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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●
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プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
ごあー。
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「つまり、今年も一年間僕をこき使うという事ですか?」
ため息混じりに言うと、先輩はニッコリと頷いた。
『そうよ。このあたしにこき使われるんだから、感謝しなさいよね』
「やれやれ……」
些か大げさな態度でうんざりさをアピールすると、先輩に軽く頭を叩かれた。
『露骨に嫌そうな態度見せんな。このバカ』
「アイテテテ。先輩は、その乱暴なところも直した方がいいですよ。出来れば今年一年
の抱負と言わず、今すぐにでも」
『大丈夫よ。これも別府君限定だから。むしろあたしに頭を叩かれるなんて光栄に思い
なさいよね』
「謹んでお断りします。そんな限定、嬉しくも何ともありませんから。キスするとかな
ら嬉しいですけど」
最後の一言に、先輩の顔がポフッという擬音が似合うくらい見事に真っ赤に染まった。
一瞬、先輩の眉がつり上がりかけただけに、最後の一言を咄嗟に付け足して良かったな
と思う。そうでなければ、きっともう一発、頭を叩かれただろう。
『じょっ……そ、そんなの、そのっ……冗談じゃないわよっ…… 誰がアンタなんかにっ
……ていうか、その……たかだか一回や二回させてあげたくらいで、ちょっ……調子
に乗るんじゃないわよ。限定とかそんなの……お断りなんだから……』
何か必死になって否定してるけど、さっきまでとは明らかに態度が違う。口調もしど
ろもどろだし。まあ、こういう所が先輩の可愛らしいところなんだけど。
「でも、今のところは事実上そうですよね?」
『うるさいっ!! 今までのは、その……いろいろ訳ありだっただけよっ!!』
そう指摘すると、先輩が真っ赤な顔のまま、怒鳴り声を上げた。これ以上この話題を
突くと、逆効果になりそうだから、この辺で切り上げる事にして、僕は話題を元に戻した。
「でも、先輩のだらしない生活態度を改めないとすると、一体何を今年の抱負にしたん
ですか? 無事に二年に進級するとか?」
『アンタはあたしをどんだけダメ人間にしたいのよっ!! それに、別に抱負になんか
しなくたって、ちゃんと問題なく進級くらい出来るわよ!!』
まあ、ウチの大学だと、二年生への進級は、必修科目さえ落とさなければ可能なので、
落ちる人はまずいないけれど、と僕は先輩の顔を見つめながら思う。
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「じゃあ、何なんですか? それとも、強がってはいるけど、やっぱり本当は特に抱負
なんてないとか」
先輩の事だから、特に考えもしてなかったとしても、不思議でも何でもない。しかし、
先輩はまなじりを逆立てて睨み付けて来る。
『しつこいわね。アンタはどうしてもあたしをだらしない女の子に仕立て上げたいみた
いだけど、一応、ちゃんとあるわよ。けど、教えてあげない』
「何でですか? 僕には言えない恥ずかしい目標だからですか? 例えば、今年中に体
重を60kg以内に落とすとか」
『ちちち、違うわよ!! ていうか、あたしは60kgも体重ないから!!』
「まあ、先輩の身長で60kgもあったら、もう少しポチャッとしてるでしょうけどね」
女子としては、まあ先輩は平均的な身長で、やや胸は薄い。60kgあってもデブではな
いだろうけど、こんなスリムな体型はありえないところだ。
『分かってるなら言うな!! 全く、女の子に体重の話題振るなんて、ホント、アンタっ
て、最低もいいところよね』
胸の前で腕を組んで、僕を睨み付ける。しかし、僕は真正面から先輩を見据えて言った。
「一応言っておきますけど、今のはお菓子ばかり食べている先輩に対する警告の意味も
含んでますから。今のうちに食生活を改善しておかないと、何年か経って急に太り始め
るかもしれませんよ。僕は、申し訳ありませんけど、太ってる子は好みではありませんので」
『そんな事、大きなお世話よ。アンタに言われなくたって、ちゃんと気にはしてるんだ
から。それに、その……アンタの好みなんて、あたしの知った事じゃないし……』
強気な態度を演出しているが、語気に勢いがなくなっているし、顔もちょっと俯き加
減になっている所から、僕の一言が、大分気になっていると察する。
「まあ、それならいいんですけどね。ただ、僕の家に遊びに来ている時の様子から見る
と、とてもそうは見えなかったものですから」
『あれはその……遊びに行くと、アンタが必ずお菓子を出してくるからよ。ああいうの
は、一度食べ始めると、結構止まらなくなっちゃうんだから』
でも、出さなきゃ出さないで文句言うくせに、とは心の中でだけで呟いておく。
「それじゃあ、今年から先輩が一人で遊びに来た時はお持て成しを止めますか。僕とし
ては、先輩に太って貰いたくはありませんし」
『それはダメ!!』
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バシッと眼前に手の平を差し出されて、僕は思わず仰け反った。先輩は、両手を腰に
当てると、居丈高なポーズで僕を睨み付ける。
『ああいうのはね。お客様に対する気持ちの表れなんだから。アンタごときが、遊びに
来てあげてるあたしに対して茶菓子の一つも出さないとか許されない事なんだから』
「でも、太っても知りませんよ?」
真顔で忠告しても、断固として先輩は譲る気配を見せなかった。
『それはそれ。これはこれ、よ。大体、今はまだ体重増えてないもん。危険水域越えて
から考えるわよ』
「まあ、確かにそれは先輩の自由ですけどね。僕がいくら口を出そうが、結局は先輩の
問題ですし」
そう答えつつ、何となく先輩の胸やらお腹やら腰つきやらをしげしげと眺める。大学
生になって、お酒を飲むという体に悪いお付き合いが増えた割にはスタイルに変化はな
さそうだ。
『ちょっ……っ!? ひっ……人の体をジロジロと見ないでよね、このドスケベ!!』
「いえ。一応確認をと思ったんですが」
『し……しなくていいってば、そんなのっ……!!』
怒りをむき出しにしつつも、ちょっと照れた感じで両腕で体を抱き締める先輩を微笑
ましく眺めつつ、ようやく話を本題に戻せるな、と思った。
「で、先輩。ホントのところは何なんですか? 恥ずかしい理由でないんだったら、教
えて下さいよ」
しかし、先輩は即答だった。
『ヤダ。教えない。つか、あたしの事ばかり聞いてるけど、アンタはどうなのよ? 今
年の抱負はあんの? あるんだったら、まず自分のを話してから、それからあたしに聞
きなさいよね』
「へえ? 先輩は僕の抱負に興味があると?」
そう切り返すと、先輩は、へっ?と小さく声を上げ、それから慌てて取り繕い始めた。
『べ、別にその……アンタの抱負なんかに興味ないわよ。だけどその……あたしばかり
言わせようとするなんて、ズルイじゃない。だから、人に聞く前に、自分のを言ってか
らにしろっての』
「じゃあ、僕が抱負を語ったら、先輩のも教えてくれます?」
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先輩の目を覗き込むように言うと、先輩は思わず体を少し引いた。それから視線を逸
らし、たどたどしく答える。
『そっ……そんなの分かんないわよ。聞く権利だけ与えてあげるって、そういう事だも
ん。あとその、そんな風に人の顔を覗き込まないでよね。気持ち悪い……』
「はいはい」
敢えて気軽に返事をして、僕は先輩から離れる。女の子から気持ち悪いと言われれば、
僕だって例外なく傷つくが、先輩だけは別だ。何故なら、さすがに知り合って5年も経
てば、本気で気持ち悪がっている時の顔と照れ隠しの暴言の時の顔の区別くらいは付く
ようになっているから。
「でも、聞く権利だけって言うのは、ちょっと不公平じゃないですか? やっぱり、僕
のを教えるからには、先輩のもちゃんと教えてくれないと」
抗議だけはキチンとするが、先輩は意外そうな顔で僕を見て言う。
『何言ってんのよ。アンタとあたしが対等な訳ないでしょ。むしろ、ホントならアンタ
の抱負なんて取引材料にもならないのを、大まけにまけて、聞くだけは許してあげるっ
ていってるんだから、感謝して欲しいわね』
年が明けても、先輩の横暴っさぷりは変わらないようだった。僕はため息を吐くと、
仕方無さそうな顔を見せて首を左右に振る。
「仕方ないですね。じゃあ、もし部活とかでそういう話題になった時は、先輩の抱負は
人に言えない恥ずかしい事だって、言っておきますから」
『言うなっ!! ていうか、何捏造しようとしてんのよ。勝手に人の抱負を怪しげな物
にすんな!!』
「それだったら、僕にだけでも教えてくれた方が無難だと思いますけど。人前で、ポロッ
と言葉がこぼれ落ちてからじゃ遅いとは思いますけどね」
言いながら、我ながら脅迫じみているなあという感想を抱く。しかし、こうでもしな
いと、こっちだけ言い損になってしまうし。先輩の抱負を聞きたかったのに僕のを言っ
て終わりじゃ、本末転倒だ。
『言ったら殺す。絶対に殺す。マジで殺すからね』
先輩が僕の襟首を掴んで言った。冗談抜きで目が殺気立ってます。
「だ、だから、先輩も教えてくれるって約束すれば、絶対に言いませんて。こればっか
りは神に誓って」
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『ほんっとでしょうね? 適当な噂がばら撒かれてたら、間違いなくアンタを殺すわよ』
先輩がうっかり言った言葉を、僕は聞き逃さなかった。
「本当です。約束します。何だったら、ゆびきりげんまんしますか?」
僕の提案に、先輩はちょっと驚いたように目を丸くした。それから、襟から手を離す
と、クルリと反転して言った。
『ば……ばっかばかしい。そんな事しないわよ。子供じゃないんだし……』
先輩の態度に、僕は思わずおかしみを覚えてしまう。もっと恥ずかしい事だっていろ
いろしてる割には、些細な事に照れたりする先輩が可愛らしかった。
「それじゃあ、とにかく取引は成立という事で。僕から言った方がいいんでしょうね?」
『当たり前じゃない。そんな事――って、何よ。取引成立って?』
やはり、先輩は自分の言葉に気付いていなかったようだ。僕は親切に教えてあげる事にする。
「さっき言ったじゃないですか。先輩が教えてくれれば……っていう条件に、先輩がほ
んっとでしょうねって。わざわざ確認するって事は、条件に乗ったって事でいいんでしょ
う? 少なくとも僕はそう取りましたが」
キョトンとした顔で、先輩は、僕の言葉を頭の中で考えた。それから、ハッとした顔
