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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●
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プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
ごあー。
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http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1265.jpg
ポニテをバラかせたこういうのってなんて呼ぶんだろうねっていう落書き
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>>752
勝気の精一杯の女の子らしいファッションで変換されたgj
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俺は無口で脳内再生されたぜ。なんか矛盾してる気がするけど萌えたから気にしないぜ。
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バックウェイトだったかな…覚えてないや
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本スレ落ちた?
妄想GJだったぜ
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《朝》
「…ほら、さっさと起きなさいってば」
「ん…あと十五分待ってくれ……」
「バカ、遅刻する気?もうとっくに7時回ってるわよ」
「………ちっ。毎朝ご苦労な事だな本当に」
「起こしにこさせといてその言い草?本当にダメ男なんだから」
「別に起こしに来いとは言ってないだろ。俺は多少遅刻してもゆっくり寝ていたいんだが」
「私は遅刻したくないの。それにアンタの寝顔見るのだってもう習慣になっちゃってるんだから」
「…ん?」
「ほら、さっさと用意しなさいよ」
《昼》
「昼飯だーっと。さあて弁当弁当〜…」
「昼休みになった途端やる気出すわよねアンタ。もう少し勉強に熱向けたら?」
「余計なお世話だ。……おいかなみ、弁当箱開けたらしいたけ入ってたぞどういうことだ」
「美味しそうでしょ?」
「…お前、俺がしいたけ嫌いなの知ってるだろ?」
「だから入れてあげたの。好き嫌いが治るように」
「オカンかお前は。…ほら、しいたけなんて魔の食べ物だ。そっちにくれてやる」
「あっ…全く、いつまで経っても子供ね、ホント」
「何度も言うが余計なお世話だ。旅行中の両親に代わって弁当作ってくれるのはありがたいが、もう少し幼馴染なりの考慮ってものを入れてくれ」
「却下」
「何故だ!」
「それはアンタの嫌がる顔を見るのが楽しみだから。ま、困った顔が可愛くて好きとも言えるんだけどね」
「…ん?」
「はい、しいたけは返すわ。好き嫌いはよくないから私のも食べなさい」
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《夕方》
「……遅い」
「悪い、そこで山田と話し込んじまってな」
「ま、いいけど。それじゃ帰りましょ」
「ん。…ずああっ!」
「どうしたの?」
「アイツに借りたCD返しとくの忘れてた!ちょっと戻るから先帰っててくれ!」
「いいわよ別に。ここで待ってるから早く来なさいよ」
「間に合った?」
「なんとかな。…しかし、待ってなくてもよかったのに」
「…別に。私の勝手でしょ?」
「まあ、そう言われればそうだが」
「せっかく二人で帰ろうと思ってたのに、あそこで帰っちゃうなんてもったいないし」
「…ん?」
「ほら、ボケっとしてないで早く帰るわよ」
《夜》
「ほい、見たがってたDVD借りてきたぞ」
「ん、ありがと」
「しかし…かなみがホラー物とはな…」
「何?恐いの?」
「俺は大丈夫だが…昔は恐いの苦手だったろ、お前。お化け屋敷なんか門の前で石のように動かなかったからな」
「昔は昔、今は今。私の事をなんだって知ってると思わないことね」
「うーむ…なんだって知ってると思ったんだが…」
「それじゃ、私の3サイズは?」
「ちょろいちょろい。答えは「最近ウエストが気になって計ってない」だろ?」
「っ……」
「…殴るこたあないだろ、殴る事は」
「殴るだけで済んでありがたいと思ったら?」
「あ、その反応さては図星…あ痛っ!二度もぶったな!」
「殴られるようなことするからよ」
「はあー…どーして女性ってやつは体型の話になると暴力的になるのかねえ」
「そういう風にできてるのよ。特に大好きな人の前ではね」
「…ん?」
「はい、早く映画見ましょ」
「…ねえ友ちゃん。どうしてあの二人はいまだ幼馴染の立ち位置に甘んじているの?」
「そんな事こっちが聞きたいわ。今度拡声器と補聴器でもプレゼントしてあげましょ」
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>>758
最速でGJ!!
リアルタイムで立ち会えるとは珍しい
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《朝》で熟年夫婦かと思ったww
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http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1268.txt
ちょっと前に投下したやつをいろいろ書き直して上げときました
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妹可愛すぎる
GJ!
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>>761
変態って甘美な響きだな
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面と向かってだと恥ずかしすぎるので、鏡に向かって
『兄さん、こんな私にいつも優しくしてくれてありがとう。
私は、そんな兄さんが…お父さんよりも、お母さんよりも…世界で一番大好きです』
って言ってたら
「嬉しいなぁ、そんな風に思ってくれてたなんて、兄ちゃん感激だなぁ」
という声が聞こえてきたので振り向いたらニヤニヤしながら兄が立ってたので
『女の子の部屋を覗いた上に立ち聞きなんて、変態もいいところです! 最低です!』
とわめき散らしてたら、いきなり抱きしめられて
「兄ちゃんも、お前みたいな妹を持てて鼻が高いよ。
ありがとう。兄ちゃんも、お前のこと大好きだよ」
って耳元で囁かれ、更に頭なでなでの最狂コンボを食らってしまい
最終的には真っ赤な顔でぁぅぁぅ言いながら
『に、兄さんの…ばか……シスコン…』
とか罵りつつも満面の笑みで兄を抱きしめ返す敬語妹ツンデレ
をデジカメで撮影するカーチャン
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>>764
かーちゃんがGJwww
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>>764
すばらしい
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規制中なんでこっちに投下するよ
10レスだよ
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(自炊)ツンデレに騙されてみたら
プルルルル……プルルルル……
「誰からだろ…… 何だ。勝美ちゃんか。あとでいいや。えい」
プツッ……
「さてと……続き続き」
プルルルル……プルルルル……
「うるさいなもう。着信拒否にしちゃおうかな」
ピッ……
「お掛けになった電話番号は現在使われておりません。もう一度、番号をお確かめの上――」
『テメーふざけんじゃねーぞゴラアッ!!』
「うわっ!?」
『あたしがわざわざ電話してるってのに――…………』
「うるさいから少しの間受話器押さえとこっと。それじゃあゲームの方をちょっと片付け
てくるかな。どーせロクでもない用事なんだから」
〜5分後〜
「もしもし? スッキリした?」
『しねえよ!! てかお前どこ行ってた? 電話口にいなかったろが!!』
「うん。何か喧しかったからちょっと用事片付けてた。まだ何か言いたい事ある?」
『……いや、もういいよテメーは。それよか……ゴホッ……重大事なんだよ』
「重大事? 便秘とか?」
『違うっ!! テメーあたしナメてんの……ゴホゴホゴホ……』
「だってう○こ出ないって大変な事なんだよ。おなかの中に毒素が溜まって最後には死ん
じゃうんだからね」
『あたしはいつでも快便だ……じゃなくてっ!! つか乙女に何てこと言わせやがんだこ
んにゃろーっ!!』
「いやあ。勝美ちゃんは素直で面白いなあ。一応言っとくけど、僕はスカトロプレイには
興味全くありませんよ」
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『あたしだってねえ!! じゃなくて……ゴホッ……ホントに重大事なんだってば。ちゃ
んと聞けよ』
「勝美ちゃんが可愛らしいミニスカのメイド服着て色っぽいポーズで『ご主人様……どう
ぞ、勝美をお召し上がり下さい……』って言ったら考えてあげてもいいなあ」
『ぜってーしない。てか、それだけやっても考えるだけかよ。どんだけケチくさいんだよ』
「その代わり、気持ちいい事はいっぱいしてあげられるのに」
『嘘付けこのドスケベの変態野郎。分かったもういい。お前と話しても時間の無駄だ。も
う頼まねーよ』
「そう。じゃあ忙しいからもう切るね」
『ああ。じゃあな。ってか、そこで食いつかねーのかよ!! どんな重大事だか知りたく
ないのかよ!!』
「勝美ちゃんの重大事より今の僕はブーンクエスト152の続きの方が重要だもん」
『あたしよりゲームかよ。つか152ってどんだけ人気ゲームなんだよそれ。聞いたことねーぞ』
「まあ、勝美ちゃんがどーしても僕に言いたいって言うなら聞いてあげてもいいけど。さ
っきの条件で」
『ふざけんな。しねーって言ってんだろ』
「じゃあ、もう切るよ。どんな重大事だか知らないけど頑張ってね」
『待て待て待て待て。分かった。百歩譲ってメイド服は着てやる。それでどうだ』
「えー。可愛いポーズもしてくれなきゃヤダなあ」
『ぐっ……この野郎。足元見やがって……』
「どうするの? 僕もう携帯持つ手がだるくなっちゃったよ。あと3秒で返事頂戴。
1……0……」
『待てよ!! カウント1からって3秒じゃねーだろ』
「どうでもいいよそんな事…… はい、答え」
『ぐっ…… 分かった。やってやる』
「了解。勝美ちゃんは素直で可愛いなあ。で、何?」
『テメーに褒められても嬉しくねえ。つか、テメーとバカトーク繰り広げてる状態じゃねー
んだよ……』
「うんうん。それで、重大事ってのは?」
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『実はよ…… あたしさ。風邪引いちまって……』
「嘘でしょ」
『何で嘘だって決めつけんだよ。こっちゃ、熱が出て頭くらくらしてんだぞ。喉も痛いし
……ゴホッ……』
「だって勝美ちゃんバカじゃん。バカは風邪引かないんだよ? 知ってる?」
『誰がバカだゴラアッ!! ゴホッゴホッ!! んなの迷信に決まってんだろが。信じる
方がどうかしてるぜ』
「信じてないけどね。ただそう言った方が面白いじゃん。勝美ちゃんがどういう反応する
かとか。まあ実に予想通りだったけどね」
『人をおちょくってんのかテメーは……』
「あれ? さっきからずっとそうだよ。気付いてなかった?」
『んだとコラアッ!! っと……それはもういい。お前の相手してっと日が暮れるからな』
「あれ? 新しい展開?」
『いちいち茶々入れんな。話が先に進まねーだろ。とにかく、あたしは今、すこぶる体調
が悪い。それは理解しろ』
「声の感じじゃ、どうも元気はつらつとしているようにしか聞こえないんだよねぇ」
『そりゃ、オメーがさっきから余計な事ばかり言ってあたしを怒らせてるからだろ。これ
でもかなり無理してんだからな』
「フーン。とってもそうは聞こえないけどね」
『こんな事でいちいち嘘付くか。で……だな。お前に頼みがあるんだよ……』
「ヤダ。さっきも言ったじゃん。僕、今忙しいって」
『マジなんだって。こんな状態だから、あたしは今ベッドから一歩も動けねぇ。なのによ。
その……風邪薬、切らしちまって…… うちはみんな普段風邪なんて引かねーから、置き
薬も期限切れのままでさ。で、こういう時に限って親父もお袋もいやしねえ』
「ふんふん。で?」
『だからさ。わりぃけど、その……薬……買って来てくんねーかな……』
「えー…… 僕がぁ?」
『……頼むよ……ゴホッ……ホントはあたしだってお前なんかに頼みたくねーけど……で
も、他に頼む奴いないんだよ……お願いだから……さぁ……』
「病院行けばいいじゃん。お医者さんに見て貰った方がいいよ」
-
『日曜だっつーの。救急行くほどでもでもねーし……』
「うーん……しょうがないなぁ……」
『来てくれんのか?』
「まあ、病人の頼みじゃあ断れないしね。種類は何でもいいの?」
『熱と喉に良く効くヤツで……頼む……』
「了解。30分くらいで行くから」
『……ゴメン。ありがと……な……』
「どうしたの? 柄にも無くしおらしい声出しちゃって」
『そうか? わかんねーけど……風邪で弱ってるから……かな……』
「それじゃ、また後でね」
『うん……頼む……』
ピッ……
「うーん……どうにも怪しいよね。あれだけ元気に怒鳴ってたのに、あのしおらしさ。い
かにも演技臭いけどな。でもまあ、それはそれで面白いから行ってみようっと♪」
ピンポーン……
「……あれ? 出ないな」
ピルルルル……ピルルルル……
「あ、勝美ちゃんからだ。もしもし?」
『……悪い。鍵、空いてるからさ。勝手に入ってくれ……』
「ん。分かった。それじゃあお邪魔しまーす」
ガチャ……
「勝美ちゃんは部屋かな? どれ……」
コンコン、コンコン。
「勝美ちゃん。いる? この僕がわざわざお見舞いに来てあげたよ」
シーン……
「あれ? おかしいな。まあいいや。勝手に入っちゃえ」
ガチャッ……
-
「失礼しまーす。ベッドが膨らんでるけど、寝てんのかな? おーい。起きろー。タカシ
君が見舞いに来ましたよー」
ユサユサ……
「ん? この感触、勝美ちゃんじゃない。これは、毛布を丸めただけの……」
『とりゃあっ!!』
「――――っ!?」
ドスッ!!
