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+苦くて甘い、ラブストーリー…+

1紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/02/19(木) 19:25:42 HOST:60-62-59-203.rev.home.ne.jp
えーと、初めまして。またはお久しぶりです。
紅桜-ベニザクラ-と申します。
「殺し屋-3人でやってます!!-」
を書いております。
良ければそちらも読んで下さると嬉しいかとwwΣ

何かラブストーリーが書きたいな、と思いました。[何
え?向こうもキチント書けるかって?
…まあ、はい。コツコツと続けるつもりですが。
読みたいと思ってくれる方には大変申し訳ありません。

ではー、堅苦しい話も何なので、
感想&アドバイス等々お待ちしております。

お願い:荒らしが来ても無視でお願いします。

それでは、小説楽しみに見てくださいませ++

81紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/11(金) 18:42:30 HOST:i114-181-184-70.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時 +第二話+

「それはまた突然に/後編」


「もう一度おっしゃって下さる?」

「だぁかぁらぁ、僕達の学校に君は来るんだよ、って!」

二人の話し声がその室内に響き渡る。

一つは、声からして美しい女性を思わせるような、高めの落ち着いた声。
そしてもう一つは、甘ったるい可愛らしさを含むが、艶っぽい低めの男を思わせる、声。
あながち、その予想は間違ってはいない。しかし、想像していたものとは少し違うと思う、けれどね…――。
何ってそれは――…

………。

ふ、…ふ……ふざけるなぁあああぁあ!!

性格、じゃないかな。


―――…遡ること、数分。

「…て!……きて…起きてぇ!!」

ガバッ、と効果音がつきそうな程勢いよく起き上る私。隣でギョッとしている、男。

「きゃぁああぁああ!!」

甲高い大きな声を上げるとさっき体から剥がした布団を今度は頭まですっぽりと、かぶる。
男は呆然としたまま、ポカーンと口を開けていて、これが開いた口が塞がらない、ということなんだと思った。

「だ、誰よ! そして何この服! 何故着替えているの?! 私!!」

繋がらない言葉達が、私の口から零れおちる。いや、吐き出す、といった方が正しいのだろうか。
取り敢えず声を荒げて、そう言った。男は我に返ったように阿呆みたいに開いていた口を閉じると私を見た。
いや、実際見たわけではないが、何だか真剣なまなざしが向けられているような気がした。

「……答えなさいよ」

チッと短く舌打ちを響かせるとゆっくり布団をまた体から剥がし、相手の方を見つめ返す。
男は困ったように曖昧に笑って見せると、重い口を開いた――…。

「君は僕達の学校に、転入することになったんだよ」

………watt?

「それは突然に/後編」 大切な時+第二話+ 終

82紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/12(土) 16:31:24 HOST:i114-181-184-70.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時 +第三話+  「両親の行方は」


…あれから、何やらいろいろと説明を聞かされ。
何だかんだで、一時間も経っていた。嗚呼、何か時間がもったいない。

「で、分かった?」

「何となくは。」

はぁ、と溜息をつきながらそう答える。まあ、大体はこういうこと。

何日か前、突然私の両親が姿を消した。何の前触れもなく、突然。その前日は、とても普通だった。
その次の日、私はお友達と遊ぶ約束をしていた。だから、だから。引き留めなかったんだ。

「奈々、お父さん達、少し出かけてくるな。」

「あ。うん。行ってらっしゃい」

何も気にすることなく、手を振りながら笑顔でそう言った私。急いでいたから、両親を残して家を出た。
だから両親が、悲しそうな笑顔を浮かべていることを、私は知らなかった。

家に帰ってみると、両親はいない。用事が遅くなったんだろう、それくらいにしか思っていなかった。
それから一時間たっても、二時間たっても三時間たっても…今の時間は、21時。
――…何の用事があったんだろう。そんなに遅くなる用事なら、行ってくれればよかったのに。

……もう朝日が昇り始めている、そんな時間。
流石に、何かあったんじゃないかと心配になった私は、親戚中に電話をかけてみた。

「両親が、何処にいるか知ってますか?…はい。そうですか。あ、いえ。有難うございます」

…何処へかけても、返す言葉はこれしかなかった。 お父さん、お母さん…。

ピンポーン…

静かな私の家に、インターホンの音が鳴り響く。まさか、お父さん、お母さん?!
慌てて玄関へ向かい、勢いよく扉を開けた。しかしそこにいたのは、私の探し求めていた両親ではなかった。

「雅人…どうしたの、こんな朝早く。」

隣の家の幼馴染の山崎雅人。実は、私の思い人だったりする。片思いで思いを伝えたことはないけど。
私の質問に驚いたように目を見開く雅人は困ったように、悲しげに笑って見せた。
そんな雅人に私は首を傾げると次の雅人の言葉を待った。途端、耳をふさぎたくなった。

「お前の両親、借金があったって…本当か?」

「…え?」

驚いた。いや、驚きもできなかった。そんなはずない、そんなはずない。頭の中はこの言葉だけだった。
だって。借金なんて。聞いたこともないし、そんな素振りも見せなかった。

「…嘘、でしょ?」

大切な時 +第三話+「両親の行方は」終

83紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/13(日) 17:03:11 HOST:i114-181-184-70.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時 +第四話+  「絶望」


「…嘘、でしょ?」

冗談だと、笑って。何真に受けてんだよ、って…笑ってよ。どうしてそんな悲しそうな顔するの。
やめてよ。嘘だって言ってよ…だって、お父さんとお母さんが………そんな筈、ないじゃない。

「…俺も、確りとは知らないんだ。けど、母さんが…泣きながら言ってたから、本当だと思う。」

…目の前が、真っ暗になった気がした。雅人のお母さんは、滅多に泣かないし、強い人。
嘘なんて付かない、とても優しい…人。

「…お父さん……お母さん…」

――…膝の力が抜け、私はその場に崩れた。

「おい、奈々?!」

焦ったような雅人の声は、とても遠く感じた。何故か涙は出て来ない。


私は…どうしたらいいの? 何処へ行ってしまったの? …ねえ、誰か教えてよ。
借金って何? 如何して、教えてくれなかったの? そんなに私って、頼りなかった?

胸が苦しい。息が上手くできない。これは本当に、私の体…?
頭が痛い。吐き気がしてきた。――如何して私置いて行ったの。私じゃ、お荷物だから?

「奈々……」

今じゃそんな雅人の声も、聞こえない。大袈裟? ただ両親がいなくなっただけ? まだ生きている?
違う。そんなことを悲しんでいるんじゃ、ない。私が悲しいのは…悔しいのは。



――家族として、認めてもらえ無かった。



だから、私をおいて行ってしまった。
そうでしょ? お父さん、お母さん。私、認めてもらえなかったんだよね?
それが違ったら、邪魔だったんだよね。何をするにも、お金がかかって……疲れちゃったんだよね。

「雅人」

いきなり顔を上げて自分を見た私を心底驚いたように見る。それは泣いていなかったから? それとも。
私が、笑っていたから自棄起こしたんじゃないか、って思ったから? 自棄なんて起こしてない。
もう、諦めちゃったの。両親のことは。お父さん達が私を認めてくれないのなら、私だって、認めない。
ただ、それだけのこと。…まあ、十分自棄起こしてる、って言えるけどね。

「…おばさん、何か言ってた?」

「…へ?」

「私のこれからのこと。これじゃこの家にも、いられないし。」

「あ、嗚呼…」

きっと雅人が想像していた私とは違ったから、驚いてるんだろうな。
そんな雅人にニコッと微笑んでみると雅人は悲しそうに微笑んだ。

私、確り笑えていなかっただろうか。

大切な時 +第四話+「絶望」終

84紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/14(月) 20:40:10 HOST:i114-181-184-70.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時 +第五話+  「真実」


ガチャリ


雅人の家のドアをゆっくりと開けた。
開けた瞬間、おばさんの泣き声が…聞こえた。ヒック…う…ヒック…どうしてッ…と。
どうして、と聞きたいのはこっちの方なのに。何だか先を越された見たい。

「…母さん」

雅人がおばさんに声をかけた。おばさんはビクッと肩を上げて政野の方を見た。
そして嫌でも視界に入ってくる私を見て大きく目を見開き、また声をあげて泣き始めてしまった。

「おばさん、泣かないで。大丈夫だから。」

優しく微笑んで、奈々は言う。とても穏やかな口調、安心させるような声色で。
おばさんはそんな奈々を見て、また目を見開いた後、「奈々ちゃん…っ!」と涙声で言いながら奈々に抱きついた。
そんなおばさんを、ただ奈々は悲しそうな目をして抱きしめた。

「ヒッ…ク…ごめんね、おばさんたら、恥ずかしいわ。」

おばさんは泣きやむと、とても晴れ晴れした様子で私から離れた。

――おばさんの笑った顔は、とても輝いていた。

「…おばさん。いきなりで悪いけど…―――

         真実を教えてほしいの。」

ビクッ、再びおばさんの肩が揺れた。ごめんなさい、おばさん。辛い思いをさせて。

「…奈々ちゃん……落ち着いて聞いてね。………」

おばさんの話を聞いて、親に対して初めての涙を、流した。



――それは、二年前。

当時私が、14歳のころの話。

名前も知られていない一つの会社が、ある日突然トップに立った。
その売り上げは落ちることなく、いつまでもトップが続くと謳われたその会社だったが。
ある日、その家の娘が、警察沙汰の問題を起こした。

それから、評判は悪くなり、落ちる一方だった。
しかし、それを食い止めたのは、なんとその娘だった。

名を、大倉奈々。私の話。

警察沙汰を起こしたとは思えない、純白の笑顔の少女だった。
長い睫毛、大きなくりんとした瞳。漆黒のサラサラの髪の毛は、横でツインテールに。
色は白く、華奢な体つき。背は標準。…そんな容姿でも、その子は全国トップの暴走族の副総長だった。

そのことが他の会社にバレ、脅され、会社はまた落ちる一方。そんな中、遂に借金をするように。
私は借金のことは知らなかったけれど、会社の売り上げが落ちていくのは知っていた。
そのころから、両親達が苦しめられていたなんて………。


大切な時 +第五話+「真実」終

あとがき+

何かもう……難しいね。頭こんがらがってきたし。作者でこんなだから、読者なんてもっとでしょう。←
すみません、もう、マジ。中途半端で終わったり、意味わかんなかったり。
許して下さい、まだ未熟なんです!!(( ということで第五話終了です☆�怘詰鑱靈�

85紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/19(土) 13:18:07 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時 +第六話+  「復活☆」

「うわぁぁ…!」

私の泣き声が、雅人の家に響き渡る。不自然なほどの、静けさ。私の泣き声以外に何も聞こえない。
雅人は、泣いている私の頭を静かに撫でていて、おばさんは声を押し殺して泣いている。

――…ごめんね、お父さん、お母さん。

私、ずっと一緒にいたのに、気づいてあげられなくて。

私のせいで…ずっと苦しめられて…ごめんなさい――

お父さん達は、この二年間、どういう風に私を見ていたんだろう。厄介者? 邪魔な存在?
きっと、お父さん達のことだ。優しいから……心の中でもそんなこと思ってなかったんだろうな。

「そして…奈々ちゃんの、これから…だけど」

途切れ途切れに、おばさんはまた重い口を開けて話し始めた。
私も、慌てて涙をふき、留めなく溢れてくる涙を必死に堪える。

「……南校に、行ってもらうわ。」

「――…え…?」

自分の耳を疑った。南校ってたしか…不良たちが集まる、結構でかい学校だよね?!
しかも男子に対して、女子の量が半端なく少ないって………えぇええ!?

「おばさん…それ、本当?」

驚いて出せた言葉が、これ。いや、結構普通だけれども!

「本当よ。奈々ちゃんには酷…ではないと思うけど。
 南校、女子生徒を募集しているらしくって。それで女子は無料よ、無料。」

因みにおばさんは私が全国トップの暴走族の副総長だってことを知っている。
後、総長をやれと言われたが私が断り、未だ副総長を続けていることも知っている。
チームの奴らには断ったのを猛反対していたが、何とか頑張って説得した(実際は黙らせた)。
今の総長は腕力では私のが負けるけど、他は全部私が勝ってる。実力は私のが上のはず。
一応酷って言ってよ! 一応ではあるけど女子なんだから! ていうかそんなことはどうでもよくて!

「何が無料?」

おばさんの主語のない言葉に、小さく首を傾げた。

「全学費よ、全学費。美々や晴喜も考えた末に…だったらしいの。許してあげて。」

「うん…そっかぁ…そうだよね」

美々は、お母さんの名前。若くって、可愛くって、優しい、家族を愛している自慢のお母さん。
晴喜は、お父さんの名前。若いし、カッコいーし、お母さん愛してるし、優しい自慢のお父さん。
コクン、と深く頷いて見せるとおばさんはニコッと笑って、こう言った。

「それに、逆ハー最高じゃない! おばさんも行きたいわ〜!」

「…はぁ」

手を合わせて目をキラキラさせているおばさんは、若いなあ、と実感するよ。
というか、16歳になる息子がいて、35歳って言う若さはどうなの?!って感じよ。
まあ…うちのお父さん達と同い年だけどね。

「手続きは済んでるからね。明日は普段通り学校行ってね? 明後日には、もう転校だから!
いろいろと忙しくなるけど、おばさんも雅人も居るわ。いつでも頼ってね!」

またニコッと笑ったおばさん。この笑顔、私は大好き。

お父さん、お母さん……私、頑張るから、早く戻ってきてよね!