をした後、慌てて否定し始める。
『ち、違うわよ!! 別にアンタの条件飲んだとかそんな事じゃなくて、って言うか、
大体あたしはまだうんって言ってないじゃない。あくまで確認しただけでしょ? 勝手
に話を進めないでよね!!』
「でも、不成立だと、僕の方の約束も、無論、無しになりますが?」
ぐぬぬぬぬ、と唸り出しそうな顔で先輩は僕を睨み付ける。僕がやると言ったらやる
人間である事は、先輩も十分承知の上だ。もっとも、そうでなければあんな脅しが効く
わけもない。
『とっ……とにかく、アンタから言いなさいよ!! 話はそれからだわ』
どうやら、聞く権利だけから考えてあげるまではステップアップしたようだ。無論、
本来ならこの程度で満足するわけには行かないのだが、先輩は一度妥協すると、その後
はなし崩しに条件を飲んでくれる事が多いので、後は僕が先に抱負を語ってから、押し
の一手で攻めまくればいいだけだ。
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「ま、いいでしょう。僕の今年の抱負は、もうちょっと人に優しく接する(先輩除く)
ように努力する事ですね。とりわけ、女の子からは、冷たいとかはっきり言い過ぎると
か言われますので。今年は後輩も入る訳ですし、もう少し思いやりを持とうかと」
『ちょっと待ちなさいよ。アンタが冷血漢だってのはその通りだけど、そのかっこ先輩
除くってのは何なのよ!!』
すかさず先輩がツッコミを入れてきたが、僕は真正面から受けて立った。
「だって、先輩には優し過ぎる程に優しくしてるじゃないですか。むしろ、もうちょっ
と手厳しくしてもいいくらいですよ」
『どこが優しいのよ。後輩のクセに生意気だし、アンタの歯に衣着せない言葉で、どん
だけあたしのガラスのハートが傷ついたと思ってんのよ』
「先輩の心はガラス製でも、防弾ガラス並の強度がありますから、心配要りませんよ」
『そういうのが冷血だって言うのよ!! アンタ、女の子の繊細な心を一体何だと思っ
てんのよ』
だって、本当の事だし、と心の中で付け加える。そもそも先輩だって、僕をあごでこ
き使って、しかも役立たずとか散々罵るんだから、おあいこだろうと。
「ですから、女性(先輩除く)に対して、もう少し気配りを持って話そうかなって。もっ
とも、意識して酷い事を言ってるつもりはないんで、どこまで達成出来るかは分から
ないんですけど」
『だから、その、かっこを外せっての!! 何であたしだけいちいち除外するのよ!!』
ムキになって先輩が文句を言うので、僕は先輩をジッと見返して言った。
「もしかして先輩。僕に優しくされたいんですか?」
『へっ……?』
先輩の怒り顔が、急に呆然とした顔にとって変わる。それから、パアッと花を散らし
たように、その頬が赤く染まった。
「先輩が、僕に優しくして欲しいって言うんでしたら、思う存分優しくしてあげますよ。
何でしたら、今からでも」
しばらく、先輩はほけーっとした顔で僕を見つめていたが、それからピクッと体を震
わせた。そして、慌てて視線を逸らすと、わざと吐き捨てるように言う。
『バッ……バカ言わないでよ。べ、別にその……アンタなんかに優しくされたいとか、
おっ……思ってないんだから……』
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口と態度が真逆な先輩を見て、思わず顔がニヤついてしまう。しかし、それを必死で
我慢して、僕は努めて冷静に言った。
「それでしたら、何もカッコを外す必要はないですよね。先輩は僕に優しくして貰わな
くていいんですから」
『それはダメ!!』
即座に先輩に否定された。そこでムキになっちゃう所が先輩の可愛い所なんだよなと
思って見ていると、先輩はもう一度、僕の顔から視線を外し、横向きに俯いて呟く。
『べ、別に優しくされたい訳じゃないわよ。けど、その……そうやってあたしだけ除外
されると、何だかバカにされてるって言うか、女の子として認められていないみたいじゃ
ない。それが嫌なだけよ』
「大丈夫ですよ。先輩だって、十分に可愛らしい女の子ですから。いえ。むしろ先輩ほ
ど可愛らしい子はなかなかいませんって」
だからこそ、言葉弄りをしたくなる訳で、と内心僕は思う。先輩は、口では素直じゃ
ないけど、すぐに顔や態度に出てくるので、そこが可愛くって仕方が無いのだ。今も、
僕の言葉に、凄く顔を真っ赤にしているし。
『てっ……適当なお世辞言ってご機嫌取ろうとするんじゃないわよ。アンタの言う事な
んて、その……ぜんっぜん信用出来ないんだから……』
「先輩が信じてくれなくても構いませんよ。僕は自分の思ったことを素直に言ってるだ
けですから」
何か言い返そうとして、先輩の口がパクパクと動くが、言葉にならず俯く。そのまま、
ギュッと抱き締めたくなるほどの可愛さだが、今は外だし、グッと我慢する。と、先輩
が真っ赤な顔に強気な目線で僕を見上げた。
『かっ……勝手に言ってなさいよ!! このバカッ!!』
このセリフが出るという事は、もはや言い返せなくなったという事だ。完全勝利に満
足しつつ、僕はいよいよ本題に掛かる。
「さて、僕の抱負は言ったので、今度は先輩のを聞かせてください。約束の通りに」
すると先輩は、しかめっ面のままで口を尖らせた。
『ちょっと待ちなさいよ。まだ、言うとは言ってないでしょ? 勝手に約束にすんなっつーの』
「いえ。そういう事なら別にいいんですが…… まあ、先輩が言いたくないと言うのでしたら」
ワザとらしく思わせぶりな口調を使うと、先輩は慌てたように口を開く。
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『ちょ、ちょっと待ちなさいよ!! まだ言わないとは言ってないでしょ?』
僕は、笑顔で頷く。
「そうですね。まあ、言う言わないは先輩の自由ですし。まさか無理矢理聞き出す訳に
は行きませんものね」
『あんったの場合、無理矢理聞き出そうとしてんのと一緒でしょうがっ!!』
噛み付く先輩の言葉を、僕は冷静に否定する。
「いえいえ。そんな事はありませんよ。脅してるつもりだって毛頭ありませんし。ただ、
もしかしたら、他の人とそういう話題になった時に、うっかり僕の推測を言ってしまう
かもなってだけで」
『うっかりじゃなくて確信犯で言うつもりでしょっ!! 絶対そうよ。この悪魔!!』
それは実に正しい推測だなと、心の中で思いつつも、僕はやんわりと否定する。
「確信犯だなんて、僕はそこまで酷い人間じゃありませんよ」
『十分に酷いわよっ!!』
苦悩する先輩を見ていると、何だかもうそれだけで楽しくなってくる。恐らくもう、
ほとんど落とされているんだろうけど、あともう一歩、踏み込めない事があるのかもし
れない。そのほんの一押しをしてあげる事にした。
「もし、キチンと教えてくれるなら、それは絶対秘密にします。誰にも言ったりはしませんよ」
笑顔を消し、真面目な顔で言うと、先輩がすぐに食いついてきた。
『ホントに? 絶対に誰にも言わない?』
しかし、ハッと気付いたような顔になると、先輩は小さく首を振り、小声で呟く。
『ううん。ダメダメダメ。危うく乗せられるところだったわ。つか、別府君に聞かれる
のが一番イヤなのに……』
「何で僕に聞かれるのがそんなにイヤなんですか?」
先輩の言葉を捉えて聞くと、先輩は顔を上げて僕を見つめ、それからちょっと恥ずか
しそうに顔を逸らして呟いた。
『だ、だって……その…… アンタの事だもん。絶対に笑い者にするし……』
「そんな事ありませんよ。僕はいつだって先輩の事を笑ったりなんてしてませんから」
『ウソ。調子のいい事ばかり言ってさ。絶対笑うって』
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どうやら、僕は信用されてないらしい。まあ、これだけ弄っていれば無理もないか。
けれど、それはあくまで先輩の可愛らしさを引き出すためであって、バカにしたりする
為じゃない。そこだけは分かって欲しいと思いつつ、先輩を説得する。
「絶対に笑いません。先輩が真面目に考えた抱負だったら、たとえどんなにバカバカし
く思えても、僕は応援しますよ」
『……本当に? 絶対に笑ったりバカにしたり呆れたりしない?』
「ええ。ですから、安心して言って下さい」
コクリと頷くと、先輩に微笑みかける。先輩は上目遣いに僕を見つめていたが、やが
て、恥ずかしそうに視線を逸らした。
『えっと……こ、今年はね。その……もう少し、何て言うか、女の子らしくって言うか
……女を磨こうかなーって……』
先輩の呟きを、僕は大人しく聞いていた。まあ、先輩が女の子らしくなってくれると
言うのは、僕にとっても悪い話じゃない。出来るかどうかは別問題として。
先輩は、言い訳をするかのように、話を続ける。
『だ、だってさ。その……もう、二十歳になって、今年成人式だったじゃない。だった
ら、もう少し大人の女になりたいなっていうか、アンタいつもバカにするから、ちょっ
と見返してやりたいってのもあるし……』
「いいんじゃないですか。立派な抱負だと思いますよ」
そう言うと、先輩はパッと顔を上げて、睨むような目付きで僕をジッと見つめた。
『ホントにそう思って言ってんでしょうね? からかってるわけじゃないわよね?』
全く、どれだけ信用が無いんだか。僕は。
「もちろんですよ。先輩が力になって欲しい事があれば、何でも言ってください」
信じて貰おうと思って、僕は真面目な顔でそう提案したのだが、先輩はプイッと顔を
逸らして、不機嫌そうに答えた。
『いいわよ。別に、アンタなんかに協力して貰わなくたって、一人でコレくらい出来るわよ』
「強気なのはいいんですけど、先輩は自分に甘いですからね。それに、男の視点からも
いろいろと意見を聞いた方が、偏りが無くていいと思いますけど」
『誰が自分に甘いって言うのよ!!』
もっともらしく忠告したら、怒鳴り返された。確かに余計な一言かもしれないけど、
先輩はもっと自分の欠点は自覚した方がいいと思う。
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「まあ、そこは先輩次第として、どうです? 先輩はあんまり腹を割って話せる男の知
り合いなんていないでしょ? そこで、僕が一つ、いろいろとアドバイスするって言うのは」
『アンタはさっきからいちいちいちいち余計な事ばかり言うわねー』
先輩の声がさらに苛立ちを増す。僕は恐縮して頭を下げた。
「すみません。こればっかりは性分ですから」
『開き直ってんじゃないわよ。これじゃあ、アンタの方が抱負なんて達成出来ないんじゃ
ないの?』
「ご心配なく。さっきも言ったとおり、先輩は除外ですから」
先輩の心配は杞憂とばかりにニコヤカに切り返すと、先輩の怒りが爆発した。
『だから除外すんなって言ってんでしょうがっ!! 大体アンタはあたしを馬鹿にし過
ぎなのよ!! そんな奴のアドバイスなんて聞けるかっての!!』