「あいっ……たぁ……」
『フハハ。どうだ、あたしのスピアーを喰らった感想は』
「ゴホッ…… いきなりタックルとか……って、風邪は……?」
『バカ言え。ガキん時から一度だって風邪引いた事のないあたしが、熱なんて出すわけねーだろ』
「ひっどいよ。騙すなんて。風邪だって言うから、使い走りもしてあげたのに……」
『ひどいって言うのは、普段のテメーの行いの方だろ。それに比べりゃ、まだまだこんな
もん、序の口だぜ』
「うー……別にひどい事なんてしてないけどなあ。親愛の証だよ」
『お前に親愛とか言われたくねー。てか、絶対にお断りだ。まあ、まだこんなもんじゃねーけどな』
ガシッ!!
「わっ!? ちょっとちょっと!! 痛いよ痛いってば」
『どうだ。この変形足4の字は。WWEでHBKが使ってるのを見て研究したんだぜ』
「そういえば最近、ケーブルテレビで夢中になってたっけ。あいたたたたた。ギブギブギブ!!」
『はえーよ。情けねーな。まだ完璧に決まってないってのに』
「ええー? これでも十分痛いよぉ」
『外して欲しかったら、今後一切あたしの事をからかったりしないと誓え。でなきゃ、完
璧に入れるぞ』
「うぅ〜…… でも勝美ちゃん。こんな事して僕に言う事聞かせて、嬉しいの?」
『何言ってんだよ。あ、当たり前だろ。テメーにゃ散々煮え湯を飲まされて来たんだから
な。今復讐しておかないでいつやるんだよ』
「そうじゃなくてさ…… 騙し討ちみたいな卑怯な手、勝美ちゃんが好むとは思えないんだけど」
『仕方ねーだろ。裏切る裏切られるはプロレス界じゃ当たり前の事だしな』
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「正々堂々と勝負仕掛けるのが、勝美ちゃんだと思ったんだけどな。それとも、マトモに
やったら、僕に勝てないと思ってるから、こんな手段で来たの?」
『うっ……べ、別に勝てない訳じゃねーけど、あたしよりちっちゃくてガキっぽい顔して
ても男だからな。油断する訳にゃいかねーし』
「だったら今からでも遅くないよ。まともに技の掛け合いやろ? それで僕が負けたら、
本当に勝美ちゃんの言う事聞いて、もう二度とからかったりバカにしたりしないよ」
『それはいいけどよ。もしお前が勝ったらどうすんだよ。勝負し掛けるには、もちろん何
か要求してくんだろ?』
「それは大丈夫。一つだけ、僕の言う事聞いてくれればいいから。ちなみにエッチな事は
言わないよ。S×Xさせろとかフェ○チ○しろとかさ」
『当たり前だ。この性犯罪者野郎。つか仮にも女の前でペラペラとそんな言葉口にすんな!!』
「勝美ちゃんは純情だなあ。全く」
『純情言うな!! 可愛い面で卑猥な言葉をしゃべるお前はエロ餓鬼そのものじゃねーか』
「で、どうするの? 僕に勝てる自信があるなら、もちろん飲むよね?」
『分かったよ。やってやらあ。ほら』
「うう……イタタタ…… 勝美ちゃんのせいで、試合開始前から重傷だよ……」
『大げさな事言いやがって。ほら。立てよ。とっとと試合開始だ』
「足が痛くて上手く立てないよ。手、貸してくれない?」
『甘えんな。今のあたしとテメーは敵同士なんだ。自分で立て』
「もう十分ダメージ受けてるんだよ。それくらい情け掛けてくれたっていいじゃん」
『分かったよ。拗ねんな。ほらよ』
ギュッ!!
『ちょっ!? バ、バカ。強く握り過ぎだろ!!』
「勝美ちゃん」
『な、何だよ』
「試合開始だよ」
グイッ!!
『わっ!? わわっ!!』
「背後貰った」
ギュッ!!
-
『こ、この野郎!! 卑怯だろ!! グッ!!』
「スリーパーホールド、決まりそうだけど、どうする? ギブする?」
『ふざけんな。このくらい……』
「フーッ……」
『みゃあっ!?』
「クスッ……相変わらず、耳の後ろが弱いんだね」
『ふざ……けんな……』
「どうする? タップしないと落ちちゃうよ。ほら」
ギュウウ……
『ぐ……ぞっ……』
バンバンバン!!
「やったあ!! 僕の勝ちだね」
『汚ねーぞ。この野郎不意打ちとか……』
「油断してた勝美ちゃんが悪いの。成立した時点で勝負はもう始まってるんだから。そうでしょ?」
『こんのヤロー……ゲホッ……好き勝手言いやがって。うう……頭クラクラするぜ……』
「安心して。無茶なお願いはしないからさ」
『一体、その……あたしに何させる気なんだよ?』
「勝美ちゃんが言った事をそのまま実行して貰うだけだよ。僕はその為に来たんだからね」
『あたしが言った事? 何だよそれ?』
「勝美ちゃんは病人なんでしょ? 高熱出して大変なんじゃん。だから、その通りにして
貰うからね」
『ちょっと待て。あれは嘘で……』
「今更ダメだよ。言う事聞くって言う条件なんだから。少なくとも今日一日は、病人とし
て僕の手厚い看護を受けて貰うからね。ほら。まずはパジャマに着替えて」
『待てよ。それはいいとして、いつの間にあたしのパジャマ手に取ったんだよ。つか何で
お前が持ってんだよ。それじゃ着替えたくても着替えらんねーだろが』
「もちろん、僕が着替えさせてあげる為だよ。高熱でフラフラなんでしょ? だからさ」
『こ、このドスケベ野郎!! それが目的か。つかエッチな事しねーって条件だろ』
「これはエッチな事じゃないもん。失礼だなあ。純粋な医療行為だよ」
『そんな言い逃れ聞くかこの変態!! 着替えてやるからさっさと出てけ』
-
「ダメダメ。さ、大人しくして。でないと、無理矢理って事になるよ」
『わあっ!! や、やめろこのバカ!!』
ドスン!! バタン!!
「ダメだってばぁ。病人なんだからジッとしてないと」
『うるせーバカやめろってキャアッ!!』
「フゥ……何とか着替え終わったね」
『このドスケベ野郎…… ブラまで剥ぎ取りやがって……』
「だって寝る時窮屈でしょ? ましてや風邪引いて辛いんだからね」
『バッチリ見やがって……もうお嫁にいけねーよ』
「大丈夫大丈夫。何とかなるって」
『他人事のように言うなあっ!! ちくしょおおおおおっっっっっ!!!!!』
「いいから、ほら。とっとと寝て。暖かくしてないと、熱が上がるよ」
『だから熱なんてないってのによぉ…… チクショウ。こんな事になるならアイツ嵌めよ
うなんて考えるんじゃなかった……』
「うんうん。素直が一番。それじゃあ次は、お薬を飲もうか」
『薬!? いやいやいや。そんなのいらねえ。絶対ヤダ!!』
「何で? お薬飲まないと、良くならないよ」
『あたしは英語の勉強よりも薬が嫌いなんだよ!! 頭痛も腹痛も全部気合で治してきた
んだ。だからいらねーって』
「だって、自分から買って来てって言ったじゃん。だから僕、一生懸命いいお薬探して来たのに」
『あれはお前を家に来させる為の方便だっつーの。と、とにかく飲まねえものは飲まねえ
かんな。例え病人でもだ。一晩寝てりゃあ治る』
「ダーメッ!!」
ドスン!!
『グエッ!! おま……上から圧し掛かるとか何考えてんだよっ!!』
「これで逃げられないよね。さ、あーんして。僕が飲ませてあげるからさ」
『嫌だ嫌だ嫌だ。絶対飲みたくねえ』
「ダメだって。どうしても口開けないなら、無理にでも飲ませるよ」
-
『お断りだ。絶対口なんて開けねーからな』
「しょうがないなあ……」
ピッ!! サーッ……
『へ? 何やってんだよお前。自分で飲んじゃ意味ねーだろ? それとも、自分が先に飲
んで平気だって所を見せればあたしも飲むとでも思ってんのか?』
「ううん。こうふんの」
『へ? ちょ、何顔近づけ……まさか――――んっ!?』
チュウウウウウウウッ!!