大切な時+第六話+「復活☆」終

あとがき2+

無理矢理復活させ、回想は終了☆((
次回からは南高校転入からっす! ハチャメチャな小説ですが読んでくれてありがとう!!

86紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/20(日) 19:08:24 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時+第七話+  「女の子をもっと労わりなさいよ!」


んで。
今までのも、充分というか充分過ぎる程大切だったけど。

問題は、まだまだ始まったばかり。

――あれから、何だかんだで明後日

「奈々ちゃんッ!!!!」

ビクッと肩が飛び跳ねた。あまりの声の大きさに、手に持っていたマグカップが落ちるところだったぜ。
どうしたんだろうと思いながら恐る恐る後ろを振り返ってみたら…

「おばさん?! どうしたの、そんな青い顔して!」
という言葉を言おうとした。そう、言おうと'した'。

「奈々ちゃん、奈々ちゃんったら! たたた、大変なのよぅ!!」

ガンガンおばさんに揺さぶられ、言おうとした言葉は口の中で消えてしまった。
何が大変なんだろう。そんな落ち着いていられる自分は、ない。
今にも頭がグラグラして、死にそうだったから。労わって! 一応私女の子なの!

「ななな何っが…たたたたいへへんっ?!」

頑張っておばさんに聞いた言葉は虚しく、おばさんの荒い息遣いにより消えうせた。
言わせて! おばさん、私にも何か言わせてよ! 私一応主人公ーっ!!

「んっもううぅうう!! 奈々ちゃぁあーんっ」
「落ち着けぇえええええ!! そして話してぇえええええ!!」

そう叫んだおばさんは、今度はぎゅぅぅうっと私の息を止める勢いで抱きついてきた。嫌、止めたよ実際。
私とおばさんの声が家じゅうに響き渡り、家の中だけでなく外にまで聞こえていたのは、後から雅人に聞いた。

「ごっ、ごめんなさいっ…つい…」

「いいよ、おばさんの癖だし。でも流石に今回はキツかったわ…。
 んで、何が大変だって? 詳しく、落ち着いて話してね。」

ニコッと後ろに黒いオーラを放ちながらおばさんにそう言うと苦笑された。
暫く腕を組み話をまとめていたが、数分経つとにこにこしながらおばさんは話し始めた。
さっきの慌てぶりはどこへやら…つーか大変じゃなかったのかッ

「あのね――……無料でいける学校、あったじゃないッ?! その学校がね?!
 今度、今度ね!? あのね「…合併するんだと、女子高と。」

「あ、雅人。お帰りー…って、はいぃい?!」

合併?! 女子高と?! 雅人の学校に女子がいるだけでも不安なのに!!
女子の数が増えて…雅人が誰かと付き合っちゃったらどうしよう!!?

ってそこじゃなくね?! 重大なのそこじゃないよ、自分!
女子高と合併する=女子は必要ないってことでしょう?! ど、どうすんの、私…。

「あぁああ〜ッ…雅人が…何で遮るのよッ?!」
「だって母さんもったいぶっててじれったいんだもん」

なんて親子喧嘩。おばさんおばさん、喧嘩してないでその理由と私のこれからを説明してよ!!

「あ、ごめんごめん。これからのこと話さなきゃねっ!!
 奈々ちゃんの分くらい、払うのなんて安いけど…それじゃ奈々ちゃんのことだから納得いかないでしょう」

流石、金持ち。安いってさ…じゃなくて!! 良く分かってるな、おばさん。

「それで、考えたのが――…」

大切な時+第七話+「女の子をもっと労わりなさいよ!」終

87紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/23(水) 15:40:06 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
くっそ! 消えたよ!? どうして! 僕が何をしたって言うんだぁああ!!((

というわけで大切な時の第八話を終わらせ、書き込むって時に!
どーして閉じる押しちゃったんだぁーッッ…
気分が優れないので特別編やります☆←

大切な時&君の隣+特別編+  「シルバーウィーク最終日の僕ら☆」


「……何で私達なの?」
ツン、とした口調でそう言うのは、君の隣主人公。名前は斉藤美雪ちゃんです。

「み、美雪! そんなこと言っちゃだめだぞ!」
慌てた様に美雪ちゃんを宥めるのは君の隣の相手役、西浦俊君です。

作者的にこの子たちもいつか連載小説にしようと思います☆
長くなるぞ長くなるぞ☆��

「「えぇーっ」」

一人は、嫌そうな声、め、面倒だってか!?もう一人は、照れたような、嬉しそうな声。
美雪ちゃん! そこはお願いだから喜んで?! ねぇ! 俊君!

「で、でも基本美雪はそんなん何で今更…」

知るかぁ! 君らの話を公開したの結構前だしつーか君らが付き合ってんのは知ってるの君らと作者だけだぁ!

「す、すみま「どーせ付き合うまで、そしてその後とか言って小説書くんだからいいじゃん、ねっ?」

ど、如何して私には冷たいんですか! 最後の俊君に聞くねっ?は何て優しい声なの!
そしてそれに頬を染めるな俊君! バカップル何だね? 君らは俗に言う!

「…雅人、私もう待ってらんないんだけど。」
「俺も。作者君の隣のキャラとか好きだからって扱いの差がなぁ…」

ご、ごめんなさい!!

「それに私達、その…美雪ちゃん?と…俊君?とは接点がないんだから!」
はぁ、と溜息を吐きながらやれやれと首をすくめる彼女は大切な時の主人公、大倉奈々ちゃん。

ありますとも!! 次回の特別編第二弾で!!

「第二弾?それはしっかりと小説なのか?」
疑わしい視線を此方に向けてくる見た目は知的爽やかな山崎雅人君。

もちろん!! 今回は貴方達の説明だけで終わりますけれどね!!

「「え、じゃあもしかしなくても今回の特別編これで終わり?」」

見事声が被りましたね、奈々ちゃん、雅人君!
んじゃ最後に皆さんそれぞれの感想を述べてくださいー☆

「感想って……こんな短いのに……。あ、第二弾、見てくれると…嬉しいんじゃないの!?」
ツンデレ!? まさかのつんでれかぁー。頬染めちゃってかーわいっ��

「美雪かわい…じゃなくて!! 第二弾期待してくれな!?俺も楽しみ♪」
バカップルが! はい、ありがとーございましたぁー((
「あ、扱いが酷…ッ;」

「んんー…大切な時をこれからも宜しくね。私のあーんなことやこーんなことまで教えちゃ」
それ以上喋らないでください貴女のキャラが崩れるんでぇええっ!!

「え、俺最後かよっ; あー…第二弾も大切な時も応援よろしくお願いします!」
雅人君! きみ一番まともだわ! 有難うございましたぁ!

それでは特別編第一弾がまとまってないのは気にしちゃいけないZE☆
第二弾もよろしく!! 応援は更新の源だよ〜んっ!!((

88紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/24(木) 18:41:43 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時&君の隣+特別編+  「ある晴れた日曜日」side美雪&奈々


それは、君達の出会いの日。

「斉藤、今週の日曜、空けとけよっ!」

噂はまだ、学校内に広まっていた。
そして私はいつものように、君の隣に腰かけていた。静かに流れていく、時間。

「え…うん。」

去り際、西浦はそう残して、屋上を出て行った。真っ赤な顔を隠す様に、早足に。
驚いた。学校以外で会うことは勿論ないし、しかも。彼が命令口調でそう言うなんて…。
でも、嬉しいことには違いない。御誘いだ。これを逃したらもうチャンスはないかもしれない。

日曜日は、絶対に開けておこう。

喜びが顔に出て少しニヤけながらも、心の中でそう強く決心。

―――…土曜日

「奈々ぁー…? 明日暇だろ?」

「暇? 確かに学校のことは一旦落ち着いたけど。」

「なら明日。出かけようぜっ!」

突然、何だろうと思ったけど。そう思う前にコクコクと頷いていたのは、無意識だと思う。
だって、雅人と休日…しかも明日に出掛けられるというならどんな用事があっても私は行く。

それに。
雅人は雅人なりに、私を元気づけようとしてくれているのに違いない。
この数日、色んな事がありすぎて確かに元気はない。頭の中なんて今にもパンク寸前だ。

明日は何を着ていこうか。

夕御飯だよっ、と部屋におばさんが入ってくるまで、ずぅっと私は様服を選んでいた。

―――待ちに待った日曜日。

今日は、西浦と出掛ける日。何だか世界がとても色鮮やかに見えるのは、気のせいだろうか。
いや、気のせいでは無い筈。だって、夜も眠れないほど嬉しいんだもん。ドキドキでどうにかなりそう。
このドキドキは不安何だろうか、楽しみで仕方がない、ということなんだろうか。私には、分からない。

「に、西浦っ」

約束の時間は、朝10時。勿論20分前に来た私の気持ちを、乙女の皆さんなら分かってくれるだろう。
彼が来た。約束の場所の、公園に。時間は、ピッタリ10時。ある意味すごい……。

「あ、斉藤! 待った…か?」

「う、ううんっ…いまき…た……ところ……」

嗚呼、カッコ悪い。まさか西浦の私服姿がかっこ良すぎて言葉が途切れたわけではない、絶対に。
西浦は、かっこいい部類だと思う。薄茶のサラサラのショート、高い背丈。瞳は優しそうな目尻が下がった黒色。
薄くこげ茶に焼けた肌は、そんな彼にとても似合っていると私は思う。

ゴクリ、そう唾を飲み込んだのは私だけでは無い筈。


――…

「まーさとっ? どおしたのこんなとこでぇ〜? 暇なのぉ? 奈乃香が遊んであげよーかぁ〜?」

見事に年上に絡まれている、目の前の私服姿の雅人。
………。
冷めた眼差しを向ける私にやっと気付いたのか慌てて目の前の彼女、年上のきれーなお姉様をやんわり断っている。

「………よ、よう」

「………。」

気不味そうに視線を逸らすと苦笑しながらそう言うとヒラリと片手を上げる、彼。
はぁ、と彼にばれないように小さく溜息を吐くと私は雅人を見つめる。

黒いサラサラのショート、切れ長の目。高い背丈に、真っ白な肌。お洒落に、伊達眼鏡何てかけている。
知的爽やか。いつか誰かが言っていた。確かにその通りだと思う。

でも。
注目を集め過ぎではないだろうか。あまりにも私が惨めじゃないかッ
いつか本当にこれは持っていかれてしまう、と本能的にそう思うと雅人の手をギュッと握った。

「……奈々?」

不思議そうに名前を呼ばれ、ふいっとそっぽを向く。目線だけ其方に向けてみると雅人は何だか嬉しそうに笑っていた。
何よ、嬉しそうな顔しちゃって! こっちの気持ちも知れっつーの。そう思ったけど、彼が私の手を引いてくれたのが嬉しかったので。

今回は我慢してあげる。

顔は不機嫌そうにしたままに、彼に手を引かれながらそんなことを思った。

第二弾終→第三弾も続いちゃうよ☆

89紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/10/01(木) 22:06:51 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時&君の隣+特別編+  「遊園地」side俊&雅人

俺が斉藤を日曜日に誘った理由。それは…特にない。
ただ、俺らって休日遊んだことねえじゃん、って思ったから。

誘うと決めたのまでは、良かった。けど…いざ誘うとなると…何か告白する見てぇに緊張するし。
やっと誘えたのが、日曜日の三日前。つまり金曜日。言い終わった俺は、すぐに屋上から出てしまった。恥ずかしさのあまり。

日曜日。俺は約束の時間のピッタリ10時についた。しかし、斉藤はもうそこにいたのでビックリ。
いやそれもビックリだったが、それ以上に吃驚なのは…私服姿。

少し赤みがかかった茶色のロングで低めの位置でツイン。二重で若干つり目がちな大きな黒色の瞳。
雪のように真っ白な、華奢な体。白い膝丈のシフォンワンピの上には長袖のジャケット。
その服装を見て、そういえば今日は少し寒くなるとか言ってたっけ、と頭の片隅で思った。

――…

最近、奈々と二人で出掛けてなかったなぁ。子供のころは公園とか毎日行ってたのに。
中学上がってからもうお互い忙しくなって遊ばなくなったんだもんな。としみじみ思ったのが、金曜の話。
だから。そんな単純な理由で土曜、つまりそう思った次の日に奈々を遊びに誘っていた。

待ち合わせ時間は、12時。何分か前に来ていた俺。そして年上の先輩から絡まれた、俺。
新島奈乃香っつって、バイト先の先輩。面白いこと大好きで実は姉御肌な彼女。だから俺に絡んできたのは冗談。彼氏持ちだし。
でもその時に丁度奈々が着ちゃって雰囲気が気まづくなったから、今度先輩をしっかり怒っておこうと思う。

それにしても。やけにお洒落だなぁ。
黒いサラサラなロングの髪はサイドで編み込み。長い睫毛に二重の大きな瞳。真っ白な肌、華奢な体。
片方だけおってあるデザインデニムに、水色のTシャツ、黒色の猫耳付き長袖パーカーとクールめな感じ。意外と似合ってるなぁ。


「西浦。どこ、向かってんの?」

不意にかけられた言葉に俺はニッコリと満面の笑みを斉藤へ向ける。斉藤がどんな表情をしたかは気にしない。
俺は一旦足を止め、ゆっくりと口を開く。

「遊園地!」

「え……?」

ポカーンッと口が開いてる斉藤。ついプッと吹き出すと軽く睨まれたので慌てて目を逸らす
ムッとしたまま何かを斉藤が言いかけたとき、俺は斉藤の手を握り歩き出す。

「ちょ…っ!?」

慌てたような驚いたような声が後ろから聞こえたが無視無視。もうチケット買っちゃったもんね♪
俺たちは(というか俺は)少し早足で遊園地へと向かった。

後ろでゼェゼェと呼吸を乱している斉藤。そんな姿を見て笑みが込み上げてくる。

「は…早すぎなのよッ! つか…ッ笑ってんな!」

思い切り睨まれ怒鳴られたが気にしちゃいけない。ちょっと申し訳ない気もするが…。
パン、と小さく音を立てて手を合わせると片目を瞑る。少し頭を下げ、斉藤を上目で見る。
少し顔が赤くなり、慌ててそっぽを向く斉藤。……どうしたんだろう。

「悪かったって! さ、入ろうぜ!」

強引に斉藤を引っ張って、いざ、遊園地の中へ!