もっとも、先輩の怒りは受け慣れているので、僕にとっては爆風もそよ風みたいなも
のだ。先輩の感情がちょっと落ち着くのを待ってから、僕は言った。
「それとこれとは別ですよ。安心してください。僕は先輩の事を馬鹿になんてしてませ
ん。むしろ、なまじっか優しくしてあげるだけの子に対してより、先輩の方が僕はずっ
と、女の子として意識して対応してるつもりです」
その言葉に、先輩がピクッと反応する。
『な、何言ってんのよ。アンタのどこが、その、あたしを女の子扱いしてるって言うのよ』
「してますよ。でなきゃ、こんなにいろいろと尽くしたりはしません。お世話になった
先輩ってだけじゃ、ね」
思わせぶりに笑って見せると、先輩は照れたような不満そうな、複雑な表情になって、
唇を尖らせる。
『……尽くすのは当たり前じゃない。後輩なんだから』
「それとも、尽くすだけじゃ足りませんか?」
そう言って先輩のすぐ間近に立つ。この位置だと、手を回せば抱き締める事が出来る
し、あごをしゃくればキスも出来る。そんな雰囲気を感じ取ったのか、先輩はビクンと
肩を小さく震わせた。が、僕から離れようとせず、視線を逸らして小さく言った。
『……そ、それじゃあ、その……何してくれるのよ……?』
「え?」
微妙にピントのズレた逆質問に反射的に聞き返すと、先輩は、強気になって僕に視線を戻す。
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『女の子扱いしてるって言うんでしょ? だったら、その……アンタは男として、どん
なアドバイスをくれるつもりなのかって聞いてんのよっ!!』
ありゃ、話を逸らされたな、と僕はちょっと残念な気持ちになった。先輩が一言、足
りないって、そう言ってくれれば、いっぱい可愛がるチャンスだったのに。でもまあ、
今はそれを望んでいないと言うのなら仕方が無い、と僕は気持ちを切り替える。
「そうですね。先輩はオシャレが苦手だから、可愛らしい服を選んであげたりお化粧の
仕方をアドバイスしたりとか、お菓子作りを伝授してあげたり、僕がやれる事はいっぱ
いあります」
そう言うと、先輩はちょっと呆れたように返す。
『あんたってば、男のクセに何で女の子以上に女らしい事に詳しいかなー』
「別に女の子になりたいとか思ってる訳じゃありません。ただ、雑学は分け隔てなく覚
えるのが好きなだけです」
こればっかりは僕の自慢出来るところなので自信を持って言うと、先輩はやれやれと
いった調子で肩をすくめた。
『ま、アンタにお願いなんてしたくないけどね。どうせほっといたって口を出してくる
んでしょうから、勝手にしなさいよね』
つまりそれは、宜しくお願いします、という事だと僕は解釈した。なんせ、先輩が素
直に協力を求めてくるなんて有り得ないんだから、勝手にすればいいという事は、勝手
にして欲しいと言う。そこまで深読みしないとこの人とは付き合えない。
「了解です。それじゃあ、さっそくまずは週末デートしますか」
『は……?』
急な僕の提案に、先輩は咄嗟の反応が出来ず、ポカンとした顔になる。それから少し
経って、ようやく事態が飲み込めたのか、一気に顔が真っ赤になった。
『ちょっ……ちょちょちょ、待ちなさいよっ!! ななな、何であたっ……あたしが、
アンタなんかとデートしなきゃなんないのよっ!!』
興奮気味にまくし立てる先輩を、まあまあと手で押し止める。
「落ち着いてください。先輩はあくまで、擬似デートと捉えてくださって結構ですから」
『擬似デートって言ったってデートでしょっ!! 何考えてんのよアンタはっ!!』
「もちろん、先輩がどうやったら女として磨かれるかって事ですが」
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もっともらしく答えつつ、僕は心の中で首を傾げる。一緒に帰ったりお茶したり、週
末は一緒に過ごすし、映画なんかも二人で見に行くのに、どうしてデートって単語を付
けるだけで、こんなに恥ずかしがるかなと。
『あたしが女を磨く事とデートに何の因果関係があるのよ。きっちり説明しない限り、
そんなの受けられる訳ないでしょ?』
ようやく、ちょっと落ち着いた先輩を前に僕は説明を始めた。
「やっぱり、女の子が自分を磨こうとする最大の動機って、好きな人が出来る事だと思
うんですよ」
『は?』
聞き返す先輩に頷いて、僕は続ける。
「そりゃ、まあ中には恋をしてなくてもそういう努力をするのが好きな人もいますけど、
やっぱり好きな男の人が出来たら、その人に可愛いって思って貰いたいから、一生懸命
努力するでしょ? 先輩だってそうじゃありませんか?」
僕の質問に、先輩は曖昧な顔で頷く。
『えっ……と…… まあ、そりゃ、そうだけど…… でも、あたしはその……好きな人
なんて…………いないし』
好きな人なんて、の後で、先輩がチラリと僕を見たような気がした。気がしたけど、
それは僕の願望込みなのかもしれないので、気にしない事にしておく。
「ですから、僕を好きな人に見立てて、デートの時におしゃれしたり、好きな人の前で
可愛く振舞う練習をしたりすれば、自然と女の子としての魅力もアップしていくんじゃ
ないですかと、僕はそう思うんですけど」
僕の提案に、先輩は戸惑いがちに俯く。それから、ちょっと不服そうな感じで呟く。
『その……アンタの言ってる事は、分からなくもないけど……けど、何でその……アン
タ相手に、あたしが着飾ったりとか、しなきゃなんないのよ……』
「ですから、練習ですよ」
僕はニッコリと微笑んで、先輩のおとがいに手を当て、軽く上に上げる。先輩の目が、
驚いたように大きく見開かれて、僕を見つめた。
「日頃、一緒にいる事が多いんですから、何かとやりやすいでしょ? 僕も、先輩の魅
力を引き出す為に、努力しますよ」
あごから手を離すと、先輩の視線が、また伏目がちになる。
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『で、でもやっぱりその……今更感が……しない?』
先輩の言いたいことは分かるが、僕は首を振ってそれを否定する。
「だから、デートなんですよ。そう定義するだけで、何か違った感じっていうか、その
……新鮮味があるでしょ? それとも、相手が僕じゃ役不足ですか?」
『そ、そりゃあそうに決まってるじゃない!! あたしの相手なのよ。アンタなんかに
本来は務まる訳ないでしょっ!!』
先輩の答えに、僕は思わずニヤリとしてしまう。わざと間違った使い方をしたが、予
想通りまんまとはまったなと。だけど、敢えて本当の事は言わずに話を進める。
「本来は……って事は、渋々だけどオッケーって事でいいですか?」
言葉尻を捉えて聞くと、先輩は強気に僕を睨み付け、それから視線を外して吐き捨てた。
『しょうがないでしょっ!! 相手役……他にいないんだもん。まさか、部の男子の誰
かに頼む訳にも行かないし……』
「じゃあ、決まりですね。それじゃあ、今度の日曜、早速デートしましょうか?」
スケジュールなんて聞かなくても、デートの約束を取り付けられる女の子は世界広し
といえど、僕には先輩しかいないな、と心の中で思う。
『ちょ、ちょっと待って? いきなり?』
慌てて聞き返す先輩に、僕は頷く。
「ええ。まずは、可愛い服を探しに行きましょうよ。先輩のお出かけ着って限られてま
すからね。まずは外見から磨かないと」
『そりゃそうだけど、でも、そんないきなりとか……』
「いいじゃないですか。どのみち、日曜日はまた僕んちに来るつもりだったんでしょ?」
僕にしてみると、二人で過ごすには違いないんだから、そんなに大して変わりないは
ずだと思う。なのに、いざ形式ばってデートとすると、途端に後ろ向きになる。そんな
先輩が可愛くて仕方が無かったりする。
『あたしのスケジュールを勝手に決めんなっ!!』
僕に予定を言われたことが不満だったのか、先輩が文句を言う。が、僕はあっさり言
い返した。
「じゃあ、他に何か予定ありましたか? 僕は何も聞いてませんけど」
大抵、都合が悪くて顔を出さない時は、先輩は事前に僕に言う。それも何故かちょっ
と自信ありげな感じで。だから、何も言わない時はほぼ100パーセント、僕と過ごすという事だ。
-
『う…… まあ、その……ない、けど……』
ちょっと悔しそうに先輩は答えた。僕はニッコリと笑って頷く。
「じゃあ、決まりですね。とりあえず、先輩がどんなオシャレをしてくるのか、楽しみ
にしてますよ」
『ちょっとちょっとちょっと!! 日曜もオシャレしなくちゃいけない訳?』
慌てたように聞き返す先輩に、僕は頷いた。
「当然でしょう? デートなんですから、恋人と行く気分でお願いしますよ」
『こっ……恋人とって……うっく……』
真っ赤に照れて俯いてしまった先輩を見ながら、僕は、これから先輩と何度もデート
が出来ることを思って、ついつい気分が浮かれがちになるのだった。
-
『ハァ……』
小さくため息を吐いて、あたしはベッドに転がり込んだ。日曜日に別府君とデートを
するという事実を思い返すたびに、心がくすぐったいような変な気分になって、ギュッ
と身を縮み込ませる。
『うーっ…… 何でなんだろ……別に、一緒にいる事には変わりないのに……』
いや。今までだって、別府君の家に行くのになんとも思ってない訳ではなかったけど、
でも、ここまで変な気分になった事はなかったのに。
『やっぱり……デートだから……かな……?』
口に出して言うと、余計意識してしまって、思わず身を捩じらせた。
『あぁ……もうっ!! 何で、こんな事になっちゃったんだろう……』
いや。この展開はある意味、望むべきところなんだけど。だって、あたしの本当の抱
負は、女の子らしくなって、別府君に告白させる事、だったんだから。上手いこと別府
君好みの子になれれば、それはそれでいいのかも知れない。だけど、逆に言えば、別府
君が協力してしまったら、変わったあたしを見せて、驚かせる事は出来なくなってしまう。
『むつかしいところだけどね…… でも、もうしょうがないし……』
いつも、あたしを立てるようなフリをしつつ、結局主導権は別府君が持って行ってし
まうのだ。きっと、今回だってそうなるだろう。
『デートかぁ…… あらたまってするのは初めて、かも…… はぅぅ……』
別府君が、どんな風にあたしを変えて行くのか。それを想像するだけで、心臓がドキ
ドキしてしまってしょうがない。デートの日まで、いや、もしかしたらその後も、あた
しにとっては眠れない夜が続く事になりそうだった。
終わり
これも本当は1月中に仕上げたかったorz
-
久しぶり…gj
-
久しいなw
イイヨイイヨー
-
いつもながら素晴らしい
-
>>666
GJ
風呂でうとうとしてたらメイドさんにバットで叩き起こされる夢見てビクってなった
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1225.jpg
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>>670
GJ!!
