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●◎短編小説・曝し場◎●

219〜乞食伝〜 2/6:2003/10/07(火) 23:23
第二話 "I got SATORI"


ホームレスデビュー当日の夕方、勉くんは初の晩エサ仕入れに出ました。
「上野駅周りは立ち食いが多いなぁ、だけど狙うはレストランっ」
立ち食い系の残飯は汁物が多く、好ましいエサはあまりでません。
やはり廃棄率の高いレストランが美味しなのです。
「レストランきゅうらく、ここに決めた!!」
早速裏手のポリバケツを開いてみるとカニコロッケ、さいころステーキ、トンカツetc。
ご馳走の山でした!!
(うひひ、いきなりゲットだ〜幸先いいぜぇ)
いそいそと手持ちの100円タッパーに詰め込んでいきます。
”ズドッ”
突然鈍い痛みが背中に走りました。
「ブギュ」
汚らしい嗚咽を吐きながら、勉くんは地面に這い蹲りました。
(え 何 熱い 痛 背中 後ろ?)
痛みを必死でこらえて後ろを振り向くと金属バットを持ったジジイが2人。
「おれだぢのシマ荒らしやがっで、新顔が?」
(同じホームレス?なんで?シマ?)
勉くんのお味噌は混乱していました。
(ヤンキーの浮浪者狩なら解る、何で同じホームレスが?)
「さっさとこのシマからででげ!!」
”ズドム”
追い討ちのモチツキスイングが炸裂。
「グブゥ」
あまりの衝撃に屁と小便と大便と胃液が漏れます。
「シ…マ……シマって……?」
息も絶え絶えに口を開く勉くん。
「俺だちホームレスの中にも縄張りがあるだよ!!
おめみてえな新顔は挨拶ぬきで飯なんぞもらえね、わがっだが!!!」
そう言い放つと二人組みは残飯を残らず持ち去って消えました。
(く……そ、同じか?ここも媚びの世界なのか?)
地面に伏せったままゴミ溜めを見つめる勉くん。
(ちが……う、ちがう!!俺がやられたのは用心が足りなかっただけだ!!
こうなることを予測し、何らかの武装をしていればあるいは返り討ちも
可能だったかもしれない、相手はクソジジイ二人だ)
光を失いかけていた目が再び輝きだしました。

(媚など必要ない、ただここは一般社会以上の弱肉強食なだけ。
ルールなど無いに等しい……勝ったもの勝ちっ、なら手段はある!!)
脚に力を込めゆっくりと起き上がりました。
「武装をし、用心をし、俺より弱い奴を打ちのめして奪えばいい!!」
堅く握り締められた拳は少年の覚醒と確信の強さを暗示するかの様でした。


次回 第三話 "釘バット"


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