「昼、何処で食う?」

「そもそも何処行くの」

「何処って…遊園地!」

「はい!? 遊園地? 雅人、私遊園地みたいな人の多いところは――」

慌てて奈々の言葉を遮って大声で笑ってみる。奈々はポカーンとした顔、周りはギョッとしてる。
やべぇ! 滅茶苦茶恥ずかしい! 遮るんじゃなかった!

「遊園地で飯食おっか!」

俺の言葉に渋々、奈々はうなずいてくれた。うーん…やっぱり遊園地は嫌だったか。
また奈々の手を握りなおすと遊園地までの道をただ無言で歩いた。それは何だか心地のいい沈黙だった。
そういや昔は休むことなく喋ってたなー…学校のこととか、色々。時間も気にしないで。あんときは楽しかったな〜。

「チケットは買ってあるから。はぐれるなよ、お前方向音痴だったろ。」

ニッコリと微笑みながら言ってやったら奈々はムッとした顔をしながらも顔を赤く染めていた。してやったり!
流石にこれ以上怒らすと一日中機嫌悪くなるからこの辺でやめておこうと口を噤んだ。
そして俺たちは遊園地の中へと一歩、足を踏み入れた。

第三弾終→第四弾も続くー★

90紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/10/11(日) 00:48:55 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時&君の隣+特別編+  「定番はそれぞれ」side美雪&奈々


「さ! 先ずどれ乗る?」
「早ッ! まあいいけど…。どれでもいいよ」
「んじゃ俺のペースで行くからな? まずはジェットコー「スターなんて言わないよね」

私が嫌いな物その一。絶叫系マシーン(ジェットコールター、他)

ふわってなる感じが苦手。というか大嫌いでいつもジエットコースターには乗らない。絶対に。

「…じゃあ、ゴーカート行こう!」

俺のペースって言いながら、何だかんだで私に合わせてくれている。何だか申し訳ない気がする。
歩くこと数分、目的地ゴーカート乗り場。ゴーカート乗り場の隣には、子供向けの乗り物が続いている。

ブォオンッ ブォオンッ

そんな音を響かせて、いざ発進。風が私の髪を靡かす――何て悠長なこと言っている場合ではない。

「きゃぁああああぁあ! ぶつかつぶつかる! ストップゥーッ!!」

運転が下手くそな、西浦。そのくせにスピードの出し過ぎで前の車にぶつかりそうな勢い。
慌てて声を上げるといきなりのスットップ。止めろとは言ったけど危なぁああ!

「どっ…どどどうした?!」

「如何したじゃないわよ! 落ち着け! 私こんなとこで死にたくないわ!」

「俺だって死にたくないわ!」

そんな言い合いをすること数分。
プップーという後を合図に後ろを振り返ると自分達の後ろには数台の列を作った車達……。

「すみませんん!!」

――…

「何処で食べるの…?」

「あ、あそこでよくねえ!」

雅人が指差したのは………お化け風レストラン。看板には「お化け屋敷とレストランがコラボ★最高の恐怖をお届けします!!」と書いてある。
その前にその店の名前を入れろよ! と思わず突っ込みたくなったのは言うまでもない。

「良いけどさー…絶対見た目グロイ食べ物だよ。不味そうー」

「そんなことねえって! いこーぜ!」

私が顔を歪ませているのを見てケラケラ笑う雅人。なんて失礼な奴。私の顔はそんなに面白くないわよ!
そして私の手を取り中へとはいっていく。あ、涼しいー…この季節だと寒いけどねッ。

「いらっしゃいませー」

店員らしきお化けのメイクに服装をした女の人がそう声をかけてきた。私はその人物に目を凝らしてみる。
何でって……特に理由はないけど。いや強いて言うなら…何か見たことあるなって。

「……奈乃香先輩…貴女こんなとこでもバイトしてたんすか…」

「やだ、雅人君!? 短期でやってるのよ! もう少しで彼の誕生日なのぉ〜、秘密でプレゼントしたくってぇ〜」

そうそう! 朝見かけた女の人だ! 雅人に絡んでた!(特別編第一弾 「ある晴れた日曜日」>>88参照)
つーか彼氏持ちだったのね! 何か安心したわ! いやでも語尾にハートマークが付きそうな喋り方は変わらない。


第四弾終(すみません今日は時間がなくなってしまったので中途半端に終わります;)→第五弾も続いちゃうよ★

91紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/10/24(土) 18:49:55 HOST:i121-115-127-245.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時&君の隣+特別編+ 「出会い」side美雪&奈々


「もー…恥ずかしかった…。」

「ごめんって! 気を取り直して…飯! 行こうぜ? な?」

必死な西浦が面白くてプッて小さく吹き出した後、半笑いな顔で頷く。
ご飯くらいは西浦の好きなところに行かせてあげよう。

「んじゃー…あそこあそこ! あそこいこーぜ!」

西浦が指差した場所は。お化け風レストラン。看板に、「お化け屋敷とレストランがコラボ★最高の恐怖をお届けします!!」って書いてある。
ふーん…今時ありがちなレストランねー…ま、いいや。

「分かった。行こ」

さっさとそっちに歩いていく。後ろには精神年齢小学生がついてくる。今にもスキップしそうな勢いで。
―――…恥ずかしい。もっと大人しくついてきなさいよ……!!

「いらっしゃいませー」

お化けのメイクに服装をした店員が声をかけてくる。
その瞬間、後ろで口笛を吹いていた精神年齢小学生がいきなりそれをやめる。
驚いて後ろを振り返…

「奈乃香さん?! あれ? 今日確かデートだったとか言ってませんでした?」
「え、やだ、俊〜っ!? ちょっとキャンセルしてもらったんだぁ〜。ソッチこそ可愛い彼女連れてんじゃん〜」

親しげ。何かめっちゃ親しげなんですけど! どんな関係ですか!
でも、彼氏いるんだよね。何かホッ…って何でホッとするわけ?!

「今日はよく知り合いに会う日ね…。じゃ、お席にご案内しますねぇ〜、此方へどうぞぉ♪」

語尾に音符ついてます…。でも、何でだろ。この人語尾に何ついても可愛い気がする。
そして案内してもらった席は窓際の右側の一番端っこ。その隣、左側には…カップル。う、わー…美男美女。オーラが凄…。
勿論私の視線はそこに釘づけ。だって今時いないよ、あんな美男美女。

――…

注文して、料理が来てから早十分。私達のテーブルの隣に、窓際の右側の一番端っこに、美男美女が座っている。
さっきから視線を感じ、顔をあげてみると案の定美女がこっちをガン見。な、何か面白い物でもありましたか!
意味がわからないから取り敢えず軽く頭を下げてみる。彼女も遠慮がちに頭を下げてくれた。

「どうした?」

「何でもなーいっ」

そんな私達を不思議に思ってか雅人がきょとんとした表情で首を傾げている。そんな姿が可愛くて、そう言ってみる。
すると雅人はもっと首を傾げて私の顔を凝視してきた。そ、そんなに見られても困るんですけど…?
だから、曖昧に笑っておいた。いや、もう苦笑になっていたかもしれない。でもそんなことは気にしない。

それから数十分話しながら料理を食べていた。その間もチラチラ隣のテーブルに視線を送っていた。
時々、美女の方とバッチリ目が合い、二人とも慌てて視線を逸らす。そんな私を雅人は不思議そうに見つめていた。

「ふいー…そろそろ行こっかー…?」

「そうだな」

会計は、雅人。当たり前の様にいったけど、違いますからね? 財布を出したら睨まれたんですーっ!
男のプライドって奴かもしれない。雅人はプライドが高いんだろうなぁ、きっと。



「…さっきから何見てるの?」

「気にしないでくれると有難い」

美男美女はここのレストランをさっき出て行ってしまった。だから、外にいないか探してる。何でって…美女の方と運命を感じたから。
まあ、それで突っ込まれてしまった。正直に「美女を探してた」なんて言えないから素っ気なくそう返す。

むっとしてたけどそんなことは気にしない。美女、美女は――…ハッ。

あそこに落ちているのは……生徒手帳?
スッと席を立ち、西浦には「お手洗い行ってくるね」と言ってからそのテーブルに足を進める。

ひょいっと素早く生徒手帳を手に取るとお手洗いへ向かう。個室に入って、そっと開けてみる。
…大倉奈々、百合学園高等部一年四組。…って百合学?!あのお嬢様学校で偏差値高い!?す、住む世界が違う…。
その続きは…た、退学?!理由は…全国トップのチームの副総長だか…らぁああああ!?
え、嘘でしょ!? あのこ超可愛かったじゃん!! え、実は喧嘩強いって何そのギャップ! お、オーラが凄いのはこのせいか…。

第五弾(また中途半端に終わります。今回グダグダですが気にしないでください!)→第六弾も続くよん♪

92紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/12(木) 23:28:04 HOST:i121-115-127-245.s04.a013.ap.plala.or.jp
今は時間がないから&気分転換の短編小説「愛してるー前編ー」


「ゆーくん、ゆーくん。学校一緒に、行こう!」

るんるんるん♪

なんて鼻歌を歌いながら、幼馴染の家へ。自然と声は明るく高くなる。

ああ、私を見てなんて言ってくれるかな?
何も言ってくれなかったら、どうしよう。もう泣くしかない。

「…朝から鬱陶しい。俺一人で学校行くから。」

ドキッ…胸が高鳴る。心臓が煩く鳴っている。ゆーくん、とーじょー!
いや、でも待て自分。今、なんと…?え、まさか鬱陶しいとおっしゃいましたまさか?((

「ゆ、ゆゆゆーくん…! 今何と…! 恐ろしい言葉が聞こえた気がするんだけど!」

「鬱陶しい、近寄るな、朝迎えにくんのやめろつった。」

ガッビーン! いやん意外に毒舌だわゆーくん…! なんて言ってる場合じゃないよやばッ!

「鬱陶しい…近寄るな…迎えくんな…どうして…私はゆーくんの彼女なのにッ!」

「おい、いつから彼女になった。」

バッサリだよー!もう私の心はズタズッタ…立ち直れね…ないぃぃ!
でも!そんなんで引き下がるわたくしではなくてよ!

フーッ!フーッ!と鼻息を荒くしながらゆーくんを見つめると呆れた様な哀れむような視線で此方を見つめるゆーくん。
哀れむくらいなら一緒に行っておくれ!いやいや溜息ついてないで!

「わかった。今日限りでやめろよ? 分かったな?」

「え゛ー…」

「わかったな? あ゛?」

「すみません承知いたしました、ありがとーございますー!」

よっしゃ! 結局強く言えないところが良いなーゆーくんは!
また鼻歌を歌い出すと、ハッと思い出す。そうそう、今日はゆーくんのためにお化粧を…!

「唇テカテカキモい、髪ハネすぎ、パンダ目。」

き、気づいてくれた…! いやでも…せっかく一時間かけたメイク否定されてね?うん!

がーん、とショックを受け落ち込んでいると、ゆーくんがはぁ、と溜息を吐いたのが分かった。

「なあ、俺のこと、そんな好き?」

93紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/14(土) 23:42:21 HOST:i121-115-127-245.s04.a013.ap.plala.or.jp
「愛してるー後編ー」

「なあ、俺のこと、そんな好き?」

そんな彼の問いかけに、私は驚いたような顔をゆーくんへと向けると、直ぐに口を開く。

「うん、大好きだよ! 何をいまさら!」

当たり前、という風に笑って返すと、何故かゆーくんは顔を歪めた。
どうしたんだろう? いつも何を言っても無表情なゆーくんが…。しかも、いつも私が言っている「好き」の言葉で。

「どう…して? ま、まさかゆーくん私を好きになってくれたの…!?」

「そうだ、って言ったら?」

「そりゃあ嬉しいにきま…って…へ?」

い、いい今なな、なんとおっしゃいました!? え、何で? ついに諦めた? 私のしつこさに!((
いやでもいつもからかってくるからなぁ…。嘘っぽい! めちゃくちゃ! それに顔歪めてたし!

