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戦場スレpart2

1 ◆NcltM1gQ/Q:2012/07/11(水) 20:01:52 ID:Ue7B6b.Y
ロボットの戦闘シチュや、イベントの際にお使い下さい。

593ヴィルヘルム@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/18(月) 00:52:41 ID:vUAXZLck
>>591
「何かっ……来たっ」
 背面にマウントした、E-WAC用のV字レードームが反応を拾い、警告するも間に合わない。ベテランの戦闘機乗りである彼をしても追い切れぬ速度で数機の反応が消えた。

「あれは……識別無し、敵かっ!?」
 ヴィルヘルムは気付かなかったが、ラウディは声に聞き覚えがあった。
『敵に……回る!?』

594ハーゲン ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/18(月) 01:19:30 ID:LVF3Nr/M
>>583
>ターゲットのレイナ嬢はあのゲシュペンストタイプに乗っています、生け捕りにします。参加してください」

「生け捕りね・・・フフ、なるほど了解した」
虫も殺せぬといった爽やかさすら感じさせる表情と共に笑いを零しライトからの指令を受け取る
どの機体かなんて情報はまったく持って見ていなかった、むしろ見る必要が無かった。
敵対している機体の中で発する念が大きく異なるものが1つだけ存在していた、彼がそれに気づかないわけが無い

「他の機体や戦艦も同一の対応でいいのかい?」

>>590
「おっと!」
ライトとの状況の確認を行っている最中、地上からの攻撃を察知したハーゲンは機体を翻すような動作でその奇襲をかわす。
攻撃してきたのは・・・事前に受け取っていたデータにあった、風姫と雷姫と言う機体らしい
データ上だと保護対象として処理されているが、どうやらレイナ側に加勢しているようだ

「敵なら仕方ない、仕方ないね」
地上に居る風姫・雷姫に対して両手それぞれを向けて広げると、そこに備えられたピンク色の球体に光が走る。
その状態から地上へと真っ直ぐに急降下しつつ、手の平から数多の閃光が放たれた

フェザーバレット、打ち出したエネルギー弾の形状がまるで羽のようであることから名づけられた兵器。
一般的なビーム兵器と同一のようなものらしいが羽と言うだけあって撃ち出しが軽い
またライフルよりはマシンガンとしての性質に近いらしく、集弾性も良くは無い様で広範囲にばら撒くといった感じだ

>>591
(あれは・・・極端に改造されているとは居え間違いない、ベースはアシエルか)
攻撃を行いながら、しかも急降下をしている最中だというのに余裕を持ってレオンが持ってきた機体に視線をよこす。
データには無いがハーゲンの頭の中には類似する機体が該当していた。
アシエル・・・自身も所属するSK指揮官クラスに配備される機体であり、そう易々と行き渡るものではない

レイナが所有していたとは考えづらい、つまりあれはレイナに協力的な
且つSKとある程度近しい距離にある組織からやってきたということ。
ハーゲンは既に察しが着いていた、が周囲の反応を見るに他のパイロットとは顔見知りだったらしく伝えるまでも無いと判断したらしい

595姫&リリー&アカリ ◆Tg./UqnJ52:2013/03/18(月) 02:51:10 ID:l3BVNSVw
>>569,>>588
小田原での戦闘があってから数日が経ったことで、甲斐の艦体のダメージは全て回復し、フォトンブラスターも使用可能となっている。
が、復活した甲斐の復帰後の初戦闘は、かつての仲間を討ちにいくという、何とも気分の乗らないものとなった。
名目の上ではレイナ・カーマインを危険分子と判断したことによる強制執行……となってはいるが、

(多分それだけじゃないって思っているのは、私だけではないでしょうね……)

艦長席に座っている武田・姫は、とりあえずの指示を出し終えた後に、そう思案する。
甲斐は現在、艦載機の出撃を終え、味方部隊の後方に控えている状態だ。
艦砲射撃で相手の戦力を減らした後に艦載機を出撃させるのがセオリーだが、今回の事情、及び相手の展開速度から、
早くも戦場はPT同士による白兵戦へと移行していた。
前方は敵味方が入り混じったフィールドとなっており、艦砲射撃が使える状態ではない。姫に思案の時間が出来たのは、だからこその話。

(こんなとき、スノウフェイル少尉だったら何て指示しているんでしょうか……)

ちらりと艦長席の隣を見るが、そこに立っているはずの副長、リリーの姿はそこには無かった。
なんでも、「ちょっとしたサプライズがあるので、後で合流する」とのことだったが……。

「艦長! 敵艦のミサイル発射管が開きました! アルブレードを狙っています!」

と、敵艦に動きがあったようだ。
味方が展開しているのは向こうも同じではあるが、距離関係で言えば、こちらが切り込んでいる状態。
先遣隊を蹴散らしたあの艦砲は使用できずとも、対空ミサイルくらいは使えるということか。
何とかしてやりたいところだが、甲斐の武装ではそれもままならない。ユウセイの近くにいる味方機に期待するしかないか……?

『あれはこちらに任せて下さい』

そう思った矢先、そんな抑揚を欠く声を乗せた通信と共に甲斐の下方向から2条の巨大な青いビームが飛来し、
アルブレードとアイゼルネを分かつような軌道でミサイル群を薙ぎ払った。
それから一呼吸分遅れて、甲斐の後方からフライヤーモードのビルトラプターが凄まじい速度で駆けていって、

『墜ちろぉっ!!』

そのままの速度でPT形態へ変形し、手持ちのランチャーで先ほどのビームが撃ち漏らしたミサイルを撃墜していった。

>>587-588
「おいしいタイミングだったようですね」

PTのものよりもかなり広いコクピット内で、カチューシャ型のヘッドセットを装着したリリーが、いつもの調子でそう言った。
対する姫は驚きを隠せないようで、

『り、リリー少尉ですか? その機体は一体……?』
「ああ、艦長、遅くなって申し訳ありません。ですが、言ったとおりにサプライズだったでしょう?」

姫が驚いているのは、本来甲斐の副長であるリリーが機動兵器に乗っていることももちろんだったが、
その機体のインパクトのほうが、理由として大きかった。
全高60メートル超級の重厚な鈍色の機体と、両腕に装着されたぶ厚い盾。肩から伸びる2門の巨大な砲……インパクトを受けるな、
と言うほうが難しいその機体は、その名をジガンスクード・アンジェという。
鋼龍戦隊で運用されている「巨大な盾」ジガンスクードのデータを元に新造された、もうひとつの「盾」であった。

「まあ、クレマチ伍長と一緒に遅れた分は働きますよ。全体の指揮は明智大尉が執っているんでしたっけ?」
『ええ、そうです。今はガブリエルに乗って、前線に』
「了解です。まずは、少しの間あの艦を黙らせることにしましょう」

緊急展開用の大型ブースターを使ってアルプ・トラウムよりやや低い高度まで上昇したジガンスクードは、
両肩の砲をその黒い艦に向け、先ほどと同じ巨大なビームを続けて2発、発射した。
スペースノア級の主砲となっている連装衝撃砲と同じ力を持つビームだ。さすがに無視はできまい。

「明智大尉、聞こえますか? こちらスノウフェイル、遅れて申し訳ありません。このジガンスクード・アンジェの調整に少し時間がかかりまして。
エスコートのクレマチ伍長共々、これよりそちらの指揮下に入ります。
この機体は文字通りの「盾」であり、Eフィールドジェネレーターも装備しています。上手く活用して下さい」

アルプ・トラウムに衝撃砲を撃ちかけながら、リリーはライトに対してそう通信を入れる。

596レイナ ◆zv577ZusFQ:2013/03/18(月) 06:35:48 ID:U8jCKvyI
>>591
【「よう。随分と元気がないな?バナナが足りなかったか?」】

「ふっ……やっと来たわね。遅いわよレオンハルト。今まで何処をウロチョロしていたのか、まぁ詳しくは聞きはしないわ」

見たことも無い黒い機体に乗っているが、レイナには彼が味方だと確信していた。
本来、眷属とはこうあるものなのだ。それなのに……。

「そんな。あれ……あれはアシエル?何故反逆者側に?」

ライトには訳が解らなかった。アシエルと言えばシルヴィエ・クロイツの指揮官達が愛用する最新鋭機。
邪悪に黒く塗装されて少しは外観に相違は見られるがライトの眼はそれを見抜く。

>>594
【「他の機体や戦艦も同一の対応でいいのかい?」】

「いや、レイナ・カーマイン以外は生死は問いません。あまり抵抗が激しいなら見せしめにいくつかに消えてもらっても別段、問題はありません」

……何を言っているのだ彼女は。酷く独裁的なこの思想。今までの彼女はそうだっただろうか?
ライトの頭は欧州フリードリヒ・マクシミリアンに与えられた使命を果たそうとする事で一杯となっている。
そんな訳で、敵の生死は問わない等と一番最悪で最低な選択を取る。
そしてそれを告げたのは最も危険な存在。

>>595
「カナメ様、甲斐が出ました。こちらの進路上です」

「……んにゃ。私らの退路の上に。すごく邪魔なんだけれど。一旦、艦を止めて」

イクリプスの一報を受け、心底面倒臭そうに顔をしかめるカナメ艦長代行。
ブリッジクルーのメイド達も甲斐との邂逅にざわざわとしている。
このまま突破するにはあの主砲が邪魔だ。流石にこちらのバリアでも損害必死。


【『墜ちろぉっ!!』】

「……アカリぃっ!」

一方、こちらユウセイを仕留めようとするホーミングミサイル。
それは突如突撃して来たビルトラプターにて到達せず全弾撃ち落とされていた。レイナが与えたあの機体が今はレイナに皮肉にも牙を剥いて来る。
出来れば彼女には敵になって欲しくは無かったのだ。

「速い!?」

しかし居合い抜きを未然に阻止する為に撃ったミサイル。それがユウセイに届かないとなれば、次に迫るのは完璧な状態から繰り出される神速の居合い。
爆風の中を抜け、アルブレードがアイゼルネ・ブルートを一閃。

「やるじゃないかユウセイクン」

レイナの反応では今からでは回避不能として機体のダメージを最小限に止める防御の体勢に入るレイナ。
結果的に胴体を斜めに切りつけられてしまう事になり、何故か血飛沫の様な赤いものが装甲の切り口から飛び散った。
派手にいかれた様だが、ダメージは薄皮一枚といった所で有り、マシンセルならばオートモードで修復可能な範囲だ。
逆に、居合い抜きの後の隙を付き、こちらも万全な状態で反撃出来てしまう。

【アイゼルネ・ブルート:神速の型が命中。残りHP65%。徐々に回復中】

「ユウセイ、私は半身と話が有るんだ、しばらくあっちに行っててくれ」

アイゼルネの右腕が伸びて行き、攻撃後のアルブレードへと巻き付こうと迫る。
この拘束攻撃が成立したならば邪魔にならない様にアルブレードを全力で別方向へと投げ捨ててしまうつもりだ。
レイナが見据える先はアカリ。

【アイゼルネ・ブルート:アルブレードへデモンズ・バインドで攻撃】

597 ◆zv577ZusFQ:2013/03/18(月) 06:41:17 ID:U8jCKvyI
【「了解です。まずは、少しの間あの艦を黙らせることにしましょう」】

「……んもう。特機タイプも所持しているなんてぇ」

次々と立ち塞がる大きな壁にため息が出てしまうカナメ。

「気を付けて。あれはドゥロとは違って砲撃特化っぽいわ」

遅れて現れたジガンタイプから砲撃されるアルプ・トラウム。高機動が売りの当艦はイクリプスの絶妙な舵取りにて艦体を反らす事に成功する。
しかし、それでも艦の主砲クラスの強い砲撃はアルプ・トラウムが発生させる赤いバリアを難なく突破し、艦体に砲撃の与波をかすらせる。
それはブリッジにも衝撃を伝え。

「「きゃあぁー!」」

ブリッジのメイド達が悲鳴。

「目が……目が回る〜」

そして、ふしだらな二つの果実を縦横無尽に揺らしながら、艦長のカナメはフラフラになっていた。

「失礼しましたカナメ様。厄介ですね、あの砲台」

アルプ・トラウム側もこのまま撃ち続けさせる訳には行かない。
1人涼しい顔のイクリプスは、慌てずナイト・フライヤーをジガンへと射出する。
アイゼルネ・ブルートのモノと同じ名称の蝙蝠型の自動攻撃子機である。ただ、大きさは艦に搭載する際にそれ相応の大きさとなっており、強力になっている。
ずんぐりした巨体に群がり、その牙、その翼にて切り裂かんとする。

【アルプ・トラウム:残りHP90%。ナイト・フライヤーでジガンスクード・アンジェに反撃を行う】


【「明智大尉、聞こえますか? こちらスノウフェイル、遅れて申し訳ありません。このジガンスクード・アンジェの調整に少し時間がかかりまして。
エスコートのクレマチ伍長共々、これよりそちらの指揮下に入ります。
この機体は文字通りの「盾」であり、Eフィールドジェネレーターも装備しています。上手く活用して下さい」】

「スノウフェイル少尉?……しかしその機体はどこから……いいえ、そんな事はあの反逆者どもに勝利してからで良いか。
あてにさせてもらいますよ。このままあの艦を沈めて下さい」

欧州、極東でも無い別陣営の介入を怪しむが今はそんな事はどうでも良い。
勝たなければ意味が無い。そのライトの目はあたかも何かに取り憑かれたかのようにギラギラとしていた。

「……クレマチ伍長、しばらく後に撃墜された振りをしてレイナ・カーマインをこちらのオープンスペースまで誘導して下さい。
彼女はあなたに拘っている。話を聞く振りでもしていれば、必ず誘き寄せられるはず」

ライトがプライベート回線でアカリへと不思議な指示を出す。
この際、外道な手段などとも言っていられない。レイナを突出させ、こちらの隠し玉のシルバーバレット隊にて袋叩きにしてしまう予定だ。
当初は、ヒツギにこれを頼む予定であったが彼をレイナに近付けるのは予想以上に危険と判断した為の代案。

598 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/18(月) 10:49:04 ID:gft2ET8E
>>588
>>「……まぁ、適当に当たってギブアップしちゃいなさい」
「ほんとに、殺す気か。あの人は」
回避は、不可能に近い、なら、防御を、と思った矢先
>>595
>>「墜ちろぉっ!」
「ビルドラフター、クレマチ伍長か、助かりました。流石は、レイナ嬢の半身」
礼は、言っておく。
「この完全な体勢のまま、放つ。」
神速の居合いは、アイゼルネに当たったが
>>「やるじゃないか、ユウセイクン」
「薄皮一枚か、となると、」
当然、反撃が来た、しかも拘束型の
「恐らく、クレマチ伍長と二人で話がしたいのか。じゃあ大人しく捕まりますか。」
特にといった、抵抗もせず、大人しく捕まる。

599 ◆zv577ZusFQ:2013/03/18(月) 11:56:44 ID:U8jCKvyI
>>598
「ヒットよ。じゃあ君はあちらでお友達と仲良く遊んでいるが良いわ」

アイゼルネはその名前に似つかわしく無いもの凄い怪力でホールドしたアルブレードを勢い良く放り投げた。
アルブレードはまるでプラスチック製のオモチャの様にふっ飛んで行き、その投げる先にはレイナがここで最も危惧するべきと読んだあの者の機影が見える。

(……気に入らないわね、このプレッシャーみたいなもの。正直、つばめと静香で何とかなるとは思えないな)

ユウセイがふき飛ばされたのはシルヴィエ・クロイツの念動力者の機体の元。
まるでツインテールの様な妙な頭部をした白い簡素な機体だ。
レイナはこの機体に不気味な違和感を覚え先程からチラチラ気にしていた。
念動力者であるユウセイを利用して、そのツインテールの何らかの反応を見られる物かとの抜擢である。

(……それに。何だかんだ情に厚いユウセイクンが居れば最悪、奴に静香達が殺されてしまう様な事は無いと思うからね)

そこに最低限の保険をかけておいた。
今は敵だがレイナはどうか期待通りに動いておくれよと願っておいた。

600 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/18(月) 18:27:35 ID:gft2ET8E
>>599
「ああ、やっぱ吹っ飛ばされんだ。」
勢いよく、吹っ飛ばされた、
「激突は、避ける。」
ユウセイは、機体をそらし、逆にブーストをかけることで、落ちることを阻止する。
(待てよ、もしかして、)
明智大尉は、ピッドに阻まれている。
ヒツギも、戦意を喪失して、戦えない。
おまけに、レオンバルトもいる。
「多勢に無勢、俺が行っても、背後から彼奴等がくる。」
なら、そう思い、軍用回線を開く
「アルブレードより、ケルビル1へ、エンジェル9明智ライト大尉の援護をして貰っていいですか?、あの二人は俺がやりますから」
そう、連絡を入れる

601ゼバスチャン ◆oR45XRwhpI:2013/03/18(月) 21:42:47 ID:Wt3wSd0w
>>590
命中を確認 あの物騒な対空砲火を一つ、無残な鉄くずに変えてやった
然し間髪いれず行われたのは、視界一杯に広がるといって差し支えないほどの弾幕

「コイツはいい!! こいつはいいぞ!!」

その中でこの男は、シールドを構えて笑っていた
けたたましい轟音、背筋を凍らせる死の気配、被弾を知らせる無数の警報

その全てが、あの懐かしき最前線、碌に制空権も取れてない中、電話一本でアヴェンジャーを届けた激戦区を思い出させてくれる
ソレを体現しているのは、ただのAM一機だというのだ

「やぁ久しぶりバニーちゃん!! さっきの戦艦にいたのは人違いだったようだな!!
 熱烈な歓迎どうもアリガトウ!! これでこそ戦場!! 懐かしき我が家へただいまだ!!」

シールドに小さな穴が幾つも開き、覆い切れない箇所の装甲を容赦なく削り取って行く対空砲火
だが致命傷には程遠い、程遠いなら 反撃は十分に可能なのだ

ウィングに搭載されたロケットランチャー スタンバイ
トリガーを引き、発射される

「今度はイテェじゃすまねぇかもしれねぇぞ!!」
敵機ないし、地表に当たれば炸裂する榴弾が計4発 焔姫に向けて発射された

>>591
そんなご機嫌な戦場で一つの小さな異変が起こる
何のことはない レーダーに映る随伴機体が全て消えうせたのだ

「なんだ? いつもの故障か?」

ステルス性のその機体に気付くことも出来ず、ただ味方のみが消えたとなれば
その原因をレーダーの故障と考えるのも無理はないだろう

なに 何時もの事と拳を振り上げ、レーダーのディスプレイに一撃、壊れた機械はこうやって直す
だが幾多の機械を直してきた鉄拳も、正常なものを直すと言う高等技術は持ち合わせておらず

「なん・・・・攻撃だと!?」
ここで初めて自身が攻撃を受けたことを自覚する 自分の見える範囲全てに視線を向け、やがて発見する数瞬までそこにいなかったはずの黒い機体
型式は・・・不明、見たこともない、その風貌に薄気味悪さすら覚える

武装から近接特化型と判断をつけたその黒い機体は、すぐ近くの自分には目もくれずに、ヒツギへとコンタクトを取っている
いざとなったら援護に移るか? 焔姫とのタイマン中、ソレは中々骨の折れる援護だと、知らずの内に汗で濡れた掌を軍服で乱暴に拭い、今は焔姫への攻撃に専念する

602その頃、諏訪 ◆E8ckRIIdug:2013/03/18(月) 21:54:14 ID:vUAXZLck
「レ、レイナが襲われている……何という事を!」
「はぁ、欧州の派閥が何やら。色々とガタガタしているようで」

 諏訪大社。
 激烈な弾幕戦の末に破れて“諏訪法性(の一つ。複数が現存している)”を奪われた、その当事者を調査中、マーガレット・ウィリアム=ウィルマース博士は……

「何とかしてレイナに救援を……法師、今こそ」
「ひょっとして、開祖普化の超機人とか期待してません?拙僧はそんな話聞いた事無いでござる」
 虚無僧とは禅宗の一種“普化宗”に属する特殊な行脚僧だが、開祖である普化には色々胡散臭い話がある。
 メグがつい期待するのも無理からぬ事だが、そうそう出てくる訳がない。

「しゅーん……」
「ああもう仕方がないでござるなっ!
 気休め程度ならやってみるでござるよ」


>>592
 ヒツギの脳裏に、声が聞こえる。

 数日前に出会った、あの少女の声だ。

『レイナのそばにいてあげて……』
『よろしくお願いします……』


「……あの少年が、どれだけあなたの言葉を思い出せるか、為すべき事を為せるかまでは、分からないでござるよ……」

603レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/18(月) 22:16:28 ID:6mwQhHz6
>>590>>592>>601

黒い機体の腰部と肩部に備えられた計四つのマルチポッドからそれぞれ円筒状の物体が射出、一定距離を飛来すると灰色の煙を発し破裂
煙は忽ち焔姫達三機を覆い隠す。マヤ達に対して念の為、状況と相手の情報を伝える

「その煙幕には赤燐の成分が含まれている。赤外線も遮断するから相手の主兵装の威力は半減したと言って良い…まぁ煙幕内は漏れなく見えなくなるのが難点だが…少しの間は凌げるはずだ」

【「お前もレイナ側に付くのか・・・!!」 】
ヒツギのゲシュペンストの挙動は明らかに迷いを孕んでいた
無理もない
言ってしまえばヒツギがあんな機動兵器を駆るハメになったのは成り行きだ
如何にレイナを守る事を誓ったとして、それは極個人的な事情だ
そして頭にクソが付くほどの真面目さからの行動に対する責任、望まれるべく使命とで雁字搦めになる事は少し考えてみれば当然であった

「…まず、俺はお前を先に解放すべきだったかも知れない…が」

煙幕内で前傾、脚部が地表を踏みしめると脚部を中心に紅い稲光が発せられると同時に、そこには蹴りだした際に穿たれたであろう窪みを残すのみ

その姿はドロワナから射出されたロケットの上、射出された先から瞬時にその上を飛び移ると後に残された弾頭は時間差で破裂

その勢いを更に加速させドロワナの脇を抜ける
セバスちゃんの目に映ったその機体の足底部からはブレードが延びていた

ドロワナの後方の地表に着地すると同時に衝撃波と共に姿を消す
ヒツギの駆るゲシュペンストの目の前にムラマサの右腕部からの斬撃が迫る

その斬撃が衝突するかの刹那
衝撃波と僅かに削れた大地がその道なりを示していた

604 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/18(月) 22:43:31 ID:NgQeLKcs
>>594
フェザー・バレットが軽快な発射音と共に降り注ぐ。
風姫と雷姫は素早く左右に散開してそれを回避した。
「…エクリプスさん達が退路を確保するまで、あの機体は私達が抑えましょう!」
「はい、姉さま!」
インセイオンが降下してくるポイントに向けて駆け出す両者。
「スラッシュリッパー、発射!」
風姫のスカートアーマーから、四基の手裏剣状の攻撃端末が撃ち出され、
四方からインセイオンに襲いかかる。

>>601
「何が我が家よ! ニヤニヤしてんじゃないわよ、この戦闘狂!!」
状況が状況だけに、ゼハスチャンの朗らかな態度はマヤの気に障った。
苛立ちながらもドロワナの様子を見やれば、やはりアームファランクスでは大した被害を与えられていなかった。
(…このまま遠距離戦を続けるのは不味い…だったら!)
こういうときに決断を迷わないことこそがマヤの長所であり、強みである。
すぐさま焔姫のブーストを最大にし、向かい来る弾頭を掻い潜るようにしてドロワナへと真っ直ぐに接近していく。
ロケット弾のうち一発が、焔姫の胴へと直撃するかに思われた瞬間、マヤは背に負ったブルーティッシュ・ブレードを勢いよく抜刀した。
「せぇっ!!」
そしてその切っ先を、なんと地面目掛けて突き刺し、自身は高々と跳躍した。
さながら棒高跳びの要領。ロケット弾は焔姫の足元をすり抜け、遥か後方へと飛んでいった。
その勢いのまま剣を引き抜き、前方のドロワナへと突撃する焔姫。
「もらったぁぁ!!」
ブレードの峰に並んだスラスターが点火するや、その機体は一気に加速。
踏み込みと共に、横薙ぎの斬撃を浴びせにかかる。

605ヴィルヘルム@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/18(月) 22:44:22 ID:vUAXZLck
>>603
「ちっ、弱いところをっ」
 明らかに精彩を欠くヒツギを狙っている。
 ラウディやレミーが事前に話すのを聞くと、ヒツギとレイナがカップル未満だとか何とか。そこに迷いがあるのだから、生粋の軍人であるレオンが突かずにいられないのは分からないでもない。

「やっぱり前に出るんだった……」
 このくらいになるとその急な加速に対処して当てるのは簡単だ。だが、有効打になるかは別だ。
 辛うじてラウディのアルゴス・ランチャーの長射程ミサイルが届くが……今度は命中の可否が別問題だ。

606 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/18(月) 22:55:22 ID:NgQeLKcs
>>603
「その声、レオンハルトさんですね!」
スモーク・ディスチャージャーという奴だろうか。
煙幕が立ち込め、辺りを覆い隠していく。
「援護ありがとうございます! これなら持ちこたえられそうです…!」
物理的な保護効果はもとより、視界を遮る煙は、自動追尾武器のスラッシュリッパーを主力とする風姫にとって追い風となり得る。
事態は好転している。静香にはそう感じられた。

607ゼバスチャン ◆oR45XRwhpI:2013/03/18(月) 23:30:28 ID:Wt3wSd0w
>>604
「俺はトリガーハッピーだ!! 戦闘狂と一緒にするな!!」

そこは妙なこだわりがあるようで、マヤに叫び返す
だがそのタイマンにケチをつける機影あり

先ほどまでヒツギにコンタクトを取っていた黒い正体不明機
発射したロケットランチャーを踏み台にこちらへと向かってくる

脚部パーツに取り付けられたブレードを見れば、確かにアノ機体は近接特化型なのだろう
問題はすでにこちらの射程圏内の内側に入り込んでいること

「クソッタレがぁぁぁああああああ!!!!」
何とかドロワナと敵機の間にシールドを滑り込ませ 蹴り脚をブロック
シールドの表面に深く長い切り傷が刻まれる

>>604
一難は去った、確かに通り過ぎた
だがあと一難が舞っていたことに このときまだ気付いてなかった

ロケットランチャーの爆風の中 飛び立つ機影が一機
別の機体が接近中であるアラームが鳴り響く

「誰だ!? ・・・あのバニーちゃん!!?」
見た限りあの機体は地上用として作られた機体であった

それゆえに空中から砲撃と言うアドバンテージを持って無力化しようというシナリオだった
何をどうしたか分からないが、黒い機体の一撃に対処した結果、焔姫に背を向けてしまうと言う愚を冒してしまった

スラスターによる姿勢の制御、精一杯の悪あがき、長刀が煌き通り過ぎた

「ウィング一部欠損!! テスラドライブシステム異常!! ロケットランチャー片方ロスト!! マトリクスミサイルも一部失ったか!!」
背負ったウィングを両断され、ソレによる姿勢制御に異常、成すすべなく地上へ落下して行く、致し方ない 緊急着陸へと移行する

>>603-604
「ボマー3より各機!! 近接特化2機に張り付かれて劣勢!! 誰か救援を頼む!! 援護する側が救援を呼ぶか・・・!!」
通信をオープン、援護を要請 劣勢が続けば嬲り殺しにされるのは明白

「せめて着陸ぐらいは自力で頑張りますかね!!」
墜落するのは初めてではない、スラスターを駆使して姿勢を制御するが、敵が指を咥えてみているはずもない

「マトリクスミサイル!! ファイア!!」
黒い敵機に向けて大型のミサイルを射出、一定の飛行の後にガワが外れ、中の小型ミサイルが黒い正体不明機に向けて飛んでいく

そして焔姫に対しては右腕のリボルバーカノンを起動 弾幕を張って牽制を行う

608ハーゲン ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/19(火) 00:03:08 ID:NQVK3JuM
>>603
>「…まず、俺はお前を先に解放すべきだったかも知れない…が」
>ドロワナの後方の地表に着地すると同時に衝撃波と共に姿を消す
>ヒツギの駆るゲシュペンストの目の前にムラマサの右腕部からの斬撃が迫る

「!!」

瞬時に放たれた斬撃を察知し左腕のブレードを斜に構えて受け、腕を広げる動作と共に後方へ流す
ヒツギからして見たら本気で攻撃してくるなど夢にも思っていなかったはずだ。
瞬時に体が反応し、攻撃に対して防御体勢をとったのだろう

(やっぱり撃ってきたか・・・!)

