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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
1
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 00:23:45 ID:qDu.RquQ0
安価の人のお題で自分の好きなキャラの妄想をするスレ。
【例】
お題:煙草 キャラ:パチェ
「ここじゃ吸っちゃダメだよな…?」
「図書館の中は禁煙よ」
「…だよな、ちょっと外散歩してくるよ」
「えっ?」
「ほら、パチェも喘息持ちだし、な」
「だ、大丈夫よ、小悪魔、窓を全部開けてきて頂戴、あと○○(名前)に灰皿も」
「…大丈夫か?」
「へ、平気よ。ほら、早く座って、本の感想でも聞かせて頂戴」
「そうか…じゃあここで吸っちゃうぜ」
「え、えぇ」
(…むきゅー)
11
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:19:15 ID:93C6lOjE0
了解した。キャラ指定は無しと考えるぜ。
12
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:19:45 ID:qDu.RquQ0
「○○、それは?」
「これ?ぷよぷよ。やってみる?」
「…外の世界のゲームってやつね、どうするの?」
「こことここを押して…そう…あ、ゲームオーバーだ」
「…貸して頂戴」
「ん?いいよ」
「○○、20連鎖できたわよ」
「ちょwww」
「…でもなぜか画面が真っ暗になってしまったわ…」
「あー…充電が切れたんだね」
「…むきゅー」
13
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:20:38 ID:qDu.RquQ0
キャラは基本自分の好きなのでヾ(・ω・)ノ
連投すいませ(´・ω・`)
14
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:38:14 ID:3qphPOLc0
「麦のお酒?」
「ええ、貴方は飲んだこと無いと思って」
「ふーん、せっかくだから頂いておくわ。味見に付き合ってよね」
「嬉しいわね、霊夢のお酌で月見酒だなんて」
「どうせいつもみたいに誰か来るわよ……ほら」
「邪魔するぜ〜 おお? 紫も一緒とは珍しいな」
「あぁもう野暮ねぇ、まあいいわ、貴方も飲んでいきなさい」
「何だ、今日はずいぶんと機嫌がいいな」
「ええ、機嫌がいいうちにさっさと酔い潰れてしまいなさいな」
「つまりどっちが先に潰れるかのゲームだな。返り討ちにしてやるぜ」
「あんた達あんまり散らかさないでよね、片付けるのは私なんだから」
こんなんでいいかな?
麦酒話を書いてたが強引に進路変更したのがバレバレだというw
15
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:40:32 ID:qDu.RquQ0
なるほど…w
そういうシチュエーションは結構好きですけどねw
紫と霊夢もいいなぁ…(´・ω・`)
もし次もいくなら、お題出してもらっていいですけ?(´・ω・)
16
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:43:10 ID:3qphPOLc0
じゃあ次のお題は「季節」で
書いてる途中で他の人がSSを上げた場合でも後から投下するのはあり?
17
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:57:22 ID:qDu.RquQ0
一応そのお題のときの安価を出してくれればありな感じで?
人が多くなったりしたら廃止のシステムでいきましょうか(´・ω・`)
次は季節ですね…
18
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 01:58:02 ID:qDu.RquQ0
あ、でも書いてる途中ならありのほうがいいですね(´・ω・`)
あまりにも離れたりしちゃったらやめたほうがよさげですけど(´・ω・`)
19
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 02:06:59 ID:qDu.RquQ0
「寒いわね」
「…もう12月だしね」
「…雪でも降りそうね」
「そうだね…あ、これ持ってきたんだ」
「…何、これ?」
「マフラー。2本あるからあげるよ」
「…お揃いね」
「…む…むきゅー」
季節…?!否、違うかも(´・ω・`)
20
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 02:40:20 ID:H3E76DJw0
ねぇ、イチャスレと何が違うの?
なんであっちでやらないの?
死ぬの?
21
:
お題:ゲーム
:2008/11/26(水) 02:52:08 ID:93C6lOjE0
子供たちの元気良く遊ぶ声は心が和む。だけど元気なのも困りものだ、と疲れた右腕を擦りながら思う。
「慧音先生、へたくそー」
そんなことを言われれば苦笑いするしかない。
「む、今度こそうまく出来るさ。見てろよ、それっ」
近くにあった石を拾い湖に向かって投げる。水の上を切って跳ねながら進む石は4回跳ねた時点で
沈んだ。子供が石を投げてるのを見よう見まねで投げるがなかなか跳ねる回数は増えてくれない。
「違うよ、せんせ。手首を上手く使うんだよ。見てて」
それっという掛け声とともに投げられた石は、自分が投げた石より何回も多く跳ねて遠くへ進んでいった。
どう?と言う風に満面の笑みでこちらを見る男の子は本当に楽しそうで、だから一緒に遊ぶ私も笑顔だ。
「まいったよ。降参だ。さあ、もう暗いから帰ろう。これ以上は危ないぞ」
こうして遊ぶのは楽しいけれど、これからは妖怪の時間になる。だから不満そうな、「え〜」という声も
聞くわけにはいかない。
「さあ、帰ろう」
男の子の右手を引いて湖に背を向けて歩き出す。一緒になって遊び、笑い、男の子との距離感がぐっと縮まった気がする。
でも、横を見ると男の子のちょっと不満そうな顔がある。
だけど、私もこうして遊ぶのは本当に面白かったから、だから、
「また遊ぼう」
と、自然に言葉が出た。
一緒になって遊び一緒になって笑う。この大切さは寺子屋でただ子供たちに勉学を教えているだけでは見失いそうになる。
今はしっかりとその大切さが手から伝わる暖かさから感じ取れる。一緒に遊んで良かった。本当にそう思う。
「絶対だからね」
「ああ、絶対だ」
横を見ると男の子の顔は本当に嬉しそうな笑顔だった。
end
22
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 02:55:27 ID:93C6lOjE0
お題が上手く消化できてない気がするが、許してくれ。
23
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 03:04:59 ID:qDu.RquQ0
>>20
お題とか出したほうが面白いかなと(´・ω・`)
イチャが入らなかったりするしこれでもいいかなーって(´・ω・`)
いや、実はイチャスレも行くんですけどね(;´・ω・)
>>21
けーねさん可愛いお(´・ω・`)
こういうカップリングとかじゃないのもいいですね(´ω`)
24
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 03:12:31 ID:TRZRQBcE0
ルール制定中ならこんなのはどうでしょう?
東方関係ない板のSSスレのテンプレです
ここは前の人が出したお題でプチ小説を書いて次のお題を出すスレです
前の人が出したお題にあわせてプチ小説を書いてください
・小説の最後に次のお題になるタイトルを書くこと
・書き込み前のリロード忘れるべからず!( `д´)
・リロードしてみて先こされてしまった人は、「第〜章 外伝」とタイトルつけて
次のお題をださずに書き込むこと
・書き込み一つにまとまらない話は、メモ帳などに一度全文まとめてから
「第〜章 ○話」とつけて間をおかずに書き込むこと
25
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 03:41:18 ID:qDu.RquQ0
>>24
な、なるほど(´・ω・`)
そういうのでもいいですね(;´・ω・)
26
:
名前が無い程度の能力
:2009/01/06(火) 17:35:02 ID:fl04LWng0
このスレがどういう方向に向うかはまだわからないが
スレ主が可愛い事はわかる
27
:
名前が無い程度の能力
:2009/01/08(木) 18:41:10 ID:DPT9FQE60
かわいいのはスレ主ではなくショボーン
28
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/04(水) 02:59:06 ID:BpY2.hP60
なんとなく・・・
>>29
お題
>>30
キャラ
でいってみよっか?
29
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/05(木) 05:37:39 ID:bQjvS5EQ0
良スレの予感
お茶
30
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/05(木) 16:35:21 ID:jysBnp1o0
輝夜
31
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/09(月) 09:23:08 ID:UHtTKD0M0
今日もこたつに入ってに入ってDSをやる。
どうせ永琳は外に出してくれないし。
「姫様、お茶ですよ。」
ん、と上辺だけで返事をする。
・
・
・
はっ、そうだ、お茶があったんだ。ついつい夢中になってしまった。
湯のみに目をやると、お茶の中に茶柱が立っていた。
「めずらしい。色違いが出る確率とどっちが高いのかしら」
そう言ってずずとお茶を飲み、目を元に戻すのであった。
こんな感じ?
32
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/09(月) 20:36:46 ID:UsM6zz7E0
『さなえさん受験ver』
今日も机に向かって勉強をする。
絶対に落ちるわけにはいかないから。
「早苗、お茶だよ。」
ん、と上辺だけで返事をする。
・
・
・
はっ、そうだ、お茶があったんだ。ついつい夢中になってしまった。
湯のみに目をやると、お茶の中に茶柱が立っていた。
「奇跡……。うん、奇跡はきっと起こる!」
そう言ってずずとお茶を飲み、頭を元に戻すのであった。
33
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/11(水) 00:19:44 ID:BkljWfPA0
アリスver
今日も人形の修繕をする。
先の弾幕ごっこでかなり壊れたから。
『アリスちゃん、お紅茶が入ったわよ。お砂糖は2つでよかったかしら?』
ん、と上辺だけで返事をする。
・
・
・
はっ、そうだ。お茶を飲むんだった。つい夢中になってしまった。
ティーポットから揃いのカップに熱い紅茶を注ぐ。
砂糖を加えようとカップに目をやると、茶柱が立っていた。
「わぁ、茶柱。ねぇ、見て見て。珍しいでしょ」
返事をする者などいないと知りながらそう言って虚しくなり、敢えて砂糖を加えずに、ずずとお茶をすする。
その苦みが、独りぼっちの体に染みた。
34
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/22(日) 19:19:28 ID:vjfCWH3w0
「退屈ね」
窓の外を眺めて、輝夜が一人ごちた。
2日前から降り続く雨は今も止む気配を見せず、それ故、輝夜は外出する気にもなれずにいる。
「あら、それなら」
そこに敢えて、永琳は言葉を投げた。
「お茶を淹れてくれないかしら?」
「嫌よ。永琳の淹れたお茶の方が美味しいんだもの」
少しだけ表情を曇らせて、輝夜が返す。
家の中にまで曇り空を入れてしまったか。そんな事を考えながら、しかし、輝夜を見る事はせずに永琳は言う。
「たまには、師の苦労を労ってくれても良いでしょう?」
「私は今までお茶を淹れた事が無いって分かって言ってるの?」
「勿論よ。月にいた頃の貴方は、今以上に無関心だったじゃないの」
「だけど…」
輝夜の表情に、今度は少し、不安の色が見えた。
「良いのよ。私は輝夜の淹れたお茶が飲みたいの」
「本当に?」
「本当よ。貴方がお茶を淹れた頃には、これも終わっているわ。私もそろそろ、休憩したいの」
「『も』って何よ」
「貴方はいつだって休憩中じゃない」
今度は輝夜の表情に怒気が見えた。
「これだから」
まるで苦笑のような、しかし優しい笑みを浮かべて永琳が言い掛けた言葉を、輝夜が塞いだ。
「だから何?」
「何でもないのよ。ほら、早くお茶を淹れて頂戴。私の仕事が終わってしまうわ」
「………もう」
悔しそうに、不安げに、そして少しだけ悲しそうに、輝夜は立ち上がる。
「私は永琳のお茶が飲みたいのに」
随分と可愛らしい捨て台詞だな。そう、永琳は思った。
「これだから」
もう1度、永琳が呟いた。
「だから、貴方といるのは飽きないわ」なんて、輝夜が聞いたらどんな反応をするのだろう。
あと2000年もしたら、言ってみようか。そう思うと、輝夜と過ごす日々に楽しみが増えた気がして、それが永琳には嬉しかった。
35
:
名前が無い程度の能力
:2009/02/22(日) 19:21:16 ID:vjfCWH3w0
>>29
、
>>30
でやってみた。
主役が永琳っぽくなってしまったけど気にしない。
36
:
名前が無い程度の能力
:2009/04/20(月) 23:49:45 ID:isnOMR620
>>1
じゃないけど、ここでなんか書きたくなったので
だれかお題下さい
37
:
名前が無い程度の能力
:2009/04/20(月) 23:55:44 ID:s1FP7IQ60
>>36
題:籤 シリアス限定
キャラ:指定なし
38
:
36
:2009/04/21(火) 00:04:15 ID:BMwuiH8I0
把握。しばしおまちを
39
:
36
:2009/04/21(火) 01:31:11 ID:BMwuiH8I0
『籤』
「本当に、幻想郷から出て行くの?」
八雲紫はそう静かに訊ね、氷のような眼で見据えている。
その視線の先にいるのは、白黒装束の古風な魔女姿の少女。霧雨魔理沙だった。
彼女は口の端を小気味よく吊り上げた笑みを浮かべながら答えを返す。
「ああ、そうだぜ。もう全員に挨拶はしてきたし、別れの杯も交わしてきただろ。あとはお前がウンと言えばいいだけだ」
「外の世界なんていいものじゃないわよ。拒絶と排他で満ち、老人は尊ばれず子供は望まれず、人々は未来に夢を見ない。貴女みたいな小娘は、一晩でボロ切れにされてもおかしくないわよ」
「おいおい、そのくらい覚悟してないと思ってたのか? 手ごたえがあって上等じゃないか。全部見事に潜り抜けてやるぜ」
そう言って胸を張る魔理沙を見ながら、紫は扇で口元を隠してこっそりと溜息をつく。
「……霊夢はそっけなく見えたけど、そうじゃないからね」
その言葉に魔理沙は軽く眉根を寄せた。
「知ってるよ」
「じゃあなんで……!」
「だからこそだよ。私はあいつに正々堂々と追いつきたいんだ。ウサギとカメの寓話なんて大嫌いだぜ。世界最速のカメになって、ウサギが居眠りできないほど熱くさせたいんだよ」
言い切った魔理沙に、紫は扇を閉じて今度は隠すことなく、長々とした溜息を見せる。
そして閉じた扇を掌に隠したかと思うと、次の瞬間その手には三本の紙縒りが握られていた。
それを差し出しながら紫は言う。
「じゃあ幻想郷の管理者からの最後の試練よ。この三本のうち一本だけが先端を朱で染めているわ。それを見事選んで抜き取ることができたら、貴女が通る隙間を開きましょう」
「よりにもよって籤とはな。妖怪が神明裁判なんて冗句としてもどうかと思うぜ」
「この程度の運もつかみ取れない人間なんて危なっかしくて出せないわよ。確率は三分の一。さあ、どうする?」
「じゃ、これ」
拍子抜けするほど簡単に決め、魔理沙は一本の紙縒りを掴む。
だが引っ張ろうとするのを紫は手で制し、無言のまま魔理沙が掴んでいない一本を引き抜いた。
魔理沙がわずかに息を呑む。
その先端は白かった。
「……脅かすなよ。何がやりたいんだ」
「ハズレを一つ取り除いたのよ。さて、今この瞬間にもう一回選びなおしてもいいわよ。確率が上がるわ」
「はぁ? なに言ってんだ? 選びなおしたところで確率は一緒だろ」
「数学の初歩よ。貴女が最初に選んだのは三本からなので確率三分の一。でもハズレが一つ減った状態で選びなおせば、確率が二分の一になる。納得した?」
「できるかよ。狐の親玉につままれたような気分にしかならないぜ」
「じゃあ例えばこの籤が百本あって、当たりは一本と仮定しましょう。これなら確率は百分の一ね」
「ああ。それで?
