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+苦くて甘い、ラブストーリー…+

106紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/14(月) 22:54:49 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「永遠の誓ー中編ー」

それから個室に案内され、席に着いた。
個室も、とても煌びやかで…眩しい。

「緊張してる?」

クスクスと上品に笑う彼は魅力的。
こんな私が、一緒にいていいのかと思わせる程。

そう思うと、胸がキュッと締め付けられる。痛い、痛いよ。
俯きそうになる顔を上げ、にっこりと愛想笑いを返す。

もっとしっかりとした、笑顔を。こんなんじゃ、駄目じゃない。

「う、うん…こんな高級そうなお店…緊張しちゃうわ」

声が震える。…緊張のせい? 涙を、堪えているせい?
やばい。直感的にそう思い、ガタッと音を立てて立ち上がる。予想言う上に大きい音で、びっくりした。

「あ、の…お手洗いに、行っても…いいかな?」

「うん。出て右に曲がると、すぐだよ」

背を向け私が扉を開け出ていくのを彼が悲しそうに見つめていたことを、私は知らない。
どうして、気付けてあげられなかったの。なんて、愚かなの。

――…

涙を浮かべる自分の顔を見つめる。
なんだか、片思いしていた…高校生のときを思い出す。

あのときも、自分を貶し、蔑んだ。
無意味でしかないのに…このモヤモヤは、拭えないのに。本当は、そんなこと分かっているのに。

今にも零れおちそうな涙を拭って、作り笑いを浮かべる。
…あのときは、敬が涙を拭ってくれて…嬉しかったけど、驚いた。

それ以上に、ドキドキした。

でも、今は…不安ばかり。敬の言動が一々気になって、怖い…
どうして、この不安は拭えないのだろう。もう、不安になるのは、うんざりなのに。

「ねえ…どうして?」

答えが返ってくるわけないのに、鏡の中の自分に問いかける。
はぁ、と溜息を吐くと近くにあった椅子に腰かける。疲れてるんだ、きっと。
そろそろ戻らないと、彼に心配をさせてしまう。早く、戻らなきゃ。そう、思うのに。

「戻りたくない…」

こっちが、本音。いっそのこと、打ち明けてしまおうか。
不安で、敬と一緒にいるのが辛い。気を使い、神経を張り巡らしているのにはもう疲れたの、と。

こんなこと言ったら、自分勝手すぎるね。
私が自分の意思でしていることなのに。俺が知るか、って感じだよね。

でも、敬は優しいから。真剣にそれを聴いてきっと、こういうだろう。

「別れて」と。

バックを持ち、重い腰を持ち上げる。
痛いくらいに両手を握りしめ、拳を作る。視線を上にあげ、ふっと微笑む。

何度こんなことを考えたか。もう忘れてしまった。でも、今までとは、違う。
…彼の中で、最低の女になって…すぐに忘れてもらえるように…もう行ってしまおう。

長い、長い付き合いに、終止符を打とう。


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