だが切っ先を向けられることに対処は出来ても、逆にヒツギが切っ先を向けられるかは別の問題だ
しかしながらヒツギはレオンがそんな甘っちょろいことを言って居られる様な相手ではなく
ましてや言わせてくれるような人物でないことも知っている。
少なくとも現状のように防御に徹していては削られるのが目に見えている

「・・・クソッ!!」

横方向に動き間合いを取りながらGリボルヴァーの銃口がムラマサへと向けられると
一瞬の迷いの末に引き金が引かれシリンダーの回転と共に撃鉄が動く。
発砲による反動で軽く右腕が跳ね上がり、銃口からは薄く煙があがる

(今ほど自分の射撃の才能の無さを嬉しく思ったことは無ぇよ!)

ヒツギの射撃能力を考えれば、いくらリボルヴァーが比較的高火力と言えども命中精度は高が知れていた
さらに何時ものヒツギならば引き金を引きながら前に出たところだろう・・・が、今は横に逃げた
下がる訳でもなく前に出る訳でもない、ヒツギの心理状況をそのままに写し取ったものだと言えよう

609レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/19(火) 01:09:12 ID:Lj.Md1m6
>>606>>607>>608
【「その声、レオンハルトさんですね!」】
レイナはさておき、機体がここまで違っていても知るもの達には完全に特定されるとは、口角が思わず上がってしまう

先ほど脇を抜けた敵機ドロワナが思惑通りにこちらを向いて追撃
わざわざ無駄になるかも知れない砲撃を行う必要はないからだ

ミサイルコンテナから小弾頭達が解放される直前
こちらの攻撃に対して一瞬間が開いてからの横飛び、そして銃撃
ヒツギにとってもっとも適性の高いクロスレンジでの反撃の選択にしては余りにも
「中途半端な…」
ムラマサの上体を反らせる
ゲシュペンストから放たれる弾丸を避ける為ではない
弾丸は完全に飛び退いた方向へと逸れていたからだ

小型ミサイルの群が一斉にこちらに向けて迫る
反らした体制から倒立、脚部のブレードを展開し体を捻りつつ弧を描きながら飛び退くと切断された弾頭がムラマサとゲシュペンストとの間まで飛来
ムラマサの着地と同時に破裂した

立ち込める煙からムラマサのカメラアイの光だけが見える

「そんな半端な心構えじゃ…死ぬぞ?」

レイナを守って行くにせよ、実質連邦政府の人質である家族の為にせよ
ヒツギがこのままならば生き残ることさえ難しいだろう

そのいずれを選ぶにしても生き延びる事を考えさせる必要がある
ヒツギが仕掛けてこないならこの煙に乗じて敵部隊を攪乱、あわよくば数を減らすまでだ

610ハーゲン ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/19(火) 01:59:14 ID:NQVK3JuM
>>596
>「いや、レイナ・カーマイン以外は生死は問いません。あまり抵抗が激しいなら見せしめにいくつかに消えてもらっても別段、問題はありません」

この時ハーゲンは珍しく少しだけ驚いたような表情をしていた。
データ上だけで判断した明智ライトの口からは絶対に出てこないであろう過激な発言だと感じたからだ。

あの姫3機は所属不明な上に身元不明、利用する方法などいくらでも思いつく。
現に保護及び観察目的で手元に置かれていた程だ、一緒に戦っていたライトがそれを知らなかった訳ではあるまい
どちらかといえば穏健派の官僚タイプ・・・そう判断していたのだが。
もしかしたら正常常な思考状態ではなのかも知れない

「そう、そういうことならそれも良いね
 それじゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」

ハーゲンはその目を細め、口を三日月形に吊り上げて笑みを浮かべる。
どちらにせよ結果が変わるだけでハーゲンが行おうとしていた工程そのものに違いは殆ど無い
むしろ楽になったというものだ

>>599>>600
「邪魔」

飛ばされてきたユウセイの動向を確認することも無く
ましてや援護を求めることも無い、完全に介入してきただけの邪魔な存在としてのぞんざいな扱い。
戦闘真っ最中に突然やってくれば当然の対応ともいえるが、ハーゲンはそれとは少し違っているように感じた。

言うなれば邪魔ものとしての扱い以前に、その範疇にすら入っていないとでも言うべきなのだろうか
おそらくユウセイがこの場で帰艦したとしても引きとめもしない・・・そんな風な

>>603
>「その煙幕には赤燐の成分が含まれている。赤外線も遮断するから相手の主兵装の威力は半減したと言って良い…
>まぁ煙幕内は漏れなく見えなくなるのが難点だが…少しの間は凌げるはずだ」

「余計なことを・・・」

相手の放ったスモークがただのスモークで無いこと等瞬時に看破していた。
しかしながらビームの減衰を促す効果をあえて選択したようだが、相手がインセイオンのデータを持っているたは考えづらい
この機体の武装及びシステムは同じSK所属の人間ですら一部を除いて知らないのだから
となると見た目から実弾兵器は所有していないと瞬時に判断したということか

(流石はレオンハルト・シュナイダー・・・と言えばいいのかい?)

>>604>>606
>風姫のスカートアーマーから、四基の手裏剣状の攻撃端末が撃ち出され、
>四方からインセイオンに襲いかかる。

インセイオンの掌にある球体、先ほどフェザーバレットを放ったそれが再び発光する
その輝きは一律ではなく、まるで脈打つように躍動し、発光を強めるとそれは輪となって両の手に齎された。
形状は天使が頭にでも乗せていそうな、光で出来た輪としか言いようが無い代物
両腕を翻せば掌に吸い付いているかのように追従すし、風切り音を響かせる。
その保持方法と見目から判断して、『チャクラムシューター』ではなく実在する円月輪『チャクラム』に程近い性質であろうか

持っていたスライサーをマニピュレーターの人差し指と中指で挟み、新たにもう2枚のスライサーを生み出して今度は中指と薬指で挟み込む
これで風姫の放ったリッパーと同じ4枚、こちらは機械による誘導ではなく念動力による遠隔操作
先ほどのチャクラムと言う例えが適切であれば、この兵装は・・・

「オービタルスライサー・・・誘導兵器対決なら受けたってあげるよ!」

両腕を振りかぶり、その勢いのまま4枚のスライサーが放たれる。
スモーク化では風姫に対しての有効打にはならずとも、リッパーを迎撃する程度の火力は持ち合わせているはずだ。
その通りに襲い掛かるリッパーと正面から衝突する形でスライサーが激突し4つの爆炎が上がる

「折角のプレゼントだから僕も使わせて貰おうじゃないか」

赤く照らされたインセイオンは、その機動力のままにスモークの中に突っ込んでくる。
あえて視界が悪い中に突っ込んでくるなど正気の沙汰とは思えないかもしれないが、ハーゲンの能力を考えれば無謀な選択肢ではない
念動力者としての素質を持つ彼はスモーク化でも気配を感じることが可能

先ほどスライサーでリッパーを打ち落とせた理由もこれだ、迎撃しようにもリッパーの位置を把握しなければ意味が無い
しかしリッパーの気配を感じることが出来ればある程度の予測が出来る・・・出来たと言うべきか

だがこの状況、実は未だ顔を出していない雷姫の存在があった

611リリー&アカリ ◆Tg./UqnJ52:2013/03/19(火) 04:35:28 ID:f71h2lmc
>>597
戦艦と言えば、火力と防御力に優れ、機動力の低いもの……リリーの砲撃も、そのセオリーに則って行われたものであったが、
アルプ・トラウムの挙動はそのセオリーを完全に超越していた。まさか、あの砲撃群をかすめただけで済ますとは。
だが驚いている暇はない。敵艦から射出された自動攻撃子機がこちらを狙っている。姿形からして、アイゼルネのものをスケールアップしたものだろう。
縦横無尽に動き回るフライヤーに対し、ずんぐりとしたアンジェでは、対処が難しい……。

「……とでも、思いましたか? その幻想をぶち壊します」

外付けされていた大型ブースターを切り離すアンジェ。
固められていた増槽とブースターから開放された背部には、十本の長剣のようなデバイスが装着されており、五対になるように設置されたそれは、天使の羽のように見える。

「ロング・ソードブレイカー、迎撃!」

無論、それは飾りで付いているものではない。ロング・ソードブレイカー。ナイト・フライヤーと同様の、独立攻撃端末。
勢いよく射出されたソードブレイカーはそれぞれに飛び回り、それぞれに迫り来るフライヤーに狙いを定めると、
迷いのない軌道を描き、高速でフライヤーへとその切っ先でもって突撃した。
これによってフライヤーを押し返したソードブレイカーは、さらにその身を縦に割り、内蔵されている砲身を露出させると、
フライヤーの内部機関へゼロ距離射撃を浴びせた。
大型化され、アイゼルネのものよりも強力になっているとはいえ、内部に射撃を食らってはひとたまりもない。
爆砕したフライヤーたちの爆炎の中から、ソードブレイカーたちは悠々と戻ってきて、アンジェの近くに滞空する。

「高速艦と解った以上、隙を見せるのはいけませんね。
甲斐、こちらスノウフェイル。敵艦をスキャンし、テスラ・ドライブを探して下さい。
高速艦と言えど、揚力機関を失えば航行できないはずです。そこを突きます」
『こちら甲斐、了解しました』

甲斐にスキャンを依頼したリリーは、再び両肩の衝撃砲でアルプ・トラウムに向けて2、3度砲撃する。
あの機動を見る限り、この砲だけで艦を無力化することは難しいだろうが、それでも進攻の妨げにはなるはずだ。


そうして砲撃を加え、敵艦を足止めしていたリリーの元に、ライトから返信が届いた。
どうやら遅れたことに対するお叱りは無いようで、少しホッとする。だが、どこか彼女の様子はおかしかった。
レイナと相性が悪い上、エリート部隊であるエンジェルフェザーを隊で送り込んだこの作戦において、
総指揮を勤める彼女が気負うのは無理からぬ事だとは思ったが、それを抜きにしても、あのギラつきっぷりは普通ではない。
姫と同様、リリーもこの戦いに疑問を抱いている一人だったが……ライトの様子がその疑問に拍車をかけたのは言うまでもなかった。

「…………っ、了解、しました」

だが、そんな様子のおかしいライトの指示に、多少救われた者も居る。アカリだ。
ユウセイに迫るミサイルの残りを撃墜した彼女は、そのままビームランチャーの銃口をアイゼルネに向けてはいたが、
指がどうしても動かず、トリガーを引けずにいた。
おかげでユウセイがアイゼルネに捕まって、どこかに投げ捨てられてしまったが、それでもトリガーにかかる指は凍ったように動かない。
次は自分が投げ捨てられるのか? ライトの言うようにこちらに接触してくるのか? 撃つべきか? 撃たざるべきか?

「レイナさん……」

ぐるぐると回る思考が、アカリの精神を加速的に削っていく。

612リリー ◆Tg./UqnJ52:2013/03/19(火) 04:36:33 ID:f71h2lmc
>>605,>>607
「む、救援要請ですか……」

ドロワナからの救援要請と、戦況モニター確認したリリーは、アンジェの近くに滞空していた五基のソードブレイカーに指示を与えた。
長剣の姿をした独立攻撃端末たちはそう時間をかけずにトップスピードにまで加速し、手負いのドロワナを追撃しにかかるであろう焔姫を横から急襲した。
鋭い実体剣の切れ味を持つソードブレイカーだ、回避するか、何か防御手段を講じない限り、狩る側と狩られる側が逆転するのは必至。

「リューデル軍曹、そのまま焔姫に射撃を加えつつ、後方へ退避してください。すぐに援護機をまわします」

ソードブレイカーが焔姫に有効打を与えるか、それとも防御されるかはさておき、これで行動は阻害されるはず。
そう判断したリリーは、次にヴィルヘルムとラウディに通信を繋ぎ、

「ヴィルヘルム少佐、あなたの機体には修理装置が搭載されていましたね? 中破したラーズアングリフを後方に下げますので、応急修理をお願いします。
クーリマン軍曹、後方に下がるラーズアングリフの援護にまわってください。焔姫は突破力に優れた機体ですが、火力に優れたガトリングは既に破壊されています。
弾幕を展開しつつ、ラーズアングリフと共に後退してください。それだけで、かなり焔姫の進攻を阻害できるはずです。
こちらからも、ソードブレイカーによる妨害を行います」

二人の機体は新型のようだが、修理装置と補給装置を積んでいるのはこの状況では素直にありがたい。
上手くドロワナを援護し、応急修理を行えば、ドロワナを甲斐に帰艦させて、本格的な修理・補給を行うことができるだろう。

613 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/19(火) 06:43:12 ID:NQVK3JuM
>>609
>反らした体制から倒立、脚部のブレードを展開し体を捻りつつ弧を描きながら飛び退くと切断された弾頭がムラマサとゲシュペンストとの間まで飛来
>ムラマサの着地と同時に破裂した

ゲシュペンストとムラマサの間を激しい熱と光、音が分かつ。
ヒツギは切断されたミサイルを当たらないと踏んでいたらしく、怯んだ様子は無かった

>「そんな半端な心構えじゃ…死ぬぞ?」

「んな事は分かってんだよ!!」

半端な心構え、揺らいだ意志では自分の身を守るどころか誰かが犠牲になってしまう。
理解しているどころか既に経験済みだ、むしろこの経験が今のヒツギの立場を生んだといえる
そんな事が脳裏によぎったヒツギは目を丸くしてハッと何かに気づく。

『変わっていない』という事実に

この身動きが取れない絡め取られたかのような状況が、あの戦いの延長線上に存在しているならば
それはつまり何も変わっていない、何も払拭出来ていないという事に他ならない。

先ほどヒツギは分かっていると言った、むしろ分かっている気になっていた
自分は変わった、変わろうとしていたと。
守るために強くなるために努力をしていたと。

だが本当の意味で分かったのはたった今、こんな取り返しが付かない状況に陥って初めてだ

「俺はッ・・・!如何すれば良い・・・!!」

血を吐くような言葉はレオンへ問いかけたようにも聞こえて、自問自答にも取れた。
レイナとレオンと・・・ヒツギが彼らに出会ってから
初めて曝け出したであろう『弱さ』を具現にした言葉だった。

614ヴィルヘルム@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/19(火) 07:08:11 ID:05M2PD0s
 実のところ、一発も撃たずに話を終わらせるのがヴィルヘルムたちの理想だったがもう無理。

>>612
「了解(アイアイ、マム)、リューデル機を下げる……下げられるのかね?」
 まだ不慣れだが、ビームコートやジャマー、シールド装備のこの機体なら多少の弾幕は凌げると思いたい。後はカウンターで撃ち返す。

『了解しました、焔姫を牽制します』
 ラウディ機の背中のハードポイントに取り付けられたミサイルポッドから、合計20発のミサイルが放たれた。

【ヴィルヘルム、《集中》を使用してからゼバスチャンに隣接、修理装置を使用】
【ラウディ、《狙撃》を使用してから5連長射程ミサイル×4で焔姫を攻撃】

615 ◆zv577ZusFQ:2013/03/19(火) 09:19:30 ID:.k4n23yk
>>600
【「アルブレードより、ケルビル1へ、エンジェル9明智ライト大尉の援護をして貰っていいですか?、あの二人は俺がやりますから」】

「いいえ。ケルビム1はこのまま雷姫、風姫を殲滅してください。
こちらは気にしないで良いですよ」

ガブリエルに追従して来た鬱陶しい蝙蝠達は、今しがた振り払った。
ユウセイの様に突出した能力は無いが、ライトもぺーぺーと言う訳では無かった。
一応、パイロット面でもちゃんとしたゼネラリストである。

(……それに。ハヤミ中尉の甘さが命取りになるかも知れないしね。気心の知れないハーゲン少尉が機械的に仕留めた方が良いに決まっている)

最新鋭の部隊と人材。それが揃いも揃って攻めあぐねている現状。士気の面でも頭数をすぐにでも減らしたい。
これ以上レイナ一行を調子に乗せてたまるものか。ならば愚かな仲間の死を持ってしてこの流れを断ち切ろうと試みた。

>>606
「静香、つばめ。あのツインテの機体には必要以上に気を付けなさい。まだ詳しくは説明不可能だけれどこの邪王真眼が危険と判断しているわ」

上手く立ち回っているつばめと静香に主からの未来のお告げが下される。
まだインセイオンのプレッシャーの根拠は見えていないので、レイナもアドバイスをしてやりにくい。

「でも命を張る必要は無いし許さない。危なくなったらレオンハルトを呼びなさい。回収に向かわせる。
悪いけど、私の方はそれどころでは無くなるから」

こちらに加勢してくれる貴重な存在が勝手に死なれては困るし、彼女らもこんな他所の世界で終わるのは嫌なはずだ。
そして蛇足な感じで自分に降りかかる災厄も見えているかの様な事を言い残した。

>>611
「…あら。意外と芸達者な。もー……老骨のジガンのくせに」

ジガンタイプに遠隔操作されるソード・ブレイカーの鋭利な刃にこちらの蝙蝠の群れは凪払われてしまった。それもまたあっさり。
カナメは相手機体を好き勝手に貶しつつもメカニズム的に見て理に叶った見事な仕上がりだと実は称賛していた。

「ふむ……これじゃあ甲斐を突破するにはまだ無理っぽいか。レイナ達も手一杯みたいだしね。長居は嫌なんだけれど」

甲斐のスキャンにより、アルプ・トラウムが調べられているのを察知。まぁ甲斐の事はこちら側も知り尽くしているのでようやくおあいこと言ったところか。

「それでいてこちらはあのジガンタイプに有効的な手が殆どありませんから。こう張り付かれては厄介ですね、実際。
こちらをよく理解してらっしゃる」

敵の手並みに苦笑いするイクリプス。
ジガンタイプの衝撃砲での妨害を艦船離れした機動にて何とか直撃せずに凌いでいるが、流石にイクリプスの手を持ってしてもこれではいずれ無茶が出る。
こちらも対空迎撃用のホーミングレーザーをジガンスクードへ照射するが、あの盾には焼け石に水かも知れない。

【アルプ・トラウム:残りHP80%】


>>611
【「レイナさん……」】

「アカリ。それで私を撃たないのか?反逆者を倒す絶好のチャンスなのだがね」

すでにビルトラプターにビーム砲を向けられているが、物怖じせず堂々とした口調をもってして会話に突入する。
この様子ならアカリは連邦のやり方に迷いや疑いを持っているのだろうか?
もしそうならば、出来れば彼女を我が物としたい。

「半身と認めたあなたとは銃を向けずにちゃんと話がしたかったわ。今でもそれは変わらないけれど、どうしよう?
私は、あなたが欲しいわ。……あなたとなら災厄の未来を変える事だって」

まるで告白でもするかの様な紛らわしい台詞に、通信を傍受していたライトの方が一瞬ドキリとする。
しかし、この展開はライトにとって正に望ましい展開。
ライトの思惑通りにレイナはアカリを勧誘しにかかったのだ。

『グッド……。では一芝居打ちましょう。内通疑惑により、あなたのビルトラプターを撃ち落とすといった陳腐な物です。
クレマチ伍長の反応速度なら見せかけのトリックが可能でしょう。
後は仕上げにレイナ・カーマインの気を引くような台詞を残し、森林地帯に誘導願います。大丈夫必ず彼女は釣られます』

そしてライトは今後のレイナとアカリの信頼という物を完全に壊し、引き裂くような醜悪な三文芝居を引き起こそうとしている。
いったい、小田原フェスタに参加していた時の様な誠実で何処か委員長っぽい彼女はどこに行ってしまったのか?

616 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/19(火) 20:46:19 ID:X2HUs0Bc
>>607
ダメージを負い、地表に降りるドロワナの姿に目を光らせるマヤ。
「チャンス! このまま一気にっ…!!」
リボルバーカノンの弾丸は剣の腹で受け止める。
うち一発が肩をかすめて火花を上げたが、マヤは怯まない。
【HP85%】

>>612
しかし、事はそう上手くは運ばなかった。
「……なっ!?」
死角から飛び出してきたのは、ブルーティッシュ・ブレードをも上回るサイズの巨大な剣。
ソードブレイカーによる援護攻撃は、完全にマヤの間隙をつく形で焔姫に命中した。
「うあぁぁっ!」
反射的に急所は外したものの、大きく吹き飛ばされる焔姫。
砂煙を巻き上げながら、どうにか2本の足で着地する。
結果的にドロワナとの距離は一気に開いてしまっていた。
【HP70%】
「くぅっ、逃げられた!!」

>>614
次の瞬間には、また別の機体から放たれた四基のミサイルが迫り来る。
「ちょっと、なんであたしばっか狙ってくるのよ!?」
駄々っ子のように叫びながらも、即座にファランクスを連射。
ミサイルは一基残らず叩き落とされ、進路半ばで爆散した。
「あーもう……レイナ! こっちに援護とか回せないワケ!」
そう口にした瞬間、マヤは少し後悔した。
これではまるであの高慢ちきな邪気眼女に助けを求めているようで、不本意極まりないではないか。

>>610
「くっ…!」
スラッシュリッパーはチャクラムに弾かれ、すごすごとスカートアーマーに戻ってきた。
敵側もまた誘導兵器を持っている。
これでは、スラッシュリッパーはさしたるアドバンテージとも言えない。
しかし敵機が無謀にも煙幕の中に突入したことを察知したことに、静香は勝機を見た。
「つばめ! 今よ!」
「はいっ!」
インセイオンの後方から、黒煙を破って飛び出したのは雷姫。
「チャクラム・シューター!!」
「はあっ!!」
正面に待ち構える風姫を交え、鮮やかな挟撃が放たれる。
薙刀と電撃チャクラムが、一寸違わぬタイミングでインセイオンを討たんと迫る。

>>615
「はい。ですが、何とか抑えて見せます! レイナさんは引き続き甲斐の相手を!」
慢心があるわけでも、油断があるわけでもない。
しかし、静香達はまだ気付いていなかった。
目の前の敵が秘めた恐るべき力に……

617 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/19(火) 21:41:00 ID:UalR53dY
>>610
>>「邪魔」
(邪魔言うなよ。)
その、言葉を必死に押さえながら、
ほっとくことにした。
あの二人の反撃からして、十分な対抗は出来る。
そう、ユウセイが判断してしまったのが、彼女達の運の尽きだった。
>>615
>>「こちらは、気にしなくても良いですよ」
(明智大尉め、意外と、しぶとい。)
味方なのに、そんな酷い事を考えてしまうユウセイ。
(T-linkで、バレッド隊の情報を使えないかな。)
全ては、彼奴等を、生き残らせるために、
必死に策を考えている。ユウセイ
>>516
「まずは、彼奴から行くか。T-link」
念を収束させ、刀の形へ形成させていく。
「突撃娘、先ずは、お前からだ。」
(あの大剣を潰せれば、殆ど彼奴の武装はない。)
左肩を狙いほむら姫に、迅速の型の、衝撃波を放つ

618ゼバスチャン ◆oR45XRwhpI:2013/03/19(火) 22:55:23 ID:aRhznTnw
>>612>>614>>616
姿勢制御 着地

高度からの強制着陸にハンパない振動がコクピットを揺らす
牽制の弾幕をものともせず突っ込んでくる焔姫、進退窮まったかと冷や汗が吹き出る

だがありがたいことに援護の手、何処からか飛んできた長剣がドロワナと焔姫を引き離す
見れば空にそびえる鉄の城・・・というわけではないが、見るものを圧倒する巨体

宇宙では忌まわしき存在と称されるジガンスクード
それが遠隔操作で長剣を放ったのだ

弾き飛ばされた焔姫を待ち受けていたのは、これまた援護の手 アレは量産機か何かだろうか?
20発のミサイルを放った後、近接して修理を行おうとする

「こちらボマー3!! 助かった 後で一杯奢らせてくれ
 あと修理は手すらドライブ・ユニットを復活させて欲しい!!」

マズは礼を言うのが礼儀 その後に修理に入る量産機へと要請を出す

「了解だ量産機、一端後方に下がる だがあのバニーちゃんにはお返しをしてやらねばな!!」
弾き飛ばされた焔姫を睨み、不敵な笑みを浮かべる 背中にマウントされたガトリング砲が回転すると共にドロワナの頭部が同体内へと収納されていく