「貴女が一本選んだ後で、私が98本のハズレ籤をつぎつぎと捨てていき、あなたが選んだ以外では一本だけが残りました。さて、この籤が当たりである確率は百分の一だと思う?」
「……ああ。なるほど、わかったぜ。ついでにお前が何を言いたいのかもな」
理解の色を見て、紫は優しく微笑んだ。
初志貫徹はたしかに耳障りが良い。だが世の中、途中で選択を変えた方が有利になることが多々あるのだ。
特に、当たり籤を抜いたりしない、善意の世界の中では、なおさらに。
その気持ちがきちんと伝わったのを感じ、紫は籤をしまおうとした。
だがそのとき、魔理沙が最初に掴んだ紙縒りを未だ離していないことに気づく。
そしてそれが、ぐいぐいと引っ張られていることにも。
「私はお前の言うことを理解したが、お前の方は理解していなかったようだな」
目に狼狽の色を浮かべる紫に対し、魔理沙は白い歯を見せた晴れ晴れしい笑顔を浮かべている。
「私はな。お前があらゆるハズレ籤を取り除いていくそのやり方が、だいっ嫌いだったんだよ」
これさえ抜かれなければとでも慌てたのか、紫は籤を握る手に力を入れる。
だが魔理沙の手によって、紙縒りはずるずると少しずつ引っ張られていく。
「見てろよ。お前の保護の届かない外の世界で、私は百倍も千倍も立派になって帰ってくる。そしてお前のやり方全てが正しいわけじゃないと、証明してやるからな!」
そうして魔理沙は、紫の掌中から籤を抜き取った。
終
40
:
名前が無い程度の能力
:2009/04/21(火) 10:35:17 ID:rrpHSVrYO
うぉう、まさか籤をこんな形で使うとは…
いいもんだねぇ
41
:
37
:2009/04/21(火) 18:51:25 ID:7smCPDGM0
正直、自分でもかなりの無茶振りだと思っていたので、
これだけすばらしい作品をお書きになるとは、感服いたしました。
紫の立場と、それに対する魔理沙の思いを籤でここまで奇麗に表せるとは……
さて、私も遅筆ながら何か掌編を書こうと思うので、お題を頂けるでしょうか?
できれば、ギャグだけはご勘弁願いたいのですが……。
42
:
36
:2009/04/21(火) 19:42:16 ID:3tYJPXvo0
>>41
じゃあ、幽香メインの甘酸っぱい恋愛物で
43
:
37
:2009/04/21(火) 19:55:16 ID:7smCPDGM0
れんあ……い?
全く書いたことのない分野ですが、頑張ってみます。
遅筆故、だいぶお待ちを。
44
:
37
:2009/04/21(火) 21:03:19 ID:7smCPDGM0
甘酸っぱいと言えるかどうかわからない代物ですが、出来たので投下します。
『妖精逢人而変妖怪 ―妖精 人に逢ひて妖怪に変ず―』
もう随分と経ってしまったわねぇ、と幽香は独り呟いた。
正面にあるのは一面の菊。林の一角が全て菊に覆われ、今は盛りと咲き誇っていた。
そう、この場所で彼に会った。向こうは妖怪を狩る人として、こちらは一介の妖精として。確か彼が、他の妖怪に襲われていたのだったと思う。幽香に日常茶飯事であった。
最初に彼を見て思ったのは、こいつは美味しいかな、だったはずだ。
それが、どうしてか気まぐれで助けてしまったのが始まりだったと思う。どういう心境の変化だったかなんて覚えていない。ただ辺りにいた歯牙にも掛からぬ妖怪共を一蹴して――こちらはまだ妖精だったけれど、並の妖怪くらいなら難なく潰せた――怪我だらけになった彼を助け起こしてやって、わざわざ手当までしてやったのだったと思う。今ならまずありえないのだろうな、と幽香は思う。
とにかく、一度関わってしまったら途中で投げ出せなかったから、彼が動けるようになるまで丁寧に面倒を見てやった。
そうして、気付いた時には自分の中に彼が座っていた。
それから幽香の生活は変わった。それまで平気で裸のまま雑魚寝するような生活だったのに、きちんと洞窟の中で服を着て寝るようになったし、食べ物も肉を生のまま齧っていたのからきちんと調理するようになった。
彼の居る洞窟へ行く前には水浴びして体を清め、一張羅を着て行った。近くにいた獣を狩って持って行って、また体にいい草をたくさん持って行って、いつもできるだけ良いものを食べてもらおうと頑張った。妖怪が人間の匂いを嗅ぎつけて襲ってきたときには、これまでないほど真剣に戦って追い払った。
そうやって頑張っているのを見るといつも、幽香に彼は少し困った顔で笑いかけるのだった。
「いつも、ありがとうな」と。
その笑顔が幽香には恥ずかしくて、嬉しくて、たとえどんなに疲れていてもどんな怪我を負っていても、まだ頑張ろうという気になれた。彼の為なら、なんでもしてやろうと思えた。
毎日自分の寝床に帰っても、考えるのは彼の事ばかり。彼の少し困った笑顔が風呂の間も寝る時も頭を離れない。そしてそれはやがて、自分と彼とが一緒にいる光景へと変貌する。そうすると決まって幽香は顔を真っ赤に染めて水風呂を浴びた。でもいつかは、想像しているように彼に求められるのではないか、とそんな思いに心を焦がされながら、毎日暮らしていた。
今考えれば、恥ずかしくて仕様もない話。紫なんかには絶対できない話だ。
彼はほんの10日くらいで動けるようになっていた。元々そこまでの酷い怪我でもなかったのだろうし、幽香が毎日のようにその辺りで一番効く薬草を持って行ったこともきっと効を奏したのだろう。
そうして、幽香が最も恐れていたことを彼は口にした。もう帰ろうか、と。
最初は、帰れば、とそっけなく返事をした。自分は妖精で、彼は人間で。その差は埋めがたいことをわかっていたから。でも、やっぱり無理だった。彼が着々と自らの身支度をしていく姿が、幽香には耐えられなかった。でも今更帰らないで、ということもできず幽香はただその新緑の如き髪を振ってみていることしかできない。
そしてとうとう彼の身支度が終わって、すっかり旅姿になった。洞窟の中は本当に彼がさっきまで使っていたとは思えないようなほど綺麗になっていて、彼が戻ってこないことを明らかにしていた。
「それではな」
そう言って彼が背を向ける。でも、幽香は遂にはち切れた。
「行かないで!」
この先の事は良く覚えていない。ただわんわん泣いて、それから必死に彼を引きとめたことだけ記憶している。
45
:
37
:2009/04/21(火) 21:04:07 ID:7smCPDGM0
「それで、彼は残ってくれた。私の為に、残ってくれたのよね」
くす、と幽香は少し頬を染めて笑う。もう古びた記憶だが、いつ思い返しても未だに恥ずかしい。
「どうせ残ってくれるなら、早く言ってくれればいいのに」
実は、もう残ることを決めていたと、後で彼に聞かされた。曰く、彼は彼で幽香の本当の気持ちを知りたかった、とか。幽香は怒ったが、それでも嬉しくて仕方なかった。
そんな風にして、平穏で満ち足りた生活が始まるはずだった。幽香と彼との共同生活が。妖精と人と立場は違うのかもしれないけれど、それでも気持ちの通い合わせた二人での生活を、少なくとも幽香は満喫する予定だったし、その希望に満ち溢れていた。
しかし、現実はそうならなかったのだった。二人で獣を狩りに行ったところで、妖怪に襲われてしまったのである。その妖怪は、いくら力ある妖精の幽香にもどうにもならぬ妖怪で、幽香も懸命に戦ったがどうしようもなく、結局彼が幽香の身代わりに攻撃を受けてしまったのだった。
そうして彼は、あっさり幽香の腕の中で息を引き取った。
あれから如何程の年月が流れたか覚えていない。あれから幽香は復讐の為に修業を積んで、苦難の挙句にとうとう仇討ちを果たした。その間に気付けば幽香は妖精から妖怪に変わっていて、そして今や妖怪の中でも大妖怪とされるようになってしまった。
「貴方は、こんな風になった私をどう見るのでしょうね」
ふふ、と笑う。この菊の畑は、彼の墓だ。
「こっちはね、人と妖怪が共存できない苦しい世の中になってしまったの。だから、移住することにしたわ」
幽香の行く先は、友人の紫の作った結界の中。なんでも彼女は妖怪の楽園を作る、という。一度入ればそうそう出られないだろう。
「本当はずっと貴方と居たかった。ごめんね」
菊が一斉に風になびいた。それはまるで、彼が自分に答えているかのように、幽香には思えた。
「それでは、これで最後だわ。もう二度と、ここには来れないでしょうし」
幽香は振り向いた。濃緑の髪がはらり、と白い菊の上に舞う。
「さよなら。愛しの貴方」
終
46
:
36
:2009/04/21(火) 23:02:10 ID:P5ntVNjk0
ブラボー。
素敵な幽香でした。口元がゆるむ甘さがあり、最後にほろ苦くしめるあたりが良かったです
たしかに甘酸っぱさは少なめかもしれませんが、こっちの方が私好みでした
苦手分野を一時間足らずでしっかりと書き上げてるのも見事
47
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 02:08:03 ID:CxGHTz8k0
なんという良スレ…!
