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●◎短編小説・曝し場◎●

57こんな感じの短編を応募したいんだけどどう?:2003/05/18(日) 04:46
「人が落ちたぞ」
僕が居る木製の古びた橋からその叫びのする方角を眺める。
今がまさに夏だと主張するかのように鋭い陽光があって
気持ちが良くなるほどの万緑に覆われた山々もある。
ここは田舎なのだと改めて気づく。
すると今まで意識からは消していた、雑多なセミの鳴き声や川の流れる音が聞こえてきた。
無条件で懐かしいと言える田舎の夏そのものだ。
「ところで高志はどこへいくの?」という彼女の問いかけを受けて、視線を高志に戻す。
アスファルトの陽炎によって身体を歪ませながらも、懸命に走って行く高志が見える。
こんな状況に遭遇しながら、ちゃんと下流の方へ向かっているのエライな。
川沿いに立つ民家で立ち止まっては
「駐在さんに電話を、川に人が落ちたんだ」と声を数度、張り上げる。
その姿はどこか、二時間サスペンスを感じさせる。
「我が町の狼少年の誕生ね」
上半身を欄干の上に寝かせつつ、下半身は橋の外に投げ出しながら、彼女は感慨深げにそう呟いた。
「お前のせいじゃん」
「ただでさバカ暑いのにあんなバカなウソをついていたら
暑さのせいで頭がイカレた村民からリンチね、可哀相に」
いつのまにか、彼女は欄干の上に仁王立ちしていた。狼少年の方を見ている。
陽射しをさえぎるためか、目の上に手をかざしている動作が酷くウソ臭い。
「でもさぁ、高志はほっとくとして
橋から普通に飛び落ちたのに、どうして這い上がってこれるの?
なんかおかしいよ……ロープを使っただとか?」


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