぉ」三人は口々に答えた。
女は五分間どこの席にもつかず少し離れた所に立っていた。四人に視線を向けられた女がゆっくりと歩いてくる。
目付きが少し恐い。「お、なんか用があるみたいだぞ俺にかな?」「ワシに交際を申し込みに来たのかもしれんぞ」
「そーゆー用件だったら俺へ向けての方が十倍は確立高い!」「ふん、これだから男って奴は!」
何かを期待するルークとベアー、拗ねてるフェイ、その間も興味なさそうにフライドチキンをぱくつくシルヴィーナ。
四人のすぐ前に女が立つ。女は嫌そうな顔をしながら話始めた。
「本当なら貴方達のような人種の顔も見たくないんだけどね・・・」「じゃあ見なきゃいいだろ」
残りの三人が女が何を言ったのかを理解する前にシルヴィーナがすかさずつっこんだ。
シルヴィーナと女の間に少し険悪なムードが流れる。「それが残念ながらこれから毎日顔を合わせることになってしまったの。
私の名はマリアテーゼ、ゲッフェンから本日転校してきた19歳。
不本意ですが今日からこの屑チームのリーダーを勤めることになりました。以後私の指揮で行動をとって貰うわ。」

204題名募集中:2003/09/12(金) 00:16
シルヴィーナは「アホか」といった表情をし、彼女に背を向け食卓に向き直る。無視することにしたようだ。
一人でリーダーごっこしてれば?と言わんばかりだ。
ようやく女-マリアテーゼが何を言っているのかに気付き、復活したフェイが言う。
「ちょ・・・なによ突然!うちのリーダーはルークだし、そんな勝手は認めないわよ!
そもそも指揮って何よ!?私達の行動に一々干渉する気なの!?」
ベアーは怒っているようだ。体を振るわせている。元より沸点の低いこの男が「今日から私がリーダー、
私の言うことを聞きなさい」などとストレートに言われたら怒るのはのは当然だろう。何より彼女は「屑」という単語を使った。
「あなたに認めて貰う必要は無いわ。私がリーダーになったのはもう決定事項。書類はそのうち配られるわ。
明日からは夕食後は夜間特訓をするわよ。私が入ったチームなんだから少しでも強くしたいの。
ただでさえ屑ばかりで周りから白い目で見られるチームなのよ?せめて成績だけでも優秀になって貰わないと。」
学園におけるチームリーダーとはただの代表者であり、他のチームメイトに指示をする権限など無い。
(もちろんリーダーがなんでも決める方針のチームもあるが)だからこんな話は聞き流してよかったのだ。
しかしフェイが文句を言う前にいきなりベアーが切れた。鋭いキックをマリアテーゼにしかけるが
マリアテーゼはスウェーバックで綺麗に避ける。「喧嘩売ってるんだな!表に出ろこのやらぁー!」
「どの道用件が済んだから出るつもりよ」
「面白れえ奴だな、新リーダーさん。このままちょっと実践訓練所まで付き合ってもらおうかと頼んでるんだが」
「それは格の違いを教えて欲しいということかしら」「・・・!」ベアーはどかどかと店を出て行った。
マリアテーゼも続こうとするがルークが「ちょっといいかい?」と呼び止める。
「俺は君・・・マリアがリーダーでいいと思うよ。代表者は知的な方がいいしな。
けどどうして自分がこれから入るチームメイトのことを屑だなんて?俺達初対面だったよな?」
以外なことにマリアテーゼは頭を下げた。「ごめんなさい、あなたに罪状はありませんでしたよね。撤回します」
つまり彼女は前科のある三人のことを罵った訳である。
当然彼女の話を聞いて予想はついていたがここまではっきりと言われるとは。ベアーが怒ったのも
彼女の「屑」という単語が何を指しているのかちゃんと理解をしていたらなのだろう。
自分の悪口は平気だが仲間のことを悪く言われると許せない。そうゆう奴なのだ、彼は。

205題名募集中:2003/09/12(金) 00:17
「犯罪者が生意気にも一人前に楽しんでいるを見て気がたってしまっただけなの。どうか許して欲しいわ。」
そう言うと彼女は店から出て行った。
「気を遣ったのかな?馬鹿のくせに」寂しげにフェイが言う。
フェイは昔スリをして暮らしていた。5歳の時に捨てられてからずっとだ。
生きるために必死で罪を犯していたフェイのことをこのチームの仲間は誰も本当の意味の罪人だとは思っていない。
つまりベアーはフェイに対して「屑」という単語が向けられていたことについて怒ったのだ。
ベアー本人やシルヴィーナは自分の「罪」をまったく気にしていないから。そのことにフェイは気付いていた。
悲しそうに見えるが実はフェイはうれしいんだ、とルークは思った。本気で怒ってくれたベアーの気持ちがうれしいんだろう。
「私達も行こう!私会計済ませてくるから!」フェイ元気良く飛び出して行った。
「あいよ。シルヴィもそれ早く食っちゃってきてくれ」
ルークがシルヴィーナに言った。ベアーの分の酒まで飲み始め、いつの間にか自分の分だけ頼んだデザートをつついてる。
「ひゃなふぉった・・・ん、怪我はホームで治療してやるよ」
チームの怪我の治療はシルヴィーナが担当している。
ルークは魔力はなかなか高いが治癒魔法と水系、闇系の魔法が苦手でほとんど使えないからだ。彼は自分の怪我しか治せない。
その点シルヴィーナは魔術教官が裸足で逃げ出すくらいの腕で、炎系と地系意外の魔法は全て使える。
治癒に至ってはいくつか応用を利かせたオリジナルのバリエーションまであり、お手のものだ。
「そーゆー訳にはいかんよ。ベアーなんかはいいさ。俺が心配してるのはあいつじゃない。
あの女、あのままじゃ殺されちまうぞ。俺はこれ以上このチームの評判下げたかないんでね」
冗談めかして言うルークにシルヴィーナは「しょうがねえな」といった目をして立ち上がる・・・デザートを持ったまま。
フェイが会計を済ませて来た。もう大丈夫そうだ。
「んじゃ早く行こう」「ん」「あ!それおしいそう!少し、そのはじっこのやつだけでも〜」「ひゃなふぉった」

206題名募集中:2003/09/12(金) 00:19
〈ここで長々と世界、国、魔力、学園(ランク)の説明を入れるつもりです〉
〈マリアのセリフはもっと挑発的に変えたいと思っております〉
先頭を歩いているのはベアー。後ろから見ても怒っているのがはっきりと分かる歩き方だ。
周りを歩いている人が道を譲る。凄い顔をしているらしい。
彼から10mぐらい後をマリアテーゼが歩き、さらにそこから10m離れた所を追いついた三人が歩く。
さっきまでいたビアガーデン「Too Drinking」と実践訓練所は同じ階にあるものの正反対の位置にあるので十分程度かかる。
ようやく学園中央の噴水にまで着いた。噴水「ウォーターフォール」学園の五大デートスポットの一つだ。
五、六組のアベックがいちゃついている。
噴水から見上げる形で眺める巨大スクリーンで有線放送のシュライクTVがやっているようだ。
。「今日のチームはグレートリーの皆さんです!」聞いたことも無いような
弱小チームが放送部のキャスターにインタビューされ基礎の大事さを語っている。
上を見ながら歩いていたフェイがスクリーンを指刺しルークに話始める。
「今年はあんな感じのチームとばかり当たればいいのにね、TM。」
「うーん、そうだな。なんとか上位八組ぐらいまでは残りたいもんな」
「何言ってるのよ!今年こそ優勝に決まってるでしょ!」「お前なあ、一番役に立たなかったくせに」
二人が話しているのは年に二回あるTMの話だ。
二週間に渡る全チーム強制出場のトーナメントで、ポイント整の試合で勝負する。
この学校の文化祭みたいなものですごく盛り上がり、ランク付けの参考にもされるので誰もが真剣にやるのだ。
有名チームは意地を見せ、普段目立たないチームもここぞとばかりにハッスルする。
保持者系軍隊関係者はめぼしい奴をチェックしに来るし、ベスト16からは
そのレベルの高い闘いがオリンピックのように国中に放送される。
尚副賞として賞金も出る。――――閑話休題。
「上位を狙うんだったらもう一人のメンバーが不可欠だよな。マリアが来たのはラッキーかもしれない。」
シルヴィーナ方を見ると「同意」という顔をしている。多分同意しているのは前半の部分だけだろう、と経験から思う。
去年クーリッシュは四人なので大将戦までに試合を終わらせなければならないという大きなハンデを背負って試合に望んだ。
四日目の八回戦までは何とかなったのだが2:2になり無条件で敗退した。
勝ったチームが優勝したのだからこれほどくやしいことは無い。閉会式には行かず四人は酒場で黙って飲んでいた。
ルークとフェイとベアーは泣いていた。

207題名募集中:2003/09/12(金) 00:20
「い・や・よ!あんな傲慢って言葉がそのまんま人間になったような奴の力を借りたくないわ!
あいつみたいな自分の考えが通るのが当たり前だと思ってるお嬢様タイプって大っきらい!
絶対あいつパンが無ければ、とかって言うタイプよ!」フェイが持っている妙な偏見に苦笑しながら少し驚く。
ルークもマリアテーゼのことをどこかの将軍に育てられたお嬢様だろうと思っていた。
将軍という単語が出てきたのは夜間特訓がどうとか言ってたからだ。
何か少しでも優秀にならなければいけない理由でもあるのではないか、と。
そんなことを考えてるうちに実践訓練所に着いた。こんな時間だから空いていた。実践訓練所は少しテニスコートに似ている。
周りからも闘ってる者達が見えるようなフェンスで覆われているからだ。
対魔フィールドが貼られていていくらこの中で魔法を連発しても外には漏れないようになっている。
ベアーはいつも通り試合前の準備体操をし、マリアテーゼもストレッチを始めた。
ここから見えるスクリーンを見ると八時と見えた。いつもならホームに向かっている頃か。
今日は何のゲームをするか、なんて話をしていたかもしれない。キャスターが一人で話し始めた。
チームアピール番組「My Best Team」は終わったらしい。「CMの後は噂の転校生速報です」思わず顔を見合わせる三人。
この学園は転校生が大体週に一人のペースでくる。だが転校生についてこの放送が放送するのは、三人の知る限りでは初めてだった。
中の二人には聞こえていない。「噂の、ということは噂になる何かがあったということだろう。何だと思う?」
ルークが二人にクイズをするかのような口調で訪ねる。「私の予想通りどっかのお嬢様だったりして。それか校長の娘だったりとか?」
無難な推理をするフェイに続きシルヴィーナがぼそりとつぶやく。「案外うちのリーダーになったってんで有名だったりしてな」
(ありえるー!!)シルヴィーナの不吉な呟きに二人は脱力した。
気を取り直すようにフェイが新しい話題を出す。「ところで喉がかわいたね」「んー言われてみれば。途中で出てきちゃったもんな」
「俺もだ。・・・コインで決めるか」
「いや、いい。俺が行く。始まったらあっという間に決着がつくと思うし、マリアが怪我した時二人がいないとまずいだろ」
そこまで言い切るのには訳がある。ほとんどの魔力を身体能力強化にあて
残りの拳に魔力を集中させ敵を殴り飛ばすという彼の戦法は大変珍しいがそのパンチの威力はちょっとした爆弾ぐらいある。
連発されたらドラゴンだって倒されるだろう。

208題名募集中:2003/09/12(金) 00:21
「ベアーも手加減くらいすると思うけど・・・もしとどめさそうとしたりしたら止めてくれよ」少し冗談まじりに言うルークに
大声で「オッケー!」と返すフェイと目で了と返すシルヴィーナに背を向け、
近くの自販まで行きビールを買う。ベアーが喧嘩を申し込んでくれて助かったかもしれない、とルークは思っていた。
明らかに非は向こうにある。ベアーにこっぴどく負け、少しはやんわりとした話し方を覚えてくれ、
自分達に対する偏見を無くしてくれたら和解できるかもしれない、そう考えたのである。
どーん!という凄い音が聞こえ終わったか、と思いさっきの場所まで走った。
ホームに帰ったらビールでも飲みながら改めて顔合わせをしようなんて考えながら。
三人の予想通りあっさりとに決着はついていた。三人の予想に反してベアーは負けていた。
ルークもフェイも、シルヴィーナでさえ驚愕の表情を浮かべたまま動けなかった。

ある意味彼女がベアーを救ったとも言えようか、実践訓練所から出てきたマリアテーゼの「彼のことはほっといていいのかしら」
という台詞で我に返ったシルヴィーナがあわててベアーの元にかけより、少し遅れてフェイも続く。
ベアーは体中に火傷を負った上腹部と喉からの出血が激しく右手は肘からちぎれている。ルークは彼女を前にして動こうとはしなかった。
「あんた、なんなんだ?」こんな短時間でベアーを倒せる人間はもはや人間では無い。動けなかった。
「さっきも言ったはずよ。貴方達の新リーダー。マリアテーゼっていうの。よろしくね」
そして・・・ルークは彼女の胸につけてあるプレートを見てしまった。
「え、Sランク・・・!」Sランクを所有しているということは学園最強、いや、地上最強を意味すると言っても過言では無い。
Sになるには全ての教科がAでなければいけない。そのAは教官免許取得又は免許皆伝、
つまりその教科について教官級に強くなければいけないということだ。すべてがそれぞれの教科の教官級・・・。
「私は一足先にホームに帰るわ。道は知っているから」
マリアテーゼが歩いていく。とうとう最後まで突っ立っていることしかできない。フェイが起き泣きながらベアーに抱き着く。
魔力を使い過ぎたシルヴィーナが倒れる。スクリーンの中の女が世紀の天才がシュライクに来たと騒いでいる。

ルークの手から零れたビール缶が寂しそうな音を立てて転がった。
(第一章終)

209題名募集中:2003/09/12(金) 00:42
二章 
〈ルークに好感を持って欲しくて彼が手を持て余しているゴリラを大人しくさせたんだけど失敗したみたいだ、という独白。
いつも三人の誰かといるルークと素直に話しができない、というマリアテーゼ。
Sランクの女ということで他の生徒はなるべくかかわろうとはしない。〉

〈主にのんびりした学校生活の話、4人はマリアに二、三嫌がらせをするが効果無し。ビアホールでの会議。
ベ「こうなったらワシがいきなりキスをかましてやるってのはどうだ!?」
ル「こりてないなお前(苦笑)そんなあからさまなことしたら今度こそ殺されるぞ」
フ「でもショックは受けるはずよ。だったら三人があいつの前でいきなり○○を出してやるってのはどう?こう、ぽろっと」
ル「するか馬鹿!潰されたらどうする気だ!なぁ、シルヴィ。何かいい案ないか?」
シ「知るか。たまには自分で考えるんだな」ベ「お前が前回やってた呪いをかけてやるってのはどうだ?
シ「もうした」『え』シ「昨日の昼食時、一つ上の階からこそっと。どうなったと思う?
あの女どこの誰から来たのかも分からない呪術をあっさり中和しやがった」『・・・』
ベ「こうなったら、ワシの魅力であの女をメロメロにしてやるわい!」ル「整形しても無理だ!却下!」
ベ「だったら全員の○○毛をあいつにぶつけてやるってのは!?」ル「一人でやってろ!却下!」
フ「私が好きです!って言ってあの女がとびついてきた所を「ばっかじゃないの!」って言ってやるってのは?」
ル「なんで飛びついてくるんだよ!レズか!しかも小学生のすることだ!却下!」
シ「それいいかもな」『へ?』フ「ホントに私に告白しろっての!?」
シ「そこじゃないわ!・・・今までの作戦はちゃち過ぎた。
これからは良く当たるマシンガンより避けやすい爆弾を使うぞ。ルークが誘惑しろ」ル「無理だろ!」
シ「ダメで元々。やらないよりはマシさ」ル「(つД`)」

210題名募集中:2003/09/12(金) 00:43
あまり気は進まないけど結局することになったルーク。「いいか、もし成功したらタップを二回鳴らせ」
三人で考えたむちゃくちゃ臭い台詞を言うルーク。マリアの沈黙が痛い。(俺何やってんだろう)と泣きたくなった時、
マ「本当に・・・私なんかでいいの?」ル「へ?」いきなりしおらしくなって泣き出すマリア。
ずっと一人ぼっちでさびしかったといって抱きつかれるルーク。
マリアが抱き着く。コン。ルークがよろめく。コン。必死に出て来た三人にルークは「よせよせ」といったジェスチャーをするが
これでもかというくらいにからかう三人。
さあ、怒るか?と武器を出しかまえる三人だがマリアはぽろぽろと泣いて去ってしまう。
その日からマリアはホームに帰ってこなかった。卑劣過ぎたかな、と反省する四人。
そしてルークは自分が素のマリアに魅了されてしまったことに気付く。
(二章完)
(三章)
TM開始。三日目、元クーリッシュのリーダーミッシェルとばったり会ってどっちが多く勝ち進むか退学を賭けることになる。
それは現エリートチームの下っ端であるミッシェルの方がはるかに有利な賭けだった。

一週間勝ち続けたが途中の試合に何回か苦戦する試合もあった。マリアに謝って一緒に闘ってもらおうと思うルーク。
それはただ勝ち進みたいからだけでなくマリアと勝利を喜びあいたいって気持ちの方が強い。ルークは決心する。
いつも一人でさびしかったと泣いていたマリアにチームで勝ち進むことは個人で勝ち進むことの何倍も楽しいってことを教えよう。
マリアの本音を聞いて好きになってしまった、今度は本気で告白しよう。例え調子が良すぎると怒られようとも。

211題名募集中:2003/09/12(金) 00:44
その日の試合が終わった後、三人と手分けして一日中マリアを探すルーク。マリアは六階のベランダから町の夜景を見ていた。
マリアは元気を無くしていて、告白した時のしおらしかったマリアのままだった。本気で謝り許してもらう。
マリアは自分の境遇を語る。彼女は軍事関係者の男に作られた戦闘用ホムンクルスだという。
(人工生命体を作るのは違法)戦闘に関するあらゆる知識を自我を持つ前から植え付けられた本物の戦闘マシーン。
父は捕まり彼女は廃棄される寸前だったが便利だという理由でモンスター駆除に使われるようになった。
幼い彼女を軍はガードロボットのように扱い、平気で死にかねない任務を休み無く与えた。
(ちなみにこの頃のマリアの強さはルーク、シルヴィ、ベアー級)
マリアは学園に入り出世することによって自分の身を守ることを決意。更なる強さを見につけ今にいたる。
ちなみに父はキメラ等重罪になるようなことをしていたが
、軍の関係者ということで監視されてるもののゆうゆうと暮らしているという話だった。
ル(それで犯罪人のくせにゆうゆうとしてるあいつらを見てあーなった訳か)今度はルークが三人のチームメイトのことを話す。
実の子でも無い息子を庇って死んだ両親の仇のマフィアを必死に魔導を研究し報復をはたした少年。
生きるために罪を重ね、生きることが罪と蔑まされてきた少女。見ず知らずの誰かの人生のため自分の人生を捨てた少年。
どれも世間知らずの彼女には想像もつかない話しだった。
自分にそれができるか、それははたして罪なのか。考え、チームのみんなに悪いことをしたと反省するマリア
。ル「なに、ひどいことをしたのはお互い様さ」階段を使い二人で降りていくと三人と鉢合わせ。和解。

素直になったマリアを大将に勝ち進む。決勝戦前夜、ビアホールにて。
マ「私、こうして誰かと騒ぐなんてとても無駄なことだと思っていた。無駄なことなんて何一つないのにね」
ベ「そう言って貰えますか姐御!ささ、もう一杯。」マ「あら、ありがとう」(いつの間にか姐御になったらしい)
マ「私、今までに無く本気で勝ちたいって思ってる。闘うことがこんなに楽しいって思えたのは初めてなの。
強いって言われてこんなに嬉しいのも初めて。誰かと一緒にいることでこんなに幸せな気分になれたのも・・・」
ル「・・・新リーダーに改めて!」『かんぱーい』
(三章完)

212題名募集中:2003/09/12(金) 00:45
(4章)
決勝戦はミッシェルのいるエリートチーム。大将戦に下っ端を入れる作戦できた。2:2で大将戦に。
だがミッシェルの入れた毒によりマリアは不調。ミッシェルが入れたという証拠も無いので審判に言えない。
それでもマリアは勝ち優勝。
ヘロヘロなのに泣いて飛び上がるフェイに泣いて吠えるベアー。
シルヴィーナもとても満足そう、一番勝ちにこだわる男なんだから当然か
。感極まったルークはリングにのぼりマリアに抱きつく。二人の超有名人の抱擁に会場中『おおー!』
恥ずかしがったマリアにルークは場外まで突き飛ばされてしまう。会場中笑いの嵐。マリアはあんな父に少しだけ感謝する。

ビアガーデンにて。あれから一週間。マリア効果で周りのクーリッシュを見る目も変わってとても良い感じ。
でもマリアは転校してしまった。あの夜の後、マリアは校長に泣きながら転校申請をしたらしい。
みんな少しさびしそう。シ「そういえばな」『ん?』シ「今日テレビで早くもあの天才が帰ってくる!なんて言ってたぞ」
フ「!。それってもしかして・・・」ル「!。で、でも、彼女だって決まった訳じゃないし・・・」
(ルークの後ろから)?「はじめまして」
口の端だけで笑い杯を少しだけかかげて挨拶をするシルヴィ、泣いて飛びはねるフェイ、叫びテーブルを壊すベア−、
そしてルークは・・・。?「本日よりクーリッシュのリーダーなりました・・・」
大きな荷物を背負った少女のポニテールの金髪が揺れる。
マ「マリアテーゼっていいます・・・よろしくね」椅子からルークが飛び出す。今度は突き飛ばされなかった。
(完)

213題名募集中:2003/09/12(金) 00:57
・・・三つごめんなさい(つД`)
一つは名前の欄にレス番を付け忘れたこと。
二つ目は短編程度の短さだったけど途中まで書いたスレに書くべきだったということ。
三つ目は折角↑で三人もの人がレスをつけてくださったのに段々メッキがはがれてきてしまったということ。
銅のメッキの中から木が出てきましたよw 設定よりも文章をなんとかしなければなりませんネ。

今気付いたんでちょっとした解説を入れさせてください。
エンディングで再び転校してくるまでマリアは髪をしばってませんでした。
後で登場時に髪型をはっきりと明記しておきますです。
後ラストのビアガーデンの上に(終章)を入れ忘れていました。読みにくくしてしまって申し訳ないです。

2141/2:2003/09/16(火) 01:47
ちょっとネットに繋げなかったんで、遅れてしまいますた。
ストーリーの感想いきます。

○文章
 ……きつい。とりあえず今回は突っ込まないけど、1点だけ。
−−−−− ⇒ ――
・・・ ⇒ ……
ね。

○ストーリー
 全体的な流れとしては、「仲違いしていた両者が和解して敵を倒す」の形かな。
その形でいくのなら……

・まず1章と2章の間が抜けている。マリアはリーダーとして着任したわけだ。
とするとまず、だらけきった他のメンバーに対し、働きかけをしていくのが普通。
で、それに対し不満が溜まって2章、という流れになるんだろうけど、そこが抜けている。
・2章と3章の間、ここもおかしいやね。そもそもマリアが全チーム参加必須の大会に
参加しない理由がわからない。例えてみれば、全員参加の遠足に班員だけ参加して班長が
サボるようなもん。義務感がまったくないという設定なら別だけど、そうでなければ、
理由となるエピソードを張る必要あり。

・3章、和解のシーン。
 この話、初期の段階では、両者とも相手を疎ましく思い嫌っているという設定ね。
で、喧嘩状態にある両者が最終的には和解する、と。
 で、確かにマリアの過去が明かされることで、ルークたち→マリアのわだかまりは
解けている。ただ、逆(マリア→ルークたち)は示されてないね? マリアはいつ、
ルークたちのことを見直したの?
 そこを無視すると、「マリアはルークたちを嫌っているが、ルークだけは好きなので、
仲間に加わる」ということにもなってしまうよ。

2152/2:2003/09/16(火) 01:57
・3章、和解のシーン。
 この話、初期の段階では、両者とも相手を疎ましく思い嫌っているという設定ね。
で、喧嘩状態にある両者が最終的には和解する、と。
 で、確かにマリアの過去が明かされることで、ルークたち→マリアのわだかまりは
解けている。ただ、逆(マリア→ルークたち)は示されてないね? マリアはいつ、
ルークたちのことを見直したの?
 そこを無視すると、「マリアはルークたちを嫌っているが、ルークだけは好きなので、
仲間に加わる」ということにもなってしまうよ。


・4章。決勝戦なんだけど、これ、これまでの話で敵チームとの絡みがほとんどないんで、
このままだと蛇足になる。「マリアが戦いに参加することを決意して、みんなで戦いの
舞台に上がる」までで切ってしまって、すぐ後日談に入っても構わないくらい。もし、
この決勝戦をクライマックスにしたいなら、もう少し敵チームと主人公たちとの絡みを
入れる必要あり。

 穴はまだあるんだけど、とりあえず、ここまで。

p・s
 感謝されたんで、調子に乗って再び長文。ウザかったらスマソねー。
 全体として、設定・キャラはまあまあにしろ、ストーリーと文章力が
 要努力(・∀・)かと。
 それと、この手の話は魔法を使った戦いがウリの一つになるかと
 思うんだけど、そっちの方の準備はできてるの?