そしてメイドさんが欲しい
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頑張って金持ちになってメイドさん雇うわ
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いつだったかのスレのなんだかっていうお題で一つ
“三年”になる。
口に出してみれば1秒にも満たない短い言葉は、こんなにも重く、こんなにも黒く。
「あぁ。俺は薄情だよ。おまえとこんなになった理由さえ覚えていないんだ」
それはきっと、道端で石に躓いて転んだとか、冷蔵庫を開けたら目当ての飲み物が無かったとか、そんな風にくだらないことだった。
けれどどれだけくだらなくても、離れてしまえばあんなにも重い言葉だったとわかる。
――……。
痛いぐらい耳に押し付けたワインレッド色の携帯の向こうからは、相変わらず何の音も聞こえない。
携帯だけ別の部屋に放置しているのかも知れないし、そもそも、もう繋がっていないのかも知れない。
灰色のアスファルトに目線を落として歩く俺は、そんなことさえわからなく、なっている。
「ばかみたいだ。おまえはこんなに苦しんでいて、俺はそのせいで苦しんでいて、まったく因果なものだけど」
ガタンガタン。
電車の走る音が耳元を駆けていく。
どこからどこに向かう、どこを通る電車だろう。
心の奥底で中途半端に眠りについた思い出が、けだるそうに、緩慢に、そのくせ待ってたかのようにさぁと鮮明になっていく。
電車の色は、確か黄色。
「はは、懐かしいな。……あ。……ごめんな、またかけるよ」
前触れも無く降り出した雨を見て、相手の返事も待たずに通話を終わる。
勝手だと思う。けど、そういう性分だ。
おまえにどんなに怒られたって変わってやるものか。
畳んだワインレッドの携帯をポケットの中に入れて、俺は群青色の大きな傘を広げる。
携帯を切ったのはそのためではない。
いつか見た光景が、ふっと目の前に蘇ったからだ。
「そのままじゃぬれますよ」
違うのは、あのときよりも少女の背丈が高いこと。
地毛だという絹みたいな茶髪も短かいし、フードを目深に被った上着の色は赤じゃなくて青だし。
「ありがとうご……――っ!?」
懐かしいといえば懐かしい。
おかしいのは、こちらを見上げた少女の顔に見覚えがあったことか。
灰色の空。
そんなに急がなくてもいいのにと思わせるぐらい、雨脚は凄まじい勢いで強くなっていく。
黒色の瞳。
傘を差し出してくれた少年の顔を見るなり、言葉を失って沈黙する少女は、やっぱり雨にぬれ、あのときと違って涙でも流しているみたいだ。
自分の膝に手を置いてかがんだ状態のまま、俺はふっと頬を緩めた。
「傘ぐらい、使ってくれてもいいだろ」
「うるさいバカ。バカ。バカ!」
あのときは罵声も無かった。
いや、初対面だったのに散々な態度はとられたかも知れない。
「バカ! 顔なんて見たくもない! あんたの顔なんか、あんたの顔なんか!」
――――の、顔なんか!
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よく聞こえなかった誰かの名前。
言って、俺から傘を奪う少女。
ガタン。雨の音がうるさい。ゴトン。電車の音がうるさい?
群青色の大きな傘は見るも無残にびしょぬれな少女を守って、雨粒を景気よくばしばし弾く。
「おまえは家にいるものだとばかり思っていたけれど」
少なくとも携帯からは雨の音はなかった。
どこからどこに向かう、いつを通るかもわからない電車の音はしたけれど。
その思い込みは嘘じゃない。
でも俺の言葉を少女がどれだけ信じているかは別問題。
昔から言っていた。あんたの話は半分真面目に聞くぐらいが丁度いいんだって。
ひどい話だ。まったく。
「でも、そっか。ここにいたんだ。嬉しいな。小躍りしようか、雨の中で」
ばか、と本日何度目かもわからない悪口が雨をかきわけてまっすぐに俺の心を刺す。
小躍りしたいのは本当だ。でも俺の言葉を少女がどれだけ信じているかは別問題。
昔から言っていた。あんたは思ったことを全部口にする正直(バカ)なやつだって。
ひどい話だ。ほんと。それじゃぁ俺はこれから風邪をひくことになる。
「そうだよばか。しんじゃえ。かぜひいて、おもくなって、しんじゃえばいいんだ」
看病になんか行ってやるもんかって、少女の声は雨に打たれる水溜りみたいに震えている。
道端の、雨の日は水溜りでばしゃばしゃするのが仕事みたいな子供にさえ見向きもされない惨めな水溜りみたいに。
「ひどいなまったく。ほんと、なんてひどい。ごめんな」
「知らないよ」
それは凄惨な光景だった。
ずぶぬれの少年がいて、傘の中で震える少女がいて、化かしあいみたいな会話ばっかりで、最後まで顔をあわせないで。
なるほど、何のことはない、二人は変わらず、生憎の天気だったというだけのくだらないワンシーン。
「帰ろう。送る……は、――っくしょん! ……よ」
「そう」
少女が歩き出す。俺も歩き出す。
傘に入った誰かと傘に入ってない誰かが縦に並んで住宅街を歩くなんて、奇妙な光景だろう。
けど、それが俺たちの関係で。
多分、ここからやり直す関係で。
「……そうだよな?」
答えはなかったけど、どうせ知らない、とかばか、とかしょうもなく容赦のない言葉が弾丸のように返ってきたことだろう。
それでいいんだ。
あの電車の見える安アパートで、俺たちはそうやっていがみあってきたんだから。
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GJだよ〜
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かちゅみん
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>>676
GJ!!
ちゅんでれかつみんもいいなぁ
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>>676
思う存分撫で回してぇwww
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「朝は納豆ご飯に限るのう」、とは纏の談
このいろいろと時代錯誤な許婚が内に居候するようになってからというもの、
ここ数年、俺は一度も朝飯を抜いたことはない
それはありがたいのだが、寝ているとき突然布団を引っぺがすのと、
毎朝必ず朝食に納豆がつくのはなんとかならないものか
別に嫌いじゃないんだが毎日続くとさすがに飽きてくる
以前一度抗議をしたら、納豆の美味さ、栄養、歴史その他諸々について小一時間説教された
座布団に胡坐をかき一生懸命今後の策を練っていたが、「ほれ、朝餉じゃぞ」と声をかけられ、
しぶしぶ腰を浮かすのだった
そんな朝の一幕
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>>679
そんなまつりんに納豆チーズトーストを教えてあげたい
邪道だといって怒るかな?
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バレンタインデーに規制とか馬鹿なの?