「んっもう冗談キツいってー! こっちはマジ何だからね!」

そうだよ、いつでも私は本気。ゆーくんに好きになってもらおうと、他の女の子に目がいかないようにと、必死に頑張った。
だからそう言う冗談はやめてほしい。ほんの悪戯心でも、叶わないと知っているならそれはただただ悲しいだけ。

そう思っていると、頬には熱いものが。ゆーくんが驚いた顔をしてる…。困らせている、これ以上は嫌われたくない。
必死に笑顔を取り巻くと溢れてきた涙と一緒に込み上げてきた想いを拭う。何で、笑ってるの? どうして私はこんなに必死なの?
辛い思いをするくらいなら、止めてしまえばいい。でもそれができないのは、想いを大きくし過ぎたせい。

「おい…泣くなよ……いや、泣いていい。胸貸すから、泣け」

困り果てた声でゆーくんはそう言うと同時に軽く腕を広げた。駄目、想いが止められなくなるから。自分にそう言っても、もう遅い。
バッとゆーくんの胸に飛びついて声を押し殺して泣く。

「さっきのは…言葉が悪かった。泣かせてごめん」

「ふっ…うぇ…?」

謝ることなんてない。全部、私が悪い。今日、私がゆーくんを迎えに来なければ、困らすことなんてなかったのに。
そう思うだけで、口には出せない。涙が邪魔して言葉にならない。全て嗚咽に聞こえてしまう。

「あーもう…なあ、俺のこと、そんな好き?」

「うっ…ぇえ…っ」

言葉にできない代わりに何度も頷く。涙が留めなく溢れる。どうして、どうして…。
何で泣いてるの? 今まで必死すぎて泣けなかったから? これから告げられる言葉が…怖いから?

「俺も、好き…。大好き。

   
    …いや、愛してる」

「ふ…ぇえ…っ?」

突然ぎゅっと抱きしめられ、耳元で囁かれた愛の言葉。もちろん、予想外。というか予想外すぎて涙も止まった。
驚き目を見開く私を、真剣な、でも愛しそうな、瞳で見つめる。ドキッと高鳴る、心臓。


    …その言葉、信じてもいいですか?



「わ、たしも…愛してるよ、ゆーくんっ!」

赤い顔を隠す様に、ぎゅうっとゆーくんに抱きつく。

チラッと視線を上げた先の彼の顔は……真っ赤だった。


「愛してる」  END

あとがき

うん、グダグダ…。前編でペースを使いすぎて後編に元気がなくなってしまった!
小説にもペース配分が必要だなんて…!((

でもまあ無事 完 結 ですね! 短編ではありましたが。でも嬉しいですね完結!
やっぱ短編はいいなー!

それでは以上「愛してる」でした!駄文読んでいただき感謝です!

94紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/22(日) 19:07:32 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
短編 「友達の彼氏ー前編ー」


そっと、貴方のすらりとした、無駄のない肩に触れる。
そしたら君は、ふわりと…優しく、柔らかく…大切そうに私を見てくれる。

でも

でも私が望んでいるのは、そんな眼差しじゃないの。

私が望んでいるのは、そう。亜衣を、貴方の彼女を愛しそうに見つめる、その瞳なの。
でも彼が私をそんな瞳で見てくれることはない。だって…彼女がいるんだものね。

何度、貴方の隣に…彼女にしてほしいと願っただろう。

何度、亜衣に嫉妬しただろう。

何度、貴方に「好き」と言われたいと思っただろう。


数え切れないほどの、私の思い。

いつか伝わることを、でも伝わらないでほしい。そんなハッキリとしないこの思い。

溢れそうなこの思いは、どこに捨てれば、良いのですか……。


「亜衣、教科書見してくんねぇ?」

「亜衣、宿題見せてくれ、お願い!」

「亜衣、弁当一緒に食おうぜ!」

全部、全部。元は私の仕事だったのに。
そうお願いしてくる場所は、私だったはずなのに。

「亜衣、好きだよ」

「亜衣は今日も可愛いなぁー!」

「亜衣、世界で一番愛してる」

一度でいいから、言われてみたかった愛の言葉。ねえ、亜衣にそんなこと言わないで。
私にも言って。好きなの、好きなの。 こんなに思ってるのに、どうして貴方は離れてくの?

「松本ー? どうしたボーッとして! お前らしくもない!」

貴方は、私の何を知ってるって言うの。何も知らないでしょう?
どんなに知ってほしいことも…知らないでしょう?

好きなのに。

「何でもないよー!」

でも、それを言えない私にも非がある。如何して言えないの、私。弱虫、弱虫!
無意識に言葉を並べ、作り笑いを浮かべ、彼と会話をする私は、とても惨めで、滑稽。

耳を塞ぎたい。泣き叫びたい。このいつまでも開かない役立たずな口を切り落としてしまいたい。
そう思っても、どれも実行できない私は、愚か者。

どうせ嫌われたくないんでしょう。
嗚呼、何て弱い生き物なの、私は。

95紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/29(日) 16:18:40 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「友達の彼氏ー中編ー」


「何か、悩み事…とかか?」


また、ボーッとしてたらしく、今度は本気でそう言ってきた。

止めて。

軽い気持ちで、そんなこと言わないで。

「何でもない、って言ってるでしょ!?」

つい。 ついカッとなって、声を荒げてしまった。馬鹿じゃない、熱くなって。
どこか他人事で、客観してる自分がいる。自分のことなのに。

シーンと静まりかえる教室。
さっきまでのざわつきは消え、今は物音ひとつせず、皆の息遣いと、息をのむ音が聞こえる。

「ど…うしたんだよ?」

彼…もとい、島田敬は驚いた様に此方を見つめる。その瞳は戸惑い、驚き、悲しみ…色んな感情が映し出されていた。
素直すぎる。私にはできないことが貴方には簡単にできるのね。


「聞こえなかったの? 何でもないって。」

「何でもなく何か、ないだろ?」

「何でもないって私が言ってるんだから、何でもないの!
 もう黙って―――」

「ゆ、由香ちゃん! どうしたの…? そんな大声出して!」

突然やってきた亜衣の声に、ハッと我に返る。そして、自己嫌悪する。
私…今すごく冷たい声をしていたわ。 凍るような…。島田だって、固まってる。

「何でもない……、ごめん…っ!」

いたたまれなくなって、バッとその場から走り去った。背後から聞こえる、亜衣の声も島田の声も。
無我夢中で走った。追いかけてくるかも。捕まりたくないよ。

何も聞こえないように、耳をふさぐ。
昼間なのに薄暗く、冷たい風が吹く人気のない裏庭につくと、その場に崩れた。

八つ当たりもいいとこ。熱くなっちゃって、馬鹿みたい!

心の中でいくら毒吐いても、いくら自己嫌悪しても、この不安と恐怖は、拭えなかった。
だから。

声に出してみたの。誰か助けてくれるかも、って。少しでも気持ちが落ち着くかも、って。

「最低、最低…っ! 馬鹿じゃない? いいえ、馬鹿よ! こんな醜い自分、消えてしまえばいい!」

一気に吐き出すと、何故か息苦しかった。はぁはぁと乱れる息を整えるように深呼吸した。
落ち着きは取り戻せない。そのせいか、近付いてくる足音にも、気付かなかった。

「松、本…! やっと見つけた。おい…松本…?」

「はぁっ、はぁっ…島田!?」

嗚呼、何故、島田なの…?

96紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/29(日) 17:06:07 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「友達の彼氏ー後編ー」


「なぁ、どしたんだよ…こんなん、お前らしくねえって。」

「じゃあ…私らしさって、何!? 島田は私の何を知ってるって言うのよ!!」

「…っ、何…って…お前、隠し事とか、悩み事とか。そういうのため込まないで相談してくるだろ?」

「相談なんて…できるわけないじゃないっ!」

「…相談、出来ないことなのか?」

……そう言われて、ハッとする。
余計なことを言った。また、熱くなってしまった。落ち着け、落ち着け…。

「あ、はは…っ! ウソに決まってるじゃーん! まんまと、騙され…ちゃって、さ…っ!」

「何で……泣いてんだよっ! 辛いなら、言えよ!」

目から溢れてくる雫が、頬を通り、そして地面に落ちた。大粒の雨が、頬を濡らし、地面を濡らす。
無意識だよ。何で泣いてるのかも、分からないもん。だって私、笑ってる、でしょ?

「なぁ、泣くなよ…ッ、俺まで悲しくなるだろ?」

それは、友達だから? 友達だから、そんなこと言うの?
その言葉に、私の心が、胸が、どれだけのダメージを受けているのか…分かってる?

「しま、だ…」

「…ん?」

何故か、島田の名前を呼んだ。彼は優しい声音で、返してくれる。
その声に、もっと涙が溢れ出た。喋ろうにも、喋れない。

「うっ…ふぅっ…島田ぁ…っ!」

「うん、うん」

そっと、躊躇い、戸惑うように微かに震えた手が
私の頭に触れ、そのまま下に降りて行き背中に回る。そのときすでに私は、彼の胸の中にいた。

「島田…?」

驚きすぎて、涙も止まった。驚き戸惑う私の声は、微かに震えていた。

「…俺さぁ、松本が好きなんだよね。」

「…は…あ!?」

「亜衣とは話しつけてきた。亜衣も薄々感づいてたんだって。」

「ちょ、待って待って…話が読めな」

「…お前、俺のこと…自惚れかもしれないけど、好きだろ?」

「…っ、」

突然、何を言い出すのかと思ったら。
彼からの愛の告白。彼からの、愛の言葉。

ずるいよ、先に言うなんて……っ

それに、私の気持ち、気づいてたの…?


「好きだよ、馬鹿…っ」

無意識に言っていた言葉と同時に、また涙があふれた。
その涙を、そっと指で拭ってくれる彼。愛しいと思った。だから、ぎゅぅっと力いっぱい彼に抱きつく。
戸惑った様な声を出した彼だけど、すぐに抱きしめてくれた。


この時間が、永遠に続けばいい。


END

あとがき

えっと、かなり無理矢理な終わらせ方をしてしまいました…(;一_一)←
これは良くできたかなーって思ってます。感情って難しかったですが…;;
読者様からみたら下手くそかもしれませんけどね…ふっ((

では次におまけを投下しておきまっす!

97紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/29(日) 17:13:36 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「友達の彼氏ーおまけー」


「あのさ、島田…」

「敬って呼んで?」

「あの…島田君」

「………」

「………敬、あのさ」

「うんうん。何?」

「……。…いつ頃私の気持ちにお気づきに?」

「うーん、俺と亜衣が付き合ってすぐかな。」

「え、そんな前から…!?」

「うん、気づいてた。何かボーッとすること多くなったし」

「因みに、しま…敬が私を好きになったのは。」

「…、由香と出会ってから、すぐ。つーか、ほぼ一目ぼれ。」

「…ぇええ!? そんなに前……じゃあ何で亜衣と付き合ったの?」

「秘密♪」

「…っ、」


END

あとがき2

台詞だけです、すみません;

いつか亜衣と付き合った秘密をかけたらなーと思ってますb
多分近いうちに書きます、この小説結構気に入ったから((

それではみなさん、またお会いしましょーノン

98:2009/11/29(日) 18:44:25 HOST:softbank219182178139.bbtec.net
ひっさしっぶr(


紅桜>>

もーね、マジごめんなさい。学アリの掲示板には毎日顔出してたのにね(しらねぇよ
これからもちょくちょく来るようにしますです、ハイ←
そんでもって、『大切な時』(?)の小説は読みきってないでs(いっぺん逝け
本当に本当にごめんなさいorz

『愛してる』 >>93>>94
うっわ最高!好きな人と家が近い(のか?)といいねぇ←
ゆーくん、って呼び方も可愛らしい+。
そしてまさかの、ゆーくんはツンデレキャラでしt(黙
こういう風に恋が実ってくれたらいいのになぁ…v

『友達の彼氏』 >>94>>97
いいねぇ、島田くんいい子だ。(何故に上から!?Σ
亜衣ちゃんもいい子だよね。これで亜衣ちゃんが「別れたくない」っていい始めたら…。
由香ちゃんは幸せになってほしいです。
そして、敬と亜衣が付き合った理由もめちゃめちゃ知りたいです。
三角関係って青春での中で一番辛いパターンだと思う←


ではノシ

99紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/30(月) 21:27:33 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
る…誄!? お前は本当に誄なのk((

いーよ、いーよ! というか学アリ掲示板かぁー、懐かしー!
有難う! 愛しているよ、誄ー!�怘�

あー、一時期頑張って連載した…。ちょっと止まってますがね(;一_一)
大丈夫、読みにくいからしょうがないさ!