216イラストで騙す予定の名無しさん:2003/09/16(火) 02:23
 あー、豪快にコピペミスしてしまった。
 315の上8行は脳内アボーンよろすこ(つд`)

217〜乞食伝〜 1/6:2003/10/07(火) 23:16
自由……
自分の思うままに振る舞い我侭を通すこと
富豪、権力者、エリートにだけ許された特権
そう思っている人がほとんどでしょう
しかし、枷を嵌めているのは他でもない己自身なのです

第一話 "15爆発"


「やっぱ、東京だよなぁ」
とある少年が呟きました。
少年の名は宮裂勉(ミヤザキ ツトム)
身長:150cm
体重:0.12t
職業:ホームレス
非の打ち所の無い見事なステェタスです。
「勉強だるいし働くのやだし何より人間関係がめんどいしー、やっぱホームレスしょ!!」
Sunの如き朗らかな笑顔を浮かべる勉くん。
天から授かったチビ、デブ、短足、不細工と言う個性に怠惰という調味料で
スパイシーに仕上がった少年はもはやパーフェクト集団生活不能者。
彼の突き抜けっぷりには肉親すらも辟易していて、家出同然で出いったにも拘らず逆に喜ぶ始末。
そして、本人も己の無能ぶりは理解しています。
劣等者は人に媚びへつらい、踏みつけにされる運命であることも知っているのです。
でも自尊心だけは高い勉くんは媚びるのが大嫌い。
(弱肉強食はかまわん、社会の摂理だ。しかし……媚びへつらうのは糞以下!!)
それがホームレスと言う野生ワールドへ飛び出した理由でした。
「北はダメだ、凍死が洒落にならん。九州とか沖縄は食い物に困る、
飲食店の腐るほどある東京がベストだね、それに・・・秋葉原!!」
生甲斐は"アニメキャラを使用しての自慰"
その手の書物の起ち読みが容易な秋葉原はやはり見逃ません。
「東京ぅ!!すなわち秋葉原、定説ッッっ、それ以外ありえない!!」

ズタ袋にはエロ漫画
着の身着のまま出発だ
ポッケにある金ぁ4274
希望に股間を膨らます

「グゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」
希望に満ちた雄叫びを上げ少年は一路、"約束の地”上野へ向かうのでした。

次回 第二話 "I got SATORI"

218217:2003/10/07(火) 23:20
自分のホームレス体験を元に描いてみました。

219〜乞食伝〜 2/6:2003/10/07(火) 23:23
第二話 "I got SATORI"


ホームレスデビュー当日の夕方、勉くんは初の晩エサ仕入れに出ました。
「上野駅周りは立ち食いが多いなぁ、だけど狙うはレストランっ」
立ち食い系の残飯は汁物が多く、好ましいエサはあまりでません。
やはり廃棄率の高いレストランが美味しなのです。
「レストランきゅうらく、ここに決めた!!」
早速裏手のポリバケツを開いてみるとカニコロッケ、さいころステーキ、トンカツetc。
ご馳走の山でした!!
(うひひ、いきなりゲットだ〜幸先いいぜぇ)
いそいそと手持ちの100円タッパーに詰め込んでいきます。
”ズドッ”
突然鈍い痛みが背中に走りました。
「ブギュ」
汚らしい嗚咽を吐きながら、勉くんは地面に這い蹲りました。
(え 何 熱い 痛 背中 後ろ?)
痛みを必死でこらえて後ろを振り向くと金属バットを持ったジジイが2人。
「おれだぢのシマ荒らしやがっで、新顔が?」
(同じホームレス?なんで?シマ?)
勉くんのお味噌は混乱していました。
(ヤンキーの浮浪者狩なら解る、何で同じホームレスが?)
「さっさとこのシマからででげ!!」
”ズドム”
追い討ちのモチツキスイングが炸裂。
「グブゥ」
あまりの衝撃に屁と小便と大便と胃液が漏れます。
「シ…マ……シマって……?」
息も絶え絶えに口を開く勉くん。
「俺だちホームレスの中にも縄張りがあるだよ!!
おめみてえな新顔は挨拶ぬきで飯なんぞもらえね、わがっだが!!!」
そう言い放つと二人組みは残飯を残らず持ち去って消えました。
(く……そ、同じか?ここも媚びの世界なのか?)
地面に伏せったままゴミ溜めを見つめる勉くん。
(ちが……う、ちがう!!俺がやられたのは用心が足りなかっただけだ!!
こうなることを予測し、何らかの武装をしていればあるいは返り討ちも
可能だったかもしれない、相手はクソジジイ二人だ)
光を失いかけていた目が再び輝きだしました。

(媚など必要ない、ただここは一般社会以上の弱肉強食なだけ。
ルールなど無いに等しい……勝ったもの勝ちっ、なら手段はある!!)
脚に力を込めゆっくりと起き上がりました。
「武装をし、用心をし、俺より弱い奴を打ちのめして奪えばいい!!」
堅く握り締められた拳は少年の覚醒と確信の強さを暗示するかの様でした。


次回 第三話 "釘バット"

220イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/08(水) 02:30
面白ェな、うん。笑けた。
が、宮崎勉はよくない。

期待age

221イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/08(水) 10:50
>乞食伝
2chウケしか無い。一次オチレベル。
A君(17)の戦争嫁。

222〜乞食伝〜 3/6:2003/10/08(水) 22:52
第三話 "釘バット"


武器……脆弱なはずの人間を世界最強の種に押し上げたもの。
強力な武器は己を超えた相手との闘争には欠かせません。
勉くんもまた、最低レベルの戦闘能力に下駄を履かせるため
武装思案の真っ最中でした。

ナイフ:殺傷力○ リーチ× コスト△ 携帯性◎
ナタ:殺傷力◎ リーチ△ コスト○ 携帯性○
バット:殺傷力○ リーチ○ コスト○ 携帯性△
鉄パイプ:殺傷力○ リーチ○ コスト◎ 携帯性△
スタンガン:殺傷力× リーチ× コスト△ 携帯性◎
ボウガン:殺傷力◎ リーチ◎ コスト× 携帯性×
ツルハシ:殺傷力◎ リーチ○ コスト× 携帯性×

(うーん……総合的に考えると鉄パイプかバットだろうな、木バットは釘バットに
進化させられるけど、壊れにくい金属物が無難か。殺傷能力の高いツルハシとか
柄の長い斧なんかもいいけど手軽に買えるものじゃないしなぁ)
真剣に考える勉くん、こんなに真剣に考えるのはオナニーのとき位です。
(他にも目潰し系の武器が必要だな、俺の弱さを考慮すると相手が素手でも
安心できない!!鈍足だから不意打ちだって決まる可能性が低いし)
彼は己の弱さを知り尽くしています。
例え相手がジジイだったとしても十分秒殺されかねないので相手の視力を
奪うことが勝利への必須条件なのです。
(消火器は高いし両手が塞がる。七味〜ただ手で撒くだけでは効果が薄い。
痴漢撃退スプレーは割高だし、射程も短い……武器よりもむしろ目くらましが
難しい問題だよなぁ)
「うーん、まいったねぇ」
しばらく考え込んでいましたが、あるものがひらめきました。
「卵…・・・弱い衝撃で割れて中身が飛び散る、そこそこ射程もある。
殻に穴を開けて中身を抜き取り七味とかを詰めてボンドでふさげばいい、何より安い!!」
(ッッッこれだ、これがイイ!! 一人で丸腰の相手を暗がりから七味入り卵で撹乱、
しかるのちにバットまたは鉄パイプでメッタ打ちにする!!!!)
己の器にピッタリきそうな戦術と武装を考え付いた勉くん、その瞳は今にも
大リーグボールが投げられそうなほど熱く燃えています。
「早速購入だねぇ、暇つぶしも兼ねてハンズにでもいってみか!!」
武器調達の為ハンズへと向かう彼の背中は既に敗北者のみじめさは無く
野武士を思わせる強奪者の力強さが宿っているのでした。



次回 第四話 "カルピス"

223〜乞食伝〜 4/6:2003/10/08(水) 22:54
第四話 "カルピス"

3日後〜リベンジ戦決行日
たっぷりと愛撫してくれた浮浪者二人をヘヴンさせるため、早朝からつけまわしていました。
しかし、彼奴等は仲が良いらしく、なかなか単独行動をしてくれません。
(むーん、まいったなストークを始めてすでに10時間経過、隙が無い……)
ハンティングモードのためアドレナリンどばどばな勉くんは空腹も便意も感じていません。
濁った瞳孔き"ぐるぃん"と開き禍々しいオーラを発しています。
「うぃい、なんがみょーに嫌な予感がするだ、鶴亀鶴亀」
「おでもだ、なんがさっぎがら何がいるような気がずる」
勉の天才的なストーキングテクは相当なモノでしたが禍々オーラを感じてか
ジジイ共は警戒を強めていました。
さすがは乞食界という野生の王国を生き抜いてきた歴戦の勇者、勘所はつかんでいるようです。
(相手は丸腰だ、だが絶対に単独狙いが条件!! 無法の世界での敗北は死に直結しうる。
こうなれば根比べだ1ケ月でも1年でも追い回してやる!!)
腹をくくりさらに粘着すること5時間後……
「おう、おれ糞してぐるは、ここでまっどっで」
「あい」
(来た、来た来た、来た来た来た、来た来た来た来た!!!!!!)
チャンスです、二人組の片割れがうんこタイム!!
この絶好の勝機を逃す手はありません!!
「来たァ来たァ来たァ来たァ来たァ来たァ来たァ来たァ来たァ来たァァァァァァァ!!」
"ブルゥゥン"
みなぎる贅肉を爆乳の如く揺らし、勉くんは大突貫をかましました!!
「なっ???」
驚きのあまりフリーズするジジイ……
当然です、右手にバット、左手に卵、頭に穴あき紙袋を被った100kg超の脂肪塊が
大爆走して向かってくるのですから。
「死ぃぃぃィィィYYYYYねぇぇぇぇぇぇェェェェェェEEEE!!!!」
顔面に向かい思いっきり七味詰め卵を投げつけました。
"バッツーン"
炸裂した卵の殻から大量の七味が飛び出し、眼球を襲います。
「うぎゃぁ!!」
悲鳴を上げるジジイ。
「今度は特別製だ!! 俺の想い〜届けぇぇぇぇ!!!!」
もう一つの卵を顔面に投げつけると見事にヒット。
卵の炸裂と同時に飛び散る黄みがかった嫌な白濁……
むせ返るような青臭い匂い・・・雄の匂い。
「目がァァァァ鼻がァぁぁぁこのかほりはこのかほりはまさがァァァ!!」
苦しむジジイを見下ろし勝ち誇った表情の勉。
「顔・射・完了ッ!!」
そう、正体はしヴぉりたてのほかほかせーえきでした。
「ギヤァァァァァァァァアァァァァァァァッァァァア!!」
阿鼻叫喚を上げジジイは意識を失いました。
「いっつプレイングターイム!!」
バットをおもむろに掲げる勉くん……そして容赦なく意識の無い老人に振り下ろします。
"ボグッ"
"ゴギン"
"メゴッ"
"バドッ"
肉と骨の砕け散る音が協奏曲を奏で出します。
「なんだ、おいさっぎの悲鳴は?」
片割れがウンコから戻ってきたようです。
「あっ・・てめぇはこの前の新顔、てめぇツヨシになにしだ?ごの…においはなんだ!!」
ハンバーガーピエロに匹敵するイキなスマイルを浮かべゆっくりと振り返る勉。
「へぇ、こいつツヨシっていうんだぁ……」


二つの他殺体が発見されたのは5時間後……
その顔には大量の精液が浴びせられていて肉体は原型を止めていなかったそうです。

「ふぅ、アバラいってるかもなぁ」
勉の胸と腹には大きなアザが出来ていました。
(丸腰の老人を相手に十分な作戦と武装をし、これだけの手傷を負わされる。
俺は弱い、そう弱いんだ。勝利に溺れてはいけないッッ!!)
「俺は!!弱いッ!!!!!!!!!!!!!!!」

"俺は弱い"この現実を認識できることこそが勉の最大にして唯一の武器なのでした。



次回 第五話 "はじめてのれいぷ〜そしてなかだしへ"

224乞食伝の人:2003/10/08(水) 23:02
>>A君(17)の戦争
ググル調べてみましたが面白そうだと思いました、読んでみるっす。

>>宮崎勉はよくない
宮裂にしているのでかんべんしたください

225イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/09(木) 19:29
糞だ。糞過ぎる(w

>(え 何 熱い 痛 背中 後ろ?)
ジジィ二人の小規模グループが若い男をいきなり襲ったりはしない。
相手に(若い)仲間が何人居るか分からないんだぞ?

>"カルピス"
商標です。

>「死ぃぃぃィィィYYYYYねぇぇぇぇぇぇェェェェェェEEEE!!!!」
不意打ちは沈黙が基本です。

>勉の胸と腹には大きなアザが出来ていました。
あの状況でどういう戦闘をすれば傷付くんだ?
つーか、俺がジジィなら逃げるよ。

226〜乞食伝〜 5/6:2003/10/09(木) 20:43
第5話 "はじめてのれいぷ〜そしてなかだしへ"

ホームレス生活を始めてから数ヶ月が経ちました。
武装を整えセコイ作戦をこねくりあげて戦うようになってからはまさに連戦連勝。
浮浪者達から巻き上げた金のおかげで獲物はバットからトカレフへと変わり、
板金を加工して作った胸当てやフルフェイスヘルメット等防具までも身につけています。
せいぜい金属バットが関の山のホームレスたちを駆逐するには十分過ぎる武装でした。
「ケンジュウいいねぇ〜これさえあればサンダース軍曹でもイチコロだぜ……
値引きしてくれたヤクザ屋さんには感謝感謝感謝!!」
しかし、強力な武装と引き換えに”おごり”という悪相が見え隠れしている勉くんでした……

ある日の夕方、勉くんは狩の為に人気の少ない暗がりで待ち伏せしていました。
「今日は水曜日、小学生狩りの日だねぇうひひ」
勉くんが襲う相手は二つに一つ”しょうがくせぇorじっちゃんばっちゃん”です。
老人の次は小学生、その次は老人と交代交代にターゲットをローテさせています。
意味はありません、なんとなくです。
「今日はどんなGIRLが通るのかなぁ へへへ」
ぶっちゃけ女児ねらいです!!
小学生は子供?とんでもない十分セクスはできます!!
エロくないひとにはそれが分からんのです!!
「お、きたきた」
サラサラショートヘァァ、つぶらな瞳、小鹿のようなしなやかな肉体 ようじょとも少女とも思へる容姿。
(おおおおお、TARGET LOCK ON!!!)
性嗜好に合致する標的の発見に狂喜する勉くん。
(ミッション内容は金品強奪と超絶強姦ッッ!!あれだけ華奢なら素手でもいける!!)
連戦連勝のおごりと同時になるべく "おもちゃ" を傷つけたくない思いから素手の決行を決めます。
「ツトム、逝きます!!」
"ダップウン"
脂肪塊のふるえる音と共にレスラー並みのロケットタックルが女の子に向かってきました!!
「キャ…」
勉くんの戦術鬼をも超越した表情に女の子は一声あげると硬直してしまいました。
「絶ッッ対ィ逃がさねーぞコラァァァァ阿!!!!!!!!」
"ズッドーーーーン"
「うぐぅ……」
巨大な脂肪塊の突進をモロに受けた女の子は前後不覚に陥ちいってしまいました。
「FINISH!!」
"ブゥン"
さらにとどめのボディが女の子を貫きます。
「ケ……ほっ」
勉くんの華麗な連続攻撃の前に女の子の意識はあっさりと断ち切られました。
ようじょという極上のえさの前に己の潜在能力が200%発揮された結果です。
「今夜はおったのしみ、今夜はおったのしみ♪」
"ズリィ、ズリィ"
鼻歌交じりにようじょの足を掴んで草陰に引きずり込んで逝きます。
そして服は着せたままパンツとシャツだけを剥ぎ取る勉くん。
もちろんパンツは横にかぶります。
女の子の乳首をねっとりとねぶりまわしたあと、スカートの中にHEADを"ガバッ"と突っ込む。
そしてとりあえず深呼吸……
「んーーーーーーーむふぅううHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!」
はてしなく豪気な呼吸音。
「さぁ、ゲームの始まりです!!」
280mmのドライバーキャノンを天に突き立てながら女の子に覆い被さる勉くん。
しかし、彼は忘れていました。
相手の手足を拘束することを……
素手で仕留めるまではまだしも、これはあまりに図に乗った愚かしい行動です。
この瞬間”野生の裁き"は宮裂勉に有罪を宣告したのでした。


「ぐっぐっぐぁぁ・・・!!」
片玉を失いました。
失神していたはずの女の子は破瓜の痛みで目覚め勉くんのマタンキを蹴り上げたのです。
力ない蹴りとはいえ、モロに決まればマタンキひとつ持って逝くのは容易いこと。
"睾丸一つの喪失"それが"野生の裁き"が下した刑罰。
何とかその場を逃げ出した勉くんでしたがすさまじい痛みにすでに一昼夜も
のたうちまわっていました。
「うかつだった、調子に乗っていた、愚かしい、愚かしすぎる……」
後悔の念に苛まれる勉くん。
「あ、でもマタンキ蹴り上げられた瞬間衝撃で逝ってなんとか中に出せたからいっかぁ、ううふふ」
勉くん……どこまでもダメな奴です。
「神様にお願いします、どうかあの子が妊娠しますように。マタンキをつぶしてくれた
おつりを彼女に返してあげてください!!」
勉くんの願いは見事に届き、彼女は妊娠してしまいました。
もちろん堕胎しましたが、女の子はそれからまったく笑顔をみせなくなったそうな。
めでたしめでたし!!
一方勉くんは……
「よし、小学生でもあぶないなら次はようちえんじだようちえんじ!! ちゃーしゅーめーん!!!!!!!」
だめです、こいつ。

次回 最終話 ”シットサンドイッチ”

227〜乞食伝〜 6/6:2003/10/09(木) 20:46
最終話 ”シットサンドイッチ”


ホームレスデビューの日から3年の月日が立ちました。
すでに首都圏内で勉くんに逆らうホームレスはいません。
その凶暴性と粘着性を見初められヤクザのスカウトが来たこともありました。
ルールにがんじがらめにされた一般社会ではクズでしかなかった勉くんが
この野生の世界では帝王なのです。