「ボマー3より各機へ!! これより敵アーマード・モジュールに対し スーパーアヴェンジャーによる集中砲火を仕掛ける
 付近の味方機は、射線上からの退避をお勧めする!! 警告はしたぞ、後での文句は一切聞かん!!」

無線で中尉を呼びかける、回転したガトリング砲は収納された頭部の上に装着、恐ろしく巨大な七砲身が焔姫に向けられる

「機首と・・・」
その砲身が円を描く、敵を討ち滅ぼさんとする下準備

「同軸ッ!!」
轟音を持って紡がれる歌は滅びへの賛歌、今ここに物理的な消滅を

「アヴェンジャアアアァァァァァアアアアアアアア!!!!!!」
その瞬間 放たれた弾頭は死を呼ぶ彗星

右腕に括りつけられたリボルバーカノンとは比較にするのも馬鹿らしい
ラーズアングリフ・ドロワナが持つ最強の兵器が、焔姫へ炎を吹き上げた

619ゼバスチャン ◆oR45XRwhpI:2013/03/19(火) 23:05:19 ID:aRhznTnw
>>618修正

>手すらドライブ・ユニット ×
 テスラドライブ・ユニット ○

ついでに追加を

>>609
こちらが発射したマトリクスミサイルをこともなげに対処してなお、ヒツギへとコンタクトを取る正体不明機

「クソッタレ・・・ナニモンなんだアイツは」
なにやら行動を開始しようとしているらしいが、今は焔姫への攻撃を優先
警戒を怠らぬようちゅういしながら、焔姫への攻撃を続行する

620レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/20(水) 00:59:06 ID:JCr4r.06
>>610
『一般的な機動兵器にとっての完全な暗闇』に敢えて突き進む趣味的とも言える不気味なフォルムのソレの行動から
奴には熱光学、赤外線及び電磁波に依らない感知システムと対応した攻撃システムが存在するという根拠にしておくには充分過ぎていた

(しかし、俺の身も一つ。ここはしばらく二人に任せる他はないか)

>>613
【「んな事は分かってんだよ!!」】

…この余裕のない反応を見る限り、どうやらライト…いやSKの闇とでも言うべきか
『かつて』のチョロい彼女を扱うが如く、簡単に出し抜ける状況では無い事を告げている

ならば、『こちらも』カードを切るべき時だ
【「俺はッ・・・!如何すれば良い・・・!!」】

ミサイルによる煙幕は衝撃波と共に霧散したと同時に、その向こう側に居たはずのムラマサは背部にマウントされていた小太刀、ムラマサブレードを抜き放つと瞬時にゲシュペンストの真正面から激突
辺りに響く衝突音と共にゲシュペンストの胸部、コクピットの真上を刃先が紅く煌めく黒い刀身の小太刀が貫いていた

「聞こえるかヒツギ。今ナノマシンを介して、お前の機体に有線で通信している」

ヒツギ側のディスプレイに表示されるステータスは致命傷を負っていることを告げており、この状況は甲斐の方にも既に行き渡る情報である
しかし、それは偽報だ

ムラマサに使用された特殊なナノマシン
これは通常、切断の再に刀身に触れている部位に浸食し攻撃、また刀身に付着した物質を分解する事でムラマサのエネルギーとするものだが
通常の機械や一般的な機動兵器に向けて使われた場合
コンピューターを破壊せずに回路に接触することで有線接続を行うことが出来
またダミーサーバを作成し内蔵電池の許す限り各種電子的な妨害を行うことをも可能としていた

実のところヒツギのゲシュペンストにはダメージは無いも同前と言える

「お前のじーさんな。顔が広くてな。ある理由でお前は後ろを心配する必要は無い。後は…解るな?」

もう少し話しておくべきなのだが、状況が許してはくれない
接続を解除し、ゲシュペンストから刀を抜き、背を向けつつ振り払ってから切っ先を鞘へ滑り込ませ、セーフティーの動作を確認

621レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/20(水) 00:59:41 ID:JCr4r.06
>>620続き

鞘にセーフティーが赤から青へと切り替わり完全に刀が収まった事を知らせると同時にゲシュペンストが仰向けに崩れ落ちる

>>616
ほぼ同じ戦場に居る筈の焔姫に攻撃が集中している!
こちらのステルス性能と高速格闘による自衛力が返って彼女に負担を掛けるているという事か

「数が足りていない状況なら使わざるを得ない」

ムラマサの右腕を左肩の後方まで持っていき何かを掴むように握りしめ引き抜くような動作と共に背部から短剣状の物体が8基、等間隔で数珠繋ぎのように現れるとムラマサを取り囲む様に展開浮遊する

>>612
ジガンタイプの攻撃子機の迎撃をプログラムするとムラマサの周囲の子機達は周囲にとけ込み見えなくなる

>>617
ヒツギとは打って変わっての殺る気のオーラがダダ漏れしているのは念動力者でない俺でも判った

「まったく…これこそが奴らが欲する理由だからな」

ヒツギとの接触の為に来た道を同じ様に引き返す
アルブレードがその刀を抜き放つと焔姫にその狂気が接触せんとした。そのとき

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

爆音と共に衝撃波が伴い黒い機影を中心に地殻を削り、周囲の木々は木っ端微塵に爆ぜる
焔姫とアルブレードの衝撃波の間にはムラマサが立ちふさがっていたのだ
衝撃波に対して、その妖刀で防ぎ支える。尚も喰いちぎらんとするその狂気とシノギを削る

カメラアイが一層、光を増すと全身の装甲の隙間から紅い光がこぼれ出す

「ぬぅおおおおお!!!波ぁ!!!!!」

ムラマサブレードの輝きが最高潮に達したであろう、その時、衝撃波を押し切りその刀身が振り抜かれると斬り裂かれた衝撃波と振り下ろされたムラマサブレードにより大きく大地が隆起し津波の様な体を示す

「まただ!!」

隆起した大地を高速で駆け上がり、その先端に到達するや否や姿を消すと
ムラマサはアルブレードの脚を掴み空中ブランコの様に回転

「墜ちろぉぉ!!!」

>>619
ドロワナの射線を遮る様にアルブレードを投げつける!

622 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 04:09:09 ID:mGUEQ9JA
>>616
>「つばめ! 今よ!」
>「はいっ!」

「しまった、後ろに・・・」

前から迫る風姫の薙刀、後方からは伏兵としての雷姫のチャクラム
虚を付かれただけではない、その武装の大半が光学兵器であろうツインテールの機体は
このスモークの中では満足に攻撃もできまい、流石の状況にハーゲンは狼狽えた

>正面に待ち構える風姫を交え、鮮やかな挟撃が放たれる。
>薙刀と電撃チャクラムが、一寸違わぬタイミングでインセイオンを討たんと迫る。


「・・・って言って上げたいんだけどねぇ!」


薙刀を手に迫る風姫の右側面からスモークが巻き上がる、何らかの物体が下から掬い上げるようにスモークを掻き分けている。
空気どころか地面ごと削り飛ばしながら迫ってきているそれには、視線を移して見えるのは壁、白い壁にピンク色の刃が1、2・・・5つ
それぞれの基部にどこかで見たような半球対があり、壁の中心にはそれらを一回り大きくしたかのようなものが備えられ合わせて6つ。

「所がそんなに上手くいかないんだよねぇ!!」

この壁の正体は後方から迫る雷姫ならば用意に理解できたはずだ、なぜならその全貌が丸々見えているのだから。

真正面から激突し火花を散らす電撃チャクラムなど意にも介さず、雷姫の元へ一直線に伸びてくるそれ
『腕』だ、それも雷姫を鷲掴みにできる程に巨大な・・・特機ですら搭載しないような狂った大きさの。

その腕が繋がっているのは目の前の白い機体の後頭部。
そう特徴でもあった『ツインテール』がそのまま腕に切り替わったのである


最初から擬態させていたのだ、その大きすぎる腕を、インセイオンの持つメインウェポンを

斬艦刀等に称される超巨大兵器に対して素手によって対抗するという馬鹿げた代物。
それらに正面から打ち合えるように、強度と出力に極限まで特化させた結果として
斬艦刀に渡り合う為に斬艦刀クラスの大きさまで巨大化してしまった『化け物の腕』である。

「ククッ・・・アッハハハハハ!」

その狂気の一振りで風姫を横殴りにして吹っ飛ばそうと、雷姫はその人外の豪腕で足を掴み取ろうというのだ

623 ◆zv577ZusFQ:2013/03/20(水) 07:36:42 ID:j8atmGe.
>>616
【「あーもう……レイナ! こっちに援護とか回せないワケ!」】

「このウツケモノめ。君は戦闘ぐらいでしか役に立たないんだから情け無い事言わないの。もっと粘りなさい。ね?」

つばめや静香に対しての態度とはまた違い、このマヤに対しては何かと神経を逆撫でする様な口調になりがちなレイナ。
でも、あえてこのぐらい言った方がこのマヤ・ランベリーという娘は燃え上がるかも知れない。

実際、出撃可能な余剰な戦力は無い。
戦闘可能なアイゼルネ・ラーゼン隊の面々は左右と背後の敵の軍勢を抑えている。
彼女らが防衛線を張っていなければ今頃、うじゃうじゃ敵の増援がこの場に押し寄せて来ていただろう。それは理解して欲しい。


>>620
ライトの見ているガブリエルのモニターでも確認出来るが、ヒツギのゲシュペンストからは危険を意味するレッドシグナルが発生していた。

「ハヤセ少尉が討たれた!?」

肉眼で確認すればすぐに解るちんけなペテンだが、その場とはかけ離れているライトはレオンハルトの思惑通りにその偽の情報に乗せられてしまった。

「ハヤミ中尉、黒いアシエルを破壊してください!縦横無尽で大変危険です!」

ゲシュペンストをやったアシエルもどきをライトはすぐに掃討する指示を出す。
丁度、暇そうにサボっていたユウセイを見かけ、レオンハルトへぶつける。

>>621
アシエルもどきことムラマサとの交戦開始後アルブレードはまたしてもプラスチック製玩具の様に他所に投げつけられた。
しかも今度は味方ラーズ・アングリフの一斉射撃の最中へ射線内へと入れられ邪魔をしてしまうのだった。

「……何をしてるんですか?」

ユウセイにはしれっと冷たいライトの呆れた様な失望した様な声が聞こえるだろう。ちょっと怖い。

624 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 09:14:24 ID:mGUEQ9JA
>>620
>ミサイルによる煙幕は衝撃波と共に霧散したと同時に、その向こう側に居たはずのムラマサは
>背部にマウントされていた小太刀、ムラマサブレードを抜き放つと瞬時にゲシュペンストの真正面から激突

「!」

ヒツギの体が自然に反応する、どれだけ追い詰められていたとしても経験から導き出される反射は絶対の物だ。
相手に対して逆に踏み込み、真正面からの突きを下から上に払い上げるように弾く。
通常の刀だったならこれで至近距離に入り込み、刃渡りが邪魔をして刀を振るうことが困難になる

だがムラマサの武器は小太刀。
この技術は相手が一般的な刃渡り以上の長さを持つ刀を使っていることを前提とする
それは至近距離で扱うことを前提に作られた刀剣の場合、逆手持ちという手法によって容易く看破されるからだ

「しまった!!」

小太刀だと最初から気づいていれば対応もまた違っただろう、だがそれはもう遅い
弾き上げたはずのムラマサの刃は瞬時に下向きに変わり、打ち下ろすようにゲシュペンストのコックピット上を貫く。
瞬間的なレオンの切り返しを受け、死んだとヒツギは確信していた・・・居たが・・・

「・・・あれ?」
コックピット内の機器からは警報が鳴り響いてはいるが、実際付近に致命打を受けたはずのコックピットは爆発もショートも破損も起こっていない。
切断されたであろう回路を考えればメインカメラの機能に支障があっても可笑しくない筈だが、きちんと写っている

(刺さってるっていうより・・・くっ付いてる?)

>「聞こえるかヒツギ。今ナノマシンを介して、お前の機体に有線で通信している」

「レオン!?有線ってことはまさかその刀を通して・・・」

有線での会話ということは秘密通信を用いなければならなかったと言う事
つまりヒツギ以外の人間には聞かせなくないということに他ならない。
本当に壊れたのか機体の動作確認をしようと考えていたのだが、欺く必要があると判断した為にそれを取りやめる。
敵同士という立場でワイヤーをつないで会話するのは不可能、そこで特殊な武器を突き刺して送り込んでいるということか

「なんて滅茶苦茶を・・・」

>「お前のじーさんな。顔が広くてな。ある理由でお前は後ろを心配する必要は無い。後は…解るな?」

「!! じーちゃんが・・・って待て、おい!!」
ヒツギの祖父であるコウゼン・ハヤセの存在を何故かレオンの口から受ける
その内容からして祖父の身、いや家族の身柄に関係しているのだろうが事の詳しい内容を聞く前にレオンはゲシュペンストから離脱してしまう。

小太刀が引き抜かれると同時にゲシュペンストの足が崩れ、そのまま大地に膝を尽いてしまった。
だが機能が停止した訳ではなさそうだ。
一応システムが再起動しているがかなりの負荷を受けたらしく処理が重く、また偽装する為に中身もしっちゃかめっちゃかにされてしまったらしい
再起動中に画面を見ているだけでも、機体の固定識別信号どころか開放している通信チャンネルに至るまでご丁寧に全部書き換えられている。

連邦からしてみたら一切の連絡や確認が取れない、つまり『死んでいるようなもの』で
つまり今のゲシュペンストは文字通り亡霊、もし今歩いたら死んだのに動くゾンビか何かの様なものとなるだろう

625 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/20(水) 11:52:52 ID:z/IW14OY
>>618
「やばっ、あれって」
アヴェンジャーだっけ?
発射態勢に入ってる。
ほむら姫が、撃破 いや、最悪、死ぬ。
しかし、生憎こちらも迅速の型を放った後
体勢を立て直すには、時、既に遅し

>>621
「へっ?衝撃波を、叩き落とした?」
「それと、」
あの、黒い機体は、一気にこちらに突撃する。
「まずっ、」
そのまま、投げ飛ばされた。
「邪魔してごめん、ゼバスチャンさん。」

>>524
>>「…何をしてるんですか?」
「あー、その、投げ飛ばされた。としか説明が付きません。」
説明を、するにはこれしかないが、説明になってない。
「まぁ、ほむら姫に攻撃はしたんですけどね。効果あるか分かんないですけど」
投げ飛ばされた時に、ほむら姫にロシュセイバーを投げたのだ。
その証拠に、ほむら姫の両肩と、頭に、刺さってるものがある。
「それと、ヒツギは、まだ。生きてます。ロストしてますけど、亡霊とか言わないであげてくださいよ。」

>>624
「ヒツギ、生きてるよな。おい」
通信が、繋がらない。プライベート通信も
「システムを、書き換えられたか。」
あらと、あらゆるシステムを、書き換えている途中、
恐らく、今は再起動のスタンバイ、
「何をするか解んないな。」
とりあえず、ヒツギの動向にも最新の警戒を払うことにした。

626 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 12:46:19 ID:iEdYsKyo
>>617
「くっ!」
衝撃波を素早く跳躍してかわす。
太刀筋さえ見えるなら、ダイレクトモーションリンクの機体には難しくない芸当だった。
「なんなのよもうっ!! あたしに斬られたい奴は一列に並べっ!!」

>>618
などと無茶苦茶を言っていると、視界の片隅に遠ざかっていたドロワナが、何やら大仰な動作を図っていることに気付いた。
注視すれば、背負っていた特大のガトリング砲を前方へと展開し、焔姫に向けて狙いをつけているではないか!
「ちょ、ちょっ…! 仕返しにしたってそれはやり過ぎでしょ!?」
視覚情報に頼る限りでも、その口径は焔姫の対特機ガトリングを大幅に凌いでおり、威力の程は優に想像がついた。
集中攻撃を受けて身動きの取れないこの体勢では、どうしたって直撃は免れないだろう。

>>623
「あんたに期待したあたしがバカだったよーっ!」
ほとんど涙声で叫び返すマヤであった。

>>625
あわやスーパーアヴェンジャーの火力が焔姫を蜂の巣にするかと思われたそのとき、
両者の間を遮るように、突然何かが
吹っ飛んできた。
「はっ!?」
アルブレードだ。
どういう理由かはわからないが、何か尋常ではないパワーで射線上に放り込まれてきたらしい。
苦しい体勢から無理矢理ロシュセイバーを投げて攻撃してきたが、反射的に切り払うことができた。
「な、何だか知らないけど、とりあえずラッキー!」
結果的に難を逃れたマヤは、踵を返して後退する。
これで複数機に囲まれている状況だけは何とか打開できるだろう。

627 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 12:58:45 ID:iEdYsKyo
>>622
連携のタイミングは完璧だった。
前後から放たれた攻撃はインセイオンの四肢を破壊し、戦闘能力を奪うことができる……はずだった。

「…!?」
つばめは目を疑った。
斬り込む風姫の側面から、煙を引き裂くように、何か巨大な物体が迫っている。
それが“腕“だと認識するのとほとんど同時に、つばめは叫んでいた。
「…姉さま、避け…!」
「えっ…?」
だが、遅かった。
目の前の機体のサイズからはおよそ想像できないような巨大な腕が、風姫に激突し、吹き飛ばしたのだ。
「あああああぁぁっ!?」
煙幕の外へと、勢いよく飛び出していく風姫。
「姉さま…! あ、ああっ!?」
そして、それに樹を取られたが最後。
雷姫は片足を、異形の腕にガッチリと掴まれていた。

628 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 14:49:18 ID:mGUEQ9JA
>>627
「緑の子はそこで休んでいるといいよ」

弾き飛ばした風姫に声を投げかけると、スモークの色が周囲の空気と混ざり段々と薄く広がってゆく
インセイオンの巨大な腕が空気を丸ごとかき混ぜたのだ、未だ濁った空気の中に複雑に浮かび上がるピンク色に発光したライン
そしてインセイオンの姿が、その事実が日の下へと晒された

丸みを帯び細身に見えていた体つきはどこに消えたのか
段モールドに見えたそれらは全て装甲の継ぎ目、スライドし位置を変えたのであろう装甲は盛り上がり一回り太く大きく見える。
それによって露出した内部のフレームは体中に付けられた球体を繋ぐ様に全身を走り
念動力が垣間見せる緑とはまったく違う、生々しい肉かと思わせるようなピンク色に発光していた

そして頭から生えた巨大な腕・・・それは装甲のスライドによって一回り大きくなったはずのインセイオンの全長22mを遥かに超える大きさで
巨大な掌は勿論、前腕の半分まで引き摺るという表現すらできそうな程に大きく余らせていた。

爪は一本一本が起動兵器の腕一本に匹敵するのではないかと思わせる巨大さ
スラスターの排出口に見えた部分が丸ごと折りたたまれた爪だったのである。
側面にある噴出口は擬態している際はサブスラスターに思われたが
この巨大すぎる腕を高速で制御するためのサイドスラスターの仮の姿だったようだ。

手の甲や前腕に当たる部位は複数のピンク色の球体が見え、またハンマーを思わせるような分厚い装甲に覆われていた。
こんな馬鹿げたものを武装ではないと何故判断したのか疑問にすら感じるような変貌、
化け物の左腕に片足を絡め取られた雷姫を、タロットの吊るされた男を髣髴とさせるままに宙吊りにして自らの眼前へと持ってくる。

「クックッ・・・後ろからの攻撃なんて僕には無意味だよねぇ」

上下が反転した雷姫の頭部に自らの頭部を近づけ、まるで嘲笑うかの様に指を傾ける
直後そのインセイオンの頭に中央から縦一文字に亀裂が走る、それは左右に割れてフードでも脱ぐかのように後ろへと降ろされた

なんと顔であると思っていたものは実際は頭部を多い囲っていただけの代物、ヘルムのようなものだった
バックパックについていた左右のユニットが開き、腕の基部となっているそれが接続されると
まるでパズルのピースでもはめた様に、顔に見えていた面影など一瞬にして消滅した

その本当の顔といえば・・・球、もっというならば半球型、人型兵器の頭部とは思えない非常にシンプルな姿。
だが三日月型にくり貫かれ内部のピンクフレームが露出している部位は
長方形の格子状に線が走っている事もあり、ニヤニヤと大きく開いて歯を露出させた口にしか見えない

そして球体の上部には小さな六角形の集合体が広がっていた。
六角形の集合体に視線を合わせていると、それぞれの中心にある小さな点が動いたように見えた。
いや確かに動いている、それぞれが前後左右バラバラに、無作為に、ギョロギョロと、グチャグチャと

そしてそれらの動きがピタリと止まったかと思うと、一斉に雷姫の方へと向けられる
虫の複眼を思わせるような大量の眼、100は優に超えているであろう数。
後ろからの攻撃が効かないと言ったのも頷ける、上も後ろも横も死角になぞなる筈が無い

その異形の姿は人型兵器の範疇を超えていた、小天使等では、ましてや智天使ですらない。
インセイオンの名の通り、狂気が塊となって生み出されたかのような存在だ

ぶら下けられた雷姫のもう片足を化け物の右腕が掴んだかと思えば
足るんだ糸でも伸ばすかのように、そのまま左右に思い切り引っ張り開かれた

「股から裂こうかと思ったけれど・・・女の子相手にそういうのは良くないよね
 僕はフェミニストだから君を殺したりしないよ、安心してくれていい」

この異常な状況を感じさせない、天使のような笑顔をつばめへと向けた

//まだまだ続くんだよねェ!

629 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 15:25:43 ID:mGUEQ9JA
>>628の続き
「それに勿体無いじゃないか、見せしめにするのに死んじゃったら」

「泣いて喚いて叫んでのた打ち回って生きて貰わないと、そうすれば助ける為に人員が割かれて戦列が崩れる
 何よりその様に怯えて動きが鈍る、見せしめに消せなんて・・・彼女も生易しい事を言うよね」

この男が笑顔で吐き出す言葉は狂っているようにも聞こえるが、戦場に置いて導き出された正しい理論に基づく内容だった。
古来よりわざと生かさず殺さずで斬り捨て、苦痛に跳ね回る様を見せる事で敵の士気を殺ぎ
また危険な兵器といわれる対人用地雷も、調整された威力によって体の一部だけを吹き飛ばし同様の効果を与える
過去幾度も実用されてきた術なのである

インセイオン本体の右手、オービタルリッパーを生成して見せたあの球体が輝き再び光の輪が形成される。
だがそれは輪というには太く大きすぎる、そして刃物というには形状が乱雑すぎた
チャクラムだったら刃になるであろう外周が一切整えられていなかったのだ
そんなものは尻目に光の輪を備えた手首をスナップを効かせ回す様に振ると・・・

ギギャアアアアァァァァァ!!

戦場に劈くような音が木霊する、輪が高速回転を始めたのだ
回転が空気を巻き込んで引き裂き、歪だった形状が真円に見えるほどの速さ。
光で形作られたこの物体、誰しもが一度見たことがあるはずだ

・・・鋸、中でも丸鋸と呼ばれるそれを彷彿とさせた
だとすれば、あの不均一な形状もノコギリの刃としての役割を持たせるためのものだと納得がいく

「鋸っていうのは刃物とは少し違うんだよ、刀とかの刃物は細胞をほぼ変形させないで切るんだ
 だからそういう切り傷って言うのは縫合で治せる、でもねぇ・・・」

丸鋸を自身の化け物の右腕装甲にほんの少しだけ接触させる
すると耳を塞ぎたくなる様な音と共に鮮やかな火花が咲いてみせる。
その行動は切れ味を確かめているかのように見えた

「鋸は違うよ、肉に刺さった小さな刃がそのまま引き千切る
 細胞もグチャグチャで切断面も一定にならない、だから切り落とすしかなくなっちゃうんだよねぇ」

口元に笑みを浮かべながら喜々としてハーゲンは語る、つばめの恐怖を煽る為だけに
インセイオンは右腕を高く掲げ、すると刃は月の光すら切り裂いて乱反射させた
想像できるはずだ、この後インセイオンが取るであろう行動の全てが

「それじゃ、元気良く宜しく」
身動きが取れない逆さになった雷姫に向かって、何の躊躇もなく光の鋸が真っ直ぐに振り下ろされた
コックピットに命中せず且つ機体が大破しないギリギリの深さに
つまりハーゲンが先ほど話した通り、死なない殺さないに『手加減』をしているという事だ

だが鋸である以上そこには傷跡が残るだろうか?
例えるならそれは、上から下へ装甲ごとグチャグチャに引き裂かれたような・・・

630 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 16:25:56 ID:TUI4lK4k
>>628 >>629
「え、ぁ……ひっ…!?」
煙が晴れ、その異様な姿が白日の元に晒されたとき、つばめは喉に息を詰まらせた。
先程まで自分達が対峙していた白色の、ともすれば可愛らしくすらあった機体の影はどこにもなかった。
そこに立っているのは、偽りの人型を捨て去り、禍々しい巨腕を大きく広げた怪物。
その信じがたいまでに醜悪な素顔が現れ、雷姫を視界に捉えるまでの一部始終を、つばめは見た。
見てしまった。
「あ……ぁ……」
静香に呼び掛けようとするも、声が出ない。
過去の激戦からも感じたことのないような恐怖が全身を凍てつかせ、逆さ吊りにされている違和感すらも忘れさせていた。
「う、うあぁ! 痛ぁっ…!!」
無理矢理に両脚を目一杯まで開かれる雷姫。
コクピット内のつばめも同様の姿勢を強要され、股関節をねじ切られるような痛にに苦悶の声を上げた。

>「股から裂こうかと思ったけれど・・・女の子相手にそういうのは良くないよね
> 僕はフェミニストだから君を殺したりしないよ、安心してくれていい」

その言葉通り、つばめはほどなくして苦痛から解放された。
目に涙を滲ませ、荒い呼吸を整えながらも、つばめはようやく反撃を意図する余裕を得る。
(なんとかしなくちゃ…なんとか…!)
雷姫は、自由になっている両腕をインセイオンの狂喜じみた顔へと向ける。
そして、腕部マシンキャノンのトリガーを引こうとした……そのときであった。

>「それに勿体無いじゃないか、見せしめにするのに死んじゃったら」
>「泣いて喚いて叫んでのた打ち回って生きて貰わないと、そうすれば助ける為に人員が割かれて戦列が崩れる
> 何よりその様に怯えて動きが鈍る、見せしめに消せなんて・・・彼女も生易しい事を言うよね」

>ギギャアアアアァァァァァ!!