『んーっ!! んんーっ!!』
クチュクチュ……チュバ……チュッ……チュル……
「ぷはっ。はい、これでお薬完了。偉かったね、勝美ちゃん」
『苦えええええっ!! 何だよこの苦さは!! オエッ!! 水、みずーっ!!』
「あ、ゴメン。忘れてた」
『忘れてたじゃねえっ!! ううううう……おまけに口移しとか……し、信じられねぇ……』
「勝美ちゃんがどうしても口開けないって言うから、それだったら舌でねじ込むしかない
かなぁって。でもこれで大丈夫だね。後は栄養付けて、一晩ぐっすり寝ればきっと良くなるよ」
『オエ……オエッ……苦過ぎてじぬ……』
「良く効くお薬だからね。その代わりすっごく苦いけど。勝美ちゃんの為を思って買って
きたんだから」
『うぞだ絶対嫌がらせだ……』
「ごはんは僕が特性のお粥を作ってあげるから。でもその前に体拭こうか。無茶して動い
たりしたから、大分汗掻いて汚れちゃったでしょ。今、お湯とタオル持って来るからね」
『冗談じゃねえっ!! これ以上あたしを慰み者にする気かよっ!!』
「ヤダなあ。看病だって、看病。あ、そうそう。ベッドから出たりしちゃダメだよ。逃げ
たらどうなるか……分かってるよね(ニッコリ)」
『うう。超悪魔の微笑だ。絶対お前、地獄に落ちるぞ』
「その時は勝美ちゃんも道連れだよ」
『何であたしがっ!!』
「さて、ちょっと準備してるから、大人しく待ってるんだよ」
バタン……
-
『冗談じゃねえ。あの野郎、治療とか言ってやりたい放題しやがって。これ以上辱め受け
てたまるか。逃げるぞ』
「ふーん。どこへ?」
『決まってるじゃねーか。とりあえずアイツの手の届かない所っつったら、他の友達んと
ころにって、おわっ!?』
「こんな事だろうと思った。はい。ベッドに戻ろうね」
『うわああああ!! バカ!! 離せこの野郎』
「良かったぁ。こんな事もあろうかと、拘束具をちゃんと持って来て」
『ベッドに縛り付けるとか何考えてんだよ!! 離せこの野郎!!』
「ダメだよ。今度こそ、準備して来るから、ちゃんと大人しく待ってるんだよ」
「さ。準備出来た。それじゃあ始めようか」
『止めろーっ!! この変態野郎がっ!!』
「だから、純粋なる看病だって。顔から足先まで、丁寧に拭いてあげるからね」
『だからやめ……あつっ!!』
「気持ちいいでしょ? ジッとしててね。顔から順々に拭いて行くから。でも、先に上だ
けでも脱がしておこっか」
『いや、だからダメだって。やめ……』
終わり
CSでWWE見ながらボケーッと妄想してただけなのに、どうしてこうなった?
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音速でGJ!
その後、体を拭いてもらっている勝美が感じてきて(ry
って展開はまだですか?
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俺の中では完結してるぜ!
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山「うはwwwww俺は誰にも止めらんねーおっおっwwwww」ブーン!
?『そこまでよドーパント!』
山「(^ω^)おっ?」
か『ちなみっ!』アッパー!
ち『うい……』ダウナー!
ジャキーンジャキーン
アッパー!
ダウナー!
ジャッジャラジャラージャーラーラー
W『『二人で一つの!ツンデライダーW(ワロス)っ!』』
ち『あぅ……』フラッ
タ「おっと危ない」ガシッ
W(か『さぁ、アンタの罪を……ってちょっとタカシ!羨ま…じゃなくて、ちなみの体に何してんのよー!』
W(ち『タっ……タカシが……抱き…抱……あふぅ///』ボッ
タ「いいから早く戦えー!」
山「(;^ω^)(何しに来たんだおこいつら)」
友『はっ、まさか私が照井ポジション!?いやー!』
かっとなってやった
他にも尊大とかお嬢とかやりたかったけどメモリ名が思いつかんのでパス
ああ、本スレに書きたい……
-
最近描いてなかったら思った以上に描けなくなっててワロタ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1276.jpg
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>>781
全力でクッキーをあげた
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>>781
メガネツンデレかわいいよメガネツンデレ
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>>781
じょーだんに決まってるだろとかいってクッキーわたしました
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>>780
ライダー好きな俺から誠心誠意のGJを送るww
>>781
お前俺の嫁を盗撮いくないぞ
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ちょっと前に本スレでツン100%についての話題みたいなのがあったけど
個人的にツン100%ってこういう物だろと思って妄想してみた。
7レスで
-
・ツン100%ツンデレ
私には、クラスでたった一人、苦手な人物がいる。
別府タカシ君という、男子生徒だ。
「よう。おはよう、椎水さん」
朝のホームルーム前、登校してきた彼と教室の入り際に行き会い、声を掛けられた。
しかし私は、そのまま答えることなく、彼に視線も合わせずに席に着いてしまう。
後ろで、彼と一緒にいた友人の男子生徒の声が聞こえた。
「あらら。椎水にまたシカトされてんのかよ。つか別府もよく声掛けるよな。完全に嫌
われてるってのによ」
その質問に、彼は気にしてない風に答えた。
「まあ、挨拶くらいはな。向こうが返事するしないは関係ないって。こっちの気の持ち
ようだからさ」
「へえ。立派なやっちゃな」
その言葉を聞いて、私の胸が少し、ジン、と痛んだ。違う、と心の中で小さく呟く。
別に別府君の事が嫌いな訳じゃない。ただ、何故か私は、彼と真正面に向き合うと、息
苦しくて仕方がないのだ。声を聞くだけでも、心臓がキュッと窄まるような、そんな感
覚を覚えてしまう。ただおはようって返すだけなら出来なくもない。だけど、挨拶を返
すと、そのまま会話が始まってしまうそうで怖いのだ。だから私は、今朝も、そして明
日からも、彼の挨拶を無視し続けて終わってしまうのだろう。
そんな私だから、一度席が隣になった時は大変だった。気軽に周囲と挨拶を交わす彼。
私は、机に肘を付き、手を組んでその上に額を置き、俯いて黙っていた。どうか、別府
君に声を掛けられませんようにと願いながら。
「椎水さんも、宜しくな」
-
願いは叶わず、私の頭上から声が降り注ぐ。その途端、体がビクッと反応した。しか
し、私は彼の方を向かなかった。視線が合えば、きっと体が痺れてしまうに違いない。
だから私は、いつものように完全に彼を無視してしまった。少しの間、別府君が返事を
待つ気配が感じられたが、最初から諦めていたのか、すぐに他の人の所に行ってしまった。
――たかが挨拶くらいなのに……ダメだな私は……
結果として、苦い思いだけが心の中に残るのだった。
しかし、いかに避けようとも同じクラスである以上、会話をしなければならない事を
言うのは多々あるわけで、別府君と席が隣同士だった頃、こんな事もあった。
「あれ……おかしい。ないな……?」
英語の教科書が、机の中にも鞄にも見当たらない。確かに昨夜、勉強をした後ちゃん
と仕舞ったはずなのに。そう思って鞄の中をもう一度見返すと、今日は授業がないはず
の物理の教科書が入っている。
――うわ。英語の教科書と間違えちゃったんだ。昨日、眠かったからなぁ……
毎日教科書を持って帰っていると、たまにこういう事がある。鞄を閉めて机の横に引っ
掛け、さてどうしようかと考え始めた瞬間、横から声がした。
「椎水さん。教科書忘れたの?」
私が必死になって探しているのを横目で見ていたのか、別府君が勘良く聞いてくる。
声を掛けられた事に心臓がビックリしてドキドキし、緊張で全身が硬くなる。しかし、
こういう時は無視するとなまじっか相手の興味を引いてしまいかねないので、私は早口
で答えた。
『忘れた訳じゃないわよ。間違えて違う教科書を持って来ちゃっただけ。いいから構わないで』
感情を抑えてピシャリと言い切る。無論、顔は彼の方なんて見れない。私はこれで会
話を打ち切ったつもりだったが、別府君は、私にとってはとんでもない申し出をして来た。
「なら、俺の教科書貸すよ。ほら」
驚いて私は、反射的に別府君の方を見てしまった。穏やかな顔で教科書を差し出す彼
の姿を見て、それだけで何だか体温が1℃上昇し、心が息苦しくなる。私は慌てて視線を戻した。
-
『別府君はどうするのよ。なしで授業を受けるつもり?』
「ん、ああ。俺は何とかなるからさ。気にしないでいいよ」
その言葉に私はすぐにピンと来た。英語の授業は苦手なのか、別府君はその大半を寝
て過ごしているのを、私は知っていたから。