「もう俺も18か……長いようで短い3年だった。食い物も、着る物も、車でも手に入る。
無いのは家だけだ、もっともそんなものはいらないけどなぁ」
常に蔑まれてきた勉くんにはこの優越感はこたえられない快楽でした。
たとえ掃き溜めの帝王でも……
(やけにカップルが多いと思ったら今日はクリスマスか……)
月光の下しんしんと降りしきる雪を肴にワンカップ大関を煽る勉くん。
(普通の社会で普通に苦しんで普通に恋愛して……彼らは幸せなんかねぇ?
まぁどおでもいいか。)
凍えるような寒さのせいか、雪の美しさのせいなのか柄にも無くセンチなことを考えちゃいました。
(俺はこの世界に来なかったらどうなってたんだろう……家畜のように扱われたのかなぁ)
しばらく黙り込む勉くん。
「いかん、いかん!!今日の俺はしけてるなぁ、こういうときはもう一杯!!」
ワンカップ大関をさらに一杯煽ります。
(うふふ、良ィーい気分……体も心もほっかほか〜)
すると突然聞き覚えのある声が耳に流れ込んできました。
「よくがんばったな、勉」
「がんばったわね、勉」
驚き、声のする方に振り向く勉くん。
「親父……おふくろ?なんで、ここに?」
するとまた別の声が聞こえてきました。
「かっこいいわよ勉くん」
「やるじゃねぇか勉!!」
かつてのクラスメートたちです。
自分を罵り、嘲っていたはずの面々が笑顔でこちらを見ています。
「あれ、あれ、あれ??」
驚愕の光景に固まっているとさらに別の声が聞こえてきます。
「勉さん、おめでとう」
かつてレイプしたあの女の子でした。
勉のすべての罪を許すかのようなその汚れの無い笑顔に一度も感じたことの無かった
"罪の意識"ふくれあがります。
「あっ・・ああ、しょ正直あの時はスマンかった……」
謝らずには居られませんでした。
「よう、でめえがんばでるみでぇだな……」
「やるでねが」
撲殺したはずの二人でした。
「あれ、あああ生きてた……んですか、す、すみませんでしたっ、やり過ぎました!!」
土下座して誤りました。
「まぁいいっでごとよ」
老人がはにかみ笑いを浮かべます。
(あああ、今日はなんという日だ……なんて日なんだ!!)
生まれて初めて自分の存在が認められました。
生まれて初めて優しくされました。
生まれて初めて罪の意識を感じました。
言葉では表現できない感情が心の底から湧き上がってきます。
「ありがとう、ありがとう……本当にありがとうっ!!」
勉くんはただそうつぶやくだけでした。

死亡推定時刻:23:00〜02:00の間
身元:身元不明
死因:野外での泥酔による凍死

その死に顔は安らかだったそうです。

誰にも愛されないから、自分で自分を愛す
誰も愛せないから、自分だけを愛す
誰も心の隙間を埋めてくれないから、幻を作りだし埋める

己ですべてを生み出し、消費する……自慰星人らしい最後でした。
これまた めでたし、めでたし。

228乞食伝の人:2003/10/09(木) 20:54
>"カルピス"
商標です。

正直スマンカッタ

229イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/10(金) 09:37
ある意味凄い
だが、ライトノベルの範疇外な気がするな
このセンスに定石云々語っても無意味
むしろ感覚をさらに狂わせてみたら?
ただし、表現や言葉回しはもっと推敲すべき

230イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/10(金) 11:03
ラノベとしては評価不能、ここまで破綻が酷いと逆に壮快です。
既存のスタイルを模倣したお約束小説は途中で読むのも嫌になることがありますが
これは無茶苦茶っぷりが刺激になって最後まで読めました(^_^;)
デスクリムゾン等クソゲーの魅力に近いかも・・・
残念ですが、この感性は万人に受け入れられる事はあり得ません。
プロを志しているなら厳しいと思います。
いっそメジャーは諦めて思いっきり変な方向に成長して欲しいですねw

作品としては評価できませんが、個人的には面白かったです。

231イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/19(日) 23:04
>>"カルピス"
>商標です

商標だからと言って出していけないことはない。
その商標を批判する内容でなければ出版業界では普通にOKです。
ブランド服のメーカーや、コカコーラ、マクドナルドといった単語は既存の作品でもしばし登場します。

三度ほど読み返しましたが、どこに使われてるのか発見できませんでしたが(滝汗。

あとは、、まあ、仕上げ方を変えれば十分にエンターテイメント小説として通用するかと思います。
(いろいろな意味での)風刺小説としての価値はあるかと思います。
ただ、推敲、表現としての問題、タブー等、問題が多いのも事実です。



まあ、ラノベとしてはどうかと聞かれると困りますが(苦笑

232イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/20(月) 13:02
>>231
>"カルピス"
第四話のタイトル。

>その商標を批判する内容でなければ出版業界では普通にOKです。
ただ食ったり着たりしてるだけならだいたい平気。
でも、「精液を暗示している」というこの使い方はどう考えてもクレームが来る。

>風刺小説
無理ぽ。
風刺小説の場合、読者の心をを”刺”すための「君にもこういう面あるよね?」というリアリティが必要だが、
乞食伝は主人公がバカ過ぎて、どんな読者の内面にも存在し得ない。

簡単に言うと、「俺はこんなバカじゃねーぜ( ´,_ゝ`)プッ」で流されて終わりって事だ。

233乞食伝の人:2003/10/20(月) 21:56
>推敲
やっぱりか・・・狂いつつもうちょっとマシなのがんばります。
あとプロ志向はないです。
HPでショートストーリコナーとか作ってみよと思い鍛えてます。

今度描こうと思っているのは風船おじさんにあこがれる少女が
おじさんの無念を晴らすため風船で太平洋の遠くに飛んでいく
小説を書こうと思います。

234231:2003/10/21(火) 20:38
>>232
カルピス……確かにこの用途は間違いなくアウトですね、失礼(汗

風刺の意味、ちゃんと辞書で引きましたか?
おそらく、時代などを批判すること。とか言う単語が出てくると思います。
読者の心を刺すわけではなく、時代とか特定の人物を刺すという意味ですよ。
気になった単語は必ず辞書で引きましょう。気にならない単語でも……(以下同文

例えば、風刺画とか見たこと無いですか?金首相が核ミサイル片手に小泉さんと会談してる絵とか。
こんな絵には芸術価値もなければ、技術的な面でもたいしたことはありません。
つまりは風刺というのはそういうもののことですよ^^

現在、不況、失業率増加という流れで(やや下火になっているものの)ニュースの特集で組まれるほどホームレスは注目されてますし、ニュースにもよくホームレスを襲った等という話が出てきますよね^^
風刺に大切なのは、そういった時代性に対するメタなんですね。
この小説には、ホームレスに対するメタと、一般のオタクという概念に対するメタが含まれています。
そういった意味で価値がないわけでは無いといったわけです。

何も、主人公に感情移入できる小説だけが全てではないので^^

もちろん、風刺というのは、一発ネタですから、いいとこ、雑誌のコラム程度の扱いで、という程度になりますかね。
あるいは、ラストを変えてノンフィクションとすれば、なかなかいい線いけると思いますよ^^

ライトノベル、読み物としての小説的なものとしては評価できませんが(苦笑

235231:2003/10/21(火) 20:39
sageてるのに下がってない……逝ってきまつ(鬱

236イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/23(木) 21:54
sageはさげるんじゃなくてあげないんだお

237イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/24(金) 00:25
金首相って誰だよw
金総書記ならともかく。

238イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/24(金) 18:43
細かいことは気にしない(何?w

239イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/24(金) 20:20
>>234
あの「刺す」はただの例えだろ…

240イラストで騙す予定の名無しさん:2003/10/27(月) 20:24
何の例えなのかが激しく疑問。。

241イラストで騙す予定の名無しさん:2003/12/16(火) 22:49
新人賞スレの483です。一次落ち常連のカスフン野郎です。
これはhp短編一次落ちの作品。投稿したあと、怖くてまだ読み返していません。
よければ指摘・批評をおねがいします。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hinoki/1252/

242イラストで騙す予定の名無しさん:2003/12/17(水) 01:56
かなり酷評になります。
それでもよければ。

・出だしが不要
 ライトノベルではなんと言っても出だしでいくら引き付けるか、が重要です。
 本文で見せるべきところです。いきなり説明されて、それも数行ではちと理解できませんでした。
 例えば、馬車の中で、ユユに語らせる等の方法をとりましょう。

・体言止めの多用、表現の硬さ。
 読んでいて野暮ったく感じます。
 体言止めはインパクトが強いので、使うのであれば大切部分だけにしたほうがいいと思います。
 また、文章自体も、少々硬いです。
 例えば、L32「きりりとした眉をたわめ〜」きりりまではいいとしても、たわめ、の表現はいまいち古風な感じがします。
 他にも、珠の形や、おどろおどろしいといった表現も少しいかめつくてとっつきにくいイメージがします。

・リムラは萎える
 括弧をつけてト書きをするのは萎えます。
 実際の背丈、周りの建物などの描写で上手く使い、そこで大体の感覚を認識させたほうがいいです。

・「早くも二千リムラから百五十リムラ〜」
 人間の歩調は大体成人男性で60cmほどです。
 つまり、2000リムラ=1200Mあるはずなのですが、そんなに簡単に上がりません。
 本文には明記されてないので、イメージとなってしまいますが、大体、経過した時間は10秒程度だと思いました。
 そこで加速度してみます。大体中腹まで加速し、それ以降は同じ速度で減速したとすると、
 上昇時には縦に約5G、減速時には縦に約−3Gかかる計算です。
 となると、中がどうなるかは……いうまでもありませんがw

 さらに言うと2000リムラ=1200Mに対して、150リムラ=90Mです。
 あまりにも落差がありすぎます。というか、これだけのうちの残り90Mならば、それは「到着した」といっていいのでは?
 設定はきちんと練りましょう。
 いくらファンタジーでもつじつまあわせは重要です。

・たかだか交渉で、フロアを起こしていたら、あっというまに寿命が尽きます。
 それに出だしの感じからして、かなり神がかったように感じられたフロアがやることにしては規模が小さくて萎えます。

他にもかきたいことはあるのですが、なによりも

「短編向けの題材ではない」

ってのがまずいと思います。
どっちかって言うと、長編ファンタジー向けの素材だと思います。

時間がないのでこの辺にて失礼。
幾分、酷評ばかりで申し訳ない。

243イラストで騙す予定の名無しさん:2003/12/17(水) 03:35
>>241
読みますた。んー……
文章のことや内容のことは他の人に任せて、とりあえず構成の点から二点。

・出だしがモタモタしている。
 帝がフロアに召還を命じてより拝謁までで20枚、全体の2/9の枚数を使っています。
これは長すぎ。長くなった理由として「フォルマルスとプティートの伏線が貼りたかった」
というのはわかるんですが、読者はダレてしまいます。どちらか一方の伏線を後に回す
など、構成を変えた方がよさげかと。

・マキナの出し方が遅すぎ。
 マキナの登場が唐突すぎます。筋に影響を与えるキャラは、できる限り早めに登場
させておかないと、後付設定のように見えてしまいます。
 例えば、序盤のフロア登場シーンの際、一緒に導入してしまっても良かったのでは?

 後半はだいたい良いんで、難は前半、特に導入部ですね。この辺に注意した方がいいかと。
次の作品を期待しています(^^

244241:2003/12/17(水) 17:22
>>242
ご指摘ありがとうございます。
出だしが説明調なのは、自分ではカコイイ!とか思ってやってました、恥ずかしながら。
リムラという単位の説明についても、全然勉強が足りなかったようです。
背丈や建物との比較から描くというやり方は
よさげだと思いました。早速研究してみることにします。

マキナの上昇速度について。
初めは古代のオーバーテクノロジーだという説明がありましたが、
まんまと削ってしまいました。2000→150という感覚的な落差はご指摘の通り。
この辺り、自分は無意識なんだけどどうもいい加減にやってしまっているようです。

フロアの寿命について。これは一応不老長寿という設定になっていますが、
設定不足だったかもしれません。
フロアの仕事がちゃちぃではないかということですが、自分もそうではないかと
懸念してはいました。が、何を思ったか、楽観的にそのまま書き進めてしまいました。
どうやら見通しが甘かったようですね。というより、全体的に判断が甘かったです。

>酷評ばかりで申し訳ない。
とんでもないス。難点をはっきり指摘してもらえたことは、
必ず自分にとってプラスになります。ありがとうございました!


>>243
構成上のご指摘、ありがとうございました。
これはいつも頭を悩まされることなので、非常に助かります。
設定を詰め込みすぎてしまったせいで、伏線を張るだけでも精一杯。
規定枚数に全然収まってくれなかった。
マキナ登場のタイミングについては冒頭を予定していたんですが、
その辺りの兼ね合いで泣く泣く削ることに。
どちらにしても、きちんとフォローしておくべきだったと反省しています。
フォルモリスの伏線についても、今から思えば帝の勅命を
授かってからでもよかったですね。導入部分の難しさを痛感しています。

>次の作品を期待しています(^^
ありがとうございます。次こそ面白い作品を書きます。
その時はまた、読んで酷評してくださいね!

245242:2003/12/18(木) 00:06
一番肝心なことを書き忘れてました。
「この作品でメインとなる視点は誰?」

前半部分は、ユユ、後半部分はフロアが主役になってます。
感情移入していたときに非常に戸惑います。
視点は統一した方がよろしいかと思います、はい。

散々酷なことを書いてますけど、書き方は上手いと思います。
文章も勉強になるところが多かったです。

ただ、プロット段階での練りこみが足りないかなぁ、と思いました。
ハコ書きや、香盤表などをきっちりと作っていれば、問題は起きないと思います。

せっかく書き方は上手いのだからもったいないです><

246242:2003/12/18(木) 00:19
245の書き方は=書き方が、と読んでください。
「が」と「は」ではあまりに意味が違いすぎる。
他にもいいところはいっぱいあるのに。
作家失格だな、俺。。

逝ってきまつ

247イラストで騙す予定の名無しさん:2003/12/18(木) 18:20
>241
構成力文章力云々は他の人が言いそうなので、思ったことを。

こりゃ美味しんぼですか?
てっきり戦闘とかになるのかと思ったので意外性はあると思ったけど、
え? それで解決しちゃうの? って感じでした。

あと、服装ごときで帝の使いを帰してしまうシアズも「?」って感じだった。
芸術家肌なのだろうとは思うけど、そんなんで今まで良くやってこれたなと思った。

後は、帝の企みだが
「これで我が国の経済も潤うであろうワッハッハ」
のどこが悪巧みなんだろうか?
シアズを通じて暗殺を行うとか、もっとすごい事を考えてた。

後は、たかが楽団とコネが出来た程度で国家間の友好に繋がるわけが無いとか、
知らない単語がバンバン出てきてウンザリした、とかそんな感じかな。

キャラ作りはいいと思った。
大賢者にしては思春期の子供みたいな悩みを持っているのがギャップがあって面白かったかな。

248bo:2003/12/23(火) 03:02
初めまして、当方物書きではないため、ここでは失礼に
あたるかもしれませんが、
時々ショートショートを書いたりしている者です。
身内に見せた際そこそこ評判が良かったため、
感想をいただければと思い、投稿させていただきます。

http://osaka.cool.ne.jp/boma/raku2/ke-tai.htm

タイトルは未定ですが一応「カナコ(仮)」です。

249bo:2003/12/23(火) 03:10
もう1本あります。続きではなく、別のお話です。

http://osaka.cool.ne.jp/boma/raku2/bara.htm

こちらのタイトルは「ルリ(仮)」です。

250イラストで騙す予定の名無しさん:2003/12/26(金) 17:20
読むリズムが自然に取れていて、読みやすい文体だと思います。
主人公の人物像がしっかりしているので安心して読めると思います。
ただ、自分は結構数を読んでいるんで「お約束」と思ってしまいました。
「お約束」な話は大きな欠点は感じませんし
そこそこ楽しめるのですがオリジナリティーといった面では物足りません。

それと大切なシーンで唐突な部分があります。
例えば殺人メールに気が付く経緯。
伏線を張る→主人公が間違った考察をする→実は…で、どんでん返し
といった(まあこれもお約束の構成なんですが)感じにすると
読むほうも引き込まれると思います。
もう一つの作品の「構成要素」も唐突です。
最初の時点で説明がないとちょっと辛い。
自分は分かっているので説明を省いてしまいがちですが、
大事なところなので、きっちり書き込んだほうがいいでしょう。

センスはいいと思うので、いろんな本を読んでもっと書いて
がんばってください。

251bo:2004/01/03(土) 18:52
感想、ご指摘ありがとうございました。
確かに読む数は少ない人間なので、経験不足が露呈したようです。
オリジナリティーのない話なのは、他の作品をあまり知らないままに
思いつきで書いたらよくあるネタになってしまったようです。

「構成要素」はわざと唐突にして、違和感で読者の興味を引こうと
思ったのですが、逆効果でしょうか?
ともあれ、読んでいただいてありがとうございました。

252oeht:2004/04/27(火) 23:08
タイトルは、「無題・男」です。
換算枚数等ちょっと不明…。申し訳ないです。数えてないので。
http://www.hcn.zaq.ne.jp/cabvk609/theman.txt
批評などよろしくお願いします。

253イラストで騙す予定の名無しさん:2004/04/28(水) 06:48
>>252
星進一のパクリっぽいです。古臭いです。目新しさもなく、今の時代には通用しません。

254イラストで騙す予定の名無しさん:2004/04/28(水) 15:32
>>252
一言でいうと無味無臭です。
個性的でもなければ優れてもいなくて、読んだ感想が「それで?」で終わっちゃうような。
たとえ目新しさが無くとも、登場人物の扱いや設定、話が個性的ならカバー出来るのでしょうが・・・これ、そのまんまですし。
というか、この場合は「ロボットだった」って判明した後に、一波瀾起こすものではないでしょうか?
それがそのまんま終わってるし・・・はっきり言って投げやり過ぎると思います。

それと>>253さん、星進一ではなく、星新一ですよん。

255イラストで騙す予定の名無しさん:2004/04/30(金) 05:36
タイトルは「流星奇譚〜星に願いを〜」です。
60枚程度の短編です。
http://www.geocities.jp/stariron2002/hosi.htm
批評、指摘等お願いします。

256イラストで騙す予定の名無しさん:2004/04/30(金) 15:58
ん? 本スレの方に告知貼った?

今、こっちは誰も使ってないから、本スレの方から呼ばないとレスはつかないよ。

257イラストで騙す予定の名無しさん:2004/04/30(金) 16:20
>>256
ぎょ。そうなんですか。知らなかった。
本スレつーと2ch新人賞スレですよね。
今から貼ってきます。忠告どうもでした。

258イラストで騙す予定の名無しさん:2004/04/30(金) 17:32
>>255
全体的に言葉が難解で読みにくい。
「これはどういう意味だ?」と文を読み返してしまうことがしばしば。
少年少女が中心の物語なのだから、もっと分かりやすく的確な表現を使うべき。
ストーリーに関しては、星鉄等の「説明」が苦痛。もっと小さくまとめて欲しかった。
それから、物語が全体的に盛り上がりに欠ける。特にラストが今ひとつ。

259255:2004/04/30(金) 19:31
的は射るものですねOTL

>>258
批評どもです。
>少年少女が中心の物語なのだから、もっと分かりやすく的確な表現を使うべき。
という指摘は最もですね……。商業作品は主人公の年齢と表現は釣り合ってる気がします。
設定の呈示の仕方は、コンパクトになるようちょっと考えてみます。冗長か。
物語全体に関しては、自分的には思ったように収まったんですが、地味なのは否定出来ません。

推敲の上で参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

260イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/01(土) 00:14
的は得るものだ、という説もあるぞ。
正鵠を得るの「得る」から来ているから、なんだそうだが。

ttp://d.hatena.ne.jp/sosu/20040208

261イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/01(土) 01:11
>>260
某批評サイトから飛んだ(間違ってたらスマソ)?

まあでもぐぐると「的を射る」の方が普遍的っぽいね。
「得る」って説があるのは頭に置いといて、「射る」を使う方がよさげ。

262260:2004/05/01(土) 03:16
それが神関連のことであるなら、まあ、当たりです。
ぶっちゃけヲチスレ住人だしw

263イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/01(土) 03:41
過去3個ほどアップしてあった小説読ませていただきました。

これは、特定の個人に限ったことじゃないが、どうもアマチュア(俺含む)の小説は読者意識が少し欠落してると思う。

ラノベなんだから、もうちょい人物の描写、背丈とか服装とかそういったものや、場所の描写などをキチンと入れるといいと思います。
本人が納得していても読者には伝わらないので、ある程度しっかりと描写すべきかなぁ、と思いました。

それから普段ひらがなを使っている言葉を無意味に漢字にしてみたり、わざと難解な表現を使うのもよろしくないかと。
その言葉を読者が理解できないと、そこで萎えてしまいます。
読者がなえるような小説が商業化できるわけないです。

確かにかっこいい単語を並べるといい文章のようにみえて自分でも満足できるかと思います。
しかし、真にいい文章は誰もが理解できる文章であって、変に言葉を変える必要はないと思います。

今、オリジナリティというものは求められていますが、そういったところとは違うところでの話です。
正統派かつ、オリジナリティのある作品というか、そういう感じが一番いいかと思いました。


…………まあ、戯言なんで適当に流してくだされ。

264イラストで騙す予定の名無しさん:2004/05/03(月) 18:45
>>255
個人的な感想。偉そうに聞こえるかもしれないがご容赦を。
まず、文章は読みやすく、最低限のレベルには十分達していると感じた。説明文のみの素人小説などではない。
難解だという指摘もあるが、俺は十分許容範囲内だと思う。
次に内容。なんとも薄い。
隕鉄によって引き起こされる日常の変化、これがこの物語の最大の見所である。
前半を読み、読者は隕鉄を拾った二人に起こる変化を期待するはずだ。
しかし、結局この物語で描かれたのは力を信じた者の願いが叶うという小さな変化に
留まっている。それ自体は悪くないが,現実に起こったのは友達を転ばせたり,鳥のフンが
顔に落ちるなどなんとも迫力に欠ける出来事ばかりだ。
隕鉄にまつわる魔物や神といったストーリーも、物語で上手く使われているとは思えない。
5でカシスが「分かった」ことに対し、だからどうなのか、それによって何が変わるのかといった重要な事が結で描写されないまま
物語が終わっている。メッセージやテーマといった作品の中心となるべきものが見当たらない。
カシスとテュルアの二人はとても微笑ましいが、平凡だ。平凡なキャラクターに平凡なストーリーを与えてはいけない。
平凡なキャラクターにこそ奇抜な展開を与え,そのギャップを読者に楽しませるべきだ。
筆者は作品のリアリティを崩さないためにわざと奇抜な展開を避けたのだと思うが,ここはひとつ
リアリティという言葉を捨ててもう一度チャレンジしてみてはどうだろう。奇抜ささえ加えれば相当面白くなると思う。

265255:2004/05/04(火) 02:13
>>264
地の文が多いので、極力説明文っぽくはならないようにしました(少しは出来ているのか?)。
難解さの許容範囲は人それぞれみたいですが、気にならない人もいてくれたのには少しだけ安堵してます。
ううん、でも、ここで読んでくれるのは作家志望者ってのは差し引かなきゃいけないのかな?