おぞましい程に暴力的な音色が、つばめをすくませた。
新たに視界に現れたのは、光輪。
単純なリングではなく、凶悪な“刃“を備えた回転ノコギリのようなものが、雷姫に向けられていた。

>「鋸っていうのは刃物とは少し違うんだよ、刀とかの刃物は細胞をほぼ変形させないで切るんだ
> だからそういう切り傷って言うのは縫合で治せる、でもねぇ・・・」
>「鋸は違うよ、肉に刺さった小さな刃がそのまま引き千切る
>> 細胞もグチャグチャで切断面も一定にならない、だから切り落とすしかなくなっちゃうんだよねぇ」

このひとはなにをいっているんだろう。
迫り来る丸鋸を前に、つばめはそんなことを思った。
この青年の云わんとしていることは只一つ。頭ではその恐ろしさを、冷静に理解できている。
しかし、だったら何故彼はこんなにもにこやかなのだろう。
どうして穏やかに、微笑みさえ浮かべていられるのだろう。
凍りついていく思考とは裏腹に、つばめの体はカタカタと力なく震えていた。

>「それじゃ、元気良く宜しく」

「ぁ……ぁ……や、やめっ……」
言葉は破壊的な、あまりに残虐な音色に遮られた。
「ひやあ“ぁぁぁぁぁあああぁぁあっ!!!」
丸鋸は雷姫の下腹部に突き刺さると、肩口へ向かって走りながら、ギャリギャリとその装甲を引き裂いていった。
「ぁふぅぅッ!? ひぃっ、ひ、ひぃぃぃあぁぁぁあッ!!!」
つばめの纏うスーツの該当箇所に激しいスパークが走り、引き裂けるように破れていく。
それは致死レベルのダメージが機体に与えられていることを示す。

631レイナ&ライト ◆zv577ZusFQ:2013/03/20(水) 16:31:16 ID:j8atmGe.
>>628>>629>>630
「随分と……好き勝手に触ってくれるじゃないか」

インセイオンの風姫、雷姫への狂気じみた行為をレイナは目撃してしまう。
レイナの右目は感情の高ぶりを現す様にいつもより一層禍々しく光っており、普通では無い事が良く解る。
自分の所有物をあれ程痛め付け、晒し者にし、嘲笑っているあいつが憎い憎い憎い。
憎いが、無策にもあのインセイオンに立ち向かう事はしなかった。代わりに


「……もう戦いが長引くのは不味いか。ここはこの主自ら、あの薄っぺらな天使の首を取って来て皆を鼓舞してやらねば」

ユウセイ、アカリ、ヒツギと三回の勧誘を失敗してしまったレイナはいよいよ自分のカリスマ性を疑い始めた。
交渉が上手く行かないのなら、この戦場に長居は無用。指揮系統を混乱に陥れ、すぐに甲斐を正面突破する事を決める。
それには総大将であるライトをまず叩き、次いでアルプ・トラウムを抑えるジガンスクードを撃退。
ジガンのパイロットの正体は解らないが、ゲームメイクの絶妙さや多方面への援護等、ライト同様に戦術指揮官の才を有するパイロットだと断定した。
アイゼルネ・ブルートはライトの駆るガブリエルを探し出す。
すると、呑気に後方の安全圏で指揮に専念している姿を確認。
護衛は三機も侍らせており、何とも卑怯な奴だとレイナは不満を訴える。

「随分と偉くなったもんだ。あんな頭のおかしいゲスを配置し、自身は高見の見物とはな……明智ライト!」

ライトの本陣を強襲したアイゼルネ・ブルートは、いきなりその手の魔槍の邪悪な一撃で護衛のレリエルを一機両断。
更に他の二機が反応するよりも速く、胸部のハウリング・スマッシャーにて二機をもろともに破壊。
そして、ビシッとすぐ前方にて孤立するガブリエルへとその魔槍を向ける。

この時、既にレイナの目はこの先の危険を訴えていたが、早く仲間達を救おうと焦るレイナは今回はそれを払拭し、ならば一息で勝負を決しようとガブリエルへと突撃した。

632レイナ&ライト&時々カナメ ◆zv577ZusFQ:2013/03/20(水) 16:33:01 ID:j8atmGe.
「くっくっく。チェックme」
「王手をかけさせてもらうわよ!シルバーバレット隊は降下を!」

レイナがチェックメイトを掛けるつもりだったが、それはライトが意気揚々と発した王手により遮られる事になる。
レイナはまんまとライトの用意した罠にかかってしまったのだ。

「……ぁ……え?」

何とも情けない言葉を紡ぐのはレイナ。まだ状況をよく理解していないらしい。

「戦力の乏しいレイナ・カーマインの軍勢は、まず真っ先に指揮官を狙いにかかるのは最初から解ってたわ。
しかも演出に拘る馬鹿なあなたは、それを自らの手で執行しなければ気が済まない。これも当たりだった」

意気揚々と律儀にレイナの疑問を答えてやるライトは勝ち誇った顔をしている。
実は予知能力でこちらを看破して来る可能性も考えられたが、心配して損をした。
そしてライトは決め付けた。彼女の今の予知能力は万能には程遠いと。

「終わりよ、レイナ・カーマイン。強制連行の前にあなたには我らエンジェルフェザーの裁きを下す」

遥か上空。ステルスを施した輸送機から特殊装備仕様のレリエルが12機レイナの地点目掛けて降下して来る。
それらは、アイゼルネ・ブルートの周りを完全に包囲し尽くす。

【連邦軍増援:レリエルSB/エンジェルフェザー隊員×12機】

「見事……なんて言わないわ。たかがレリエルごときでこのアイゼルネを何とか出来るはずも無い。無駄だよ」

確かに罠にかかって悔しいが、ライトが寄越したのはたかがレリエル。
自在に傷の再生が可能なアイゼルネ・ブルートを倒すには役不足極まりない。
だが、ライトはまだ余裕の表情を変える事は無い。
いままでのパターンと違い、逆にレイナの方がライトの掌の上に居た。レイナにとってそれは不気味で仕方がない。

「私達の部隊はその様なバケモノを潰すのに特化されている。すぐにわかるわ。
シルバーバレット隊、どうぞ!」

ライトのガブリエルは狙撃銃の様な物を、その他の12機は肩に担いでいる大砲をアイゼルネ・ブルートへと合わせる。

『レイナ、それはナノマシン抑制プロトコルの兵器よ。1発当たれば、アイゼルネはその不死身の能力を失ってしまうわ』

レイナにアルプ・トラウムのカナメから通信が入る。のんびりしているカナメだが、今回は柄にも無く早口で声を大にしてレイナに危険を伝えている。

「もう遅い!シルバーバレット一斉砲火」

13発の聖なる銀の銃弾が吸血鬼アイゼルネ・ブルートを浄化するべく、天使達から発射される。

「が……それでも、邪王真眼は最強よ。なめるなよ、この私を!!」

レイナの集中力もこの瀬戸際にて極限まで研ぎ澄まされていた。
予知の眼が見せるヴィジョンも鮮明。……だが、それでもまだ足りない。
技術が。反応速度が圧倒的に!

(……駄目だ。格好悪いな……私は)

回避を維持出来なくなったアイゼルネ・ブルートは足に掠り、肩を貫通し、脇腹へ傷を残し、背を射抜かれと袋叩き。
次々と高価な銀の銃弾を再装鎮し、一方的な惨たらしい殺戮が引き起こされていた。
次第に体勢を崩し、立つ足がもつれ、地にひれ伏した今のこの王の姿のどこにカリスマなどが残っているだろう。

【アイゼルネ・ブルート:残りHP??%。再生封印】

「っふ……随分と粘りましたが、ここまでです。最後にその醜い四肢をバラバラにしてあなたへの裁きを終えましょう」

実際、レイナはライト達の想像以上に足掻いてみせた。
各機がそれぞれ4発の銃弾を持ち、全機ともそれらを最終的に撃ち切らした模様。
だが、それでも健闘を称えるなんて事は無慈悲な天使の少女には有りもしない。
もう一種の魔女狩り武装である聖騎士のランスの様な塊が13。右腕の複合型兵装から射出されて行く。

(……駄目だ。……ごめん、ユナ)

命まで取られる事は無いらしいが、もしかしたらまた過去の様に実験で身体を壊されるかも知れない。
だが、アイゼルネはもう動かない。
最後に何者かの名前を呟いて謝罪した

633 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 16:34:48 ID:TUI4lK4k
>>629
「う、くっ……」
吹き飛ばされて地を転がった風姫は、ふらつきながらも体勢を立て直した。
そして煙幕の中から現れたものを目にし、静香もまた絶句した。
異形の怪物が雷姫を吊し上げ、恐ろしい凶器で責め苦を与えている。
あまりの光景に一瞬頭が真っ白になり、体がわなわなと痙攣する。
しかし今は、目の前でつばめが痛め付けられていることへの憤りが恐怖に勝った。
「つ……つばめを離しなさい! 下朗っ!!」
課税は薙刀を手に、つばめを吊しているアームへと斬りつける。

634 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 17:10:32 ID:mGUEQ9JA
>>630
>「ぁ……ぁ……や、やめっ……」
>「ぁふぅぅッ!? ひぃっ、ひ、ひぃぃぃあぁぁぁあッ!!!」

「あれ・・・? まさか本当に死んでないよね?」

サーキュラーソーによるショーが終わった時、つばめの苦しみ方に不安でも覚えたのかハーゲンはその為の確認手段を取ろうとする。
化け物の左手を足から離し、右足だけで吊るされた雷姫を高く持ち上げると
100を超える瞳が一斉に、その状態を確認する為に舐る様に凝視する

「ま、確かめてみればいいか」

ハーゲンは口元に笑みを浮かべて不穏な言葉を零す。

>>633
>「つ……つばめを離しなさい! 下朗っ!!」

化け物の右腕に向かって踏み込んできた風姫の薙刀は、自由になった化け物の左腕が受け止めた
憤慨し怒りを露にしている静香に対して張本人であるハーゲンは飄々と、むしろその表情に淀みすら見受けられない。

「大丈夫大丈夫、そんなに焦らなくても生きてるのを確認したら返してあげるから」

そのまま棒か布か人形でも扱うかのように、地面へと真っ直ぐ振り下ろしたではないか
それも静香の目の前で、ハーゲンは戦闘中の2機の動向・コンビネーションから知人友人である事を見抜いていた。

また戦場で甲斐甲斐しく戦っている赤い機体もこの2機と同じ、友人である可能性が高い
そして見抜いていたのはそれだけではない・・・

つばめが『生きている』事も分かっていたのだ。

念動力者であるハーゲンが、ましてブースターを起動し接触状態なのだから分からないわけが無い
つまり分かっているのに地面に叩き付けんと言うのだ、死に掛けに鞭打ちどころの騒ぎではない
サディスティックで済む話でもない、この状況を間違いなくこの男は楽しんでいた

635 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 17:30:57 ID:TUI4lK4k
>>634
装甲をズタズタにされた雷姫は、だらしなく両腕を垂らし、ピクピクと痙攣するばかりであった。
「あっ…あぁっ…ひぁぁぁぁ……」
「つばめ、しっかりして! つばめ!」
懸命に呼び掛ける静香の目の前で、インセイオンは更なる凶行に及んだ。
布切れでも振り回すかのようにして、雷姫を思いきり地面に叩き付けたのだ。
「っあ、あはぁぁぅっ!!」
「……~っ!!!」
声にならない声を上げる静香。
その一撃のもと、雷姫の総身は土埃にまみれ、頭部から伸びるツインテールが無惨にも根本から歪められていた。
「や……やめて! もうやめてください!
後生ですから! 私が代わりになりますから、どうか……!!」
一方的な暴力の行使を前に、もはや静香の胸中には戦意も何もあったものではなかった。
自身を捉える左腕にすがり付き、悲痛な声で訴える。
果たしてこのパイロットがそんな懇願を聞き入れるだろうか?

636 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 17:52:15 ID:mGUEQ9JA
>>632
レイナが突っ込んでいく映像が見える、そして距離があるからこそレイナを待ち受ける結果も見抜くことが出来た。
レーダーに映りこまないステルス状態で、既にシルバーバレット隊が待機している
シルバーバレットにはマシンセルの能力を強制停止させる作用がある

つまりは――――――

ゲシュペンストのシステムが再起動に成功した瞬間、その足が跳ねるように飛び上がり背からは炎が噴出した
真っ白になった頭の中で、ヒツギの体は勝手に動いていた。
先ほどまで身動きが出来ないほど絡みつき悩んでいたのはどこへ消えてしまったのか
鎖など最初から無かったかのように、重さ等勘違いだったかのように手足が軽く動く

「うぉぉぉおおおお!!」

その速さはゲシュペンストが出せる限界速度を軽く超えている、それでも尚加速を続ける
衝撃波が大地を巻き上げ、ゲシュペンストの周囲に薄いリング状の雲が生み出される。
これはベイパーコーンを例に持つ、周囲の空気が加速に伴い高温化し
しかし音速に到達した時点で温度が急低下する際、露点を下回った場合それらが雲になるという現象から起こった。
高速戦闘機体ではないゲシュペンストのコックピットに居るヒツギにかかるGは・・・考えるだけでおぞましい程だ

>もう一種の魔女狩り武装である聖騎士のランスの様な塊が13。右腕の複合型兵装から射出されて行く。
>(……駄目だ。……ごめん、ユナ)

レイナに迫る銀の閃光は、光は途絶える。
それは死によって視界がブラックアウトしたからではない
目の前には腕に、足に、胴に、頭に・・・串刺しになっている姿がそこにあった

それはこうならなければレイナがなっていたであろう光景、レイナへとシルバーバレットは掠りもしなかった。
赤いゲシュペンストが盾となって全てを受け止めたのだ、死んだと思われていたヒツギ機が

「借り、嫌いなんだ・・・これで、フェアってことでどうよ・・・?」

こんな状況で、こんな状態で、オープン回線で聞こえてくるヒツギの言葉。
初めて出会ったときと同じ事を、悪態を付くかのように茶化した声色が伝えてくる
コックピットの機器がバチバチとスパークを起こし、黒煙と共に火を噴く。
真正面から受け止め、それで居てヒツギは無事だった事を考えると奇跡に近い

だが機体のダメージは限界を超えていた、盾になった状態のままゲシュペンストはその活動を停止する。

ゲシュペンストS/B HP0% 撃墜

637 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 18:08:15 ID:mGUEQ9JA
>>635
>「っあ、あはぁぁぅっ!!」

「あぁ良かった、ちゃんと生きてて」

ハーゲンは胸を撫で下ろす、それはつばめの命を心配してのことではない
自身が取った『殺さない』という行動が、きちんと成功していたことに対する物だ。

>「や……やめて! もうやめてください!
>後生ですから! 私が代わりになりますから、どうか……!!」

目の前で行われた凶行に完全に戦意を喪失し、縋る様に声をかける静香をインセイオンはその100を超えた眼でギョロリと一斉に見下ろす。
口のように見える頭部の露出したフレームが、さらに釣り上がりにやけ笑っているかのようにすら見えた。

「何を言ってるんだい、身代わりなんて」

ハーゲンの声からは呆れが感じ取れた、まるで的外れな事を言っていると言う風な。
静香を身代わりにする提案など受けるわけが無い、そう予想するものも居た筈だ
だが彼がそう言った様に『上手くはいかない』のだ、彼女が想像しているよりも酷な言葉がその口から放たれる

「ハァ・・・自分がまるで当事者じゃないように
 僕は君を休ませる気しか無かったからね、見逃すなんて一言も言っちゃぁいないんだよねぇ・・!」

それは頼まれずとも最初から静香も同様の状態に至らしめるつもりだった事を意味する。
つまり交渉という土俵に上がる以前の問題だったのだ、ハーゲンにとっては

右手に持っていたものを軽く後方に払い捨てると同時に
薙刀と受け止めていた左腕が素早く風姫の腕を握り潰す・・・否、掴みかからんと動いた

638 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 18:24:41 ID:SUVi/UuU
>>637
「え……?」
静香はつばめの身を案じるあまり、自らの立場を半ば忘れていた。
彼はなにも、つばめだけを痛め付けることを目的としていたわけではない。
「あ、ああっ!?」
その事実を思い知らせるように、インセイオンの巨大な掌が風姫の右腕を捕らえた。
その雷姫を軽々と吊り上げたその圧倒的なパワーが、今度は風姫の腕部を締め付ける。
「う、くぅぅぅ! くぁ……!」
たちまちに薙刀を取り落としてしまう風姫。
一方、インセイオンは逆の手から雷姫を投げ捨てた。
土煙を上げて地に落ちた雷姫。アイカメラを砕かれ、腹部の傷からは白濁したリンゲル液を垂れ流している。もはや戦闘を継続できる状態ではない。
「ね……ねえ、さま……」
しかし、それでも身を引きずるようにして風姫の元へ向かおうとする雷姫。
苛烈な責め苦の只中に在っても、二人の絆は強く結び付いていた。

639 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/20(水) 18:24:50 ID:z/IW14OY
>>629
(おいおい、やり過ぎだろ。)
そう、思うしかない、それほどの、惨殺
「シルヴェ・クロイツって、予想以上に、エグいグループなのかな。」
そう、判断せざるを得なかった。
>>635
「生きてるよ。」
静香が、慌てふためいている中言い放つ。
(あの男は、恐らく、生かさず、殺さず、苦しまさせることを目的としている。)
「まぁ、戦場内では、効果のある戦術の一つだがな。」
だが、この勝利がほぼ確定しているなかで、この戦術を使用する、この男

恐ろしいぐらいに、戦闘を楽しんでいる。
そう感じたのが、ユウセイの印象だった。
>>632
「チェックメイト。これでおしまいか。」
(まぁ、損害は、無く、これで終わりだな。)
そう思ってたら
>>636
「ヒツギ、止めろ。」
システムの暴走、いや違う。完全なる意志の行為。
「対Gが、相当、致死量に近いぞ。」
この距離からは、止めることは不可能。
そして、ユウセイは、ヒツギがなにをやりたいか。一瞬で察しがついた。
「最悪だ。まさかの最後で、ヒツギが」
本当に、亡霊になった。
そして、ゲシュペンストは、活動を停止する。
「明智大尉!」
直ぐに、無線を入れ
「ヒツギ少尉の、回収を、死にますよ。いやっ、もう死んでるかも。」
ユウセイは、最悪の場合を考えていた。

640 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 18:52:10 ID:mGUEQ9JA
>>638
>「ね……ねえ、さま……」

この状況になって尚、未だ静香のことを思うつばめの態度にハーゲンは震えるものを覚えた
恐怖ではない、歓喜に打ち震えていたのだ
そのしぶとさ、献身・・・ハーゲンの嗜虐心が満たされる。
だがこの男は満足などするはずが無かった、むしろその行動が更なる渇望を呼ぶ

「そういえば、これはまだ見せていなかったね」

インセイオンの各所に付けられた桃色の球体、それらが輝いたかと思うと突如として何本もの鋭い棘が飛び出してくる。
念によって生成されたスパイク、生々しい光を放ちギラつくそれが手を伸ばそうとしてた雷姫を行く手を塞いだ
そしてもう1つ、この事がある事実を連想させる・・・あの半球体はある箇所にも付けられている

それは――――

「ククッ、僕の念は自分の機体を傷つけたりはしないんだよねぇ・・・!」

あの時風姫を弾き飛ばした掌・・・そこにも同じ球体は取り付けられていた
6つ、それも中央の1つは最も大きかったはずだ。
想像していたであろう事が起こる、風姫の腕を掴んでいる手が発光を始めたのだ
次の瞬間にはその腕に念の棘が突き刺さっているであろう。
完全に密閉された状態での串刺し、それは拷問器具『鉄の乙女』を連想させる―――

>>639
T-Linkを全開放している今のインセイオンから伝わってくるはずだ。
一点の曇りも歪みも無い、飲み込んでそのまま咀嚼でも起こしそうな狂気の念
無理やり生み出されているものとは違う、純粋なままの生きた念が。

強化された訳でもなく、操作されたわけでもない。
ハーゲン・クルーゲが振りかざす念は最初から狂気によって形作られたものなのだ

641 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 19:14:46 ID:SUVi/UuU
>>640
見せ付けるように、全身の半球から鋭利な刺を隆起させるインセイオン。
まさか、と静香が息を飲んだその瞬間、いくつもの刺が風姫の右腕を指し貫いていた。
「うあああああああぁ……ッ!!」
上体を仰け反らせ、苦悶を顕にする風姫。
「姉さま!!」
やっとの思いで立ち上がった雷姫が、風姫に駆け寄ろうとする。
しかし、風姫は左腕を振り上げてそれを制した。
「だ、大丈夫……大丈夫よ……
私がこの機体を引き付けていられるうちに、早く、逃げなさい……ッ!」
静香は苦痛と恐怖に身を震わせながらも、どうにか持ちこたえている。
時間を稼ぐつもりでいるのだ。
「こ……こんなもので終わりですか?
この程度…この程度は苦痛のうちに入りません…!」
敵パイロットへ向けて、敢えて挑発するような言葉をぶつける。
全ては、敵の注意を雷姫から逸らすために……。

642 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/20(水) 20:00:22 ID:mGUEQ9JA
>>641
>「こ……こんなもので終わりですか?
>この程度…この程度は苦痛のうちに入りません…!」

「ふぅん・・・そうか」

その風姫の態度に突如としてハーゲンの反応が鈍いものに変わった。
彼の思考も態度も急激に冷めていくのが分かる、倦怠感すら感じさせるほどだ

全身から伸びていた棘が消えると、片腕を掴んだまま左手は低い位置を下ろされる。

「そうだね、もう飽きたし・・・じゃあ鳴いてくれたら何処にでも行けばいいよ
 動物みたいにさ、這い蹲って・・・ね」

口元を歪めるが先ほどのように大きくは釣り上がらない
腕を下げたのはそのポーズが取れるようにと言う事だろう

643レイナ&ライト ◆zv577ZusFQ:2013/03/20(水) 20:27:42 ID:j8atmGe.
>>636
迫り来る聖なる槍。それら13本は一本たりとも逃さず突き刺さり、赤いゲシュペンストタイプを針ネズミの様な刺々したフォルムへと変えた。

【「借り、嫌いなんだ・・・これで、フェアってことでどうよ・・・?」】

確かに赤いゲシュペンストタイプを串刺しにしたが、それは悪魔の羽を持つアイゼルネ・ブルートの姿では無い。
もう一機の赤い亡霊。ヒツギの操るゲシュペンストMkーⅡのSタイプであった。
レイナ、それにライトの両人も第三者の乱入に言葉を失う。

「いいわよ……ヒツギ。ついでに先程の格好悪く情けない私の姿は忘れなさい。
こんなのは、全然わたしらしく無い。お前達の指針でなければならないからね」

感謝しなければいけないのだろうが、今更そんな事は態度に出してやらない。
ヒツギと再び心を通わせられた様で、気分は正にレイナちゃん大勝利!
と言うべき喜ばしい物だが、未だに動けない筈のアイゼルネ・ブルートである。
動揺と魔女狩り武装の使い切りにより、多少の間は与えられるだろうが、大ピンチには何も変わらない。
だが、レイナは全く諦めていなかった。

「ハヤセ少尉!!何故、何故、敵を庇うんですか!?意味わからない……!なんであなたが穴だらけなんですか!?」

そしてライトはヒツギを持って行かせまいと、何度も呼び掛けているが聞こえているだろうか?
ここで裏切れば反逆者の烙印を押され、ずっと追われ続けなければならない。それだけのリスクを背負うものが、彼女には有るのか?有ってたまるものか。
ライトはヒツギに弁解する間を与える。返答次第ではあの優しい彼を敵として撃たなければならない。

>>639
【「ヒツギ少尉の、回収を、死にますよ。いやっ、もう死んでるかも。」】

「し……し、死んで。死んでたぁ。死んでたのに!なな、何で、何で死に体になってまで、違反を犯してんの!?
それで……そして何故、敵を助けたの!?……わけがわからないよ」

そんな間に状況に気付いたユウセイがライトに通信をかけてくる。
だが気が動転しているのか、ライトは意味不明な供述をぶつぶつ言うばかりだ。
ヒツギを自らが串刺しにしてしまった事とヒツギがレイナ側に寝返った事のショックから来る軽い錯乱状態に何らかの要因が重なったが為の症状だろう。

644リリー ◆Tg./UqnJ52:2013/03/20(水) 20:42:14 ID:b3LjzZjY
>>615
高い機動力で衝撃砲のビームを紙一重で回避し続けているアルプ・トラウムから、大量のレーザーがこちらに向かって飛んでくる。
回避行動で砲の照準もままならず、ソードブレイカーが健在の間はナイト・フライヤーも無意味と悟っての行動なのだろうが、
こちらの展開する高強度Eフィールドの前にはあまりにも無力。レーザー達はフィールド境界面に反応の黄色い光を残しただけで霧散していった。

(……他の戦線は膠着気味ですが、母艦を墜とせばそれも終わる。
カーマインさん、それがあなたの運命の限界なのですか……?)