48
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 02:38:13 ID:hXBOww5g0
やっと人が来た。
上手くすれば、もう少し活性化しそうなのに。
49
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 10:06:45 ID:PZPWl58AO
まあ、2ちゃんのエロパロ板やら夜伽やらあるからねぇ
50
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 14:40:51 ID:v.92ABqU0
どうも運営方針がはっきりしないな。
例として
>>1
があげているみたいに、イチャとか甘〜いSS書くのか、それともSSコンペスレの縮小版みたいな感じでまじめに書いていくスレなのか、はたまた好きなように書いていくスレなのか。
まあその辺はゆっくり決めて行けばいいのかもしれないけど、恋愛もの(特に名無しキャラとの絡み有り)はイチャスレみたいに隔離スレ認定されかねないと思うし、これがOKかNGかだけでも早めに決めといた方がいいと思うんだぜ。
51
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 15:29:42 ID:JvnJK6q.0
そういえば
>>1
はもういないのだろうか
俺としてはイチャに限定しないで、お題貰ってSS書く形式の方が好みだけどね
52
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 17:57:22 ID:4XRRd6sg0
スレタイにお題って書いてあるんだからお題→自分が好きなキャラが主役のSS、でいんじゃね?
カプ物とか俺×○○みたいなのはイチャ注意とかうpろだに上げるとかしてさ。
53
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 21:59:55 ID:hc3pCa4Y0
どなたか御代を
54
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 22:14:18 ID:OI9Dsj6U0
>>53
ハードボイルド
55
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 22:56:45 ID:hXBOww5g0
>>53
に期待しつつ。
私も、もしやるならイチャに限定しないでお題もらえた方がいいな。
お題出す人がその前のお題について書く、みたいにしたらどうかな?
56
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 22:59:59 ID:hc3pCa4Y0
「ひゃくにじゅういーち、ひゃくにじゅーに、ひゃくにじゅーさん」
温泉の淵に腰掛けた空は、鍾乳石から落ちてくる雫を見つめながらカウントダウンを続ける。
「ひゃくごじゅうろーく、ひゃくごじゅうなーな、ひゃくごじゅうはーち」
ポタリ、ポタリと落ちる雫は、丁度秒を刻むのに合致している。
「ひゃくはちじゅうさーん、ひゃくはちじゅうよーん、ひゃくはちじゅうごー、ひゃくは……あ」
ふと、闇の広がる洞窟の向こうに、光る何かを見つけた。
それは足元に置いた蝋燭の光が、偶然に当たったナニモノかだったのだろう。
しかし空は、カラスの本能のまま、その光る物へと導かれていった。
結果的にそれは、水晶の原石だった。蝋燭の光にそれを当てると、白乳色の表面が煌く。
満足げにそれをポケットにしまうと、温泉まで戻り、また淵に腰掛ける。
「……あれ? いくつまで数えたっけ?」
数分後、温泉の中から伸びる紐を引っ張ると、卵が入った網が引き上げられた。
直ぐに冷水が湧きでる泉まで持っていくと、ゆで卵をさらす。
十分に卵が冷えたのを確認すると、その中からひとつを手に取り、近場の岩に軽くぶつける。
ひびが入った殻を、丁寧に剥くと、ぱくりと口の中に入れる。
ぷりぷりとした白身にかくれ、もさもさとした黄身の味が口内に広がった。
「あーあ、固ゆでになっちゃった」
半熟卵を作るのは、これでなかなか難しいのである。
※ハードボイルド=硬いゆで卵の意
57
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 23:06:33 ID:OI9Dsj6U0
>>56
おお、乙
そっちで来たか。どっちで来るかとわくわくしてたよ
58
:
名前が無い程度の能力
:2009/06/03(水) 23:08:58 ID:wE.jxMSUO
お題:綿菓子 キャラ:風神録の誰でも
59
:
>>58
:2009/08/15(土) 20:47:54 ID:/z2EbQFc0
♪邑の鎮守の神様の〜
今日は目出度いお祭り日〜
薄暗い神社境内にこのような祭り囃子と歌声が響き渡る。
そう、今日は夏祭り。ここ守矢神社は広がる屋台と人々でごった返していた。
早苗達ご一行が霊夢と和解、山の妖怪を率いる大天狗とも和解して
幾ばくの時が過ぎ、守矢神社は妖怪の山の中腹の鎮守様として
いつしか幻想郷の村の民、小さな妖怪達、はては精霊や妖精などの信仰を集めるようになった。
守矢神社に祀られる二柱の神、八坂神奈子と洩矢諏訪子は力を取り戻し、
またその性格もあって幻想郷の人々から次第に敬われる存在となった。
早苗達が求めていた信仰はここ幻想郷にこそあったのだ。
そして村人の発案で、夏祭りが開かれることとなり・・・
「あーあ、なーんか後付けで来たあんた達の方が村の人たちに感謝されるなんて
何か違うと思わない?」
赤い巫女服を着た少女が愚痴るようにつぶやく。
「いえいえ、八坂様、洩矢様の信仰は元々これくらいあったのですから。
幻想郷の人たちはやっぱり信仰に篤いと言うことがよく分かりました。」
青い巫女服を着た少女は穏やかに、そして赤い巫女に諭すようにつぶやく。
「信仰信仰って・・・あんたもそればっかりじゃない。っていうか信仰で
本当に人が集まるなんて信じらんないわ−。」
「霊夢さんも、「参拝ならそこ。お賽銭もよろしくねー。」とか言ってないで
信仰を集めればきっと、こうなるかもしれませんよ?」
「あんた、さらっと酷い事言うわね。」
「うふふふ、事実は時に真実よりも酷いと言いますし。」
社殿傍の縁側での会話、それは幻想郷の結界を統べる暢気な巫女の博麗霊夢と
信仰を信じて十数年、幻想郷に来てそれを実現した奇跡の巫女、東風谷早苗の
会話である。
屋台では威勢のいい声が響いていた
「ハイよー飴細工飴細工〜買ってって損はないよー」
「色んなお面はいかがかな〜?今日は夏祭り、お狐様も無礼講だ−」
「暑い夏にはかき氷!!金時からスイまでそろってるよ〜早くしないとなくなるよ〜」
「出目に花魁、メダカに蘭州、金魚すくいはいかがかな〜」
「まー、別にあたしのところは夏祭りなんてそんなご大層なことはいらないし・・・
逆にアンタのところでやってくれる方が楽でいいわ。」
「本当ですか?なら、初詣から大祓まで全部私たちの神社で行うのもいいかもしれないですね?」
「げ・・!?」
「あんまり心にもないことをいうと後が大変ですよ?言葉には言霊が宿ると言いますし、
霊夢さんもハクレイの巫女なんですから・・」
「あーもう、分かったわよ!!。でもこういうお祭りの時は必ず呼んでよね?私だって
お祭り出たいんだから・・・」
「ふむ、神社の巫女の癖してお祭りすら出られない、開けないとは、なんか情けないのぅ。」
「まーまー、霊夢も結界の守護があるから忙しいんだよきっと−。」
ふと、2人の裏から声がかかる。
「あ−、忘れてたわ、この祭の主役。」
「神奈子様!!諏訪子様!!」
何もない空間から突如具現化する2つの人影。
いや、正確には人影ではない。神影とも言うべきだろうか。
赤い服を着て注連縄を纏った湖の神、八坂神奈子と紫の服を着てカエルの目玉にも似た
帽子をかぶる山の神、洩矢諏訪子がそこに立っていた。
2人が現れるや否やな、祭り囃子とお神楽の舞、そして人々の喧噪が一瞬止まる。
『八坂様だ−!!八坂様がお見えになったぞー!!』
『洩矢様も一緒じゃ−!!ありがたやありがたや。』
『皆の衆、お二方に我らの祈りを精一杯送ろうぞ!!』
ここは幻想郷、神様は具現化するものであるから、その際には顕界のアイドルが現れた時の
比ではない。祭り囃子はさらに激しさを増し、お神楽舞は無礼講となり、
社殿には信仰篤き人々が押し寄せていた。
60
:
>>58
:2009/08/15(土) 20:48:28 ID:/z2EbQFc0
「ほーれ、我らがこうして現れるだけでこの騒ぎ、信仰とはかくもあろうぞ?、霊夢。」
「ま、ちょっと、場違いな信仰もあるんだけどね―。」
「?!」
諏訪子が照れて言うその先には
「諏訪子様−!!是非とも我が村にお越しを−!!」
「諏訪子様可愛いよ諏訪子様−!!」
「ケロちゃんこと幻想郷一の女神様だー!」
と叫ぶ村の若い衆が。
「あーあ、なんか諏訪子って凄い人気なんだね。」
「ま、容姿が容姿だからの、無理もないわ。
(しかし、何故我にはそのような声援がないのじゃ?)」
「・・・神奈子様、諏訪子様に嫉妬するのは良くありませんよ?」
「な、な、なんじゃ!!、我はそのようなことで・・・」
「顔に出てるわよ、か・お・に!!」
「へー、じゃあ神奈子、あの人達のところに行って来れば?もしかしたら
1人位は神奈子の事を考えている人がいるかもよー?」
「う、う、うるさいぞ諏訪子!!」
「あははははは!!」
「ぷっ・・・ふふふふふ!!」
「か、か、かなこさ・・・ぷぷぷぷ」
「ふ、ふん!!」
こうして夏祭りは進んでいった。
途中神奈子と諏訪子の豊穣の舞が社殿で開かれたときには、
人々(一部人間ではないものを除く)の熱気は最高潮と化し、
社殿前では神々から振る舞われた酒と料理に人々は舌鼓を打ち
お祭りは進んでいった。
そしてお祭りも終盤にかかる頃、霊夢と早苗は社殿からのお勤めから
開放され、人が引き始めた屋台通りを歩いていた。
「あたしもあんまりこういう屋台の通りって歩いたことないんだよね。」
「そうですか?私が外の世界にいたときは、夏になるとこのような屋台が
良く並んでいて、お祭りの日がいつも楽しみでした・・・でも・・・」
「・・・早苗?」
「私が風祝となってから、実際には神奈子様と諏訪子様のお側に居なければ
いけなかったので、いつも屋台は見るだけでした。」
「ふーん。」
「でも1度だけ、お祖母ちゃんがちょっとだけ屋台を見てきてもいいよと
言ってくれたことがあるんです。その時もこんな風に、もう終わりかけの
屋台でしたけど、1つだけやっていた店があって・・・」
「どういうお店だったの?」
「それは、とてもきらきらした・・・」
61
:
>>58
:2009/08/15(土) 20:49:34 ID:/z2EbQFc0
「おーい、霊夢−!!」
「あ、魔理沙・・・と、あれ、霖之助さん?」
「やあ霊夢。こんなところで会うとは・・・、というか、君は自分の神社で
夏祭りをしないのかい?」
「ひ、ひどい!!霖之助さんまで!!」
「ははは、冗談だよ冗談。君にはそういう行事は似合わないのは十分承知さ。」
「も、もうー。」
「ま、いつも賽銭ばっか強請っている巫女じゃそんな甲斐性ないだろ。
自業自得自業自得」
「ま、魔理沙まで―。」
「はははは、って、おっと、せっかくここまで来たんだ、香霖がまた外の世界から
凄い物を拾ってきたらしいんだ、時間があるなら見ていかないか?」
「な、なにこれ・・・大きなお鍋みたいだけど・・・、この真ん中の回るものは?」
「おーっと、これはだな、どうやら外の世界のお祭りで使う物らしい。」
「・・・・・」
「ん?早苗?どうしたんだ?」
「こ、これはもしかして・・・」
「早苗さん、これを知っているのかい?」
「は、はい。間違いありません。見間違える訳ありません。あの時きらきらした
あの輝きを忘れる訳が・・・」
「早苗?もったいぶってないで早く言えよ?何なんだよこれは?」
「えーと、そのー、綿菓子を作る機械です・・・」
「「「!?」」」
「この真ん中に粗目の砂糖を入れて機械を動かすと、砂糖が溶けて綿のように
出てきます。それをお箸で絡め取ると、ふわふわして美味しい綿菓子が出来るんですよ。」
「へー、綿菓子っていうんだ。さっき言いかけたきらきらしたものって、それ?」
「そうです。」
「おい香霖、これ何とか動かせないのかよ?」
「そうだな、外の世界の「コンセント」という電気の規格で動いている品物だからな、
電気とその「コンセント」がないと動かせないし・・・あと粗目の砂糖も結構貴重な」
「さーて、ここで登場、河城にとり特製「こんせんと」付き自動発電機だよー!」
「ほれ、早苗。粗目の砂糖なぞ我にかかればこの通り。」
「とか何とか行って色々やりくりしていたくせに―」
「う、うるさい!!」
いつの間にか二柱の神様と、発明好きの河童がそこにいた。
河童はコンセントの付いた不思議な箱を、赤い神様は木の器に満面無く入った
粗目の砂糖を、そして紫の神様は木の箸を皿に持っていた。
「にとりさん、神奈子様、諏訪子様・・・」
「なにやら集まっていると思えば、あの時の綿菓子を思い出していたのか、早苗。」
「まあ早苗も小さかったもんねー。綿菓子だって貴重な思い出でしょ。」
「香霖さん、また外の世界の機械を見せてもらえるなんて本当うれしいよ。
でも外の世界って「こんせんと」があれば結構何でも繋げられるんだね−。」
「最近の機械はそうみたいだね。じゃあせっかくだからこの機械を動かしてみますか。」
そうやって道具屋の主人と河童は機械のコードをコンセントに繋ぎ、そして
右脇のスイッチを入れた。
ぐぉーーーーん!!
