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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

56名前が無い程度の能力:2009/06/03(水) 22:59:59 ID:hc3pCa4Y0
「ひゃくにじゅういーち、ひゃくにじゅーに、ひゃくにじゅーさん」

 温泉の淵に腰掛けた空は、鍾乳石から落ちてくる雫を見つめながらカウントダウンを続ける。

「ひゃくごじゅうろーく、ひゃくごじゅうなーな、ひゃくごじゅうはーち」

 ポタリ、ポタリと落ちる雫は、丁度秒を刻むのに合致している。

「ひゃくはちじゅうさーん、ひゃくはちじゅうよーん、ひゃくはちじゅうごー、ひゃくは……あ」

 ふと、闇の広がる洞窟の向こうに、光る何かを見つけた。
 それは足元に置いた蝋燭の光が、偶然に当たったナニモノかだったのだろう。
 しかし空は、カラスの本能のまま、その光る物へと導かれていった。
 結果的にそれは、水晶の原石だった。蝋燭の光にそれを当てると、白乳色の表面が煌く。
 満足げにそれをポケットにしまうと、温泉まで戻り、また淵に腰掛ける。

「……あれ? いくつまで数えたっけ?」



 数分後、温泉の中から伸びる紐を引っ張ると、卵が入った網が引き上げられた。
 直ぐに冷水が湧きでる泉まで持っていくと、ゆで卵をさらす。
 十分に卵が冷えたのを確認すると、その中からひとつを手に取り、近場の岩に軽くぶつける。
 ひびが入った殻を、丁寧に剥くと、ぱくりと口の中に入れる。
 ぷりぷりとした白身にかくれ、もさもさとした黄身の味が口内に広がった。

「あーあ、固ゆでになっちゃった」

 半熟卵を作るのは、これでなかなか難しいのである。





※ハードボイルド=硬いゆで卵の意


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