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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●

7893/7:2010/03/14(日) 22:46:50 ID:3aJ5EakI
『別府君はどうするのよ。なしで授業を受けるつもり?』
「ん、ああ。俺は何とかなるからさ。気にしないでいいよ」
 その言葉に私はすぐにピンと来た。英語の授業は苦手なのか、別府君はその大半を寝
て過ごしているのを、私は知っていたから。
『寝るから、必要ないって事?』
 即座にそう問うと、ちょっと気まずいようなそんな答えが返って来た。
「いやあ。まあ、そうっちゃそうなんだけど……」
『お断りだわ』
 別府君の言葉に割って入って、私は言った。そして、彼が何か言う前に言葉を続ける。
『別府君が寝てようが何しようが私の知った事じゃないけど、サボりの片棒を担ぐよう
な真似はしたくないもの』
「いや。別にそんなつもりで言ったんじゃなくて――」
 別府君が慌てて弁解するが、最後まで聞かずに私は一蹴した。
『どういうつもりかは知らないけど、結果的にそうとも取れるでしょ』
 その言葉に、少し迷ってから、納得の行かない感じで別府君は同意の言葉を口にする。
「まあ、そう言われればそうなるけどさ……」
 私は彼にはそれ以上話し掛けず、前に座るクラスメイトに声を掛ける。
『英子ちゃん』
『何? かなちゃん』
 隣の男の子と今日は誰が差されるかで熱心に議論していた彼女は、幸いにもこっちに
は注意を払っていなかった。
『悪いけど、教科書……貸してくれないかな? 間違って家に置いて来ちゃったみたいでさ』
 彼女は一瞬、私と別府君を見比べたが、逡巡は僅かで、すぐに頷いた。
『いいよ。あたしは戸成君に見せて貰うから』
 私が何故か別府君を避けている事は、もう、クラスの女子は大体みんな知っているか
ら話はスムーズだった。
『ありがとう。今度何かお礼するね』
『いいよ別にこれくらい。戸成君。それじゃ悪いけど宜しく』
 彼女から教科書を受け取ると、私はそれ以上別府君の方を見る事無く、素知らぬ振り
で教科書を広げたりするのだった。




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