『寝るから、必要ないって事?』
即座にそう問うと、ちょっと気まずいようなそんな答えが返って来た。
「いやあ。まあ、そうっちゃそうなんだけど……」
『お断りだわ』
別府君の言葉に割って入って、私は言った。そして、彼が何か言う前に言葉を続ける。
『別府君が寝てようが何しようが私の知った事じゃないけど、サボりの片棒を担ぐよう
な真似はしたくないもの』
「いや。別にそんなつもりで言ったんじゃなくて――」
別府君が慌てて弁解するが、最後まで聞かずに私は一蹴した。
『どういうつもりかは知らないけど、結果的にそうとも取れるでしょ』
その言葉に、少し迷ってから、納得の行かない感じで別府君は同意の言葉を口にする。
「まあ、そう言われればそうなるけどさ……」
私は彼にはそれ以上話し掛けず、前に座るクラスメイトに声を掛ける。
『英子ちゃん』
『何? かなちゃん』
隣の男の子と今日は誰が差されるかで熱心に議論していた彼女は、幸いにもこっちに
は注意を払っていなかった。
『悪いけど、教科書……貸してくれないかな? 間違って家に置いて来ちゃったみたいでさ』
彼女は一瞬、私と別府君を見比べたが、逡巡は僅かで、すぐに頷いた。
『いいよ。あたしは戸成君に見せて貰うから』
私が何故か別府君を避けている事は、もう、クラスの女子は大体みんな知っているか
ら話はスムーズだった。
『ありがとう。今度何かお礼するね』
『いいよ別にこれくらい。戸成君。それじゃ悪いけど宜しく』
彼女から教科書を受け取ると、私はそれ以上別府君の方を見る事無く、素知らぬ振り
で教科書を広げたりするのだった。
-
また、こういう事もあった。たまたま偶然、私と別府君の委員が被ってしまったのである。
『体育委員? 何で私がそんなのに選ばれたのよ』
熱を出して休んだ翌日、学校に来て私はいきなり、友人からそんな報告を受けた。
『新学期早々、しかも委員を決める日に休むアンタが悪い。体育委員なんて、一番めん
どくさいんだから、余るに決まってるでしょうに』
『それにしたって、何で運動オンチの私なんかに……』
『別に体育倉庫の片付けとか、グラウンド整備とか、運動の出来る出来ないは関係ない
し。本当はクラス委員長にって話もあったけど、先生がそういうのは欠席者はダメって
言うからそうなったのよ。どっちが良かった?』
『う…… まあ、体育委員の方が、まだマシかな?』
委員長ともなると、集会時やロングホームルームでのクラスのまとめ役や会議の出席
など、仕事は多岐に渡る。はっきり言って各教科やその他雑用の委員などとは比較にな
らない仕事の多さだ。
『でもまあ、かなみにとってはそうも言ってられないかな』
思わせぶりな彼女の言葉に、私は眉を顰めた。
『ちょっと待って。それ、どういう事?』
すると彼女は、私の耳に唇を近付けて、声を潜めて言った。
『男子の体育委員がね。別府君なの』
それを聞いた途端、私の全身が一瞬、鋼のように硬直した。わずかにビクン、と体が跳ねる。
『何でまた、そんな事になったのよ』
心の中の動揺を覆い隠し、努めて冷静に私は聞き返す。
『普通にクジ引きで負けたのよ。どう? 委員長の方が良かったって思ったりする?』
ちょっと意地悪な質問を彼女はぶつけてきた。私は心を落ち着かせようと小さくため
息を吐いて、首を左右に振る。
『別に。どうでもいいわ』
『ありゃ? もうちょっと嫌がるかな、とも思ったのに』
何か少し残念そうな友人を見据えて、私はつまらなそうな態度を取る。
『係わらなければいいだけでしょ? 仕事なんて任期中にそうある訳でもないし、それ
だって、何も協力して仕事しなきゃいけない訳でもないんだし。それくらいなら我慢出
来るわよ』
-
『まーね。しかし何だってかなみは別府君をそんなに嫌うかなあ。あたしには理解出来んわ』
『人それぞれよ。そんな事は』
本当は私だって、嫌ってる訳じゃない。そう内心では思いつつも、一言、私はこう答
えたのだった。
実際には、口で言ったほど上手くは出来なかった。伝達事項なんかで、どうしても言
葉を交わさなければいけない事があったから。その時は、淡々と必要事項だけを伝えて、
私の方から会話を打ち切ってしまう。その度、何故か心の中に苦い想いが広がるのを、
私は認めざるを得なかった。それでも、どうにかこうにかやって来たが、ついに、そう
も言ってられない時が来てしまった。
それは、体育倉庫の整理を委員全員でやった時の事。同じクラスだから、当然私と別
府君は近い位置で仕事をする事になる。こういうのが私は凄く嫌だった。何故なら、他
の人たちは男女でも割合仲良くやってたりするのに、私たちは一切会話が無かったから。
非常に気まずいし、かといって会話が出来る訳でもないし。そんな悶々とした状況のま
ま、私は一つの問題に直面していた。
――これ、どうしようかな……?
私の前に置かれたのは、ダンボールに詰められた、古い野球のミットやらマスクだっ
た。まだ使えるからという理由で、倉庫の上に仕舞っておくよう言われたのだが、どう
せ使いもせずにいつか捨てる事になるのに、とうんざりする思いで見つめる。軽く持っ
てみた。持ち上がらないほどじゃないけど、重い。
――でも、仕舞うのは上の方なのよね。
周りを見ると、大体重い物は男子が片付けている。私も、別府君に一声掛ければいい
だけなのだけど、それが出来ないから困っているのだ。まあ、頼めない以上仕方が無い
と諦め私はグッと段ボール箱を持ち上げた。
その瞬間だった。
『きゃっ!?』
小さく悲鳴を上げてしまった。バランスを崩し、後ろに倒れそうになる。その瞬間、
肩と背中を背後から支えられた。
「あぶねっ!!」
-
その声に、私は首を捻って後ろを見た。倒れそうになった私を支えてくれたのは別府
君だった。
「大丈夫か? 一度、それを降ろして」
『う……うん……』
支えられている事に安堵感を感じつつ、私は荷物を下に降ろした。その途端、支えて
くれた別府君の手が私から離れた。
「全く。女の子なんだからさ。無理しないで、重い物は俺に頼めば良かったのに」
別段、咎めた口調では無かった。しかし私は、荷物を上の棚に収める彼の背中に向け
て、つっけんどんに答えた。
『今度からそうするわ。ありがとう』
そう言って、彼に背を向け、倉庫整理の仕事に戻ろうとした。その背後から、別府君
の声がした。
「あの……椎水さんさ……」
『何? さっさと作業に戻らないと、サボってるって怒られるわよ』
バッサリと切り捨てるような口調で聞き返しつつ、私はさっさと片付けに戻る。少し
の間を置いてから、別府君が言葉を続けた。
「あのさ…… 俺、何か気に食わない事とかしたかな?」
その質問で、彼が何を聞きたいのか、私には大体理解出来た。しかし私は、ワザとし
らばっくれるような問い返し方をする。
『何で……そんな事を聞くの?』
「何でって…… 椎水さん、俺の事を嫌ってるみたいだからさ。もし原因があるなら、
教えて貰いたいと思って」
『それを聞いてどうするの? 直せば好かれるとか思ってる?』
反射的に思った事を口に出してから、私は非常に嫌な言い方だと自己嫌悪に陥る。さ
すがに気になって、肩越しに振り返って彼の顔を窺う。予想通り、困ったような傷つい
たような顔をしていた。彼は小さく首を振ってから、決然とした口調で言った。
「まさか。そこまで上手く行くなんて思ってないさ。ただ、理由も分からずに嫌われる
のって、気になるじゃん。だからさ。せめて、気に食わない理由だけでも知れたらいい
なって。もしかしたら、他の女子にも不快な思いさせてるかも知れないし」
-
私との仲は改善しなくても、欠点を知り、それを直したいという気持ちは立派だと思
う。私なんて、自分で理解している欠点ですら認めたくないというのに。
しかし、彼に対する答えを、私は持ち合わせていなかった。何故なら、嫌う理由なん
てどこにもないから。彼を避けているのは、偏に私が臆病だからに他ならない。だから
私は、ある意味正直に、こう答えた。
『別に、理由なんて無いわ。だって、嫌ってはいないもの』
ちょっと驚いたような顔を、別府君はした。ずっと嫌われてると思ってる人から意外
な事を言われれば、それも当然だろう。
「なら、何で……」
自分を避けるのか。そう聞きたかったのだろうが、私は彼に言葉を被せるように言葉
を続けた。
『単純に、貴方の事が苦手なだけなの。向かい合ってるだけでも、おかしくなりそうな
くらいに。だから、貴方に原因なんて無いわ。あるのは私の方』
「そっか……分かったよ。生理的に、って事か……じゃあ、ま、仕方……ないよな……」
そう答えた時の彼の顔が辛そうで、私は顔を背けてしまった。
私は嘘を言った訳じゃない。ただ、誤解させるように言っただけなのだ。だって、彼
を目の前にして私の体がおかしくなる原因が、恋心からだなんて、言える訳無いもの。
こんな欠点だらけのつまらない女の事で、彼には悩んで欲しくないもの。それなのに、
結果的には彼を酷く傷付けただけだった。彼の顔に浮かんだ表情を思い浮かべるだけで、
私の心もズタズタになりそうな程に、酷く痛みを覚えるのだった。
終わり
ここまで避けさせると萌えは無くて、ただ辛いというか、痛いだけだなあと実感。
-
おいおい・・・続きは当然あるんだろうな!?