リリーは出撃する前に統久と交わした会話を思い出す。
元々このジガンスクード・アンジェは統久が率いる特殊部隊に納品されるために、一時伊豆基地預かりになっていたものであったが、
今回の戦闘が発生するに際し、統久がリリーに対し、これに乗っていけと言ってきたのだった。
その理由を問うと、統久は髪の一房を指で弄びながら、

「上手くは言えないのだが、あのレイナ・カーマインはこのようなことで終わるような娘には見えんのだ。
運命の加護を得ている、とでも言えば良いのかもわからん。ともかく、そんな予感がするのだよ」
「尼子特尉にしては随分と曖昧な言葉ですね。念動力者ゆえの感覚、と捉えたらよろしいので?」
「まあ、そうだな。今回の戦い、そのあたりを占う一戦となろう。
もし仮にあの娘が、私の感じるように運命の加護を得ているのなら……こんな「盾」一枚、どうという影響も受けんだろう」
「分厚い誤差もあったものですね」
「フフ、そうだな。このジガンスクードのコクピットは世界で……あー、50番目くらいに安全な場所だ。
そこからレイナ・カーマインの行く末を見定めるのも一興だと思うが?」
「その興でこんな分厚いのを障害とせねばならないカーマインさんには、さすがに同情を禁じ得ませんよ」

レイナの運命を見定める。そのために出撃したこのジガンスクード・アンジェであるが……このままの状態が続けば、いずれ遠からず、
この機体の砲はアルプ・トラウムを沈めるだろう。

(誤差では済まなかったようですよ、特尉)

趨勢は決しつつある。となれば、これ以上双方の被害が増える前に、一気に決めてしまうのも慈悲か。

「甲斐、こちらスノウフェイル。敵艦のスキャンはどうなっていますか?」
『こちら甲斐。敵艦テスラ・ドライブの位置は未だ不明のままですが、あの機動性能から言って、相当高出力のドライブを搭載している可能性が濃厚です。
となると、動力のスムーズな供給のため、リアクターからあまり離れた場所には設置されていない、と推察されます』
「ふむ……わかりました。これより、敵の機動を大きく乱します。全ミサイル発射管にカルナック3を装填し、こちらの攻撃と同時に敵艦に向けて発射してください」
『了解しました』

甲斐との通信を終えたリリーは、護衛のために周囲に滞空していたソードブレイカーをラッチに戻した。
それとほぼ同時に、アンジェの胸部が四つに割れて展開し、装甲の裏側に存在していた巨砲を露出させる。
エネルギーがチャージされていくにつれ、内部から漏れる光を強くしていくそれは、ギガ・ワイドブラスター。元となった機体にも装備されている超大型熱線砲である。
だが、エネルギーが蓄積されていっているのはブラスターだけではなく、両肩の衝撃砲も同じであった。
それらエネルギーチャージが限界まで蓄えられ、あとは開放を待つのみとなり、

「三位一体砲。これで終わりにしましょう。……トリニティ・ブラスト!」

トリガーが引かれ、三つの砲は、その全てのエネルギーを開放した。
ギガ・ワイドブラスターの放った大きな白い光に衝撃砲の青い光が混ざり、光達はその身を肥大化させ、超極太のビームと化す。
直径100メートル超過の広大な面制圧力を持ったビームは、アルプ・トラウムの艦首方向を薙ぎ払う。
もちろん、そのままの進路であればこの巨大なビームに飲み込まれるが、おそらくは回避される。
だが、これだけの面制圧力を持ったビームを回避するとなれば、大きく回避せねばならない。そうなれば、流石の高速艦とて、その体勢を立て直すのはすぐには難しい。
そこに飛び込んでくるのが、甲斐の全ミサイル発射管から発射された、夥しい量のカルナック3中型対艦ミサイルの雨である。

(さあ……この二つの攻撃、どういなしますか?)

645 ◆h9Hr5c.eFE:2013/03/20(水) 20:58:42 ID:SUVi/UuU
>>642
「……?」
あまりにもあっさりと解放された。
遅い来る苦痛を覚悟していた分、呆気に取られた静香だったが、
様子を伺うようにそろそろと後退すると、雷姫の腕を肩に回して支える。
「……いきましょう。アルプ・トラウムまで下がらないと」
「は、はい……」
敵パイロットの考えが計り知れない点は不気味だが、ここで反抗したところでどうにもならない。
風姫のスラスターによって地表を跳点々と跳びながら、二体の姫はインセイオンから遠ざかっていく。
つばめはぼんやりと、「お礼を言った方が良かったのかな」などと考えていた。

646 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/20(水) 21:13:50 ID:z/IW14OY
>>643
「落ち着いてください、まず深呼吸してください。」
テンパってる大尉でも、解るように言葉を選びながら、
「さっきの、ロストは、死亡ではなく、只のフェイク。恐らく目を欺くため。」
「また、先ほどのゲシュペンストの再起不能は、再起動、そうしむけたのは恐らく、あの黒い機体」
「そして、奇跡的に再起動ができ、後は機体を見るかヒツギに聞かないと」
「ともかく、ヒツギは、まだ生きているかもしれないんです。早く、生死確認を!」

647リリー&アカリ ◆Tg./UqnJ52:2013/03/20(水) 21:33:15 ID:b3LjzZjY
>>614,>>618,>>621
ソードブレイカーと2機のアルゴスの援護によって、ドロワナは窮地を脱したようだった。

「リューデル軍曹、テスラ・ドライブの修理が終わったら、そこに居るクーリマン軍曹から新しい武装の補給を受けるか、
一度甲斐に戻って本格的な修理・補給を受けてください。どちらにするかは、あなたの判断に任せます。
ヴィルヘルム少佐、クーリマン軍曹、そのまま攻撃を続けて焔姫を撃破してください」

援護にやっていたソードブレイカーを引き戻し、リリーは各機に指示を出す。
焔姫は3姫の中でも一番攻撃性能の高い機体であるが、複数機体に囲まれてはその性能を活かせるはずもない。
ましてや、焔姫と対しているのはどれも射撃戦を得意とする機体。濃密な弾幕を展開すれば、近づく前に蜂の巣にできるだろう。
あちらはあれで大丈夫か。そう思った矢先、アンジェの戦況モニターが信じがたい報告をしてきた。
なんと、先ほど介入してきた黒い機体が、ヒツギのゲシュペンストを撃破したとのことだった。
ヒツギの安否が気遣われるが、それとは別に、あの戦域での連続介入を許せば、焔姫に対応しているあの3機が横から襲われるのは火を見るよりも明らかだ。

>>615
ビームランチャーの銃口を向けられても、いつもの調子でこちらに話しかけてくるレイナに、アカリは少なくない驚きを得た。
旗の色は明らかに敵であるのにもかかわらずに、だ。

「私だって、こんなことになる前に、きちんと話をしてもらいたかった……!
どうしてっ……どうしてこんな形に私達は分かれて……!」

いつもと同じ話し方で、いつもと同じ余裕を感じる態度で、レイナはこちらを説得してきている。
作戦が発動する前、レイナたちがどういう罪状でこんな扱いを受けるのかの説明は受けた。だが、それを鵜呑みにすることは、アカリにはどうしてもできなかった。
その疑念が、レイナの普段通りの調子を受けて、頭の中を加速し始める。
ああ、やはりレイナは敵ではなかった。何かの陰謀でこうなっただけで、本当は私達の味方――――。
あと一言二言、レイナから言葉をかけられていれば、そういう思考に傾き、アカリはレイナの側についたかも知れない。だが運命はそれを良しとしなかった。

『クレマチ伍長、急いであの黒いアシエルタイプの迎撃に向かって下さい。ハヤセ少尉が……撃墜されました』
「え!?」

レイナに銃口を向けたまま逡巡するアカリの耳に、リリーからの迎撃要請が飛び込んできた。それも、ヒツギ機の撃墜という、信じられない事実を携えて。

「え……あ……?」

どういうことだ。レイナはヒツギと深い縁で繋がれていたのではなかったのか。
それが撃墜された? こうして自分が迷っている間に?

「…………くっそぉ!!」

アカリはその場でラプターを変形させると、スロットルを全開にし、ムラマサの迎撃に向かった。
置き去りにしたレイナに後ろ髪を引かれる思いは感じるが……ひとまずそれは脇に追いやった。

『黒い機体はそのままリューデル軍曹たちを襲うものと考えられます。急いで!』
「了解……!!」

弄ばれている。機首を戦域に向け、加速を続ける中、アカリはそう感じた。
何か大きな意志のようなものに、自分は弄ばれている。わからない。何もわからない。エンジェルフェザー。明智ライト。レイナ・カーマイン。
真実は誰が握っているのだ? 誰が? 誰が?
アカリの思考は混濁し、そこに小さな痛みを感じる。だからアカリは、目の前で起こっている現実にのみ、目を向けることにした。

648ゼバスチャン ◆oR45XRwhpI:2013/03/20(水) 21:50:40 ID:25inMKCg
>>621>>625
これから至高のトリガーハッピータイムへと移るはずだった
この世で一番素晴らしい時を思い切り堪能するつもりだった

「アヴェンジャアアアァァァァァアアアアアアアア!!!!!!」
言葉と共に引き金を引いたその直後

「あ?」

コクピットに一つの警報音 その音は、味方機接近を知らせる音
レーダーには迷うことなく一直線に射線へと突っ込んでくる味方識別反応

ディスプレイに移ったのは、アルブレード

「ワァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」

先ほどとはまったく違う雄叫び 後での文句は一切聞かないとは言ったものの
本当に味方機を撃墜するわけには行かず、薄いカバーに覆われた非常停止スイッチを渾身の力で叩く

スイッチが起動し緊急ストッパーが回転する砲身を無理やり停止させる
過負荷に砲身が悲鳴を上げ、ガトリング砲に異常を示す警告文がディスプレイを埋める

「・・・・・・・・」

ゼーハーと荒い息をつきながら呆然と前方を見やる
どうやら済んでの所でフレンドリーファイアを避けることが出来たようだ

「・・・・・・ッ バカヤロォォォ!!! 死にてぇのか!!!?」

最高の時を邪魔されたのと、とんでもない非常事態を引き起こしたユウセイに
腹の底から怒鳴るゼバスチャンであった

>>626
そんなこんなで焔姫へとい行われた砲撃は、予定の1割にも満たない極少数に留まり
しかも非常停止した砲身をすぐに動かすことも出来ず

結果として焔姫を逃す結果となった

「チッ・・・発射機関がイカレてないだろうな?」
逃してしまったのは仕方がない、とりあえずシステムチェックを始めた

>>627-635
システムチェック完了、流石に緊急停止のダメージは大きく、無理の利かない状態であることが判明した
「無傷とはいかなかったか・・・クソッタレ、ユウセイには新品同様になるまでメンテしてもらうとsッ!! なんだ!?」

ガトリングを背部にマウントし 頭部が胴体からせり出したとき、通信機器から響く尋常じゃない悲鳴
画面に出てきたのは、戦闘ではない 一方的な 虐殺だった

「こちらボマー3 ブリーフィングの限りじゃ、目的は敵基地の征圧!! 殲滅とは聞いてねぇぞ!! 戦闘の中断を要請する」

通信をオープンに そして味方機全員に向けて叫ぶ

>>636
一方的な虐殺が行われる現場 そこに飛び込んだゲシュペンスト
アレはヒツギの乗る機体ではなかったか?

「アイツ・・・動け・・・動けってんだこのポンコツ!!」
未だエラー残るテスラドライブシステムに鉄拳を見舞い 強制起動

片方のウィングを失ったまま離陸し、全速力で現場へと向かう
【精神コマンド:加速 使用】

649 ◆zv577ZusFQ:2013/03/20(水) 21:53:02 ID:j8atmGe.
>>644
ギガワイドブラスターに左右の砲のエネルギーも重ね合わせた三重の広範囲攻撃。トリニティブラストとやらがアルプ・トラウムの正面の空間を呑み込んで行く。

「敵、ジガンタイプの範囲兵器来ます!」

「甲斐より更にミサイル来ますけど!」

「あわわわ!そんなぁ〜!」

ブリッジクルーのメイド達は口々に状況をご丁寧に知らせてくれる。
まだまだ教育が足りていない様だ。取り乱す者もその中には居る。

「(レイナの帰って来る場所をやらせるわけには行かない。後で面倒くさいし)
イクリプス、あの極太ビームは通しちゃ駄目よ絶対。ミサイルの迎撃はホーミング・レーザーで何とかするわ。CIWSに定評が有るのは何も甲斐ばっかりじゃ無いし」

「かしこまりました。少々、荒っぽくなりますが御容赦を」

リリーの思惑通りに、アルプ・トラウムは破壊の光を掠めながらトリニティブラストの下方へと潜り抜けた。どうやら艦首は破壊されていない。これは後々、甲斐を沈黙させるのに重要だ。やらせはしなかった。
しかしこれで、予想通りにアルプ・トラウムの自慢の足に無理が祟った。

【アルプ・トラウム:残りHP65%】

「レーザー撃って迎撃ね。……で、お次はいよいよ主砲を使うわ。圧縮型の単体攻撃に適したモードをね。
ジガンタイプの次の砲撃には間に合わせるわよ」

広域バリアのダークネス・オーラとレーザーのミサイル迎撃を合わせた防御能力で甲斐から降り注ぐ雨の様なミサイル攻撃を何とかやり過ごす。
そして、やる気無さそうなカナメもいつまでも黙ってばかりは要られない。
恐らく相手にはこの主砲が乱戦で使えない御飾りに見えている事だろう。

「お返しするわ。目標はあのずんぐり君よ。適当に喰らって落ちちゃいなさいな」

非常に締まらない発射シーケンスとなったが、威力には関係の無いこと。
沈黙していたアルプ・トラウムの砲に赤黒い光が集まりに集まり、スパークを帯びた球状の塊を勢い良く吐き出す。
先程、先遣隊を壊滅させた時のものとは特性が異なり、まず弾速は大幅に速く、それでいて今回の弾はエネルギーを圧縮した威力重視の弾け飛ばない仕様。
レイナが名付けたのはデアボリック・フレア。珠の形そのままに火の玉、あるいは火山弾の様なものが、ジガンスクード・アンジェに迫る。

【アルプ・トラウム:ジガンスクード・アンジェに煉獄のデアボリック・フレアを放つ】

>>647
お互いの悲しい行き違いにより、今回はわかりあえずに、奇妙な別れとなってしまった。
アカリとレイナは別々の方向へ飛び立って行った。
でもいつか、先の告白の答えを聞かせて欲しいなとレイナは思う。

650 ◆zv577ZusFQ:2013/03/20(水) 22:12:36 ID:j8atmGe.
>>646
「……でも、でも、見てこれ!?わわ、グサッと!槍が!123456789101112、13本も!!死んでる!絶対死んでる……ねぇ私の槍、解ります!?胸部貫いてるぅぅ!」

そう。ライトのランスは何ともラッキーなことか、胴体をグッサリと貫いていた。
こんな時に命中精度をアピールしてどうなる?笑ってしまいそうだ。
味方殺しなど、有ってはならないエリートである者にあってはならない汚点。

「無理無駄無茶無謀!さっきから答えてくれません!絶〜対、死んでる!!私が討ち取った……」

明智ライトの豹変ぶりに、シルバーバレット隊の面々も気味悪がって誰も彼女の相手を出来ずにいた。ユウセイはこの頭がおかしい女の相手をしてくれる辺り、やはり優しいようだ。
これでもし仮にレイナを逃がしたとか言うならライトは誰かさんの様に大降格間違い無しだ。

651ヴィルヘルム@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/20(水) 22:16:28 ID:nRhJdVQw
>>643
「明智大尉!指揮官が取り乱すな!
 戦場では常に最悪を想定し、最善を尽くすものだよ」
 とは言え、ヒツギがレイナをかばうまでは考えていたがここまで劇的にとまで分かるものか。
>>647
「……いや、焔姫とやらは俺一人で充分だ」

 なんか言い出した。

「ラウディ、お前はリューデル軍曹のフォローに回れ。
 若しくは、あれだ、軌道艦隊式海兵戦術」
『無理ですっ!?』
 ラウディが即座に拒否した“軌道艦隊式海兵戦術”とは、修理装置や補給装置を係留索代わりにして敵艦に切り込むというものだ。
 複数の意味で出来る気がしないのでゼバスチャンの援護に回る。

 一方のヴィルヘルム。
 右手にスナイパーライフル、左手にマシンガン装備だが、内心では遅延戦闘を仕掛けるつもりだったりする。
(……全てを連中の思い通りにされてたまるか。引き延ばしてる間に逃げてくれよ?)

652レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/20(水) 22:18:14 ID:JCr4r.06
>>618>>648
衝撃波の余波をかわす焔姫
そこを狙う巨大なガトリング砲と化したドロワナから放たれる夥しい程の銃弾、否、もはや砲弾と言うべき彗星達はその獲物を喰い尽くすべく、大型の薬莢をばらまきマズルファイアとの鋼の咆哮と同時に吐き出される

ドロワナの砲弾達は焔姫に向かう途上の木々と大地とを容赦なく貪りながらいよいよ本命の獲物にありつく…ハズだった

砲弾達は焔姫に割り込む形で飛び込んだ(投げ込まれた)アルブレードにその牙を向ける

>>635
ヒツギのゲシュペンストの熱源反応が急速に下がっていく
直ぐ側のレイナの反応と周囲の敵性反応から考えれば……
「……」
ヒツギに対して戦士として敬礼を行うのも束の間
状況は更に悪化していた

>>644>>649
直援がほぼ無力となった母艦に波状攻撃が仕掛けられる

「間に合えよ!」

アルブレードを放り投げて間も無く航空機形態へと姿を変えてアルプトラウムとの合流を試みる…が
>>644
敵ジガンタイプの砲撃がアルプトラウムに照射されてしまう

「せめてミサイルを!」

その時に警告音が響く敵からの照準用レーザーを受けていたのだ
(俺もまだまだだな)
レーザー照射元を確認した先は…アカリのビルト・ラプターだった

653 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/20(水) 22:36:49 ID:z/IW14OY
>>648
渾身の一斉射を邪魔された、ゼバスチャンは、お怒りのようで
「ごめん、本当にごめん。」
潔く、謝る。
でも、ちょっと
(幸せを、邪魔されたから、キレたんだろうな、)
とか、思ってたりもする。
「でも、いったいな。こっちもそれなりのダメージを受けたな。」
勢いよく、邪魔して、緊急停止したものの、
アヴェンジャーは、途中で止まり
こちらも、ジャケットアーマーが、中破している。
(残り、79%)
>>650
「だから、解んないったら、何度言ったら解るんですか!」
ついに、ユウセイが吼えた。
まぁ、ここまで、来たんだ。少しぐらい吼えたって良いじゃんそう思った故の判断だ。
「そんなに、生きてる可能性を否定するなら、見てみますか。」
アイゼルネは、行動不能
あの黒いのも、クレマチさんが押さえてくれる。

654リリー&アカリ ◆Tg./UqnJ52:2013/03/20(水) 23:14:01 ID:b3LjzZjY
>>649
トリニティ・ブラストとミサイルの雨……アルプ・トラウムはこの二つの攻撃に対し、強引な機動と対空防御システムでもって対応した。
改めて敵艦の性能にリリーは舌を巻くような心持ちだったが、やはりこれまで蓄積されてきたダメージは艦の足回りを蝕んでいたようで、
メインエンジン付近に不調が見られるようになった。

(終わりましたか。あの機動力さえ低下すれば、あとは衝撃砲だけでも仕留められるはずです)

火力は混戦で封じられ、その驚異的な機動力にも傷が付いた。対するこちらは無傷の戦艦とジガンスクード。どう見ても、敵に勝ちの目は無さそうだった。
……が、敵艦はここで予想していなかった行動に出た。目の前に飛び出してくる、赤黒いエネルギー球。主砲を使ったのだ。
この状況で、と思ったが、レイナがどこかへ行ってしまったので、この戦域だけで言えば、両者の間に邪魔になる味方機は存在していない。
読みが一手遅かったか。

「受け止める……!」

エネルギー球は明らかにこちらを狙っていたが、ここで避けては後ろにいる甲斐に被害が及ぶ。
こちらは「盾」を称する機体だ。ならばその名前の通りに、あの球体を受け止めてやろうではないか。
前に出張っていた衝撃砲のバレルを背部に畳み、Eフィールドを前方集中展開、両腕の盾を前方に突き出し、アンジェは防御態勢に入る。
そこへ、赤黒い球体が激突する。エネルギーを圧縮して形成された球体は易々とEフィールドを突破し、突き出された盾諸共、アンジェの装甲を灼く。
だがアンジェの盾と装甲も伊達ではなかったようで、球体はそれらに阻まれてその身を引き裂かれ、赤黒い塵となって周囲に消えていった。
新型の装甲材を用いた盾は何事もなかったかのようにその威容を保ち、盾で守りきれなかった部位の装甲は熱を持ち、白い煙を上げていたが、
目立った外傷はどこにも見あたらない。「盾」の面目躍如といったところだ。

【ジガンスクード・アンジェ:残りHP90%】

しかし、見た目無傷だからといって、内部までそうとは限らない。
アンジェの機体自体は分厚い装甲に守られ無事だったが、背部に露出したままの衝撃砲の回路が、今の熱でオーバーロードを起こしていた。

「く……どうにかなったようですけど、衝撃砲がおかしくなってしまいましたか。砲の耐久性に難あり、ですね」
『少尉、大丈夫ですか?』
「ええ。ですが背部衝撃砲にダメージを負いました。回路のバイパス作業が完了するまで100セコンド程度、といったところです。
敵艦の攻撃はこちらで受け止めますので、甲斐は主砲とミサイルで、攻撃を受け持って下さい」
『了解。主砲1番2番装填。発射管にカルナック3を装填します』

アンジェの主武装である衝撃砲は少しの間使えなくなったが、後方には無傷の甲斐が控えている。
アルプ・トラウムが主砲を使えるということは、甲斐も使えるのと同義である。
アンジェに守られながら、甲斐の前部主砲とミサイル発射管が、アルプ・トラウムを攻撃し始めた。

>>652
黒い機体がゼバスチャンたちを襲わずに、アルプ・トラウムを追い詰めているアンジェに向かってきていたのは、リリーにとって予想外であった。
だが、どちらにしてもこちらからの対応は変わらない。そう、アカリのビルトラプターによる迎撃である。

「誰よあんた、好き勝手暴れてくれてさぁ!!」

レーザー照準を黒い機体にあわせたアカリは、機体の下部に懸架されたメガ・ビームランチャーを連射した。
3発の青いビームが、黒い機体目がけて飛んでいくが……。

655 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/21(木) 01:47:45 ID:ZHdKhqkk
>>643>>647>>646>>648>>652

「に・・・よ―――人を勝手に殺すんじゃねぇよ」

ノイズ混じりの通信から、確かに声が聞こえてくる
コックピットのハッチが開・・・かない、中途半端な位置で停止してしまう。
が、何者かの足がそれを内側から蹴り付けて無理やりに開いた

思い切り亀裂の入ってしまったヘルメットを放り出し、ヒツギは自力で這い出てきたのだ
この脱出はまさに奇跡による産物だった。

ムラマサがコックピット上部を貫いていたという点・・・何のダメージも無いといったが実際は違った。
そこにはブラスターキャノンが格納されている、ムラマサの一撃がブラスターキャノンを切断していたのだ
そしてこの穴があったからこそ、バレットが刺さって変形する際に最初から穴が開いていた胸部側が先に変形した・・・つまりコックピットは無事だったのである

2つ目に突き刺さったシルバーバレット
ジェネレーターを寸分の狂いもなく打ち抜いていた。
さらにミサイルコンテナにも命中せず、むしろ誘爆の可能性があったコンテナを機体から取り落としてくれたほどだ

ヒツギは緊急降下用のワイヤーをスーツに引っ掛け、そのまま飛び降りる。
短い間だったが、デーモンの代わりに戦ってくれていたヒツギのパートナーであった事に違いは無い。
もう動かなくなってしまった戦友をヒツギは見上げると、その心中で敬意と礼を述べていた

「悪い皆、俺やっぱりこういう敵味方とか『ダメ』だ」

死にかけたとは思えないあっけらかんとすっきりとした様子で、笑いすらその表情に浮かんでいるほどだ。
何故レイナを助けたのかに対する回答なのだろうが
その言葉は謝罪でもあり、また離反を意味する内容でもあった。

とはいえヒツギの機体はもう無い、これ以上戦闘に参加するのは不可能に思えたが―――

656 ◆zv577ZusFQ:2013/03/21(木) 06:32:46 ID:ClPZAMAw
>>655
【「に・・・よ―――人を勝手に殺すんじゃねぇよ」】

「死んでる訳無いじゃない。それが信じられなかった時点でお前は駄目駄目よ」

レイナはヒツギが死んだ等と微塵も思っていなかった。信じて疑わなかった。
こんなもの、眼を使うまでも無い。
倒れ伏したアイゼルネの中でいて、余裕の表情をしていた。

「ハヤセ少尉が……生きてる」

流石に本人の姿を目の前にしてこれは幽霊だ!等とは言い出さなかった。
そしてようやくニュートラルに“近い”状態に落ち着いたライト。
これで何の心配も無くレイナを拘束出来るな。と安堵した。
安堵した故に次のヒツギの言葉はまともな精神状態で聴かされる羽目になる。

【「悪い皆、俺やっぱりこういう敵味方とか『ダメ』だ」】

「だからと言って……意味が解りませんよ。じゃあどうするんですか……?何が出来るのですか……?」

未練がましくヒツギを非難するライト。
だが、もう彼がこちらの命令を聞く事は無いという拒絶が認めたくも無いが明らか。

「善とか悪とかくだらないのよ。この坊やをそんな小さな枠に当てはめるな」

だが、まだヒツギはレイナと共に行動して行くとは一言も言っていない。
契約を破棄したのも彼女からだ。
このまま待っていても彼の口からは決して出て来ないだろう。
これだけは、レイナが自分から切り出さねばならない。そして意を決した。

「ヒツギ、私と再契約して。今度は絶対に私が死ぬまで未来永劫私の眷属として……。
そして。もし私が契約を裏切る様な事が有れば罪を背負う。……この右目の邪王真眼を抉り抜いて、君に差し出そう」

恥ずかしげも無い厨二病患者の台詞は時としてとても頼もしい武器になる。
「ずっと私の側にいて」なんてまともにはむず痒くてとても言えた物じゃ無い。
そのせいで、より悪魔的な契約らしくなって来た。

>>654
「悔しいけど、逃げ出す準備が出来るまで今は我慢の子よね。(……レイナ、何をやってるの?)」

ミサイルはレーザーで迎撃を続け、衝撃砲はこの際、甘んじて受ける。ジガンスクードが機能不全に陥っているのが幸いだった。
こちらもデアボリック・フレアで甲斐を狙うが、前には盾が立ち塞がっている。

【アルプ・トラウム:残りHP55%】

『やぁカナメ、ちゃんと艦長してる?
まぁそれより、格納庫に残ったアレに火を入れておいてくれ。彼には必要だから』

そんな最中、レイナの方からアルプ・トラウムに連絡が来た。
レイナは、まだピンチのままだが、決して自らを助けろ等とは言わなかった。

「う〜ん。一応準備だけはしておく。……面倒臭くて仕方ないわ。
それよりもそっちはどうなの?アイゼルネは離脱できそうなの?」

『いや、まだ一歩も動けない。でも私は臣下の期待に答えなければならない。
……カナメとの約束破って悪いけど、あの忌まわしい力を使わせて貰うわ』

「駄目……やめなさい。あなたの身体はもうあんな物を受け付けられない。良く解っているはずよ?」

『解らないわね。私を信じられない親友の心が。なに、絶対に大丈夫よ、私はまた死ねなくなったからね♪』

カナメとレイナの間で何やら物騒なやり取りが行われているが、イクリプス以外のメイド達には何の事やらである。
カナメの否定的な発言から、何かしらレイナが大きなリスクを背負うものだとは予想出来る。

「レイナ……」

しかしカナメの意見を無視し、レイナは一方的に通信を終える。
言っても聞かないのだ、昔から。

657 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/21(木) 09:01:31 ID:ZHdKhqkk
>>656
>「だからと言って……意味が解りませんよ。じゃあどうするんですか……?何が出来るのですか……?」

「何が出来るかどうかなんて分からない、実は今も迷ってるよ」

ライトの問いかけにヒツギは自分の心中をそのまま言葉として伝え始めた。
今も迷っている、結局どちらかに立っても敵と味方に割れるのは決まっているのだ
その証拠に先ほどまでヒツギは二者択一に悩まされまともに戦う事も出来ない状況だった。

だが、今こうして立っているという事はその答えを出したという事を物語っている。

「・・・『仲間』とは戦いたくない、でも『仲間』を守るためなら戦える」

一見すれば矛盾している様でいてその心理を読み解けば矛盾している訳ではない言葉
ヒツギが出した答えがこれだった
彼が取ったのは善悪という立場ではなく、それを超越した仲間という繋がりだったのだ

>「ヒツギ、私と再契約して。今度は絶対に私が死ぬまで未来永劫私の眷属として……。
>そして。もし私が契約を裏切る様な事が有れば罪を背負う。……この右目の邪王真眼を抉り抜いて、君に差し出そう」

「その契約は成立しない、釣り合わないからだ」

ヒツギが意外にも出した否定的な言葉に肝が冷えたが、その後に続く言葉が負を全て吹き飛ばした

「その内容なら見返りもその眼も必要ない・・・そういうもんだろ?」

対価が釣り合わないのはレイナ側ではなくヒツギ側の話。
たったそれだけの為に受け取る事なんて出来ない、対価など得られずとも当然の事なのだから
とんだ正直者の悪魔が居たのもである




『明智少尉、何をちんたらと・・・
 君は少なくともこの戦場では指揮官なんだよ、離反者にご高説を聴いてどうするつもりなんだい?』

ライトの機体に通信がかかる、それはこの戦場に居る智天使からのものだった。
この状況で動きを止めてしまったライトを見かねたらしい
いや、煽り立てていると言った方が正しいか・・・その目的こそ不明だが

658レイナ&ライト ◆zv577ZusFQ:2013/03/21(木) 09:38:30 ID:ClPZAMAw
>>657
【「何が出来るかどうかなんて分からない、実は今も迷ってるよ」
「・・・『仲間』とは戦いたくない、でも『仲間』を守るためなら戦える」】

「それはおかしい。矛盾してます!」

今のライトには何を言っているのかまるで理解していない。仲間など単なる駒だ。
それが解らない以上、完全にライトが入り込める余地は無いか。


【「その契約は成立しない、釣り合わないからだ」】

(やっぱり……駄目か?)