内容、地味な自覚はありますが、薄いですか。
設定や事柄が呈示してあるだけに見えるってことなのかな。
テーマはあるにはあるつもりですが、読者は読めるようにしか読まないですよね。作者の不明であります。

>平凡なキャラクターに平凡なストーリーを与えてはいけない。
浅羽とかみたいなのならオッケー(極端な例だな)?
これは場合によりけりかなとも思うのですが、どっちも平凡な小説がぱっと上がらないのが答えのような気もする。
リアリティと言わないまでも堅実は好んでいるやも。
奇抜さの導入は、努力してみます。

偉そうなどということはありませんでした。非常に丁寧な感想・指摘だったと思います。
ありがとうございました。

266イラストで騙す予定の名無しさん:2004/10/12(火) 23:30
ttp://www.silverspoon.ath.cx/clip/clip.cgi?
の351.doc

ちとライトノベル的ではないかもしれませんが、お願いします。

267イラストで騙す予定の名無しさん:2004/10/13(水) 02:54
>>266
 まず、ワード形式で上げたりしない。テキストにすること。
 原稿はきちんとチェックすること。「要編集」ってのはまずいでしょ。
 おなじく誤字脱字にも気をつける。
 漢字をひらく。変換に任せたままにしか見えない。
 これは三題噺とかそんな感じのやつ? だからどうだっていうんじゃなくてそんな感じがし
たから。
 会話がねえ、ミステリ研のわりには次元が低い(失礼)というか、かといって背伸びしてる
という感じでもないし。いや、ほんと会話には気をつかわなければいかんと思うよ、「ふつう」
の学生じゃないんだから。
 視点がブレてる。誠人視点かと思えば、第三者のものになったり。

 「いつも通り、ゴミです」ならば、先輩が彼になにを持っているのか尋ねる必要はない。
 「日頃の行いが悪い」のは会長、主人公、それとも先輩か?
 「クーリングオフ」意味がわからん。文脈でどう用いられているのか、というのが。詐欺に
かけてる?
 文庫本サイズで『認知科学入門』ってあるの? 新書サイズあたりならわかるけど。いや
まあ、筑摩とか岩波あたりでありそうかもしれんけど、字面とイメージというやつね。
 「表情は呆から惑」これはどうかね。

 短編は勢いか、完成度のどちらかだと思う。勢いで押すには、設定とキャラのギャップに
目がいって興をそがれるし、完成度ということではこれまた前記部分で粗が見える。
 かたちとしてはショートショートに近いのだろうけれど、オチがニヤリとできるほどつよくな
い。というか、これでは途中で作者の仕掛けがバレるでしょう。もうひとつふたつ転がすとよさ
げな気がするけど。
 オチとはべつに、結びについて。オチを見てもらいたいのなら「プラモ研〜」は不要。余韻
が欲しいのかもしれないけれど、それは欲張りすぎ。かといって「部室に残された〜」の部分
も冗長すぎる。なにを見せるか、なにを見せたいのか、ということ。

268イラストで騙す予定の名無しさん:2004/10/13(水) 03:07
申し訳ない>要編集 ワード

助言多謝。参考になる。

269イラストで騙す予定の名無しさん:2004/10/13(水) 05:07
>351
ワードファイル、プロパティに文書作者の名前がでる。
あえてやってるならいいけど。

冒頭、完全に一人称の文体になってる。
反則とまではいわないけど、意図的でないならやめた方が。

全体に、バランスが悪いと思う。
三題噺というか、主人公のたくらみはただの小ネタ、前振りレベル。
この程度のアイデアをメインにして引っ張られても。

もう一つ何かを真ん中に入れてからこのオチ(ヒロイン?の反撃)でようやく安定。
もちろん、構成を変える手もある。あるいは、長さをこの半分以下にするとか。

267のいうとおり、この話で「何を見せたいのか」ってこと。

270266:2004/10/14(木) 03:33
形式がなっておらず、編集もまるで足りず、スレの冒頭すら読んでいないことが明白。
体を調え冷静になってみれば、出来不出来以前の無礼な行為。
本当にご迷惑をおかけしました。

そして、それでもレスを下さった方、本当にありがとうございます。


……なるほど。やはり無理やり感がありましたか。
実はこの作品、ご指摘のとおり、元は六十枚以上の中編ものでして、急遽二十枚以下にする必要が出たため、その冒頭の部分を切り出して無理やり増量した代物です。
未熟さ故に、切断された物語を生かせなかったようで。

再利用などという無精はせずに、もう一度骨から作りなおすところからはじめてみます。

271266:2004/10/14(木) 03:46
あ、いや、間違えました。
切り抜きっぽいという指摘は、これを見せた友人のものだった。


……ダメだ。薬飲んで、寝ます。
重ね重ね、失礼しました。

272イラストで騙す予定の名無しさん:2004/10/14(木) 22:21
タイトル:空飛ぶ蛸の話
原稿用紙数:68枚
微妙な長さだな・・・。

273空飛ぶ蛸の話:2004/10/14(木) 22:23
「宇宙怪物だ」
 椅子に立って堂々と宣言した良太を、僕と南田はごく自然に無視した。
「おい、おいおい、聞いてるのか?」
 良太が声を上げるけど、南田は文庫本に目を落とした姿勢で動かない。僕は窓の外に目をやったまま、ふう、と息を吐いた。
 彫りの浅い顔立ちに長身痩躯というスマートな姿形を得て生まれた良太はしかし、頭の中が特殊で、時々、否、しょっちゅう、意味不明な言葉を高らかと宣言する。
 だから今回のこれも慣れたものだった。
「おうい、聞け、聞けよ、寂しいだろ」
 両腕を振り回して存在をアピールする良太に、僕は漸く、仕方なく目を向ける。
「少し静かにしろよ」
「はぁ?」
 僕の注意に良太が目を見張る。
「静かにしろ? 静かに? おいおい、おいおいおい、俺がすげー話をしようとしてるってのに、何で静かにしなけりゃいけないんだよ」
 そう言われれば確かにその通りだ。
 でも、という思いを胸に南田を見れば、相変わらず無表情に文庫本を見つめている。
 痩身であることは良太と変わりないが、身長は僕よりも低い。黒髪をおかっぱにして、後ろ髪は肩に届くぐらい。紺の制服と赤いネクタイが誰よりも似合っている彼女は、僕が見つめていることに気付いたのか、淀みない仕草で顔を上げた。
 どこか超然とした雰囲気を放つ南田の視線に、忙しない良太も動きを止める。
 夕暮れ時の教室に突如として訪れた静寂。
「何を読んでるの?」
 その静寂を厭うわけではなく、単に良太の話を打ち消すために問うてみる。
 南田はカバーのかかっている文庫本に二秒だけ視線をやり、僕を見た。
「ケッチャム」
 冬の風と釣り合いのとれる声が聞こえたけど、肝心の声が示す内容が不明瞭で、僕は眉を顰めてしまった。
 良太が、うげ、と奇妙な声を発した。
「ケッチャムって、お前、趣味悪いなあ」
 思わずといった感じの良太の言葉に、南田の冷たい視線が向けられる。
 冷たい、というのが比喩でなく真実であることが、う、と呻いた良太の表情の変化で示された。
「? けっちゃむって、なに? タイトル?」
 僕の素朴な問いに、作者名、と南田が簡単に答えてくれた。
「タイトルは、隣の家の少女」
「うげ」
 またしても上がる良太の声。
 どうやら良太の中で、その本は反射的に忌避してしまう領域に入っているらしい。僕は少しだけ興味を惹かれた。
「どんな内容なの?」
「少女を監禁して拷問する話」
 またしても訪れた静寂を、良太の溜息がかろうじて打ち壊した。
「まあ、それだけじゃねえよ。色々と考えさせられるんだが、俺は駄目だ。ケッチャムって聞くと鳥肌が立つ」
「ふうん」
 僕は作者名とタイトルを頭に刻み、暇がある時にでも読んでみるリストに追加した。ちなみに今現在、リストには川端康成の眠れる美女と宮沢賢治の注文の多い料理店と夏目漱石のこころが積まれている。
 気付けば良太の話は打ち消され、南田は文庫本に目を落としている。
 僕は窓の外に目を向けた。
 僕ら三人しかいない教室、窓から覗く夕焼け、広がる運動場に、散乱する部活動中の生徒達、その向こうに広がる家々とビル。
 平和だ。
「って、違う!」
 良太が急に叫んだ。せっかく訪れた静かな時間は泡沫の夢と消え、僕は仕方なく、南田は迷惑がましく、良太に目をやった。
「なんだよ、良太、さっきから」
 そのさっきを意図的に無視したことは置いて、さも良太が悪いかのように訊ねる。
 南田が文庫本に栞を挟んだ。
「だからだな、言ってるだろ! 宇宙怪物を見たんだよ!」
 世迷言も甚だしい、夢は夢の中で、妄想と現実を判別しろ、酷い嘘だな、などなど。僕はコンマ一秒で浮かんだ全ての言葉を口から出すことなく、代替として溜息を吐いた。
 南田は早くも文庫本を開き、栞を取るべきかどうか悩んでいる。
「あ、あ、さてはお前ら、信じてないな? 信じてないだろ!」
 そりゃそうだ。いちいち言葉として発すのも億劫になるほど信じていない。南田も同様らしく、黙って良太を見上げている。

274空飛ぶ蛸の話:2004/10/14(木) 22:24
 良太は意味深に笑った。酷薄な笑い、それを作ろうとしたのかもしれないけど、失敗して嫌らしい笑みになっていた。
「これはな、昨日の話なんだよ」
 南田が黒板の上にある円形の時計を露骨に確認したけど、良太は怯む様子を見せない。
 椅子の上に上履きで立ち、両腕を広げ、怪談話を披露する出来損ないの語り部みたく薄い笑みを浮かべている。
「昨日、俺はいつものように教室でだらけた時間を過ごした後、南田を無理やり茶に付き合わせて、日が落ちる狭間、本屋でしょうもないラブコメもんのコミックを買ってから家に帰っていた」
 思わず南田に目がいった。まさか南田が良太と茶を飲むとは、意外を通り越して驚嘆すべき出来事だった。
 南田は黙って良太を見上げている。
 良太の話はまだ核には遠いらしく、ゆっくりと、諭すように続けている。
「そう、あれは公園を抜けて人通りの少ない路地に入った時だった。その路地は滅多に人が通らないところなんだ。近くに病院があるんだが、本来はその病院への通り道だった。しかし車が通れる大きな道ができると細道は廃れた。もともと、暗くなると誰もが避ける道だったんだ」
 ここで、良太が間を置いた。
 すう、と息を吸って一秒後。
「事件は、その道で起こった」
 声を潜めた効果か、夕暮れ時という効果か、良太の言葉に変な迫力が宿る。
 僕は仄かな期待に息を呑んだ。
 良太が、目を細めて僕と南田を睥睨する。
「細道には誰もいなかった。病院へと続く大通りは人が多いから、俺は好んで細道を使うんだ。昨日も同じように細道を使った。そう、事件はその時、細道の中央辺りに差し掛かった時に起こったんだ」
 良太は蛍光灯の輝く天井を仰ぐ。
「夜空、月明かりと病院の光が照らす空に、それは浮かんでいた」
 陳腐な脳味噌が即座にUFOを想像させた。己の想像力の貧困さに辟易しつつ、良太の言葉を待つ。
 良太は、とどめの一言を発するがごとく間を置き、大きく息を吸った。
「空には、蛸が浮いていたんだ」
 それきり、沈黙が流れた。
 凧? 一体、良太はどこを間違えて、凧を宇宙怪物と思っているんだ。
 満足そうに鼻を鳴らす良太に言う。
「なあ、凧なんて正月になれば誰だって上げてるだろう。そりゃ、まだ正月には少し早いけど、どこら辺が宇宙怪物なんだ?」
 良太がきょとんと僕を見つめる。
「・・・・ん? どこって・・あ、ああ、ああ、ああ、そういうことか。馬鹿、違う、そっちの凧じゃない、あれだ、八本足の蛸だよ」
 今度は僕がきょとんとする番だった。
 蛸? あの、ぬるぬるで八本足で墨を吐いて刺身は嫌いだけど煮物も嫌い、僕の人生において存在しなくても何ら不都合のない、あの生物としての蛸のことか?
 それが、その蛸が、夜空を飛んだ?
 僕が何を言うべきか(もちろん不思議だね云々ではなく、良太の悲哀を誘う脳細胞に対しての慰めの言葉)を考えていると、突然、南田が立ち上がった。
「お、なんだ、南田、興味を惹かれたか?」
 半ば茶化す言い方の良太を無視して、南田は文庫本を鞄に入れた。教科書類と弁当箱の入っている鞄はやや膨らんでいて、重そうだ。だから南田が細腕一本で鞄を持つ姿は少し滑稽なものを感じた。
 南田は無言のまま、良太の立つ椅子を通り越し、黒板の前に立つ。
 白いチョークの線が可愛らしい絵を作った。
 かなりデフォルメされており、年賀状にでも描かれていそうな馬と鹿が、椅子の上に立つ男子生徒を見上げていた。男子生徒はご丁寧に、良太と同じ髪型である。
「おい!」
 絵に含まれた意図を理解した良太が声を上げた時には既に、南田は前の扉から廊下に出ており、その影が窓ガラス越しに階段の方へと移動していた。
 良太は追うのも馬鹿らしいと思ったのか、ちくしょう、と吐き捨て、黒板の絵を憎々しげに消した。
 時計を見れば、五時前。確かにそろそろ帰る時間帯だ。
 僕も席を立ち、教室を出ることにする。
「おい、待て待て、待て」
 扉を抜ける前に肩を掴まれた。
 迷惑です、という思いをありったけ込めて振り向いたけど、良太は変わらず顔を顰めており、僕の思いには気付かない。
「行くぞ」
 それは簡潔で決意に満ちた言葉だった。

275空飛ぶ蛸の話 3/14:2004/10/14(木) 22:26
「どこに?」
 それは明瞭で当然の問いだった。
「細道だよ、決まってるだろ、宇宙怪物を見せてやる」
 良太の、およそ思いつきに違いない提案を呑む理由は微塵もない。ただ、退屈だからという理由で教室に残り、外を眺めることを趣味としている僕に、断る理由もない。
 どうしようか悩む僕の背中を押して、良太は教室を出た。
 クラス委員である良太の仕事の一つに、教室を空ける際の鍵閉めがある。推薦で決定した委員にも拘らず、良太は仕事を誠実にこなしている。現在も。
 電気を消して窓の鍵がかけられているかを確認して、教室の鍵を閉める。
「よし、行くぞ」
 人気のない廊下で立ち尽くしていた僕は、断る理由を思いつけず、歩き出した。
 高校生になったからといって中学校と校舎の構造が変わるわけじゃない。階段で各階に行き、各階には一年、二年、三年の教室が並んでいる。一階には男子トイレと職員室があり、二階には女子トイレと体育館へ繋がる扉がある。
 今の時間帯、体育館ではバスケット部とバレー部が練習に励んでいることだろう。
 僕らは階段を降りて、職員室へ向かう。良太が教室の鍵を届けないといけないからだ。それが終わると校門を目指し、そこを抜けると、家に続く道を歩くことになる。
「いや、まじですごかったぜ、あれは。空に浮いてんだよ、蛸が。八本足をひらひらさせてさ、ふわーってさ」
 本来なら辿るべき道を通り過ぎて、大通りに出る。理由は無論、良太のせいだ。
 良太は隣で頻りに話をしている。その、空飛ぶ蛸の話を。八本足で、夜空をひらひらと舞う、蛸の話を。
「ありゃさ、多分、火星人だぜ。火星から飛んできたんだよ、間違いない」
 僕は、ふーん、とあからさまに興味のない相槌をうちながら歩く。確かに帰宅してもやることなんてないけど、南田が絵を披露するほど呆れている事柄を調べに行くのに気が乗るはずがない。
 しばらく歩いていると空の色が暗くなり、四分の三の月が色を濃くし始めた。
 空とは裏腹に喧騒の激しい周囲のおかげで、良太の声は程よく聞こえない。勢いよく排気ガスを吐き出すトラックに感謝した。排気ガスではなく轟音に。
「ここだ」
 変哲ない道路、その道路の左側には家が建ち並んでいる。その家と家の間に一メートルほどの幅があり、緩やかな弧を描きながら伸びている細道の前で、良太が言った。
 ここですか。
「変哲のない道だな」
「ああ、ああ、だろう? しかも毎日のように使ってる道だからな、油断してたよ」
「いや、そりゃ油断するだろう」
 道を歩くのに緊張はしない、一般的に。
 僕は薄暗い細道を眺めて嘆息する。変質者でも待ち伏せていそうな道だが、空を見てもパックマンを連想させる月があるだけで、八本足の蛸の姿は見えない。
「それで、どうするんだ?」
 寒空の下に立ち尽くすのに飽きて聞くと、良太は細い目で道を見据えた。
「・・・・・・・・・・」
 道を見据えて、何も言わない。
 背後で車の通り過ぎる音が聞こえた。
「なあ、お前、ちゃんと考えてここに案内してくれたんだよな」
 良太が、ふう、と息を吐く。
「いや、なんか南田の態度にむかついて、思い付きだ」
 殊の外、良太は静かな口調で告げた。
「死ね!」
 良太の脇腹に蹴りを入れて、その場を後にする。背後で、うお、という声と人が倒れる音がしたが、振り向くことはない。
 全く、いつも通りにふざけた奴だ。
 やれやれ、という万感の思いを胸に暗くなった空を仰ぎ見る。月明かりのある空に、南田の絵が浮かんでいるような気がした。
 しかし空には、別のものが浮かんでいた。
「・・・・・・・・・・?」
 月明かりのせいでよく見えない。動いているので飛行機かとも思ったけど、それ自身が明かりを発していないことから、飛行機やヘリコプターではないことが分かった。
「・・・・・・・・?」
 次に暗闇に消える特殊仕様のヘリコプターを連想するが、それは、どうにも動きが不規則だった。ゆらゆらと、ひらひらと、まるで蝶のように舞っている。
「・・・・・・?」
 それは、足が八本あった。

276空飛ぶ蛸の話 4/14:2004/10/14(木) 22:31
 半円のような形、その直線の切れ目から八本の足が長く伸びている。
「・・・・おい!」
 振り向いて良太を見やれば、彼もまた空を仰いで呆然としており、星の輝く空を憑かれたように見つめていた。
 周りを見るが人の姿はなく、僕ら以外に空の異変に気付いている人はいない。
「宇宙怪物だ!」
 突然、良太が叫んだ。かと思ったらズボンに手を突っ込んで携帯電話を取り出し、折り畳み式のそれを開いてボタンを押した。
「お、おい? どこにかけてるんだ?」
 空の蛸を気にかけながら聞くと、南田、という切羽詰った返答が聞こえた。
 南田?
 良太は輝く瞳で空の蛸を睨んでいる。
「あ、あ、おい、南田、空を見ろ、空、空だよ空、蛸だって蛸、蛸だよ蛸、蛸・・ん? あ、くそ、切りやがった!」
 そりゃ、いきなり電話があって蛸を連呼されれば誰でも切るだろう。そうは思ったけど言う余裕がなく、僕は空の蛸を見ていた。
 八本足を躍らせて泳ぐ姿は、確かに蛸にしか思えない。しかし良太が叫んだように宇宙怪物かと問われれば、僕は首を傾げる。
 あれは、蛸の形をした凧だ。
 それが僕の下した結論だった。それならば容易に納得できるし、きっと南田も許容するだろう。ただ問題は残る。まだ十月も半ばだというのに、どうして凧なんてものを浮かべているか、だ。
 僕は空に浮かぶ凧を見遣りながら茫洋と意識を躍らせた。
 空飛ぶ凧が建物に遮られて細道の塀に隠れて見えなくなり、その姿を再発見できなかったことが原因で、僕は良太と別れた。彼は最後まで宇宙怪物の姿に興奮した様子だった。僕は一人の帰り道、暗い空の下を歩きながら、やはり凧について考えていた。

 翌日、学校にて。
 僕と良太と南田は、周りに人がいるとそれぞれ他人のふりをする。僕は窓際の席から外を眺めてぼうっとしているし、良太は活発な男子で形成された集団の中でお喋りをしているし、南田は寡黙に読書をしている。
 高校に入って半年が経った今、この風景は自然のものとして認知され、今さら誰もその自然を覆そうとはしない。
 僕はたまに隣の席の宮下と話すくらいだ。
 そのまま放課後になり、教室から騒がしさと話し声が去り、僕らが残される。
 この顔合わせが実現したのは、高校生になって一学期が終わり、二学期が始まり、良太がクラス委員に選ばれ、南田が同じくクラス委員に選ばれた頃だ。
 良太はその人気で選ばれ、南田は彼女以外の女子生徒が揃って委員を拒絶したことから自動的に決定された。
 僕は一学期のクラス委員で、だから最後まで教室に残ることは癖のようなものだった。家に帰ってもすることがないのは一学期から変わらない。どうせ次のクラス委員も、一学期に僕と同じくクラス委員だった迫田と同じで無責任だろう。そう思って残ることにしたのだ。ちなみに、僕がクラス委員に選ばれた理由は、出席番号だ。一学期の全ての委員は出席番号で決められた。
 そういった理由が働いて、僕と良太と南田は顔を合わせ、まず人当たりのいい良太が僕に話しかけ、さして人嫌いでもない僕は適当に応じ、それから意外と読書家の良太が本ばかり読んでいる南田に話しかけた。
 まあ、それが僕らの馴れ初めだ。
 以来、僕らは互いに適度に無関心に、放課後という自由な時間を過ごしている。
 今日もまた。
「あれはきっと、凧だよ」
 早速とばかりに騒ぎ出しそうな良太を牽制する意味合いを込めて、僕は言った。
 文庫本を開いた南田が、僕のいきなりの言葉に顔を上げた。
「ああ? おい、おいおいおい、そんなの分かってるんだよ、ありゃ蛸だよ、蛸」
 当然だ、とばかりに良太が頷いている。
 どうやら言葉の誤解が発生しているらしい。
「いや、違う。そっちの蛸じゃなくて、正月に飛ばす方の凧だよ」
「はぁ?」
 訂正すると、良太が不愉快を吐き出すように眉を歪めた。良太の眉は、八の字を通り越して奇妙な紋様みたくなっている。
 南田が静謐を維持して文庫本を閉じた。
「何か見たの?」
 彼女が進んで言葉を発するのは珍しいことだ。何しろ南田は一学期、放送委員に選ばれ、無言で昼休みを騒がせたのだ。ちなみにそれ以来、彼女は昼休み、いつも教室にいる。
「あ、ああ」

