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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●

7915/7:2010/03/14(日) 22:47:33 ID:3aJ5EakI
『まーね。しかし何だってかなみは別府君をそんなに嫌うかなあ。あたしには理解出来んわ』
『人それぞれよ。そんな事は』
 本当は私だって、嫌ってる訳じゃない。そう内心では思いつつも、一言、私はこう答
えたのだった。


 実際には、口で言ったほど上手くは出来なかった。伝達事項なんかで、どうしても言
葉を交わさなければいけない事があったから。その時は、淡々と必要事項だけを伝えて、
私の方から会話を打ち切ってしまう。その度、何故か心の中に苦い想いが広がるのを、
私は認めざるを得なかった。それでも、どうにかこうにかやって来たが、ついに、そう
も言ってられない時が来てしまった。
 それは、体育倉庫の整理を委員全員でやった時の事。同じクラスだから、当然私と別
府君は近い位置で仕事をする事になる。こういうのが私は凄く嫌だった。何故なら、他
の人たちは男女でも割合仲良くやってたりするのに、私たちは一切会話が無かったから。
非常に気まずいし、かといって会話が出来る訳でもないし。そんな悶々とした状況のま
ま、私は一つの問題に直面していた。
――これ、どうしようかな……?
 私の前に置かれたのは、ダンボールに詰められた、古い野球のミットやらマスクだっ
た。まだ使えるからという理由で、倉庫の上に仕舞っておくよう言われたのだが、どう
せ使いもせずにいつか捨てる事になるのに、とうんざりする思いで見つめる。軽く持っ
てみた。持ち上がらないほどじゃないけど、重い。
――でも、仕舞うのは上の方なのよね。
 周りを見ると、大体重い物は男子が片付けている。私も、別府君に一声掛ければいい
だけなのだけど、それが出来ないから困っているのだ。まあ、頼めない以上仕方が無い
と諦め私はグッと段ボール箱を持ち上げた。
 その瞬間だった。
『きゃっ!?』
 小さく悲鳴を上げてしまった。バランスを崩し、後ろに倒れそうになる。その瞬間、
肩と背中を背後から支えられた。
「あぶねっ!!」




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