レイナは珍しくただの少女の様にしゅんと落ち込んだ。何が足りない?

【「その内容なら見返りもその眼も必要ない・・・そういうもんだろ?」】

「そう……ああ。びっくりしたじゃないか。本当にね」

だが、断られたかと思ったのはどうやら勘違いだった様だ。
対価が釣り合わないのはレイナ側ではなくヒツギ側だと言う話。

【『明智少尉、何をちんたらと・・・
 君は少なくともこの戦場では指揮官なんだよ、離反者にご高説を聴いてどうするつもりなんだい?』】

「……く。解っていますよ。待ってなさい、すぐに戦いを終わらせて見せますから。反逆者を始末してですね」

こんな気味の悪い機体がどうして欧州から?と割とまともに戻った今更ながら思いもしたが、今は気にしない。
目の前では、奴らが再び結託し、再契約とやらをしてしまったらしい。

「ヒツギ、ここは私が何とかする。して見せる。まだ戦う元気が有るなら、君も何とかして私達のアルプ・トラウムへ行け。
我が盟友が悪魔を甦らせたぞ」

ヒツギやレオンハルト、つばめに静香にあとついでにマヤ。これらの命を預かった以上、主人はその家臣達を護らなければならない。
その為ならもう何も恐れる事は無い。皆の。それに最愛の妹の未来を切り開く為に、固唾を飲んでレイナはコクピット内の管の束と繋がったアームカバーみたいな機材へ、その白く細い指先を通していった。
これはレイナに苦痛を刻む特殊な装置。だが、この機能により死に体のアイゼルネ・ブルートに何かが起きる。

「そんなの絶対に許しません!シルバーバレット隊は予定を変えずレイナ・カーマインの拘束をただちに!」

そんなものを目の前で共通の回線で流された側として認める訳にはいかない。
ライトはレイナに負けたく無いのだ。特にあの少年の関わる事なら尚更に。
ライトはシルバーバレット隊へと再び、命令を出す。
動かぬ的となったアイゼルネ・ブルートを拘束すると言う簡単な作業。
しかし、いつまでたっても誰一人として動こうとする者が居なかった。一体、何故なのだろうか?

「……」

659 ◆zv577ZusFQ:2013/03/21(木) 09:46:32 ID:ClPZAMAw
「な、な、な!?何だ、今確かに!?」

今、一瞬。動けないはずのアイゼルネ・ブルートがビクリと動いた。
それに気付いたエンジェルフェザーの新米隊員己の眼を疑った。
【アイゼルネ・ブルート:残りHP5%】

「お、おい!こいつ、動くぞ!」

今度はまたしても微妙な変化。立ち上がろうと膝を曲げている。
目が?それともカメラがおかしいのか?と機械を疑ってかかる
【アイゼルネ・ブルート:残りHP15%】

「ぇぇい!まだ!死してなお、君臨するのか!?」

三人目はアイゼルネがだらーんとした体勢にて、ゾンビの様に立ち上がっている傷だらけの姿を見た。
【アイゼルネ・ブルート:残りHP45%】

「そ、それどころか!穴!穴が!銃弾でついた穴が!治って無いか!?」

醜い程にズタズタのボコボコに痛め付けられた筈のアイゼルネ・ブルートのボディが徐々に元の綺麗な状態に戻って行くのを四人目は目撃してしまう。

「あ、ああ、悪魔の所業やぁ〜!!」

アイゼルネは穴だらけにされた筈の大きな悪魔の翼をばさーっと大きく広げ、禍々しくも美しい威嚇する。当然、穴は何も空いていない。
【アイゼルネ・ブルート:残りHP75%】

「馬鹿な。シルバーバレットのリミットはまだ有効な筈よ!……それに、あんなみるみる内に再生が追い付く訳が」

ようやくライトも気付いたらしく、だがどうしてアイゼルネ・ブルートが治って行くのかがまるで解らない。さっきは確かにシルバーバレット弾は有効な結果を出した筈だ
そして、数秒前まで死に体だった筈のアイゼルネ・ブルートは何の枷も無いかの様に飛翔し、月を背に十字のポーズを取っている。
【アイゼルネ・ブルート:HP100%】

660BGM変更 ◆zv577ZusFQ:2013/03/21(木) 09:47:45 ID:ClPZAMAw
「ぅ……に……ゃっ……ぁ…ぁん」

アイゼルネのコクピット内では何が起きているのだろうか今の段階で誰にも知る事は出来ない。
しかし、機体の修復と反比例するかの様にレイナ自身には激しい動悸と熱っぽい吐息。汗にまみれる身体、そして誰にも見せないが目には涙すらうっすらと見られる。
のたうち回ってそのまま倒れてしまえれば楽になるのに。
だが、レイナは必死に唇を噛み締め、声を圧し殺しその痛みと苦しみを誰にも見せない。知らせない。
そして、いつもの様に高らかに、相対する者達を見据えて偉そうに笑ってみせる。

「くっくっく。……明智ライト、お前は本当に私を怒らせた。この代償は、今すぐその身体で払って貰うからな」

その十字のポーズのまま、胸部のハウリング・スマッシャーでの全体を襲う攻撃により、逃げ遅れた愚かなガラクタを排除。
やはり良い装備を付け、多少の性能は上がったものも、所詮はレリエル。
バケモノを前にし、戦意を欠いている者達になど耐えられるはずも無い。
シルバーバレット隊は皆殺しとは行かないまでも総崩れとなる。
そして、勢いの付いたレイナとアイゼルネは、月をバックにガブリエルを強襲。

「や、やらせると思うか!?あなたみたいな者に!落ちなさい!」

ホーリーランスを再装鎮し、迫るアイゼルネに対してこちらから撃って出る。
だが、その突きは単調。ヒツギの事や先程の臨死復活からの動揺を見抜かれ、呆気なくライトの攻撃は空を切る。
と、直後に激しい衝撃。後ろから機体ががっちりと固定されていた。
気付いた時にはガブリエルはもの凄い力でアイゼルネの手元へ手繰り寄せられていた。

「は、はなしなさい!」

ライトは機体を無理矢理にでも動かそうとするがアイゼルネの拘束は外れない。
そして、聡い彼女はこの状況に背筋がぞくっとする嫌な感覚を覚える。

「ふむ……やっぱり美味しくなさそうねぇ。その貧相な肢体は。でも、まぁたまにはこう言うスキモノも有りかもね」

レイナは何を言っているのだろう。
何をアイゼルネにやらせるつもりだろう。
アイゼルネ・ブルートのマスクだった部分が外れ、中からはおぞましい程の魔性の犬歯を揃えた裂ける様な邪悪な口が姿を現した。
それはさながら本当の吸血鬼の様であり

「その実、アイゼルネ。彼女も興奮しているみたい。よく解らないけど?
じゃ。お前のはじめてを……貰うわ」

本当にアイゼルネはガブリエルの首筋にかじり付いた。一心不乱に。
かじり付いた直後に、ガブリエル側に見てとれる様な異常が発生する。
ビリビリとガクガクとボディが勝手に震え始め、電撃が暴れまわる。
これはガブリエル自身の電力。アイゼルネからの干渉により、強制的に放電が行われている。

「ぁ……あひぃ!!?ぐぅぁ!んががぁァァァ!?ああああああ!?!?」

突然、ライトが狭いコクピット内で暴れ出した。本人にとっても最初、意味がよく解らなかった。身体がおかしくなった。

(いやあぁぁ!……かかか!感電!感電してりゅうぅぅ!?!?)

だが、すぐに理解する。その電撃はコクピット内で守られている筈のライト自身にも浸透し、その身体に脳が焼き付く程の直接的ダメージを与えていたのだ。

(こんなの、はじめての体験!頭が……身体がぐちゃぐちゃになるぅぅ!!)

少女の忍耐には限界があった。もう何も考えられない。恐い痛い熱い暗い眩しいそして何より悔しい何だかの屈辱感。
もはや言葉になっては出てこないが。

「なんて情けない。……つばめと静香が受けた苦痛に比べれば、命令を下したお前にはこんなもんじゃ生温い。
少し、頭を冷やしてよく考えてみなさい。あんなものが軍のやる事なのか」

レイナは静かに。だが確かに怒っていた。
アイゼルネはこの吸血鬼攻撃により、ガブリエルの全エネルギーを奪い取る事が可能。
電撃が次第にガブリエルの機能をショートさせ、爆発させ、パイロットを追い詰める。
ライトは飛び上がりそうになるほど、身体を弓なりに浮かせて苦痛を受ける。

「……ひゅ……ひゅぅ……が……ぁあ」

そして、ついに目の前が真っ暗になり、ぐったりと身体を弛緩させ糸が切れたパペットの様に失神してしまった。
失神。しかも大勢の味方が見ている前で上司の期待に応えられず、ライトはこんな辱しめを受けた。もう終わりだ。何もかも。
【ガブリエル:HP0/EN0】

そして、アイゼルネ・ブルートは最後に機能停止したガブリエルの頭をヴァンパイア・クロウで切断した。

「敵将!討ち取った……!」

それを誰の目にも耳にもライトの敗走が解る様に天高く掲げ上げ高らかに宣言した。

661 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/21(木) 10:35:14 ID:uPcLb5xo
>>655
>>「に•••よ___人を勝手に殺すんじゃねぇよ。」
「はぁ、無茶しやがって、馬鹿か。お前は」
>>「悪い皆、俺やっぱりこういう敵味方とか『ダメ』だ。」
「どういう事だ?」
>>657
>>「『仲間』とは、戦えない。でも『仲間』を守るためなら戦える。」
「それは、お前、俺たちを傷つけるつもりか。
お前は、茨の道を進む覚悟があるのか?」
そう、言うしか無かった。
ヒツギに、話せる言葉がそれしか、出てこなかった。
>>659
「まっ、まさか、マシンセルによる再っ生」
ここから見ると、ただの悪鬼にしか見えなかった。
にしても、スピードが早すぎる、しかも魔女殺しを食らってもなお
回復した。
「危険だ。明智大尉今すぐ、撤退を」
だが、レイナの攻撃の方が早かった。
>>660
アイゼルネから、放たれる砲撃
ユウセイは、念動フィールドを、展開+シールドで防げたが
>>「じゃ、お前の初めてをもらうわ。」
「えっと、何だあれ?」
マスクがはずれ、なんか犬歯が出てくる。
「あれは、吸血?、いやまさか放電」
ユウセイは、それを強制放電とみた。
>>「敵将!討ち取った……!」
「マジで、やられちゃったよ。」
ガブリエルが、人形みたいにぐにゃりとなっている。
「リリー少尉、その船への攻撃を中断して甲斐に一任できますか。
もしできるようでしたら、直ぐに、アイゼルネを止めてください。
ジガンなら、止められるかもしれない。代わりに俺がいきます。ジガンよりは、脆いですけど、それなりには、堅いですよ」
「それと、ケルビル1次は、恐らく貴方が狙われるかもしれませんよ?予告は一様しときましたからね。」
これ以上の、損害は許されない。
そう思い、迅雷を構え、あの黒い戦艦に向かう

662レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/21(木) 21:14:48 ID:sAfTe19E
>>654
【「誰よあんた、好き勝手暴れてくれてさぁ!!」】

軸を友軍のジガンに合わせぬよう上手くこちらを狙い撃っている
放たれた光の柱を翼が自然に逃げていく様な形でロールし初撃を回避。光学センサーから機体右翼上部から先端すれすれを通り抜けていく
続く二射目には下降しつつ急旋回して対応、こちらは大きく外れる
機首をラプターの方向へ向けつつ

「大気圏内での空力特性の差…というか制空戦で対艦砲は大胆だな」

そう言った矢先、モニターが光に覆われる
三撃目はこちらの機動を見越してのもの、しかしこの短い時間で正確に補正するには並大抵なら誘い込んで予めヤマを張って撃つ
だがアカリであればインターフェースさえ良い物を使えば高速で動く相手に砲撃を当てる離れ業も比較的現実的になる

「なんとぉ!」

迫る三射目、光の柱の下に潜り込むようにギリギリを飛翔
更にバレルロールしてこの光の柱に張り付くように螺旋を描きそのままラプターの真上を逆さまに通り抜け

「残念だったな。でお前はこの戦いで何が得られる?何を求めてる?」

アカリの攻撃には躊躇がみえない。だが恐らくは今尚俺が向かっているジガンタイプだろう。まだ距離はある

「あれを守る事がお前の理由か?」

>>661
そんな折りアルプトラウムを狙うアルブレードの姿が見える

(あいつは何故戦えるんだ?)

ちょっとした悪巧みが頭をよぎる

663ヴィルヘルム@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/21(木) 22:17:34 ID:UZ2tjdac
>>558-560
「やれやれ、今日の明智大尉はどうもな……結局痴話喧嘩になって……痴話喧嘩?」

 嗚呼、もしもマデリーンがいたなら、即座に回線を強制的に切断した上でお説教なのだが。

「なるほど、明智君、君はハヤセ君に惚れてたのか」

 嗚呼、言っちゃった。

>>661
「……よし、この場は俺が、ヴィルヘルム・フォン・エッシェンバッハ少佐が預かろう!」
 しばらく軍から離れていたので遠慮していたのだが……

「ハヤミ君、レイナ嬢ちゃんは任せた。
 分かってるだろうが生け捕りにしたい。それから喰われない程度に頑張ればいいぞ」
 まだ、その真意は……
>>657
「ハーゲン!聞いた通りだ、敵艦に向かえ!
 ラウディ、そっちの援護に回れ。
 後は……ふむぅ、目の前の敵に向かえばいい」

 ライトが倒された穴を埋めようとしている。と言うか、指揮権を乗っ取ろうと。
>>662
「……伍長に任せるか」
 ぼそっと呟いた。

664 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/21(木) 22:45:27 ID:0zb5NNu6
>>663
>>「なるほど、明智君、君はハヤセ君に惚れていたのか。」
(大尉は仕事しかできない、ダメ女だと思ってたけど、恋とかするんだ。)
クソ無礼な事を思ってた、ユウセイ。その見返りとばかりに、
>>「ハヤミ君、レイナ嬢ちゃんは任せた。
分かっているだろうが生け捕りにしたい。それから喰われないように頑張ればいいぞ。」
(無茶言うなぁぁぁ!!!!)
ユウセイは、心の中で絶叫した。
でも、上司の命令は絶対だ
「了解、でも死にたくないんで、保険でリリー少尉もらっていきますよ。」
貰うという表現に特に意味はない。
そして、リリーに通信を入れ
「少尉、予定変更します、俺が、前から牽制しますから、挟撃の体制に入ってください。」
そう連絡を入れる
「あっ、これって、」
たまたま、近くの死骸から、
「残ってて良かった♪」
その手に、シルバーバレッドを手に取り、
「宝の持ち腐れかもしれないけど、無いよりは増しだ。」
それを、腰にマウンドする。
「止めにいくか、死ぬ気で」
迅雷を構え、アイゼルネに向かっていく

665 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/22(金) 02:42:01 ID:C4o9g0Oc
>>658
>「ヒツギ、ここは私が何とかする。して見せる。まだ戦う元気が有るなら、君も何とかして私達のアルプ・トラウムへ行け。
>我が盟友が悪魔を甦らせたぞ」

「蘇らせた・・・アルプ・トラウムってあの戦艦だろ?あんなとこにどうやっていけって・・・」

見上げると夜空には絶賛戦闘中の戦艦が見える、戦闘による爆発か宛ら花火の様だ
機体が破壊されたヒツギにあそこまで向かう手段は無い

>ようやくライトも気付いたらしく、だがどうしてアイゼルネ・ブルートが治って行くのかがまるで解らない。さっきは確かにシルバーバレット弾は有効な結果を出した筈だ
>そして、数秒前まで死に体だった筈のアイゼルネ・ブルートは何の枷も無いかの様に飛翔し、月を背に十字のポーズを取っている。

「傷が・・・再生してる」

今までアイゼルネは幾度と無く戦闘中に回復していた、それはヒツギも知るところだ
だが破壊された状態から瞬時に復活するとなると・・・あの時みた以来、2連続だ

>その十字のポーズのまま、胸部のハウリング・スマッシャーでの全体を襲う攻撃により、逃げ遅れた愚かなガラクタを排除。

「うぉおい!!」

下に居たヒツギの元にも炎をまとったレリエルの残骸が降り注ぐ、流石に戦闘中真っ只中に生身で居るのは危険すぎたらしい。
ダッシュで走るヒツギの前に、ダメージを受け姿勢維持を出来なくなったレリエルがそのまま落ちてくる

「これは・・・使えるかも」

カメラアイにはまだ光が宿っている、武装は先ほどの攻撃で破壊されたらしいが・・・駆動系動力系はそのまま生きているようだ
コックピットハッチが開き、中からパイロットが出てくる。

「悪い」

その瞬間に横から延びてきた手がヘルメットのしたの隙間に滑り込み、そのまま前方へと引っ張られる
ヘルメットに指が滑り込んだ事で首の部分に隙間が出来る倒れこませるのと同時にその部位へと拳槌による横一線がめり込んだ
悶絶しているパイロットを尻目に、レリエルに乗り込むと機体状況を確認

右腕と・・・スタビライザーかウィングが片方やられているらしい、落ちてきた理由はこれだ
多少無茶な飛行になるが、アルプ・トラウムまではギリギリたどり着けるだろう、無理でも向かうしかないのだが

「頼むぜ・・・!」

レリエルは左手を支えに立ち上がると、そのままアルプ・トラウムへと一直線に高く飛び上がっていった
片側に傾いてフラフラとしているが無事に飛行できている。
後はアルプ・トラウム周囲での戦闘を気合で突っ切れば・・・!!

666 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/22(金) 16:12:21 ID:C4o9g0Oc
>>660
「チッ・・・」

ああいうが、ハーゲンの行動も強ち無意味だった訳ではない
あれが無ければ単機で突撃をすることは無かっただろう

アカリやリリーが相手の動きを止め、ハーゲンの行動が激情を煽り、ライトは目標を沈黙させるまで至った
途中までの経過を見ればレリエルもどきの登場というアクシデントを含めてもまさに狙い通り、追い風だったはずだ。
ところがヒツギ・ハヤセが裏切った事で完全に崩壊した、ライトが動揺しそれが相手に付け入る隙となった

ハーゲンはライトを無能とまでは言わない、だが見通しやツメの甘さで評価が割れる
彼女がどうなるかは分からないが、個別機関に近いエンジェルフェザーの問題は彼ら自身の裁量で決まることだ

そんなことよりもハーゲンが興味をそそられたのはレイナ・カーマイン。
派手な吸血攻撃・・・ではなく、その前に行っていた瞬間的な超回復能力
説明を受けていた限りではマシンセルによるものであることは間違いない、だがそれを抑制するはずの銀の銃弾を受けて尚回復した

そもそもこの戦闘の動機も怪しいものだ、嫌うのは良いがわざわざ敵対し戦闘までする理由は薄い
つまり連邦の配下に入りたくない説明出来ない理由があるのだ

この事がハーゲンにある事実を予感させた。
あれ程の回復速度、前例もある『特殊な管理システム』の直接影響下でも無ければ不可能。
つまりは・・・
しかしハーゲンはそれに興味をそそられなかった、むしろ『逆』だ

「ふぅん・・・」

>>663
(状況から言えばもっとも階級が高い武田中佐が取るべきなのだろうが・・・)

機体は一切動かず、頭部の目の一部が甲斐に視線を移す。
置物としての扱いが強い彼女が指揮権を持ったとしても、最終的な配置を決めるのはリリー・スノウフェイルかこの女かだろう
ハーゲン自身も指揮を取れない訳ではないが、甲斐に元々所属していたメンバーが言うことを聞いてくれる等と考えていない

>「ハーゲン!聞いた通りだ、敵艦に向かえ!
> ラウディ、そっちの援護に回れ。
> 後は……ふむぅ、目の前の敵に向かえばいい」

「了解した」

ここで従わなかったら瓦解した前線がさらに崩れる、大局を判断できない程無能ではない
レイナ・カーマインを直接捕獲するのが不可能ならば、在り来たりだが身動きを取れなくするべきだ。
こんな状況では特殊な作戦や奇策よりもシンプルな方が統率しやすく、また落ち着けやすい

「残ったシルバーバレット隊は再編成、ツーマンセル
 この数でレイナ・カーマインに構うな、敵戦艦を狙え、負傷者および機体の回収も許可しない
 足さえ無ければ持久力で押しつぶせるだろうしねェ・・・」




「おや・・・?」

破損したシルバーバレット隊のレリエルが先行して敵戦艦に向かっている
指示を送ったタイミングを考えても早すぎる、何よりも欧州連邦の兵にしては無謀すぎる。

「ククッ・・・なるほどねェ!!」

インセイオンがその巨大すぎる両手を高く掲げ、大地へと振り下ろす
地に隆起を起こしながら亀裂が走り、インセイオンはと言えば高く飛ぶのではなく跳び上がっていた。
アームのパワーを利用してその反動で跳躍したのだ、その速度を維持し両腕を後方へと垂れ下げ全身のブースターを唸らせながら飛ぶ

あのレリエルのパイロットは連邦の兵士ではない、おそらくはこの状況の引き金を引いてくれたヒツギ・ハヤセだ
敵戦艦と合流するつもりらしいが・・・

「遅すぎるよねぇ!流石にさァ!!」

『!! しまった!』

一見すればフレンドリーファイアにすら見えるこの行動
レリエルをまるで羽虫か何かとして、叩き潰すかのように後方から振るわれた巨腕は・・・

667リリー&アカリ ◆Tg./UqnJ52:2013/03/22(金) 17:52:25 ID:qm5xMPuE
>>656,>>660,>>661,>>663-665
アルプ・トラウムからまたあの赤い球体が飛んでくるが、今度は甲斐を狙っているようだ。
「盾」を駆る以上、それを通すわけにはいかない。先ほどと同じ防御態勢で、球体を受け止める。盾も装甲もまだまだ健在だが、

(あともう3、4撃食らったら、装甲が融解を始めますね、これは。フィールドが機能していれば違ったのですが……)

そんな折、突然ガブリエルのシグナルがロストした。戦況モニターを見れば、アイゼルネを包囲していたエンジェルフェザー隊も半壊状態だ。
一体何が起こったのだ、この一瞬で。想定外過ぎる事態にリリーは驚きを隠せなかった。
それだけならまだ良い。ガブリエルが撃墜されたということは、総指揮を執っている者が居なくなったということ。戦場の混乱は必至。
何故かこちらを引き込んでアイゼルネを叩こうとしてるユウセイ……は元々無軌道だから良いとしても、
どういうわけかヴィルヘルムが指揮権の乗っ取りを始めた。彼はこの状態で戦闘を続けようとしているが……。

「ヴィルヘルム少佐、この状況での戦闘続行は無謀です!
エンジェルフェザーは私達とは別系統の指揮で動いており、その指揮を出していた明智大尉が撃墜された以上、敵方の部隊を抑えていた味方の動きは硬直する!
すぐに味方が崩れて、ここに敵の部隊がなだれ込んできますよ! これ以上はただの掃討戦になる! それも敵側の!
今ならまだ余力があります! 被害を受けた部隊を援護しつつ、後退しなければ!」