277空飛ぶ蛸の話 5/14:2004/10/14(木) 22:34
 僅かな動揺を押し殺して頷く。
「昨日、良太に連れられて、その問題の細道に行ったんだよ。そうしたら、本当に八本足の影が現れたんだ」
 一度目、確認のために空を見た時、凧の姿はなかった。しかし二度目、なんとなく空を見上げれば、そこには凧の姿があった。短時間で出現した時には流石に驚いたけど、でも凧なら簡単に飛ばせる。
 僕の説明に、南田は微かに頷いた。
「おい、まさか南田まで凧だと思ってるのか? 違う、違うぞ、あれはそんなもんじゃない。大体、凧糸なんて見えなかっただろ」
 良太が必死に反論した。
「いや、あれだけ暗ければそりゃ見えないよ」
 良太の反論を潰すと、南田が閉じた文庫本を机に置いた。口を開きかけた良太がすかさず黙り込む。良太もまた、南田に圧倒的な迫力を感じているんだろう。
「その凧、八本足だったの?」
 南田の発言は、妙な点に着目していた。
 思わず顔を見合わせる僕と良太をよそに、南田はどこまでも無表情を崩さず、返答を待ち侘びている。
 ああ、と良太が頷いた。
「確かに八本足だった。一回目も二回目も、間違いない。そうじゃなきゃ蛸なんて言わねえよ」
 そう、と南田が頷く。
 その後に何か言うのかと思ったら、南田は文庫本を手に取り、広げ、栞を取った。
「って、そんだけかよ!」
 良太のつっこみも理解できた。実際、僕も同じ言葉を胸中に抱いたのだ。
 それでも反応のない南田に見切りをつけた良太の顔がこちらを向く。僕は激しく外を見たい欲求に駆られたが、溜息で欲望という名の逃避を薙ぎ払った。
「よし、今日も行くぞ」
「今日も? どこへ?」
 敢えて忘れたふりをして否定的な意思を主張してみたけど、無駄だった。
「どこって決まってんだろ! あの蛸の細道! 今日こそ正体を見極めるぞ!」
「・・・・ううん」
 蛸の細道って名称はいかがなものか、という非常に物議を醸しそうな難題はさて置き、僕は心持ち首を捻る。
「それなら、どこか高いところの方がいいんじゃないか? あそこだと、昨日みたいに見失う可能性が高いと思うけど」
「む?」
 それもそうだな、と良太が腕を組む。
 南田を見れば、文庫本に目を落とし、活字が浮かび上がらせる世界を読み取ろうと熱心になっている。否、見た目はいつもと同じだけど。
 さっきの発言は、もしかしたら彼女なりの気遣いだったのかもしれない。こんなに熱心になっている良太への、些細な興味を覚えている、ということを伝える気遣い。そうすることで良太の気持ちを白けさせることを避けたのかもしれない。
 なんて、完全に僕の想像か。
 ただの気紛れだったんだろう、きっと。
「よし」
 数学の点だけがやけに高いと噂の良太が、熟慮を据えた末、結論を出したらしい。腕を解き僕を見て、頷く。
「ここに残るぞ」
 それは名案、とは言わない。
「この学校の部活は遅くまでやってるからな。特にバレー部は何を頑張ってんのか、八時ぐらいまでやってるらしい。学校が閉まるまで屋上にいたって問題ないだろう」
 いや、ある。僕は溜息を吐く。
「屋上って、開放されてたっけ?」
 良太は中空を仰ぎ、思案する。
「・・さあ、どうだったか」
「駄目じゃん」
 言ったのは南田だった。唖然とする僕と良太を置いて、南田は教室を出て行った。
「・・・・あいつのキャラクター性がまるで分からん」
「同感」
 僕が頷くと、教室に静けさが満ちた。
 窓の向こうから運動部の掛け声が聞こえてくる。小さく車の走る音も聞こえた。耳を澄ませば南田の呼吸音も聞こえそうだと思ったけど、信じてはいない。思っただけだ。
「さて、屋上に行くか」
「諦めてなかったんだ」
「ん?」
「行くか」
「おう」
 僕らは教室を出て、良太が教室の戸締りを確認して出入り口の鍵を閉め、その鍵を職員室に届けてから屋上に向かった。
 暇なのは確かだけど、だからといって寒空の下、凧に違いない、なのに良太が蛸と主張

278空飛ぶ蛸の話 6/14:2004/10/14(木) 22:35
する凧を観察するのは勘弁願いたい。それなら家でぼうっとしていたい。
 だけど僕の願いは儚く消えた。
 階段の踊り場で折り返し、屋上へと続く扉の前に立ち、良太がノブを捻る。呆れるほど明快に扉は開いた。
「おお、開いた!」
 開けた良太が驚愕している。
 僕も驚いたけど、寧ろ開いた扉の向こうから流れ込んできた冷たい風の方に驚愕した。
 寒い。凍えるほどではないけど、少なくとも指先を露出させることは避けたい。僕はポケットに手を突っ込んで屋上に出た。
「うわ、さみー」
「同感」
 良太もポケットに手を突っ込んだ。長身のためか様になっている。
 並んで歩いて扉と向かい合っている金網まで行き、金網にへばりついて空を見る。空は夕暮れ、赤みがかっていて、濁った灰色の雲が所々に浮いている。
 凧の姿は見えない。
「まだいねーな、宇宙怪獣」
 良太はしかめっ面で忌々しい口調だった。
「いや、凧だよ」
「分かってるよ」
 また誤解されているように思ったけど、黙っておいた。天は二物を与えない。なるほど、と僕は夕暮れ時の空を見つめた。
 これは、そもそも間違っている。確かに昨日、僕らは凧を見た。確かに一昨日、良太は凧を見たんだろう。しかしだからといって、今日もまた凧が現れるというわけではないのだ。そもそも予定されているわけではない。
 だから空が段々と暗くなるにも拘らず、じわじわと寒さに圧倒されているにも拘らず、空に凧が見えないのは、言ってしまえば必然なのだ。
 大体、そこまで興味もない。
 僕は、そろそろ帰るか、という言葉をいつ言おうか迷っていた。何しろ良太には帰る意思など見受けられず、ずっと、熱心に空を見つめているのだ。
 宇宙怪物は果たして、現れた。
「うを! 出たぞ!」
 夜空が現れだして星が雲の隙間から見え始め、そろそろ帰るか、という言葉をさり気なく宣言しようとしたその時、隣の良太が仰け反って叫んだ。
 その声に烏が応じた。
 いや、それどころじゃない。僕は金網にへばりつき、目を走らせる。
 い・・・・た?
「・・あれ、か?」
 確かにいた。半円というよりも円に近い形の、根元が幅広で先が尖っている八本足のある、蛸のような形をした凧。ただ。
「で、でかっ!」
 良太が叫んだ。
 確かに、でかい。昨日のは、単に距離のせいかもしれないが、三十センチといったところだった。しかし今日、今現在、遠くに見える蛸型の凧は、直径で二メートル近くあるように見える。
 あれは目立つなぁ。
 僕はある種の感嘆を覚えた。
「よし、よし、よし」
 良太が勢い込んで手をばたつかせるので何かと思えば、良太が取り出したのは黒色の小さな双眼鏡だった。
「準備万端」
「当然だっ」
 良太が双眼鏡を覗く。一体、何が見えるのか若干の興味はあったけど、僕はおとなしく良太の言葉を待った。
 二十八秒後、良太が眉を歪めた。
「・・・・何だ、あれ?」
 それは僕の科白だ。
 空に目をやれば、変わらず凧が浮いている。
 しかし空の暗さのせいで糸は確認できない。
「・・・・あれは・・・・よし」
 頷くと同時に双眼鏡をポケットに入れ、駆け出した。
「行くぞっ!」
 どこに、という問いは届かないだろう。僕も駆け出して屋上を出て、階段を駆け下り、恐らく誰よりも短時間で学校から出た。
 久しぶりの全力疾走に肺が酸素を求めたけど、運動神経に恵まれて普段から体育の授業を楽しんでいる良太のペースは衰えることがない。
 僕は必死になって足を前に出した。
 冷たい壁を連続で突き抜けているような感覚に襲われた。次第に足が重みを増して、前に出るのを嫌がっているように思えた。
 それにしても、何で僕はこんなに息をきらして走っているんだろうか。一学期の頃は夕暮れ時になったらひっそりと帰るだけだったのに。まあ、退屈じゃないから構わないといえば構わないんだけど、それにしても筋肉痛

279空飛ぶ蛸の話 7/14:2004/10/14(木) 22:40
まで厭わないわけじゃない。
 いくら頑張っても、良太と南田のいる教室で時を過ごすどまりだ。
 それなのに今、僕は走っている。
 顔を赤くさせ、獣のように息を吐き、鉛と化していく身体を疾走させて良太の背中を追っている。
 何でこんなことになったのやら、という疑問を堂々巡りにして十字路を曲がった瞬間、衝撃に襲われた。
 時が停止しているのに僕だけが動いているような錯覚。僕は後ろに倒れた。スローモーションの世界で倒れ、尻餅をついた。
 その刹那、時が動き始める。
「うわ、おい、なにやってんだよ!」
 先を走っていた良太が立ち止まり、振り返った。それは僕が聞きたい。
「大丈夫ですかっ?」
 良太が何かを支えている。
 黒色のコートを着込んでいる中年男性の姿に、僕は全てを理解した。全てといっても、僕が男性にぶつかってしまったという、それだけだ。僕は慌てて立ち上がり、腰を曲げている男性に駆け寄る。
「すいません、大丈夫ですか?」
 やや横に太い男性は、ああ、ああ、と煩わしそうに頷いた。僕は頭を下げる。すいません、すいません。男性は、ああ、ああ、と面倒そうに言いながら早々と歩き出した。
 その背中を見ていると、良太が、おい、と荒々しく呼びかけてきた。
「ん?」
「急げ!」
 そう言って良太は再び走り出す。というか、彼も僕のことを重んじてはくれていたらしい。そのわりに軽々と僕を置いていくけど。
 僕は仕方なく駆け出す。止まったせいで身体が非常に重く感じたけど、ここまで来て置いていかれるわけにもいかない。僕は半ば自棄になっているのだ。
 またも流れ去る景色。
良太が足を止めたのは、公園だった。
「ここだ、間違いない」
 どう間違いないのか定かではないが、僕はおとなしく良太の隣に並んだ。
 滑り台とブランコが暗闇に溶ける正方形の公園、そこは狭く、四角形の一辺に背の高い木が植えられている。多分、砂場もあるんだろうけど、今は見ることができない。
 僕は痙攣している胃を感じながら現場らしい公園を観察した。
「・・なあ」
「なんだ」
「・・ここ、何があるんだ?」
 それこそが僕の聞きたいことで、最も気になるところだった。
 良太は公園を直視したまま答える。
「糸がついてたんだ、あれ」
 やっぱり、という言葉を吐こうとしたけど、咳き込んで失敗した。
「見たとこ、ここだったんだが・・・・くそ、いねえな」
 確かにいない。
 公園には人の気配などないし、それ以前に周囲に人の気配がない。もう空は暗く、呑気に出歩く時間帯ではない。それに気温がプラスされたんだろう。
 普段なら僕も出歩かない。
 大きく深呼吸をする。漸く呼吸が落ち着いてきた。まだ苦しいけど。
「随分と早いな、畜生、追われてるのが分かってるみたいだ」
 相手が本当に飛来してきた火星人ならば納得するが、糸のついた凧を飛ばしているとなると話も変わってくる。
 なんと答えたものか、僕は黙りこくった。
 空を見ればいつの間にか、当然といえば当然だが凧の姿はない。いつ消えたのか、今となっては分からないことだった。
「しゃーない、帰るか」
「妥当だな」
 その日、僕らは結局、火星人なのか凧なのかも明確に判別できないまま家路についた。
 どうやらこの件は尾を引きそうだった。

 翌日、学校にて。
 僕はいつも通りに過ごすつもりだったけど、二時限目の数学が教師の風邪で自習となり、眼鏡で髪の薄い痩躯を見ずに済んだことによっていつも通りとはいかなくなった。
「もう、最悪だよう」
 隣の席の宮下が唐突に愚痴った。
 良太は男子グループの中で騒いでいるし、南田は文庫本に目を落としている。周りの席の男子女子はそれぞれ前後ろ又は隣と話していることから予測するに、彼女は僕に対して話しかけているらしい。
「どうしたんだ?」
 長い黒髪という印象しかなかった宮下に、リップを塗った唇という印象が加わった。

280空飛ぶ蛸の話 8/14:2004/10/14(木) 22:42
「もう、ほんとに最悪なんだよう」
 宮下が身を乗り出してくる。
「昨日さー、なんと初体験だよ、下着を盗まれちゃったんですよう」
「それは興味深い話だな」
 あははは、と宮下が甲高い笑い声を上げる。南田もこのぐらい簡単に笑えれば人気も出るだろうに。
 南田を見るが、相変わらずだ。
「もうサイアクっすよ、マジで。お気に入りだったのにー」
 宮下が頬を膨らませている。それは程好く愛らしくて、僕は微笑む。
「下着泥棒か。今時、いるんだな」
 宮下は力強く頷く。
「そう、いるんだよぉ。全く、洗濯した下着のどこがいいってんだよ、ねえ」
 激しく同意しかねたけど頷いておく。
「その通り」
「あ、欲しいとか、思う?」
 どういう軌道を描けばその問いに辿り着くのか非常に興味はあったけど、それは黙っておく。他人の思考回路なんてものは往々にして理解できないものだ。南田みたいに。
「いや、僕は遠慮するよ」
 苦笑する僕に、宮下が微笑みをくれた。
 宮下とは数えるほどしか話したことがないけど、宮下の態度はごく自然だった。きっと人見知りなんてしない性格なんだろう。
「にしても、下着泥棒って、どうやって盗んだんだ?」
 すると宮下は難しい顔をした。もとが愛嬌のある顔立ちなので、またしても愛らしい顔が出来上がった。
「それがさー、分からないんだよ。うちね、マンションなの。十五階建ての、八階。そこのベランダに干してんのにさ、どうやって盗んだのかなぁ」
 その時、何か引っ掛かるものを感じた。
 空を自由に舞う火星人。あいつなら、容易に宮下のお気に入りの下着を盗むことが可能だろう。
 まあ、でも、火星人は下着を盗まないか。
「あ、そうだぁ、犯人さ、捕まえてくれたら、その下着をプレゼントするよ」
 宮下がけらけらと笑う。
「よし、なら頑張ってみようかな」
 やる気を漲らせた僕に、宮下の更なる笑い声が応援歌として送られた。
 実際問題、下着なんて貰っても使い道がない上に、犯人の手中にあった下着なんて気持ち悪いという思いがあったけど、宮下が黙りこくってしまうのを恐れて言わなかった。
 そういえば、良太と南田以外のクラスメイトと話したのは久しぶりだ。
 しかしそれ以上の会話はなく放課後を迎えた僕は、良太の難しい顔と南田の変化に乏しい顔を見つめていた。
「今日は、捕まえるぞ、あいつ」
 重々しく宣言した良太に、南田が顔を向ける。文庫本は開かれているが、もう少し興味を惹けば栞が挟まれるだろう。
「捕まえるって、誰を?」
 問う僕を呆れた目が射抜く。
「決まってるだろ! あいつだよ、あの凧を飛ばした奴」
「凧?」
 南田が栞を挟んで本を閉じた。
「ああ、凧、凧だよ。あの正月に飛ばすやつ。昨日はあれが現れたんだ」
 ん? 僕は首を捻る。
「昨日は?」
 『は』じゃなくて『も』だろ、という意味を込めての言葉だったけど、良太はさも意外とばかりの顔をする。
「なんだ、昨日のあれ、凧だったろ?」
「いや、そうだったけど・・一昨日もだろ?」
「はぁ? 違う、何を言ってるんだ、何を言ってるんだ、一昨日のあれと昨日の凧は全く別もんだろ」
 確信を込めた物言いに何も言えない。
 黙った僕を尻目に、南田がほんの僅か、その身を乗り出した。
「昨日の凧、どうなったの?」
「あん?」
 南田の積極的な姿勢にたじろぐ良太だったが、しかしそれも十秒未満のことで、あっという間に嫌らしい笑みを浮かべた。
「知りたいか?」
 南田は一度、小さく頷く。
「よし、ならば教えてやろう」
「誰だよ」
 取り敢えずつっこんでみたけど、良太も南田も無視した。
「そう、あれは昨日の宵闇差し迫る刻限、俺たちは学校の屋上にいた。あれを見つけたのは、そろそろ帰ろうかと悩んでいる時だった」
 なるほど、どうやらあの時の僕と良太の心は相違に乏しいものだったらしい。意外と簡単に人と人は分かり合えるのかもしれないと

281空飛ぶ蛸の話 9/14:2004/10/14(木) 22:44
錯覚した。
「形は蛸だった。しかし妙だった。あれは明らかに、先日に見たものと形が違っていた。だからぴんときた、あれは偽者だ、と。きっと蛸を見た奴が模倣したんだろう。そう思うと怒りが込み上げ、犯人を見つけてやろうという気になった」
 なるほど、突如として走り出した理由はそれだったのか。ならば僕は怒りに付き合わされたということか。
 やっぱり人の気持ちなんて分からない。
「ま、結局、犯人を見つけることなんてできなかったけどな」
 語り終えた良太に対して南田の感想は、そう、という一言だけだった。
 てっきり良太が激昂するかと思ったが、もう慣れたものなのか、肩を竦めるに留まった。
 僕は窓の外に目を向けた。
 夕焼けにはまだ早い。青空は白い雲のせいで切れ切れになり、太陽の姿も今は見えない。陽光が差し込まない教室は蛍光灯の白々とした光に照らされ、運動部の掛け声だけを招き入れている。
「そういえば」
 別に言うようなことでもないけどと思いながら言ってしまうというのは、結局のところ言いたいだけなんだろう。
「宮下が下着泥棒に遭ったらしいよ」
「うぇ?」
 奇妙な声を上げたのは良太で、教室を振り返れば良太は僕を凝視し、南田も文庫本を閉じて僕を見ている。
 どうやら興味深い話題らしい。
「いや、詳しい話は知らないけどね」
 僕が前置きとして言うと、良太は露骨に大仰な溜息を吐き、椅子の背凭れを最大限に利用した。
 まあ、良太らしい反応だから怒りもない。
 南田は真摯な目で僕を見ている。
「十五階建てマンションの八階のベランダに干してあったらしいけど、盗まれたらしいよ」
「犯人はスパイダーマンか」
 良太がさも興味もなさそうに答えた。僕は溜息を吐き、南田は完璧に無視する。
「宮下さんの家ってどこなの?」
「さあ、分からない」
「なんだよ分かんねーのかよ」
 はぶてている良太が揶揄したが、南田はどこまでもマイペースだ。
「私も盗まれた」
 良太が盛大に噎せた。
 突拍子のない告白に僕も少なからず驚いた。目を見張って、飄々としている南田を注視してしまった。
 やけに長い間の後、かろうじて平静を取り戻した良太が笑い出す。
「はは、ならお前、今はどうしてるんだ?」
「ノーパン」
 世界が止まるかのような衝撃を受けた。
 多分、良太にしてみれば場を和ますための、どうということのない野次か揶揄のつもりだったんだろうけど、それも全て南田の一言によって崩壊した。
 僕は外を見たい欲求に駆られたけど、動くことができない。良太は目を丸くして、口をぱくぱくとさせている。
「うっそーん」
 長い沈黙を破ったのは南田の一言だった。
 僕は漸く外を見て、良太が盛大に溜息を吐く。南田に変化はない。
「お前なぁ、いやいや、いやいやいや、そういう対応に困る冗談はよせ、マジで、なあ、すっげー困るから」
 それでも南田に変化がないということは、止めるつもりはないということだろう。
 僕は少し赤みが差してきた空を見つめた。
 まさか僕の気紛れの話題提供がこんな形で帰結するとは思いもしなかった。
侮りがたし、南田。
「はぁ、ったく、やれやれ」
 良太の呆れ混じりの溜息が聞こえる。
「んで、お前が下着を盗まれたってのはマジなのか?」
 南田は答えなかったが頷いたのが分かった。
「ふぅん、んで、お前ん家もマンションか?」
「七階建ての五階」
「? ベランダに干してんのか」
 ちらりと振り向けば南田が頷くのが見えた。
「ふぅん。っつーか、んな場所に干してんのにどうやって盗むんだ? ベランダを這い上がって盗んでんのか?」
「さあ」
 さあ。素晴らしい言葉だ。僕が感動していると、良太が手を打った。
「分かった!」
 取り敢えずという気持ちで目を向ける。良太は会心の笑みを披露していた。
「凧は、下着だったんだ!」
「? どういう意味だよ」
 良太が僕に身体を向ける。南田は相変わら