「わ、わ、す、凄い音!!」
「こ、こんなにうるさいものなのか、これは?」
「え、えーと、ただ単に動かしただけですから、こ、これから不思議な「奇跡」を
お見せしますね?」
「奇跡?」
「神奈子様、粗目の砂糖を。」
「それ。無駄に使うでないぞ。」
「それは大丈夫です。ひとつまみひとつまみっと・・・、えい!!」
粗目の砂糖を真ん中の回転する突起に入れてしばらくすると、その突起から
白い雲のようなものが染みだしてきた。
「す、すごーい。雲だ雲だ−。」
「お、おいすげえぜこれ。本当に奇跡だ!」
「へー、なるほど−。電気の力で真ん中の砂糖を溶かして、それを空中に出すと・・・」
「諏訪子様、割り箸を。」
「はいどうぞー。」
そして早苗は染みだした雲を箸で絡め取る。初めは小さかった固まりが、だんだんと
白い雲を彷彿させるかのように大きくなった。
62
:
>>58
:2009/08/15(土) 20:50:05 ID:/z2EbQFc0
「これが、綿菓子です。」
「・・・凄い・・・」
「お、おい、こんなの紫でも出来ない奇跡なんじゃないか?」
「あ、あの真ん中の回るところ、見てみたいな−。」
「おいおい、変にいじって壊したら大変だぞ。」
「こ、壊さない自信くらいあるよー。」
「・・・・ホントかなぁ・・・。」
「おい早苗、せっかく作った「奇跡」の綿菓子、霊夢達にも振る舞わないと
溶けてしまうぞ?」
「そうそう、綿菓子は作りたてが美味しいんだよ−?」
「え?お二方・・・」
「ま、その、あれだ、我々もたまには人間の作ったものをだな・・・」
「神奈子ってばそういうものには実は目がないもんねー」
「ぐ、ぐぬぅ・・・・」
「も、もう、ひ、酷すぎます!!私だってろくに食べていない綿菓子なんですから!!
じゃあこれは私が1人で食べることにします!!」
「お、おいおい・・・」
「まあ、粗目の砂糖があればまた作れるんだから、まずは早苗さんが食べるといいんじゃないかな。」
「香霖、さすが女の子には甘いよな―。綿菓子だけに」
「魔理沙、それはちょっと・・・」
「あははははは!!」
幻想郷に響き渡る笑い声。周りは既に人影もまばらであったが
その一角だけは光り輝く1つの白い雲で輝いていた。
そして早苗は作り出した奇跡の綿菓子を頬張る。
単純に甘いだけのお菓子と言えばそれまでだが、昔食べた綿菓子とはひと味もふた味も違う。
奇跡と信仰が作り上げた綿菓子。そして外の世界では無かった人との触れあい。
祭は終わりと共に夢と化すが、終わりはまた始まりとなる。
「また、皆さんと一緒に・・・・、来年も・・・・」
こぼれる水は、汗か涙か。それは綿菓子に隠れてご愛敬。
木々からはツクツクボウシの声が聞こえ始めていた。
糸冬
63
:
名前が無い程度の能力
:2009/08/15(土) 20:51:31 ID:/z2EbQFc0
以上、綿菓子だけに「ベタ」な作品でした―。
じゃあ次の人、以下の題材でよろしく。
お題:西瓜(Not 萃香) キャラ:霊夢
64
:
名前が無い程度の能力
:2009/09/30(水) 20:58:41 ID:nzaSFcLM0
「はい。こんな本で良いですか?」
「中身は知らんがきっとそれだ。助かったぜ。約束の粉をやろう」
魔理沙は小袋を手渡した。
中を開ければ、石けんを削った粉末が入っている。
「勿論、新品をあいつが一回使っただけの石けん。その表面を薄く削った、極上品だ」
「パ、パチュリー様ァ!! スーハァー!スーハァー!」
「うふふ……お主も小悪魔よのう」
耳をふさいでいるパチェリーの背後を素通りし、魔理沙は帰途についた。
「さて、ハロウィンとはどんな魔法だ?」
小悪魔を買収して持ってこさせた本は、このような題であった。
『十日でマスター! ハロウィンを極めて君もアフリカ人に』
室戸市名物シットロト踊りについて、よく説明されている。
「めらっさめらっさ」
「魔理沙。絶好調ね」
霊夢が西瓜を持って現れた。
「そのハロウィンは間違っているわ」
「なんだって」
「このハロウィンが正解よ」
西瓜を天井に吊るすと、霊夢は帰っていった。
「そうか」
「そうよ」
西瓜が割れて、中から霊夢が落ちてきた。
「今日は私の誕生日なの」
「おめでとう……霊夢」
「魔理沙、騙されないで」
「アリス!」
アリスは持ってきたカボチャを素手で握りつぶした。
「霊夢、たすけてくれ」
魔理沙はアリスに連れ去られた。
「西瓜、食べそこねた……」
霊夢は床に散らばった種を拾い集めた。
西瓜の種を魔法の森にまくと、花が咲いて実ができて馬車になった。
「おお、これは……。魔理沙、今助けに行くわ」
「その必要はない」
「だれ」
「シャンハーイ」
霊夢は上海人形をつかまえて、助手席に乗せた。
「あんたはシャンハイなんかじゃない」
「よく見破ってくれた。私が魔理沙だ」
「西瓜のおかげね」
遠い国で二人は幸せに暮らしました。〔終〕
お題:つかれた時の気分転換 キャラ:妖夢
65
:
名前が無い程度の能力
:2009/10/24(土) 00:09:00 ID:21bG9njo0
1
「こうしてあなたと一人っきりでいると、時間が経つのも忘れてしまいます」
妖夢はそう言って、ぽっと頬を紅くした。
俺もだよ、と少年の声がした。
「初めて会った時から、きっと運命の人だなって――」
「俺も、生まれた時から知ってる気がしたよ」
「じゃあこれからも、その後も、一生……そばに居てくれますか?」
少年の声で、「勿論だよ」と妖夢は答えた。
妖夢と半霊はもじもじと身をくねらせて、接吻を交わした。
「結婚しよう」
「はいっ。お嫁に行きます。さらば幽々子さま〜」
ひゅるるるっと木枯らしが吹いてる。
半霊で繰り広げる妖夢の腹話術を眺めながら、幽々子は煎餅をバリバリと食い散らかした。
「妖夢、楽しい?」
「そこはかとなく」
2
「幽々子さま、チェンジ」
「はい?」
「疲れました。チェンジ!」
「私も歳かしら。意味が分からないわ」
「じゃ、居間でゴロゴロしてますから〜たまには〜幽々子〜さまが〜ご飯〜作って〜く〜だ〜さい」
「ちょっと、妖夢?」
「何よ、幽々子〜」
こめかみを突き破りそうな何かを抑えながら、幽々子はにっこり笑った。
「何でもありません。妖夢さま、少々お待ちください」
「やだ〜早く〜ご飯まだ〜?」
妖夢は指をくわえ、ジタバタと暴れた。口から指を抜くと、障子にぷすぷすと穴を空けた。
バナナを食べると、皮を渡り廊に放置してカメラを用意した。
「これで、少しは私の気持ちも分かってくれれば良いんだけど……」
「ようむ〜さま〜ご飯よ〜」
「はい……えっ!?」
一見、普通の食事だった。逆に、それが怖い。
「すみません。おなか弱いんで、毒殺は勘弁して下さい」
「失礼ね。一生懸命作ったのに、ひどいわ〜」
幽々子は涙を流し、顔を袖で隠した。
「た、食べますから!」
「たんと召し上がれ〜」
「南無三……これはっ……! 毒、じゃない、毒じゃない!」
「味は?」
「美味しいです!」
妖夢がおかわりすると、幽々子は心底嬉しそうに笑った。
世話になっている人に世話を返して喜んでもらえるのは、やはり嬉しいものである。
もっとも妖夢からすれば、死を覚悟しながらの食事でもあった。
「たまには、良いかもね〜」
「私は二度と御免です」
お題:桶妖怪が儲かる話
66
:
名前が無い程度の能力
:2009/10/30(金) 21:59:57 ID:hi0kx9QY0
ageてみる
67
:
名前が無い程度の能力
:2009/12/30(水) 20:33:20 ID:eblgXtf.0
お題「忘年会」 萃香と慧音は必須。他のキャラは随意でOK
68
:
名前が無い程度の能力
:2009/12/30(水) 21:33:04 ID:3fI/JBJQ0
寅「やっぱ酒がはいるとお手洗いが近くなるねぇ、女子トイレはここかな」
ガチャ
リグル「ふぅ・・・・・・──!?」
寅「・・・・・・!?」
リグル&寅「変態だーーーっ男がっ男がっ、警察っ警察」
慧音「(省略されました・・全てを読むには萃香に聞いてください)
69
:
名前が無い程度の能力
:2009/12/31(木) 01:58:08 ID:YqU2eK6g0
適当に投下。
歴史の味わい方-忘年会-
慧音「貴女が噂の小鬼さんですね、噂は聞いています。
私は歴史の妖怪と名乗ってはいますが、鬼について実はあまりよく理解していない。
慧音「ひとつ質問をよろしいですか?貴女達鬼の……
鬼の前はなんだったのでしょう」
慧音「前世とかそういうのではなく、鬼というのは人間がつけた一種の呼び名です。
鬼は鬼と呼ばれたから存在、つまり歴史が始まったのか、以前から別の歴史を歩んでいた者が
人間の手によって鬼という歴史を歩まざるを得なかったのか」
慧音「人間というのは実に不思議な生き物だ。光と影は最初からあるのに、
怯えた人間は自分に都合のいい闇を作った。好きな時に隠れ、好きな時に責任を押しつけ、
されど妖怪となってしまった闇を今度は悪だと決めつけ追い払う。実に滑稽だ。
長い歴史で容姿が変わろうが時代が変わろうが、根本は変わらずだ。
──なのに……嫌いにはなれないね、人間は。
何故だろうね。自分が必死に里を守ろうが、人間は私を守れない。
人間にとって私は都合のいい闇かもしれない。
だがもし、私が警備を放棄したら……そんな事は考えた事もないが。
私が里を守る上白沢慧音である前はなんだったのだろう。
ただの人間か妖怪か。どっちにしろ誰かに守られてきたからここに存在し、
誰かが私という存在を必要としていたから今の私がいる。
きっと貴女達鬼もそういう存在なのだろう。
本当に嫌われてたら、本当にいらない存在だったら、鬼は存在していないだろう。
ははっ、すまないね、酒の席にこんな話を振ってしまって。
私は貴女を必要としている。そして人間たちも大好きだ。
ここで貴女と語り合えるのも、あの紅白黒人間がいるからこそだ。
人間以外の者にとってはこの宴会など、一回の欠伸程度の長さかもしれない。
だが私は、この宴会はとても貴重な時間だ。いや、貴女から注いでもらったこの一杯さえ
貴重で大切な物だ。
──おっと、話が大分飛んでしまったようだ、酒が入るといつものクセで回りくどくなってしまうな
いつから存在していたのか、なんてどうでもよくなってきたよ。
過去の価値も大切だが、今の時間というのは今しか味わえない。
ん?お酒も同じ?はっは、たしかに喉元通り過ぎれば味なぞどうでもいい
過ぎさった後、その余韻に酔う。
過ぎ去った後でないと味わえないものもある……か
そしてゆっくりと、酔いが醒める……
では、新たなお酒をいただこうじゃないか」
70
:
名前が無い程度の能力
:2009/12/31(木) 02:31:00 ID:RhQKIFIAO
>>65
秋の夕べは釣瓶落としと言いますが、地霊殿の釣瓶はその言葉にぷいとそっぽを向く様に、ゆっくりと地下へ降りて行きます。
今日も変わらぬ一日であった、となんとも言えぬ溜め息をつきながらゆっくりと降りていく途中、地霊殿の釣瓶は壁に光る一つの物を見かけました。
少しだけ身体をそちらに動かして、その光る物を手に取り、まじまじとそれを見つめました。
そのきらきらと光る石のような物は、この地下にあるものではない、艶やかな白い光を発したものだったので、釣瓶は興味と真新しいものに瞳を輝かせながらまたその地下に降りて行きました。
地下に降りれば、相変わらず土蜘蛛が茶を啜りながら、その巣に欠伸をしながら胡座をかいていました。
その暇そうな姿を見た釣瓶は先ほど手に入れた光る石を土蜘蛛に自慢するかの如く見せびらかします。
先ほどまで欠伸していた土蜘蛛は、その光る石を見ると、それは水晶だ。地下にはないから高く売れるぞ、と目を輝かせながら釣瓶に言いました。
もちろん、釣瓶にはこんなに美しい石を他人に明け渡す気もなく、その釣瓶の中に隠してしまいました。
そうして数日が経ったのですが、手入れもせず、湿気臭い場所に置いていた水晶はその光を失い、その辺りの石のような黒ずんだ物になってしまいました。
最初はその光に嬉々としていた釣瓶ですが、水晶が黒ずむと共に、焦りが生まれました。
どうにかしてあの輝かきを見たい、そう思うと釣瓶はこの石の存在を知っていた土蜘蛛の元へ急ぎました。
土蜘蛛はその黒ずむ水晶を見ると開口一番、やっぱりこういう地下では水晶は美しさを保てないんだ、仕方ないから誰かに渡そう、と言いました。
釣瓶は最初こそ嫌がりましたが、土蜘蛛の言葉を聞くうちに、私が持つよりはきっと、と思い、誰かに渡す手だてをすると言った土蜘蛛にそれを渡しました。
すると数日後、土蜘蛛は、水晶の金で買った物だ、と新しい釣瓶を彼女に渡し、また自分の巣に戻り、欠伸をかきながら胡座をかいていました。
新しい釣瓶を手に入れた釣瓶は、今までのそれを付け替え、また地上に上ったり地下に降りたりを繰り返しました。
ですが、たまに、釣瓶はあの輝かきを見れたらなぁ…と憂鬱にふけるのでした。
テーマ:今年を振り返り
人物:咲夜
71
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/05(火) 00:22:42 ID:2D47H28EO
定期ageがてらお題を出すぜ
お題:服に落ちた雪
キャラ:文
72
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/05(火) 10:23:05 ID:qTH7PqHUO
こんなスレあったのか
お代くれい
時間かかるとおも
73
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/05(火) 16:02:45 ID:Lgz799O.0
お題
雲山誕生秘話
74
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/05(火) 17:55:29 ID:upBq5ID.0
聖夜祭はどうだった与太郎共?さぁ、けーね先生の説教くらいに行こうぜ!