アルプ・トラウムを損傷させ続けているとはいえ、敵艦は未だ健在。
ここで一気に攻勢をかけて敵艦を墜とし、戦況を逆転させることを考えるよりも、味方の被害を最小限に抑えたい。リリーはそういう傾向の考え方をする士官だった。
そのためには、「盾」である自分が抑えに回らなければならない。
回路切り替えの済んだ衝撃砲を構え、アルプ・トラウムを再び防戦一方に追い込もうと思った矢先、敵艦に近づく一機のレリエルに気がついた。
ふらふらと危なっかしい飛び方で、今にも墜ちそうだ。あのままこの戦域に介入するつもりなのだろうか。正気の沙汰ではない。

「そこのレリエル! 何をしているのですか!? そんな状態では砲撃戦に巻き込まれるだけですよ! 後退して下さい!」

味方が居ては砲を撃つことはできない。この状況で出てくるなど、どんなパイロットだ。

>>662
こちらの放ったランチャーによる射撃は、全て回避されてしまった。
元々敵の進攻を遮るための射撃であるので、回避されるのは別に構わなかったのだが、その回避パターンに、アカリは引っかかるものを感じた。

(この感じ、どこかで……)

こちらの上をすれ違っていった黒い機体を追撃するために、逆噴射で速度を落とし、人型形態へ変形。
盾にマウントされていたビームランチャーを掴み、その銃口を黒い機体に向ける。そして引き金を引こうとしたその時、敵機からの通信が入る。
……道理で引っかかると思った。覚えのあるその声で語られる言葉を聞いて、アカリは驚きと納得と悲しみと……小さくない反感を抱いた。

「……レオンさん、でしたか。なるほど…………と、言うしかありませんね、これは。
得るもの、求めるもの、ですか。何となくですけど、あなたらしい質問だって、思いました」

アカリはパイロットスーツのヘルメットを取った。纏めていた髪がばらけ、アカリの肩に落ちる。
「それ」が来るときに、いつも邪魔になるヘルメットをシートの脇に引っかけて、細く長い深呼吸をする。

「…………じゃあ答えるわ。そんなものは「こんな戦い」に有りはしないわよ!」

レイナに銃口を向けていた時に凍っていた指が、何の問題もなく動き、再び2度3度、トリガーを引いた。
以前に乗っていた機体よりも速い機体のようではあるが……「そんなことは知ったことか」と、アカリの中の特別な回路が、静かに吠えた。
超速度反射能力。こんなに静かな感じの発動は、初めてだった。
黒い機体を後ろから追いかける形になったラプターのランチャー銃から、青白いビームが飛ぶ。
後方に居るからこそ出来る、バーニアの挙動を見た上での偏差射撃。反射能力が有るが故の曲芸じみた射撃である。

668 ◆zv577ZusFQ:2013/03/22(金) 18:47:16 ID:t4uACBjE
>>667
「……となれば次はお前なのだよ!」

レイナはアルプ・トラウムへと戻る最中、艦に大打撃を与えている原因であるジガンタイプの特機と遭遇する。

「まだやるなら、ここからは私が相手をするよ。明智クンの同僚か何かは知らないけれど、主人の留守中をよくも狙ってくれたわね?」

手に持ってて邪魔だったガブリエルの頭をジガンタイプへ投げつけ、宣戦布告。
ヒツギのレリエルがフラフラしているせいで相手側からの砲撃が来なくなったのを良い事に、
有無を言わさずアイゼルネ・ブルートはジガンスクードへと飛び掛かる。
相手は特機、ましてやあの取り回しの難しそうな図体である。レイナはそこを容赦無く狙って行く。

「死と絶望こそが我が刃!渦巻け、シャドウ・イロージョン!」

また訳の解らない言葉を喋り出した。
両手持ちにして力を籠めたデアボリック・エクスキューショナーを突き出す。その槍の部分でジガンの強大な盾を突き破ろうとするが。

【アイゼルネ・ブルート:射程1〜2の近距離からジガン・アンジェにデアボリック・エクスキューショナーで攻撃】

「待たせたわね、カナメ。イクリプスもメイドの諸君もご苦労様。さぁさ、ここから逆転するわよ♪」

どうやら、まだ勝つつもりで、ここから生きて生還する気で居るらしい。
ようやく合流を果たした皆の主は今まで艦を持たせたクルー達の功を労った。

「ご無事で何よりでございます」
「やったね♪これで勝つる♪」

アルプ・トラウムのクルー達はレイナの無事を知り、皆一様にざわざわとお喋りを始め、ハイタッチ等を決めて歓喜している。
こちらは士気高揚しているらしい。

「ご無事で、お嬢様。恥ずかしながら私めの操舵の不手際で艦のテスラ・ドライブが不調を起こしております。
現在、対応しておりますが、完全に機能が回復するのにもう暫くお時間を下さいませ」

レイナ一番の従者イクリプスはレイナ達の会話が良い感じに終わるのを待ち構え、艦の被害報告を上げる。
カナメの指摘により、回復の兆しは既に見えた様であり、現場では指示を受けたメカニックメイド達が作業に取り組んでいる。

「いいや、ご苦労。じゃあ、また時間をかせいでやるとするか」

もう一頑張り。当然の如くレイナは前線で艦を護ろうとする。

「あほ……レイナ。止めたのに何故、瞬間再生を使ったのよ。これでは……またあなたの時間は」

ただ、ピンピンしているアイゼルネの凱旋に対し、頬を膨らませて(おとなげ無い)イマイチ嬉しく無さそうな者が若干名。
カナメは自分の忠告を無下にしてまたしても勝手に無茶をした事に対して拗ねていた。

結果的に明智ライト達の包囲を打ち破る事が出来たが、どうも手放しで喜べた物じゃないらしい。

「ストップよ。……心配をかけさせて、悪かったわね、カナメ。でも私の心には後悔なんて微塵も無い。
この埋め合わせはちゃんとするから、そう睨みなさるな?」

これ以上余計な事は言わせまいとカナメの言葉を遮った。
当のレイナは一切後悔していない。必要な事だからやったまでだと。

それに、そもそも身体には何もリスクなど及んでいないとさえ見える程に今のレイナは好調そうだ。
少なくとも素人目にはそう見えるだろう

>>666
【一見すればフレンドリーファイアにすら見えるこの行動
レリエルをまるで羽虫か何かとして、叩き潰すかのように後方から振るわれた巨腕は・・・】

「ふふん。無粋にも程が有るな。“今はまだ”引っ込んでなさい」

だが、その巨腕は何も掴む事も出来ずに、空振りした。
アイゼルネ・ブルートが召喚した闇の使い魔ナイト・フライヤーの大群がその半壊状態のレリエルを奪い去って行ったからだ。

「ヒツギ、君にはいつも闇が憑いている。安心しなさい」

ただ、サポート出来るのはこのぐらいだ。

669リリー ◆Tg./UqnJ52:2013/03/22(金) 19:37:30 ID:qm5xMPuE
>>668
普段とは違って余裕のない表情で後退を説くリリーの耳に、アンジェの装甲が何かを弾く音が飛び込んできた。
何かと思ってみてみると、装甲に跳ね返って回転しながら落ちていくガブリエルの頭部だった。その後ろには、その首の主を撃破した黒い吸血鬼の姿。
エンジェルフェザー隊を半壊させたアイゼルネが、今度はこちらに牙を剥いてきたのを見て、リリーは苦々しい表情で呻いた。

「次はこちらの番ということですか……! 当然ではありますが!」

両手で構えたトマホークランサー、その切っ先でもって突撃してくるアイゼルネ。

「ここで墜ちたら、「盾」の意味がありません! この子の「神盾」を舐めないでくださいよ……!」

後退をするにしても、このまま攻勢をかけるにしても、拠点となる甲斐を守るこのアンジェが墜ちては話にならない。
突き出される穂先の前に、アンジェの右腕の盾が立ち塞がる。
デアボリック・エクスキューショナーと呼ばれるそのトマホークランサーも強力な武器ではあったのだが、「神盾」を破るにはまだ力不足。
ランサーの穂先を表面でがっちり受け止め、そのまま押し返した。

「やれやれですね! 指揮官が墜ちて総崩れなんですから、外様のこっちくらい見逃してくれたって良いでしょうに!
……ソードブレイカー! 追い払いなさい!」

背部ラックに戻って充電を完了していた十基のロング・ソードブレイカー、そのうちの二基が射出され、
押し返されて体勢が崩れたであろうアイゼルネを両側から刃の突撃で襲う。

670 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/22(金) 20:00:49 ID:C4o9g0Oc
>>667>>668
>「ふふん。無粋にも程が有るな。“今はまだ”引っ込んでなさい」

「助かったぜ、レイナ!」

インセイオンの腕からすり抜ける様に消えてしまうレリエル
レイナの撃ち出したナイト・フライヤーがレリエルを守るように蠢き、そのまま押し出してくれたのだ

『チッ・・・!!』

ハーゲンの舌打ちが聞こえてくる、レリエルを追おうとするも戦艦からの砲撃が完全に道を塞いでしまった。
この状況からレリエルに対して警告を送っていたリリーにも誰が乗っていたか理解できただろう
しかしながらハーゲンのように躊躇無く撃てと言うのが無理な話だ。


アルプ・トラウムのハンガーにヘッドスライディング宛らで入ってきたレリエル。
いくらナイト・フライヤーが優しく運んでくれたとしても武器は武器、ダメージを受けたのは仕方が無い
コックピットをこじ開けてヒツギが飛び降りる、今回のヒツギはこんなことばかりだ

(レイナの言葉を信じるなら・・・・・・!)

それはそれとして、ヒツギはレイナの語っていたモノを探し始めた
彼女の言葉通りならここにはいる筈なのだ。

そう――――デーモンが

671 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/22(金) 20:44:43 ID:C4o9g0Oc
>>667
>すぐに味方が崩れて、ここに敵の部隊がなだれ込んできますよ! これ以上はただの掃討戦になる! それも敵側の!
>今ならまだ余力があります! 被害を受けた部隊を援護しつつ、後退しなければ!」

(ま、言ってることは理解できるんだけどねぇ・・・)

心配を煽るような言葉である為に一般兵には聞こえていないだろう通信に対し、ハーゲンは珍しく頭を抑えていた
『この戦い』に置いてはもう勝敗などという言葉はない、そもそも勝敗はアイゼルネがシルバーバレットの効果を超越した時点で終わっていた。

だが『これを含めた戦い』を見れば意味が変わってくる。
新造戦艦に最新鋭機やカスタム機、さらには複数の部隊というこれだけの戦力・設備を投資しているという事は
レイナ・カーマインの確保に本気になっている、レイナ・カーマインの持つ戦力を危険視しているという証拠だ。

それに『この戦い』が長期化すれば分はこちらにあるとハーゲンは判断していた、敵は最終的に『逃げる』必要がある
ここでこちらを倒したとしても逃げることが、そして補給までの戦いを乗り切ることが可能なだけの戦力が無ければ意味が無いからだ。
こんな敵地ど真ん中の施設で立て篭もるとはとても思えない、故に長期化が予想された段階で敵が逃走を考える可能性が高い

つまり『この戦い』は負けようが『この次に行われる戦い』を無傷で成功させられる算段がつく
であれば十分な価値を持っていると考える事が可能、それが実際に銃を持つか舌戦になるかはハーゲン達の知るところではない
戦いは『敵の戦力を可能な限り削る』という方向にシフトしているのだ

・・・が、先ほども言ったがリリーが言っていることも十分理解できる。
損失を抑えるべきだという意見はハーゲンも同意するところだ、つまり・・・


>>668

インセイオンの頭部にある瞳がグリグリと周囲すべてを確認した
敵のラーゼン隊の位置は大体確認できた。
機体の性能もパイロットの錬度も悪くは無い、軍人顔負けといってもおかしくないだろう

「さて・・・と、まぁ全部は無理だろうねェ・・・」

インセイオンの全身に走る露出したフレーム・・・回路に光が眩しいほどに発光する。
それらは瞬時に同じく全身いたるところに取り付けられたオーブへと収束を始めた
集められたエネルギーがまるで脈打つかのように点滅し、視界が歪むほどの念が纏まって行く

「フフ・・・アッハッハッハッハ! 誼みとして尻拭いくらいはしてあげようじゃないか!」

目が痛くなるような閃光を迸らせると、黒い空をキャンパスにでも見立てたかのように無数の桃色の線が走りだした
その全てはインセイオンのオーブから太い柱のように放たれ、広範囲に広がったかと思うと―――

信じられないような急角度で屈折する、それぞれが完全にバラバラの方向へと
機械的な追尾機能ではない、生き物のように不規則且つ無意味な屈折を挟みながら。
よく見るとそのビームの先端は牙を従え、大きく口を開いた獣のように見える

それぞれが標的としたラーゼン隊へと迫り、蛇のような不規則な動きと鮫のような獰猛さを持って襲い掛かるではないか。

672ヴィルヘルム@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/22(金) 22:28:39 ID:/kCxaP5w
>>664,667
「リリー君、“その程度”でこの部隊は崩壊するのか?」
 謎を一つ、かける。
「何、ハヤミ君にも言ったが“死なない程度”に頑張ればいいから」
 まさか、“落とさなくてもいい”とは口には出来ないから。

>>665-666,670-671
「……あの機体……ハヤセかっ!?あのジジイの孫だけあるっ!」
 知ってるらしい。
「まぁ、彼が生きてるなら……ハーゲン?」

 どこかで裏目音が鳴る。

 艦を攻撃させていれば随伴を無視してどうにかとの判断が裏目に出てしまった。今更何も言えないので、一撃で落ちない事を、魔手に捕まらない事を祈る。内心で。

「さて、こうなると俺も仕事をしないとな……」

 目の前の焔姫をかいくぐり、何とか隙をついて敵艦に乗り込もうと試みる。

673レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/23(土) 00:28:39 ID:452vUXKY
>>667
【「…………じゃあ答えるわ。そんなものは「こんな戦い」に有りはしないわよ!」】

アカリの答えに思わず口角があがる
実戦も経歴も全然なのに言うことは一端の戦士のもの
言葉にひっかかりを感じはしたもののアカリの様な時期の者にここまで言わしめるのは異常だ

「ハハッ!そうだな!そして戦いでさえもない。その答えが一過性のものである事を祈るよ」

エルロンロールを行いつつも僅かに右へ傾けるビーム光が先ほどよりも更に際どい所を掠めていく
矢継ぎ早に延びる二射目に対し先ほどとは逆回転にロールするとこちらは大きく外れる…
(さぁ勝負だ!)
前回より更に精度を増した三射目が機体の後部を掠めると、その部位がオレンジ色に染まった後、煙が登り高度が下がっていく(HP90%)

「その位置から追いつけるかい?」

失速したと思われたムラマサの推進部から登ってみえるのは煙幕だった
空力を得て更にアンジェに向けて加速する

>>669
【……ソードブレイカー! 追い払いなさい!」】
二機のソードブレイカーが射出されたその影から、それよりも小さなソードブレイカーがそれぞれ4基ずつ取り囲んでいた

ずっとアンジェの周囲を見張っていたムラマサの攻撃子機である
ロング・ソードブレイカーに対しレーザーと突撃による波状攻撃を仕掛ける

そしてトマホークランサーを耐えたアンジェに加速して全身が紅い刃と化したムラマサがその上を斬り裂くべく、接近その脇を抜けつつ急上昇
アンジェの頭上高くを奪うと人型へと姿を変え背中の妖刀を抜き放つ

「その盾、叩き割らせてもらう!」

太陽を背にした状態から急降下からの兜割りを狙う

674 ◆zv577ZusFQ:2013/03/23(土) 09:03:10 ID:m0ZIETOI
>>669
【「ここで墜ちたら、「盾」の意味がありません! この子の「神盾」を舐めないでくださいよ……!」】

「これを止められたのか……硬い!」

その神盾にぶつかり、あまりにもの硬度に逆に攻撃した側が崩される。
勢い余って弾き飛ばされるアイゼルネ・ブルート。そのやられっぷりは無防備。

【「やれやれですね! 指揮官が墜ちて総崩れなんですから、外様のこっちくらい見逃してくれたって良いでしょうに!
……ソードブレイカー! 追い払いなさい!」】

「あ……あ!!あーあ、その楽しく無さそうな喋り方。お前はあの時、甲斐の指揮権をジャックしたCICのちびっ子だな?」

リリーの声が聞けた事でようやくパイロットの正体を看破。あの異空間での戦闘の時、彼女はいずれ大物になるなと覚えておいたが、彼女ならばレイナも納得だ。

「成程な。どおりでこの勇猛なる闇の軍団が圧勝出来ないわけだ。
だが、こちらもお嬢ちゃんの噛ませ犬になるつもりは無い。ここは退いて貰うわよ」

ちなみに、今、ジガンの攻撃子機が両サイドから迫り、アイゼルネを狙って突撃をしようとしている様だが、レイナは吹き飛ばされながら一切の防御手段を取っていなかった。
決してなめてかかっている訳では無い。
だが、その余裕は何を意味するのか?

>>673
【二機のソードブレイカーが射出されたその影から、それよりも小さなソードブレイカーがそれぞれ4基ずつ取り囲んでいた】

「私には優秀な家臣達が居るからね。信じていたさ」

よってアイゼルネ・ブルートの装甲にはソード・ブレイカーが届かない。
リリーに対して、自慢気にご高説する。
ありがたい何者かのサポートはレイナには後ろを見ずとも解っていた。

【「その盾、叩き割らせてもらう!」

アイゼルネの背を抜け、頭上高くからレオンハルトのムラマサが機体の名称通りの妖刀でジガン・スクードの神盾を打つ。

「まだよ、私も合わせる!断罪のブラッディ・クロス!」

また謎の必殺技名を叫んでいる。
ムラマサの縦一文字に重ねて、アイゼルネはデアボリック・エクスキューショナーの斧部分の刃で横一文字に神盾を凪ぐ。
二機の斬撃は赤い十文字の様である。

「でも、アカリを無視して無理に動くのは失策だね。
なめてると落とされるのは、どっちか解らないわよ」

お礼はやっぱり言わないった。お兄様ありがとー(はぁと)なんて言わない、絶対。
礼の代わりに一つ忠告する。テクニックでは彼が上回っているかも知れないが、
アカリのあの超常能力は底知れない。レオンハルト程の手練れならそれを肌で感じ取っているはずだ。

675 ◆zv577ZusFQ:2013/03/23(土) 09:03:55 ID:m0ZIETOI
>>670
ハンガーに侵入したヒツギの真正面には懐かしき悪魔の姿が有った。
不足していたゾルオルハルコニウム合金も入手し、完璧に改修されている模様。

「はぁ……はぁ。……ひゅ?あー!!あなたがヒツギ様ですね?お嬢様から話は聞いてますよ!
ああ!良かった〜この機体の修復が無駄にならなくて!」

ハンガーのヒツギの元にやかましいメイドが一人駆け寄って来た。
来るとも解らぬパイロットの為に律儀にバルクレイスの準備をしてくれていた様だ。なので既に灯は入っている。すぐにでも飛び立つ事が可能だ。

「あ、でもちょっと待って下さいネ!カナメ様が何か言う事が有るとか!今、お呼びしますので!」

急ぎたいヒツギをちょいと引き止め、タブレット端末の画面をヒツギに向けた。

『……やぁ、はじめましてかな。私はレイナの幼なじみのカナメ・ライブラ。バルクレイスの製作に関わった者の一人よ?
あなたがバルクレイスのヒツギ君よね…え〜とね……ふわぁっと……ああ、ごめん』

タブレットの画面には癖が付きハネハネの桃色の髪をした少女の姿が映し出された。
伸びきった前髪の端からは眠そうに垂れた金色の目が微かに見える。
わざわざヒツギを引き止めたと言うのに開口早々にマイペースにあくびするそのとぼけっぷりは急ぐヒツギを焦らせる。

『えーとね……SCI。分かる?あれが何故あなたに動かせるのか、ちょいと色々調べたいの。逐一バイタルとか脳波を勝手にチェックさせてもらうけど、気にしないでね』

未だにロジックがよく解らないらしいシンクロ・コード・インターフェイスの解明にメスを入れようと提案する。
もちろん、コクピットに器機は積んでしまったので拒否権は最初から無いのだが。

『だから、撤退の準備が整うまで全力で暴れて来て良いよ。レイナの出番がもう無いくらいにね。……え〜と。ぶち殺れ〜』

それを言うと端末の映像が切れた。
この変な女なりにエールを送ったつもりであるが、気力が逆に下がり兼ねない。

「機体は準備オッケーです!いつでもどうぞ〜!」

代わりに名も無き元気メイドがヒツギをちゃんと送り出す。


>>671
【「フフ・・・アッハッハッハッハ! 誼みとして尻拭いくらいはしてあげようじゃないか!」】

「敵のレーザー攻撃により、アイゼルネ・ラーゼンの4割が被弾しました」

「後方の敵勢力、抑えきれません!」

「左右も徐々に押されつつあります」

インセイオンが放った全周囲攻撃により、左右後方で敵の増援と悶着している味方部隊がかなりの被害を受けた。
たった一撃で動かなかった均衡が少しずつ崩れ始めている。

「まぁ彼女達は皆、揃って丈夫でしぶといですから無事に脱出しているはずですが、このままですと」

メイド達の教育担当のイクリプスのお墨付きなので、間違いないだろう。
その内にひょっこり帰って来るはず。

「も〜、もう少し待ってってば。もうあとちょっとなんだから〜」

メイドに修復を指揮するカナメは締め切りに追われた作家の様に、見苦しい言い訳をする。
やはり戦いが長引けば負ける様だ。カナメ達は一刻も早くテスラ・ドライブを復旧させなければいけなくなった。

676 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/23(土) 11:03:44 ID:iketT3Ew
>>673 >>674
「後ろから、失礼。迅雷」
迅速の型をまず一発レオンに放つ。
「そして、レイナ嬢には。」
そのまま、背後から急接近し
「外からの一撃が、無理なら中まで刺して、マシンセルの制御機関を潰してやれば、」
(とわいえ、迅雷が、折れたら失敗なんだけどね。)
アイゼルネの首元にに、迅雷を突き刺しにかかる

677 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/23(土) 13:14:46 ID:LA3/GkeA
>>675
>ハンガーに侵入したヒツギの真正面には懐かしき悪魔の姿が有った。
>不足していたゾルオルハルコニウム合金も入手し、完璧に改修されている模様。

「・・・『デーモン』」
赤黒い巨人が自身を見下ろしている、期間にしてみれば離れていたのは限りなく短い。
だが久しくその姿を見ていなかったような懐かしさすら感じる

>「はぁ……はぁ。……ひゅ?あー!!あなたがヒツギ様ですね?お嬢様から話は聞いてますよ!
>ああ!良かった〜この機体の修復が無駄にならなくて!」

「あんたがセッティングしてくれたのか! ありがとう、おかげで直ぐにでも・・・」

その言葉にヒツギの顔に笑みが浮かぶ、この機体の修復費は馬鹿にならないはずだ。
各種の作りや接続は共有部分があったとしても、フレームは元より間接系は特機タイプを改修したものでほぼ専用なはず
それでも尚ここに完全な形であるということを考えると、レイナの思いが伝わってくるようった

>「あ、でもちょっと待って下さいネ!カナメ様が何か言う事が有るとか!今、お呼びしますので!」

自らの愛機の元へと近寄って乗り込もうと手を伸ばしたその時
出迎えてくれた女の子(?)がどこからかタブレット端末を取り出すと、モニターでも持つかのようにこちらにそれを示してきた。
そして画面の中に、一人の女性の顔が現れる

>『……やぁ、はじめましてかな。私はレイナの幼なじみのカナメ・ライブラ。バルクレイスの製作に関わった者の一人よ?
>あなたがバルクレイスのヒツギ君よね…え〜とね……ふわぁっと……ああ、ごめん』

写る全体的にふわふわした女性は軽い自己紹介をヒツギへとすませた。
戦闘中の、しかも現在進行形で攻撃されている戦艦のクルーとは思えない落ち着きようもそうだが
何よりもデーモンの開発関係者だということがヒツギを驚愕させた。
彼の脳内で、こんなものを作るのは世界征服を考えるような卓球が趣味の科学者か
孫に神にも悪魔にもなれるよ!なんて無茶苦茶なプレゼントを贈るような人間くらいだと考えていた

>『えーとね……SCI。分かる?あれが何故あなたに動かせるのか、ちょいと色々調べたいの。
>逐一バイタルとか脳波を勝手にチェックさせてもらうけど、気にしないでね』

「え、あぁ別に構いません、いつものことだし」

S.C.I関係でそういった機器を取り付けられていることはバルクレイスに乗ってから何度もあった。
そもそもヒツギはここに入ってから特殊な機器を付けた記憶は無いのだから、コックピットに直接付けられているのだろう
断る理由も無ければ断ることも出来ない

>『だから、撤退の準備が整うまで全力で暴れて来て良いよ。レイナの出番がもう無いくらいにね。……え〜と。ぶち殺れ〜』
>「機体は準備オッケーです!いつでもどうぞ〜!」

随分と間の伸びた応援ではあったが、ニッと口元を歪ませると親指を立ててそれに答えた

「さぁ・・・行くぞデーモン!!」

//長いので続く

678 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/23(土) 13:15:18 ID:LA3/GkeA
>>677の続き

アルプ・トラウムが動く、ほんの少しだけだったが。
回避行動を取ったようには見えない、むしろそれは射線を確保するかのようなそれ

次の瞬間――――

>>676

アルプ・トラウムから赤い砲弾が打ち出される、それはユウセイの元へと真っ直ぐに
だがユウセイとの接触直前にして砲弾は突如としてホップする。

いやホップするという言葉では生温い、なぜならば90度近い角度でそれは跳ね上がったからだ
その様はツバメが身を切り返す様を髣髴とさせるような、瞬きすら許さない動き
すれ違い様、その砲弾は下方から巻き上げるようにユウセイへと刃を向けていた、まるでツバメの名を冠した剣技の如く。

砲弾ではない、そもそもそれを発射したであろう砲身はカタパルトなのだ
上空まで紅の閃光として尾を引きながら一直線に駆け上がっていくそれ。

纏っていた衣でも脱ぎ捨てるかのようにその身を回転させる、闇夜の月に重なるように弾け赫々とした色が月光の輝きを上から塗り潰す。

久しく動かしていなかった四肢がギチギチと唸る
待ちに待っていた抑え込まれていた力を解放できる瞬間に喚起したかのように、全身に付けられたブースターが爆発でも起こしたかのように炎を吐き出す

それらは獣の雄たけびの如く戦場に木霊した

長く隆々とした両の腕を唸らせる
鋭い爪を従えたかのような足先に力を込める
4つ並んだ眼を穿つ様に滾らせる
その体を包む数多の刃が血の流れの如く赤く脈動する

巨大な2つの角を天高くへと掲げる月下に移りこむ影は、世に描かれる『悪魔』そのもの
己が半身の帰還によって戦場に舞い戻ってきたバルクレイスの、デーモンの姿だった

「・・・全員そろい踏みって訳だ、これでな!」



カナメのモニタリング画面に映し出されているグラフ

機体の動作直後は一般的なPTと同様であった機体側の操作受付からラグが、S.C.Iの起動を確認した段階から急激に短縮されていた。
その追従速度たるや機械よりも生き物と比較するべきだと思ってしまうほどだ
なんらかの機構が与えられた命令をその場で別のシグナルに変換しているとしか考えられない
それとも通常の操縦による操作の受付とは別の処理を平行して行っているのだろうか?