282空飛ぶ蛸の話 10/14:2004/10/14(木) 22:47
ずの顔で良太を見ている。
「だからだな、昨日のあれだよ!」
 僕には良太の言葉の意味が分からない。素直に首を捻ると、良太は大きく息を吐いた。
「だからだなぁ、まず犯人は、どっか高いビルにでも上るんだよ、そんでだな、釣竿、釣竿でどっか高い、普通なら狙われない下着を引っ掛けて、後はフックを引いて奪いとりゃいいんだよ」
「? ふん」
 それがどう凧に繋がるのか理解できずにいると、またも良太が溜息を吐く。
「だからぁ、下着を引っ掛けて、しなった竿が慣性の法則に従って弧を描くだろ。つまり、下着が高いとこを飛ぶんだよ。その様が夜の闇に紛れて、蛸みたいな形に見えたんだよ」
「・・・・うぅん?」
 頭にその様を思い描くが、どうも不明瞭であやふやだ。しかも説明しているのが良太ということで更に鮮明さを帯びない。
 不意に南田が立ち上がった。
「あん? なんだどうした?」
 話の腰を折られた良太が怪訝そうにするが、南田は取り合う隙を見せない。伸ばした背筋をそのままに黒板へ向かうと、白の短いチョークを持ち、なにやら描き始めた。
「ふい? なんじゃ?」
 僕も良太も黒板を見つめる。
 南田の白に近い色の手は、まずパンツを書いた。そのパンツの両端にブラジャーの紐を四本ずつ付けた。更にパンツの両端からは線が伸び、その線は黒板の端まで行き、その線は釣竿に繋がっていた。二又の糸を伸ばしている釣竿。
 それで終わりのようで、南田はぱたぱたと上履きを鳴らして椅子に戻った。
「・・ああ、なるほど」
 その絵を見て、僕は頷く。確かに、見ようによっては蛸のように見えるかもしれないという気になった。
「そう、そう、それを言いたかった」
 良太も絵を称えている。
 僕らの反応に南田が小さくガッツポーズをとったが、その件に関しては触れずにおいた。
 やはり南田、侮れない。
「でも、双眼鏡で確認したんだろ?」
 僕が昨日のことを思い出して言うと、良太は乱暴に頭を掻く。
「まあ、そうだが、暗かったからな。白い糸は見えたんだが、凧は暗い塊にしか見えんかった。ってことで、盗まれた下着は黒、お姉さん系の人のものだな」
「・・・・・・そうか」
 駄目だ、本当に良太が可哀相に思えてきた。
 それからしばらく、僕と良太の間で雑談がなされ、そうこうしていると空が真っ赤に染まり、南田が無言のまま教室を出て行った。
 南田に遅れること十分、僕らも教室を出て職員室に寄って学校を出た。
「いや、ふと思ったんだが」
 それは緩やかな坂道を下っている時だった。
「その下着ドロ、どうする?」
 良太は何気ない調子で聞いてきた。
「どうするって・・何が?」
「何がって、だってよ、その下着泥棒の手口を知ってんだぞ、俺ら。そうなるとやっぱ、なんかせにゃならんだろ?」
「ん? ううん」
 そういうことになるんだろうか。
「でも、本当にそうなのかっていうのは分からないんだろ? それじゃあ、警察にも通報できないだろ」
 とは言ったものの、実際は警察に話をするのが億劫というか、面倒臭いという思いの方が強かった。
 むう、と良太が唸っている。
 僕はそろそろ良太と別れる道が近づいているのを悟り、どの辺で話を切り上げるべきかに思いを巡らせていた。
「そうなるとやっぱ、自力かぁ」
 途方もなく嫌な予感がしてさり気なく歩を速めたが、無駄に終わった。
「よし!」
 いよいよ訪れた分かれ道、そこで『じゃあな』という言葉を自然に吐こうとしたその瞬間に、良太が決意を迸らせた。
「南田や宮下まで被害に遭ってんだ、いっちょ俺らが捕まえるか!」
 顔に笑みこそあるものの、本気であることは明白だった。良太はそういう奴なのだ。頭の螺子が弛んでいるのではなく、螺子の構造からして違っている。きっと彼の螺子は螺旋ではなく十字を描いているんだ。
 無論、退屈を持て余す僕に、断りを入れる手段などなかった。

「方法はこうだ。俺は学校、お前はその辺の屋上から凧を探す。その凧が現れたら俺はお前に、お前は俺に連絡を入れる。と同時にその凧の場所を探し出して駆けつける、犯人を

283空飛ぶ蛸の話 11/14:2004/10/14(木) 22:48
見つけたら、まあ、そっからは各自の判断だ」
 この世界に存在するあらゆる無秩序を寄せ集めたような計画だった。成功や失敗以前の問題だった。実際問題として僕が携帯電話を持っていないということで計画の一部はあっさりと破綻した。それなのに良太は計画に変更を求めず、実行に移した。
 そして今、僕はマンションの屋上にいる。
 半分が赤、残りの半分が黒に染まる空の下、露出している肌を貫く冷たい風の中、十五階建てのマンションの上、そこに僕はいる。
 四方はもちろんのこと金網で遮られて簡単には乗り越えられないようになっている。その一辺にへばりつき、高い建物を中心として観察するが、現在のところ怪しい素振りを見せる輩はいない。
 良太の案が正しいとして、あれだけ高いところまで下着を飛ばすとなれば、釣竿を伸ばす位置もそれ相応の高さがいるように思える。
 しかし見たところ高い建物は少ない。
 この街はまだまだ発展途上なのだ。
 僕がいる十五階建て(ここが宮下の住むマンションである確率は高い)の他に、百メートルほど離れれば七階建てのマンションがあり(そこが南田の住むマンションである確率は高い)、右手の方に四階か五階建てのアパート、背後に二百メートルほどの位置に病院があるくらいだ。後は、正面である七階建てのマンションを北として、北東二百メートルの位置に学校があるくらいか。
 その位置関係に凧が現れた場所として良太が挙げた公園を付け足す。公園は北東五十メートルの位置にあるけど、背の高い木と暗がりのせいで窺うことはできない。
 良太の案を採用するとしたら、しかし良太が当たりをつけた公園は除外される。何しろ公園には高い場所なんてない。
 そうなると、公園という目測はハズレであったということになるんだろうか。否、そもそも良太が公園に当たりをつけた理由が分からない。まあ、妥当に考えれば糸の位置から把握したんだろうけど。
 でも、そう考えるとまた分からなくなる。何しろ公園の近い位置にある高い建物といえば、被害のあった七階建てマンションと僕が立っている十五階建てマンションだ。否、双方のマンションがそれぞれ南田と宮下の家なのかは分からないから確証はないんだけど。
 それに病院の方向も加えないといけない。
 何故なら良太が最初に見た凧(蛸?)の位置は細道から見えたもので、そうなると向こう側の高い建物なんてそれこそ病院しかない。けれどまさか病院の屋上から釣竿で下着を盗む奴なんていないだろう。
 なんか、矛盾してる気がするんだけど。
「・・・・・・・・・・」
 案外、良太の言うように最初と僕が見た二回目のあれは別物で、昨日のあれこそが下着泥棒のものだったのかもしれない。
 そのようなことを考えて三十分。凧が現れる気配はない。
 異変は、前触れなく突如として突然に、そして同時に起こった。
「あっ?」
 一瞬、ちらっとだけだが、確かに奇妙なものが弧を描いて飛んだ。それは正面の七階建てマンションの壁を滑るようにして落ちた。影こそ蛸ではなかったが、何か、少なくとも鳥ではない何か、例えるなら下着のついた釣り針を引き寄せたような、そんな感じだった。
 多分、それだけなら僕は動かなかった。
 鳥だろう、という一言で済ませたけど、問題は公園の上空だった。
 月明かりに照らされる二メートル近い蛸。
 ほぼ円形の、八本足のそれが、公園の上空でゆらゆらと踊っていたのだ。
 それこそが僕の声を上げた原因であり、駆けつけようと思った要因であり、けれど思わず立ち止まって絶句した理由ではなかった。
 振り向いた先にも蛸がいた。
「・・・・・・・・・・」
 あれは、病院の方角だ。初めて、良太と一緒に見たものと酷似している。背後にいたから浮かんだところに気付かなかったのか?
 公園上空の二メートル近い影は、何かがマンションを滑り落ちるのに比例して上っていった。では、背後のあれは、いつ上がったんだ?
 僕は絶句し、立ち尽くす。
 どちらに、否、三択のうちどれを選択するべきなのか分からなかった。
 七階建てのマンション。公園の蛸。病院の蛸。それぞれ同列に怪しい。どれもおかしい。
 僕は携帯電話を所有していないことを生まれて初めて後悔した。
 しかし、しかし、立ち止まってばかりいるわけにもいかない。どれかを選択して駆けつけなければいけないのだ。
 別にそんな必要もないようには思えたけど、乗りかかった舟、きっと今現在、良太も学校

284空飛ぶ蛸の話 12/14:2004/10/14(木) 22:48
から同じ景色を見てどれに向かうか悩んでいるだろう、だから僕も。
「ん?」
 そこで、ふと思いつく。
 学校から最も近いのは公園だ。でも昨日、学校から全速力で公園に駆けつけても誰もいなかった。そうなると犯人、というか凧を上げた人間は、逆方向に逃げたんじゃないか?学校の逆方向なら、マンションから向かえば鉢合わせる可能性がある。あんな大きな凧を抱える人間だ、一目でそれと分かる。
 僕は選択する。
 目指すべきは公園だ。良太も最も近い公園を選択してくれていると踏んで公園を目指すのが、最も効率がいいように思える。
 正面のマンションを滑り落ちた影はなんなのか判然としない。背後の影は病院付近で道は入り組み、飛ばしている場所も判然としない。消去法でも残るのは公園だ。
 僕は脱兎のごとく階段を駆け下り、叫ぶ喉、痛む肺、引きつる足、それら全て、肉体の上げる悲鳴を悉く無視した。
 マンションを出れば三十分ほども眺めていた甲斐あって最短距離を選択できる。車の往来激しい大通りを駆け抜けて途中から細道に入り、路地を横切れば公園に出る。
 大通りでは自転車に乗ったおばさんとぶつかりそうになった。細道では並んで歩く小学生とぶつかりそうになった。路地を横切る時、段差に気付かず前のめりになった。
それでも五体満足に公園まで辿り着けたと思ったら、最後で失敗した。
「きゃっ」
 聞こえたのは小さな悲鳴だった。
 フラッシュバックを体験した。また誰かにぶつかったのだ。まともに。正面から。でも今度は体重の差か、吹っ飛ぶことはなかった。吹っ飛んだのはぶつかった相手の方だった。
 つまり、悲鳴を上げた誰かさん。
「あ、あ、す、すいませんっ」
 息も切れ切れ、必死の思いで言葉を吐き出して差し伸べた手の先には、南田がいた。
「あ、は? え?」
 南田は体育座りみたいな格好をしている。五センチほど背中を上げてかろうじてアスファルトにつかないようにしているけど、両手はしっかりとアスファルトについていた。
 その脇に落ちている蛸の形をした凧。
「あ、あ? ん?」
 理解が追いつかない。認識がままならない。
 南田がスカートで太腿を隠してから僕の手を握った。
 状況に流されて引っ張る。
 立ち上がった南田はスカートを払い、髪を整え、凧を拾い上げて両手で抱えた。
「痛かった」
 南田の目が僕の疲れ果てた目を射抜く。
 一瞬で疲労が吹っ飛んだ。南田の冷静さが僕に憑いたかのようだった。
「南田、なにしてるの?」
 口をついて出た言葉は返答を期待したものではなかった。ただ聞いただけ。だから答えがなくても気にならなかった。
「痛かった」
 南田はその一言を繰り返した。
 なるほど、僕は彼女に言うべき言葉を見つけて頭を下げる。
「ごめん、悪かった」
「うん」
 南田が微かに笑んだ気がしたけど、余韻に浸ることは不可能だった。
「だぁ! おい、おいおい! 下着泥棒だ、捕まえろ!」
「はぁ?」
 聞こえた声に怪訝としていると、公園の中、出入り口を良太が駆け込んできた。その先、五メートルくらいの位置を黒っぽいコートの中年男性が走っている。
「あ、昨日の人だ」
「あ、下着泥棒だ」
 僕の言葉と南田の言葉が重なった。
「へ?」
 聞き返す僕に、南田は答えない。代わりとばかりに中年男性を指差した。
 中年男性は必死の形相で走っている。低い植木を飛び越えて僕らの方に向かってくる。といっても、向かう先が僕らの背後の路地しかないのだ。
「おうい! おい、おいおいおい! 捕まえろってマジで! 下着泥棒なんだよ!」
 低い植木を飛び越えた良太が叫ぶ。彼の髪は乱れ、汗が散っている。いくら寒くても学校からここまで走ればそうなるだろう。
 中年男性は帽子のせいで髪は乱れていないが、公園の証明に照らされ、皺だらけの顔を覗かせている。垂れた目と厚ぼったい唇も見ようによっては愛嬌があるが、下着泥棒というレッテルを与えられれば醜悪でしかない。
「えっと、本当に下着泥棒?」
 隣の南田に訊ねると、彼女は中年男性を指

285空飛ぶ蛸の話 13/14:2004/10/14(木) 22:49
したまま小さく頷いた。
 中年男性との距離は三メートル。
 このままでは体当たりを食らう。
 僕は一歩前に出て、南田の位置を意識し、過程と結果を脳裏でシミュレートしてから小さく息を吐く。
 全てが終われば中年男性は目の前にいて、凄まじい形相と迫力でぶつかってきた。
 僕は中腰になって足を前に出す。中年男性はきょとんとした目を一瞬だけ見せ、次の瞬間には脛を蹴られ、前のめりになった。反射的に前に出した腕を僕が掴み、後は身体を横にずらすと同時に腕を掴んだ手を中年男性の足先に触れさせるように下げる。
 結果は思い描いた通りだった。
 彼は半回転して背中からアスファルトに打ち付けられた。位置も思った通り。南田の脇で呻く彼にスカートの中を警戒したのか、南田は三歩だけ下がった。
「ナイス!」
 滑り込みで到着した良太が拳を握り親指を立てた。
 僕は高鳴った鼓動を抑えるのに精一杯で、何も言うことができなかった。

 翌日に至るまでの苦難。
 良太がすかさず警察に通報したおかげで、僕らは下着泥棒と一緒に小さな警察署まで連れて行かれて話を聞かれた。
 初老の警察官と青年の警察官、二人に話をして家に帰り着いたのは午後十時過ぎだった。
 帰り道、僕も良太も南田も無言だった。
 よっぽど疲れていたんだろう。

 翌日。
 授業中、外を眺めていると猛烈な眠気に襲われ、教室内を見回した。良太は机に突っ伏して盛大に眠りこけており、南田は肘をついて手に頭を置き、目を閉じていた。まず間違いなく彼女も寝ている。
「ねえ、どうかしたのう?」
 宮下がいきなり話しかけてきた。
 国語の授業は老婆で、若干の話し声なら黙殺する余裕を持っている。やはり年齢を重ねると寛大さが出るのだろう。
「なぁんか、すごい疲れた顔してる」
「ん? ああ、下着泥棒を捕まえるために奮闘してさ」
 宮下が目を細めて柔らかく笑んだ。
「景品は私の下着だよぉ」
「ああ、頑張るよ」
 そこで宮下がけらけらと笑って、寛大な国語教師に叱責された。
 宮下の頬が少し赤くなった。

 放課後、僕はいつものように帰りのホームルームが終わっても席から離れることなく、外を眺めていた。
 雲は分厚く、今にも泣き出しそうだ。
「にしてもさぁ、昨日はびびったよなあ。いや、いきなり蛸が二体も現れやがってさ、俺は、取り敢えず近い方に行こうと思ってさ、向かったんだよ。そしたらマンションの手前で釣竿を折り畳んでる奴がいてさ、そいつポケットに下着とか突っ込んでて、慌てて追っかけたんだよ。そしたらお前らがいて・・・・そういや、お前らは何してたんだ?」
 昨日、警察署では一人ずつ話をした。しかも帰りがけは話をしなかったのでお互いのことはまるで分からない。
 僕は今の良太の告白で、昨日、彼が中年男性を追っかけていた理由を知った。
 僕はちらと南田を見る。彼女は文庫本を開いて目を落としている。自ら何かを語るつもりはないらしい。
「僕も、良太と変わらないな。凧を見て、駆けつけて、そこに南田がいて、そうしていたら下着泥棒と良太が現れた」
 良太が、ふうん、と気のない返答をした。
 まあ、僕の話では何も分からないのだから仕方がない。僕が南田に目をやると、良太も同じように南田を見た。
 二人に見つめられて南田が本に栞を挟む。
 閉じられた本の代わりに開かれた口が、全てを明らかにした。

「まず蛸の話を聞いた。翌日、マンションの前で釣竿を伸ばしている不審人物を見つけた。部屋に戻ってベランダを覗けば干していた下着がなくなっていて、犯人と方法が明らかになった。あなたたちが蛸を探すために屋上から見張るという話を聞いていた。急いで蛸の凧を作って、公園で飛ばした。うまくいけば犯人と鉢合わせて捕まえてくれるかもと思った。翌日も犯人を見かけて同じことをした。結果、犯人は捕まった。めでたしめでたし」

 僕は想像する。
 部屋に帰り、ベランダを覗いて下着がなくなっているのに気付いて、いそいそと蛸の形

286空飛ぶ蛸の話 14/14:2004/10/14(木) 22:50
の凧を作成している彼女の姿を。
 それを胸に抱き、公園で飛ばしている彼女の姿を。
 なんとも微笑ましい気持ちになる。
 リスが口一杯に木の実を頬張っている姿を見た時と同じ気持ちだろうか。
 ただ、引っ掛かる部分が多々あった。

「ってぇか、おい、まず警察に通報しようという気にはならなかったのか?」
 尤もな質問に、南田は首を振る。
「喋るのが嫌」
 これもまた、尤もな言い分だった。何しろ彼女は、放送委員にも拘らず、無言で仕事を果たしたのだ。
 それに、警察に通報するというのは億劫であるという気持ちは、僕にも理解できた。
「ならさ、俺らに言えばよかったじゃん。いやいや、いやいやいやいや、それが駄目でも家族にでも言えばよかったじゃんか」
「・・・・・・・・・・」
 沈黙の後、あ、と彼女が手を合わせた。
「おい!」
 良太がつっこんだが、これは南田なりの冗談なのだろう。
きっと彼女は、本当のところ下着泥棒などどうでもよかったんだろう。そうでなければ凧を飛ばしたりといった面倒な方法は選ばない。喋るのが嫌ならメールで良太に知らせればいいだけだ。
 彼女にしてみれば暇潰しだったんだろう。
「・・・・ん? あれ、ちょい待て、ならさ、あの病院の方で飛んでた蛸はなんなんだ?」
 こめかみに指を当てている良太の疑問に答えることはできなかった。
 僕は無論、南田も。
「ん? あれ、南田、知らないのか?」
「知らない」
 良太の期待も無下に裏切る。
「・・そうか。やっぱりあれは、宇宙怪物か」
 僕は窓の外を眺めて、南田は文庫本の栞を取った。
 こうして時間は過ぎていく。

 本来なら表彰状が出るはずだったんだけど、僕と南田は首を振り、良太も僕らが辞退するならという理由で受け取らなかった。

 空飛ぶ蛸の話。
 それに付随した下着泥棒の話。
 結局、僕ら三人しか知らないし、僕ら三人も詳しくは知らない。

287実験1/2:2005/01/09(日) 14:38
 さらさらと降りつづける細かな雨が、森の吐出す呼気とあわさり、視界をひどく悪くしていた。
 大尉は制帽を脱いで顔をぬぐうと、制帽についた水滴を叩くようにして払い、今度は斜に被りなおした。
 雨降る国境の森は色を失い、灰色の中へと沈んでいた。単調な雨音は周囲の風景から現実感覚を奪い、ただ匂い、雨に濡れた草と木と土の匂いだけが、森の、生命の存在を思い出させた。
 大尉が隠れているのは森の中を通る細い街道沿いの木々の間だ。そこから街道を一望できる。かつては隊商や旅行者達でにぎわっていただろう道は、打ち続く戦争で交易が激減したことにより、ゆっくりと森に飲み込まれつつあった。
「隊長」
いつのまにか傍らに来ていた軍曹が、低く抑えた声で大尉を呼んだ。
「全員、配置につきました」
軍曹は二十歳そこそこの女性下士官で、今では大尉の最も信頼している部下の一人となっていた。簡潔極まりない報告に、大尉は無言でうなずくと、あらためて街道の方へと視線を向けた。
 街道を大尉たちの方へと向かってくる一団は、ほとんど、人間と変わりがないように見えた。
 人数はわずか十人ほどだが、その全員が甲冑をまとい、帯剣している。油断なく周囲を見まわす身のこなしのなめらかさ、しなやかさは訓練された舞踏家のようで、とても力仕事に向いているようには思えない。耳は長くとがって特徴的で、目は猫のそれのようにくるくる変わる。顔は女性的なまでに整っているが、いま、その美しいかんばせに浮かんでいるのは緊張と恐怖が半々ほどで、彼らがこの手の任務に慣れていないことを想像させる。
 エルフ。目下のところの、人類の敵。大尉たちの、戦争相手。
「偵察隊だな」
と大尉は言った。
「しかもどうやら、素人だ。……やれるか、軍曹」
「エルフは魔法を使います」
銃の用意をしながら、メイは応えた。
「常時本隊と魔法で連絡をとっていて、死ぬことも任務の成功に含まれるのかも」
「連絡が途切れたところには我々がいる、か。まぁ、そのことは考えてみても仕方がないな。どの道このままでは発見される」
「それが問いへの答えです。どの道、やるしかありません」
「連中が事前に設定した射撃開始線に達したところで戦闘開始、行動計画に変更なし、捕虜は取らない、以上」
「了解」
 軍曹はかさばる鉄兜を大尉に預け、首にかけていた暗視ゴーグルを身に着けた。ゴーグルは先史文明の軍事遺跡から発掘される貴重品で、大尉の部隊にはこれが十数機配備されていた。
 暗視ゴーグルを着けた軍曹は、銃を構えてエルフに向けた。エルフは人間よりも五感が優れるが、雨がそれらを打ち消していた。

288実験2/2:2005/01/09(日) 14:38
 死にかけた敵に止めを刺す作業を、大尉は部下にやらせようとはしなかった。自ら、私物のナイフをもって、エルフの喉を裂いてまわった。
 戦闘にはほとんど時間はかからなかった。
 軍曹は、先頭を進むエルフが事前に目をつけていた大木の横を通ったところで、銃を放った。銃弾は正確にエルフの頭の半分を吹き飛ばし、それが街道沿いに隠れていた兵達への戦闘開始の合図となった。エルフ側は完全に奇襲を受けた格好で、森の中からの銃弾に、半数が成すすべもなく打ち倒された。エルフ側が混乱した隙をついて、大尉たちは突撃をかけた。
 戦闘終了後、自分の足で地に立っているエルフはいなかった。その全てが死ぬか、ほとんど死にかけていた。それに対して大尉たち人間側の死者は一名、突撃の際、大尉の右手を駆けていた兵士が、魔法でマッチ棒のように炎上しただけだった。
 大尉が血なまぐさい仕事を機械的にこなしていると、まだ子供のような顔をしたエルフが一人、喉を裂かれる際に何かを言った。
「なんと言った?」
ナイフを死体の衣服で拭った後に、大尉はエルフ語のわかる少尉にそのことを尋ねた。
「はい。いやだ、死にたくないよ、です。大尉」
「そうか」
大尉はほんの一瞬だけ目を閉じて、
「撤収する。死体は使えるものを剥ぎ取った後、なるべく目のつかないところへ埋める。本隊に合流するぞ。今日中に街道を離れる、急げ」
「了解」

289山田殺人事務所繁盛記:2005/02/27(日) 12:52:39
 もうヤケだ……

http://www.geocities.jp/sitikoku/huyukai/yamada.html

 です。感想お願いします。

290イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/28(月) 19:02:36
>>289
最初の語り口と実際の殺し屋のギャップはよかったがいかんせん展開が
ありきたりすぎ。
文章は普通に読めるレベルだと思う。山田さんを生かすも殺すもネタしだいじゃない?

291イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/28(月) 20:40:43
>>289
感情移入の対象となるべき主人公が、自殺志願者……って、
難しいよね(ネタバレすまない)

人生を投げている主人公は、外の世界のイベントに対して、
ほとんど感情を出して反応しない。

その結果、逆に、読者が主人公の目を通してイベントを
みた場合には、何もスゴイことが起こっていないように
見える。

読み進めていけば、哲学的な考察につながり、知的に興味
をそそる面白い部分もあるわけだけれども、何分に最初の
スタートダッシュが弱い。

292イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/28(月) 23:14:15
短編っていうか――ふと思いついたネタを纏めて書いた『予告』みたいな感じなんだが
感想くれると嬉しい
以下、本文

293イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/28(月) 23:15:27
 日本。
 半世紀も前にテメエこらファンタジーかみたいなノリで『帝國』を名乗って戦争を起こした癖に
 圧倒的物量でもってタコ殴りにされた挙句、今現在も悪者扱いを受けている世界一ヘタレかつチキンな国家である。
 モットーは対話と圧力。多分恐らく確実に二,三〇年は政治経済なんて殆ど変わってない頑固な国家である。
 借金七〇〇兆円とかいう超借金大国なのに殆ど対策練らないなんて良い根性してる国家である。

 だもんだから、ちょっぴりブチギレたって良いじゃないかと思う国民さんがあらわれた。

「た、大変です東京都知事!」
「どうしたんだね、そんなに慌てて」
「こ、国会議事堂がテロリストに占拠されました!」
「な、なんだってー!?」
「しかも社会化見学中の学生達を人質にとって立てこもってます!」
「な、なんだってー!?」
「ついでに国会議員の皆さんも人質にされました!」
「ぶっちゃけどうでも良いな。で、あんた達誰よ?」
「テロリストです」
「な、なんだってー!?」


 日本を立てなおす心意気を持ったテロリスト、合計五十人。
「この腐った政治家どもに鉄槌を――!」
「経済をもっと良くしろ――!!」
「税金の無駄遣いをやめろ――!!」
 訂正。
 バカの一つ覚えしか言えない人、合計五十人。


 日本を今まで支えてきた国家の要の国会議員、合計百人。
「やはりコレは、強引な政策を進めてきた自民党の責任ではないだろうか」
「いや!先日の貴方がた野党の発言が彼らを炊きつけたに違いない!」
「提案なんだが……彼らのようなテロリストに対処できるような装備と権限を自衛隊に与えては?」
「そんな事をして軍国主義になったらどうする!?」
「君は責任をとれるのかね!?」
「―――――」
 訂正。
 ぶっちゃけどうでも良い方々、合計百人。


 未来の日本を支える高校生、二百人。
「えー?テロリストー?」
「マジやばくね?」
「っていうかー超凄いんだけど」
「俺達人質みたいだぜ?」
「へー。ぶっちゃけどーでもいーし」
 訂正。
 手前ら危機感無さすぎだよな将来を任せたくない人達、二百人。


 勤勉な女子高校生、一人。
「こんな時、映画だとアーノルドとか言う名前の大統領が一人でテロリスト蹴散らしてくれるんだけどなー」
「勝手に人類代表とか言って宇宙人と交渉したり宣戦布告したりしないで欲しいかったりはするけど、タフだしかっこう良いし」
「でも、大統領なんているわけないよね。内閣総理大臣は頼りになりそうもないし」
「……よっし!それじゃあいっちょアタシがやりますか!」
 訂正。
 根性のある映画好き女子高校生、一人。

 そして――――。

294イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/28(月) 23:19:10
 アーノルドでシュワルツなネッガーの代りに一人ランボーを開始した女子高性の前で、奇妙な風景が繰り広げられていた。
 出演者は政治家らしいスーツの男と、マシンガンを構えたテロリストが3名。
「アンタに恨みは――無いわけが無いんだな、そういえば。という訳でついてきてもらうぞ!」
 そんな事を言いながらマシンガンを付きつける目出し帽の男。
 だが、スーツ姿の男は慌てない。
 テロリストの肩を掴むと、鳩尾に膝を撃ちこんだ。
「ガッ!」
 のけぞった顎に向けて掌打を見まい。
「グッ!」
 そして襟首を掴むと後方へと豪快に倒れこんで。
「ギャッ!」
 見事な弧を描いてテロリストを投げ飛ばした。
 壁にぶつかって無様に崩れ落ちた仲間を見て、慌ててマシンガンを構えるテロリストたち。
 だが、彼は慌てない。
「――暴力はいけないよ、暴力は」
「なんだと?」
「やっぱり基本は――」
「基本は?」
 そして、満面ににこやかな笑みを浮かべて、こう言ってのけた。
「対話と、圧力!」
「ふざけんな」
 妙に根性のある政治家、一名。


「で、どうするのよ、政治家としては」
「やっぱり暴力はいけないな。基本は、対話と圧力!」
「アンタの言う圧力ってなによ?」
「殴ったり投げ飛ばしたり蹴ったり」
「帰れ」


「こんなことならジョージに手伝ってもらうかなあ……」
「ジョージって誰?」
「アメリカ人のマブダチ」
「……アンタ、外務省の人?」


「……どいつもこいつも内閣が悪い首相が悪いって……。
 立法担当してるのは国会だし、行政やるはずの総理まで連中が決めてるから、滅多なこと言ったら降ろされるのに
 ……勝手なことをぶちぶちぶちぶち言いやがってさ……」
「――随分、疲れてるみたいねえ……」


「なんで国会議事堂の地下に武器庫があるのよ!?」
「本当はロボットに変形させようと思ってたんだけどなあ。さすがに改造に時間かかるやら止めたんだ」
「……ひとつ聞くけど、良い?」
「何かね?」
「もし改造することになってたら、何処から費用がでるの?」
「税金と年金」
「するな、使うな、絶対止めろ」


「テロリスト五〇人を単身で撃退。
 人質合計三〇〇人を、これまた単身で開放。アナタ、一体何者?」
「知らないのか?」
 驚いたように問いかける。
「ええ、まったく」
 彼女の言葉に、はあと小さく溜息を吐いた。
「近頃の子は新聞も読まないのか……」
「?」


「ハッハッハッハッハ!!
 相棒のお嬢さんも捕まって、こうして人質にされ。
 武器もなく、仲間もなく、お得意の権力も無い。
 だが――それでも立ち向かうとは、笑わせてくれる!」
「全く、自分でも笑いたくなってしまうが、立ち向かわなければならないんだよ。
 一応これも仕事でね」
「ほう?では――貴様の仕事とは一体なんだ?」
「……言わなきゃダメか?」
「なんだと?」
「どうしても、ダメか?」
「――言え!さもなくば、この少女の頭が吹っ飛ぶぞ!」
「……ジョージに比べて地味だから嫌なんだよなあ……」
「ジョージとは?」
「マブダチ。アメリカ合衆国大統領」
「なにッ!?」
「それで、何故立ち向かうのか、だっけ?
 それは―――――」


「私が、日本の内閣総理大臣だからだッ!!」

295イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/28(月) 23:20:05
以上

某メタルウルフに比べると、インパクトないなあ(苦笑)

296山田殺人事務所繁盛記:2005/03/01(火) 14:01:17
>>290 >>291

 ありがと、ネタか……難しい問題だな……

 元傭兵今痴呆の老人を殺るほうがよかったか

297イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/04(金) 12:55:06
>>296
むしろ「世界中の人間を殺してくれ」とか頼むくらいぶっ飛ばすとか。

298山田殺人事務所繁盛記:2005/03/05(土) 15:39:44
>>297

 コテハンとして↑は許されるのか?

 うーむ。マジに殺るにしてもとんちをきかせるにしても説教するにしても
それは難しいねえ。

299生活時間の合わない僕ら:2005/03/07(月) 12:42:48
http://www.geocities.jp/sitikoku/shoko/seikatu.html

 また書いてみた。

 感想来るかね。

300300:2005/03/08(火) 01:46:27
げと

301イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/08(火) 02:32:12
>>299
文章のセンスは嫌いではない。面白い。
ただ、あれだね、一冊の本の最初と最後だけ無理やり
くっつけたっていう感じ。
さしたる伏線もなく、ヒロインの性格が
最初と最後で違いすぎて、唐突さを感じる。

302生活時間の合わない僕ら:2005/03/08(火) 09:50:31
>>301

 文章センスが面白いって言われたのは初めてだ。びびった。

 やっぱもうちっと前半から伏線を張ってるべきだったか、やってみる。

303「カニバリズム」というお題で書かされたもの:2005/03/12(土) 23:07:48
あまりライトノベルっぽくない題材の扱い方なんですが、
読み物として箸にも棒にもかからぬレベルかどうか、そういう観点で批判して下さると
大変ありがたいです。
妄想だけはするのですがそれを文章に起こす経験が非常に少なく、
読み物を書く技術がはなはだ心もとないのでまずそういうところを人に聞きたいんです。
妙な注文で申し訳ありませんがよろしくお願いします。

304「カニバリズム」というお題で書かされたもの1/8:2005/03/12(土) 23:09:24
桜の木の下で 〜人肉食の基礎知識〜

 後で、その場にいた人間全員に、「お前の責任だ! お前があんな話題出したから変なのが出てきたんだ!」と袋叩きにされたのだが、あの時ノリノリでその話に参加し、かつ彼を大歓迎していた人たちに私を非難する権利はないと思う。
 とにかくあれはぽかぽかといい天気の日のことだった。どれくらいいい天気かと言えばかといえば屋内をこよなく愛する文芸部+漫研+歴史部の面々が気の迷いで思わず大学の隣の公園まで花見に出かけてしまうくらいだった。

 柔らかな草の上のそこここに、シートをしいて談笑したり食事している親子連れやらカップルやらが見える。幸いよく通る道の横にある、ひときわ立派な木の下を陣取ることができた。
 緩やかに舞う花弁の下には澄んだ酒で満たされた杯、お重に詰められたご馳走。
 ……ではなくコンビニで買ってきた発泡酒にしょぼいつまみが散らばっていただけなのだが、ビニールシートの上の簡易宴会に思いがけない客を迎えて、そのとき座は大いに盛り上がっていた。
「話戻せ話戻せ、どっから始まったっけ?」
「たしか部長が衝撃の説を言ったでしょ、その前が一番有名なのは遭難だけど厳密に言えば含まれないって話で……」
「それだ! 確かそれだ! あーお待たせしてすいません、今話を見つけられました!」
 昼から飲んだくれて騒がしい大学生たちと、そのなかでちょこんと正座しているおじいさん。はたから見れば奇妙な組み合わせだが、少なくとも大学生のほうは非常に喜んでおじいさんの要望に応えようとしていた。
 いまどき珍しい、和服を普段着として着こなせているおじいさんはシートの上で正座して恐縮したように頭を下げた。
「すみませんねえ、お邪魔させていただきまして」
 たまたま正面に座っていた私もあわてて頭を下げた。
「あ、いえ、こんな話ができる人なんてすごく貴重ですから……」
 だが、正直なところ私はこのおじいさんをこんなところに招き入れるのにやや抵抗があった。
 学術的な興味で(別に私たちが学術的で高尚な話をしていたというわけではないが)今まで私たちがしていた話を聞きたいという人ならともかく、そうでないとしたらこの人結構危険な人ではないだろうか。
 いや、こんな穏やかそうで品のいいおじいさんだし、でも見掛けで人を判断してはいけないというし、ていうか五分前まで見も知らぬ人を上げるってどうなのかな、今世の中物騒だしいきなり変なことはじめたらどうしよう。ホントにお前たちを食ってやるー! とか……。
 しかし私の考えはやたらいい笑顔の漫研パンク少女と仲間にこだわる文芸部員と周りの状況を考えず思ったことをそのまま口に出す歴史研部員が身を乗り出してきたことによって中断された。

305「カニバリズム」というお題で書かされたもの2/8:2005/03/12(土) 23:10:19
「そうですよー、お仲間大歓迎!こういう話できる人めったにいないですよ? 」
「中学高校と、オカルト系グロ歴史ネタを理解してくれる人を見つけられず、青春の六年を孤独に生き続けた……」
「しかしそれももはや過去の話! ここにいる人間みんな飯食いながらミイラの製造法とか屍蝋化の過程とかエンバーミングとかの話できますから! さあご一緒に!」
「あ、はあ……」
 おじいさんは気おされたような顔で返事をした。やっぱり普通の人なのだろうか?
「いえ、私がお聞きしたいのはですねえ、今までそちらがなさってたお話のほうでして……」
 やかましい連中の視線がいっせいに私に向いた。
「お前か!」
「いつも最初にこういう話題を出すお前か!」
「それでいながら一般人だと主張するお前か!」
「うっさい! この場で騒げる時点で全員同じ穴のムジナだ!」
 とりあえず一番近くにあった思ったことをそのまま口に出す歴史研部員(男)の頭をはったおした。
「痛いわ! 何するのこんなか弱い美少年に!」
 百八十越えの男がむさい声で何を言うか。
 こんな濃い話を聞きたがり、かつまともな人と花見の席で遭遇するなんてものすごい低確率だが、まあその要望を除けばおとなしそうなおじいさんだし、途中で奇行を始めることがあっても男手もあるし周りは花見客だらけだし何とか抑えられるだろう、と物騒な予想を一通りたててから、私は腹をくくることにした。
「それじゃ、まあ、はじめから一通り行きましょうか。
 ―――ほとんどの時代で重大なタブーとされるにもかかわらず、なぜ近代までカニバリズム、食人嗜好は存続してきたのか?」

 強調しておきたい。ここにいる面々は変質者でもなんでもなく本当に普通の学生だ。ややインドア派の傾向があるが単に雑学のたぐいが好きなだけの。
 オカルト系、グロ系の話が好きなのではない。あくまで平気だと言うだけなのだ。
 だがそれが平気で、なおかつ同レベルの役に立たない知識を持っている人間と言うと結構少なく、よってそういう奴らは仲間を見つけられず悶々として日々をすごすことになる。色っぽいとか下の方の話なら笑いが取れるのでまだいいが、さっき言った様なオカルト、エログロナンセンスの範囲になってくると嫌がる人が結構多いのだ。
 ここにいる連中、大なり小なりそういう悶々とした思いを抱え続け、大学に入って初めて同類を見つけ固く結束してしまった集団なのだった。
 しかもそういう奴らが群れると「どれだけエグい話をしても平気か」と言う妙な意地をはってどんどん話がエスカレートしていく傾向があるし……。
 まあいいやこれは積年の疑問なんだ。このおじいさんにいろいろ講義してそれから意見を聞こうじゃないか。

306「カニバリズム」というお題で書かされたもの3/8:2005/03/12(土) 23:14:29
「えーと、人肉が食べられる事例と言うのは世界中どの時代でもありました。一番多いものとして挙げられるのは飢餓時の緊急避難ですね。これは近代に限ってもぞろぞろ出てきます。
アメリカのドナー・パーティ事件は西部移民がシエラネバダ山脈で遭難した奴ですけど、手持ちの食料がそこをつき、空腹から死体を食べることが提案されて、それがなくなると生きている人間まで殺して食べて、二ヵ月後発見されたときには最初の人数の半分しか生き残っていませんでした。
ひかりごけ事件は戦争中の話で、北海道で船が難破して、船員二人生き残って知床岬までたどり着いたけど、寒さでそこの小屋から離れられなくなって遭難、一人が栄養失調で死にもう一人がその船員を食べて二ヵ月後まで生き残ったとされてますし、アンデス上空で旅客機が墜落して、その乗客が死者の肉を食べて生き延びた「アンデスの奇跡」なんてのもあります。これはドナー・パーティとは違って食べるのを拒否して亡くなった人もいたそうですけど」
ここまで言ってからすらすら言える自分にちょっと嫌気がさした。しかしおじいさんは感心した顔で聞いている。
サブカルチャーに明るいパンク漫研部員が補足した。
「ひかりごけはモロ小説名が事件名として定着してるよね。アンデスの奇跡も映画化されてたっけ?」
「うん、確か『生きてこそ』って言うのだったと思う。
で、こういうのは極限状態における人間の葛藤と、人食いという行為自体が衝撃的なんで、ニュースで取り上げられたり、映画化されたり小説化されやすいんで、一般で有名ですね。
だけどこれは厳密に言えば食人嗜好の範疇に入らないものなんですよ」
「ほう、なぜですか、それは?」
「人肉である必要性がないからです。今挙げた例は、飢餓状態に追い込まれたとき最後にあった食料がたまたま人間の肉だったと言うだけで、人が人の肉を味わうという要素がないんですよ。
だけど、人が人を食う事例は食欲を満たすための物だけじゃない。中世ヨーロッパ、古代中国、世界中ありとあらゆるところで文化的風習として、儀式として、あるいは一個人の犯罪行為という場合もありますが、確かに行われているんです。
これはいったいなぜなのか? 重大なタブーとされるにもかかわらず、そこまで人をひきつける理由と言うのはいったい何なのか? 」
「でも、そもそもあんまりタブーとされてなかった事もあるんじゃないかなあ」
そう言い出したのが見た目は清純文学少女、ただし知識とそれを淡々と話せる性格でたいていの人間を圧倒できる歴史研部長である。
「あ、さっき言ってたこと、部長?話して話して」
「あ、うん……」
 部長ははにかみながら話し出した。花びらがその顔の横を舞い落ちていく。

307「カニバリズム」というお題で書かされたもの4/8:2005/03/12(土) 23:15:20
部長ははにかみながら話し出した。花びらがその顔の横を舞い落ちていく。
「あの、現代人類のほとんどは進化する過程で共食いを行っていたという説があるんです。今生きてる人のほとんどは、ある種のプリオン病に対する免疫を持っているんですけど、そのプリオン病というのが人間の脳を食べることによってのみかかるという物なんです。だから今生きている人たちは、人類になる過程でほとんどが共食いをして、その結果罹る病気に耐えて生き残った人なんだ、という。
よくサーベルタイガーに食べられて死んだといわれる頭蓋に穴の開いた骨がありますけど、あれのいくつかは人間が脳を食べた後のものではないかという説まであるほどなんです。
そういう背景から、あまりタブー視されていなかったこともあるんじゃないかと思うんです。
ええと、実際古代中国では人肉食についてはすごく寛容でした。ひどい飢饉のときなんか二年おきで人肉が食べられていた記録がありますし、宋代あたりまでは市場で人の肉が両脚羊と名前をつけられて普通に売っていました。ただし最低ランクの物として扱われていたそうですけど。
それ以外にも、水滸伝では登場人物が人の家に押し入って強盗したあげく殺した家の人の肉をおかずに炊けてたご飯を食べたとか、三国志では人をもてなすための食べ物がないので妻を殺してその肉を使ったとか、まあ物語の中での話ですけど、そういう話が英雄たちのエピソードとして許容されるような文化が成立していたんです」
「でも部長、それだと人間の肉も他の動物の肉と同じ扱いでいいわけじゃない。だけど人間の肉に執着した人って結構いない? どの時代の誰だったかまでは知らないけど、人間の肝が大好物だった皇帝とか」
「ええと、五代の趙思綰がそうだったと思う………。でも、あれはどっちかって言うと薬効を期待してた面もあったんじゃないかなあ。同源同食」
 漫研パンク少女が目を輝かせた。
「あ、病気になったとき病気になったのと同じ部分を食べるって奴? あれ『刻謎宮』の二巻の描写がエグいよ。娘が死んだら家の人間がそれを薬屋に売りに行って、そこでつるされて燻製にされたりして、すごいのだと足だけ五、六本つるされてたとかいうの」
「そこだけ抜き出すとなんか誤解されそうだな……全体だとそう後味の悪いエピソードじゃないんだけど。どっちかって言うと『子をとろ子とろ』のほうが好きだな。高橋克彦のはなんかあったかいんだ。
あ、そういえばあれも人間が薬として扱われてたね」
 結構面白い部分に気づいた。これだから誰かと話しながら答えを探すのは楽しい。
「ここに何かないかね……ねえ、他に飢餓以外で食べるって言うと何がある? 」
 仲間にこだわる文芸部員が答えた。
「まず死んだ人の弔いのため、っていうのがあるね。パプアニューギニアの人たちがそれで死んだ人を食べてて、脳みそ食べた人たちがクールー病にかかったんだ。部族じゃないけど高倉健も母親が死んだときその骨を骨壷からつかみ出して食べたってね。
他には戦闘で倒した他の部族を食べて征服の意や強さへの敬意を表すとか、あ、あと死んだ人の能力を取り込むために食べるっていうのもあった。経験豊富で強い年取った戦士の肉のほうが貴重とされるとか」
「ええと、それって全部文化的風習だよね?」
 人類学にも興味がある部長が身を乗り出してきた。この人はこういう話をしているとき、眼がきらめいて一番綺麗に見える。
 しかも今は惜しげなく舞い散る桜をバックにしているから、こんな話の最中でさえなければさぞかし絵になるだろうに。