-
ツンデレの素直な気持ちが綴られた日記を見てしまって
それに気付かずツン100%のままのツンデレをそっと抱きしめてあげたい
-
確かに最強のアイテム『デレ日記』を使えば或いは……
-
つい、カッとなってタカシ。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1277.jpg
-
>>797
おいおい困るぜ、勝手に肖像権を侵害されちゃあはっはっは
泣いてねぇよ
-
ワロタww
-
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1279.jpg
-
凄く…GJです…
-
え
なんなのこれ
なんなのいったい
え
え
なんでこんなに
なみだがでるの?orz
-
一週間遅れのホワイトデーネタ行きます
-
(自炊)バレンタインデーにチョコを渡せなかったのにホワイトデーに男からプレゼントを貰ったツンデレ
今日はホワイトデー。一ヶ月前に男の人にチョコを渡した娘だけが浮足立つ権利を持つ
日。そして私にはその権利はなかった。
「はい、友ちゃんこれ」
『わ、ありがとう別府君。ちゃんとお返しくれるなんて思わなかった』
「何言ってんだよ。こう見えても俺は義理堅いんだぜ」
『いやー。あんな義理丸出しのチョコにねぇ。中身何?』
「クッキーだよ。つっても、詰め合わせで買った奴を人数分に包み直しただけだけどな。
部活の女子にも返さなくちゃいけないから」
『何気に人気者じゃのう。お主は。え?』
「だーっ!! つっつくんじゃねえよ。欝陶しいな」
そんなやり取りをこっそりとチラチラ眺めつつ、私は小さくため息をついた。
――あたしもチョコ……あげてたらなあ……
実は私だって、タカシ宛にチョコを用意してはいたのだ。それも義理なんかじゃない。
ちゃんとしたのを。
――友ちゃんとか他の娘がタカシにあげてるのを見て、タイミングを逃してるうちに、渡
しそびれちゃったのよね……
今更ながらに、あの日の苦い思い出が蘇る。今もあのチョコは、私の引き出しの奥にし
まい込まれたままだ。
――自業自得っちゃ、そうだけどさ……
重い気分でいるところを、火に油を注ぐ奴がやって来た。
『見て見てかなみっ!! 別府君からお返し貰っちゃった』
『あっそ。良かったわね』 つまらなさそうに私は答えた。こういう事を一々報告しに来
るのが、実にわざとらしくて、気に入らない。
『羨ましい? 何だったらおすそ分けしてあげよっか?』
『いらない。別に羨ましくもないっつーか、別にあんな奴から貰いたくもないし』
『まったまた。無理しちゃって。勇気出してあげれば良かったーって、今になって悔やん
でんじゃないの?』
『そんな事無いってば。変な妄想しないでよね』
-
友子の怖い所は、その変な妄想の90%が正解だという事だ。
「お取り込み中悪いけど、ちょっといいか?」
そこに、唐突にタカシが割って入って来た。私はびっくりして、声のした方を向く。
『キャッ!? ちょっと、びっくりさせないでよ』
私はワザとらしく睨み付けて文句を言った。正直、今日はタカシに話し掛けて貰いたく
ない。だって、寂しさが倍増するだけじゃない。
「悪い。すぐ済むからさ。はい、これ」
ちょっと照れた仕草で、タカシは唐突に綺麗にラッピングされた包みを私に差し出した。
『へ……何よ、これ……?』
私はキョトン、としてそれを見つめた。見た感じ、ホワイトデーのお返しに見える。し
かし、私はあげていないのだから、貰う権利も発生していないのだ。もしかしたら、タカ
シは勘違いをしているのかも知れない。見掛けに寄らず――無論、私から見ればカッコい
いけど――仲の良い女の子が多いタカシは、たくさんとまでは行かなくても、義理チョコ
をそこそこ貰っているから、それで私からも貰ったのだと。
『あのさ、あたしは――』
咄嗟に言い掛けたのを、タカシは手の平で制する。
「かなみからはさ。その……貰えなかったけど、でも、まあ日頃からお世話になってるし、
ついでってのもあるし、それにさ。まあ、くれなかった子に渡しちゃいけないってもんで
もないだろ。だからさ。ほら」
一応、勘違いではなかった訳だ。タカシが包みを押し付けるように差し出すので、あた
しは成り行きのままに、それを受け取ってしまった。
『まあ、その……くれるって言うんなら、貰ってあげなくもないけどさ……』
ちょっと呆然としつつ答えると、タカシはニッコリ笑って頷いた。
「良かった。いらねーって言われたらどうしようかと思ったから。それじゃ、邪魔したな」
そのまま立ち去るタカシを見送っていると、横から脇を激しく突付かれた。
『んきゃっ!? な、何すんのよ友子!!』
悪戯好きの友人を睨み付けると、彼女は唇を尖らせて文句を言って来た。
『ずーるーいーっ!! あげてもいないのに貰えるなんてさ。そんな幸運に預かれるのな
んて、かなみだけじゃないの』
-
『ずるいって、別にあたしからくれって言った訳じゃないもん。そんなの、タカシに文句
言いなさいよね』
すると友子は、ジト目で私をジッと見つめた。
『そんな事言って、ホントは嬉しいくせに。ニヤつきを我慢しようと、頬がひくついてま
すぜお嬢さん』
『えっ? ウソ。そんな事ないもん』
その言葉に、私は焦って頬を触る。すると友子がニヤニヤしながら指摘して来た。
『その態度から察するに、図星ってトコかね』
嵌められた事を知り、私の頬がカッと赤くなるのが、温度から感じられた。
『そんな事ないわよ!! 別にあんな奴のなんて、どーだっていいもん』
『じゃ、ちょうだいよ。どうだっていいんなら、いらないんでしょ?』
差し出された友子の手を、軽くペチンと叩く。
『それはダメ。一応、こっ……好意でくれたんだもん。食べなきゃ、その……失礼じゃない』
『じゃ、せめて中身見せてよ。つか、あたしのより包みおっきくない?』
さらに詰め寄る友子から、私は半ば必死で包みをガードする。
『ダメ。別に見せるもんでもないでしょ。開けたら仕舞うのもめんどくさいし。家で適当
な時につまむからいいの』
そんな私を前に、友子は肩を竦めて呆れたように言った。
『はいはい。そんなに独り占めしたいんなら勝手にしなさいな。お家でたっぷりと堪能なさい』
『んな訳無いじゃん。死ねこのバカ』
放課後、大急ぎで家に帰ると、私は自分の部屋でドキドキしながらタカシから貰ったホ
ワイトデーのプレゼントを開けた。
『うわ……何よこれ。何気に豪華じゃない……』
中に入っていたのは、有名洋菓子店のプチケーキだった。それが3つ。間違いなく、お
返しで他の子にあげてたクッキーなんかよりもランクは上だ。
『どうしよう…… こんなもの、貰っちゃっていいのかな…… あたしは何もあげてないのに……』
机の引き出しに入りっ放しの、本命チョコが私の脳裏に思い浮かぶ。今からでも渡せば
と、そう考えて私は首を振った。
-
『ダメよ。あんな賞味期限も切れたチョコなんて……』
でも、言葉とは裏腹に、心の中にチョコの占める比重はどんどん大きくなっていった。
ついに堪り切らなくなって、私は携帯のボタンをプッシュした。
「何だよ。いきなりすぐ来いとか呼び出し掛けやがって。今、ちょうど盛り上がってたと
ころだったのによ」
玄関先で私の顔を見るなり文句を言ったタカシを、私はキッと睨み付けた。
『アホくさ。どうせ山田とゲームでもやってたんでしょ? あたしの呼び出しとどっちが
大事なのよ』
「だからこうして来たんだろ。で、一体何の用なんだよ?」
『へっ……?』
最初の答えに思わずドキッとしてしまって、私はその後の言葉が耳に入って来なかった。
――だからこうして……って事は、あたしの呼び出しの方が大事って事よね? うわうわ
うわ……どうしよ。そんな風に思ってくれてたなんて……
「おい、かなみ」
『は?』
タカシの声に、盛り上がっていた思いが寸断される。何か水を差されたような気がして
一瞬イラッと来たが、その気持ちもタカシのより苛立ったような声に吹き飛ばされる。
「いや。は?じゃなくてさ。呼び出したからには用があんだろ?」
『えっ……と、う、うん。そうだけどさ。そんなに急かさなくたっていいじゃないのよ』
思わず自分の世界に入り込んで肝心のタカシを置き去りにした事を気恥ずかしく思いつ
つ、その気持ちを表に出さないように、私は敢えてぶっきらぼうに言った。
「何だよ。ここじゃマズイとかか?」
タカシが怪訝そうな顔で聞く。私はフルフルと顔を左右に振った。
『べ、別にマズイ訳じゃないけど、心の準備というか……』
「は?」
タカシは不思議に思うだろうけど、一ヶ月前に渡しそびれたチョコレートを今更になっ
て渡そうだなんて、凄く勇気が要ることなんだと、いざ渡す段になって、私は改めて認識
せざるを得なかった。
-
――うぅ……頑張れ、あたし…… たかがお返しじゃない。勇気出せ。せーのっ!!
心の中で掛け声を出してから、私はずっと背中に隠していたチョコを、タカシの前に両
手で差し出した。
『はい、これっ!!』
お願いします、みたいな感じで頭を下げ、体を僅かに前に傾けたまま、私は硬直した。
「これ……何?」
キョトンとした声でタカシが聞く。私は早口で、頭の中で準備していた言葉を言った。
『きょ、今日その……くれたもののお返しっ!! っていうか、やっぱり何にもあげてな
いのに貰うのって気まずいから。それで、その……バレンタインの時に間違って多く買っ
ちゃって余ってたのがあったから……だから、これ、あげる!!』
言葉を切ってからの間が、私には何千何万時間にも感じられた。
「えっと、その……」
困惑したようなタカシの声が、頭上から聞こえて来る。私は体がビクッと震えたが、タ
カシが受け取ってくれるかどうか分かるまでは、顔を上げる勇気も、声を出す勇気も持ち
合わせてはいなかった。
「悪い。ちょっと驚いちゃってさ。その……今になって貰えるとは思わなかったから。こ
れ……ありがたく頂くよ」
手からチョコの重みが消えるのと同時に、私は顔を上げた。するとタカシが、しげしげ
と包みを眺めているのが視界に入る。
『ちょ、ちょっと。そんなジロジロ見ないでよね。別に毒とか入れてないから』
気恥ずかしさを冗談で紛らわせようとしたが、タカシはそれに構わずに見つめ続けた。
「なあ。これさ。開けていいか?」
『ダメ!!』
タカシの問いを、あたしは即座に拒否する。中身見られたら、ガチガチの本命チョコだっ
てバレちゃうじゃない。いや、どっちみちバレるんだけど、ここで見られたらどんな態
度取っていいか分からなくなってしまう。
『家に帰ってから開けてよね。何もこんな所で開ける必要ないでしょ?』
しかし、タカシはワザとらしく、包装紙を止めているテープを爪で軽く引っ掛けつつ、
言った。
「いいじゃん。ちょっと中見たいだけだからさ。な?」
-
『ダメダメダメ!! ダメッたらダメだってば!!』
他人が見たら、むしろ怪しまれるくらいに必死になって、あたしは拒否を続ける。
「何でだよー。てか、受け取ったからにはもう俺のもんだろ? だったらどこで開けても
構わなくね?」
『ここはあたしんちなんだから、していいかどうかはあたしが決めんの!! だからダ
メ!! 絶対にここで開けちゃダメ!!』
しかし、こんだけ必死になったのに、あたしの目の前で包装紙がペラリ、とめくれた。
「やべ。テープに爪かけてたら、剥がれた」
『バカーッ!! 今すぐ直せ!!』
しかし、あたしの言葉なんて全く無視して、タカシは包装紙を広げていく。
「いいじゃんいいじゃん。ここで開いたのもきっと神様のお告げに違いないって」
『嘘よそんなの。開いたとか言ったけど、どう見たってアンタが自分でやったんじゃない。
てかダメだってば!!』
実力行使で阻止しようとするも、背中を向けたタカシ相手に私はどうする事も出来なかった。
「よし。これで開いた。どれ、中身は……と……」
タカシが箱を開けようとするのを見ていられなくなって、私は両手で顔を覆った。その