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
2月13日の午後十一時。
時計の針が12で重なったその瞬間、私は手元に持っていたチロルチョコを兄に投げつけた。
「とっ…なんだ妹。節分はもう過ぎたはずだが」
「そんなボケた真似はしませんよ、兄さんじゃないんですから」
「ん、これは…チョコか?…ほう、この日に兄にチョコをやるような敬虔な心がまだ残ってるとはな」
「変な勘違いしないで下さい。毎年毎年チョコくれチョコくれうるさいから先にあげただけです。言っておきますけど、義理ですらありませんよ?」
「手厳しいな…まーいいや。ありがと」
「礼なんて要りませんよ。それじゃ私、もう寝ます」
ぱたん、と居間の戸を閉める。
兄の視界から自分の姿が消えたその瞬間、私は言動の反省やら恥ずかしさやらで立っていられずその場にへたり込んだ。
「は……恥ずかしかった…」
胸の鼓動が収まらない。
顔が熱いのも、しばらくは止まりそうに無い。
ある意味、手作りは渡さなくて正解だったかもしれない。
チロルチョコひとつでここまで緊張するのなら、そんなものを渡して理性を保っていられる自信が無いからだ。
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私の兄は、女子から微妙に人気がある。
学園のアイドルと言うほどでもないが、かといって女子から相手にもされないわけじゃない。まあそういうことだ。
女友達だって少ないわけじゃないし、中には憎からず思っている人も数名いるはずだ。
そして明日はバレンタインデー。
本命しか渡してはならない、と言う風にすればいいのに、何故だかこの国には義理チョコという悪習がある。
兄はきっと、真剣に好きなのかも分からない女子からいくつかのチョコをもらう事だろう。
兄が私以外の人からチョコを貰う事は、やっぱり少し嫌だ。
だけどそれを止める権利は私に無い。
だからせめて、妹にしかできないチョコの渡し方をさせてもらうことにした。
扉を少しだけ開き、そっと兄の様子を伺う。
ソファに腰掛け、大して面白くも無さそうな番組に目を向けている。テーブルには──食べ終えたチョコレートの包み紙。
私は心の中で、小さなガッツポーズを作った。
時刻は午前0時3分。
私からの、誰よりも早いバレンタイン・デー。
────来年は、ちゃんと手作りしますからね。
決意にも似た言葉を思い、私は自室へ帰っていった。
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嘘お題
・自分の部屋に突然乗り込んできたツンデレにチョコを差し出されたら
『……ん!』
「こりゃまた突然だねかなちゃん。…どうしたの、これ」
『み、みてわかるでしょ!チョコレート!』
「そりゃ見りゃ分かるけど…あ、ひょっとして2月14日?」
『か、かんちがいしちゃダメなんだから!ただ…その…タカシにいはいっこももらえなくて
かわいそうだなーっておもったからあげただけなんだからねっ!』
「…小学生に同情されるほどかなあ、俺。というかこれ手作り?」
『う…りょ…りょうりのおべんきょうのついで!べつにたかしにいのためにつくったんじゃないんだから!』
「はいはい。……ん、美味しいよ」
『え…(////)……う、あ、あたりまえじゃない!ちゃんとおりょうりのほんみて、おかーさんといっしょにつくったんだから!』
「いや、それにしたってよく出来てるわ……あ、折角だしかなちゃんも食べてよ。ほら、あーん」
『あーん・…ってこどもあつかいするなばかーーーーっ!』
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ちなみにチョコをねだってみた
「おう。おいちなみ。ちょっといいか…あれ?お前ちなみだよな?まあいいや。チョコくれ」
『…態度が悪い…もう一回』
「ちなみ大明神。どうかこのゴミ虫めにチョコをお恵み下さい」
『……よろしかろー』
「一応乗ってくれる所が素敵だぜちなみ。…ほほう。今年はハート型か。幼馴染続けて十五年、ついにデレ期が始まったか?」
『…その形はトラップなのです……中には…よくないお薬が入ってます…』
「…詳しく聞こうか」
『具体的には……麻薬のようなもの……』
「実に面白い」
『…それを食べれば…タカシは……私無しでは生きられなくなり…そして私に服従を……ふふふふふ』
「………甘いな。食べなければいいだけの話ではないか」
『……食べない…気…?』
「つーかそんな話聞いたら食うものも食えねえって」
『…うう…せっかくタカシなんかの為に手作りしたのに・……乙女の純情……踏みにじられてしまいました…』
「……ここで泣き落としかよ。つーか微妙に失礼だな」
『…さ…そろそろ食べるのです…』
「…ふむ。だがその前に一つ聞いておきたい事がある」
『………?』
「「私無しでは生きられなくなる」このワードを言い換えると、「私にメロメロになる」と言えるな?」
『…!』
「麻薬と媚薬は似た効果をもつというし───なあ、このチョコに入ってるのってまさか惚れ薬……」
『…返せ…バカ…!』
「つぁ…っと。おいおい、ネタバレしたからってそこまで怒る事無いんじゃないか?」
『違う……タカシが…変な勘違いするから……』
「勘違いかどうかは食ってみれば分かるだろ?…まあ、俺が今更惚れ薬食らったって大して変わらない気もするけどな」
『………(/////)っ!』
「まあなんにせよチョコレートご馳走様ってところだな。ちなみ愛してるよ」
『ついでみたいに言うな……バカ…!』
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>>681->>684
GJなんだぜ!!
本スレに投下されないのが残念すぐる
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何か湧いたけど、本スレ落ちてたからこっちに投下。かなみ……?
【ずれている男とかなみ】
「夢に出てきた人と結婚したい」
「あんま人多いとこで言わないでよ、それ」
「大マジ何だが」
「脳の血行悪いんじゃない? あなた、ちょっと疲れてるのよ」
「洋画風に諭さんでくれ。ろくな目にあわなそうだ」
「次のシーンには一家惨殺とかね。で、世迷言は何よ? 懺悔なさい」
「じゃあ、かなみ様聞いてください。昨日の日曜日、私はある女性と遊びに行こうとしたのです」
「あとで殴っていいわね。あんたその日、私との約束すっぽかしたでしょ」
「全部終わったらいいぜ。で、前からその人と話したり遊んだりしてたら、気になってきたわけですよ」
「へー。あんたでも好きな人出来るんだ」
「おう、初恋かもしれん。可愛く……」
「聞くに堪え無そうだから帰ってもいいかしら?」
「待て待て、聞いてもらいたくてたまらんのだよ。省いて話すからさ」
「はあ。その可愛い人と何よ。付き合う方法でも考えてくれってわけ?」
「話しは最後まで聞こうな。あながち間違っちゃいないが」
「……いいわ。でも、それ聞いたら、方法考えたら。私たち、友達終了ね。いいでしょ」
「ん? まあ、いいけど……何で?」
「……全部終わったら話すわ」
「そうか。じゃあ続けるな? 俺っていつも待ち合わせ遅れてくるだろ?」
「何時かは3時間位遅れてきたわね。待つ私も私よね」
「あの時はホントごめん。で、その日はもう告白までする気でな。待ち合わせも早くから行って、スケジュールチェックしてたんだよ」
「用意周到じゃない。普段からそうしなさいよ」
「善処する。でもな、余裕で間に合う時間に乗った電車でさ、痴漢ですよ、痴漢。それも目の前で。これは助けるしかないでしょ男として」
「すばらしいわねフェミニスト。誰にでも優しいなんて惚れ惚れするわ」
「嫌味な言い方だな、随分」
「褒めてるのよ。顔に出てないだけで」
「それはどうも」
「それから、おっさんの手をひねって捕り物劇ですよ。おっさんを駅員に引き渡した後は事情の説明して、開放されたのが2時間後でさ。大遅刻確定ですよ」
「災難ね。着いたときに女の子は?」
「いなかった。雨も降ってたし当然だろうな。普通に遊びに行く感覚で誘ったし」
「それはしょうがないわね」
「でも、悪いことしたからな。後で謝らないと」
「そうね、これから先にきっと響くわよ」
「マジかよ」
「その子はまだ友達気分よ、きっと。信頼関係保っとかないとね」
「でも付き合うんなら友達じゃだめだろ?」
「そこに至るまでは友達じゃないとね」
「そうか、じゃあ急がないとな。さて、ここで夢の話に戻るんだが」
「夢と書いて妄想とは読まないのよ?」
「いや普通に夢だ。昨日寝たときに見た夢だ。その子が出てきたんだよ」
「末期ね。入院したら?」
「はは、遠慮しとく。それでまた何か、随分悲しそうな顔してたものだから、ひょっとして告白し損なったことを責めてんのかな、と思ってさ」
「どういう発想よそれ」
「まあ、そのときはそう思ったんだって。で、今すぐにでもその子に気持ちを伝えたい、と思ったけどなかなか言い出しづらくてな」
「家にいる場合じゃないわね。早くその子の所行ってきなさいよ」
「ああ、そうだな」
「話は終わり? じゃあ友達終わりね。私もう帰」
「遅れてごめん、かなみ」
「え……」
「好きだ、付き合ってほしい」
「……嘘、え、何どうい……」
「嘘じゃない。愛してる。古風に言えば月が綺麗ですね、だ」
「でも、そんな、女の子って私……?」
「そうだよ。気付いてなかったのか? 意外と鈍いな、かなみも」
「でも、でも、可愛いって……」
「可愛いよ。ガサツで口が悪いのも全部含めて」
「……ば、馬鹿じゃな…のあんた…エグッ…ホントもう……スンッ……紛らわし…こと」
「ごめんな、俺も結構緊張してたからさ。回りくどくなった」
「……怖かっ…んだから! 好きなのに……ずっと好きだった…に! もう振り向…てくれないかと思っ…ヒッグ……」
「大丈夫だ。相思相愛みたいだし、俺もずっと好きだ」
「落ち着いたか?」
「まだ……」
「そうか。……引っ付きすぎじゃないか?」
「あんたが悪いのよ全部。全部!」
「ああ、そうだな……そういえば返事、まだ聞いてな……!」
「……ん、これでいい……? 伝わった……?」
「……ああ、よーく伝わった」
「そういえば……夢の中に出てきた人と結婚するんでしょ?」
「……顔、赤いぞ」
「あんたもでしょ。話し逸らさないで」
「……先になるけど、よろしくお願いします」
「不束者ですがこちらこそ……」
(了)
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>>686
こういう雰囲気大好きだwGJ!