――雪――
幻想郷に雪が降った・・・と言えば想像はつくだろう。
きっと誰もが、いや絶対に降り積もる雪、溶けてゆく雪、その雪で雪を投げあったり(雪合戦と言うものらしい)、雪だるまを作ったりしている。
中には雪で家や自分をモチーフにした像を作ってしまう強者までいる。
「はぁ、・・・流石に寒いですね。」
温かい白い溜め息を両手に吐きかけながら伝統のブン屋こと射命丸文は積もった雪は落した一本の木の上に止まり、ボソリと呟いた。
「あ〜・・・何でこうゆう日に限って仕事入れてしまったんでしょうorz 確認する限りでは今日動いているのは私だけのようですし・・・」
二度目の白い溜め息を今度は両手ではなく、雪の降らす空に吐きかける。とは言っても溜め息は勝手に上っていくのだが・・・
「こうゆう日こそ家に帰って温まって同僚と酒を呑んで上司の陰口言って・・・」
真っ白な手帖の頁に吐きつける様にぐちぐちと独り言を呟く。そして独り言は愚痴になっていった。
「それでもって何時も何時も怒鳴って・・・・・・・あや?」
今の今まで気にはしていなかったが、一人で愚痴を言ってた所為かそれともこの体中を覆う冷たさに反応したのか
フッと自身の服に目をやった。服に落ちた、特に雪黒いスカートに落ちた雪を見つけた。
充分に冷えていたのだろうか?よくよく見れば雪結晶が浮かんでいる。
「これは・・・・・・」
自分は服がこんなにも冷えるまで此処で小言を呟いていたのかと考えるよりも先にまず、その結晶に魅入られていた。
「はぁ――」
笑ったような顔で三度目を溜め息。今度は濃くそして勢いよく。
「そうですね。何時までも此処で小言を呟いているよりも記事を書いて、早く椛と呑みに行きたいですからね。」
フ、カサッっと木が静かに揺れた、新たに降り積もった雪を落として。
其処には既に射命丸の姿はなかった。
「ネタは―――」
寒空、冬風が容赦なく露出した肌に突き刺さる。
「人妖を魅了して止まない――」
それに臆せず、寒さを知らない様な不敵の笑みを浮かべ。
「゛雪゛に―――」
その瞳は真っ直ぐに、揺ぎ無く。白い息を吐きながら。
「――決まりです!」
ビュオォォォ
冬に吹くには珍しい突風が山の木々たちをざわめかせた。
「はっ、くしゅん!」
思わず大きなくしゃみをしてしまった事に椛はやや赤面した。
しかしそんな椛に目もくれず、椛の同僚達は大きな板に貼り付けられた紙の方へと進んで行く。
遠くからは希望に満ち溢れた叫び声もすれば絶望に打ちのめされた様な嘆き声も聞こえる。
「あ、えっと・・・08883番08883番・・・」
番号の書かれた紙を見ながら大きな板の所まで歩いて行く。
板には大きく<冬の昇格試験結果発表>と書かれていた。
「08880、08881、08882・・・・・・・・・・・・・・・・」
一つ飛んで――――――――――08884−−−−−−−−−−
「お・・・ちた・・・orz」
雪を降らす寒空の下、椛と椛と同じ運命を共にした同僚達の嘆きが空しく木霊したのであった。
<END>
今さっき思いついた。
そして書いてみた・・・後悔はしていない、反省はしている。
「あれ?嫁自慢してなくね?」
嫁は文章で自慢してるんじゃない!文章で想像をさせて自慢させてるんだ!(特に椛
まぁ、元より書くのが下手だから意味がないけど――
75
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/05(火) 18:22:31 ID:upBq5ID.0
忘れてた。
>>74
は
>>71
のお題「服に落ちた雪」、キャラ「文」です。
サーセン
76
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/05(火) 21:36:04 ID:w9vx9Lf20
お題『梅』
藍様と誰かでお願いします
77
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/06(水) 00:23:04 ID:EiebzDy.O
うん……ざん……?
しかも誕生秘話だと……?
78
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/07(木) 05:34:58 ID:CZjBBJkcO
>>73
その昔、小さな山のふもとに少女とその子を育てる爺がおったそうな
その爺はよく山に入り、竹を取ってきては様々なものを作っていたんだそうな
その少女はというと、婆さんも両親も亡き今、一人で爺の代わりに家事炊事を行なっていたんだとか
爺は少女を可愛がり、少女は爺さんの愛を受けながら優しく育っていった
しかし、どんなに可愛がれども所詮は老いぼれ
家に金を入れるのは難しく、また、爺も年ゆえか身体が弱く、すぐ寝込んでしまうのだ
そういう時は少女が山に入り込んで何かしらの山菜を取りに行くのだが、なんぼう歳いかぬ少女である
大きくても両手に抱えた爺の痩せ細った腕ほどの筍が精一杯で、やはりというか、何も食えぬに等しい時を過ごす時もあった
そんな生活をしている中の冬も終わりかけの頃である
爺が咳き込み、また床に伏せてしまったので、少女は山の奥にまで山菜を取りに出かけた
春の訪れを少し見え始めた時期とはいえ、山は未だに冷えており、その冷たい風は幾度となく少女を襲った
寒い…寒くて仕方ない…
少女の足取りは風が吹くごとに重くなり、いつしかその場にうずくまってしまった
このままでは死んでしまう
少女が思ったというより直感的に、というよりも生物の本能的なものに心は動かされ、その場を動こうとした
しかし、その幼き少女の身体である
本能に近き心とは裏腹に、そのうずくまった状態からピクリとも動かぬ
このままじゃ死ぬ。誰か助けて
心は思えど、その幼き身体故に声すら出ぬ少女は、焦りと恐怖とその先に待つ何かに涙を浮かべた
お爺…
その小さな果実が凍りついた地面に落ちようとした瞬間、少女の身体に何かが巻き付き、その身体を温め始めた
その後、少女が目覚めたのは夜であった
起きた時には、自分が何故生きているのか、この様な場所に倒れていたのか、などという疑問を持つ前に、こんな夜中まで遊んでいたらお爺に怒られる、と山菜を取りに行った事など忘れて家に足を急がせた
慌てて山から降り、家に帰ると何かおかしい
こんな夜中になるのに灯りがついておらぬ
不思議に思いながら玄関を開けると、そこには鼻息すらせぬ程程心地よく床についてる爺があったとさ
その少女が紆余曲折故に空飛ぶ船に乗るのは別の話
お題:魔法と現実
キャラ:魔理沙
79
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/07(木) 17:59:46 ID:zNl3zomY0
おお、日本昔ばなし風味に仕上がってていいですな
こんな暗めの誕生秘話でくるとは思ってなかったでした
80
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/08(金) 01:43:22 ID:jW47wBnoO
>>76
「飛梅はね、いつまでも主人を想い続けたの」
八雲藍が縁側で橙と昔話をするとき、決まってこの時期になると毎年毎年、庭に咲く梅を見ながら飽きることなく飛梅の話をした
橙はまたこの話か、と溜め息をつけば、藍はきょとんとした顔で橙を見つめるのだが、少しするとまた昔話を始めるのだ
あくる年、藍が全く同じ話をした時、今までの鬱憤が噴き出したのか、単なる興味本意だったのかわからないが、橙は藍にこう言った
「藍さま。毎年毎年、同じ話をしますが、如何ゆえ毎年同じ様な話をするのですか?」
すると藍はそれこそ毎年の様にきょとんとしたが、すこし口元を緩めると毎年とは違う言葉を紡ぎ出した
「それはだな。橙。これは私がまだ八雲の姓を受ける前、そう、まだ橙の様な頃によく紫様から話された事なんだよ」
「でも藍様は藍様でしょう?八雲の姓を持つからと言って紫様の真似をする必要はないのではないでしょうか」
「確かにそうだ。だが、これは姓を貰ったから話しているわけではなくて、紫様の話しを紡ぎたいから橙に話しているのさ」
「それは…どういう事でしょうか」
「紫様がまだ八雲の式ではなかった頃、先代の前の八雲様がある日を境にいなくなってしまったのよ」
「ええっ!?」
「すると紫様はひどくご乱心になって必死に先々代の八雲様を探していたの。その時にはすでに式についていたからよく覚えているわ」
「………」
「その一方で先々代の八雲様の式、いわゆる先代の八雲様は一行に探そうとはしなかった」
「なんででしょうか?」
「その一連が八雲の姓を受け継ぐ事だったからなの」
「えっ!?」
「最初こそ紫様は先代をけなし、一人幻想郷をさ迷ったわ。でも、いつしか探すのを諦め、また先代の式に収まったの」
「…」
「そんな中で先代が紫様に『まるでお前は飛梅だ。追った主人こそ違えどな』と笑いながら言った日があって、その日から、まだ八雲の姓を持たぬ私に飛梅の話を始めたの」
「…」
「そんな姿を見てきたから、私はその飛梅を自分の式に伝えていく必要があるのではないかな…と思ったのだよ」
その日から橙は、藍の話す飛梅に静かに耳を傾け始めた
そして、その藍の一言一言を失わぬように、ゆっくりその話を抱きしめるのだ
お題:現代と幻想郷(ギャグ)
キャラ:早苗さんで
81
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/08(金) 16:29:22 ID:ZyyjxoG20
>>80
良い藍さまでした。
ありがとうございます。
82
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/09(土) 18:30:10 ID:nzkZohDQO
誰か書いてください
お題:飲み物(それに関連するならなんでもOK)
キャラ:博麗霊夢
83
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/09(土) 18:52:24 ID:LD..CCy.0
何ヶ月も書き込みないから諦めてたよ。なんかスゲー嬉しい
84
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/11(月) 05:49:18 ID:pUkRaJLQ0
>>82
時には私が遊びに行くのも良かろう、と気まぐれを起こし、霧雨邸を訪れたは良いのだが、
「ほら」
とか言って当たり前みたいに魔理沙は湯のみを私に差し出す。
喉渇いた、という要求に応じて出てきたのが飲みかけのお茶だった。
粗茶には慣れている私だから、飲みかけってのはさしたる問題ではない。問題はこの湯のみが使用済みであることだ。
「あ、ありがと」
ひとまず礼を言って湯のみを受け取る。それから、私の長くて短い三秒間の葛藤が始まった。
魔理沙が口をつけてない部分を選んで飲むって選択肢は、妥当だ。
でもこの白黒は、とぼけているように見えて妙に鋭いところがあるから、下手をしたら見抜かれるかもしれない。
この私がこんなにどうでもいいことを意識してる、ってことを。
いや、見抜かれたからって何を恥じることがあるのか、という話なのだが。
「どうした、飲まないのか」
「あ、いや。飲む、飲むわよ」
服の袖で拭いてから飲むって選択肢は、微妙だ。
意識してるのがモロバレなのは勿論そうだし、これじゃまるで、魔理沙の口を汚いモノ扱いしているみたいになる。
この白黒は図太いようでいて妙に繊細なところがあるから、下手をしたら泣かせてしまうかもしれない。
コイツは泣くと輝くから、それはそれでいいかな、とも思うけど……。
魔理沙の怪訝な視線から、私はタイムオーバーを悟った。
意を決して、平静を装うためにあえて、あえて魔理沙が口をつけた部分からGO。ぬるいお茶だ。
ちょうど良い塩梅だけれど、いくら飲んだところで乾きがおさまることはなさそうだったから、一口だけ含んで、
「ごひひょうさま」
なんて慌てながら湯のみを魔理沙に返した。何をテンパってるんだろう、私は。
「なにをテンパってるんだ、お前は」
同感っス。
でも、なんとか何事もなくやり過ごせたみたいだった。
と安堵した直後、私はお茶をふきだした。テーブルをぶったたいて慟哭した。
「レディのたしなみだぜ」
魔理沙がハンカチで湯のみを拭いたのだ。
この外道、それはないでしょ、あんまりだ、私の三秒間の責任を取れ! と私は泣いた。
「悪かったって、腕によりをかけたご馳走で誠意を示してやる」
「許す」
そういうことならなにも問題はなかった。
ただ、こそばゆさからヤケになった私がご馳走をむさぼっている間、魔理沙が妙にニヤニヤしていたのが、気になる。
<了>
お題:みかん
キャラ:レミリア
85
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/11(月) 16:25:40 ID:AjsTcQE2O
>>84
妙にニヤニヤしてしまった
こんな俺は間違いなく魔理沙の兄弟
86
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/11(月) 22:29:10 ID:PWMtqUHI0
お題:祈り 指定:鍵山雛
ちょっと簡単すぎかな?