まましばらく時が流れる。いい加減恥ずかしさよりタカシの反応が気になりだした時に、
タカシがちょっと困惑するような声で言った。
「あのさ、かなみ」
顔を覆っていた両手の指の隙間からタカシを見て、それからあたしは急いで背中を向けた。
『な、何よ。言っとくけど、文句なんて言わせないからね』
強気な口調で言ってはいるが、内心ではタカシがあれを見てどう思ったかを考えると、
怖くて仕方が無かった。
――絶対……本命チョコだって思うよね? どうやって言い訳しよう……
しかし、悩んでいる暇なんて無かった。
「これ、さ。俺が貰って……いいのかな?」
『何でよ。あげるって言ったんだからいいに決まってるでしょ』
戸惑いがちのタカシの声に、あたしは不満気に答える。もうこうなったら成り行き任せしかない。
「いや、だってさ。これって、結構立派なチョコじゃん。どう見ても義理ってレベルじゃねーし」
-
『そうだけど、余り物は余り物だもん。自分で食べるのもやだし。だからアンタにあげるっ
つってんのよ。それとも、いらない訳?』
「いやいやいや。そんな事は思ってもいねーけどさ。ただ……誰か、あげる奴がいたんだっ
たら、俺なんかが食べるの気が引けるかな……って」
何気にそういう所を気にするなんて、タカシも意外と繊細だな、とちょっと感心したり
する。同時に、他に好きな人がいると誤解されかかっている事に、私は慌ててそれを否定した。
『べっ……別に本命あげる人なんていないわよ!! 友子が買え買えうるさいから買っちゃっ
ただけで、下手にあげると誤解されるかもしれなくて、処分に困ってたからちょうどいい
なって思ってただけよ。ホントなんだからねっ!!』
自分でも、何か必死過ぎるくらいムキになっていた。タカシはしばらく黙っていたが、
やがてとんでもない事を口にした。
「あのさ。その……多分違うとは思うんだけど……まさか、俺宛だったとか……そういう
事はないよな?」
私は驚いてタカシに向き直った。その瞬間、真面目な顔で私を見つめるタカシとの視線
が交錯する。私の心臓がドキリ、とした。もしここで頷いたりしたら――実はそうなんだっ
て言えたら、どうなるんだろうか。しかし、そんな思いをあっさり吹き飛ばし、いつも
の素直じゃない私が、口を尖らせて否定した。
『なっ……何バカな事言ってんのよ。そんな事ある訳ないでしょ。何勝手な妄想してんのよっ!!』
言い終えると同時にまた、苦い後悔の様な味が口から胸に染み渡るように広がった。タ
カシにキツイ言葉を発した時はいつもの事だが、今日は特に酷い。
「そうだよな…… いや、ゴメン。気ぃ悪くしたならさ。ただ、その……バレンタインデ
ーの時、かなみから貰えなくてちょっと、その……ショックだったからさ。そうだったら
いいなーとか、勝手に考えてたりしてさ。まあ、勘違いだと分かってむしろスッキリしたわ」
『え……?』
驚いて、私は顔を上げてタカシを見つめた。
――ウソ……タカシが、私からのチョコを待ってたって……そんな事……
確かめる為に、敢えて私は信じない素振りを見せた。
『ウソばっか。調子のいい事言っちゃって。友子とか他の子から貰ってるじゃない。アン
タには十分過ぎるほどね』
-
しかし、そんな事を言いながらも、私の心はドキドキして仕方が無かった。本当に、タ
カシは私からのチョコが無くてガッカリしていたんだろうか? 仮に方便であったとして
も、そんな事を言われたら動揺せざるを得ない。私は固唾を飲んで、タカシの次の言葉を待った。
「いや、まあそりゃあね。あいつらから貰えるのも嬉しいよ。義理って言うか、友達同士
としてな。けど……まあ、その、何だかんだでお前との付き合いが一番深いし……だから、
まあその、一番期待もしてたって訳で」
『バッ…… バッカじゃないの。何であたしからのチョコなんて……』
こんな、口の悪いだけの女からのチョコを一番期待してくれてたなんて信じられない。
一ヶ月前の私に言ってやりたい。タイミングを見失った上、他の子からチョコ貰ってる隆
を見て、嫉妬して怒って家に帰っちゃって、結局チョコを渡せずに泣いてた私に。勇気出せって。
「いや。けどまあ、こうしてくれただけでも、すっごく嬉しいわ。余りもんとか、時期外
れとか関係なくな。ありがとう」
そう言うタカシの顔は、本当に嬉しそうだった。何かもう、眩しくて私は、そんなタカ
シを見ていられなかった。
――ヤバイ。あたし……どうにかなっちゃいそう……
タカシがここまで喜んでくれた事が、嬉しくて嬉しくて、今にも感情が溢れ出そうだっ
た。それを無理矢理押し込めたものだから、呼吸が息苦しくて、私はタカシに聞こえない
ように抑えながら、何度も呼吸を繰り返した。ギュッと握り締めた手の平には、ジットリ
と汗が滲んでいる。
「それじゃあ……そろそろ帰るよ。ホントに嬉しかった。それじゃな」
黙りこくっていたら、タカシが暇を告げるのが聞こえた。私は、ハッと顔を上げる。何
だか分からないけど、とにかくまだ帰って欲しくなかった。タカシに傍にいて欲しかった。
私は慌ててタカシに手を伸ばしつつ、引き止めようと言葉を発した。
『ちょっ――』
「あ、そうそう」
『へっ!?』
いきなり振り向いたタカシに、私は心臓が止まるほどビックリした。ビックリしすぎて、
悲鳴すら上がらず、小さく変な声を上げて息を呑んだだけだった。
「ん? どしたかなみ?」
『い、いっ……いきなり振り向くな!! このバカ!!』
-
驚かされた事にカッとなって、つい怒鳴ってしまう。するとタカシは苦笑しつつ、片手
で私を制した。
「悪い悪い。一つ聞き忘れたことがあってさ。その……俺のあげたケーキ、もう食ったか?」
『へ……?』
唐突な質問に、私はキョトンとした。それから、ちょっと慌てて答える。
『いや、その……まだ、だけど……』
たどたどしく答えると、タカシは笑顔になって言った。
「そっか。一応、かなみの好きそうなものをチョイスしたつもりだったから、口に合えば
いいなって思ってさ。もし良かったら、明日感想聞かせてくれよ。じゃな」
『待った!!』
今度こそ帰ろうと振り向きかけたタカシの服の裾を、私はギュッと掴んだ。タカシが驚
いた顔で私を見下ろす。
「どうしたんだよ? まだ、何かあるのか?」
そう聞かれて、私は困ってしまった。タカシに帰って欲しくない一心で服を掴んでしまっ
たけど、何をしゃべろうかとか、全く考えてなかった。
『えっと……その……あの……』
「は?」
頭の中がどうしようどうしようと言う考えで満たされて、それがグルングルンと回る。
このままじゃタカシが帰ってしまう。そんなの、私はイヤだ。
『ゴメンッ!!』
咄嗟に出た言葉が、これだった。
「ゴメンって……何がだよ……?」
タカシに聞き返され、私はその先の言葉を言うのに戸惑った。いつもの、素直じゃない
私が顔を出す。だけど、言ってしまった以上は突き進むしかないと、私は無理をして、言
葉をひり出す。
『あの……何がってのは、その……あたし、タカシに嘘……吐いたから……』
「嘘ついた……って?」
鸚鵡返しに聞き返すタカシの顔を力強く見つめて勇気を貰うと、それから俯いて目を閉
じ、半ばやけっぱちな感じで言った。
-
『だから、その……チョコの事!! 余ったなんて言ったけど……ホントは……タカシの
為に買った物だったのっ!!』
ギュッと体を縮み込ませ、緊張してタカシの言葉を待つが、無言だったので私はそのま
ま言い訳モードに突入した。
『だ、だってその……アンタ、チョコ貰い過ぎなんだもん!! 友子とか部活の子達とか
……だからその……渡すタイミングも無かったし、それに……あたしからのなんて、いら
ないんじゃないかって……だから……なのに、あたしからのチョコ貰えなくて残念だった
なんて……そんな事、思っても無かったから……』
その瞬間、頭に軽く重みが掛かった。そして、優しく撫でてくれる。私はビックリして
顔を上げた。
『タカシ……』
「謝る事なんてねーよ。むしろ……言ってくれてありがとな。チョコ貰えただけでも十分
だったけど……更にご褒美貰えた感じだわ」
私は耐え切れず、タカシの体にギュッと強くしがみ付いた。
『ゴメンなさい。タカシ……ゴメン…… 来年はちゃんとバレンタインにチョコ渡すから……』
「楽しみにしてるよ。まあ、来年は……そうだな。貰うのは、かなみからだけにしとくか。うん」
その言葉に、胸が物凄くキュンと絞られるような感覚に襲われる。
『ホントに? 嘘じゃないの? 約束出来る?』
顔をあげて、まるでおねだりするように私は聞いた。タカシは真面目な顔で頷く。
「ああ。約束するよ」
『じゃあ、約束の証』
私はそう言って目を閉じた。唇をキュッと結ぶ。爆発しそうな心臓の鼓動に耐えて待っ
ていると、やがて唇に何か柔らかいものが触れた。一度、二度、軽く触れてから、強く押
し付けられたタカシの唇を、私も夢中になって求めたのだった。
終わり
まとめてみたら10レスとか、思った以上に長かったぜ。
それにしても一週間とか遅筆にも程があるだろjk
-
>>813
ねーねー胸が締め付けられるように痛いんだけどこれって恋かな?
最高にGJ!
-
>>813GJ
>>814ああ、それが鯉だよ
-
GJすぎて横で一緒に見てたお嬢が拗ねた
-
>>813
GJ!
-
>>813
GJ! たまらんです
タカシが風早君並にいい男だなあ
-
>>813
GJすぎて泣いた
-
どうみてもデレデレです。本当にありがとうございました。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1281.jpg
-
>>820
私は良いと思うふ
-
またなんかきてる!
>>210GJ!
本スレでGJ出来ないのがツラいぜorz
-
>>210っていつだよorz
>>820だゴメンなさい
-
>>820
萌える……萌えてしまう……
これは…面倒なことに…なっ…た……
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>>820
もう我慢できねぇ。お前マジ逮捕するわ。
容疑は俺を萌え死させる、殺人容疑だ!
・・・あふん
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>>820
関西後輩とかwwwwwwww俺を殺す気かwwwwwwwつか死んだwwwwwww
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>>787-793の続きを書いてみた
というか、最初から妄想の中にはあったんだけどね。
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・ツンデレのツンが95%になった日
この間の一件の後、次の日から別府君も私に、必要最低限以外の事では声を掛けなく
なった。もっとも、理由はないけどとにかく苦手だから近寄らないで、なんて言われて
なお、親しげに声を掛けて来る人間なんて、ほとんどいないだろうけど。
――でも、これでいいんだ。もうこれで、お互いに嫌な気持ちになる事はなくなるから。
あの時、別府君につけた心の傷も、私と接触する事がなければすぐに消えてなくなる
だろう、と私は自分で自分を慰めていた。
しかし、そんなある日の事だった。
帰り道、一人で帰る私を、後ろから別府君が自転車で追い越していった。MTBとい
うのだったか、スポーツ系の自転車を颯爽と漕ぐ彼の姿を、私は見かける度に切ない甘
酸っぱさを感じていた。
――こうして、眺めているだけだったら……幸せなんだけどな…… どうして、別府君
の目の前に立つと、あんな風に苦しくなっちゃうんだろう。私は絶対におかしいわよね。
普通の女の子だったら、好きな人とだったら、きっと嬉しくて堪らないと思うんだけど……
それとも、みんな、乗り越えてるのかな?
