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+苦くて甘い、ラブストーリー…+
88
:
紅桜
◆H2afPHIwUk
:2009/09/24(木) 18:41:43 HOST:i121-115-143-192.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時&君の隣+特別編+ 「ある晴れた日曜日」side美雪&奈々
それは、君達の出会いの日。
「斉藤、今週の日曜、空けとけよっ!」
噂はまだ、学校内に広まっていた。
そして私はいつものように、君の隣に腰かけていた。静かに流れていく、時間。
「え…うん。」
去り際、西浦はそう残して、屋上を出て行った。真っ赤な顔を隠す様に、早足に。
驚いた。学校以外で会うことは勿論ないし、しかも。彼が命令口調でそう言うなんて…。
でも、嬉しいことには違いない。御誘いだ。これを逃したらもうチャンスはないかもしれない。
日曜日は、絶対に開けておこう。
喜びが顔に出て少しニヤけながらも、心の中でそう強く決心。
―――…土曜日
「奈々ぁー…? 明日暇だろ?」
「暇? 確かに学校のことは一旦落ち着いたけど。」
「なら明日。出かけようぜっ!」
突然、何だろうと思ったけど。そう思う前にコクコクと頷いていたのは、無意識だと思う。
だって、雅人と休日…しかも明日に出掛けられるというならどんな用事があっても私は行く。
それに。
雅人は雅人なりに、私を元気づけようとしてくれているのに違いない。
この数日、色んな事がありすぎて確かに元気はない。頭の中なんて今にもパンク寸前だ。
明日は何を着ていこうか。
夕御飯だよっ、と部屋におばさんが入ってくるまで、ずぅっと私は様服を選んでいた。
―――待ちに待った日曜日。
今日は、西浦と出掛ける日。何だか世界がとても色鮮やかに見えるのは、気のせいだろうか。
いや、気のせいでは無い筈。だって、夜も眠れないほど嬉しいんだもん。ドキドキでどうにかなりそう。
このドキドキは不安何だろうか、楽しみで仕方がない、ということなんだろうか。私には、分からない。
「に、西浦っ」
約束の時間は、朝10時。勿論20分前に来た私の気持ちを、乙女の皆さんなら分かってくれるだろう。
彼が来た。約束の場所の、公園に。時間は、ピッタリ10時。ある意味すごい……。
「あ、斉藤! 待った…か?」
「う、ううんっ…いまき…た……ところ……」
嗚呼、カッコ悪い。まさか西浦の私服姿がかっこ良すぎて言葉が途切れたわけではない、絶対に。
西浦は、かっこいい部類だと思う。薄茶のサラサラのショート、高い背丈。瞳は優しそうな目尻が下がった黒色。
薄くこげ茶に焼けた肌は、そんな彼にとても似合っていると私は思う。
ゴクリ、そう唾を飲み込んだのは私だけでは無い筈。
――…
「まーさとっ? どおしたのこんなとこでぇ〜? 暇なのぉ? 奈乃香が遊んであげよーかぁ〜?」
見事に年上に絡まれている、目の前の私服姿の雅人。
………。
冷めた眼差しを向ける私にやっと気付いたのか慌てて目の前の彼女、年上のきれーなお姉様をやんわり断っている。
「………よ、よう」
「………。」
気不味そうに視線を逸らすと苦笑しながらそう言うとヒラリと片手を上げる、彼。
はぁ、と彼にばれないように小さく溜息を吐くと私は雅人を見つめる。
黒いサラサラのショート、切れ長の目。高い背丈に、真っ白な肌。お洒落に、伊達眼鏡何てかけている。
知的爽やか。いつか誰かが言っていた。確かにその通りだと思う。
でも。
注目を集め過ぎではないだろうか。あまりにも私が惨めじゃないかッ
いつか本当にこれは持っていかれてしまう、と本能的にそう思うと雅人の手をギュッと握った。
「……奈々?」
不思議そうに名前を呼ばれ、ふいっとそっぽを向く。目線だけ其方に向けてみると雅人は何だか嬉しそうに笑っていた。
何よ、嬉しそうな顔しちゃって! こっちの気持ちも知れっつーの。そう思ったけど、彼が私の手を引いてくれたのが嬉しかったので。
今回は我慢してあげる。
顔は不機嫌そうにしたままに、彼に手を引かれながらそんなことを思った。
第二弾終→第三弾も続いちゃうよ☆
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