87
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/12(火) 18:03:47 ID:gYYQDG0g0
>>84
――咲夜が病に冒された。
急遽呼び寄せた永遠亭の永琳が彼女を見たときの顔は芳しくなく、咲夜の命の灯火はまさに消えようとしていることは明らかであった。
しかし、彼女の主であるレミリアはあきらめなかった。
紅魔館の抱える動かない大図書館ならば、咲夜を救う方法を知っていると信じて疑わなかったのだ。
力任せに、図書館の扉が開かれる。
「……ずいぶん騒がしいわね。どうしたのかしらレミィ? 白黒でもないのに、あなたらしくないわ」
「咲夜を救う方法を教えなさい」
突然の友人の言葉に、動かない大図書館、パチェリーの表情が変わった。
「彼女を救う方法はないし、必要ないわ。人間が弱い生き物であることは、あなたも覚悟の上でしょう?」
「それでも、よ。私には……いえ、私たちには彼女がまだ必要なのよ」
レミリアの表情を見て、パチェリーはこっそりとほくそ笑んだ。
「そうね……あなたがそこまでいうなら、たった一つの可能性、教えてあげないことはないわ」
「それは何!」
パチェリーのところに歩み寄り、肩をつかむレミリア。力のコントロールを忘れていなければ、パチェリーの肩は砕けていたかもしれない。しかし、パチェリーは動じずにひとつの可能性を口にする。
「命の水よ」
アクア・ヴィターエと呼ばれるそれは、錬金術師によって作られた錬金術の材料であり、多くの人間の命を救ったという伝説が残されている。一部では賢者の石の材料となることもあるという。
「しかし、本来これは水の少ない地域での伝説。水の多いこの国では必要とされないか……と思われたけど、そんな中でも『命の水』の伝説は残っていたみたいね。その伝説では、命の水の正体を言い当てているわ」
――ポンジュースよ。
咲夜への思いのためか、レミリアは――そして紅魔館の住人は、その言葉をまっすぐに信じた。
88
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/12(火) 18:04:40 ID:gYYQDG0g0
「今宵より我々は、メイド長十六夜咲夜の病を治すため、命の水『ポンジュース』を作る儀式に入る! そのためには条件が必要だ!」
ホールに住人全員を集め、レミリアは声高らかに宣言する。その姿、まさしくカリスマの具現化。
「ひとつ! 生命の園『愛媛』に対する愛を、農家への愛を証明しなければならない!
朝昼晩ごとに、紅魔館特製巨大こたつに入りながら愛媛の方向を向き、全員で農家のことを思い浮かべながらみかんをひとつずつ食べる儀式を行う!
皮を捨ててはいけないわ。皮は回収し、紅魔館の大浴場に投入するわ! これで、体もポッカポカよ」
「Sir.Yes,sir!」
「そしてもうひとつ! ポンジュースを探すためには、本当の愛媛産のみかんが必要よ。ありとあらゆる手段を使って、愛媛産のみかんをありったけ探しなさい! これは命の水『ポンジュース』の材料になるわ。必ず探し出しなさい!」
「Sir.Yes,sir!」
「以上のことを必ず行わず、みかんを粗末にしないこと。そうしなければ、みかんによる報復がまっているわ。気をつけなさい! 状況開始!」
「Sir,Yes.sir!」
レミリアの言葉を受け、紅魔館の精鋭が幻想郷に飛び立つ。それだけ、メイド長への信頼が厚いのだ。普段は役に立たない妖精メイドでさえ、まるで6面道中妖精のようなきりりとした表情を見せている。
この作戦は必ず成功する。いや、成功させなければならない。
精鋭が飛び立ったのを見て、レミリアも月夜に大きくその羽を広げ、夜の闇へと消えた。
――それから1週間。
一種異様な結束間の紅魔館は、さまざまな事件を引き起こしつつ農家への愛を証明し、愛媛産のみかんを手に入れることに成功した。
「これだけあれば、命の水『ポンジュース』を作ることはたやすいわね」
「そう、後はこれをあなたの手で絞り、ポンジュースに練成する……そうすれば、咲夜の命は助かるわ」
パチェリーの研究室にて、紅魔館全員の期待を受け、今ここにポンジュースが作られようとしていた。
レミリアが幻想郷のあらゆるコネを使って手に入れた愛媛のみかんに手をかけ、ビーカーの上にかかげ……万力のような力をこめる。
「みかんみかんみかん!」
小悪魔と美鈴によるギターとドラムがかき鳴らされる中、レミリアの手からポンジュースがこぼれだし、ビーカーの中に入ってくる。即座にカスいれに絞ったみかんをいれ、もうひとつ搾り出す。
「みかんみかんみかん!」
恐るべき速さでみかんが絞られていく。ギター、ドラム、さらにはフランドールのベース、妖精メイドたちの絶叫……すべて、病に臥せっているメイド長のため。
「みーかーーーん!」
ポンジュースの効果は絶大であった。
咲夜の病気は完全に回復。
永琳が驚いた表情で、咲夜の検診をし、言葉をこぼす。
「愛媛の心……いえ、あなたたちの彼女を思う心の奇跡ね」
その発言に……紅魔館が沸いた。
お祭り騒ぎの紅魔館の大図書館に、現れる影。
咲夜を検診した永琳である。
「なかなか考えるじゃない」
「私はただ提案しただけよ」
「馬鹿を言わないで。残っていたポンジュースを調べさせてもらったけど、やはりあの子の血が混じっていたわ」
「それ以外に咲夜を救う方法があるとでも?」
「医学的には認めたくないわね……吸血鬼なんて、蓬莱人から見れば短命な種族よ。とはいえ、ああいう形の吸血鬼は私も見たのは初めてだわ」
「レミリアとみかんの力よ、あなたには理解できないでしょうけど」
「素直にそう思っておくわ」
パチェリーは薄暗い図書館の中で、こっそりとほくそ笑んだ。
長すぎた、初投稿でスマソ。
89
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/12(火) 20:13:22 ID:kU/SwHPc0
>>87
マシンガンズと混ぜ人氏の匂いがプンプンするww
そして何気に良い話してて和んでしまった。
90
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/12(火) 21:34:42 ID:yzfeTUPs0
起 橙は紅魔館に潜り込んだ
承 地下に囚われの姫君がいるというので救出することにした
転 その姫君は下克上を起こし紅魔館を乗っ取ろうとしていた
結 橙の勇気が紅魔館を救うと信じて
これで・・・というのは無茶だろうか
91
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/14(木) 02:41:58 ID:2zO4uVXUO
>>90
ソードマスター橙 〜最終話 概ね全てを終わらせるとき!!〜
橙「よし!!藍様の言いつけ通り、紅魔館から聖なる伝説の剣、ハイパーセイントソード(以下HSS)を手に入れたぞ!!」
咲夜「誰だ!?貴様かッ!!囚われの姫、プリンセスユカーリを助けに来た勇者王、チェイーンとはッ!!!」
橙「えっ!?えっ!?」
咲夜「さらなる上は我等の伝説の剣、HSSを盗み出すとは…許せんッ!!(デ〜デデ〜♪)このサクーヤが取り返してくれるッ!!たぁっ!!」
橙「きゃああああッ!!!」
(ぐさっ)
サクーヤ「ぎゃああああああっ!!こ、このサクーヤがあああああっ!!!!」
チェイーン「えっ?なんだか勝っちゃった…勝った!!第一部完ッ!!」
プリンセスユカーリ「遂に参られたか勇者王、チェイーン。囚われの紅魔館の領主、プリンセスレミリアはここにいるぞ!!」
プリンセスレミリア「た、助けて勇者王様ァ!!」
チェイーン「なんと卑怯なッ!!!ジェネラルユカーリッ!!!」
ジェネラルユカーリ「私を倒せたら貴様にプリンセスレミリアを返してやろうッ!!!さぁ!!勝負だッ!!!」
プリンセスレミリア「勇者王様ァ!!」
勇者王チェイーン「いくぞジェネラルユカーリッ!!!」
ジェネラルユカーリ「さあこい勇者王チェイーンッ!!!」
勇者王チェイーン「いぃくぞぉぉぉぉああああああ!!!!!!!!」
勇者王チェイーンの勇気が世界を救うと信じてッ!!!ご愛読ありがとうございました
咲夜「…………」
美鈴「…咲夜さん…?」
咲夜「なんで…打ち切りなのよ…」
美鈴「えっ?」
咲夜「なんで打ち切りなのよぉぉぉぉぉあああああ!!!!」
美鈴「ちょっ!!いやッ!!!なんでっ!!ウボァー」
ピチューン
お題:ファーストフード
キャラ:地霊殿の誰か
92
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/15(金) 02:13:23 ID:.PyF7kP.O
>>91
何がなんだかwww
93
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/15(金) 18:11:48 ID:7kYkfQWs0
>>91
混ざりすぎw
94
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/16(土) 01:27:01 ID:WGHzH4Z.O
>>86
厄神様はその夜、久々に人の住む里に来たそうな
そもそも、厄を身体に巻き付ける厄神様は人が嫌うというのもあり、滅多に人里なぞに行くことなぞないのだが、この日は何の気なしに来てしまったのだ
夜というのもあったためか、外にいる者も少なく、いたとしても顔を真っ赤にしながら、回りながら先を進む厄神様をみて、きょとんとするだけだ
愚痴を吐きながら酒を煽る者や、金を使って賽子遊びに興じる者がまだ起きているのだろう
夜は更けたとはいえ、まだ灯りは点々としている
最初はふらふらと先を進んでいた厄神様だったが、その灯りの先にふと小さな影があることに気付いた
目をやると、酒屋の向かいの川瀬に十いくつになるかならないかの少年が、川に足を投げ、空を仰いでいた
こんな夜更けに、少年がいるなぞ到底考えられぬ。そう思い、厄神様はたまらず彼に声をかけた
「君は何をしているの?」
すると少年は後ろを振り返り、厄神様を見るなり
「お父を待っています」
と、静かに答え、また空を仰ぎみた
ここで厄神様は、少年の持つ厄をふと感じた
厄というものは中々癖のあるもので、人には、大抵が行動や言動、態度などに厄の断片を見出すことがある
―多少の厄があるから、人は人たりえる―とは厄神様の弁だが、彼の言葉から彼の持ちうるものを感じたのだ
既に少年を照らしていた酒屋の灯りは消え、ただ深々とした闇が周りを包んでいた
「いけませんねぇ。子どもがこんな夜中に外にいては。今日は帰りなさいな」
「とは言われても困ります。お父には酒を飲み終わるまで待てと言われておりますので」
「ならそのお父様に私から言っておきましょう。あなたは帰りなさいな」
そう言われると少年はしぶしぶ立ち上がり、そのまま暗闇の中へ歩き始めた
厄神様は、その後ろ姿を見ながら、密かに両手を合わせ、ゆっくりと目を閉じた
その少年の帰る家もないどころか、その魂すら寄せる身もない、ただ一人さ迷うものである事を知ったからである
少年から出た言葉から厄は見えない。ただ言葉がそこにあっただけなのだ
厄神様は、彼の帰る道に厄あらんことを、と静かに祈り、誰もいなかった川瀬を後にした
お題:思い出
キャラ:メディスン
95
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/17(日) 00:06:43 ID:AczHA2bkO
お題だそうかな
お題:この時期における朝の布団の存在について
キャラ:アリス
96
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/17(日) 02:14:33 ID:ZWF9Guk.0
>>94
『この体の思い出』
