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+苦くて甘い、ラブストーリー…+

94紅桜 ◆H2afPHIwUk:2009/11/22(日) 19:07:32 HOST:i121-114-126-244.s04.a013.ap.plala.or.jp
短編 「友達の彼氏ー前編ー」


そっと、貴方のすらりとした、無駄のない肩に触れる。
そしたら君は、ふわりと…優しく、柔らかく…大切そうに私を見てくれる。

でも

でも私が望んでいるのは、そんな眼差しじゃないの。

私が望んでいるのは、そう。亜衣を、貴方の彼女を愛しそうに見つめる、その瞳なの。
でも彼が私をそんな瞳で見てくれることはない。だって…彼女がいるんだものね。

何度、貴方の隣に…彼女にしてほしいと願っただろう。

何度、亜衣に嫉妬しただろう。

何度、貴方に「好き」と言われたいと思っただろう。


数え切れないほどの、私の思い。

いつか伝わることを、でも伝わらないでほしい。そんなハッキリとしないこの思い。

溢れそうなこの思いは、どこに捨てれば、良いのですか……。


「亜衣、教科書見してくんねぇ?」

「亜衣、宿題見せてくれ、お願い!」

「亜衣、弁当一緒に食おうぜ!」

全部、全部。元は私の仕事だったのに。
そうお願いしてくる場所は、私だったはずなのに。

「亜衣、好きだよ」

「亜衣は今日も可愛いなぁー!」

「亜衣、世界で一番愛してる」

一度でいいから、言われてみたかった愛の言葉。ねえ、亜衣にそんなこと言わないで。
私にも言って。好きなの、好きなの。 こんなに思ってるのに、どうして貴方は離れてくの?

「松本ー? どうしたボーッとして! お前らしくもない!」

貴方は、私の何を知ってるって言うの。何も知らないでしょう?
どんなに知ってほしいことも…知らないでしょう?

好きなのに。

「何でもないよー!」

でも、それを言えない私にも非がある。如何して言えないの、私。弱虫、弱虫!
無意識に言葉を並べ、作り笑いを浮かべ、彼と会話をする私は、とても惨めで、滑稽。

耳を塞ぎたい。泣き叫びたい。このいつまでも開かない役立たずな口を切り落としてしまいたい。
そう思っても、どれも実行できない私は、愚か者。

どうせ嫌われたくないんでしょう。
嗚呼、何て弱い生き物なの、私は。


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