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午後を少し回った辺り、俺はすることもなく近くのゲーセンをブラブラしていた。
時は2月14日。年に一度のバレンタインデー。
コンビニのポップもデパートの案内板も、カラオケも百貨店もケーキ屋も学校も、すべからくどこか浮かれた雰囲気を放っている。
だけど俺には彼女がいない。
母親はこの日にさして感心を抱いていなく、俺は今この時までチョコレートのチョの字も感じずに過ごした。
侘しいといえば侘しいのだけれど、だからといってチョコレートをもらえる奴等を妬むほどの覇気も無い。
チョコを貰わず、かといって僻まず、ただひたすらに第三者。
バレンタインデーを本当に楽しめないのは、実は俺のような人間ではないだろうか。
そんなふうに不幸を気取っていると、不意に片方のポケットが震えた。
中から携帯を探り出し、受話器ボタンを押す。相手は幼馴染のかなみだった。
今から公園まで来い────。
相変わらず強引な奴だなと呆れつつも、足を家の近くの児童公園に向かわせる。
俺もよく従ってるもんだよなあとよく分からない溜め息をついた。
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公園に着くと、時計塔の下でかなみが先に待っていた。
マフラー、帽子、手袋の三点セットが寒がりな所をよく表していて非常に可愛らしい。
「遅い!」
「悪い悪い。そこの通りで子供が迷子になっててな」
さらりと嘘。
「嘘つくなバカ。私が呼び出したら3分以内に待ってるくらいしなさいよね?」
「無茶言うなっつーの。…で、どした?」
用件を聞くと、かなみは一瞬だけ言葉に詰まる。しばらくてろてろしていたが、やがて覚悟を決めたようにばっ!とそれを差し出した。
白いラッピングにピンク色の可愛らしいリボン。
男が持つにはすこし恥ずかしいデザインのそれは───
「チョコレート?」
「…それ以外何に見えるのよバカ。ほら、は、早く受け取りなさいよ!」
妙な気恥ずかしさに頭を掻きつつ、俺はそれをありがたく頂戴した。
「…へえ。まさかかなみから貰えるとはな」
「悪い?…アンタなんかにあげるつもりじゃなかったけど、材料が余ったからついでにつくってやったのよ。感謝しなさいよね」
よくよく材料を余らす奴だ。
そう俺は思ったが、あえて口には出さなかった。
-
少しチョコを観察した後、俺はかなみに聞く。
「なあ、これ…開けてもいいか?」
軽い気持ちで聞いたつもりだったのだが──果たして、かなみはその瞬間今日のうちで一番慌てた顔をして俺にまくし立てた。
「だっ…ダメ!絶対ダメ!ど、どこで食べてもアンタの勝手だけど…私の前でだけは開けちゃダメ!」
少しあっけにとられつつ、聞き返す。
「どうして?この場で感想言ったほうが手っ取り早いかと思ったんだけど…」
「…自分の作ったものとか自分で見るの嫌でしょ?そういう事なんだってば……じゃ、じゃあ私これで帰るから!じゃあね!」
そこまで言い切ると、彼女は俺の返しも聞かずにとっとと走り去っていってしまった。
残されたのは俺と、俺にものになったチョコレートのみ。
「……なんなんだアイツ」
妙に落ち着きの無い幼馴染に首を傾げつつ、俺は帰宅についた。
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俺はチョコレートを母の視線から隠すようにして家に上がった。
自室に入り、机の上にチョコレートを置く。
解剖実験の前のようなちょっとした精神の高鳴りを感じつつ、俺は傷をつけないようにラッピングを剥がし、四角いフタを取った。
開けた瞬間、俺は言葉を失った。
そしてかなみの一連の妙な態度にも一気に納得できた。
なんてことはない。箱の中のチョコレートが───綺麗なハートの形をしていたのだった。
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>>691
GJ!
こんな時期に規制とか辛すぎる…。
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また本スレ落ちてた……
お題作成機からもう一つ
【夜 嘆く 雪】
雪山で、
「寒い…から……もっとよって……」
「そんなこと言われても、毛布の大きさが……」
「ぼ、僕にも貸して欲しいお(^ω^;)」
「……だめ」
みたいなのも思いついたけど、バレンタインだ今日は
ハチャメチャはいいから切なくいこうぜw
今日は最低の日だ。
ほう、と息を吐くと白い。霧散していく色を見ているとやりきれない。
とつとつと降るものが白かろうが、今はただうっとうしい。
寒空も乾いた空気も、身を突き刺すようですごく……お似合いだ。今の私にぴったりはまる。
いつも隣にいる人は居ない。隣にいる人が居ないと落ち着かない。
がらがら音を立てて過ぎていく自転車が、孤独感を尚更思い浮かばせた。
私は……今、立ち尽くしている。いつもの待ち合わせ場所を離れて、民家の塀に背を預けている。
例えば、と自分に前置きする。
いつもそうだ。認めたら終わり、もう会えない。きっと泣いてしまう。
「……たかし…さん…」
早く言ってしまえば取られなかったのだろうか。いや、ものじゃないか。なんでもいい。
少しずつ多くなってきた白が肩と足を埋めていく。掃うことも億劫になって、後悔にだぶって映る。
かなみ姉さんは快活で感情表現豊かで、とても女の子らしい。そして、多分私と一緒……。
今日という日だからこそ、二人で作ったお菓子。
チョコが苦手だっていうことも調べていた。姉さんも知ってて作ったんだろう。
だから、放課後、たかしさんが先に帰っててくれ、と言った時、私は全部理解してしまった。
作っている時も今朝も、姉さんはずっと一所懸命だったから、きっと上手くいく。
でも、それは私の終わり。
何で姉さんなんだろう。ほかの人ならば奪い取ることも出来る。
姉さんには勝てない。そういうことしたくない。だって……同じくらい大切だから。
二人とも普段からずっと一緒にいるもの。私より長く、私より親しくて……
夜の帳が下りてきた。風がきつい。誰もいないのは当然だろう。
帰ろう。お風呂に入ってゆっくり寝て、明日からまた普通でいられるようにしよう。
でも。でも、今だけ。誰もいない夜なら顔も見られないから……
「……たか…さん…エッ……わ、私じゃ…スンッ…何で…駄…め……」
……ち…なみ……ちゃ…ん……?
今日は最高の日だった。
なんだか色々ありすぎて、熱っぽい。
私はひどい勘違いを犯していた。正直思い出したくないレベルの……
「ちなみちゃーん。ぶつぶつ言ってないで、こっちおいで?」
「……はい」
「このお菓子すごくウマイよ。ちょっと食べる?」
「いえ……いいです……。味見…しましたし……」
「あーん」
「……あー…ん」
「で、俺が逆チョコ用のチョコ買いにいったのを勘違いしたわけね?」
「はい……もう…いいでしょう……? たかしさんは……どS…です……」
「いやあ、何か面白い状況だもんで、つい……」
「……でも…姉さんは…誰に……?」
「ああ、山田だよ。かなみにも山田にも相談受けててさ。どうやったら付き合えるかなんてのを。セッティングもばっちりしといた」
「……姉さん…そういえば……山田さん…いつも……居た…」
「あいつは山田のついでに俺と遊んでたからな。昔から好きだったんだとよ。ホントは日曜日のうちに、山田が告るはずだったんだけどな」
「そう……ですか……よかった……」
「そんなことより、ちなみちゃん。俺なんかでいいの?」
「たかしさんが……いい……です…。泣いてる…ところ……見られたし……」
「ありがとう。好きだよ、ちなみちゃん」
「…私も……」
(了)
-
>>693
GJ
バレンタインデーはドラマですなあ
-
レスを少々拝借します。
バレンタインの休日、皆様如何お過ごしだろうか。
折角のイベントデー、でも休日。まぁ、別にチョコが貰える訳では無いけど。
だから俺はチョコを貰いに行こうと思う。
と、言うわけで、俺は人気アイドル、椎水かなみのバレンタインイベントに来ていた。
「……寒っ」
場所が野外のライブなので少々寒い。
あの野郎、あんなメール寄越しやがって……。
実を言うと、俺とかなみは幼馴染、このイベントも、かなみからのメールで来させられたようなものだった。
しかも自腹。
……まぁ、チョコ貰えるから良いけど。
「大体アイツは急すぎんだよな……」
などとぼやいていると、
『みんなーー!!!元気ーー!!!?』
会場のボルテージが一気にMAXに。
所々で返事が聞こえる。
『今日は屋外で御免ね!!寒いけど、頑張るぞー』
かなみが左腕を勢い良く天に掲げる。
オォーー!!!
ファンの声だ。右手を突き出し、叫ぶ。
『よっしゃーーっ!!それじゃいってみよー!!一曲目は――』
「……ってか、アイツも半袖で、良くやるよなぁ……」
しかし、その疑問は直ぐに吹き飛んだ。
「……あっつ。ダウン脱ご……」
-
ライブが終わり、次。
《かなみちゃんのチョコ渡しイベント》だ。
とりあえず既に出来てる行列に並ぶ。
「すみません、最後尾ってここですよね?」
【はい。そうですよ〜?】
並んでいたのは女の子。俺より年下のようだ。
「君も、かなみのファン?」
【そんな〜。ファンじゃなかったらここに来ませんよ】
確かに。失念していた。
「どんな所が好き?」
折角知り合ったかなみのファン。アイドルとしてのアイツはどんなんか聞いておこう。
【やっぱり、力強いとこですね。ほら、わたし、弱そうに見えません?】
「……まぁ、うん」
失礼だな、と思いつつ答えると、少女はクスリと笑った。
【女性として憧れるんですよ〜。あの芯の強さ!!ホント、年下とは思えな】
「えぇっ!?と、年下?」
【……失礼です。これでも21です】
「あ、ああ……すみません。でも……」
【でも?】
「列……進んでます」
【ひゃあ!?は、早く言って下さいぃっ!!】
慌てて前に詰める女の人。
……やっぱ、年上に見えん。
-
女の人と話している内に、列が近づいてきた。
「おっ、そろそろか……」
【かなみちゃんが見えてきました!!か、かわいいです……】
ファンの人にチョコを渡すかなみが見える。
ただ、かなみとは幼馴染。見慣れた容貌なので、この人の反応が少し面白い。
……いや、可愛いですよ?
列はドンドン進み、俺の番。
『……タカシ』
おいおい、名前で呼ぶな。危ないだろ。
「……チョコ」
『……あ、貴方が最後?いつもありがとう!!』
かなみの営業スマイル。
『えっと……』
と、かなみは自分のポッケをごそごそ。
チョコを取り出し、俺に渡す。
『チョコはすぐ食べてね!!』
「は、はぁ……」
列を退き、チョコを一口。
「ん……?何だこりゃ」
柔らかなチョコの中に、歯に当たる何かがある。
取り出して見ると、それはピンクのカプセル。
『あたーーりぃーー!!!!』
何処から出したのか、ハンドベルを思いっきり鳴らし、叫ぶかなみ。
『おめでとう!!ピンクカプセルは一等賞!!私とデートが出来ちゃいます!!』
……は!?