首だけにされた人形が、小さなクッションの上にころんと転がされている。大人一人でいっぱいになるような小部屋には、ランプが一つ。使い込まれたオークの机は見事に整頓され、少女が背を丸めて何かの作業に没頭していた。
「ねえ、思い出があるってどんな感じ?」
首だけのメディスンが口を開いた。アリスは背中を向けたまま質問には答えず、腕の関節にヤスリを当てている。
「ねえ、どんな感じって聞いてるんだけど?」
「……ああ、御免なさい。集中してたから」
メディスンが語気を強めると、ようやくアリスが振り向いた。左手には人形の腕を持っている。その関節はランプの光で滑らかに光っていた。
部屋の主とその客、一人と一体の容貌はよく似ている。金髪碧眼に白い肌、例えるなら「人形のような」としか言いようのない二人だった。
「私は妖怪になってまだ何年も経っていないから、思い出って言葉の意味がよくわからないの。教えてくれる?」
ある日、忘れられた鈴蘭畑で、捨てられた人形に魂が宿った。数年前に起きた花の異変をきっかけに、メディスンの存在が幻想郷に知られるようになった。彼女は今では永遠邸やアリスなど一部の者と時に行動を共にする間柄になっていた。
「思い出ねぇ。当たり前すぎてかえって難しいわね」
アリスは作業の手を休め、冷え切った紅茶に手を伸ばす。
「昔のことがふと心に浮かぶ……ってことなんだけど」
「私にはその、昔が、ないのよ。ついさっき生まれてきたところなんだから」
「記憶と思い出は違う、ってのは、なんとなくわかるんだけど」
アリスは上目遣いに部屋の左右をちらちらと見たが、二の句は継げなかった。
「もういいわよ。無理に説明しなくても。たぶん、長生きしたらわかるんでしょ?」
「それよりさっさと私の修理を終わらせて頂戴。もう3時間は経ってるのに」
メディスンは当てずっぽうに経過時間を言うと、少しふくれた。
「貴方ぐらい精巧に出来てると、3時間でここまで修理出来れば新記録よ」
「陶製でも樹脂でもない、木製の球体関節人形なんて初めて見たわ……。この木材がいったい何かさえ見当がつかないのに、手探りで修理してるのよ」
人形に関しては第一人者であるアリスにここまで言わせるのならば、その言葉は本物だった。一度バラバラに解体されたメディスンは右腕を残して修理が完了し、机の上に座っている。今はメディスンの魂とつながっていないために動くことはできないが、それでも滑らかな曲線は今にも動き出しそうな怪しい存在感を放っていた。
97
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/17(日) 02:15:13 ID:ZWF9Guk.0
「話は仕事が終わったら聞くわ」
メディスンは目を閉じ、口を結んでしまった。
「……あのね、お説教は閻魔様の仕事だけど、さすがに私も一言いわせてもらうわね」
アリスはふっとため息を吐くと、体側の間接を仕上げにかかった。
「貴方はもっと自分の体を大事に使いなさい。貴方が良くても体が可哀想よ」
メディスンの本質は霊体や幽体に近い。人形の本体が傷ついても、メディスンは痛みも苦しみも感じない。毒を操るが、それが自分に中毒することもない。もっとも良いことばかりでもなく、痛みがない故に無理に動いて体を痛めてしまうこともある。
「話はてゐから聞いたわよ。ウサギと一緒に餅つきしようとして肩が抜けたんでしょう? 自分の体重の何倍もある杵を振り回したら、そりゃ肩も抜けちゃうわ」
「抜けたらまたハメるだけよ。壊れたら直せる体だもの。便利だわ」
メディスンの憎まれ口が止まらないので、アリスはおでこを軽くつついた。
ようやく体側の間接の仕上げが終わった。アリスはランプを近づけて上下左右から関節の滑らかさを確認する。精巧な作りであるが故に、わずかの曲率の狂いも動作の引っかかりにつながる。
「……あら。何かしら」
アリスの手が止まる。関節の奥にシミのようなものが見つかった。直接光を当てなければ気づかないほど、薄くにじんだ字で書かれていた。
「たぶん署名ね。ええと……『マイスター』……あとはすり減って読めないわ」
メディスンが目を開いたので、アリスも目の前に署名を持って行ってやった。
「ふうん。この体を作った奴がいるのね。誰か知らないけど」
メディスン本人にも署名の心当たりはないようだ。
「当たり前でしょう。こんなに精巧で特殊な人形は、よほどの思い入れがなきゃ作らないわよ。貴方の体は何十年、もしかしたら何百年の歴史があるわ。貴方は生まれてたった数年なのかもしれないけど──」
メディスンの目を見て、アリスの顔が曇った。人形の目から涙は流れないが、メディスンの顔は明らかに泣き顔だったからだ。
「言い過ぎたわね。御免なさい。……でも、その体は大事に使ってあげて。それだけはわかって欲しかったの」
「……アリス。わかった」
「……なに?」
「思い出。私を作った人の思い出。名前も顔もわからないけど、確かに私の体を作った人の思い出。ちょうどこんな風に私が首だけになって、体ができあがるのをずっと待ってた。そんなことが、あった。あったのよ。うん」
メディスンは堰を切ったように一息にしゃべった。いつの間にか笑顔になり、体があれば飛び上がりそうな調子で笑っている。
「……そう、良かったわね。人形師として冥利に尽きるわ」
アリスはメディスンに背中を向けると、最後の関節をはめた。濡らさないように気をつけながら。
「アリス、早く体とくっつけて! 思い出のことをみんなに言いに行くから!」
「服を着せなきゃいけないでしょ。もう少し待ちなさい」
「早く!早く!」
アリスはメディスンに背中を向けたまま、できるだけ、ゆっくりと、服を着せた。
【終】
98
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/20(水) 00:29:29 ID:mCN8Ysk.O
>>96-97
いいもの見させてもらいましたー
99
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/23(土) 15:19:23 ID:IxL.fJ3YO
>>95
「最近魔理沙を見ないのよ」
アリスがによく分からぬ報告をしたのは冬の日も下り始めた頃であった
幻想郷の冬である
その多くを山とする幻想郷は、山から降りてくる冷たい風が直撃するため、心身も凍らせるような日中が続く事も珍しくない
「はぁ?アンタ同じ魔法の森の人間でしょ?家に行ったらいいじゃない」
「何度も行ったわ。でも家をノックしても出る気配すらないのよ」
博麗の巫女は、焦りの混じったブロンドの髪を持つ少女に溜め息をつけば、その押すとも引くとも言わぬ問答に付き合っていた
山に近き博麗の御社である。寒気が降りるのも早い
「…もう付き合ってらんないわ。そんなに気になるならドアでも蹴破って安否を確認したらいいじゃない」
「い…異変かも知れないじゃない!!」
「私は普通の人間専門だわ。どこの世界に妖怪の異変依頼を受ける人間がいるのよ」
アリスが声を荒げても、その響きは寒さを増した境内に響くだけで、何かしらの効果もなかった
「私はもう社片付けるから。ほら、出ていった出ていった」
アリスは霊夢に軽くあしらわれると、すごすごと博麗神社を後にした。
その帰り、アリスは霧雨亭て足を運んだ
最早、今彼女が頼れるのは自分しかいない
そういう心中がどこかにあったのやも知れぬ。その表面化せぬ心情に押されるがごとく足を早めた
魔理沙の家についた頃には日は落ち、一面が闇に包まれていた。ただでさえ暗き魔法の森である。夜が光を吸い尽くすのも早い
やはり明かりの無い霧雨亭をみると、やはりか、と言うようにアリスは溜め息をついた
その時、博麗神社のやりとりを思い出し、無礼やむ無しと、その足でドアを蹴りあげた
壊れたドアの先には音と光の無い世界が広がり、ここが魔理沙が住む場所とは思えぬほど異色を放っていた
恐る恐る一歩、また一歩と魔理沙の部屋に足を進めた
ここで初めて、この家に音が入った。アリスの床板をふむ、ぎぃっ、といった不気味な音である
その不安になる音を聞きながら、魔理沙の部屋のドアを開けた
すると、なんとも言えぬ臭いが立ち込め、ベッドの上には痩せこけた――――
「もう外に出たくなくてさ」
金髪の少女はアリスの作った食事をむさぼるように口に含んでいた
「いやぁ、寒いってのは嫌だね。本当に布団から出たくなくなる」
その言葉にアリスは、大きく溜め息をついた
<終劇>
お題:異文化コミュニケーション
キャラ:早苗
100
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/26(火) 21:14:32 ID:CNrE9mdIO
最近ちょっとだけ盛り上がったと思えば…
お題、仕事
キャラ、花映塚の誰か
101
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 07:51:14 ID:gMxO2zUE0
>>99
初投下 気軽に投下できる場所があるのはいいことだ。
それは守谷の神社の昼飯時、神奈子の一言が事の発端だった。
「いやー、毎度のことだけど、早苗の料理はおいしいわねぇ」
「ありがとうございます」
「早苗は料理上手だよなー」
「そんな…」
神奈子と諏訪子に褒められ、謙遜しつつもまんざらでもない様子の早苗。
こんな時こそ、二人の巫女をやっていてよかったと思う瞬間だ。
「でもぉ…」
「でも?」
しかし、神奈子の発言はまだ続いていた。あきらかに陰りのある言い出しにピクリとなる。
「もう少し幅があったらいいんだけどねぇ」
「幅?」
神奈子の発言に不服をあらわに聞き返す。幅とはつまり料理の種類という意味だろう。
そういった意味でなら、自分は十分に多種多様な料理を作ってきているはずだ。
「早苗は和食ばっかだからなー」
「そうそう。たまには洋とか中とかでもいいんじゃない?」
「…そういうことですか…」
言われてはっとする。確かに様々な料理を作ってきてはいるが、それは和食に限ってのことだ。
洋食や中華料理は今まで作ったことがなかった。というより、作れないと言った方が正しいか。
「わかりました。お二人がそう言われるのならば、不肖早苗、山を下りて勉強してまいります」
「え…それってつまり…」
「はい、膳は急げ、今日から明日にかけて御暇頂戴いたします」
「そんなに急がなくても…」
「いえ、お二人にはおいしい料理を食べていただきたいので。それでは」
言って、足早に部屋を出て行った早苗。取り残されたのは生活能力0の神様二人。
「どうしよう、神奈子」
諏訪子はもくもくとほっぺたをご飯でいっぱいにしながら、言葉とは裏腹に緊張感のない声で問う。
「ま、どうにかなるでしょ」
味噌汁をズズズとすすりながら、こちらも緊張感なく応える。
二人の山場は、まだ遠い。
102
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 07:52:46 ID:gMxO2zUE0
>>101
続き
守谷の神社を出て、早苗が真っ先に向かったのは麗夢の許だった。
しかし麗夢曰く
「私も和食ばっかりだしなぁ……あ、そうだ、アリスのところへいってみなさいよ」
とのことだったので、早苗は麗夢に言われた通り、アリスの家へと向かった。
「こんにちわー」
鬱蒼とした森の中にぽつんと、まるで人の来訪を拒んでいるかのように建っているその家は、まさに麗夢の説明通りだった。
中に人のいる気配はするのだが、返事がない。再度、今度はドアをノックすると、ドアの向こうからくぐもった声で「入っていいわよ」と聞こえた気がした。
本当に入っていいものか一瞬悩み、すぐにドアノブに手をかけ、ゆっくりとドアをあける。
「すごい…」
思わず声に出してしまうほど、早苗は驚いていた。部屋中に飾られた色とりどりの人形たち。その人形たちに囲まれて、アリスと思われる人物はいた。
「誰…?」
綺麗なブロンドの髪にそぐわない、陰鬱とした声に若干戸惑いつつ、早苗は自己紹介する。