もっとも、今更そんな事を考えても手遅れだけど。彼の後ろ姿を見ながら、私はため
息を吐いた。
その時だった。
軽快に走っていた彼の自転車がいきなり、左に大きく傾きそのまま、まるで潰れるか
のようにベシャッと地面に叩き付けられた。
『あっ……!!』
口を押さえ、小さく呟く。ほぼ同時に、黒いセダンが道を猛スピードで横切るのが見えた。
『別府君っ!!』
我を忘れて叫ぶと、私は慌てて彼の近くまで駆け寄った。自転車は横転し、彼の体が
地面に投げ出されている。
――嘘……? 轢かれた……の……?
視線の先に、セダンが止まっている。しかし、ドライバーが降りて来るかと思いきや、
そのまま車は勢いよく発進した。
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『ひき逃げ? 酷い。逃げるなんて……』
いろんな事が一瞬のうちに頭を過ぎる。警察に連絡するとか、ナンバーを控えた方が
いいんじゃないかとか。しかし、次の瞬間には、それらの考えも吹っ飛んだ。
「あいててててて……」
私の注意が、別府君に注ぎ込まれる。何よりも、彼の手当てが先ではないかと。場合
によっては救急車を呼ばなくてはならないかも知れない。私は急いで別府君に向き直る
と、腰を屈めて彼を窺いつつ、言った。
『あの…… 大丈夫?』
「あ、いや。大丈夫ですよ。こけただけで、ぶつかってないっすから」
そう言って見上げた彼の目が、私の顔を捉えて止まった。目が僅かに、大きく見開かれる。
「椎水……さん……?」
彼の口が、私の苗字を発する。その驚いた様子に、私は憤慨したように鼻をフン、と
鳴らし、体を起こす。
『そうよ。それがどうかしたの?』
冷静に言い放つと、彼は困ったような表情になって私から顔を逸らし、汚れたズボン
を叩いた。
「いや、その……声掛けてくれるなんて、思わなかったから」
『てっきり、その……車に轢かれたかと思ったからよ。それで無視なんて出来る訳ない
でしょ? 例え誰であっても』
言い訳をしつつも、私は胸が急速に高鳴って行くのを感じていた。緊急事態に麻痺し
ていた感覚が徐々に蘇って来ている。いつもなら耐え切れず、逃げ出してしまうあの感
覚。だけど、今は何故か立ち去る気にはなれなかった。
「まあ、確かに。でも、心配してくれて嬉しいよ。有難う」
顔を上げ、ニッコリと微笑む彼から私は顔を背けた。たかがお礼を言われただけだと
いうのに、顔が酷く火照っている。他の男子の誰にだって、こんな事は無いのに。
『別にお礼を言われる事なんかじゃないわ。私は何もしてないもの』
「いや。その……気持ちだけでもさ」
冷たく突き放して、気持ちをクールダウンしようとしたのに、そんな事を言い返され
て私の体がより一層熱を帯びてしまった。しかし、心の内にむず痒い様な嬉しさが湧き
上がっているのを、私は認めざるを得なかった。
-
その時、視界の端っこで別府君が体を動かしているのが見えた。立ち上がろうとして
いるのだと気付き、私は彼の方に向き直って聞いた。
『立てる?』
もしかしたら、転倒した時に足を痛めたりしているかも知れない。車にはぶつかって
いなくても、転び方が悪かったかも知れないし。そして、事故の直後はアドレナリンの
分泌で、立ち上がろうとするまで痛みに気付かなかったりするものなのだ。
「ん……大丈夫だと思うけどな」
手や足を動かしながら別府君は答えた。それから、地面に手を付いて立ち上がろうと
する。その姿を見た瞬間、私の体が自然に反応した。
『はい』
自分でも信じられなかった。別府君に対して、手を伸ばす事が出来るなんて。何だか、
心と体が完全に別になった感じがする。
「……え? あ、ああ……サンキュー……」
一瞬驚いた顔を見せた別府君だったが、すぐに手を伸ばして私の手を握った。大きな
手が、優しくしかししっかりと、私の手を包み込むように握る。その瞬間、私の体に電
流に当てられたような痺れが走った。
「どうかしたか?」
別府君が僅かな体の震えを、手を通して感じ取ったらしい。私は慌てて首を振る。こ
んなの、気取られたくない。
『何でもないわ。引っ張るわよ』
グッと力を入れて腕を引くと、彼の体がゆっくりと立ち上がる。すると、私は彼と間
近で向かい合う形になってしまい、動揺した私は慌てて背を向けた。その背中に、彼の
声が掛かる。
「悪いな。色々と」
『いちいち謝らないで。鬱陶しいから』
即座にキツイ言葉で彼を制する。本当に、これ以上会話を続けたりしたら、どんどん
おかしくなってしまいそうだ。熱でボウッと浮かされそうになったような感覚で、私は
何となく、まだ別府君の手の感触が残ったままの自分の手を見つめた。その時、自分の
手に何かが僅かに付いているのに気が付いた。
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――血……!?
自分のじゃない事は分かってる。私は慌てて別府君の方に向き直った。
『別府君。あなた……手、怪我してない?』
すると別府君は、意外と平気そうな顔で手を顔の前に持って来た。
「ああ、これ? こけた時にちょっと擦り剥いたらしいな。ま、これくらいの傷ならしょっ
ちゅうだし、舐めとけば治るだろ」
『ダメよ。雑菌でも入ったらどうするの? ちょっと動かないで』
まるで使命感に駆られたかのように、私は急いで自分の鞄から、携帯用の消毒液と絆
創膏を取り出す。
『ホント。こういう所がいい加減なのよね。別府君って』
強引に別府君の手を取り、傷口を見る。地面に擦った傷が、小指の付け根から手首の
辺りの手の側面に付いていた。これでは絆創膏は使えない。私は消毒液を噴射し終える
と、自分のハンカチをポケットから出して広げ、それを傷口を覆うように当てると、手
に巻いて反対側で結んだ。
『はい。外れないように注意して。それと、家に帰ったら、ちゃんと手当てし直すのよ』
「いや、ホント申し訳ない。何から何まで」
『謝るなら、自分のガサツさを反省しなさい。それと、そのハンカチは返さなくていい
から。出来れば捨てちゃって』
下手に洗って返されたりして、それを他の女子に見られたら一斉に噂になってしまう。
実は椎水はツンデレでした、なんて事が広まったら目も当てられない。
「……うん。分かったよ」
私は、別府君の全身を、ざっと眺め回す。他に怪我をしているところは無さそうだ。
足もちゃんと、庇うことなく立っているし。大怪我しなくて本当に良かったと思いなが
ら、小さく頷き私は彼に背を向ける。
『それじゃ、私は帰るから。今度からは気を付けて運転しなさいよ。向こうが悪いって
言ったって、ぶつかったら痛い目見るのは自分なんだからね』
「そうするよ。今日は本当に……有難うな……」
しかし私は、もう振り返ることなく早足でこの場を立ち去ったのだ。
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次の日。まだ昨日の記憶が鮮明なまま、私は教室に入った。すぐに別府君の姿を視界
に捉える。私の忠告どおり家でちゃんと手当てをしたのか、手には包帯が巻き付けてあった。
『おっはよー、かなみ』
『おはよう』
友達と挨拶を交わしたところで、別府君が気付いたのかこっちを向いた。今は隣同士
ではないが、それでも自分の席に行くのには別府君の傍を通らなければ不自然に大回り
になってしまう。私が近づいて行くのを、別府君は戸惑うような顔で見ていた。
『おはよう』
その言葉は、自然にスルリと私の口から出た。別府君は驚いた顔をしたが、すぐに笑
顔になって頷いた。
「おはよう。椎水さん」
私は、そんな彼に見向きもせずに自分の席に向かった。しかし、それを見ていたらし
い前の席の友人が、早速チェックを入れて来た。
『珍しいね。椎水が別府君に挨拶するなんて。どういう心境の変化?』
『別に。苦手な人だからって無視してばかりじゃ、自分がダメな人間になりそうな気分
になったから』
『ふーん。あたしはまた、別府君との仲に何か進展でもあるとか思っちゃった。ほら。
イヤよイヤよも何とやらというし』
『有り得ないわよ。そんなの』
ドキリとしつつ、私は冷静さを装って鞄から教科書やらノートを机の引き出しに仕舞う。
『今、ちょっと動揺した?』
『してない。しつこいと怒るからね』
『はいはい。全く、椎水は怖いんだからぁ』
呆れた口調で前を向く友人は放っておいて、私はチラリと肩越しに別府君を見た。昨
日の一件のお陰だろうか。顔を見ても言葉を交わしても、前より混乱はしなくなったよ
うだ。その代わり胸の痛みと言うか、キュッと窄まるような切なさは少し大きくなった
ような気がする。
――これで……少しは、彼との距離も……縮まったのかな……
そっと胸を押さえて、私はそんな事を考えるのだった。
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以上
一応95%を目標に書いたつもりだったが、ちょっと甘くなり過ぎたかなあと反省はしている。
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gj!
こういう場合は後々激しいデレになるんですよね!わかります
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表向きツンツンなのに内心デレデレとか好みど真ん中過ぎてやばい
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>>833
gj!
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gj!
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>>本スレ545の63
あんたのせいだ!