家近いとかいいよねぇー、幼馴染最高!←
ツンデレって、意外に難しいことが分かったよ…はっはっh((
本当だよ…現実は厳しいねぇ…�异慎儆�

良い子だよねぇ、お気に入りキャラですb
亜衣は私の中で完璧な子だったから、聞きわけよくしてみた+
今度、そんな亜衣に幸せになってもらえるように続編かけたらなーと考え中です;
由香は敬と甘々な続編を誄や読者様に気に入ってもらえるよう頑張ってますノ+
付き合った理由は…アレです、早めにパッパッと書きあげるつもりですねb
だよねぇ…それが友達、ともなると…辛いよね…。

コメント感謝でした、お忙しい中!
>誄

100紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/30(月) 21:52:17 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「憧れからはじまった恋ー前編ー」

※これは「友達の彼氏」の続編(おまけ)です。「友達の彼氏」を読まなくても読めるようになってますが、
 読みたいという方は此方です→>>94-97


――…

はじめは、憧れだった。

いつもクラスの中心にいて、男女関係なくみんなと仲良くできる彼への、憧れ。

でもそれは、いつしか報われない恋心へと変わっていった。

「松本ー!」

彼がいつも見ているのは、由香ちゃん。
私の、友達だった。ううん、親友と言ってもいいくらい仲が良くって、小学校から一緒。

だからね。

正直、戸惑ったの。驚いたの。

私が、由香ちゃんに…嫉妬や、妬み。醜い感情を、少しでも持ってしまったことが。

何度自分を責めても、その感情は拭えることができず。

後に由香ちゃんや敬くんまでも傷つけてしまうことになるなんて、思いもしなかったの。

ごめんね。


ごめんね、由香ちゃん。

ごめんね、敬くん。



恋の始まりは、高校一年生のときの…今から丁度一年前。
寒い寒い、冬の季節だった…。

「澤岸ー、職員室までプリント届けてくれるか?」

「あ、はい。分かりました。」

昼休み、まだ全員が提出していないプリントを放課後、持って来いと先生に言われた。
学級委員ってわけじゃないのに…先生、人遣い荒いなぁ…。

何て心の中でブツブツと文句を言いつつ、教卓の前に立つ。

しかし、いざ言うとなると…い、言えないよぉ!

「あれ、亜衣? 何々ー、どうしたの?」

「ゆ、由香ちゃん!」

教卓の前に立ち尽くしていると親友の由香ちゃんがこっちに気づいて声をかけてくれた。
ホッと胸をなでおろすと由香ちゃんに近づき、先生に頼まれたんだけど言えないの、と伝える。

そういうと由香ちゃんはしょうがないなあ、と呆れた顔をしながらも教卓の前に立つ。

「皆ー! 今日までに提出の紙、放課後までに私か亜衣に出す様に! 分かった?」

「「はーい!」」

由香ちゃんは敬くんと同じようにクラスの人気者で、男女問わず仲がいい。
もちろん、モテる。中学のころから顔も良かった由香ちゃんはモテモテで、少し寂しかったのを覚えてる。
でも由香ちゃんは、いつも私を気にかけてくれて、今のようにいっつも助けてもらってる。

「ありがとう、由香ちゃん」

こっちに戻ってきた由香ちゃんにそう声をかけると「良いよいいよ、亜衣は可愛いなぁーもー!」
と笑ってくれた。可愛いのは、由香ちゃんだよ、もう。

「また何かあったら、頼んで!」

と言って由香ちゃんは手を振って教室を出て行ってしまった。

101紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/03(木) 20:56:14 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「憧れから始まった恋ー中編ー」

放課後。

職員室に行くために腰を上げると、由香ちゃんが話しかけてきてくれた。

「亜衣、そのプリント…結構量あるけど…大丈夫? 私が持っていこうか?」

じゃあ一緒にもって行こう、そういいかけた口を閉じる。
確か今日は…由香ちゃん、早く帰らないといけない日だったはず。

急いで首をぶんぶんと横に振ると、ニッコリと笑みを浮かべる。

「由香ちゃん、今日は早く帰らなきゃ駄目でしょ? 大丈夫だよ。先に帰ってて?」

「――……んー、…じゃあ、何かあったら電話かメール頂戴。じゃあね!」

最後まで渋っていたようだけど、由香ちゃんは心配そうな笑みを残した後、帰って行った。
過保護だなぁ…。でもそんな由香ちゃんも好きだなぁ…。

「さてと…行かなきゃ。」

由香ちゃんの言った通り、量の多いこのプリントの束を持ち上げると教室を出た。
校内は微かに残る人と、校庭で部活をしている人の声だけが響いていた。

暗くなる前に帰らなきゃ。

パタパタと急ぎ足で職員室までの道を歩くと、階段を上る。
そして突然、肩に衝撃が走った。

え…っ?

その時にはもう時既に遅し。

私は階段の上から、落ちていた。

「……っ由香ちゃ…」

咄嗟に、彼女の名前を呼んだ。
打ち所が悪くて、死んでしまったら…そう思ったら由香ちゃんの顔が思い浮かんだ。

由香ちゃん。由香ちゃん。由香ちゃん…っ!

そこで意識は途絶えた。

今思えば、とっても大袈裟。しかも家族じゃなくて、一番先に由香ちゃんを思い出すなんて。
それにその時は、私に誤ってぶつかってしまった敬くんが少し間に合わなかったけど、かばってくれたから。
その時にはもう私、この人に恋してたんだなぁ、きっと。

目が覚めたのは、もう辺りが真っ暗で…。

最初に飛び込んできたのは、由香ちゃんの泣きそうな顔だった。

「あ、亜衣! おばさん、おばさん! 亜衣、目覚ました!」

「あら、本当? というか由香ちゃん、これくらいのことで泣かないでよぉ。軽い骨折よ?」

「何言ってんのおばさん! 亜衣はいつもいつも怪我して…骨折でも私にとったら…っ」

というか、泣き顔だった。
今のやり取りを見て、私また…怪我したんだ、と思った。

いつもドジばかりする私は、怪我が絶えない。骨折も何度か。
そのことにお母さんはもう慣れてしまい、心配はしてくれるけど少し呆れてる。
でも由香ちゃんは私がちょっと怪我をしただけでもすっごく心配してくれる。

「大丈夫だよ、由香ちゃん。もう慣れっこ。」

「お願いだから、慣れないでー! 心臓、持たないってば…はぁ」

やっと泣きやんだ由香ちゃんは近くにあった椅子にポスッと座り込んだ。
何だか、由香ちゃんを見て安心した。また由香ちゃんを見れて、安心した。

「えへへ。でもね、私。死ぬかと思っちゃった。階段から落ちるのは初めてで…」

「死…っ!? そ、そんなに恐かったの!? ごめん、ごめんね亜衣…!!」

笑って、軽く言ったつもりが由香ちゃんはまた泣き出してしまった。
…由香ちゃん…そんなに心配してくれたの? こっちこそ、ごめんね…。

「由香ちゃん、泣かないで? 私、由香ちゃんの笑顔が見たい」

102紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/03(木) 21:34:08 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「憧れから始まる恋ー後編ー」

私がそういうと、一瞬きょとんとした表情を浮かべた由香ちゃんだったけど、直ぐにパァッと笑顔になった。
そして私のもとへ寄ってきて、私を力いっぱい抱きしめた。

私が怪我したときはいつもこうして抱きしめてくれた。

私…本当に由香ちゃんに曖されてるんだなぁって…思った。でもきっとこれは、自惚れじゃないはず。
それにしても、由香ちゃん良い匂い…シャンプーの匂いだ。何使ってるのかな?
由香ちゃんの匂いが、薬の匂いしかしない病室にいたせいで余計いい匂いな気がする。

暫くそうした後、私の後ろから…正確に言えば私の後ろのドアから人が入ってきた。
由香ちゃんはパッと手を離すと、急いで静かに椅子に座りなおした。

由香ちゃんの顔を盗み見ると、思わず苦笑した。だって表情に出てる。
「私と亜衣の大事な時間を」…って。むっと口が突き出てるのが可愛い。

「あの、澤岸…大丈夫だったか? 骨折って…マジごめん…っ!」

「あらぁ、貴方が島田君? わざわざごめんなさいねぇ。でも気にしないでね?
 島田君が庇ってくれたおかげで軽ーい骨折ですんだんだし。お騒がせして申し訳ないわ。」

「あ、いえ! 僕がぶつかったせいで娘さんに怪我を負わせてしまって…でも軽くて良かったです。」

「まあそんな改まらないでよ。本人はケロッとしてるし。謝るなら由香ちゃんによねぇ? 亜衣。」

「うんうん、由香ちゃんってば泣いちゃって。」

敬くんって…凄く真面目な人だな…。学校のときとまったく口調違うし。
緊張でもしてたのかな? それにわざわざ…明日ぐらいに学校で言ってくれればいいのに。
あれ、でも由香ちゃんが明日学校に行かせてくれないかな…?

なんて悶々と考えていると、視線を感じたので顔を上げると、島田君と目が合った。

…とても真っ直ぐで、澄んだ瞳。

ドクンと心臓が鳴り、少し肩を揺らした。

そして何故か、好きだと思った。

この瞳に、愛されたいと、願った。

何の揺らぎもない、綺麗な瞳。この人は強い人だと、直感的にそう思った。

だから。

「俺、何したらいい? やっぱ何か色々と責任を…」

「じゃあ、付き合って」

そう口にしてしまった。

由香ちゃんの気持ちを知りながら。

空気が一瞬、凍りついた。

由香ちゃんが動揺したのが、空気で感じ取れた。

「…わか、った……」

そして私たちの関係が、スタートした。

――…

そして昨日、ついに言われてしまった。

「俺、さ…ずっと前から…松本が、好きだった。」

知ってた。

知ってたよ、敬くんの気持ち。

ずっと、我慢してくれていたんでしょ?

「あのときは、怪我を負わせたってテンパってて、自分の気持ちに素直になれなかった。」

うん。
責任感が強いのも、ずっと、ずっと。見てきてたから、知ってたよ。

「でも、やっと気づけたんだ。」

本当はずっと前から気付いてたんでしょ?
でも私の怪我のことを負い目に感じて…骨折なんて、もう治ってるのに。
ごめん、ごめんね…。

「俺は。…松本が好きなんだ…っ」

「うん。………別れよう」

「―――ごめんっ」

そう言って走り去った彼の後姿は


誰よりもカッコよかった。


END

あとがき

ふぅ…はい、ENDです!

結構あっけなかったし、内容薄いし…
でも由香ちゃんと亜衣、敬くんの性格が結構出せたと思ってますb
そして次は由香ちゃんと敬くんのその後かなー…
後、亜衣ちゃんのその後、を連載します。ちょくちょく由香と敬を出すつもりです。

103紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/11(金) 22:03:35 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「永遠の誓ー前編ー」

風は冷たく、時折強く吹き頬を撫でる。
季節は初冬。しかし今年は気温が低く、マルラーや手袋は必須アイテム。

そんな今は、2015年。まだまだ子供な私は、社会人3年目の23歳になった。
高校生活や大学生活なんてアッという間に過ぎ去り、あれからもう約6年。

「由香」

ふと、背後から愛しい人の声。
笑顔を浮かべ振り返ると、予想通りの人物。

「敬! どうしたの、仕事は?」

午後10時。社長の地位まで上り詰めた彼は、まだまだ仕事のはず。
とはいっても、私も同じような物だけど。
実は私、彼の秘書をやっている。仕事は大変で、いつも帰りは深夜。
しかし、今日は仕事が早く終わり、これから遅い夕食を取り家で寝るつもりだった。

「昨日、ほとんどを片づけておいたから。」

「相変わらず、凄いね」

「そんなことない。それに由香だって大変だろうに。
 あ、そうだ。これから夕食だろ?俺も今からなんだ、一緒にどうだ?」

謙遜しちゃって。まだ仕事の時の堅苦しい感じ、少し抜けてない。
敬の言葉に軽く頷くと、どちらともなく歩き出した。

私たちは、結婚は愚か最近ではまともにデートなんてできていない。
お互い仕事が忙しすぎて、暇がない。それを少し、寂しく感じる。
社内でいつもあっているとはいえ、話すのは仕事のことのみで…でも、仕方ない。
…覚悟はしてた。彼の将来の夢、を聞いてから。こうなるってことは。

…寂しいよ。

俯き、自然と歩調の遅くなる私に気づき同じペースにしてくれる彼の優しさが、痛い。
想いは通じ合っているのに、通じ合っているはずなのに。

敬が離れて行きそうで、怖いよ。

大人になれない自分の幼さに、苛立ちを感じる。
結婚なんて、いつでもできるじゃない。もう少し、落ち着いてきたら。
そう自分に言い聞かせてみても、暗い気持ちは消えなかった。
もう少しって…あとどれくらいなんだろう。1年後? 10年後? それとも…

「由香、ついたよ。ここで食べよう?」

敬の言葉で、ハッと我に返る。
目の前に広がる彼の、敬の顔が…何故か無理して笑っているように感じた。
いいようのない、不安が私を襲った。

「う、ん…。た、高そうな店だね」

「大丈夫。さ、行こう」

そっと私の手を取ると、敬は店の中へと進んだ。

天井には、大きなシャンデリア。踏むたびに、しっかりと感触のある柔らかい赤色の絨毯。
壁は鮮やかなクリーム色一色。夜景の見渡せる大きな窓から見える景色が綺麗だ。
机は四角く、上品そうなブラウン。触ればキュッと音の出そうな程艶やかで綺麗。
ターブルクロスはクリーム色に赤とブラウンのチェック。

人の囁くような話し声と時折、カチンとグラス同士がぶつかりあう音が響く。
スプーンとお皿がぶつかる不快な音はせず、音もなく食べる人達。

…き、緊張する…。
普通のファミレスとかが良かった。こんな、高級そうなお店…。

104:2009/12/13(日) 10:07:09 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
お久しぶりです。
ご無沙汰してましt((


話がものすごく進んでいたので今から遡って見てきます^^b
いろいろな発展とかあったらいいなぁ、なんて思っているのですが+。

では、今から行ってきます三(/^^)/

105紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/13(日) 23:05:19 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
海…!←

お久しぶりです(笑)