『ささ、早く!!』
かなみに手を引かれ、車に乗せられた。
-
車の中。
「なぁ、かなみ」
『……なによ』
不機嫌そうな声。これがさっきまでのアイドルか。
『どうだった?まぁ、アンタは今日、暇で暇で仕様が無いだろうから、誘って見たけど……正解ね?』
「一人で話を進めるな。大体、誘ったってか、命令だろ?」
『五月蝿いなぁ、タカシは……』
…………。
この娘はホントに……。
「にしても、だ。何であんなマネした?」
そう。先程のチョコイベントの事だ。
「大体、当たりつきとか無いだろ」
『あ、マネージャー。そこ停めて』
コイツ、人の話を……。
『ハイ、降りる降りる』
かなみに押され、車を降りる。
「――って俺ん家じゃねえか!!」
『仕方ないでしょ?アイドルのアタシと類人猿のアンタ。一緒に居るとこ見られたらアウトよ。さ、中入りましょう?』
「……お前は」
ドアを開け、家に入る。と言うか、帰宅。
『汚いわね。流石タカシの部屋……』
「なぁ」
『大体、こんな奴が独り暮らし出来る訳無いのよ。誰か居ればいいのにね。まぁ居ないけど』
「おい」
『……ま、まぁ、どうしてもなら、私が――』
「おいっ!!」
-
思わず、叫ぶ。
「一体何なんださっきから。悪口言いに来たんなら帰れ」
まだだ。まだ収まらない。
「類人猿?悪かったな。アイドルだもんなそりゃそうか。聞いとこう。お前は類人猿の住処に何しに来た?」
『……いや、あの……』
かなみの目にうっすら涙が浮かぶ。
「言えねえか。まぁ、悪口だろう。スッキリしたか?ライブじゃあスゲエと思ったけど――」
『ホントっ!!?』
かなみが俺の胸ぐらを掴む。
「ああ、思ったよ。でもやっぱりお前は――」
と、
『ありがとう……』
かなみに抱きつかれた。
離そうと思ったが、離れない。
と、同時に、腹の中のドス黒い感覚が無くなる。
「お、おい、かなみ……」
酷い事を言ってしまった。
「御免」
いつものパターン。口喧嘩して、結局俺が謝るのだ。
『ううん……いいの……アタシも、御免ね……』
洟をすすりながら、かなみは続ける。
『アタシ、いっつもタカシに酷い事言って……でも、今日はアタシの凄い所見せてやろっ……て、で、でもぉ……』
「すまん。今日は虫の居所が悪かったんだ……」
『でも……タカシ、スゴイって……嬉しい……嬉しいよぉ』
抱きしめる腕の力は更に強く。
俺も、かなみの腰に手を回す。
「あぁ……かなみ。お前は凄い」
頭を撫でる。これもいつもの事。
『はぅぅ……タカシ……』
「……何だ?」
『……好き。付き合って……』
「……いや、流石にそれは」
『……嫌?』
再びかなみの目に涙が溜まる。
「い、いや、な?アイドルとしてのお前の将来を潰したく無いって言うか」
『……大体、アイドル目指したのも、タカシにもっとアタシを見て欲しくて……』
「え、そうなん?」
『……むぅ』
頬をつねられる。
『……いつも素直になれないのは、ホントに御免。でも、だから……だから、今日こんな事したんだよ?』
「……まぁ、アレだな。俺って、一人じゃ何もできないし……頼める相手探してるんだけど……どうよ?」
『……素直じゃないなぁ』
「……撫でてやる!!」
『やっ!!止めて髪が乱れ……にゃう……ふにゅう……』
「……お前、いっつもソレだな……」
ぼやきつつ、アイドルの頭を撫でる。そんなバレンタイン
-
以上。
長い上にワケわからない駄文すみません。
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萌え悶えた
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>>700
さすがIDがエースなだけの事はあるぜ
あと、避難所とはいえ、自虐はいらんぜ
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>>700
類人猿で吹いたwww
GJ!!
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>>700
尊大が男に注目されるためにトップモデルになって・・・ってのを妄想してた。
似たようなこと考えるやつはいるもんだな。
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>>693
>>700
GJ!
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もう一個バレンタインネタ投下ー。
自炊:バレンタイン後日、学校にて
バレンタイン翌日。
休日がバレンタインデーだったせいか、教室はまだバレンタイン一色。
朝から、放課後まで、チョコチョコチョコ。
そんな中の、不敵な二人。
『ふっふっふっ……山田?今日はスキャンダルがいっぱいありそうね?』
ハンディカムを回しながら、友子ちゃん。
れっきとした写真部の活動。
いつもの活動。
「うん。僕も楽しみだよ……」
『そうね。フフフ……』
いつものやり取り。
いつも通り怪しい友子ちゃん。
「さぁ、誰から行こうか?」
『そうね……最近噂の荒巻君と奈都コンビ、行ってみよう!!』
友子ちゃんの掛け声に続く。
こうして始まる、二人の一日。
-
気になる二人をつけ回し、時には煽り、事実を写真に映像に。
これが、写真部(まぁ、友子ちゃんの趣味なんだけれど)の活動。
今日の成果は大金星。
やはりバレンタイン。幾つもの本命を、フレームに収めたことか。
『いや〜っほぅっ!!』
室内に友子ちゃんの声が響く。
ここは写真部部室。
僕と友子ちゃんは、今日のスクープを早速現像していた。
「ホントに友子ちゃんは凄いよ……目つけてた奴全員当たりだもんなぁ……」
『そうでしょそうでしょ!!もっと褒めろー』
「いや、ホント。……ん?」
友子ちゃんが頭をこちらに差し出す。
『友子さんは疲れた。癒しを要求する』
「了解」
頭を撫でる。
と、友子ちゃんが目を細める。気持ち良い、と言ってるかのようだ。
『……でも、恋のキューピッドってのは楽じゃ無いのよね。山田?次、肩お願い』
言われるがまま肩を揉む。
そう。友子ちゃんはただカップルを追いかけるだけじゃない。
恋のキューピッドもやっているのだ。
それが僕には、少し寂しい。
-
友子ちゃんは人の恋愛で頭がいっぱいだ。
ちょっとは自分の事も、考えたら良いのに。
……例えば、僕、とか。
僕は友子ちゃんが好きだ。でも、言えない。
今まで一緒にやって来たパートナー。
そんな関係を、僕は、壊したくなかった。
「ハァ……」
思わず溜め息が漏れる。
『どしたの山田?お疲れモード?』
「いや、大丈夫」
『いやいや、アンタ、疲れてるって。ちょっと、待って……』
友子ちゃんは自分のカバンをごそごそ。
『はい。チョコレート。働いてくれた分の、お駄賃よ♪』
それは、綺麗に包装された、チョコレートだった。
「お駄賃って言うわりに、ハートなんだね」
『ばっ……馬鹿っ!!今開ける?フツー!!』
「御免。好きな人から、本命チョコ貰うの、初めてで……」
友子ちゃんの目付きが変わる。
『……今、なんて?』
あ。言ってしまった。
『……山田のバカ。私がこれ渡すの、どれだけ勇気出したと思ってんの?』
「ご、御免……」
『フフ……。でも、良かったぁ……』
友子ちゃんの顔が綻ぶ。
僕は、友子ちゃんを抱き締めた。
「ホント、良かった……」
『「両想いだね」』
二人の声が重なる。
同時に、唇、も。
今日も、二人の息はピッタリだ。
-
一方、その影で不敵な人影が二つ。
『フフフ……やっぱりね!!流石アタシ!!』
「声がでけえぞかなみ。バレちまう」
『ん、そうね……。さぁ、タカシ?じゃんじゃん回しなさい!!!』
「……つか、かなみ。これ、ちゃんと動いてるよな?」
『タカシ?馬鹿にしないでよ。お父さんから借りてきて、カセットだけど、キチンと動くんだから!!』
「……かなみ?カセット、入ってないぞ?」
『あぁっ!?しまったぁ〜』
―――――
『やっぱりカメラはハード内臓型に限るわね〜』
「友子ちゃん……?何そのカセット?」
撮られるもんですか。私達は、二人で一人。
撮るの専門なんだから。
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以上です。
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なんだただの素晴らしい友ちゃんか
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山田と友ちゃんのコンビ大好き
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てす
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つーん
-
つーん
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規制されてたから勝気さん分を補充。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1256.jpg
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めんこいのう
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これはいい勝気さん
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こいつはいい勝気さんww
22時22分22秒の準備だ
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俺もにんまりした
やっぱりVIP落ちたな
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>>718
GJだぜwwwww
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>>718
勝気さんのにんまりした顔を見て俺もにんまり、GJ!
>>719
よう道民、仲間がいてうれしいぜ!
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めんこいは東北でも使うよ
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本スレ191より、わかめスープ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1257.jpg
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わかめスープ色っぽいなぁ、GJです
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>>726
保存しました
GJ!!
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みこちんかわいい
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1260.jpg
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俺「…」ニヤ
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PCが規制だなんて、携帯までも規制だなんて……
お題
ただの砂糖水を自白剤だって言ってのませたら
だったかな?
「……ごめん。もっかい言ってくれる?」
「だからな、山田がくれたんだよ、自白剤」
いやいやいや……
流石にそれはないでしょ……
「何で、私が飲まなきゃいけないのよ!」
「かなみは素直じゃないからなー。たまには素直なところが見たいわけですよ」
……そんなこと言われても…
素直になったら……その……
恥ずかしすぎて死んじゃう……
「だ、大体! そんな物飲ませてどうするつも……」
「いいからいいから。ほら、飲め飲め」
「あ…ちょっ、押さな……んぐっ」
甘っ……!
……。
でも…こんな時しか………薬に言わされるくらいなら……
「よし。じゃあ聞くぞ?」「……うん」
「俺のこと、どう思ってる?」
「………」
「って、山田に聞いてみろって言われ『好き』…へ?」
「好きよ。たかしなんか大好き。いっつも一緒にいてくれるし、私の話ちゃんと聞いてくれるし…………」
「か、かなみさーん……?」
「…喧嘩した時も私が悪くたって先に謝るし、ホントはすごくごめんなさいって思ってるのに、全部わかってるみたいにフォロー入れてくれて……」
「誰かこの子止めてぇぇぇぇ!?」
「…それでね……あと……なところがかっこいいなあって……」
その後フルボッコにされたり、公然と痴話喧嘩するようになるのは別の話
(了)
-
規制かかったぁーー!!
