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+苦くて甘い、ラブストーリー…+

83紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/09/13(日) 17:03:11 HOST:i114-181-184-70.s04.a013.ap.plala.or.jp
大切な時 +第四話+  「絶望」


「…嘘、でしょ?」

冗談だと、笑って。何真に受けてんだよ、って…笑ってよ。どうしてそんな悲しそうな顔するの。
やめてよ。嘘だって言ってよ…だって、お父さんとお母さんが………そんな筈、ないじゃない。

「…俺も、確りとは知らないんだ。けど、母さんが…泣きながら言ってたから、本当だと思う。」

…目の前が、真っ暗になった気がした。雅人のお母さんは、滅多に泣かないし、強い人。
嘘なんて付かない、とても優しい…人。

「…お父さん……お母さん…」

――…膝の力が抜け、私はその場に崩れた。

「おい、奈々?!」

焦ったような雅人の声は、とても遠く感じた。何故か涙は出て来ない。


私は…どうしたらいいの? 何処へ行ってしまったの? …ねえ、誰か教えてよ。
借金って何? 如何して、教えてくれなかったの? そんなに私って、頼りなかった?

胸が苦しい。息が上手くできない。これは本当に、私の体…?
頭が痛い。吐き気がしてきた。――如何して私置いて行ったの。私じゃ、お荷物だから?

「奈々……」

今じゃそんな雅人の声も、聞こえない。大袈裟? ただ両親がいなくなっただけ? まだ生きている?
違う。そんなことを悲しんでいるんじゃ、ない。私が悲しいのは…悔しいのは。



――家族として、認めてもらえ無かった。



だから、私をおいて行ってしまった。
そうでしょ? お父さん、お母さん。私、認めてもらえなかったんだよね?
それが違ったら、邪魔だったんだよね。何をするにも、お金がかかって……疲れちゃったんだよね。

「雅人」

いきなり顔を上げて自分を見た私を心底驚いたように見る。それは泣いていなかったから? それとも。
私が、笑っていたから自棄起こしたんじゃないか、って思ったから? 自棄なんて起こしてない。
もう、諦めちゃったの。両親のことは。お父さん達が私を認めてくれないのなら、私だって、認めない。
ただ、それだけのこと。…まあ、十分自棄起こしてる、って言えるけどね。

「…おばさん、何か言ってた?」

「…へ?」

「私のこれからのこと。これじゃこの家にも、いられないし。」

「あ、嗚呼…」

きっと雅人が想像していた私とは違ったから、驚いてるんだろうな。
そんな雅人にニコッと微笑んでみると雅人は悲しそうに微笑んだ。

私、確り笑えていなかっただろうか。

大切な時 +第四話+「絶望」終


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