308桜の木の下で4/8:2005/03/12(土) 23:16:56
「食べる人への感情を表すものと、それ以外だと呪術的、儀式的な面があるのがほとんどなの。その場合人肉は必ず何かの力を持ってるとされてる。薬として用いられるのも、死んだ人の能力を取り込むために食べるって言うのもその一例だよね。他にも中世ヨーロッパではよく胎児を呪術で用いて、食べることもあるとされていたけど、あれは供物という面以外にも胎児が何かしらの生命エネルギーを持っていると考えられていたからだし」
「でもさー、何でそんなに食うかって、単純に美味いからじゃない? 豚肉みたいだとか塩味が利いてるとかはよく聞くよ」
 これは歴史研部員の癖に今まで一度もそれらしい発言をしていない自称美少年。さすが知性のカケラもない。
「でも草食動物でないと肉は臭くて硬いって言うよ。人間は雑食だから美味しくないはずなのに、味に言及した描写で全部『美味しい』って言ってるのは何でなんだろう」
 これは仲間にこだわる文芸部員。さすが生物学に明るいことはある。理系だから当たり前だが。
「うーん……説話とか昔話ではよく美味しくって病み付きになって、って展開があるけど、それって登場人物に禁忌を犯させる動機付け以上の物ではないんだよね。
実際に食べたって言う人の話を聞いても、たとえばひかりごけの人なんかは今まで食べた中で一番美味しいみたいなこと言ってたけど、あれは空腹に耐えて耐えて耐え切れなくなって食べた時の話だから信憑性がなあ。
まあ飢餓以外で食べた最近の人間の証言はもっと信憑性ないけど」
「…………アルバート・フィッシュとか? 」
 部長がうかがうような目をして、何十人もの子供を拷問し、殺し、食べ、オーブンで焼いた少女のお尻の味を賛美する手紙を少女の両親に送りつけた猟奇殺人鬼の名を挙げた。
「佐川一政とかジェフェリー・ダーマーとか」
 私はうなずいた。何でこういう時一番息があった動作をしてしまうのだろう。
「ああいう人たちが美味しいと言ってるのは精神的な味付けが大半を占めてるんだと思う。少女の肉が、とか子供の肉が、とか必ず肉の種類が証言の中にあって、純粋な味に言及してる部分がほとんどないから。
……一番は性的欲求だと言われてる。フィッシュもそうだしダーマーもそうだ。何で食べたかって聞かれて「ずっと自分のそばに置いておきたかったから」って言ってるし、アンドレイ・チカティロも五十三人殺してるけど、女の子の舌を噛み切って飲み込んだって証言で「そんな時、私はいつもオルガズムを迎えた」って言ってる。
行き過ぎた性的欲望が所有欲になって、相手を食べることがその完全な表現であるっていう説もあるんだよね」
 興味しんしんで聞いていたらしい漫研パンク少女がちょっとずっこけた。

309桜の木の下で6/8:2005/03/12(土) 23:17:54
「……なんかそれ猟奇殺人鬼から阿部定みたいな情熱の女っぽい話になったね。あの人は食べてないけど。私と貴方はひとつになるの、とかそんな感じ? 」
「『ひとめあなたに』はよかったなー。実際は口に入ってないけどマジでひとつになってたからさ。女の執念と言うか」
「まだ読んでないよそれ! ネタばれとかしないでお願い!」
「あれ、待って、ちょっと待って」
 いきなり部長が声を上げた。
「ねえ、ここまででもう結論は出てない? 飢餓以外の食人行為はほとんどが文化的風習か猟奇的犯罪でしょう? で、文化的風習では、弔うためっていうのは愛する人とひとつになるっていう面が多少ないかな。他は薬効があるとされるため、何か不思議な力があるっていうことで呪術や儀式に使われる、でしょう? で、それ以外では相手を征服するため、性倒錯が行き過ぎた所有欲から…………」
「え、え、何か共通点でも見つけましたか部長!」
「さっき相手とひとつになるって言ったよね、弔いのために食べるのもそういう面が多少あるでしょう、それから相手の能力を取り込むって言うのもかなりの例に該当するでしょう。薬に使うときも呪術に使うときも。」
「あ…………」
 見事に全員の声がそろった。
「とすると目的は相手とひとつになってその能力を取り込むこと……おおすごい! そう考えるとたいていのが説明できるよ!
 部長ありがとう! 三年来の疑問が解けたよ!」
「そ、そんなに悩んでたんだ…………よかったね」
 部長に引かれてしまった。もしや自覚していないだけで私はかなり危険なレベルに落ち込んでいるのだろうか?
「いやいやありがとうございました。皆さん本当によくご存知で」
 おじいさんの声ではっとした。そういえば途中から熱中しすぎてこの人の存在を忘れてなかったか。
 彼の表情を伺うが、ニコニコと本当に満足そうな顔をしていて、皮肉で言っているような雰囲気はまるでなかった。
「い、いえ、こんなので喜んでいただけたならありがたいんですが………」
 参加しなくてよかったんだろうかこの人。本当に聞いてるだけだったな。
 おじいさんはうれしそうに何度も頭を下げた。
「いや大変勉強になりました。いえねえ、どうしても知りたかったんですよ、人の体にはどういう効き目があるのか」
「はあ、そうなんですか……?」
「ひょっとしたら毒なんじゃないか、このままでいいのか、とずいぶん悩んでいたんですよ。実は去年から食べざるを得ない状況になりましてねえ」
「え…………」
 いきなりのことで脳みそが(最初のほうの話を思い返すとなんて嫌な言葉だ)言葉を理解しきらない。
 え、なんて言った? 今この人なんて言った?

310桜の木の下で7/7:2005/03/12(土) 23:19:20
「いつもここから見ているとあなた方がとても詳しそうなのでね、どうしても一度じっくりお話を伺いたかったんですよ」
「えっ…………」
 ど、どうしようおとなしく見えるだけで実はやっぱり変な人だったのか!?
 やばいやばいやばいマジで実行者だったら文字の上でしか知らない私たち太刀打ちできないっておまわりさーん!
 しかもいつもここから見てるって何だストーカーかストーカーなのかおまわりさーん!
 他の人間を見るがみな一様に蒼白な顔をして固まっている。だめだ、助けになりそうにない。
 おじいさんは笑顔を崩さないままさらに続ける。
「他の人が来ないようにしておいてよかった。あなた方が今日来てくれて本当によかった。
今の時期なら私がどういうことになっているのかちゃんと見ていただけますから」
「ど、どういうことになってるかって…………」
 そのときふわりとそよ風が吹いた。ほんのわずかな風にもかかわらず、満開の桜は惜しみなく私たちの上に花吹雪を散らした。とっさに目をつぶってしまう。
 そして再び目を開けると、目の前にいたはずのおじいさんはどこにもいなくなっていた。
 気がつけばシートのほとんどが花弁で埋め尽くされていた。おじいさんの座っていたところも、同様に埋め尽くされていた。
 おじいさんが座っていたのはちょうど、私たちが陣取っているひときわ枝振りのいい桜の木の根元だった。
「……………………」
 そういえば、あのおじいさん、よく人が通る道じゃなくて木があるところから歩いてきたんだっけ。
 いやそもそも歩いてるところを見たっけ? 
 気づいたらそこに立ってたんじゃないか? 話しかけられて初めて、そこにいることに気づいたんじゃなかったのか?
「……………………」
 みな一斉にその木を見上げた。
 限りなく白に近い薄紅。
 どんなに花弁を舞い散らせても、豪奢な枝には衰えたような隙間はまるで見当たらない。
 落ちてくる花びらを見上げていると、まるで自分が桜へ向かって登っていくかのようで……。
「…………あのさあ」
 周りの状況を考えず思ったことをそのまま口に出す歴史研部員がつぶやいた。
「去年、ここの木って、こんなに花咲いてたっけ……?」
 私は問答無用でそいつの口をふさいだ。みなで酒のボトルを引っつかみつまみをコンビニ袋にぶち込みビニールシートを剥ぎ取って花弁を払い、即その場から走り去った。

 ほの白い花弁が、ほんの少し盛り上がった地面に散り敷いていた。

311アッド・マウンテン 1/10:2005/11/22(火) 02:20:48
 作品名:贅沢を好む悪魔
 原稿用紙換算枚数:18枚

 ある晩、贅沢を好む悪魔がやってきた。悪魔は今、モモゾウの隣に立っている。
「やあ、モモゾウ君。私がここにいるのはどうしてかな」
 悪魔はとても素敵な笑顔で話掛けてくる。彼の真っ黒な腹からはとても創造できないも
のである。
「わからないよ、そんなこと。あなたは誰です」
 ベッドの上で上半身を起こしているモモゾウは、じっと見つめた。
「ああ……、やっぱり気づいていないか。私はね、贅沢を好む悪魔という者だよ。君はど
うやらとても贅沢なようで……、何か心当たりはないかい」
 はて、そう言われるとモモゾウは考えずにはいられない。
「そうだな……、そういえば最近何だか食事をしても満足できない気がするかも」
 すると悪魔はとても満足したようで、ニコニコしながら話を続ける。
「ほらほら、そうでしょう。一体どうしたんだい。量が少ないのかい」
「うーん、そういうわけじゃないんだけど……」
 いつも何となく、ぼうっと満足できないことだけを思っていたからであろうか、よくよ
く考えればモモゾウはどうして満足できないのかを知らなかった。
「悩むことはないよ、モモゾウ君。簡単なことさ、君は本当においしいものを食べたいん
だ。違うかい」

312アッド・マウンテン 2/10:2005/11/22(火) 02:24:39
 そう言われると、モモゾウも意外と間違ってはいないかもと思うようになる。結局モモ
ゾウはそれを否定しなかった。
「よし、じゃあこうしよう。私はこれからモモゾウ君のためにおいしい食事を、素晴らし
い食事をご馳走するよ。でもその代わり、君の心を私に預けてはくれないかい」
 モモゾウには自分の心の価値は分からなかった。そんな形のないものにこだわってどう
しようというのであろう。それよりも、相手は何とも気前の良さそうに食事をご馳走して
くれるというではないか。モモゾウが拒否する理由は見つからなかった。
「モモゾウ君、何も心配することはない。私はこれから満足をさせるための案内する。君
はそのまま心を貸してくれればいい、それだけの約束です。さあ、出発しよう」
 こうして彼らは生温い夜空の外へと歩み出した。

 しばらく歩いていくと最初のお店が見えた。夜なのに、遠くからもはっきりと認識でき
る。まばゆい光を放つ、とても綺麗なお店。モモゾウは知らず知らずのうちに胸が高まっ
ていった。
「どうだい、モモゾウ君。素晴らしいだろう」
「へぇ、ここで本当に食事をさせてくれるの」
「もちろん。さあ、入ろう」
 モモゾウは店の中を見回す。そこの美しさと輝きはもちろん、今までに見たり感じたり
したことのないものである。周囲の雰囲気と微かに漂う香りで、なんだかもう食べ終わっ
た感覚に陥る。もちろん、食事はまだ用意されていない。

313アッド・マウンテン 3/10:2005/11/22(火) 02:26:44
「やだな、モモゾウ君。食事はこれからだよ」
 隣に立つ悪魔が声を掛けてくる。そして、目の前に向かって手を差し出した。その通り
に振り向くと、いつの間にか食事が用意されていた。周りには誰の姿も見えない。
 モモゾウは勧められたとおりに、さっそくいただくことにした。しかし、ふと……。
「おや、どうしたんだい。遠慮はしなくていいんだよ」
「えっと……、そうだよね。いたただきます……」
 一瞬、モモゾウには出された食事がとんでもなく汚いように感じた。しかし、そんなは
ずはない、こんな綺麗な店でそんなものが出されるはずがない。そんな風に思う理由は、
目の錯覚……。

「どうかな、満足出来たかい」
 食事を終え、外に出たところで悪魔が声を掛けた。
「うーん、お腹は多少一杯になったけど……」
 そのことは、正直に答えるモモゾウ。けれど何かが足りないのである。
「なるほど、まだ満足できないと。いやいや分かっているよ。君は贅沢だからね。よし、
次の店に行こう。心配はしなくていい、なにしろ君は私に心を貸してくれている。満足さ
せる食事は当然なされなくてはいけないからね」
 そうして彼らはまたしばらく歩いた。もちろん、隣の悪魔の案内で。
 二つ目のお店が見えてきた。先程よりは豪華ではないものの、それなりにこじんまりと
している。

314アッド・マウンテン 4/10:2005/11/22(火) 02:29:03
「ここがそうだよ。さあ入ろう」
 店に入ると、中には何があったのかは知らないが、大層機嫌が悪そうな人がいた。
「……いらっしゃい」
 そしてまた、やる気のない人のようである。
 悪魔が食事をしたいことを告げると、店の人はあくびをしながら用意を始めた。
 大きな器の中に湯が満たされる。作業はそこまでで半分。あとはよく分からない数種類
の、瓶に入った粉を混ぜるだけ。それだけでうっとりとするような、七色の光を放つ食事
の完成である。
「あれっ、これがさっきのお湯……」
「おやおや、どうしたんだい。遠慮はしなくていいんだよ」
「あっ……、うん、そうだよね……」
 その時、モモゾウはなんとも口に含むのをためらった。それでもその輝きに吸い寄せら
れる。口にはおかしな刺激、いやそんなことはない。こんな美しいものが、いただけない
もののはずがない。そんな風に思う理由は、舌の錯覚……。

「どうかな、これなら満足出来たかい」
 今度も食事を終え、外に出たところで悪魔が声を掛けた。
「うーん、お腹は一杯になってきたけど……」
 また正直に答えるモモゾウ。けれども、やっぱり何かが足りないのである。
「そうか、どうもまだ満足できないと。だけど、もちろん任せてください。君が贅沢なの
はわかっているんだから。じゃあ、すぐに次の店に行きましょう。今度も心配しないで、
私には義務がある、心を預かっている者としてのね」

315アッド・マウンテン 5/10:2005/11/22(火) 02:31:14
今回も悪魔の先導で歩き始める。普段あまり長くは歩かないモモゾウであるからちょっ
ぴり疲れてきた。
 三つ目のお店は確かに立派だった。おそらく、最初の店よりも。ただ、ここまでくると
これが食事をする場所なのか、モモゾウははっきりと分からなくなってきた。
 中も同じように立派である。店の中の人も立派だった。これまでにない、きちんとした
接客、素晴らしい料理の数々……。
 今回は迷いはなかった。そうして料理に触れようとする。
「お客様、まだ召し上がってはいけません。何事にも事前の準備というものが必要なので
す」
 いきなり店の人に止められ、混乱するモモゾウ。よくわからないので、隣の悪魔に助け
を求める。
「平気だよ、モモゾウ君。食べてはいけない、ということじゃない。ただ、これから説明
が始まるんだ」
「説明……、一体何の」
「難しいことじゃない。そもそもの材料の原産地がどこなのか、どのようにそれが得られ
、運ばれ、またどのように調理され、どんな過程を踏まえたのか……、まあ色々だね。そ
れが終わればすぐに食べられるよ」
 すぐに終わると思っていたモモゾウの期待は裏切られ、ひたすら説明は続き、なんだか
よく分からない時間が過ぎていく。ようやく食べられることが許された時になったのに、
なんだか気持ちのほうが冷めてしまった感じである。

316アッド・マウンテン 6/10:2005/11/22(火) 02:33:44
「さあさあ、もう待つことはないんだよ」
「あっ、そうだった……」
 その通り、何も迷うことはないのである。これほど素晴らしい料理が目の前にあるのだ
から。不安な気持ちになることもない。そんな風に思う理由は、耳の錯覚……。

「どうだった、もう満足できたかい」
 外に出るとやはり、食後の感想を尋ねる悪魔。
「お腹のほうはもうほとんど一杯だよ。でも……、あれが本当においしい料理なのかな」
「いやはや、さすがモモゾウ君だ。まだ満足できないんだね。私に構うことはないよ。君
が満足できるまで付き合うよ。さあ、立ち上がって、次の店に行こう」
「えっ、でももうあまり食べられないよ」
 随分と膨れたお腹を、休めるかのごとく座っているモモゾウ。しかし、その言葉を聞い
た悪魔は急に気分を損ねたようだった。
「何を言うんだい。さっきから言っているように、私は君が満足するという使命を果たさ
なければいけない。それとも君は私を、約束を守らせない者にするつもりかい」
 そう言われると、モモゾウは何とも困ってしまう。心を預けるということは、実は大変
だということにようやく気付いたのだ。
「うーん、どうしよう……」
 考えても答えの出ないモモゾウは上を見上げた。

317アッド・マウンテン 7/10:2005/11/22(火) 02:35:30
「さあ、そろそろ行こう。何も迷うことはない。おいしいものを食べに行くだけじゃない
か」
 再度、悪魔は出発することを促す。
「うん、行くけど……。その前に一つ、質問してもいい」
「もちろん、私に答えられることなら」
「それじゃあ、僕たちはこれまでにお店は三つ訪れたよね。でも僕が思うに今のところ、
あなたが案内してくれた店にしか行ってない気がするんだけど、違うかな」
「いやいや、その通りだよ。私なりに、モモゾウ君が気に入ってくれそうな店を選んだつ
もりなんだが」
「そのことなんだけど……今度は僕の食べたいものが、あるところに行きたいんだ。その
ほうが僕が満足する可能性は高いし、僕が満足すれば君の役目も果たしやすくなると思う
んだけど」
 モモゾウの言葉を受け、少し考える悪魔。
「ふーむ……、まあいいでしょう。君は私に心をあずけてくれている。君が満足したいの
なら、そうしましょう」
「それと、あなたは約束を大切にする人のようだ。このこともきちんと約束してくれます
か」
「ああ、もちろん。約束しよう」
「じゃあ話します。……僕が行きたいのはここです」
 モモゾウの口から出てきた言葉は、悪魔の想像もしていないものだった。

318アッド・マウンテン 8/10:2005/11/22(火) 02:40:43
「なんと、どういうことですか。見ての通り、ここには何もない。何もなければ食事はで
きません。それでは私は君を満足させられない。先程、約束は確かにしました。けれどそ
れでは、私は最初の約束を果たせない。これでは駄目です」
 モモゾウは首を横に振る。そして自分の上を指し示した。
「よく見て下さい。ほら、あれでなら食事はできますよ」
 夜闇の中にうっそうと立っているものがあった。大きく、そして黒い実の生っている木
である。
「あれで食事をするのですか、いや、しかし……」
「あれを食べることは食事ではないの、そんなことはないと思うけど……。どうしてもと
言うのなら諦めます。でも僕に食べさせてくれないあなたは、自分で約束を破ることにな
りませんか。それなら僕は心を返してもらい、家に帰ります」
「いやいや、そうではないんだモモゾウ君。確かに私は君においしいものを食べさせるこ
とを約束した。しかし、よく見てくれよ。あの木の実が本当においしいといえるのかい。
黒くて、酸っぱそうで、さらには何の音も聞こえない。本当においしいのなら小鳥や虫た
ちがあの実の周りで楽しそうにしていると思うんだが」
「確かに、目で、舌で、耳で感じればそうかもしれない。実際、僕はそれらには自信がほ
とんどない。自信がないから錯覚も感じてしまう。でも、一つ、自信があるものがある。
鼻だよ。実際こうして、大きく空気を吸い込むと甘い匂いが感じる。僕はあれが食べたい
んだ」
 モモゾウの主張に困った悪魔、彼も色々と考えを巡らす。

319アッド・マウンテン 9/10:2005/11/22(火) 02:44:43
「わかりました、君があれで満足できるかもしれないと言うのなら、そうしましょう。し
かし、残念ながら私にはできない。だってそうでしょう、私はあの木の実のところまで手
\が届かない。これは仕方のないこと、約束を破ることにはならないでしょう」
 それを聞いたモモゾウは納得した。
「そうですか、わかりました」
 それを聞いた悪魔はうっすらと笑みを浮かべ、ほっとした。
「じゃあ、僕、自分で取ります。これは目の前に用意されたお皿から料理を取ることと同
じ、当然ですよね」
「そんな、まさか……」
 悪魔はモモゾウを見くびっていた。確かにそのままでは実の所までは届かない。ならば
足を伸ばせばいい、手を伸ばせばいい。そして、もう少し……。
 モモゾウは木の実をつかむと、口に運び、一口、二口……。甘い香りと、とろけるよう
な味。実はなぜか、モモゾウの知っているいつもと変わらないものだった。その瞬間どこ
からともなく日が昇り、モモゾウの知らない夜が明け始めた。
 黒い実は決してその色をしているわけではなかった。染められた色は次第に元に戻って
いく。そうしてモモゾウは気付いた。この実こそが自分の心だということに。
 悪魔は日を受けて次第に消えていく。彼の真っ黒な腹の中にはたくさんの、満足できな
い贅沢が鎖のように連なっていた。それはモモゾウが満足を知ることで、断ち切られた。
悪夢がさめた瞬間である。

320アッド・マウンテン 10/10:2005/11/22(火) 02:48:23
「おーい、桃蔵。そろそろ起きろー」
 いつもの聞き慣れた声で目を覚ます。そこは普段と変わらない四角いコンクリートの部
屋、体は藁のベッドの上。そして目の前には、いつも世話をしてくれているおじさんが立
っていた。
「どうした、桃蔵。何かあったのか」
「おじさん、変な夢を見たんだ。贅沢を好む悪魔っていうのが出てきた」
 それを聞くとおじさんはとても感心したように、笑って答えた。
「へぇ、お前、よく帰ってこられたな。そいつはな、相手にまずい料理を偽りながらひた
すら食わせて、命を奪うんだ。そうして真っ黒に実った心から贅沢っていう欲望をすすり
ながら生きているんだよ」
 それを聞いて桃蔵は自分の鼻があったことに感謝した。これがなかったなら戻ってこら
れなかったかもしれない。
「まあ、お前は最近好き嫌いばっかりしてたから出てきたんだな。これからはそんなこと
にならないように、ほどほどにしておくんだ。ほれ、今日の食事だぞ」
「うーん……おじさん、僕やっぱりこれが一番好きみたいだよ。だって自分の心はこんな
形をしてたんだから」
 そう言って、桃蔵は自慢の長い鼻を使っておじさんの手から、丸くて甘い桃の実を受け
取った。

321イラストで騙す予定の名無しさん:2006/07/21(金) 12:53:38
>>158
亀レスですが「好もしい」じゃなくて「好ましい」では?
誰も突っ込まなかったんで。
豚切りスマソ

322イラストで騙す予定の名無しさん:2006/07/21(金) 12:54:00
>>158
亀レスですが「好もしい」じゃなくて「好ましい」では?
誰も突っ込まなかったんで。
豚切りスマソ

323イラストで騙す予定の名無しさん:2006/07/21(金) 12:54:35
>>158
亀レスですが「好もしい」じゃなくて「好ましい」では?
誰も突っ込まなかったんで。
豚切りスマソ

324イラストで騙す予定の名無しさん:2006/07/21(金) 12:55:25
>>158
亀レスですが「好もしい」じゃなくて「好ましい」では?
誰も突っ込まなかったんで。
豚切りスマソ

325イラストで騙す予定の名無しさん:2006/07/21(金) 12:56:10
>>158
亀レスですが「好もしい」じゃなくて「好ましい」では?
誰も突っ込まなかったんで。
豚切りスマソ

326イラストで騙す予定の名無しさん:2006/07/21(金) 17:54:29
す・・すみませ321です。
マカエレの不具合で、今来てリロったらこんなことに。

他では誤爆するし、ほんとにすいません。
慣れないことするんじゃなかった。

一億年ロムってます。

327イラストで騙す予定の名無しさん:2006/07/21(金) 21:05:37
321です。しつこくスマソ。
他スレで「好もしい」がアリと知りますた。

一から勉強してきます。お騒がせしますた。


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