頑張って進めました(^^ゞ
それは…どうかな(笑) 読んでからのお楽しみです*

行ってらっしゃいませーノシ

あ、あと。過去に海のスレにレスをしに行くという約束をしたので、
今から行ってきます。おそくなってごめんなさい;;

106紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/14(月) 22:54:49 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「永遠の誓ー中編ー」

それから個室に案内され、席に着いた。
個室も、とても煌びやかで…眩しい。

「緊張してる?」

クスクスと上品に笑う彼は魅力的。
こんな私が、一緒にいていいのかと思わせる程。

そう思うと、胸がキュッと締め付けられる。痛い、痛いよ。
俯きそうになる顔を上げ、にっこりと愛想笑いを返す。

もっとしっかりとした、笑顔を。こんなんじゃ、駄目じゃない。

「う、うん…こんな高級そうなお店…緊張しちゃうわ」

声が震える。…緊張のせい? 涙を、堪えているせい?
やばい。直感的にそう思い、ガタッと音を立てて立ち上がる。予想言う上に大きい音で、びっくりした。

「あ、の…お手洗いに、行っても…いいかな?」

「うん。出て右に曲がると、すぐだよ」

背を向け私が扉を開け出ていくのを彼が悲しそうに見つめていたことを、私は知らない。
どうして、気付けてあげられなかったの。なんて、愚かなの。

――…

涙を浮かべる自分の顔を見つめる。
なんだか、片思いしていた…高校生のときを思い出す。

あのときも、自分を貶し、蔑んだ。
無意味でしかないのに…このモヤモヤは、拭えないのに。本当は、そんなこと分かっているのに。

今にも零れおちそうな涙を拭って、作り笑いを浮かべる。
…あのときは、敬が涙を拭ってくれて…嬉しかったけど、驚いた。

それ以上に、ドキドキした。

でも、今は…不安ばかり。敬の言動が一々気になって、怖い…
どうして、この不安は拭えないのだろう。もう、不安になるのは、うんざりなのに。

「ねえ…どうして?」

答えが返ってくるわけないのに、鏡の中の自分に問いかける。
はぁ、と溜息を吐くと近くにあった椅子に腰かける。疲れてるんだ、きっと。
そろそろ戻らないと、彼に心配をさせてしまう。早く、戻らなきゃ。そう、思うのに。

「戻りたくない…」

こっちが、本音。いっそのこと、打ち明けてしまおうか。
不安で、敬と一緒にいるのが辛い。気を使い、神経を張り巡らしているのにはもう疲れたの、と。

こんなこと言ったら、自分勝手すぎるね。
私が自分の意思でしていることなのに。俺が知るか、って感じだよね。

でも、敬は優しいから。真剣にそれを聴いてきっと、こういうだろう。

「別れて」と。

バックを持ち、重い腰を持ち上げる。
痛いくらいに両手を握りしめ、拳を作る。視線を上にあげ、ふっと微笑む。

何度こんなことを考えたか。もう忘れてしまった。でも、今までとは、違う。
…彼の中で、最低の女になって…すぐに忘れてもらえるように…もう行ってしまおう。

長い、長い付き合いに、終止符を打とう。

107:2009/12/16(水) 17:10:57 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
紅桜>>
よし、また続きを読んできまs((
全部読みきることが無理だったというこの悲しさ(遠目

Σまさか覚えてくれてるとは…!
なんかありがとですv

108紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/16(水) 21:35:56 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
よし、行って来いノン((偉そうだな
じっくり読んでくれれば良いよ(笑)

…いや、覚えてたくせにコメしにいけなかった私を責めてください;;((
勿体無きお言葉…!!
>海

109:2009/12/17(木) 16:21:04 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
紅桜>>
あともう少しだ…!
ってことで、また読んできまs((遅

そりゃあ忙しかったら無理さ!;
テスト期間とか重なっても普通にパソしてるうちなんかと違ってww←

110紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/20(日) 21:08:39 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
頑張れ頑張れー!←
ラストスパートだ、行け!((お前が逝け

まぁ、何て優しいのこの子は!←
そうだよね、パソでもやってなきゃ持たないよね…いやだな勉強(p_-。

>海

111紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/20(日) 21:40:40 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「永遠の誓ー後編ー」


…それから、早一週間。
あの後食事を冷静を装い、いつも通りに過ごして家路につく。

一人になった瞬間、安心して涙が出た。いや、恐怖だったかもしれない。
そこらへんで記憶が途絶えていたあたり、きっとそのまま寝てしまったんだろう。

次の日は目が腫れ、髪はボサボサ。おまけにスーツには皺が付くし。
そして追い打ちをかけるように寝坊して、その日は熱が出たと行って休暇を取った。

その次の日、敬の心配そうな視線は一日中送られていて居心地が悪かった。
でもその日は一言も会話をしなかった。私がわざとらしく避けたから。

それからというもの、ずっと敬を避け続け…もう一週間も経ってしまった。
さすがに敬も不審を抱き、此方をチラチラと見ることが多くなった。

そんな悲しそうな顔をしないで

スーツを脱ぎ、シャワーを浴びる。冷えた体が温まる。
湯船に浸かると、疲れが癒える。そして安らぎの後に考えるのは、敬のこと…。
やめよう。お風呂に入っている時くらい、そのことはもう考えないようにしよう。

着古したヨレヨレのスウェットを着るとベットに倒れ込む。
視界に移るのは、マンション最上階の窓のカーテンの隙間から見える夜景、明かりのついた部屋、白いロングソファ…
そして五十インチのでかいテレビの上の……敬と私の移る、楽しそうな…写真。
それを視界から消すために、強く目を瞑った。そしてそのまま、深い眠りに就いた。


「おい、由香!」

嗚呼、どうしてこんなことに。
でも…彼を傷つけてしまうけど、この方がいいのかもしれない。

月の光が差し込む社長室。窓を見上げると、月と星が此方を見つめている。もしかしたら、笑ってるのかもしれない。
愚かな私と、そんな私に不釣り合いな彼の隣にいる私を。……考えすぎなのは、分かってる。

「…っ何よ」

怒鳴られ、腕を強く握られ…身体が震えた。けど、それを悟られないように強く返す。
一瞬弱まった腕の力がまた、強くなる。痛い、痛い…でも、もっと痛いのは…締め付けられる心。

「何で俺を、避けてるんだよ…っ」

そんな悲しそうな顔をしないで。もっと怒りに満ちた顔をして。こんな最低な私を、嫌ってよ。

「そんなの…も、分からないの?」

こんな冷たい言葉、言いたくないの。
だって、敬の顔がもっと悲しくなるの見ていられない。

「ごめ…ん」

ねえ。良いんだよ? こんな私を罵っても、蔑んでも。軽蔑されたっておかしくない。
しっかり話をつけて敬が離れていくのが怖い愚かな私を、嫌いになっても。

「教えてあげる。良く聞いて、一度しか言わないから。」

声が震えそうになるのを堪える。

「もう、辛いの。いつまで待っても安心できない不安感。これはいつ拭えるの?
 女の人と笑って喋るのを見てると醜い感情が生まれて、どんどん汚くなる……。
 敬の言動一つ一つにはらはらして…苦しい。こんなのはもう嫌なの。だからわか」

突然何かに口をふさがれ、遮られる。
温かい温もりに包まれている。これは…敬の肩だ。抱きしめられている。

いつの間にかポロポロと流れていた涙が、彼のスーツに染みをつくる。
ねえ…敬。この首筋にあたる冷たいものは、何?

「敬…泣いてるの?」

あの彼が、泣くなんて。信じられない。私には一切、弱味を見せなかったのに。
そんなに私は貴方を。傷つけてしまって、いたの…?

「…由香、由香」

切なげなその声が、私の涙腺を壊す。


※続編に続きます※

112紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/23(水) 22:59:17 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「永遠の誓ー続編ー」

やめて。やめてよ。

これ以上私を、壊さないで。乱さないで。もう、うんざりなの!

そんなことを口に出してしまえば、私たちは終わり。
それに、私は本当に彼に嫌われてしまう。なんて、愚かな…私。

でも。言えない理由は、他にもあった。
でも。それを認めたくない。認めたら私は……どうしたらいいのか、分からないから。

――本当はそんなこと思ってない、なんて認めてしまったら。

「本当は、気づいてた。由香が最近、可笑しいことに。」

切なげなその声が、すぐ傍で聞こえる。嗚呼。私、抱きしめられてたんだっけ。


「もしかしたら、今みたいに言ってくるんじゃないかって、ドキドキした。」

切なげだけど、しっかりとした真剣な…声。

「でも…いざ言われると…悲しいもんだな。」

不安だと。怖かったと。そう思っていたのは、私だけではなかった。
敬も苦しみ、悲しみ…いつから、そう思っていたのだろう。

「由香。俺は、由香と別れたくない。」

「私…っ、これ以上不安になるのは、嫌だよぉ…!」

涙で震えた、情けない私の声。
それとは対照的に、敬の声は震えてもなく、いつになく真剣だった。

「本当は、こんななりゆきで言うのは嫌だった。けど、由香が不安なら、悲しむなら。」

私を少し話すと、私の目を見てそこで言ったん言葉を区切る。
ゴクン、と固唾をのみ込む。そして、覚悟を決める。

「結婚、してくれ」

――ドクン…

時が、止まった気がした。
彼の、敬の声は。微かに震えていた。

とても重い言葉。「結婚」。どれほどの覚悟で、それを言ったんだろう。

涙が頬を伝う

そして震える唇で。震える声で。精一杯の笑顔を浮かべて。

「はい…」

END

113紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/24(木) 20:41:20 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「永遠の誓ー お ま け −」

「幸、行ってらっしゃい。」

「うん、行ってきますお母さん!」

長男、六歳。名前は幸とかいてゆき。幸せになってほしい願いを込めて。
来年は、小学生。ランドセルを背負って学校に行く姿を見るのが、楽しみ。

「あーうー…」

長女、一歳。名前は真と書いてまこと。正しく、誠に。という願いを込めて。
最近「あー」とか「うー」とか喋り出した。「お母さん」と言ってくれる日が待ち遠しい。

五歳も離れた兄弟だけど、仲がいい。
元々面倒見のいい幸はよく真に構ってくれるし、真は楽しそう。

そんな姿を見るとほほえましい。

あれから、もう八年。二年後に幸が生まれ、その五年後には真が生まれ。
色々な色々が合ったけど……今私は、すごく幸せ。

「由香、行ってくるね」

「あ、もう時間?今日、帰りは?」

「遅くなりそう。ごめんね」

相変わらず社長の敬は忙しく、帰りはいつも遅い。
私は幸がお腹に宿った時。仕事を止めた。寂しかったけど、育児のためしょうがない。

でも、真がもう少し大きくなったら。保育園に預けて働こうと思っている。
そんなちょっと未来のことを考えるのは楽しい。きっと、今が充実してるからだと思う。

「いってらっしゃい」

「行ってきます」

笑顔で手を振り、送る。
そんな些細な幸せでも、ずっと感じていたいと思う。



私がいて

幸がいて

真がいて

――敬がいる。

今私は、とても幸せ。


END

あとがき

ついに終わりました、「友達の彼氏」シリーズ!!
とはいっても、短編でのが終わっただけですが。
これから、亜衣のこれからと、その子供たちのことを長編で。
嗚呼、楽しみだな♪

そして。読者の皆様。

私の小説を読んでいただき、有難うございます。
まだまだ未熟者ですが、頑張っていきます。

そして、私の小説で心が動いた、何かを感じた。幸せな気持ちになった…
そんなふうに思っていてくれたら幸いです。図々しいかもですが;

では次回作、お楽しみに♪

114:2009/12/25(金) 11:15:13 HOST:116-65-140-79.rev.home.ne.jp
紅桜>>
完結おめでとう!
それでいて未来のことが書かれていたから見ていて微笑ましかった//

子供たちが次は長編に…!+。
彼らがどんな活躍をするのか、今から自分も楽しみだ♪
幸くんと真ちゃん……この二人の絡みが見たかったりvv


次回作も応援しとりますノシ

115紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/26(土) 23:26:00 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
ありがとう、海!(涙←)
私もすごく楽しくかけた。やっぱ由香と敬大好き+

連載する前に沢山ネタを、と思って焦ってるんだよねぇ…((
お楽しみに♪ 自分も楽しくかけたらいいと思ってますノン
その二人の絡みを考えてると楽しいし何か温かくなる(笑)

頑張ります!ありがとう!
>海

116紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/26(土) 23:53:43 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「特別企画クリスマス編ー前編ー」

「何だか、今日はやけに寒いね。」

「そうね、風邪引かないでよ?」

セーラー服に身を包み、学校指定の黒い鞄を手に取る。

季節は冬。今日は、クリスマスイブ。世界はクリスマス一色だ。

「分かってるよ。母さんこそ、風邪ひかないでよ。じゃ、行ってきまーす」

やばい、このままじゃ遅刻。朝ごはんなんて食べていられず、家を飛び出す。
後ろで母さんの声が聞こえたけど、無視。今は構っていられないから、帰ってから聞く。

――…

「おはよう」

「あ、愛。おはよう。今日は寒いねー」

「寒いね。凛、プレゼント何もらうの?」

窓側の一番後ろ。あんまり嬉しくない席に腰かけると、斜め前の席に座る親友に挨拶する。
手元を見ながらそう問いかけると、凛は「家族で外食」と少し照れた様にそういった。

