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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●

8281/5:2010/03/21(日) 13:13:00 ID:Wnj/a9Zw
・ツンデレのツンが95%になった日

 この間の一件の後、次の日から別府君も私に、必要最低限以外の事では声を掛けなく
なった。もっとも、理由はないけどとにかく苦手だから近寄らないで、なんて言われて
なお、親しげに声を掛けて来る人間なんて、ほとんどいないだろうけど。
――でも、これでいいんだ。もうこれで、お互いに嫌な気持ちになる事はなくなるから。
 あの時、別府君につけた心の傷も、私と接触する事がなければすぐに消えてなくなる
だろう、と私は自分で自分を慰めていた。
 しかし、そんなある日の事だった。
 帰り道、一人で帰る私を、後ろから別府君が自転車で追い越していった。MTBとい
うのだったか、スポーツ系の自転車を颯爽と漕ぐ彼の姿を、私は見かける度に切ない甘
酸っぱさを感じていた。
――こうして、眺めているだけだったら……幸せなんだけどな…… どうして、別府君
の目の前に立つと、あんな風に苦しくなっちゃうんだろう。私は絶対におかしいわよね。
普通の女の子だったら、好きな人とだったら、きっと嬉しくて堪らないと思うんだけど……
それとも、みんな、乗り越えてるのかな?
 もっとも、今更そんな事を考えても手遅れだけど。彼の後ろ姿を見ながら、私はため
息を吐いた。
 その時だった。
 軽快に走っていた彼の自転車がいきなり、左に大きく傾きそのまま、まるで潰れるか
のようにベシャッと地面に叩き付けられた。
『あっ……!!』
 口を押さえ、小さく呟く。ほぼ同時に、黒いセダンが道を猛スピードで横切るのが見えた。
『別府君っ!!』
 我を忘れて叫ぶと、私は慌てて彼の近くまで駆け寄った。自転車は横転し、彼の体が
地面に投げ出されている。
――嘘……? 轢かれた……の……?
 視線の先に、セダンが止まっている。しかし、ドライバーが降りて来るかと思いきや、
そのまま車は勢いよく発進した。




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