ヒツギ・ハヤセ側が何か特別なことをやった様子は無い
機体のOS立ち上がりの際に確認がスキップされた箇所も気になる、内容はバルクレイス側の許容量不足
試作機という観点から見ればテストベットとして詰まれていてもおかしくは無いのだろう
だが問題はS.C.Iのブラックボックス内にこの『テストベット』が丸々入ってることだ、現状では解析しきれない

679 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/23(土) 14:53:04 ID:LA3/GkeA
>>675

(チッ・・・流石に維持したまま連射するのは無理か・・・)

インセイオンの桃色の光に揺らぎが見られる
出力の問題もそうだがテレキネシス・シンクロ・ブースターを維持したまま長時間の戦闘の方にも問題がある
ハーゲンは自他共に認める天才だ、性格に問題はあってもその実力自体は指折り尽き。

だがシステムは名の通りに同調し増幅させているこれは、パイロット側の繊細で精密な操作と高い能力が必要になる
ハーゲンといえどこれの長時間維持は必要以上の負荷がかかる



その瞬間、インセイオンを通してハーゲンへと走る感覚。
眼がその赤い姿を追う、どうやらやっとお出ましになったらしい
所在がつかめないと思ったらレイナ・カーマインが持っていたとは・・・
成程、『本気』になる理由の1つはこれか

「フフッ・・・Xゲシュペンスト!」

680ゼバスチャン ◆oR45XRwhpI:2013/03/23(土) 21:58:50 ID:7q0LMDPc
>>653

「!!!!!!!!」

妙にクールな謝罪をするハヤミに怒りが収まらないのか、通信機からふじこふじこしているゼバスの声が聞こえますが
シナリオの進行上一切関係がないので全カット

―――しばらくお待ちください

「ふぅ すっきりした こんなことをしている場合じゃないか」
改めて現場へと急ぐ

>>655
そのとき、聞き取りづらいながらも確かに聞こえてきたのは 蜂の巣になったはずのヒツギからの通信

「よぅ大将 機体と同じく幽霊にでもなっちまったかと思ったよ
 この世のものだったら回収部隊でも回してやろうか?」

どうやら命に関わる大事には至ってないようだ、少し安堵したような表情で通信を返す

「俺にはよく分からんが、戦えないのならそこに座ってろ 後は俺ら、軍人の仕事だ」

>>659-660
やっとこさ現場に到着 そこで待っていたのは

「・・・・・・・・・・・オイオイ この戦場は何時からこんなにメルヘンチックになっちまったんだ?」
呆然とした表情で呟く

針の筵になった敵機が噂に聞く超機人とやらのように再生し
こちらの指揮官に喰らい着いたかと思えば、その機体を再起不能にしてしまった

「敵将討ち取ったって・・・どうすんだこりゃ・・・!!」

見たところ敵の損害は、丸鋸でスプラッタされた一機
こちらはヒツギと指揮官の明智の二機がやられてしまった

「何が過剰戦力だ、敵さん互角以上に張り合っていやがる」
認識を改めた、確かに軍以上の戦力を持つこいつらは危険だ

>>661-679
戦局は混迷を極めたといっていい
指揮系統は崩壊し、敵味方入り乱れての乱戦、しかも戦局は敵側に傾いている

「落ち着け・・・考えろ 今すべきことはなんだ・・・?」

味方劣勢の状況 必要なことは 損害が出すぎる前に撤退し 損害を最小限にとどめること
それには戦艦が生き残っていることが絶対条件、帰る家を失えば、前線の味方は殲滅される

目をつけたのは、甲斐を守るジガン(>>669)と その盾を叩き割ろうとするヴァンパイアもどき(>>673)と不気味な黒い機体(>>674)だった

「よし・・・行くぞ!!」
己に活を入れ、ブースターが火をつき 全力で後退する
【精神コマンド:加速・突撃】

俊敏性に欠ける機体を精一杯飛ばし 射程内に敵機が入る
すぐに地面へ着陸、素早くマウントした機関砲を展開

>>669
「ボマー3より・・・え〜っとジガン!! これより敵機に対し、スーパーアヴェンジャーを使って火力支援を行う!!」
短い通信を入れると、砲身を回転 慈悲なき七砲身パンチ、炸裂

「く た ば り やがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
>>673-674に対し、死を呼ぶ彗星が放たれ、先ほどの集中砲火とは異なる、濃密な弾幕が展開された

【スーパーアヴェンジャー 掃射】

681ラウディ@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/23(土) 22:28:30 ID:5gKAOmvA
>>679
「……自分、援護の必要無いですかね?」
 その斜め後ろにつけて。
>>678
「バ、バルクレイス……」
 そもそも自身がこの部隊に来る少し前からの僚機、その力はだいたい分かっている。

「だからって、やらないわけにもいかないか」
 背中のポッドが、5×4=20発の長射程ミサイルを悪魔めがけて吐き出し、納豆のような煙をひいていく。

682そして、諏訪 ◆E8ckRIIdug:2013/03/23(土) 22:41:33 ID:5gKAOmvA
「どうやら、ヒツギ殿は無事にレイナ殿と合流された模様」
「……そう。ありがとう」

 メグは、安堵していた。
 その異能のあるが故に世間から白眼視される友人が、半身と呼びうる異性と出会えた、そして分かたれた絆が結ばれようとしている事に。


「ところで法師、いえ、かの“陰謀大佐”ウー・グリソムが懐剣、“三眼法師”百鬼丸さん。
 あなたは何故、私と?」
「いや、単にタイデグリー中尉に依頼されたからなので、陰謀大佐みたいな目でこちらを見るのは……その……」

683 ◆zv577ZusFQ:2013/03/24(日) 00:39:03 ID:YJ6Ed0RM
>>676
「……君もこんな所で命令に振り回され、無駄な事ばかりに力を使ってる状況では無いと思うのだが、どう思っている?何を考えているの?
何でも良いけど私達は何としても先に進ませて貰うぞ」

改めてユウセイの未来を憂いて助言を下すが、聞く耳は持ってくれるだろうか?

>>678
【アルプ・トラウムから赤い砲弾が打ち出される、それはユウセイの元へと真っ直ぐに
だがユウセイとの接触直前にして砲弾は突如としてホップする。】

「フッ。ようやく来たか」

【いやホップするという言葉では生温い、なぜならば90度近い角度でそれは跳ね上がったからだ
その様はツバメが身を切り返す様を髣髴とさせるような、瞬きすら許さない動き
すれ違い様、その砲弾は下方から巻き上げるようにユウセイへと刃を向けていた、まるでツバメの名を冠した剣技の如く。】

「ユウセイ、今の私達、闇の軍勢を止められると思うなよ。退け……!」

バルクレイスがカットに入って来たが為に、レイナの首を取ろうとしたアルブレードの強襲は断念せざるを得ない。
レイナはせめてもの慈悲にと、ユウセイに退却する事を勧める。

【カナメのモニタリング画面に映し出されているグラフ】

「んにゃ……。レスポンスが速いのは解ってたけどこれって。……え〜っと。まるで本当に機械と一体化したみたいな敏感肌。
どうやって信号を送ってるんだろ」

カナメが実際に生のデータを見たのはこれが初回だったが、やはり機体と一体化した様な追従性を生むらしい。
それも、考えていた以上に異常に。
研究者の共通性癖なのだろうか、この無気力女であってもメグやアストと同じように目をキラキラさせていた。

「ヒツギ君自体がSCIに適合する何かを持っているのかも知れないわね……本当は」

すぐに解る事は殆んど無かったが、乙女の勘はそんな投げ槍な仮定に至った。


>>680
【「く た ば り やがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」】

「王は家臣を護らなければならない。護る事は攻める事よりも難しい。しかし、それを成し遂げてこそ王」

それがレイナの選択。見るからに脆そうなムラマサの盾となる為に、アイゼルネ・ブルートが前面に出ていく。

「全部受け止めてあげる。残さず吐き出しなさい」

集束され、狂った様に弾を吐き出すガトリング砲をアイゼルネ・ブルートは我が身を盾にして小細工一切無しで受け続ける。
尋常じゃ無い無数の銃弾が機体を貫いて行くが、怯む素振りは更々無い様だ。
実際は、掠めさせたり爆発を起こさない様に微妙に着弾点を反らしていたりと極力攻撃を受け流す工夫が成されていた。

【アイゼルネ・ブルート:残りHP65%。徐々に再生中】

684 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/24(日) 12:28:40 ID:gs2sxvu2
>>680
「あー、解った解った。本当にすみませんでした。」
様々な、罵声を浴びせられ、本気で気をつけよ。と思った。


>>683
「んな、事知ってるっつーの。」
レイナの問いにそう答える。
「でも、連邦には色々、世話になった人がいる。」
「まず、それが裏切れない理由の一つ、そして」
「俺は、ある奴を潰したい。その時どうしても、連邦軍が必要になる。あと、一つ」
「俺は、余計な敵は、作らない主義です。」
(もう、作っちゃったけどな)
そう、心の中で、セルフツッコミをし、

「だから、レイナ嬢、貴女の所へは、いけません。でも、」
「ヒツギの事は、羨ましいです。ああいう風に、仲間のために純粋に戦える。彼奴が」
その、言葉を言った瞬間
>>678
横から、急速に接近する未確認の砲撃?のようなものが来た
(これが、狙いか、レイナ嬢、卑怯な)
とっさに、防御しようとするが、玉の方から、避けてくれた。
かと、思いきや
「化け物みたいな動きを、するな。あの機体は」
それは、正しくバルグレイグスだった。
後ろから、しっかりと刃を付きつけられている。
>>「ユウセイ、今の私達、闇の軍勢を止められると思うなよ。退け……!」
「生憎、一人で、逃げるほど臆病じゃないんで拒否します。」
「逃げさせたいなら、武田中佐にでも言ったらどうですか?」
レイナ嬢との、通信を強制的に切り


こんどは、ヒツギに繋げる。
「ヒツギ、後悔は無いか?お前、名実ともに、連邦の敵になったんだぞ」
「下手したら、欧州以外の敵も出てくるかもしれないぞ。その茨の道を通る覚悟はあるのか?」
再確認程度に、もう一度聞いてみる。
迅雷は、しまいある用意をする。

685 ◆zv577ZusFQ:2013/03/24(日) 14:34:29 ID:YJ6Ed0RM
【「生憎、一人で、逃げるほど臆病じゃないんで拒否します。」】

「そう言わずにさっさと帰りなさいよ。こっちは君達には用が無いんだ。それにね」

撃たせるな傷付けさせるな。などと加えたかったが、それは相手に対する甘さを悟られる事となる為に、口には決して出さない。
味方をしてくれる者達にもそんな事では示しがつかない。

……とは言え。こちらの都合も状況もろくに考えず、欧州の快楽主義者と同乗して暴れに暴れ、挙げ句に生意気な口をたたき、自身に反論して来たこの目の前の分からず屋を殴るぐらいはしても良いんじゃ無いだろうか?

【「逃げさせたいなら、武田中佐にでも言ったらどうですか?」】

「それもそうね。じゃあヒメに言っといて。君達の敗北は既に私には見えているわよ……ってね。
時間的に言えばあと……そうね。5分と言った所かしら?」

赤の右目が一層に怪しく光る。
これが狂言で無ければ、あと5分でこの場を収めてみせると宣言したのだ。もちろん、連邦側の敗北という形で。
あえてご親切にそれを伝えたのは、手遅れになる前にこの辺で本当に引き返して欲しかったからだが、どうせ理解しないんだろう。レイナは呆れていた。


【勝利条件変更】
・5ターンの経過
・甲斐の撃墜
【敗北条件変更】
・アルプ・トラウムの撃墜
・アイゼルネ・ブルートの撃墜

686 ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/24(日) 16:20:52 ID:OIaGipF2
>>683
月下に赤く輝く機体、天に在る赤星ですらその力強さを体現することはできない
その姿はまるでアメリカンコミックから抜け出してきたダークヒーローかのような

ドロワナのデータベースにも機体情報が入っているはずだ、特徴はヒツギが語っていた試作機と合致している

つまりあの機体こそヒツギの本当の乗機、そしてそのパイロットも――――

>>681
>背中のポッドが、5×4=20発の長射程ミサイルを悪魔めがけて吐き出し、納豆のような煙をひいていく。

放たれたミサイルは空中に白い線を引きながら迫る。
その数は2、4、8・・・20、数が少し数が多いがヒツギにはこの機体ならば可能だと直感していた

バルクレイスは全身に付けられた赤く沸騰した刃を怒髪が如く逆立てる
そして来る魚影に対し体を捻ると、接触寸前にその力を解放する。

力を全身に浸透させたことで、それは片足を中心軸とした『回転』となった
回転に飲み込まれるかのように入り込むミサイルは爆炎も黒煙も上げることはなく、一瞬だけ火花を散らしデーモンの後方へと流れた
1、2、3回転

気づけばバルクレイスの前にあったミサイルはすべて後ろに流れていた
その数を『倍』に増やして

>>684
>「ヒツギ、後悔は無いか?お前、名実ともに、連邦の敵になったんだぞ」
>「下手したら、欧州以外の敵も出てくるかもしれないぞ。その茨の道を通る覚悟はあるのか?」

「プッ・・・あっはっはっ!!」

まるで達観したかのようなユウセイの言葉に対し、ヒツギは答えるより先に笑い声を上げていた
何が可笑しいというのか、ヒツギは気を落ち着かせると言葉を返した

「後悔しない生き方とか、我が生涯に一片の悔い無しとか・・・そんなの俺にできると思ってねぇよ」

自分の性格はある程度分かっているつもりだ、その上で行動の結果を悔いるなというのは無理な話
ヒツギだって自分が命を狙われるような未来は怖いし怯えてしまいそうだ
だがそれが、『後悔』の二文字が・・・行動しない理由とイコールではない、ただそれだけなのだ

「そういう小難しいことなんて、いざ走ってみたら小さいもんなんだよ・・・多分な」

687 ◆JryQG.Os1Y:2013/03/24(日) 16:54:03 ID:gs2sxvu2
>>685
>>「そう言わずにさっさと帰りなさいよ。こっちは君達に用は無いんだ。それにね」
「それにね?何です?」
その先が、聞けなかった。
(レイナ嬢、もしかして明智大尉はともかく、俺たちを潰したくなんじゃ?)
(まぁ、意見求めるだけ無駄かもしれないけど。)
「タイガー1、応答願う。艦長に繋いでくれ。」
武田中佐だけじゃ、正確な指示がだしにくく、リリーさんも呼びたいが、忙しそうなので、しょうがない
「レイナ・カーマインより、メッセージです。内容は五分以内に我々の敗北です。」
「わざわざ、向こうから予告をするって事は、こちらに、慈悲をかける
つまり、撤退を求めているようです。」
「如何致しましょう。中佐」
指示を仰ぐ。穏和な性格な中佐なら、なんとかなるかもしれない。
>>686
「何が、おかしい?」
こっちは、真剣なのに、笑われて腹が立つ。
>>「後悔しない生き方とか、我が生涯に一遍の悔い無しとか・・・そんなの俺にできると思ってねぇよ。」
「そうか。それなら良ぃいが!」
迅速の型をさっき、バルクレイスの返した。ミサイルの群に横からぶつけ、
返した、ミサイル味方に当たらないようにする。
>>「そういう小難しいことなんて、いざ走ってみたら小さいもんなんだよ・・・多分な」
「ふっ、お前らしい。それだけは言える。」
「なぁ、甲斐のみんなをどう思っている。そしてヒツギお前は、かつての仲間を傷つける覚悟はあるのか。」
そう、言う。武田中佐が、指示を出すまで、しばらくこれが続く予定だ。

688ヴィルヘルム@アルゴス ◆E8ckRIIdug:2013/03/24(日) 21:41:01 ID:xFZwNH4Y
>>686
(なるほどな。ラウディじゃ無理か)
 心の中で呟くと、次の手を模索する。

「ラウディ、対艦戦だ」
>>679
「ハーゲン、雑魚の相手はもういい、アルプ・トラウムに全力を注げ」
 改めて、指図する。

>>687
(ほぅ、引き延ばしにかかったか)
 バルクレイスは機会があれば戦ってみたい相手であった。
 だがユウセイは、まだその時では無いと言わんばかりの態度だ。あまつさえ、中佐に指示を仰いだ。
(参ったな、彼女が主導権争いに加わるとか)
 だが、こうなってはいかんともし難い。

「ハヤミ、そいつは任せた」

 それだけ言ってレイナの方にスナイパーライフルの銃口を向けた。

689リリー ◆Tg./UqnJ52:2013/03/24(日) 22:14:27 ID:Y9UyPN0o
>>673-674
こちらに取り付いたアイゼルネを追い払うべく、ソードブレイカーによる迎撃を行おうとしたリリーであったが、
それは予想外の方向から妨害されてしまった。
レオンハルトの乗る黒い機体、ムラマサが放った小型の攻撃端末が、アンジェのソードブレイカーの軌道を逸らしたのだ。
その隙を突いてムラマサがアンジェの盾に斬りかかり、追い払えなかったアイゼルネがそれに斬撃を重ねる。
勢いの乗った2撃ではあったが……アンジェの盾に刻まれたのはひっかき傷のような浅い傷だった。
十字の斬撃の交差点は他の場所よりも深い傷だろうと予測され、実際にその通りではあったものの、盾の表層をやや削るに留まっている。

「この盾を侮ってもらっては困りますね。
耐久実験においてフルパワーの零式斬艦刀と打ち合い、ポッキリと斬艦刀を折った……「エイジス」の名は伊達ではないのですよ。
それはそうと、カーマインさん。お久しぶりですね。まさか場末の12歳児でしかない私を覚えていてくださったとは思いませんで。
私はリリー・スノウフェイルといいます。まあ適当にお見知りおきを。
エンジェルフェザーの総大将がやられた今、もう戦闘の意味はあんまり無いと思うので、私も帰りたいのですが……。
甲斐の副長ではあっても、私は所詮一介の少尉。あなた方を倒そうとがんばってる皆さんには付き合わなければならないのです」

状況は不利どころではない。ライトが墜ち、味方だったヒツギが敵に寝返り、戦線を張っていた味方も総崩れ。
撤退したいというのはリリーの偽らざる本心であった。だが、それを許さないものがこの場には多かった。
であれば、せめて味方が、仲間が帰る甲斐だけは守らなくてはならない。リリーとアンジェという盾に課せられたのは、そういう義務であった。

>>673
ビームランチャーの三射目がムラマサの後部をかすめる。
かすめた箇所から煙が上がり、アカリは「足を殺したか」と思い、追撃に入ろうとした。
すると、その次の瞬間、煙を突き破ってムラマサが飛び出し、あろうことかリリーの乗るアンジェに向かっていくではないか。

「ブラフ!? ……っく、リリーはやらせない!」

その場でフライヤーモードに転じたラプターは、メインブースターから大きなフレアを吹き出し、一気に加速する。
ムラマサは背中にマウントされていた刀で、アンジェの盾に一撃を加えたようだったが……盾もアンジェも健在。
そのことにホッとするのも束の間、アカリはアンジェの下方向に抜けたムラマサに追いすがり、

「このぉ!」

主翼に懸架されていた空対空ミサイルを2発、ムラマサに向かって放った。
おそらく迎撃されるか回避されるかのどちらかであろうが、少なくともこれでアンジェへの追撃は無くなるはずだ。

690レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/24(日) 23:10:33 ID:KJb2id0Q
>>674
【「でも、アカリを無視して無理に動くのは失策だね。
なめてると落とされるのは、どっちか解らないわよ」】

「だろうな。と言っても数が足りてない上に実は向こうのチェック・メイトだったけど」

アンジェに赤い十字が刻まれるも、その橋から元の色へと戻っていく
(まだ『開く』ことが出来ない…か。ま、稼働時間からすれば上々かな)
アンジェのデータは知っている。故に『盾に』切り込んだのだ
そう。零式程度なら越える算段があった…が結果はこの通り
しかし正直な所、通らなくて正解だったと思う自分が居る。詰まるところ迷っていたのが原因だ

>>676
【「後ろから、失礼。迅雷」】
アンジェの間近で張り付いたまま、その斬撃を僅かに身を反らせてやり過ごす
>>687
バルクレイスに向けてオープンチャンネルで

「殺すなよ?」

>>680
茶化すのも束の間、ドロワナから例のガトリング弾が飛来する
「く た ば り やがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
流星群の中を両腕のブレードをアクティブに
機体をリズミカルに高速で転身、あるいは空中で跳躍しその弾雨を片っ端から斬り飛ばす
>>689
流星群の中を舞う中でレイナに向けて挨拶をするリリー
内容は撤退の申し出と取れるものだ
攻撃の手も止まぬ、その最中
【「このぉ!」】
ラプターから放たれた二機のミサイルが接近する
右足からブレードを突き出しながら、その場で宙返りすると紅い三日月が生じ、ミサイルの内の一基が両断、破砕する
僅かな爆風と共に消えるムラマサ

「その盾、次はぶった斬るぜ?またな」

その姿は残ったミサイルの上に在る
ヒツギ機に対して行った要領で操作しているのだ

ドロワナの射程外まで回遊した後にユウセイに向けて、そのミサイルを蹴り込んだ

691 ◆zv577ZusFQ:2013/03/24(日) 23:11:45 ID:YJ6Ed0RM
>>688
(だから……見えているってのよ)

ライフルの銃口に気付いたので、神の盾に弾かれる最中、ごく自然にジガン・スクードをブラインドにする様に立ち位置を調え直していた。

>>689
【「この盾を侮ってもらっては困りますね。
耐久実験においてフルパワーの零式斬艦刀と打ち合い、ポッキリと斬艦刀を折った……「エイジス」の名は伊達ではないのですよ。】
「確かに盾をほざくだけの事はある」

レオンハルトとの連繋であっても神の盾に傷を付ける事以上の事は出来なかった。
無理が祟ってデアボリック・エクスキューショナーを失うのも格好がつかない。盾を叩き割るのは厳しいと判断。考え無しに三撃目に移るのは控える。

【「それはそうと、カーマインさん。お久しぶりですね。まさか場末の12歳児でしかない私を覚えていてくださったとは思いませんで。
私はリリー・スノウフェイルといいます。まあ適当にお見知りおきを。
エンジェルフェザーの総大将がやられた今、もう戦闘の意味はあんまり無いと思うので、私も帰りたいのですが……。
甲斐の副長ではあっても、私は所詮一介の少尉。あなた方を倒そうとがんばってる皆さんには付き合わなければならないのです」】

「ではリリーとやら。甲斐に取り次いでヒメにこの場から即座に帰れと伝えなさい。
もうユウセイ君にも仄めかしてあるが、既にこちらの艦のテスラ・ドライブは治っているわ。沈みたく無かったら……ぅ?……っ!」

もうこれ以上自主的に戦う気は無いとの言葉を聞き、ようやくそれを聞いて安心する。
なら後はあの弱気な武田姫をレイナが舌で圧すれば良いだけだ。それでもうこんな最悪な戦闘は終わるのだ。
だが、まだリリーへ言葉を投げ掛けている途中だが、急にうめき声を洩らすレイナ。
これを奴等に悟られまいとまず通信機能をすぐに切った。
コクピット内では独り胸をかき抱いて震えている姿が痛々しい。
これは先程にカナメが忠告していたリスクとやらなのだろうか?

「ああ……いや、失礼した。急に謎の組織から妨害電波が入った様だ。で、沈みたく無かったら早くヒメに言った方が良いよ」

一瞬後に、訳の解らない言い訳をしつつ、何事も無かったかの様に再びリリーに声を返した。返答はいかがだろうか。

『レイナ、下がるのはあなたの方よ。これ以上は私が許さない。もしこれを聞いてくれないなら、お姉さん怒るよ?』

「…………」

カナメからレイナに秘匿通信が入った。ドクターストップだ。レイナの身体の事情は本人以上に把握出来ている。
レイナはこんな壊れた自分の身体の不甲斐なさが悔しくて、無言で唇を噛みしめる。

【先程の宣告から1分が経過した】

692レオン ◆NcltM1gQ/Q:2013/03/25(月) 00:05:33 ID:B5SPwlo.
>>690の修正
攻撃の手も止まぬ、その最中
【「このぉ!」】
ラプターから放たれた二機のミサイルが接近する

「!むぅ!」

ミサイルがドロワナの段幕に巻き込まれた為に弾筋を見失う
爆風は決して大きな物ではなかったが弾丸の姿を消すには充分であろうか
初速はさておき、その僅かの間で実質的に近距離で撃たれるのと体感的には変わらない流星群が煙から顔を出す

「チッ!保てよ相棒!」

やむを得ず機関部と先ほどと打って変わりブレードを保護すべく、その弾雨に受けて立ち…アンジェ達の居た位置から自らが彗星となって墜落
砂埃を勢いよく上げ木々を弾き飛ばしながらも、その大地を大きく吹き飛ばした所で妖刀を突き立てて膝を付く黒い機体。肩と背中の攻撃子機用の充電システムがひしゃげている

「即興にしては…良い連携だな」

紅い眼を光らせて向こう側のドロワナを睨みつける


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