「え、外食?」

「そ。なんか最近、あんまゆっくり話す時間ないな、って思って…さ?」

驚いて顔を上げると、俯いて恥ずかしそうに頬を赤らめる凛の姿があった。
…そうか。外食…。凛は、親孝行してるのね、しっかり。

「私も、そうしよっかな」

「そうしなよ。たまには良いかもしれないし」

そんな風に話していると、予鈴が鳴った。急いで鞄を机の脇にかける。
すぐに担任が入ってきて、HPが始まった。

外食ね…。散歩しながら、どこかのレストランに…とかで良いか。

――…

学校が終わると、真っ直ぐ寄り道せずに帰る。部活は冬休み間近で無い。
ドアを開けると、直ぐに母さんの足音。

「おかえり、寒かったでしょ。ねぇ、愛美。今日はもうお父さん帰ってきてるのよ。」

「へぇ、いつも遅いのに。珍しいー」

「だから、今日クリスマスパーティーにしましょ。明日遅いって言うし。ね? プレゼントは明日でも良い?」

とても嬉しそうに話す母さんを見てると嬉しくなった。プレゼントという単語を聞いて、益々嬉しくなった。
母さんや父さんの喜ぶ顔が、目に浮かぶ。ふふっと笑うと、首をかしげるお母さん。

「なあに? どうしたの?」

「ねえ、母さん。私、プレゼント…家族で外食とか、ドライブがいいな。」

「ええ? そ、そんなんで良いの? ていうか、どうしたのよ?」

「ふふ。たまには、いいじゃない」

母さんに話すと驚いた顔をした。何だか嬉しかった。
その後、父さんにも話すと、母さんと同じように驚いてた。思わず、笑ってしまった。

「じゃあ、直ぐに準備しよう」

という父さんの声で各自準備に取り掛かった。
何だか、今年は最高のクリスマスになりそうだなぁ。

117紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/27(日) 22:02:02 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「特別企画クリスマス編ー後編ー」


「そろそろ、行こうか。」

白いセーターに黒いジーパン。それに茶色いリボンのついたニーハイブーツ。
シンプルめだけど、あったかいしこれで良いかな。バックを手に取りながらそう考える。

「父さん、何処に行くの?」

「あー…何処がいい?」

「決めてないの〜?」

白いうちの愛車に乗り込みながらそんな会話。運転席には父さん、助手席に母さん。後部座席には、私。
きちんとシートベルトを閉めたのを確認して、車は発進。ご飯は、ファミレスらしい。もちろん普通の。

「夜景が凄く綺麗なところがあるんだ。すぐ近くだよ」

「へぇ? いつ? まさか父さん女と……」

「バッ! 変なことを言うんじゃない!」

「あはははは!」

幸せな笑い声が車内に響く。幸せって、こういうことを言うのかもしれない。
最近、思い返せばこうやって三人で話すことなんてなかった。朝は慌ただしく、夜は母さんと二人。
決して嫌ではなかったけど、

三人そろって。
三人で話して。
三人で笑い合う。

これがどんなに大切か。凛がどうして、クリスマスプレゼントをこれにしたのか…。
何だか。よくわかった気がする。凛の気持ちが、凛の思いが。

それからしばらく、車内に笑い声が絶えることはなかった。


「綺麗ね、とても………」

感動に目を輝かせている母さんの横顔。なんだかとっても綺麗。
「本当だな。」そう相槌を打つ父さんの横顔も、夜景の光があたってより綺麗だな。

「あたし、プレゼントこれにしてよかった。二人、楽しそうだし……私も。私も、すごくうれしいんだ。」

そういった私に向けられる視線が優しくて、すごく温かい気持ちになった。

『家族の大切さ。』
昔雑誌で見たことがある。そのころプチ反抗期だった私には、くだらないと思えた記事。
今思い返してみると。とても共感できるコメントが沢山あった気がする。

『家族といると、すごく温かい』
貴方も、そうコメントした貴方も、こんな気持ち?

『家族がいれば、どんなことも幸せ』
どんなことでも、楽しい。幸せ。嬉しい。家族って偉大。

他にも、『家族が大好き。』とか『私は家族愛が自慢』とか…色々あった。
その、色々の中でも。一番、目にとまったものがあった。

『私は、昔ちょっとヤンチャをしていて…。その時迷惑をかけた。いつも笑っている家族を悲しませた。
 その時、家族なんていらないと思ってしまった自分が憎い。でもそれは、今。
 今家族と上手くいっているからそう思えたんだと思います。それに気づかせてくれた家族を私は愛しています』

なんて、ちょっとそれはいいすぎじゃない?と思っていたけど。そうコメントしたその人は。
私とは少し境遇が違えど。私と、今の私と同じ気持ちなのかもしれない。

「ねぇ。母さん、父さん。大好き。世界で一番、大好きだよ!」

愛してる、なんて。そんな恥ずかしい言葉言えないけど。今はこの言葉で精一杯だけど。
母さんと父さんも…私と、同じ気持ちだよね?

だから。心の中で言います。





母さん、父さん。愛してるよ。



END

あとがき

いかがでしたでしょうか?
友達の彼氏の長編にどうしようと悩みながら描いたクリスマス編は(笑)
ちょっとこのスレ的に、例外なんですが…。初の家族愛です。
内容薄っ!とか、感動できない…とかは私自身も感じております。

もっと感動的なのが書きたかったけど、どうやら無理らしいです(苦笑)
えーと。もっと沢山の家族愛の小説を読んでから、今度また家族愛に挑戦してみます!

それでは皆様、さらばだ!

118あや:2009/12/28(月) 10:13:16 HOST:p3041-ipad201morioka.iwate.ocn.ne.jp
はじめまして!!
私の小説もぜひ読んでみてくださいね^^

では、次回から小説を書き始めます。

119紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/29(火) 18:18:14 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
えっと、初めまして。
了解です、次回を楽しみにしています。
>あや

120紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/29(火) 18:22:58 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「好きだと言って*プ ロ ロ ー グ 」


…鍵をかけた気持ち。

そのカギを解いてくれたのは、夏に輝く太陽のような君の笑顔でした。


もうちょっと、時間がかかりそうだけど

それまで待っててくれると、嬉しい

その時がきたら、もう一度。もう一度だけ、


好きだと言って。

121紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/29(火) 19:01:20 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「好きだと言って*第一章* 苦手な人 」

生まれて初めての、失恋をした。

それはまだ私が高校一年生で、寒かった冬のこと。

大好きな親友と、大好きな彼と、私と。

一方通行だった、三角関係。

別れようと告げた時、本当は涙が出そうだった。

走り去った彼の後姿が、かっこよくて。
彼が切なげに笑った最後の表情が悲しすぎて。

大学二年生になっても、未だそのことを引き摺ってて…まともに恋もできない。
だから今は、一生懸命勉強している。でも長くは続かない。勉強してても、由香ちゃんや敬くんのことばかり浮かんでくる。

今は、何をしているの?

二人は仲良くやっている?

私と由香ちゃんは大学が違くて、由香ちゃんは…頭のいいところ。
私は…それより一つランクの低いところ。これでも、頑張ったんだけど…。

敬くんは……私達よりもっとランクの高いところ。
実は由香ちゃんは、私のためにランクを下げてくれたんだけど…落ちちゃったんだ、私。

頭のいい由香ちゃんは勿論合格して、大学生活を楽しんでいる。
互いにサークルやバイトなどで忙しく、和える機会が全然ないけど、仲良くやっているとこの前言っていた。

「はぁ…。もう、毎日暇だよぉ…」

出てくるのは溜息ばかり。

「亜衣、亜衣。そんな溜息ばっかりついてたら幸せ逃げるよー!」

パッチリで少し垂れ眼気味な優しい瞳が此方を見つめている。
あ、留奈ちゃんだ。いつから、いたんだろう…。ていうか、今はそういうこと言わないでぇ…。

「あれ、元気出してよ! そいえば、亜衣。今日合コン行く?」

「えー…」

留奈ちゃんはいつも合コン、合コンと口癖の様に言っている。彼氏がいないのを焦ってるらしいけど。
合コンって、何か嫌。自己紹介とか、馴れ馴れしく話しかけてくるのとか。
人見知りな私にしたら、とっても大変で、苦痛な時間なんだから! なのにいっつも誘ってさ。

ぶーとむくれていると、何故か留奈ちゃんは笑う。それも、悪戯をする前の子供のような、笑顔で。

「亜衣〜、今日はね〜…由香と敬が来るわよ。亜衣も行くっていったら由香が即答だった。どう、行く?」

実は留奈ちゃんは高校の時のお友達で、親友とも呼べる。もちろん由香ちゃんや敬くんもしっている。
ゆ、由香ちゃん〜…行くわけないのに。でも、私の為に、由香ちゃんが同席してくれることはすごく嬉しかった。

だから。しょうがないから。

「分かったよ、行くよ…でも、愛想良くなんて、できないから!」

「分かってるよ〜。じゃあ……」

待ち合わせ場所、待ち合わせ時間などを色々教えられ。
私は意を決した。うぅ、しょうがないからだもん!由香ちゃんが来るからだもん!

――…

空が暗くなり始める時間。
駅前のカラオケボックスでそれは行われた。

「亜衣!こっち、こっち!」

留奈ちゃんに手を振られ、駆け足で其方に行くと手をつないで談笑している二つの影を見つけた。
あ、あれは……!

「由香ちゃん、敬くん!」

勢い余って由香ちゃんに抱きつくと、由香ちゃんはふらつきながらも抱き締めてくれた。
あはは、と面白そうに笑ってから。敬くんも隣で可笑しそうに笑っている。何だか、幸せそう。

「亜衣、変わってないね。ホッとしたよ。何日ぶりだっけ?」

「多分、二週間ぐらい? ていうか二週間じゃ変われないよ」

大学生になっても変わらず、由香ちゃんは私に優しくって、甘くって、過保護。もはや親より。
でもそんなことが何よりも嬉しい。私も由香ちゃん大好きだし。そう思う私も結構重症…?



中途半端でストップ;
今回は一話一話の題名を付けるんじゃなくて章にしてみました!

122紅桜 ◆H2afPHIwUk:2010/01/02(土) 16:43:49 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「好きだと言って」

それから暫くして、合コンは盛り上がっている。

男の子がソロで歌ったり、女の子同士で、男女でデュースしたり。
その中で私たちはうたわず、三人でずっとおしゃべりしていた。

「そういえば、亜衣。髪伸びたよなぁ」

敬くんとは、多分半年ぶりくらい。最後にあったのが、初夏だった気がする。
あの時は、真っ黒な髪を胸辺りまでの長さだったからなぁ。今はお腹辺りまで伸びている。

「うん、そうなんだよねぇ…。もう三年生になるし、気分転換に切ろうかな?」

「亜衣は何でも似合うよ。元がいいし。目なんてくりくりしてて睫毛長いし。羨ましい。」

「何言ってるの、由香ちゃん。凄く綺麗じゃん。一重なのに目もパッチリで鼻筋も通ってて…唇は薄いし。小顔だし…。」

にこにこと満面の笑みを向けてそう言ってくる由香ちゃんにクスッと笑うとそういう。
それから一時間くらい話すと、合コンはお開きになった。
由香ちゃんと敬くんは二人肩を並べて帰って行った。由香ちゃんは三人で帰る、と渋っていたが。

「帰ろうっと。次はいつ由香ちゃんに会えるかな。」

由香ちゃんや敬くんと会えて気分は上昇し、上機嫌で家路につこうとした時。

「ねえねえ、亜衣ちゃんだよね! 俺、三井涼太! 送ってくよ!」

「え!? 結構です!」

「そんなこと言わないで、さ、行こ!」

強引に手を取られ引っ張られる。何、この人。怖い……。
そんな私に気づいたのか、男の人は振り返る。にっこりとした笑顔付きで。

「そんな、怯えんなって。送っていくだけだから。」

強張った顔をしている私を、アハハッと豪快に笑うとまた私を引っ張り歩き出す。
人の顔見て笑うなんて、失礼! 何かこの人、苦手だなぁ……。

「で、家どこ?」

「そこの道を、左…。」


渋々、道を案内して家に着いた時、家の明かりが全部ついていることにはっとする。
今日の門限は、六時。今の時間は…学校が終わったのが、四時前。それから三時間ぐらいたったから……ヤバイ。
今の時間は多分、七時くらい。どうしよう。もう一時間近く、経っている!

