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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●
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『ダメよ。あんな賞味期限も切れたチョコなんて……』
でも、言葉とは裏腹に、心の中にチョコの占める比重はどんどん大きくなっていった。
ついに堪り切らなくなって、私は携帯のボタンをプッシュした。
「何だよ。いきなりすぐ来いとか呼び出し掛けやがって。今、ちょうど盛り上がってたと
ころだったのによ」
玄関先で私の顔を見るなり文句を言ったタカシを、私はキッと睨み付けた。
『アホくさ。どうせ山田とゲームでもやってたんでしょ? あたしの呼び出しとどっちが
大事なのよ』
「だからこうして来たんだろ。で、一体何の用なんだよ?」
『へっ……?』
最初の答えに思わずドキッとしてしまって、私はその後の言葉が耳に入って来なかった。
――だからこうして……って事は、あたしの呼び出しの方が大事って事よね? うわうわ
うわ……どうしよ。そんな風に思ってくれてたなんて……
「おい、かなみ」
『は?』
タカシの声に、盛り上がっていた思いが寸断される。何か水を差されたような気がして
一瞬イラッと来たが、その気持ちもタカシのより苛立ったような声に吹き飛ばされる。
「いや。は?じゃなくてさ。呼び出したからには用があんだろ?」
『えっ……と、う、うん。そうだけどさ。そんなに急かさなくたっていいじゃないのよ』
思わず自分の世界に入り込んで肝心のタカシを置き去りにした事を気恥ずかしく思いつ
つ、その気持ちを表に出さないように、私は敢えてぶっきらぼうに言った。
「何だよ。ここじゃマズイとかか?」
タカシが怪訝そうな顔で聞く。私はフルフルと顔を左右に振った。
『べ、別にマズイ訳じゃないけど、心の準備というか……』
「は?」
タカシは不思議に思うだろうけど、一ヶ月前に渡しそびれたチョコレートを今更になっ
て渡そうだなんて、凄く勇気が要ることなんだと、いざ渡す段になって、私は改めて認識
せざるを得なかった。
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