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1282.jpg
ふとした拍子にタガがはずれてデレ一辺倒になるのとか大好きです
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>>838
俺の日常を盗撮されるなんてな…
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>>838
GJ過ぎるっすよ……
フゥ……
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>>833
いっそツン0%まで連載してくれ
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【寝過ごした男】
目覚めるとちなみが隣でぷーぷー寝息を立てていた。
ははぁ我ながら俺の全自動ロリ鹵獲機能も大したものだなあと一瞬驚嘆したものの、そんなわけはないと頭を振る。
なんでコイツが隣で寝てんだ。とりあえず、起こして事情を聞こう。
「ちなみ、ちなみ。起きろ」
「……んー?」
「いや、んーではなくて。起きろ」
「……んー。……うー、眠い」
ちなみはうっすら瞼を開けると、手でこしこしこすった。そして、大きく口を開けてあくびをした。
「……ふわぁぁぁ。……ふう」
「女の子がそんな大口開けるな。ちょっとは隠せ」
「……うるさい」
「それはともかく、現在の状態について事情を聞きたいのだが」
「……むぅ。タカシは眠い私を無理やりに起こし、頭が回ってないのをいいことに騙くらかしてちゅーとかしようと画策しているに違いない」
「寝起きでそういうことをすらすら言える人が頭回ってないとは思えませんが」
「…………」(不満げ)
「睨むな。それより、なんで人の布団でぐっすりすやすや寝ていたのか説明を求める」
「……まあ、端的に言うと、タカシが悪い」
「端折らずに言ってください」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むな。いいから普通に言え」
「……起こしに来てやったのに、タカシと来たら平和そうな顔で寝てた」
「はぁ。まあ平和かどうかは知らないが、寝てたわな」
「……で、一所懸命起こしてやったのに、ちっとも起きない。時間は逼迫している。なのに、ちっとも起きない。起こしているうち、なんだか疲れてしまって私も眠たくなってきた」
「嫌な予感がしてきましたが、続けて」
「……丁度目の前には布団が。何か横で歯軋りをしてる物体があるけど、布団には換えられない。……で、ぐっすりすやすやと」
「なるほどそうか。眠くなったと」
ちなみはこっくりうなずいた。そのどたまにチョップを落とす。
「……痛い」
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ちなみは両手で頭を押さえ、不満げに俺を睨んだ。
「起こしに来てくれたのはありがたい。感謝する。だが、どうして一緒に寝てしまうのか」
「……眠かった」
極めて簡潔で分かりやすい理由だが、再びチョップを落とす。
「……痛い」
再度頭を押さえ、ちなみは俺を不満げに睨んだ。
「はぁ……まあやってしまったものは仕方ない。とりあえず学校……学校?」
恐る恐る時計を見る。一時間目はとうの昔に終わっており、二時間目も半ば過ぎている時間だった。
「はっはっは……いや、ここまで全力で遅刻するのって初めてだなあ」
「タカシのせいで私まで遅刻だ。……まったく、タカシは人を悪の道に引きずりこむのが上手すぎる」
「起こしに来たのにその業務を全うせず、あまつさえ自分も寝てしまった奴は言うことが違うな」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むなっての。あー、もうここまでの遅刻だと多少急いだところで変わらんな。ちなみ、お前飯は?」
「……うちで食べてきた」
「そか。じゃ、俺は自分の食ってくるから、お前は適当に待っててくれ」
「……でも、睡眠でカロリーを大量に消費したので、ご飯を食べる必要がある」
「……はぁ。一緒に食うか?」
コクコクうなずく生物を引き連れ、台所へ。両親は、まあこの時間なら当然だが、既に出かけているようだ。米は……あるな。
「何にすっかな……ちなみ、何がいい?」
ちなみは食卓に着くと、足をぱたぱたさせながら何にするか思案しているようだった。
「……んと、おにぎり」
「熱いから嫌だ」
「……予めコンロでタカシの手をあぶれば、熱さに抵抗ができるため、おにぎりを握っても熱くない。……名案?」
「愚策。なぜならあらかじめの時点で俺の手が黒焦げになるから」
「…………」(不満げ)
「いちいち睨むでない。まあいいや、おにぎりな。作るからちょっと待っててくれ。あ、何個食う?」
「……ふたつ」
「食ってきたくせに、結構食うな。太るぞ」
「…………」(超不満げ)
「まあ、お前はちっとやせすぎだから多少は肉あるほうがいいけど。んーと、塩しお……」
-
「……褒めているように見せかけ、絶妙に私の胸がないことを指摘するタカシは悪魔だ」
「どんだけ悪くとってんだよ……あ、あった」
引き出しの中にあった塩を取り出し、準備完了。炊飯器を開け、手を軽く濡らして塩をつけ、米を手に乗せる。
「あっちぃ!」
「……ふぁいと」
「応援するならもっとやる気を出してやってくれ!」
「……ふぁいとー」
「聞いているだけでどんどんやる気がなくなってくるその技術はすごいな」
後ろにいるのでどんな顔をしているのか分からないが、何か不満げな雰囲気がこちらにまで漂ってきた。
「怒るな。んーで、具は何がいい?」
「……しゃけ」
「ない」
「……しーちきん」
「ない」
「……この家には何もない」
「失礼なことを言うな。偶然切らしてるだけだ。昆布はあるぞ」
言いながら、勝手に塩昆布をおにぎりに詰める。
「……それしかない、とも言う」
「うるさい。ほい、できたぞ」
言ってる間にぽんぽん作り、皿におにぎりを5つ乗せ、食卓に置く。
「ちょっと待ってろ、手洗ってくるから一緒に食おう」
「……それには及ばない予感」
「ん?」
ちなみは俺の手を取ると、何のためらいもなく口に含んだ。
「人の手を食うな」
「……ぺろぺろ。……んと、水で洗うより、舐め取った方が、地球に優しい?」
「言ってることは素晴らしいが、そういった地球に優しいだのエコだのって台詞は超嫌いです」
「……私の唾液に含まれる毒素を送ってる最中?」
「それだ、それこそがちなみだ!」
「…………」(がじがじがじ)
-
「何も言わずに歯を立てるでない。痛いです」
「……ふん、だ。……ぺろぺろ。……はい、綺麗になった予感」
「感謝したいが、結果お前の唾液まみれであまり変わらないような」
「……タカシは私の指も舐め、お互いに唾液まみれにしてえと言う」
「言ってねえ」
……まあ、その提案は非常に甘美な誘いではあるけど。
「……まあ、タカシが舐めたらタカシ毒が私にまわるので舐めさせないけど」
「こんなところに美人局がいようとは」
とりあえず席に着き、唾液まみれの指でおにぎりを食べる。我ながらよい塩加減だと思うが、よられでベトベトなのでよく分からない。
「私も。……もくもく、おいしい」
「そいつぁ何よりだ」
「もくもく。もくもくもく。……けぷ。おいしかった」
「お前の咀嚼音変だよな」
「うるさい。……むう、手がべたべただ」
おにぎりは手掴みで食べるものなので、どうしても手はべたつく。手抜きして海苔も貼ってないので尚更だ。
「……はい」
「はい?」
手を差し出されたので、疑問で返す。
「……みっしょん。舐めて綺麗にせよ」
ちなみが変なことを言い出した。
「い、いや、ほら。さっき言ってたじゃん、タカシ毒がまわるので舐めさせないって」
「……幸か不幸か、私の体内にはタカシ毒の血清が生成されている。なので、だいじょぶ」
「つまり、俺が舐められるのはちなみだけなのか」
「…………」
「顔を赤くするなッ!」
「……うう、タカシは私だけしかぺろぺろしたくないと言う」
「う……」
虚を突かれた。普段のようにつっこめばいいのだろうけど、なぜか何の言葉も出なかった。
「……ひ、否定するターンなのに、何も言わないという攻撃に出るとは。……う、うぬぬ、タカシは日々進化しており、侮れない」
「あ、う、うん、そうだな。はっはっは」
-
「……うう」
回答失敗。ちなみは俺を見て、顔を赤くしながらうめくばかり。
「……は、はい」
「え?」
「……み、みっしょん。……舐めて綺麗にせよ」
再びちなみの手が向けられた。
「……あー、まあ、うん。俺の毒が効かないのはちなみだけだから、しょうがないな?」
「そ、そう。しょがない」
差し出された指を、そっとくわえる。で、舌でぺろぺろ舐める。
「……う、うー。……タカシは舐め方がえっちだ」
「し、失敬な。お前の方がよっぽどだ」
「……そんなことはない。実験」
え、と思う間もなく、ちなみは俺の手を取って再び口に含んだ。
「……ぺろぺろ。……ほら、えっちくない」
「む。そんなことはないぞ、大変にえっちいぞ。なぜならオラワクワクしてきたから」
「……タカシは時々戦闘民族になる」
「俺には興奮したら一瞬にして髪を金色に染色する技術はないぞ?」
「……ぺろぺろぺろ」
俺の話なんてちっとも聞かずに、ちなみはなんだか嬉しそうに俺の指をぺろぺろ舐めている。
「……うう、どうしてこんなことで楽しいのか」
「なんで悔しそうやねん」
「……タカシは時々関西人にもなる」
「ていうかだな、いつまで舐めてんだ。そろそろ学校行くぞ」
「……はむはむ」
ちなみは残念そうに俺の指を甘噛みした。そして最後にちゅーっと強めに吸うと、ようやっと口から指を離した。そして最後に軽く俺の指に口付けした。
「……ちゅ。綺麗になった予感」
「そいつはありがとうございます」
「……続いて、タカシが私の指を綺麗にするターン」
-
「……ええと、もう舐めたよ?」
「……私はいっぱいいっぱい舐めてあげたと言うのに、私の指は舐めたくないと言う。……貧乳の指を吸うと俺のアレまで貧しくなると言う」
「超言ってねえ! ていうか色々問題ありすぎの発言だッ!」
「……嫌なら、いい」(寂しげ)
「そうは言ってない! ……ああもう、分かったよ。誠心誠意尽くさせていただきますよっ!」
半ばヤケクソにちなみの指を口に含み、ぺろぺろれろれろする。ああもう、なんかいけない気分。
「……こーふん?」
「終わりっ! もう終わりっ!」
「ぶー」
指を引き抜いてタオルで拭いてやると、ちなみは不満げに口をとがらせた。
「……ま、いい。……んじゃ、行こ?」
「あいあい」
皿をシンクに入れ、家を出る。
「……やれやれ、タカシのせいで手がべたべただ」
「そもそも舐め始めたのはお前からだろうが」
「……うるさい。……そうだ、なすりつけてやれ」
きゅっ、とちなみの手が俺の手を握る。
「え、ええと」
「な、なすりつけただけ。……そ、その先が偶然タカシの手だっただけ。……ほ、ほんとに」
「ま、まあ、偶然なら仕方ないわな。わっはっは」
「そ、そう。……あ、あと、どーせ遅刻だし、ゆっくり行った方が疲れない予感」
「あ、うん。大変に賛成だ」
そんなわけで、ちなみと手を繋いだままゆっくりゆっくり通学路を歩くのだった。
そしてゆっくり歩きすぎたせいで到着したのは昼休みだった。
「……ゆっくりしすぎだ。タカシは本当に頭が悪い」
「途中で公園寄ったりアイス食べ合いっこしたり休憩と称して膝枕させたのは誰だ」
「……ま、まったく。タカシは本当にいぢわるだ」
「鼻を引っ張るな」
赤い顔で人の鼻を引っ張るちなみだった。
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>>847
GJですよ
あっちも見てます
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>>842
かわいい!!GJです!!
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素晴らしすぎる
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>>842>>847まとめてGJ
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