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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

84名前が無い程度の能力:2010/01/11(月) 05:49:18 ID:pUkRaJLQ0
>>82

 時には私が遊びに行くのも良かろう、と気まぐれを起こし、霧雨邸を訪れたは良いのだが、

「ほら」

 とか言って当たり前みたいに魔理沙は湯のみを私に差し出す。
 喉渇いた、という要求に応じて出てきたのが飲みかけのお茶だった。
 粗茶には慣れている私だから、飲みかけってのはさしたる問題ではない。問題はこの湯のみが使用済みであることだ。

「あ、ありがと」

 ひとまず礼を言って湯のみを受け取る。それから、私の長くて短い三秒間の葛藤が始まった。
 魔理沙が口をつけてない部分を選んで飲むって選択肢は、妥当だ。
 でもこの白黒は、とぼけているように見えて妙に鋭いところがあるから、下手をしたら見抜かれるかもしれない。
 この私がこんなにどうでもいいことを意識してる、ってことを。
 いや、見抜かれたからって何を恥じることがあるのか、という話なのだが。

「どうした、飲まないのか」
「あ、いや。飲む、飲むわよ」

 服の袖で拭いてから飲むって選択肢は、微妙だ。
 意識してるのがモロバレなのは勿論そうだし、これじゃまるで、魔理沙の口を汚いモノ扱いしているみたいになる。
 この白黒は図太いようでいて妙に繊細なところがあるから、下手をしたら泣かせてしまうかもしれない。
 コイツは泣くと輝くから、それはそれでいいかな、とも思うけど……。

 魔理沙の怪訝な視線から、私はタイムオーバーを悟った。
 意を決して、平静を装うためにあえて、あえて魔理沙が口をつけた部分からGO。ぬるいお茶だ。
 ちょうど良い塩梅だけれど、いくら飲んだところで乾きがおさまることはなさそうだったから、一口だけ含んで、

「ごひひょうさま」

 なんて慌てながら湯のみを魔理沙に返した。何をテンパってるんだろう、私は。

「なにをテンパってるんだ、お前は」

 同感っス。
 でも、なんとか何事もなくやり過ごせたみたいだった。
 と安堵した直後、私はお茶をふきだした。テーブルをぶったたいて慟哭した。

「レディのたしなみだぜ」

 魔理沙がハンカチで湯のみを拭いたのだ。
 この外道、それはないでしょ、あんまりだ、私の三秒間の責任を取れ! と私は泣いた。

「悪かったって、腕によりをかけたご馳走で誠意を示してやる」
「許す」

 そういうことならなにも問題はなかった。
 ただ、こそばゆさからヤケになった私がご馳走をむさぼっている間、魔理沙が妙にニヤニヤしていたのが、気になる。

<了>

お題:みかん
キャラ:レミリア


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