「あ、あの。有難うございました。それじゃあ私はこれで失礼します!」

失礼だとは思ったけど、言いたいことだけ伝えると家の中に飛び込むようにして入った。

「た、ただいまぁー……」

「亜衣。」

小さくそう言って自分の部屋に駆け込もうとした時。
頭上から声が聞こえ、そっと上を見上げる。

「お、兄ちゃん……」

どうしよう。帰ってきてるとは思ったけど、やっぱり怒られるのかなぁ…。
私の家は、六人家族で、母、父、兄、姉、弟で、四人兄弟。そしてお兄ちゃん達や弟は怪我ばかりをする私に過保護。

「飯は?」

「食べてきまし、た…。」

「そうか。じゃあ、部屋着に着替えてからリビングに来い。」

「はい……」

怒られる。確実に、怒られる! どうしよう、どうしよう……ッ!
私の家族は普段、とっても穏やかで優しいけど…怒ったらすごく怖い。特に、お兄ちゃんは。

すぐに部屋着に着替えてリビングに行くと、家族全員が椅子に座っていた。
六人用の、少し大きめな机に、六つの椅子。そこに座る、怖い顔のお兄ちゃん。心配そうな顔の姉や、弟、両親。

「亜衣。今日は、どうしてこんなに遅くなったの?」

席順は向かいにお母さん、その左隣にお父さん、お姉ちゃん。私の右隣に、お兄ちゃん。その隣には弟。
私が座った途端、お母さんに質問され、言葉が詰まる。「合コン行ってました」なんて言えるわけない。

「えっと…あのね、由香ちゃんと、敬くんと…遊んでた、の。」

ウソじゃない。事実。でもこれだけで通用するのはお母さんとお父さんだけ。

「父さん達は、もう良いよ。亜衣。どこで、何をして遊んでたんだ? 敬って男は誰だ?」

お兄ちゃんがそういうと、お母さんたちは苦笑いしながら席を立つ。
お母さんはチラリ、と此方に視線を向けると、「大丈夫よ」とでも言うように微笑んでくれた。

「あの…カラオケボックスで…ね? 喋ったり、歌ったりしてたの。敬くんは由香ちゃんの彼氏だよ」

お兄ちゃんと弟は敬くんのことを知らない。お姉ちゃんには、前に相談したことがあったから知ってる。

「由香ちゃんと遊ぶのはいいけど、お兄ちゃん達は心配するんだからな?」

「……はい」


またまた中途半端でストップ!
亜衣の家族登場です(笑) 亜衣を溺愛してます。

123紅桜 ◆H2afPHIwUk:2010/01/21(木) 20:05:57 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「好きだと言って」


「いくら由香ちゃんでも…」


「武(たけ)。もういいよ、あんた。そんなに叱ってると亜衣に嫌われるわよ」

お兄ちゃんの言葉を遮ってお姉ちゃんが言う。
お姉ちゃんは今年で28歳。私は今年で21歳だから、七歳も離れている。因みに、名前は彩(あや)。
お姉ちゃんはお兄ちゃんより年上。といっても、二歳離れ。性格も大分違う。お兄ちゃんの名前は武。

「彩…んなこといっても、」

「お姉様って呼べっつってんでしょ?彩、なんて呼んでいいのは雅君と亜衣だけよ!
 母さんたちだって彩ちゃん、って呼んでるというのに!この、バカ!!」

雅(みやび)君とは、彩お姉ちゃんの彼氏"候補"らしい…。

「亜衣、門限六時なんて、厳しいわよね?今度からは門限九時でいいよ。その場合は、連絡を頂戴。
 はい、解散、解散!何か意義ある人ぉー!!」

「おい、彩!門限九時って、」

「お 姉 様 ! 武は発言権、なし!健太(たけと)は?何かある!?」

健太とは、弟の事。私とは三歳離れてて、18歳。今年で高校三年生。
可愛らしい外見とは裏腹に、結構黒い性格してる。

「亜衣姉さん。武兄さんが煩いから今度の門限は守ってくれるよね?」


この子が人にやさしくしてるのを、見てみたい。
あ、美羽(みう)ちゃんには優しいか。彼女だし、時々みかけるけどすっごい優しい表情してる。
でも、これでも一応心配はしてくれてる。今はもう呆れてるかもだけどね。


――…


お兄ちゃんには悪いけど、今のでテンションが下がっちゃった。
せっかく、由香ちゃんと……、敬くんに、会えたのに。

この終わりの見えない片思いは、いつまで続くんだろう?

いつになったら、私に運命の人が現れてくれるんだろう。

もしかしたら私には、運命の人は、現れないのだろうか。


切ない、よ――…


「ふぇ……っ、うぅ………っ」



短くてすみません;;

124紅桜 ◆H2afPHIwUk:2010/01/31(日) 22:17:36 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
*好きだと言って*



「…目、腫れちゃってる……」

朝、ベットから起きてみれば目が充血し、腫れたブサイクな自分がいた。
こんなのお兄ちゃんが見たら大変だよぉ…今日はお兄ちゃんに会いたくない…

「亜衣、朝ごはんー!」

一階のリビングから、お母さんの声がする。
どうしよう、どうしよう。


「はー…ぃ!?」

取り敢えず返事をしよう、と声を出した。が、突然ドアが開いてお母さんがひょっこりと顔をのぞかせた。
驚きビクッとするとお母さんはふっと微笑み、部屋に入ってくる。

あわてて目元を隠すけど、無駄に違いない。
だって、もう完璧に見られてるし。なんて言い訳しよう?

「敬くんでしょ、全く。大丈夫、お兄ちゃんならもう仕事言ったわ。」

…母の口から、"敬くん"と出てきたことに酷く動揺する。
それと同時に、何だか嬉しくなった。母の存在が、心地いと、感じた。

「ありがとう。お母さん。」

「みっともないから、しっかり冷やして行きなさいね。」

私の言葉にフフッと笑うお母さんは、それだけ言うとさっさと部屋から出て行ってしまう。
その背中に心の中でもう一度、ありがとうと呟いておいた。


お母さんには、感謝してもしきれない。

何度、この人生でありがとうと、母に言ったことか。


―――…

「亜衣! 昨日はどうだった〜? 三井…涼太君だっけ? イケメン!」

三井…涼太…くん?

「えっとぉ…誰?」


だっ、誰だっけ!?
わたわたと焦っていると、隣の席に座った留奈ちゃんから溜息。

今は、そろそろ授業が始まるくらい。
今日は…三つの授業と、レポート提出するだけ。


「誰って、亜衣〜…昨日亜衣を送ってった人よ!!」

興奮気味に話す留奈ちゃんが怖い。
そんなに、興奮することないのに。


今回も短いです;;すみません。
いやぁ、大学ってよくわからない。というか、さっぱり。
なので私のイメージで書いているんで、違うかもしれませんが見て見ぬふりをお願いします←
そして、急なんですが…今ちょっと色々忙しく、ただでさえ遅い更新が遅くなりそうです。
そこまで日は開けず更新したいとは思ってるんですが;

125紅桜 ◆H2afPHIwUk:2010/03/20(土) 21:54:04 HOST:i218-44-33-37.s04.a013.ap.plala.or.jp


桜、舞う




――…

空を見上げた。

今ある、心のモヤがとれる気がして。

溜まった涙が、零れないように。


さわさわと木々が揺れ、ひらりと桜が舞う。


「どうして――」


どうして。

答えてくれる人は、もういない。


「好き、だよ…っ」


じわじわと浮かんでくる涙を、止めるすべはない。

だから目を閉じ、溢れ出る涙の感触を感じた。
拭ってくれる人も、もういない。


「…ふう…っ、好きだよ…好きぃ…っ」



もうすぐ、春が来る。

君のいない春が。

君と初めて出会った春が。


桜が舞うよ、ひらひらと。
その桜は、何処へ飛んで行くの――?


END

126紅桜 ◆H2afPHIwUk:2010/03/20(土) 21:58:23 HOST:i218-44-33-37.s04.a013.ap.plala.or.jp

突然現れたと思ったらいきなりなんだこれ。

そう思っていらっしゃる皆さん。

春ですよ、春!!((
もうすぐ春が来ちゃいますよ。

春と言えば、終りと始まりの季節。

てなわけで短編書きます。中編かもネ☆��

127紅桜 ◆H2afPHIwUk:2010/06/14(月) 23:09:42 HOST:i121-115-140-133.s04.a013.ap.plala.or.jp

春が来たと思ったら、もう夏っすねぇ…あ、その前に梅雨か。

さて、こんばんは!
いつも突然やってくる紅桜ですノ

って、何か独り言〜(汗

まあ、せっかく上げたんで書いてから落ちます(^^ゞ

*夏の、訪れ*


「あっつぃ〜!!」

教室は蒸し暑く、いくら扇いでも涼しくならない。

イライラするよー!

「健二ぃー!!暑いんですけど!どうにかしろー!」

隣の席に座る、幼馴染の健二に話しかける。
鬱陶しそうに此方に視線をよこす健二は、視線でうぜって言ってくる。

それに更にイラッと来たからフイッと視線を逸らしてやる。

「ちっ、んだよー?うぜーなっ!」

私のほっぺたを思いっきり掴んでくる。

「いぎー!止めてって、痛いよー!」

健二の体温が、頬から伝わってきて、ドキドキする。
顔が赤くなる。ぜったい今、変な顔をしてるよ…。

気づいてる?
あたしが、健二のこと好きだって――



それから少しして、一時間目が始まる。
チラリと健二を見やると、暇そうに頬杖なんてついちゃってる。

不意に、健二が此方を見る。
あたしと目が合うと、ふっと微笑み直ぐに視線を逸らした。

「〜〜っ!」

何今の、不意打ち…。

かっこよすぎ、でしょ…


一時間目が終わると、大きな音を立てて後ろのドアが開いた。

ギクリと、嫌な予感が走る。

「健ちゃん!ちょっといいかなー?」

やっぱり。

健二の方を見ると、手を振りながら後ろのドアのところに立っている“彼女”の方へ向かっていた。
その背中を見ていて、辛くなった。

何で彼女、出来ちゃったんだろう。
その隣はあたしの特等席だったのに。

そんな自分の考えが嫌で、空を見上げる。

雲ひとつない快晴。

その青空が、私の心の渦を払ってくれるかの様に、気持ちが落ち着く。


今、隣にいるのはあたしじゃないかもしれないけれど。

いつかその隣には、あたしがいるんだから!


END

128bvncv:2010/06/15(火) 00:15:37 HOST:91.84.197.134
鳩山由紀夫君のお爺ちゃんが・・・・・
(「コリアン世界の旅」 野村進 1996年 講談社 より)
家畜相手ならまだしも、人間に對しても、關東以西の大都市を
中心に、日本中に灰神楽が立つやうな勢で数多犯罪を重ねた。
川崎、濱松、大阪、神戸などが酷かった。其最も著しい、象徴
的事例に、元文部大臣、後の首相・鳩山一郎氏に對する集團暴
行・傷害事件がある。翁が軽井澤の静養先から帰京しやうとして
信越本線の汽車に乗って居たら、例の「朝鮮進駐軍」が後から
大勢、切符も買はず、鐵道員を突き飛ばし押入って來て、俺達
は戦勝國民だ、おまへら被支配者の敗戦國民が座って支配者様
を立たせるとは生意氣だ、此車両は朝鮮進駐軍が接収するから
全員立って他の車両へ移動しろ、愚図愚図するな! と追ひ立
てた。其で鳩山氏が、我々はきちんと切符を買って座ってゐる
のにそりゃおかしい、と一乗客として穏やかに抗議したら、忽
ち大勢飛び掛かって袋叩きにし、鳩山翁を半殺しにした 
幸にして重体にも重傷にも至らなかったが、頭部裂傷だか顔面
挫傷だか忘れたが、血に塗れ腫れ上がった痛々しい顔で帰京した。
直後に總理大臣に成る程の大物でも如斯 況や庶民に於てをや。
土地も屋敷も物資も操も、奪ひ放題であった 闇、賭博、傷害、
強盗事件が多く、殊には、空襲や疎開で一時的に空いてゐる土
地が片端から強奪された。今、朝鮮人が駅前の一等地でパチン
コ屋や焼肉屋を営業してゐるのは、皆、あの時奪った罹災者の
土地だ。

129紅桜 ◆H2afPHIwUk:2010/08/26(木) 21:11:40 HOST:i121-115-140-133.s04.a013.ap.plala.or.jp
放置すみませんでした、紅桜です!;

もう夏も終わりますねー…
これからはもっと頻繁にきたいと思います…((汗


『トモダチ』


友達って、何のためにいるの?

一々顔色を伺って、言葉を選んで…それって、本当に友達って言うの?

何が友達?
もう、わかんないよ…


「未紗!おはよー!」

ドンッと肩を叩かれ、咄嗟に振りかえる。
おはよ、と返すと声をかけてきたトモダチは当たり前のように私の隣を歩く。

これから気を使わなきゃいけないんだと思うと、気が重くなる。

これって本当に友達?

私は違うと思う。
じゃあこの関係を何という言葉で表せばいいんだろう。


わからない。
わからない。

別に私はこの子の事が嫌いなわけじゃない。
ただ、友達だと思ったことは一度もない。

そう思う私はおかしい?

だって、信じられないんだもの。

この子の事を、心の底から信じられるわけじゃない。


友達って、信じあえて、気を遣わなくて。
そういうのが友達でしょう?

私は日々、そんなことを想って過ごしている。
詰まらない日々だと人は言うかもしれない。

でも、私は信じてるよ。


いつか私の前に、本当の友達が現れることを。


END


いつもの如く、グダグダですね;;
まあ、久しぶりということで勘弁してください(笑)

それでは、また近いうちに。

130紅桜 ◆cajN.j7FOI:2011/02/11(金) 16:22:02 HOST:i121-115-140-133.s04.a013.ap.plala.or.jp


こ、こんにちは!

紅桜です;;
頻繁に来たいとか言っておいて全然来てなくてすみません;;

随分下がってしまいました…
最近掲示板自体遠ざかっていたので;

今日は時間がないのでこれだけ書いて終わりです;
また次来るときはかければと思います…!

また多分少し日が空いてしまうと思うのですが、なるべくあけないようにしたいと思います。
色々中途半端になってる小説も多いのですが、少しずつ続きを書いていきます!


それでは今日はこの辺で失礼します!


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