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+苦くて甘い、ラブストーリー…+

89紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/10/01(木) 22:06:51 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時&君の隣+特別編+  「遊園地」side俊&雅人

俺が斉藤を日曜日に誘った理由。それは…特にない。
ただ、俺らって休日遊んだことねえじゃん、って思ったから。

誘うと決めたのまでは、良かった。けど…いざ誘うとなると…何か告白する見てぇに緊張するし。
やっと誘えたのが、日曜日の三日前。つまり金曜日。言い終わった俺は、すぐに屋上から出てしまった。恥ずかしさのあまり。

日曜日。俺は約束の時間のピッタリ10時についた。しかし、斉藤はもうそこにいたのでビックリ。
いやそれもビックリだったが、それ以上に吃驚なのは…私服姿。

少し赤みがかかった茶色のロングで低めの位置でツイン。二重で若干つり目がちな大きな黒色の瞳。
雪のように真っ白な、華奢な体。白い膝丈のシフォンワンピの上には長袖のジャケット。
その服装を見て、そういえば今日は少し寒くなるとか言ってたっけ、と頭の片隅で思った。

――…

最近、奈々と二人で出掛けてなかったなぁ。子供のころは公園とか毎日行ってたのに。
中学上がってからもうお互い忙しくなって遊ばなくなったんだもんな。としみじみ思ったのが、金曜の話。
だから。そんな単純な理由で土曜、つまりそう思った次の日に奈々を遊びに誘っていた。

待ち合わせ時間は、12時。何分か前に来ていた俺。そして年上の先輩から絡まれた、俺。
新島奈乃香っつって、バイト先の先輩。面白いこと大好きで実は姉御肌な彼女。だから俺に絡んできたのは冗談。彼氏持ちだし。
でもその時に丁度奈々が着ちゃって雰囲気が気まづくなったから、今度先輩をしっかり怒っておこうと思う。

それにしても。やけにお洒落だなぁ。
黒いサラサラなロングの髪はサイドで編み込み。長い睫毛に二重の大きな瞳。真っ白な肌、華奢な体。
片方だけおってあるデザインデニムに、水色のTシャツ、黒色の猫耳付き長袖パーカーとクールめな感じ。意外と似合ってるなぁ。


「西浦。どこ、向かってんの?」

不意にかけられた言葉に俺はニッコリと満面の笑みを斉藤へ向ける。斉藤がどんな表情をしたかは気にしない。
俺は一旦足を止め、ゆっくりと口を開く。

「遊園地!」

「え……?」

ポカーンッと口が開いてる斉藤。ついプッと吹き出すと軽く睨まれたので慌てて目を逸らす
ムッとしたまま何かを斉藤が言いかけたとき、俺は斉藤の手を握り歩き出す。

「ちょ…っ!?」

慌てたような驚いたような声が後ろから聞こえたが無視無視。もうチケット買っちゃったもんね♪
俺たちは(というか俺は)少し早足で遊園地へと向かった。

後ろでゼェゼェと呼吸を乱している斉藤。そんな姿を見て笑みが込み上げてくる。

「は…早すぎなのよッ! つか…ッ笑ってんな!」

思い切り睨まれ怒鳴られたが気にしちゃいけない。ちょっと申し訳ない気もするが…。
パン、と小さく音を立てて手を合わせると片目を瞑る。少し頭を下げ、斉藤を上目で見る。
少し顔が赤くなり、慌ててそっぽを向く斉藤。……どうしたんだろう。

「悪かったって! さ、入ろうぜ!」

強引に斉藤を引っ張って、いざ、遊園地の中へ!


「昼、何処で食う?」

「そもそも何処行くの」

「何処って…遊園地!」

「はい!? 遊園地? 雅人、私遊園地みたいな人の多いところは――」

慌てて奈々の言葉を遮って大声で笑ってみる。奈々はポカーンとした顔、周りはギョッとしてる。
やべぇ! 滅茶苦茶恥ずかしい! 遮るんじゃなかった!

「遊園地で飯食おっか!」

俺の言葉に渋々、奈々はうなずいてくれた。うーん…やっぱり遊園地は嫌だったか。
また奈々の手を握りなおすと遊園地までの道をただ無言で歩いた。それは何だか心地のいい沈黙だった。
そういや昔は休むことなく喋ってたなー…学校のこととか、色々。時間も気にしないで。あんときは楽しかったな〜。

「チケットは買ってあるから。はぐれるなよ、お前方向音痴だったろ。」

ニッコリと微笑みながら言ってやったら奈々はムッとした顔をしながらも顔を赤く染めていた。してやったり!
流石にこれ以上怒らすと一日中機嫌悪くなるからこの辺でやめておこうと口を噤んだ。
そして俺たちは遊園地の中へと一歩、足を踏み入れた。

第三弾終→第四弾も続くー★


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