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+苦くて甘い、ラブストーリー…+

101紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/12/03(木) 20:56:14 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
「憧れから始まった恋ー中編ー」

放課後。

職員室に行くために腰を上げると、由香ちゃんが話しかけてきてくれた。

「亜衣、そのプリント…結構量あるけど…大丈夫? 私が持っていこうか?」

じゃあ一緒にもって行こう、そういいかけた口を閉じる。
確か今日は…由香ちゃん、早く帰らないといけない日だったはず。

急いで首をぶんぶんと横に振ると、ニッコリと笑みを浮かべる。

「由香ちゃん、今日は早く帰らなきゃ駄目でしょ? 大丈夫だよ。先に帰ってて?」

「――……んー、…じゃあ、何かあったら電話かメール頂戴。じゃあね!」

最後まで渋っていたようだけど、由香ちゃんは心配そうな笑みを残した後、帰って行った。
過保護だなぁ…。でもそんな由香ちゃんも好きだなぁ…。

「さてと…行かなきゃ。」

由香ちゃんの言った通り、量の多いこのプリントの束を持ち上げると教室を出た。
校内は微かに残る人と、校庭で部活をしている人の声だけが響いていた。

暗くなる前に帰らなきゃ。

パタパタと急ぎ足で職員室までの道を歩くと、階段を上る。
そして突然、肩に衝撃が走った。

え…っ?

その時にはもう時既に遅し。

私は階段の上から、落ちていた。

「……っ由香ちゃ…」

咄嗟に、彼女の名前を呼んだ。
打ち所が悪くて、死んでしまったら…そう思ったら由香ちゃんの顔が思い浮かんだ。

由香ちゃん。由香ちゃん。由香ちゃん…っ!

そこで意識は途絶えた。

今思えば、とっても大袈裟。しかも家族じゃなくて、一番先に由香ちゃんを思い出すなんて。
それにその時は、私に誤ってぶつかってしまった敬くんが少し間に合わなかったけど、かばってくれたから。
その時にはもう私、この人に恋してたんだなぁ、きっと。

目が覚めたのは、もう辺りが真っ暗で…。

最初に飛び込んできたのは、由香ちゃんの泣きそうな顔だった。

「あ、亜衣! おばさん、おばさん! 亜衣、目覚ました!」

「あら、本当? というか由香ちゃん、これくらいのことで泣かないでよぉ。軽い骨折よ?」

「何言ってんのおばさん! 亜衣はいつもいつも怪我して…骨折でも私にとったら…っ」

というか、泣き顔だった。
今のやり取りを見て、私また…怪我したんだ、と思った。

いつもドジばかりする私は、怪我が絶えない。骨折も何度か。
そのことにお母さんはもう慣れてしまい、心配はしてくれるけど少し呆れてる。
でも由香ちゃんは私がちょっと怪我をしただけでもすっごく心配してくれる。

「大丈夫だよ、由香ちゃん。もう慣れっこ。」

「お願いだから、慣れないでー! 心臓、持たないってば…はぁ」

やっと泣きやんだ由香ちゃんは近くにあった椅子にポスッと座り込んだ。
何だか、由香ちゃんを見て安心した。また由香ちゃんを見れて、安心した。

「えへへ。でもね、私。死ぬかと思っちゃった。階段から落ちるのは初めてで…」

「死…っ!? そ、そんなに恐かったの!? ごめん、ごめんね亜衣…!!」

笑って、軽く言ったつもりが由香ちゃんはまた泣き出してしまった。
…由香ちゃん…そんなに心配してくれたの? こっちこそ、ごめんね…。

「由香ちゃん、泣かないで? 私、由香ちゃんの笑顔が見たい」


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