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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●
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次の日。まだ昨日の記憶が鮮明なまま、私は教室に入った。すぐに別府君の姿を視界
に捉える。私の忠告どおり家でちゃんと手当てをしたのか、手には包帯が巻き付けてあった。
『おっはよー、かなみ』
『おはよう』
友達と挨拶を交わしたところで、別府君が気付いたのかこっちを向いた。今は隣同士
ではないが、それでも自分の席に行くのには別府君の傍を通らなければ不自然に大回り
になってしまう。私が近づいて行くのを、別府君は戸惑うような顔で見ていた。
『おはよう』
その言葉は、自然にスルリと私の口から出た。別府君は驚いた顔をしたが、すぐに笑
顔になって頷いた。
「おはよう。椎水さん」
私は、そんな彼に見向きもせずに自分の席に向かった。しかし、それを見ていたらし
い前の席の友人が、早速チェックを入れて来た。
『珍しいね。椎水が別府君に挨拶するなんて。どういう心境の変化?』
『別に。苦手な人だからって無視してばかりじゃ、自分がダメな人間になりそうな気分
になったから』
『ふーん。あたしはまた、別府君との仲に何か進展でもあるとか思っちゃった。ほら。
イヤよイヤよも何とやらというし』
『有り得ないわよ。そんなの』
ドキリとしつつ、私は冷静さを装って鞄から教科書やらノートを机の引き出しに仕舞う。
『今、ちょっと動揺した?』
『してない。しつこいと怒るからね』
『はいはい。全く、椎水は怖いんだからぁ』
呆れた口調で前を向く友人は放っておいて、私はチラリと肩越しに別府君を見た。昨
日の一件のお陰だろうか。顔を見ても言葉を交わしても、前より混乱はしなくなったよ
うだ。その代わり胸の痛みと言うか、キュッと窄まるような切なさは少し大きくなった
ような気がする。
――これで……少しは、彼との距離も……縮まったのかな……
そっと胸を押さえて、私はそんな事を考えるのだった。
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