「あ、私早苗といいます。あの、アリスさんですよね」
「ええ、そうだけど、要件は?」
「料理を習いに来ました」
「料理?」
あまりに予想外の答えに、つい作業を止め早苗の顔を見る。
「どういうこと?」
「あの、私和食以外の料理を作れるようになりたいんですけど、麗夢さんに聞いたらここにいけって言われて…」
「ああ、そういうこと」
「はい、そういうことです」
ふーん、とアリスは席を立ち、おもむろに台所へと向かう。その様子を不安そうにただ目で追うだけの早苗。
早苗の中で気まずい空気が流れる。
痺れを切らした早苗が口を開こうとした瞬間、2つのエプロンを持ったアリスが台所から姿を現した。
「はいこれ」
唐突にぽんと手渡されたのは、いかにも女の子らしくかわいらしいエプロン。
「これは…」
「いつまでいられるの?」
早苗の疑問になど付き合ってられないというように尋ねるアリス。
「…明日の朝です」
「そ、じゃあ洋食の基本と、応用のきくレシピ2つくらいかしらね」
「そ、それだけ教えていただければもう!」
「じゃ、さっそくはじめましょ」
「はい!」
かくして、アリスのお料理教室は幕を開けた。
103
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 07:53:19 ID:gMxO2zUE0
>>102
続き
そして一方の守谷神社には飢えという山場を迎えた神二人。
「神奈子ー、おなかすいたー」
仰向けになって天井に叫ぶ諏訪子。
「私だって空いたわよ」
同じく仰向けになっている神奈子。
「なんか作ってくれー」
「無理よ。私が料理できないの知ってるでしょ」
二人は己が浅はかだったことをじわじわと認識し始めていた。
「そうそう。マヨネーズはもっと入れていいわよ」
「え、こんなにですか?」
「ええ、洋食は基本味を濃いめにしたほうがおいしいのよ」
「…太りそうですね」
「…そうね」
アリスとの料理教室が始まってはや数時間。食卓にはパスタ、サラダ、スープと洋食の基本メニューが並んでいた。
「「いただきます」」
二人の声が重なる。まだエプロンをつけたままの二人は、向かい合ってささやかな晩餐を楽しむ。
この数時間で二人の間は急速に縮まり、他愛もない会話が両者を行きかう。
その光景はとても華やかで、アリスはふと、いつもの自分の食卓を思い出す。
そして早苗も、普段はいない「友達」という感覚で接することのできる相手に対し、会話が弾んだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、夜、早苗の強い要望で二人は同じベッドで眠ることとなった。
「私はいいわよ」というアリスを、早苗は「そんなこといわず」と引きずり込んだのだ。
しかしアリスも、決して悪い気はしていなかった。むしろ、ベッドの中で他人のぬくもりを感じることに言いようのない快感すら感じていた。
ただ、あまり近づきすぎると、離れるのが怖かった。
朝、早苗が目を覚ますとすでにアリスは台所にいた。
「おはようございます」
「あらおはよう、もうでるの?」
「はい、多分、お腹を空かせ待っていると思うので」
「そう」
アリスは一つのバスケットを取り出し早苗に渡す。
「これは?」
「お弁当よ。サンドウィッチっていうの」
「い、いいんですか?」
「ええ、材料と作り方は紙に書いて入れておいたから」
ずしりと重いバスケット。その重さは、恐らく沢山のサンドウィッチに、朝早くから作ってくれたアリスの想いが詰まっているからだろう。そう思うと、早苗は涙を見せずにはいられなかった。
「あ…ありがとう…ござい…まず…」
ぐずぐずと泣き出す早苗に、アリスはほほ笑む。
「まだきて…も、いいでずか…」
「もちろんいいわよ」
「ありがと…ございますぅ…」
後ろ髪をひかれる思いでアリスの家を後にする。
早苗には帰る家があり、待っている人がいる。でも、アリスはどうなのだろう。
余計なお世話なのかもしれなかったが、早苗は考えずにはいられなかった。そしてまた、涙した。
涙も乾いたころ、早苗は帰りついた。右手にアリスの作ってくれたサンドウィッチを握りしめ、満面の笑みで戸をあけると、
「SA☆NA☆Eーーー」
「なっ!」
突然飛び出してきた諏訪子に視界を塞がれた。
「早苗まってたんだぞー」
「どうしたんですか諏訪子様!」
「お腹が空きすぎて空きすぎてー」
「わかりましたから離れてください!」
言われ、離れた瞬間に玄関先でぐったりと寝転がる神様。これではどっちが主かわからない。
「おかえり、早苗」
奥からは神奈子が顔を出す。
「ただいま戻りました、神奈子様」
「あー、その、やっぱりあれだな」
「はい?」
「早苗がいないと駄目だな、うちは」
少し照れくさそうに、神奈子は言う。その様子が、何よりも愛おしかった。
「それじゃあ早速ご飯にしましょう」
「何作るの?」
「今日はサンドウィッチというものです」
「なんだそれ! おいしそー」
「ええ、きっととっても美味しいですよ」
104
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 14:48:58 ID:oW2bB3tE0
誰か地霊殿メンバーでお題くれよ
105
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 16:01:15 ID:CtS8tIqo0
お題「地霊殿の意表をついた胸談義」
106
:
「地霊殿の意表をついた胸談義」
:2010/01/27(水) 16:41:09 ID:oW2bB3tE0
久しぶりに地霊殿に帰ったら、玄関前でお燐がべそかいてしゃがみこんでいた。ちょっと話しかけるのが躊躇われたけど、あんまりにも惨めな泣きっ面だったので、無意識を解いて、お燐の視界にひょこりと顔を出してみた。
「うぁあぁぁぁこいじざまぁぁぁあぁ」
「お、おうぅ。どうしたの、そんな世界の終わりみたいな顔して」
「ざどりざまがぁぁぁ」
そこからはもう言語ではなく、うぉあああ、とか、びゃあああ、とか獣じみた嗚咽で(まぁ、猫だから獣ではあるけど)泣きじゃくるだけだった。時々、さとり様、と聞こえてくる。恐らくお姉ちゃんに何かされたのだろう。それにしたってお燐がこんなに泣くくらいだから、相当なことがあったのだろう。お燐の泣き顔は、もしかしたら初めて見たかもしれなかった。
「どうしたのさ。ちゃんと口で言ってくれなきゃあ、私は心を読んであげられないのよ」
「ぐず、ぅう、さ、さとり様っ、がっ」
「うん。お姉ちゃんに何かされた?」
「あたい、さとり様を怒らせて、それで、うぅ。ぐすっ、あたい、地霊殿に、いられなく、でっ、ぐず」
「落ち着いて。深呼吸してごらん」
「ひっひっふー」
「思ったより落ち着いてるようで安心したよ」
ボケれるならちゃんと会話しろ。
「さとり様に、嫌われたんですぅ、うぅぅ……あたい、もう生きていけません……ぐず」
「お姉ちゃんがお燐を? 嫌う? そんな馬鹿な話がある訳ないわ」
「だって、『燐と話すことはもうありません』って、お話ししてくれないし」
「ふぅむ」
あのひとに限って、自分のペットを嫌うなんてことがあるとは思えない。
毎年地底で行われる『地底の嫌われ者ランキング』で、ここ数十年間ダントツにトップを独走し続けているお姉ちゃん(今年も二位とダブルスコアの差をつけて堂々の一位だった。そしてとうとう殿堂入りを果たすことが最近決まったそうだ)だけど、お姉ちゃん自身は誰かを嫌うということはほとんどない。あのひとは基本的に他人に対して無関心だ。だから周りに何を言われても大して気にしない。だからお姉ちゃんにとっては、好きの反対は無関心でしかない。
その上、お姉ちゃんはひどくテリトリー意識が強い。他人に対して無関心だから、そんなどうでもいい相手に無暗に干渉されるのが苛立たしくてしょうがないらしかった。だからお姉ちゃんはテリトリーを作って、その中には他人を侵入させない。一部の許した相手だけ、自由な出入りを許可する。
気の弱そうな顔して、結構きつい性格なのだ、あのひと。
だから、わざわざ自分が招き入れるような真似をしたペットを、お姉ちゃんが嫌う筈がない。その程度の関心なら、初めから拾ったりしない。
「それは、うん。ちょっと機嫌が悪いだけじゃないかな。お燐が嫌われる筈ないよ。私が言うんだから、間違いない」
「でも、さとり様と喧嘩したんです」
涙ふきふき、ようやくまともにお燐が話す。
「お姉ちゃんと喧嘩。すげぇ」
ていうかあのひと喧嘩とかできるんだ。
「喧嘩と言っても、口論ですけど……」
「ふむん、じゃあそれが原因かな? どんな話だったの」
「こいし様のバストサイズで揉めまして……私はB派なんですけど……さとり様が『貧乳はステータスだ』って強情で……」
「ほっとけよ!」
お姉ちゃんを殴り倒そうそうしよう。
107
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 22:18:45 ID:CtHS0FTMO
面白いw
108
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 22:48:12 ID:HFjWmrlE0
お題:ペンギン
109
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/27(水) 23:33:39 ID:mzo3J7r2O
>>101-103
でほっこりして、
>>106
で笑ってしまった
いいスレみつけたわ
俺もお題出しとこ
お題:仕事でのささいな事
110
:
「ぺんぎん」「仕事でのささいな事」
:2010/01/27(水) 23:58:24 ID:oW2bB3tE0
「ねぇお姉ちゃん」
がりがりがりがり。
「ねぇ、お姉ちゃん」
がりがりがりがりがりがりがり。
「ねぇ、お姉ちゃん!」
がりがり……ぴたり。
「なんですか、もう。集中が途切れます」
「ちょっと話しあおうよお姉ちゃん。私たちに足りないのは会話だと思うの」
「あぁ、今日のこいしの下着って何色かって話でしたっけ」
「ちげぇよ! そんな話した覚えがない!」
「サブレタイニアンジョークです」
「アメリカンとかけようとして失敗してるよ」
「まったく、私と会話する気が無いなら仕事に戻りますが」
「会話する気が無いのはお姉ちゃんでしょうが!」
「じゃあなんですか」
「いや、今更こんな質問を投げかけるのはどうかと思うんだけど……これはどういうことですか?」
私は自らの身体を指差した。指差したというか、手でぽんぽんとおなかを叩くことしかできなかったけれど。どうしてか。私の不可解な格好の為である。
いつものように地霊殿に帰ったら、丁度お姉ちゃんがデッドラインにいた。つまり是非曲直庁に提出する、灼熱地獄跡の報告書の締め切りである。お姉ちゃんはこう見えて筋金入りの面倒くさがりで、こういった書類はいつも期限ぎりぎりまで放っておいたりするのである。そうして今日みたいに、前々日くらいから、徹夜し続けて仕上げるのだ。
懲りないなぁなんて思いながら。私はそっと地霊殿を後にする。だって、徹夜続きのお姉ちゃんのテンションはうざいから。
しかし、今日は運悪く捕まってしまった。そして、「私を助けると思って、これを着て『お姉ちゃんがんばれー』って言ってください」と真顔で言われた。大分気持ち悪かったけど、迫力が凄まじかったので断れなかった。そうして手渡された衣装が、ペンギンスーツである。
「似合ってますよ?」
「それを確認したい訳じゃないから」
「可愛いですよ?」
「それでもないから。いや、もういいや……私、何やってるんだろう……」
「ほら、ちゃんと応援してください」
「ふれー、ふれー、ば・か・あ・ね」
「ツンデレなところも好きですよ」
「そのプラス思考はどこから来るんだろうね」
私は今日も姉に振り回される。
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