レス少々借ります。
とある休日。
部活が終わり学校から帰宅する。
家の鍵を開け、着替えようと自室に入る。
「……かなみ。人の家に勝手に入るのは泥棒だと何回言えば良いんだ」
ドアを開け、入室するなり、かなみが本を片手に仁王立ちしていた。
かなみは、学生兼モデル兼俺の幼馴染。
おおかた仕事から帰って来たんだろうが、何で俺の家に来るのか。
『どういう事よ!!』
しかも、何故か怒っている。
「……何があった?」
『コレよ!!コレ!!』
かなみは手に持っていた本を俺に突き出す。
……俺が買ったエロ本とかエロ漫画。
「……どうりで部屋が片付いてるなーと思った……ああ恥ずかしい!!人の部屋勝手に漁りやがって!!」
『何よコレはー!!』
「人の話を聞け!!」
『こんな本読んで!!』
「い、良いだろ!!別に!!」
『違うわよ!!アタシの載ってる本が無いじゃないのよ!!』
かなみは両手を挙げて俺を威嚇。
『こんなん買う金あんなら、可愛い幼馴染が載ってる本買え、バカ!!』
「お前、男は女性向けファッション雑誌なんか買わんぞ、普通」
ましてや、かなみは《可愛い系》の雑誌でモデルをやっているらしいので尚更だ。
-
『……っ!!じ、じゃあアタシは何のために――』
かなみの表情が悲しげに歪む。
『……い、いや……何でもない。わ、忘れなさい!!あと、コンビニ行ってアタシが表紙のやつ買ってきなさい!!良いわね!?』
そう言い残し、かなみは部屋を後にした。
「……で、買ってきた訳だが」
あの後、コンビニに行って、かなみが表紙を飾るファッション誌を買ってきた。
表紙に、《突貫!!カナミに雷撃インタビュー!!》とある。
……電撃じゃないのか。
おそらく、インタビュアーは元潜水艦乗りで、魚雷の名手に違いない。
そんな事を考えつつページを繰る。
「おお、あったあった」
読み進めていくと、インタビューの内容に気になる記事があった。
――好きな人はいる?
……いるんじゃないのか?アイツも高校生だしなー。
――いますよ。
……ほら、やっぱり。
――この仕事も、ソイツに振り向いてもらおう、って、始めたんですよ。
……初耳だな。それは。
――でも、向こう鈍感で(笑)なかなか気付いてくれないんですよー。
……バカな奴もいるもんだなー。
――幼馴染なんですよ。だからかもしれないですね(笑)
-
「……まさかー」
『ホントよっ!!』
声に振り向く。かなみだった。
「……お前、不法侵入で訴えるぞマジで……!」
『ねぇ、それより、読んだんでしょ!?見てたものアタシ!!』
嬉しそうなかなみだが、やってることはストーカーだ。
『ねぇ……返事、欲しかったり』
急に小声になる。上目遣いでチラチラ俺を確認している様子が可愛らしい。
「……いや、別に良いけど、俺?」
『……タカシじゃなきゃ、ダメだもん』
ススッと近寄り、服の裾を摘まんでくる。
「伸びるだろー」
『……照れちゃって……♪』
……なんか腹立つな。
「まぁ、いいや」
『どれだけ待ったと思ってんのよさっきの台詞。大体、アンタ、ネットで叩かれまくってるのよ?』
「……え!?なんで俺が何したってんだよ!?」
『ちょっとパソコン借りるわよ』
言いながらパソコンを立ち上げる。
少ししてから、
『ほら。アタシのファンサイト』
「物好きもいるんだなぁ」
頭を叩かれた。
『アンタもでしょ!!』
画面に目をやる。掲示板だった。
-
「どれだ?俺が叩かれてるって書き込みは」
『えっと……あっ、コレよ、コレ』
ねこ:ヵナ彡ちょ→ヵゝゎレヽレヽ!!τヵゝ`⊂〃ωヵゝωTょぉ`⊂⊇ッτмаち〃±レヽぁ<→★
まゆ:маち〃(≠м○レヽ∋Йё★±レヽτ→ッ⊃ヵゝぁレ)ぇTょレヽU★
「……おいかなみなんだこれは」
『……読めないの?』
何故かなみはきょとんとしてるんだろう。
「これは日本語じゃ無いだろ」
『いや、日本語よ?』
「……かなみ。モデルをやるのは結構だ。けどな、大学入試に宇宙語は出ない」
『解ってるわよ!!コレはギャル文字!!文字化けしてあんのよ!!』
「……お前のファンって、こんなファンタジーな脳してるのか?」
『ファンが一人も居ないタカシよりましでしょっ!?』
「一般人と比べるなー!!」
-
数日後。
俺とかなみは付き合うことになった。ただし、あまり二人の位置は変わっていない。
恋人、という意識を余りしないで良いのは幼馴染の利点だろうか。
「もしもし、かなみか?」
仕事中のかなみが電話をかけてきた。
『あ、タカシ?もうすぐ終わるから、駅まで迎えに来なさい!!』
「ん、了解。そう言えば、かなみ?」
『何よ』
「結構前に、お前俺に、『撮影に使う』って俺のワイシャツ持ってったよな。でも雑誌見てもそんな写真はない。お前は何に」
『い、いいから!!絶対迎えに来なさいよね!!』
電話を切られた。
「……次は窃盗か……」
どうしてくれよう、と考えつつ、俺は駅に向かった。
以上です。
>>704さん、妄想パクッてしまいましたすみません。
溢れる脳汁に逆らえなかったんです……。
え、ええい!!婦警だ婦警を呼べーっ!!
-
私は極度の恥かしがり屋だ。しかも、恥かしくなると決まって周囲の物に当たってしまう。
そんな私の破壊衝動を受け止めてくれるのが、幼馴染であり、現在は夫となったタカシ。
受け止めてくれたと言えば聞こえは良いが、私に恥かしさを与えているのが他ならぬタカシ
であるのだから、その報いを受けるのは当然だ。
幼稚園の頃、公園で初めて出会った時に口一番飛び出した「可愛い」の言葉に反応して頬っぺたを
思いっきりひっぱたいたのが二人の始まり。
翌日、何事もなかったかのように話しかけてくるタカシに不思議な感情が芽生えた。逆に殴られたって
口汚く罵られたっておかしくない。タカシの姿に覚悟を決めた私に、「こんにちは」ってニッコリ微笑
んだ。変な奴だと思うどこかで、私を受け入れてくれた事に嬉しいと思った。
それ以降、大抵タカシは私の側にいた。私は表面上煙たい振りをしながら、嬉しくて仕方なかった。
この頃から幼稚園に行く楽しみはタカシに会えること。いや、幼稚園から小学校、中学校、果ては高校、
大学とずっとそうだった。
もちろん、二人一緒に居る姿を冷やかされ、その度に私はタカシを殴った。そして、今度こそ嫌われた
のだと落ち込みもしたが、タカシは一向にそんな素振りを見せる事なく相変らずの笑顔。
これで惚れるなというのは無理な話。小学校に入学する頃には、ハッキリと恋愛感情を意識していた。
しかし、これが私をさらなる恥かしがり屋にし、暴力行為はエスカレートしたもの。小学校で3回、中学
校で1回、教師から両親と共にお叱りを受けた。
高校のときは、付き合っていたので「行きすぎた愛情表現」として、黙認されていた・・・らしい。
ちなみに、付き合いにいったのは友人達の策略によってだ。「行き過ぎた愛情表現」を繰り返しつつも
一向に付き合う素振りを見せない私達(というか、だいたい私のせい)に、あれやこれやの策を張り巡らせ
告白せざるを得ない状況に追い込んだ。肝心のタカシはというと、「一目ぼれだ。出あった時から好きだった」
との事で、実は相思相愛だったのだ。もちろん、このセリフを言った直後に私は暴走したの言うまでもない。
付き合っからも相変らずの私達。友人曰く「普通のカップルより10倍は進展が遅い」との事で、手を繋ぐ
まで3ヶ月、初キスまで1年必要だった。この初キスはいわゆる「事故ちゅー」であり、これもまた友人達
の策略によるもの。ただ、最初の1歩が踏み出せれば、2回目以降は、「周囲に誰も居ない事」という条件は
あるものの、割と頻繁にしてた気がする。
タカシがねだってくるのを「あまりうるさく言うから仕方なく」とか「付き合ってるのだからしょうがない」
という体でさせてあげていた。キスの後の暴走は、余韻に浸っているせいか力が入ってないらしく「可愛い
暴走」なんて言われ、暴れる私をタカシが抱きしめ、暴走が納まるまでずっと頭を撫でてくれていた。
-
こんな事を繰り返していたせいか、相変らず恥かしがり屋ではあったものの、暴走する頻度はぐっと減り
代わりに抱きしめられたくてわざと暴走する振りをしたりもの。
・・・この暴走する振りが見破られた時は、いつも以上の暴走を見せたらしいけど。
暴走といえば、タカシと結婚する時も酷かったらしい。こんな性格ゆえ、結婚披露宴は無理だと諦めていた
両親に、せめてウェディングドレス姿だけだけでもと写真屋に行った時のこと。
お決まりの「綺麗だよ」の一言に、タキシード姿のタカシを力いっぱい殴った。あまりに衝撃的な姿を見た
写真屋さんが、とっさにシャッターを切り、見事な右ストレートを放つ花嫁の写真が出来上がった。
結局、二人ならんだ写真は撮る事は出来なかったが、一緒にいた友人がこっそり取っていた写真に
幸せそうに笑う私とタカシの写真が「偶然」あったらしく、事なきを得た。
そして、二人そろって役所に行き、一悶着も二悶着もあったあと、どうにか婚姻届を出して今に至る。
一応、新婚初夜となる今夜。ドキドキと高鳴る胸を押さえつつ、タカシの腕に抱かれている私。
はたして上手く出来るのだろうか・・・と不安はあるものの、そのどこかでは多分なんとかなるという
安心感もある。だって・・・私の旦那様はずっと一緒にいてくれたタカシなのだから。
そろそろ頃合だろうか、タカシが私の耳元で愛の言葉を囁く。そして、私は頭の中が真っ白になってしま
うのだった。
-
>>731、>>737
両方とも可愛くてGJ!!
-
レベルたけえなあオイ!
-
>>736
俺の妄想してた展開は全然違うものだから問題なし。
むしろ合ってても問題なし。
最近文章起こす気力がなくてな・・・妄想だけで満足してしまう。
-
>>736
はい死んだ萌え死んだよ!
-
卒業式後。
自分が担当をし終えたの教室。
自分のことを嫌ってたであろう生徒と最後の会話。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1263.jpg
-
>>743
胸を撃ち抜かれたよ
-
決めた
おいら教師になるよ
-
>>743
一途じゃのう…
-
>>743
生徒と先生の関係としては最後の会話ですね
わかります
-
勝手に>>743の逆バージョン
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1264.jpg
-
最後までニヤニヤしながら言わせてそれから抱きしめたい
-
>>738
久しぶりにグッときたな
GJ!!!
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>>748
ときめいたぞばか!!
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